1 00:01:32,400 --> 00:01:34,540 宣戦布告があったわけではない 2 00:01:34,540 --> 00:01:36,580 だがロイエンタール元帥の反乱は 3 00:01:36,780 --> 00:01:38,880 いつの間にか 既定の事実となっていた 4 00:01:39,080 --> 00:01:42,580 そんな中 惑星ウルヴァシーでの 事件の調査に当たっていた 5 00:01:42,780 --> 00:01:44,850 アルフレット・ グリルパルツァー大将が 6 00:01:45,050 --> 00:01:48,720 ハイネセンに帰還し ロイエンタールへの従属を申し入れた 7 00:01:48,920 --> 00:01:51,520 ロイエンタールの小飼いの 部下たちとは立場を異にする 8 00:01:51,720 --> 00:01:53,460 グリルパルツァーの この申し入れに 9 00:01:53,660 --> 00:01:56,960 さすがのロイエンタールも 意外の念を禁じ得なかった 10 00:01:57,160 --> 00:02:00,000 卿は本心から 俺に味方するというのか 11 00:02:00,200 --> 00:02:03,100 本心です ただし 12 00:02:03,300 --> 00:02:06,670 ただし? 私にも野心はあります 13 00:02:06,870 --> 00:02:09,570 閣下が覇業を成就された暁には 14 00:02:09,770 --> 00:02:14,170 私に軍務尚書 帝国元帥の地位を お約束いただきたい 15 00:02:16,480 --> 00:02:21,120 よかろう 卿はいま少し 高い地位を望むかと思っていたが 16 00:02:21,320 --> 00:02:25,020 軍務尚書で満足と言うなら 卿の望みは かなえよう 17 00:02:25,220 --> 00:02:28,660 この上は卿自身の望みのために 尽力することを 18 00:02:28,860 --> 00:02:31,560 期待させてもらおう はっ 19 00:02:31,760 --> 00:02:33,500 ところでクナップシュタインは? 20 00:02:33,700 --> 00:02:38,440 協力を拒否しているのでな 官舎で禁足を命じてある 21 00:02:38,640 --> 00:02:40,710 私にお任せいただけませんか 22 00:02:40,910 --> 00:02:44,580 説得して味方に引き入れます 承知するかな 23 00:02:44,780 --> 00:02:47,210 クナップシュタインとは 長年の僚友です 24 00:02:47,410 --> 00:02:51,120 私が説得すれば 必ずや応じるものと 25 00:02:51,320 --> 00:02:54,420 よかろう 卿に任せる はっ 26 00:03:00,490 --> 00:03:02,230 よろしいのですか? 27 00:03:02,430 --> 00:03:04,200 奴は野心家だ 28 00:03:04,400 --> 00:03:07,970 打算に基づく行動なら こちらとしても読みやすい 29 00:03:08,170 --> 00:03:10,270 ですが… それに 30 00:03:10,470 --> 00:03:12,340 今は疑う理由もない 31 00:03:12,540 --> 00:03:14,640 先手を打って奴を排除すれば 32 00:03:14,840 --> 00:03:19,480 他の部下たちの動揺を 誘うことにもなりかねん 33 00:03:19,680 --> 00:03:21,450 どうして帰ってきたのだ 34 00:03:21,650 --> 00:03:24,820 卿はロイエンタール元帥の 挙兵に加担して 35 00:03:25,020 --> 00:03:28,790 新王朝の歴史に 逆賊の汚名を残したいのか 36 00:03:28,990 --> 00:03:33,260 いや それどころか卿は 進んでロイエンタール元帥への忠誠を誓い 37 00:03:33,460 --> 00:03:35,330 地位まで 要求したというではないか 38 00:03:35,530 --> 00:03:37,500 一体どういうつもりだ 39 00:03:37,700 --> 00:03:39,500 落ち着け クナップシュタイン 40 00:03:44,470 --> 00:03:47,570 まさか俺が本気で ロイエンタール元帥の 41 00:03:47,770 --> 00:03:52,340 掲げた反旗を仰ぐなどと 思っているのではないだろうな 42 00:03:52,540 --> 00:03:54,380 違うと言うのか だとしたら 43 00:03:54,580 --> 00:03:56,880 卿の本心を 聞かせてもらいたいものだ 44 00:03:57,080 --> 00:04:01,520 何しろ卿と違って 俺は無学者 あまり複雑な理論は理解しかねる 45 00:04:01,720 --> 00:04:03,460 考えてもみろ クナップシュタイン 46 00:04:03,660 --> 00:04:08,430 我々が20代で帝国軍大将の地位を 得たのは 何のゆえあってのことだ 47 00:04:08,630 --> 00:04:12,030 カイザーの御恩と 我ら自身の武勲によってだ 48 00:04:12,230 --> 00:04:15,370 だから その武勲は どうやって立てた? 