1 00:01:36,080 --> 00:01:39,650 …えー というわけで いいかね 青少年諸君 2 00:01:39,650 --> 00:01:45,160 これからは俺のことを「深慮遠謀 品行方正のポプラン」と呼ぶように 3 00:01:45,160 --> 00:01:49,660 「レディー・キラーのポプラン」では なくてですか? 4 00:01:49,660 --> 00:01:51,600 つまらんことを知っているな 5 00:01:51,600 --> 00:01:54,170 アッテンボロー中将から 聞いたのか? 6 00:01:54,170 --> 00:01:57,070 いえ キャゼルヌ中将からです 7 00:01:59,000 --> 00:02:03,740 古い世代からの無理解は 若い変革者の背負う宿命だ 8 00:02:03,740 --> 00:02:06,650 ともに立って 彼らを過去の追憶の中へ 9 00:02:06,650 --> 00:02:08,850 追いやってしまおうぜ 諸君 10 00:02:10,880 --> 00:02:13,520 あいつ 平和な時代に生まれてたら 11 00:02:13,520 --> 00:02:16,860 意外に幼稚園の先生にでも なってたんじゃないか 12 00:02:16,860 --> 00:02:19,420 子供相手が妙に似合う奴だ 13 00:02:19,420 --> 00:02:21,990 ポプラン中佐が レディー・キラーから 14 00:02:21,990 --> 00:02:25,400 幼稚園の先生に 転向なさったことだし 15 00:02:25,400 --> 00:02:30,570 アッテンボロー中将も独身主義を 返上なさってはいかがですか 16 00:02:30,570 --> 00:02:34,040 独身主義の方が 俺を返上しそうもないよ 17 00:02:34,040 --> 00:02:36,940 俺も長年 奴と交際してきたのでね 18 00:02:36,940 --> 00:02:40,480 捨てるに忍びなくてな 19 00:02:40,480 --> 00:02:44,080 じゃあな 20 00:02:44,080 --> 00:02:48,290 ヤンが在世していた時 ユリアンは黒髪の魔術師より 21 00:02:48,290 --> 00:02:52,490 更に豊かな軍事的センスを有する 天才型の人物に見えた 22 00:02:52,490 --> 00:02:55,130 だがヤンの死後 その印象は変わった 23 00:02:55,130 --> 00:02:57,100 彼自身が変わったのではなく 24 00:02:57,100 --> 00:02:59,800 見る側の感性が 変わったのであるが 25 00:02:59,800 --> 00:03:02,570 「ヤン・ウェンリー語録」という 聖典を抱えた 26 00:03:02,570 --> 00:03:07,010 努力型の布教活動家という一面を 表してきたようであった 27 00:03:07,010 --> 00:03:11,010 とはいってもユリアンは 陰気でも強圧的でもなかった 28 00:03:11,010 --> 00:03:15,450 カイザー・ラインハルトのような 華麗で熱っぽい自信とは縁がなく 29 00:03:15,450 --> 00:03:17,380 ごく自然な流れに乗って 30 00:03:17,380 --> 00:03:21,050 ヤンの後継者という位置を 占めるようになったのである 31 00:03:21,050 --> 00:03:23,290 その一例としてユリアンは 32 00:03:23,290 --> 00:03:27,260 不満や意見を投書の形で 発散させる方法を取っていた 33 00:03:27,260 --> 00:03:30,500 それらの中には 建設的なものもあったが 34 00:03:30,500 --> 00:03:34,070 ユリアン個人に対する 悪口を連ねただけのものもあった 35 00:03:34,070 --> 00:03:38,300 だが指導者に対する悪口を 公然と言えないような社会は 36 00:03:38,300 --> 00:03:41,540 開かれた社会ではないという ヤンの教えを守って 37 00:03:41,540 --> 00:03:45,880 ユリアンは 彼自身に対する 批判や非難を封じたことはない 38 00:03:45,880 --> 00:03:49,250 彼が我を忘れるのは ヤンの悪口を言われた時で 39 00:03:49,250 --> 00:03:52,720 そのことに関しては カーテローゼ・フォン・クロイツェルはじめ 40 00:03:52,720 --> 00:03:55,320 多くの同時代人の証言がある 41 00:03:57,420 --> 00:04:01,030 「ユリアン・ミンツは自分の言葉で 語ったことが一度もない」 42 00:04:01,030 --> 00:04:05,830 「彼の発言や見識の源は 全てヤン・ウェンリー語録のうちにある」 43 00:04:05,830 --> 00:04:09,230 「彼は創造せず全てを剽窃した」 44 00:04:09,230 --> 00:04:11,600 「彼はヤンより後に 生き残ったというだけで」 45 00:04:11,600 --> 00:04:14,110 「全ての栄光を 不当に独占したのだ」 46 00:04:14,110 --> 00:04:16,880 この種の 残忍なまでの誹謗に対して 47 00:04:16,880 --> 00:04:19,280 ユリアン自身は 何も語らなかったが 48 00:04:19,280 --> 00:04:22,050 ダスティ・アッテンボローが 反論している 49 00:04:22,050 --> 00:04:25,380 「ユリアン・ミンツは 作曲家ではなく演奏家だった」 50 00:04:25,380 --> 00:04:27,620 「作家ではなく 翻訳家だった」 51 00:04:27,620 --> 00:04:31,160 「彼は そうありたいと望んで 最も優秀な演奏家に」 52 00:04:31,160 --> 00:04:33,560 「また翻訳家になったのだ」 53 00:04:33,560 --> 00:04:36,230 「彼は出典を隠したことは 一度もなかった」 54 00:04:36,230 --> 00:04:39,530 「剽窃呼ばわりされる筋合いは 全くない」 55 00:04:39,530 --> 00:04:44,370 「演奏されずに人々を感動させる 名曲などというものはないのだ」 56 00:04:44,370 --> 00:04:46,300 だが この時期いまだユリアンは 57 00:04:46,300 --> 00:04:49,210 名曲を演奏する機会に 恵まれてはいない 58 00:04:49,210 --> 00:04:52,910 当時の彼の基本的な姿勢は 待つことであった 59 00:04:52,910 --> 00:04:56,110 帝国の人民は 20世代近くにわたって 60 00:04:56,110 --> 00:04:59,320 統治されること 支配されることに慣れてきた 61 00:04:59,320 --> 00:05:01,920 彼らにとって政治とは 何かをされること 62 00:05:01,920 --> 00:05:03,860 何かをしてもらうことだった 63 00:05:03,860 --> 00:05:06,760 だから これまでより ずっと よいことをしてくれる 64 00:05:06,760 --> 00:05:09,960 ローエングラム支配体制を 支持するのは当然だ 65 00:05:09,960 --> 00:05:12,260 従ってローエングラム王朝が 66 00:05:12,260 --> 00:05:16,000 時の風化作用の中で 自壊への坂道を下り始める 67 00:05:16,000 --> 00:05:20,840 その時こそ 民主共和政が意味を 持ち始めるのではないだろうか 68 00:05:20,840 --> 00:05:23,740 だから今 必要なことは 待つことだと 69 00:05:23,740 --> 00:05:25,740 ユリアンは考えていた 70 00:05:25,740 --> 00:05:32,320 だが現実は ユリアンの予想したより はるかに早く動き出していた 71 00:05:32,320 --> 00:05:35,320 10月中旬 帝国軍の囲みを破って 72 00:05:35,320 --> 00:05:37,920 物資と情報をイゼルローン要塞に もたらすことを 73 00:05:37,920 --> 00:05:40,730 自らに課している ボリス・コーネフの一行が 74 00:05:40,730 --> 00:05:46,200 またしても 重大で衝撃的な情報をもたらす 75 00:05:46,200 --> 00:05:49,470 それは5月末に ヤン・ウェンリー暗殺計画の存在を 76 00:05:49,470 --> 00:05:53,770 告げた時以来の 無形の爆発物とも 言うべきものだった 77 00:05:57,980 --> 00:06:02,310 いわく銀河帝国ノイエ・ラント総督 