49 00:04:15,570 --> 00:04:17,870 敵と戦ったからこその武勲だろう 50 00:04:18,070 --> 00:04:21,170 今 自由惑星同盟は滅び ヤン・ウェンリーは死に 51 00:04:21,370 --> 00:04:24,010 宇宙から戦いは なくなろうとしている 52 00:04:24,210 --> 00:04:26,850 このまま手をこまねいていては 平和な時勢 53 00:04:27,050 --> 00:04:31,350 我々は武勲の立てようもなく 栄達のしようもなくなるわけだ 54 00:04:31,550 --> 00:04:34,650 そうではないか? それは そうかもしれんが… 55 00:04:34,850 --> 00:04:37,160 だから 多少あざとさはあるとしても 56 00:04:37,360 --> 00:04:39,760 派手な武勲を 立てなくてはならんのさ 57 00:04:39,960 --> 00:04:41,790 どうだ?まだ分からんか 58 00:04:41,990 --> 00:04:43,960 す… すると 59 00:04:44,160 --> 00:04:46,460 一時ロイエンタール元帥に 味方すると見せて 60 00:04:46,660 --> 00:04:48,500 最終的には裏切るつもりなのか 61 00:04:48,700 --> 00:04:51,900 「裏切る」? 表現に気をつけてもらえぬか 62 00:04:52,100 --> 00:04:55,540 俺たちは あくまで カイザー・ラインハルト陛下の臣下であって 63 00:04:55,740 --> 00:04:59,140 たまたまロイエンタール元帥の 旗下に配属されたにすぎん 64 00:04:59,340 --> 00:05:02,050 いずれへの忠誠が 優先されるべきか 65 00:05:02,250 --> 00:05:04,250 事は自明と言うべきだ 66 00:05:06,450 --> 00:05:10,590 結局クナップシュタインは グリルパルツァーに同調した 67 00:05:10,790 --> 00:05:14,490 一方 ロイエンタールへの協力を 敢然と拒否する者もいる 68 00:05:14,690 --> 00:05:17,730 お断りします 何と おっしゃられようと 69 00:05:17,930 --> 00:05:23,070 皇帝陛下に対する反逆行為には 加担いたしかねます 70 00:05:23,270 --> 00:05:25,370 更に私人の立場で申し上げれば 71 00:05:25,570 --> 00:05:29,240 総督閣下は 我が義兄 コルネリアス・ルッツの死に対して 72 00:05:29,440 --> 00:05:32,110 責任がおありです その点について 73 00:05:32,310 --> 00:05:35,010 法的かつ道義的に 決着がつけられない限り 74 00:05:35,210 --> 00:05:37,710 閣下にお味方することに 耐えられません 75 00:05:40,050 --> 00:05:43,190 公人としての卿の意見は 陳腐で平凡だが 76 00:05:43,390 --> 00:05:47,830 私人としての主張は 勇気と正義と 2つの条件に かなっている 77 00:05:48,030 --> 00:05:49,760 協力せぬと言うなら それでよい 78 00:05:49,960 --> 00:05:53,530 官舎から出ず 私に敵対行為を働かない限り 79 00:05:53,730 --> 00:05:56,330 卿と家族の身は安全だ 80 00:05:56,530 --> 00:05:59,200 ロイエンタールは その場で文書を記して 81 00:05:59,400 --> 00:06:01,770 エルスハイマーに持たせて 無事に帰宅させた 82 00:06:01,970 --> 00:06:04,140 それはミッターマイヤーに 宛てたもので 83 00:06:04,340 --> 00:06:08,010 エルスハイマーが反逆への加担を 拒絶したことを明記し 84 00:06:08,210 --> 00:06:13,380 将来 彼がカイザーから 問責されぬよう配慮を求めていた 85 00:06:13,580 --> 00:06:15,850 我ながら妙なことをする 86 00:06:16,050 --> 00:06:18,720 敗れることを前提にしているのか 87 00:06:18,920 --> 00:06:21,430 マイン・カイザーに敗れるにせよ 滅びるにせよ 88 00:06:21,630 --> 00:06:25,160 せめて全力を尽くして 後のことでありたいものだ 89 00:06:25,360 --> 00:06:27,530 戦うからには勝利を望むべきだ 90 00:06:27,730 --> 00:06:31,040 最初から 負けることを考えてどうする 91 00:06:31,240 --> 00:06:34,240 それとも敗北を 滅亡を 92 00:06:34,440 --> 00:06:36,170 お前は望んでいるのか 93 00:06:36,370 --> 00:06:40,410 度しがたいな 我ながら 94 00:06:40,610 --> 00:06:43,180 基本計画は既に定まっている 95 00:06:43,380 --> 00:06:46,180 出兵が行われたからには 敵の… 96 00:06:48,550 --> 00:06:50,720 敵の作戦展開に先んじて 97 00:06:50,920 --> 00:06:55,190 こちらの主動で一戦し 打撃を 与えて敵の瓦解を誘うしかない 98 00:06:55,390 --> 00:06:58,800 一勝すれば 今回の最終的な 帰趨は決するだろう 99 00:06:59,000 --> 00:07:02,700 反乱軍には物理的にも 心理的にも あとがないのだから 100 00:07:06,800 --> 00:07:09,440 それにしてもロイエンタールは カイザーに対し 101 00:07:09,640 --> 00:07:12,340 何の不満があって 今回のような暴挙に… 102 00:07:12,540 --> 00:07:15,180 いや 早まった行為に出たのだ? 103 00:07:15,380 --> 00:07:17,120 ビッテンフェルト… 104 00:07:17,320 --> 00:07:20,490 いや ワーレン提督 お気遣いは必要ない 105 00:07:20,690 --> 00:07:24,390 ロイエンタール元帥と俺の友誼は つまるところ私事であって 106 00:07:24,590 --> 00:07:28,660 公務の重さと 比較はできないからな 107 00:07:28,860 --> 00:07:31,560 そうだぞ ワーレン提督 108 00:07:31,760 --> 00:07:34,370 司令長官が 公務を遂行するにあたって 109 00:07:34,570 --> 00:07:36,870 我々が私情を忖度するような ことがあっては 110 00:07:37,070 --> 00:07:38,870 かえって失礼ではないか 111 00:07:44,640 --> 00:07:47,950 ロイエンタールが ヒザを折る相手は 宇宙にただ一人 112 00:07:48,150 --> 00:07:50,950 マイン・カイザー・ラインハルト 陛下があるのみだろう 113 00:07:51,150 --> 00:07:53,850 それに先立って軍務尚書に ヒザを折るということが 114 00:07:54,050 --> 00:07:56,420 奴には耐えられないに違いない 115 00:07:56,620 --> 00:07:58,660 俺だって嫌ではあるが 116 00:07:58,860 --> 00:08:01,190 あのジークフリード・ キルヒアイスが生きていたら 117 00:08:01,390 --> 00:08:03,130 カイザーとロイエンタールの もつれた糸を 118 00:08:03,330 --> 00:08:07,230 解きほぐすことができただろうか それとも… 119 00:08:09,530 --> 00:08:12,240 ミッターマイヤーらが 進発した後を追うように 120 00:08:12,440 --> 00:08:15,870 カイザー・ラインハルト自身も 総旗艦ブリュンヒルトを 121 00:08:16,070 --> 00:08:18,640 フェザーン回廊 出口付近の シャーテンブルク要塞 122 00:08:18,840 --> 00:08:21,550 建設予定宙域まで進めていた 123 00:08:21,750 --> 00:08:24,380 ラインハルトは ミュラーの負傷に対し 124 00:08:24,580 --> 00:08:26,990 ジークフリード・キルヒアイス 武勲章を授与し 125 00:08:27,190 --> 00:08:29,590 かつ元帥に昇進させようとした 126 00:08:34,990 --> 00:08:37,100 陛下をウルヴァシーにて お救いしたは 127 00:08:37,300 --> 00:08:39,930 亡きルッツ元帥の功績で ございます 128 00:08:40,130 --> 00:08:43,670 小官は功なき身にて 元帥杖を得ることはできません 129 00:08:43,870 --> 00:08:46,200 後日ふさわしき武勲を 立てましたる時 130 00:08:46,400 --> 00:08:49,840 ありがたく お受けしたく存じます 131 00:08:50,040 --> 00:08:54,050 では それとは別に 卿の負傷に報いる道はないか 132 00:08:54,250 --> 00:08:56,050 実は お言葉に甘えまして 133 00:08:56,250 --> 00:08:59,450 一つご考慮いただきたいことが ございます 陛下 134 00:08:59,650 --> 00:09:03,990 ほう 卿が何を求めるか 余には分かっているつもりだ 135 00:09:04,190 --> 00:09:06,590 ロイエンタールの助命を こうのであろう 136 00:09:06,790 --> 00:09:09,860 ご明察 恐れ入ります ミュラー 137 00:09:10,060 --> 00:09:12,330 卿は余の宿将であり 恩人でもある 138 00:09:12,530 --> 00:09:14,300 ゆえに願いは 聞き届けてやりたいが 139 00:09:14,500 --> 00:09:17,870 これだけは かなわぬ 陛下 140 00:09:18,070 --> 00:09:19,800 余に問題があるのではない 141 00:09:20,000 --> 00:09:22,540 ロイエンタールのほうにこそ 卿は問うべきだ 142 00:09:22,740 --> 00:09:24,880 いや 過ぎたことについてではない 143 00:09:25,080 --> 00:09:27,580 これからのことだ と申しますと? 144 00:09:27,780 --> 00:09:30,310 ひとたび反旗を掲げ 戦い終わって後 145 00:09:30,510 --> 00:09:33,320 余に頭を下げて 助命を こう気があるかどうか 146 00:09:33,520 --> 00:09:36,420 そのことを卿は ロイエンタールに問うべきなのだ 147 00:09:36,620 --> 00:09:39,460 そうではないか? 