ロイエンタール元帥 78 00:06:02,310 --> 00:06:05,310 カイザー・ラインハルトに反す 79 00:06:08,090 --> 00:06:11,060 カイザー・ラインハルトが ハイネセンに向かう途中 80 00:06:11,060 --> 00:06:13,890 戦没者の慰霊のために ガンダルヴァ星系の 81 00:06:13,890 --> 00:06:15,830 惑星ウルヴァシーに 立ち寄ったのは 82 00:06:15,830 --> 00:06:17,830 10月7日のことである 83 00:06:23,570 --> 00:06:26,440 現在 この地には ロイエンタール旗下の 84 00:06:26,440 --> 00:06:28,870 アルフレット・アロイス・ ヴィンクラー中将が 85 00:06:28,870 --> 00:06:33,670 50万人のノイエ・ラント治安軍を 率いて駐留している 86 00:06:35,680 --> 00:06:38,450 カイザー・ラインハルトが 大親征における 87 00:06:38,450 --> 00:06:40,520 戦没者の碑に慰霊を済ませ 88 00:06:40,520 --> 00:06:43,290 司令部に隣接した 迎賓館に移ったのは 89 00:06:43,290 --> 00:06:45,790 21時10分であった 90 00:06:53,930 --> 00:06:57,900 22時40分 ルッツ ミュラーらが 御前を辞すと 91 00:06:57,900 --> 00:07:02,100 ラインハルトは 睡魔が訪れるまで読書を始める 92 00:07:21,990 --> 00:07:24,090 23時30分 93 00:07:30,300 --> 00:07:32,240 どうした?エミール 94 00:07:32,240 --> 00:07:34,870 陛下 ルッツ提督とミュラー提督が 95 00:07:34,870 --> 00:07:38,870 至急にお話があるそうです お通ししてよろしいでしょうか 96 00:07:40,750 --> 00:07:42,980 おそれながら陛下 97 00:07:42,980 --> 00:07:45,650 どうぞ ご出立の ご支度をいただきますよう 98 00:07:45,650 --> 00:07:48,950 警備兵どもの動きが 何やら不穏でございます 99 00:08:05,870 --> 00:08:07,810 ご苦労 ミュラー 100 00:08:07,810 --> 00:08:10,440 だが一体 何事が生じたのか 101 00:08:10,440 --> 00:08:12,840 確かなことは何も分かりませんが 102 00:08:12,840 --> 00:08:17,480 先刻より基地の内外で 兵士たちの 慌ただしい動きがございます 103 00:08:17,480 --> 00:08:19,420 それを問い合わせようと しましたところ 104 00:08:19,420 --> 00:08:21,490 外部との電話が通じません 105 00:08:21,490 --> 00:08:24,060 ここは念のためにも 総旗艦ブリュンヒルトに 106 00:08:24,060 --> 00:08:26,760 お戻りいただいたほうが よいと存じます 107 00:08:54,990 --> 00:08:57,820 シュトライト リュッケはどうした 108 00:08:57,820 --> 00:09:00,730 分かりません 陛下 それどころか 109 00:09:00,730 --> 00:09:05,230 私ども自身の置かれた状況すら 明らかではないのです 110 00:09:05,230 --> 00:09:09,330 だが危険だということだけは 分かっているわけか 111 00:09:15,810 --> 00:09:17,740 一個連隊はいそうですな 112 00:09:17,740 --> 00:09:21,110 銀河帝国の皇帝と上級大将が2名 113 00:09:21,110 --> 00:09:26,210 それを害するのに たかだか 一個連隊とは安く見られたものだ 114 00:09:45,000 --> 00:09:47,000 失礼 陛下 115 00:10:03,690 --> 00:10:05,690 ミュラー!