148 00:09:39,660 --> 00:09:44,160 こんな時フロイライン・ マリーンドルフがいてくれたら 149 00:09:44,360 --> 00:09:46,660 ミュラーは そう思わずにはいられない 150 00:09:46,860 --> 00:09:48,900 ヒルダが体調の不調を理由に 151 00:09:49,100 --> 00:09:52,900 今回は同行しなかったことが 残念でならなかった 152 00:09:55,670 --> 00:09:58,840 ロイエンタールが頭を下げれば 済むことではないか 153 00:09:59,040 --> 00:10:01,480 俺に頭を下げるのが そんなに嫌か 154 00:10:01,680 --> 00:10:03,410 それとも あの言葉を… 155 00:10:03,610 --> 00:10:07,210 3年前の あの言葉を 実行したというのか 156 00:10:10,120 --> 00:10:12,660 ならば罪は やはり俺にあるのか 157 00:10:12,860 --> 00:10:15,560 だとしても 負けてやらねば ならない理由はない 158 00:10:15,760 --> 00:10:17,600 だがロイエンタールを討って 159 00:10:17,800 --> 00:10:20,530 それで俺の心は 安らぎを得るのだろうか… 160 00:10:20,730 --> 00:10:24,170 陛下 161 00:10:24,370 --> 00:10:27,110 帝国本土より入電しました ご命令どおり 162 00:10:27,310 --> 00:10:31,040 メックリンガー上級大将率いる 艦隊 1万1900隻が 163 00:10:31,240 --> 00:10:35,580 イゼルローン回廊方面へ 出動したとのことです 164 00:10:35,780 --> 00:10:37,980 かの魔術師 ヤン・ウェンリーが生きていたら 165 00:10:38,180 --> 00:10:42,290 この状況を どう活用するかな 166 00:10:42,490 --> 00:10:45,990 そうだな その選択次第で 167 00:10:46,190 --> 00:10:49,630 ヤン・ウェンリーの後継者の 器量が分かるか 168 00:10:49,830 --> 00:10:52,530 不吉な予測で 申し訳ございませんが 169 00:10:52,730 --> 00:10:57,370 万が一 イゼルローンの民主共和勢力が ロイエンタール元帥と結び 170 00:10:57,570 --> 00:11:00,170 帝国本土への侵攻を 企図するとしましたら 171 00:11:00,370 --> 00:11:04,040 その時は いかが対処なさいますか 172 00:11:04,240 --> 00:11:06,940 その時は… 173 00:11:07,140 --> 00:11:11,780 その時は もってイゼルローン要塞を 攻撃する理由とすればよい 174 00:11:11,980 --> 00:11:16,520 ロイエンタールを討った矛先で そのまま奴らを討ち滅ぼす 175 00:11:16,720 --> 00:11:20,860 一時の戦術的劣勢など 意とするに足りぬ 176 00:11:21,060 --> 00:11:24,700 ヤン・ウェンリーの後継者が 単に 目先の混乱を利用しようとする 177 00:11:24,900 --> 00:11:30,030 小策士であるにすぎぬなら ロイエンタールに加担するであろうよ 178 00:11:30,230 --> 00:11:34,130 いずれにせよ 奴ら自身が決めることだ 179 00:11:38,440 --> 00:11:40,480 その頃 イゼルローン要塞に 180 00:11:40,680 --> 00:11:43,010 ロイエンタールからの使者が 訪れていた 181 00:11:43,210 --> 00:11:47,390 その使者は帝国軍がイゼルローン回廊を 通過しようとする際に 182 00:11:47,590 --> 00:11:50,690 それを阻止するよう 要請する目的を持っていた 183 00:11:50,890 --> 00:11:53,590 ムライ中将 あっ やばい… 184 00:11:56,690 --> 00:11:58,930 お久しぶりです こんな形で 185 00:11:59,130 --> 00:12:01,370 お目にかかるとは 思いませんでしたが 186 00:12:01,570 --> 00:12:04,740 お元気そうでよかった 187 00:12:04,940 --> 00:12:10,540 戻ってくるとは思わなかったから 紳士的に送り出したんだがな 188 00:12:10,740 --> 00:12:13,180 イゼルローンへの使者に ムライを選んだのは 189 00:12:13,380 --> 00:12:16,080 ロイエンタールの 巧妙かつ辛辣な人事で 190 00:12:16,280 --> 00:12:19,080 ムライとしては 受けざるを得なかった 191 00:12:23,050 --> 00:12:25,290 またロイエンタールの申し出も 192 00:12:25,490 --> 00:12:28,660 その梟雄らしい気概を 示したものと言えた 193 00:12:28,860 --> 00:12:32,060 旧同盟領全域を 返還するなどという条件は 194 00:12:32,260 --> 00:12:34,030 容易に出し得るものではない 195 00:12:34,230 --> 00:12:37,940 話に乗って失敗したところで 大した損失もないと思わせる 196 00:12:38,140 --> 00:12:41,410 ヤン夫人や メルカッツ提督とも相談して 197 00:12:41,610 --> 00:12:44,340 なるべく早く ご返事させていただきます 198 00:12:44,540 --> 00:12:46,610 どうぞ その間 おくつろぎください 199 00:12:46,810 --> 00:12:51,250 そうだな なるべく早く頼むよ 腰が落ち着いてしまうと 200 00:12:51,450 --> 00:12:53,950 つい若い者のやることに 口を出したくなる 201 00:12:54,150 --> 00:12:56,950 もう私の席は ここにはないのにな 202 00:12:59,960 --> 00:13:02,090 さて 203 00:13:02,290 --> 00:13:04,700 じゃあ 204 00:13:04,900 --> 00:13:07,130 「帰っていらっしゃいませんか」の 言葉が 205 00:13:07,330 --> 00:13:09,500 ノドまで出かかった ユリアンであった 206 00:13:09,700 --> 00:13:11,570 だが かつての官舎を提供されて 207 00:13:11,770 --> 00:13:15,010 笑って謝絶したムライの心情に 思いをいたした時 208 00:13:15,210 --> 00:13:17,240 その言葉は出てこなかった 209 00:13:17,440 --> 00:13:21,110 ユリアンはその日一日 ロイエンタールの提案について考えた 210 00:13:21,310 --> 00:13:24,650 ヤン・ウェンリーの弟子らしく 勝算と同等以上の比率で 211 00:13:24,850 --> 00:13:28,220 歴史的意義というものに 思いを馳せながら 212 00:13:28,420 --> 00:13:31,860 ロイエンタール元帥が政治的正当性を 主張するつもりなら 213 00:13:32,060 --> 00:13:34,590 行方不明のエルウィン・ ヨーゼフ2世を捜し出して 214 00:13:34,790 --> 00:13:36,590 旧王朝の復古を宣言するか 215 00:13:36,790 --> 00:13:39,430 自由惑星同盟を 復活させるかしかないでしょう 216 00:13:39,630 --> 00:13:42,930 後者など 考えただけでも ばかばかしい話です 217 00:13:43,130 --> 00:13:45,740 あるいはカイザー・ラインハルトを そのまま傀儡にして 218 00:13:45,940 --> 00:13:48,270 ロイエンタールが 実権を握るつもりだとしたら 219 00:13:48,470 --> 00:13:51,780 それは単なる帝国内部の 権力闘争にすぎず 220 00:13:51,980 --> 00:13:54,680 我々が巻き込まれねばならない 理由はありません 221 00:13:54,880 --> 00:13:57,580 いずれにしてもカイザー・ ラインハルトがもたらした改革を 222 00:13:57,780 --> 00:14:00,480 無に帰すことになります その意味では 223 00:14:00,680 --> 00:14:03,220 政略的にロイエンタール元帥に 協力することは 224 00:14:03,420 --> 00:14:06,020 できないと考えます 225 00:14:06,220 --> 00:14:08,330 問題はもう1つの条件だ 226 00:14:08,530 --> 00:14:10,360 トリューニヒトの身柄を 引き渡すという 227 00:14:10,560 --> 00:14:13,230 そこのところだけ 話に乗れよ ユリアン 228 00:14:13,430 --> 00:14:15,600 トリューニヒトの首を よこせとは言わん 229 00:14:15,800 --> 00:14:19,470 首はお前さんに譲る 俺は腕の1本でいいからさ 230 00:14:19,670 --> 00:14:21,770 考えなかったわけではありません 231 00:14:21,970 --> 00:14:25,180 それどころか 最初に トリューニヒトの身柄を要求し 232 00:14:25,380 --> 00:14:27,450 帝国軍が 回廊通過を要求してきたら 233 00:14:27,650 --> 00:14:31,250 これを認めれば 恨みも晴らせて 帝国にも貸しを作れる… 234 00:14:31,450 --> 00:14:33,180 などというのも考えたんですが 235 00:14:33,380 --> 00:14:35,190 これは いかにも情けないし 236 00:14:35,390 --> 00:14:38,160 個人の生命を 政治の取引材料にしたのでは 237 00:14:38,360 --> 00:14:43,390 トリューニヒトや旧同盟政府を 批判する資格がなくなりますから 238 00:14:43,590 --> 00:14:48,870 そりゃそうだ 私憤はあくまで 自分の手で晴らすか 239 00:14:49,070 --> 00:14:53,640 結局ロイエンタールの申し出を 拒否することで衆議は一致した 240 00:14:53,840 --> 00:14:55,570 その判断をムライに告げる前に 241 00:14:55,770 --> 00:14:57,980 ユリアンは ふと気になったことを ただした 242 00:14:58,180 --> 00:15:00,640 今回の内戦に ロイエンタール元帥は 243 00:15:00,840 --> 00:15:03,310 旧同盟の市民を 巻き込んでいるのでしょうか 244 00:15:03,510 --> 00:15:06,180 いや これは帝国内の私戦であって 245 00:15:06,380 --> 00:15:09,190 民衆とは何ら関係ない そういう態度だね 246 00:15:09,390 --> 00:15:12,960 傲然としているのかもしれないが 徹底していることは確かだな 247 00:15:13,160 --> 00:15:16,930 なるほど そうですか 248 00:15:17,130 --> 00:15:20,630 ユリアンはそこに ロイエンタールという男の有する 249 00:15:20,830 --> 00:15:23,330 矜持を見出したような思いがした 250 00:15:23,530 --> 00:15:28,770 騒乱に旧同盟の市民を巻き込んで 徹底した焦土作戦を行えば 251 00:15:28,970 --> 00:15:32,080 かなり長期間の抵抗が 可能であるにもかかわらず 252 00:15:32,280 --> 00:15:35,910 あえて それを避け 正面決戦を挑むとは 