無事か? 116 00:10:07,930 --> 00:10:11,400 恐縮です 陛下 小官の背中の皮は 117 00:10:11,400 --> 00:10:14,400 いささか厚うございますゆえ ご心配なく 118 00:10:16,370 --> 00:10:19,170 それにしても これは基地全体が 119 00:10:19,170 --> 00:10:22,410 陛下の御身を 狙っているとしか思えません 120 00:10:22,410 --> 00:10:27,210 ではロイエンタールが背いたと 卿は言うのか 121 00:10:27,210 --> 00:10:32,050 僚友をおとしめるようなことは 小官は申し上げたくございません 122 00:10:32,050 --> 00:10:35,890 ですが 陛下には 危険を避ける義務がおありです 123 00:10:35,890 --> 00:10:40,190 小官らに誹謗の罪があれば 後刻 償いますゆえ今は 124 00:10:40,190 --> 00:10:42,990 御身の安全のみをお考えください 125 00:10:48,900 --> 00:10:52,270 無用の心配をするな エミール 126 00:10:52,270 --> 00:10:56,710 余は いま少し見栄えのする場所で 死ぬように決めている 127 00:10:56,710 --> 00:11:01,410 「カイザーの墓所はウルヴァシー」 などというのは響きがよくない 128 00:11:09,790 --> 00:11:14,290 仮にロイエンタールが反したとすれば その計画は水も漏らさぬ 129 00:11:14,290 --> 00:11:17,300 いや 分子すら漏れる隙もなかろう 130 00:11:17,300 --> 00:11:20,700 今頃は余も卿らも 自由の身であるはずがない 131 00:11:20,700 --> 00:11:22,700 そうではないか? 132 00:11:24,600 --> 00:11:29,070 ん?陛下 ブリュンヒルトが出ました 133 00:11:29,070 --> 00:11:35,250 こちらはルッツ上級大将である ザイドリッツ准将か? 134 00:11:35,250 --> 00:11:37,980 そうだ 陛下はご無事だ 135 00:11:37,980 --> 00:11:40,550 傍受される危険があるので こちらの現状は 136 00:11:40,550 --> 00:11:44,860 詳しくは伝えられない そちらの状況のみ伝えよ 137 00:11:44,860 --> 00:11:51,500 陛下 ブリュンヒルトも地上からの 攻撃を受け 交戦中とのことです 138 00:11:51,500 --> 00:11:55,500 軍事宇宙港は既に 反乱部隊に 制圧されている模様なれば 139 00:11:55,500 --> 00:11:58,070 ブリュンヒルトは ひとまず宇宙港を離れ 140 00:11:58,070 --> 00:12:01,770 人造湖に着水し 陛下を お待ちするとのことです 141 00:12:23,360 --> 00:12:25,460 車はこれ以上 近づけません 142 00:12:29,670 --> 00:12:31,670 陛下 こちらへ 143 00:12:40,340 --> 00:12:44,180 陛下 陛下 ご無事で ようございました 144 00:12:44,180 --> 00:12:46,420 リュッケではないか 145 00:12:46,420 --> 00:12:48,390 どうして ここに? 146 00:12:48,390 --> 00:12:51,260 それが シュトライト閣下と小官は 147 00:12:51,260 --> 00:12:55,090 陛下が既に脱出されたとの虚報に おびき出されたのですが 148 00:12:55,090 --> 00:12:59,360 それが偽りと分かって 以来 陛下をお捜ししていたのです 149 00:12:59,360 --> 00:13:02,270 ブリュンヒルトが 湖に向かったとの情報を得て 150 00:13:02,270 --> 00:13:05,000 先回りをしておりました 151 00:13:05,000 --> 00:13:09,270 シュトライト中将らは この先で お待ちです 152 00:13:09,270 --> 00:13:12,710 では すぐに ブリュンヒルトを発進させよ 153 00:13:12,710 --> 00:13:14,950 いや お待ちください 154 00:13:14,950 --> 00:13:18,380 もし この反乱行為が 突発的なものでないとしたら 155 00:13:18,380 --> 00:13:23,380 衛星軌道上に 既に敵が 待ち構えているやもしれません 156 