253 00:15:36,110 --> 00:15:38,850 だが感嘆と判断は異なる ユリアンはムライに 254 00:15:39,050 --> 00:15:41,720 ロイエンタールの申し出を 拒絶する旨を伝えた 255 00:15:41,920 --> 00:15:44,220 拒否するか そうだろうな 256 00:15:44,420 --> 00:15:47,120 申し訳ありません ご足労をおかけしながら 257 00:15:47,320 --> 00:15:50,330 なに 私は君たちに 条件を伝えるだけだ 258 00:15:50,530 --> 00:15:54,000 交渉を成立させる責任は ないのでね 259 00:15:54,200 --> 00:15:58,570 実はユリアン 君に謝罪しなくてはならんな 260 00:15:58,770 --> 00:16:00,870 私は君が目先の利にとらわれて 261 00:16:01,070 --> 00:16:03,510 判断を誤るのではないかと 思ったのだ 262 00:16:03,710 --> 00:16:06,980 だから出しゃばりでも 制止せねばならんと考えていた 263 00:16:07,180 --> 00:16:09,610 そうお思いなのも ご無理ありません 264 00:16:09,810 --> 00:16:12,180 だが私の心配は無用だったな 265 00:16:12,380 --> 00:16:15,580 君はやはりヤン提督の 一番弟子だった 266 00:16:21,090 --> 00:16:23,790 ユリアン ひとつ俺を ムライ中将と一緒に 267 00:16:23,990 --> 00:16:26,400 ハイネセンに行かせろよ 268 00:16:26,600 --> 00:16:29,300 愛人宅を歴訪なさるんですか? 269 00:16:29,500 --> 00:16:34,070 主目的はそれだが ついでに やっておきたいことがあるのでな 270 00:16:34,270 --> 00:16:37,940 つまり 左手に ロイエンタール元帥の首 271 00:16:38,140 --> 00:16:40,850 そして右足の下に トリューニヒトの首 272 00:16:41,050 --> 00:16:44,180 右手にはトマホーク この姿で写真を撮って 273 00:16:44,380 --> 00:16:46,480 マスコミに 売り込んでやりたいのでね 274 00:16:46,680 --> 00:16:49,450 その企画 俺にも参加させてください 275 00:16:49,650 --> 00:16:52,990 ロイエンタール元帥はシェーンコップ中将に 譲ってあげますよ 276 00:16:53,190 --> 00:16:55,590 俺はもう1人のほうで 我慢しますから 277 00:16:55,790 --> 00:16:59,030 そう言うと思った 楽をすること ばかり考えているからな 278 00:16:59,230 --> 00:17:01,000 お前さんは 別に 279 00:17:01,200 --> 00:17:04,170 ロイエンタール元帥には 恨みがないだけのことですよ 280 00:17:04,370 --> 00:17:06,970 帝国の貴婦人方に 恨まれるのも嫌だしね 281 00:17:07,170 --> 00:17:09,570 お二人とも いい加減にしてください 282 00:17:09,770 --> 00:17:12,580 ハイネセンは帝国軍の支配下に あるんですからね 283 00:17:12,780 --> 00:17:15,480 生きて帰れない可能性のほうが 高いんですから 284 00:17:15,680 --> 00:17:17,720 死ぬのが怖くて生きていられるか 285 00:17:17,920 --> 00:17:20,650 おやおや 勇敢なセリフだね 286 00:17:20,850 --> 00:17:25,190 ムライ中将の顔を見た途端に 逃げ出した御仁のものとは思えん 287 00:17:25,390 --> 00:17:27,190 「逃げ出した」? 288 00:17:33,130 --> 00:17:35,830 やあ 289 00:17:36,030 --> 00:17:38,740 ポプラン中佐がおっしゃったわ 290 00:17:38,940 --> 00:17:43,110 「ユリアンの顔を見ていると 今回は 俺たちに出番はなさそうだ」って 291 00:17:43,310 --> 00:17:47,980 そうなんでしょう? 今回はね 今回だけだけど 292 00:17:48,180 --> 00:17:51,180 本心を言えば ユリアンは戦いたかった 293 00:17:51,380 --> 00:17:55,190 銀河帝国を代表する名将が カイザーに反旗を翻した 294 00:17:55,390 --> 00:17:57,990 帝国軍の動揺が 小さかろうはずがない 295 00:17:58,190 --> 00:18:02,390 その隙に乗じることができれば… その誘惑は強烈だった 296 00:18:02,590 --> 00:18:04,700 だがロイエンタールと結べば 297 00:18:04,900 --> 00:18:06,630 カイザー・ラインハルトの 大軍による 298 00:18:06,830 --> 00:18:09,630 イゼルローン要塞攻略という 事態を招く 299 00:18:09,830 --> 00:18:11,900 それが分かっているだけに 300 00:18:12,100 --> 00:18:16,710 残念だけど あんたの判断は正しいと思うわ 301 00:18:16,910 --> 00:18:20,580 カイザーとロイエンタール元帥の 私戦に巻き込まれることはないわ 302 00:18:20,780 --> 00:18:23,480 自分の判断に 自信をお持ちなさいよ 