00:13:25,620 --> 00:13:29,620 ルッツ 卿の言う「敵」とは 誰を指しているのか 157 00:13:32,400 --> 00:13:34,830 やはりロイエンタールであろう 158 00:13:34,830 --> 00:13:39,000 確たる証拠がないゆえ 卿も名を出さぬのであろうが 159 00:13:39,000 --> 00:13:42,310 先刻のミュラー提督の表現に ならって申し上げれば 160 00:13:42,310 --> 00:13:45,540 ノイエ・ラントにおいて 総督たるロイエンタール元帥には 161 00:13:45,540 --> 00:13:48,410 陛下の ご安全を保障する 責任がありましょう 162 00:13:48,410 --> 00:13:50,350 にもかかわらず この現実 163 00:13:50,350 --> 00:13:54,350 彼が批判に値せぬとは 残念ながら思えません 164 00:13:59,960 --> 00:14:02,460 いずれにせよ ブリュンヒルトまで参りましょう 165 00:14:02,460 --> 00:14:06,660 たとえ地上にあっても あの艦内にいれば まず安心です 166 00:14:06,660 --> 00:14:09,660 対策は その後でよろしいかと 167 00:14:17,880 --> 00:14:19,880 誰だ!止まれ 168 00:14:26,980 --> 00:14:28,980 カ… カイザー 169 00:14:31,920 --> 00:14:35,530 多少なりと 正気が残っていると見えるな 170 00:14:35,530 --> 00:14:38,430 確かに余は お前たちの皇帝だ 171 00:14:43,230 --> 00:14:47,170 撃つがよい ラインハルト・フォン・ローエングラムはただ一人で 172 00:14:47,170 --> 00:14:51,580 それを殺す者も一人しか 歴史には残らないのだからな 173 00:14:51,580 --> 00:14:53,580 その一人に誰がなる? 174 00:14:56,410 --> 00:14:58,410 陛下 175 00:15:23,510 --> 00:15:25,440 何をしているんだ 176 00:15:25,440 --> 00:15:30,440 カイザーの首には10億帝国マルクの賞金が かかっているんだぞ 177 00:15:39,060 --> 00:15:41,560 ジーク・カイザー! 178 00:16:10,790 --> 00:16:14,590 も… 申し訳ございませぬ 179 00:16:14,590 --> 00:16:17,900 卿の名は? はい 陛下 180 00:16:17,900 --> 00:16:20,430 私はマインホフ兵長と申します 181 00:16:20,430 --> 00:16:23,030 そそのかされたとはいえ 陛下に銃を向けるなど 182 00:16:23,030 --> 00:16:26,270 罪は万死に値します どうか お許しを 183 00:16:26,270 --> 00:16:29,470 よろしい 今から卿は軍曹だ 184 00:16:29,470 --> 00:16:33,340 我々をブリュンヒルトまで 連れていってもらえるかな 185 00:16:33,340 --> 00:16:37,750 マインホフ軍曹 はい もちろんでございます 陛下 186 00:16:37,750 --> 00:16:40,790 では立つがよい はい 187 00:16:40,790 --> 00:16:43,550 こちらに徒歩でしか行けない 近道がございます 188 00:16:43,550 --> 00:16:46,850 ご案内いたします どうぞ どうぞ 189 00:17:12,080 --> 00:17:15,020 即死です 何者にそそのかされたのかを 190 00:17:15,020 --> 00:17:17,020 尋ねようと思ったのですが 191 00:17:17,020 --> 00:17:20,020 銃声がしたぞ こっちだ 192 00:17:22,530 --> 00:17:24,930 俺が残って奴らを防ぐ 193 00:17:24,930 --> 00:17:29,430 卿は陛下を守護し奉って ブリュンヒルトに乗れ 194 00:17:29,430 --> 00:17:32,470 バカなことをおっしゃるな ルッツ提督 195 00:17:32,470 --> 00:17:36,940 おいおい 一応 俺は 卿より5歳ばかり年上なのだぞ 196 00:17:36,940 --> 00:17:41,810 バカはないだろう 年長者の 責任を果たすだけのことだ 197 00:17:41,810 --> 00:17:45,420 失礼しました ですが責任は私も同様 198 00:17:45,420 --> 00:17:50,190 しかも卿には婚約者がおいでだ 身軽な私の方こそ残ります 199 00:17:50,190 --> 00:17:52,120 右腕を負傷した卿が残って 200 00:17:52,120 --> 00:17:55,030 何の役に立つのだ ですが… 201 00:17:55,030 --> 00:17:57,800 卿は卿にしか果たし得ぬ 責任を果たせ 202 00:17:57,800 --> 00:18:00,500 これ以上 形式論を 聞かせてくれるなよ 203 00:18:00,500 --> 00:18:05,100 そんなことをしたら謝礼として 左腕も撃ち抜いてやるからな 204 00:18:14,850 --> 00:18:17,180 ならば小官も残ります 205 00:18:17,180 --> 00:18:19,120 親衛隊長たるもの 206 00:18:19,120 --> 00:18:22,450 最後まで陛下のおそばで お守りしないでどうする 207 00:18:22,450 --> 00:18:24,390 気持ちだけ… いや 208 00:18:24,390 --> 00:18:27,390 予備のエネルギーパックだけ もらっておこう 209 00:18:41,510 --> 00:18:44,070 ルッツ はい 陛下 210 00:18:44,070 --> 00:18:48,980 余は… 余は卿を死後に元帥に 特進させるがごときを望まぬ 211 00:18:48,980 --> 00:18:52,920 いくら遅れても構わぬゆえ 後から必ず来い 212 00:18:52,920 --> 00:18:57,620 元より 小官は生きて元帥杖を 手にするつもりでございます 213 00:18:57,620 --> 00:19:00,460 おそれながら 陛下とは建国の労苦を 214 00:19:00,460 --> 00:19:02,390 ともにさせていただきました 215 00:19:02,390 --> 00:19:04,330 ぜひ 今後の安楽と栄華も 216 00:19:04,330 --> 00:19:06,630 分かち合っていきたいと 存じますので 217 00:19:15,410 --> 00:19:17,410 参りましょう 陛下 218 00:19:20,810 --> 00:19:24,110 ルッツ 銃が撃てなくなったら 降伏せよ 219 00:19:24,110 --> 00:19:28,110 ロイエンタールは勇者を 遇する道を知っているはずだ 220 00:19:54,110 --> 00:19:56,110 散れ 221 00:19:58,680 --> 00:20:01,080 ひるむな 相手は1人だ 222 00:20:14,700 --> 00:20:17,170 そんなことをしても 勝ち目はないぞ 223 00:20:17,170 --> 00:20:20,170 降伏するなら身の安全は保障する 224 00:20:20,170 --> 00:20:22,310 せっかくの機会だ 225 00:20:22,310 --> 00:20:26,910 ローエングラム王朝の上級大将が どのような死に方をするか 226 00:20:26,910 --> 00:20:31,610 卿らが死ぬにせよ 生き残るにせよ 見届けていったらどうだ 227 00:20:36,890 --> 00:20:40,420 まだか… 228 00:20:40,420 --> 00:20:42,420 まだか 229 00:20:44,290 --> 00:20:47,390 まだブリュンヒルトは 離水しないのか 230 00:21:01,680 --> 00:21:03,680 陛下 ご無事で 231 00:21:35,180 --> 00:21:37,250 マイン・カイザー 232 00:21:37,250 --> 00:21:40,880 あなたの御手から 元帥杖をいただくお約束でしたが 233 00:21:40,880 --> 00:21:42,950 かなわぬことのようです 234 00:21:42,950 --> 00:21:45,690 おしかりはヴァルハラで いただきますが 235 00:21:45,690 --> 00:21:49,590 どうか それが遠い未来のことで ありますように… 236 00:22:20,520 --> 