303 00:18:23,680 --> 00:18:25,750 ありがとう 心配してくれて 304 00:18:25,950 --> 00:18:28,650 何言ってるの 心配なんかしてないわよ 305 00:18:28,850 --> 00:18:30,590 歯がゆいだけよ 306 00:18:30,790 --> 00:18:33,890 あんたがしっかりしないと ヤンご夫妻が恥をかくんだし 307 00:18:34,090 --> 00:18:36,860 私たち自身の命運にも 関わってくるんだから 308 00:18:37,060 --> 00:18:40,660 分かってるよ 分かってなんかいないわよ 309 00:18:40,860 --> 00:18:43,330 私はね あんたが しっかりしていないなんて 310 00:18:43,530 --> 00:18:45,430 言ってやしないんだから 311 00:18:52,940 --> 00:18:56,710 ユリアン 今日は珍しいお客様が よく来るみたいね 312 00:18:56,910 --> 00:18:59,450 帝国軍の メックリンガー上級大将という人が 313 00:18:59,650 --> 00:19:01,390 交渉を申し込んでいらしたわ 314 00:19:01,590 --> 00:19:05,260 話を聞いてみる? ええ もちろん 315 00:19:05,460 --> 00:19:08,590 帝国軍の交渉してくる内容は 想像がついた 316 00:19:08,790 --> 00:19:11,930 歩き出した時 既にユリアンは決断していた 317 00:19:12,130 --> 00:19:16,200 11月16日 銀河帝国は カイザーの名において布告を発し 318 00:19:16,400 --> 00:19:20,700 オスカー・フォン・ロイエンタールの元帥号と 総督職を剥奪した 319 00:19:25,110 --> 00:19:29,380 敵軍より入電 敵将ミッターマイヤー元帥が 320 00:19:29,580 --> 00:19:32,780 ロイエンタール元帥閣下との 直接対話を求めています 321 00:19:35,450 --> 00:19:37,250 部屋で受ける 322 00:19:42,190 --> 00:19:44,660 ロイエンタール 忙しいところ すまん 323 00:19:44,860 --> 00:19:48,570 なに いいさ ミッターマイヤー 卿と俺との仲だ 324 00:19:48,770 --> 00:19:53,040 どうだ ロイエンタール 俺とともに カイザーの元へ参上せぬか 325 00:19:53,240 --> 00:19:57,540 俺は卿と戦いたくなどない まだ間に合うと思うのだが 326 00:19:57,740 --> 00:20:00,840 ミッターマイヤー 俺も卿と戦いたくはない 327 00:20:01,040 --> 00:20:04,280 それなら! だが あえて俺は卿と戦う 328 00:20:04,480 --> 00:20:08,250 なぜかと問うか? 戦って卿を倒さぬ限り 329 00:20:08,450 --> 00:20:12,790 カイザーは俺と 戦ってくださらぬだろうからだ 330 00:20:12,990 --> 00:20:16,130 俺は自分が何のために この世に生を受けたか 331 00:20:16,330 --> 00:20:20,030 長いこと分からなかった 知恵なき身の悲しさだ 332 00:20:20,230 --> 00:20:22,900 だだ今にして ようやく得心がいく 333 00:20:23,100 --> 00:20:26,770 「俺はカイザーと戦い それによって充足感を得るために」 334 00:20:26,970 --> 00:20:28,770 「生きてきたのでは なかったのか」と 335 00:20:33,210 --> 00:20:35,380 考え直せ ロイエンタール 336 00:20:35,580 --> 00:20:37,310 卿が俺に任せてくれれば 337 00:20:37,510 --> 00:20:41,190 俺は自分の身にかえても 卿の正当な権利を守る 338 00:20:41,390 --> 00:20:43,220 カイザーはラングめを 拘禁なさった 339 00:20:43,420 --> 00:20:45,890 少しずつ事態は よい方向に向かっている 340 00:20:46,090 --> 00:20:50,360 今度は卿自身の誠意によって それを加速すべきではないのか 341 00:20:50,560 --> 00:20:52,660 俺の約束を信じてくれ 342 00:20:52,860 --> 00:20:57,330 疾風ウォルフの約束には 万金の値があるな 343 00:20:57,530 --> 00:20:59,340 いや だめだ ミッターマイヤー 344 00:20:59,540 --> 00:21:02,470 卿の身は俺などと 引き換えてよいものではない 345 00:21:02,670 --> 00:21:05,940 卿は常に正道をゆく 俺にはできぬことだ 346 00:21:06,140 --> 00:21:07,880 俺にできることは… 347 00:21:08,080 --> 00:21:12,180 ミッターマイヤーに教えてやろうか 3年前 あの方が何と言ったか 348 00:21:12,380 --> 00:21:14,120 あの時 俺は知ったのだ 349 00:21:14,320 --> 00:21:17,820 この方は強大な敵をこそ 欲しているのだと 350 00:21:21,830 --> 00:21:25,130 それよりもどうだ ミッターマイヤー 俺と手を組まないか 351 00:21:25,330 --> 00:21:28,170 卿にしては出来のいい冗談では ないようだな 352 00:21:28,370 --> 00:21:30,400 