00:22:23,790 かくして カイザー・ ラインハルトは虎口を逃れた 237 00:22:23,790 --> 00:22:26,700 だが ただ1隻で 惑星ウルヴァシーを脱した 238 00:22:26,700 --> 00:22:29,070 総旗艦ブリュンヒルトの その後の行方は 239 00:22:29,070 --> 00:22:31,000 ようとして知れなかった 240 00:22:31,000 --> 00:22:34,670 そこまでの事情が イゼルローンに伝わったのである 241 00:22:34,670 --> 00:22:37,340 歴史全体が加速しているのか 242 00:22:37,340 --> 00:22:40,740 皆 生き急ぎ そして死に急いでいる 243 00:22:40,740 --> 00:22:43,650 どうする ユリアン この混乱に乗じて 244 00:22:43,650 --> 00:22:47,520 我々の置かれた状況を改善する 機会が与えられるだろうか 245 00:22:47,520 --> 00:22:51,090 ぜひ そうしたいと思いますが 246 00:22:51,090 --> 00:22:56,290 判断を誤れば民主共和政治自体の 命運にも関わってくる 247 00:22:56,290 --> 00:23:00,160 メルカッツ提督 ロイエンタール元帥は 古今の名将ですが 248 00:23:00,160 --> 00:23:04,030 果たしてカイザー・ラインハルトに 勝てるものでしょうか 249 00:23:04,030 --> 00:23:06,700 思うにロイエンタールは 地位が高まり 250 00:23:06,700 --> 00:23:10,970 舞台が広がるのに応じて 力量を充実させていく男です 251 00:23:10,970 --> 00:23:13,210 リップシュタット戦役以前は 252 00:23:13,210 --> 00:23:17,080 経験の差で彼に負けると 私は思っていませんでしたな 253 00:23:17,080 --> 00:23:22,020 当然 彼がカイザー・ラインハルトに 及ぶはずもないと考えていました 254 00:23:22,020 --> 00:23:24,390 ですが 255 00:23:24,390 --> 00:23:29,060 もし今 彼が二正面作戦を避けて 持久戦に持ち込み 256 00:23:29,060 --> 00:23:34,800 帝国軍本体の補給の限界を待てば 活路があるかもしれませんな 257 00:23:34,800 --> 00:23:37,100 二正面作戦を避ける… 258 00:23:39,070 --> 00:23:42,270 ですが ロイエンタール元帥の 才幹はともかく 259 00:23:42,270 --> 00:23:44,710 カイザー・ラインハルトに 反旗を翻すことを 260 00:23:44,710 --> 00:23:48,880 彼の部下たちが よしとするでしょうか 261 00:23:48,880 --> 00:23:50,880 うむ 262 00:23:53,580 --> 00:23:56,580 ヤン提督が 生きておいでだったら… 263 00:24:03,790 --> 00:24:08,490 自分で… 自分で考えるんですよね 提督 264 00:24:18,780 --> 00:24:22,550 宇宙暦800年 新帝国暦2年10月 265 00:24:22,550 --> 00:24:25,020 ロイエンタール元帥 謀反の報は 266 00:24:25,020 --> 00:24:29,120 再び宇宙を混迷の時代に 引き込もうとしていた 267 00:26:07,680 --> 00:26:10,550 惑星ウルヴァシーにおける カイザー襲撃事件は 268 00:26:10,550 --> 00:26:12,890 ロイエンタールを追い詰めた 269 00:26:12,890 --> 00:26:17,630 謀反人に仕立てられるぐらいなら 自ら進んで謀反人になる 270 00:26:17,630 --> 00:26:20,230 ロイエンタール ついに立つ 271 00:26:20,230 --> 00:26:23,800 一方 ルッツの死と それに続く逃避行に 272 00:26:23,800 --> 00:26:27,000 ラインハルトの心も また… 273 00:26:27,000 --> 00:26:32,310 次回「銀河英雄伝説」 第93話「矜持にかけて」 274 00:26:32,310 --> 00:26:34,610 銀河の歴史が また1ページ