冗談などではないさ 353 00:21:30,600 --> 00:21:32,870 俺が正帝 卿が副帝 354 00:21:33,070 --> 00:21:35,510 いやいや その逆でも一向に構わん 355 00:21:35,710 --> 00:21:38,880 2人で宇宙を 分割支配するのも悪くない 356 00:21:39,080 --> 00:21:41,610 あのトリューニヒトでさえ やっていたことだ 357 00:21:41,810 --> 00:21:44,820 酔っているな 卿は 俺はしらふだ 358 00:21:45,020 --> 00:21:48,920 酒にではない 血の色をした夢に酔っている 359 00:21:52,760 --> 00:21:54,830 夢はさめる 360 00:21:55,030 --> 00:21:57,290 さめた後どうなる 361 00:21:57,490 --> 00:22:02,030 卿は言ったな 「カイザーと 戦うことで充足感を得たい」と 362 00:22:02,230 --> 00:22:04,900 では戦って勝った後 どうするのだ 363 00:22:05,100 --> 00:22:06,840 カイザーがいなくなった後 364 00:22:07,040 --> 00:22:10,270 どうやって卿は 心の飢えを耕すつもりだ? 365 00:22:10,470 --> 00:22:13,110 夢かもしれんが いずれにしても 366 00:22:13,310 --> 00:22:16,010 俺の夢の話だ 卿の夢ではない 367 00:22:16,210 --> 00:22:18,420 どうやら接点も 見出し得ないようだし 368 00:22:18,620 --> 00:22:20,350 無益な長話はやめよう 369 00:22:20,550 --> 00:22:22,720 待て ロイエンタール もう少しでいい 370 00:22:22,920 --> 00:22:26,290 話を聞け! さらばだ ミッターマイヤー 371 00:22:26,490 --> 00:22:29,590 俺が言うのはおかしいが カイザーを頼む 372 00:22:29,790 --> 00:22:31,790 これは俺の本心だ 373 00:22:40,940 --> 00:22:42,670 ロイエンタールの… 374 00:22:42,870 --> 00:22:46,840 大ばか野郎! 375 00:22:47,040 --> 00:22:50,650 苦悩しながら ミッターマイヤーの 用兵家としての部分は 376 00:22:50,850 --> 00:22:53,980 冷静にロイエンタールの弱点を 看破していた 377 00:22:54,180 --> 00:22:57,290 ロイエンタールには 信頼できる副将がいない 378 00:22:57,490 --> 00:23:01,190 作戦を立案しても 問題は それが実行できるかどうかである 379 00:23:01,390 --> 00:23:03,790 更に兵士たちの士気が問題である 380 00:23:03,990 --> 00:23:07,660 この時期 ロイエンタール軍からは ほとんど脱落者が出ていない 381 00:23:07,860 --> 00:23:11,540 それはロイエンタールが兵士たちから 支持されている証左であったが 382 00:23:11,740 --> 00:23:15,070 それは あくまで カイザーの名将としてであって 383 00:23:15,270 --> 00:23:18,940 自立勢力としての彼に 従うかどうかは また別問題である 384 00:23:19,140 --> 00:23:22,180 俺たちはロイエンタール元帥に ついていくだけさ 385 00:23:22,380 --> 00:23:24,110 他に何ができるっていうんだ 386 00:23:24,310 --> 00:23:27,620 だがカイザーと戦うのか あのカイザーと 387 00:23:27,820 --> 00:23:29,550 皇帝陛下と戦ったりしたら 388 00:23:29,750 --> 00:23:32,320 俺たちは 逆賊になってしまうじゃないか 389 00:23:32,520 --> 00:23:34,730 いや 陛下と戦うのではない 390 00:23:34,930 --> 00:23:38,030 陛下のおそばにあって 陛下をないがしろにする奸臣 391 00:23:38,230 --> 00:23:40,360 佞臣どもを打倒するのさ 392 00:23:40,560 --> 00:23:43,300 軍務尚書のことか 俺も あの人は好かんが 393 00:23:43,500 --> 00:23:46,700 私利私欲を こととするような 人ではないというぞ 394 00:23:46,900 --> 00:23:50,370 分かるものか なんでも最近 陛下はご病気がちで 395 00:23:50,570 --> 00:23:54,380 国政は いいように軍務尚書が 操っていると俺は聞いてるぞ 396 00:23:54,580 --> 00:23:58,120 おう それは俺も聞いた いや そんなことはあるまい 397 00:23:58,320 --> 00:24:00,820 いずれにしても 俺たちが当面 戦うのは 398 00:24:01,020 --> 00:24:05,320 皇帝陛下でも軍務尚書でもない 疾風ウォルフだぞ 399 00:24:08,360 --> 00:24:10,890 こいつはすごいや ロイエンタールは 400 00:24:11,090 --> 00:24:13,330 「カイザーに背くにあらず 奸臣どもを討つ」と 401 00:24:13,530 --> 00:24:15,270 兵士には説明していた 402 00:24:15,470 --> 00:24:17,700 更には戦場における勝利を確立し 403 00:24:17,900 --> 00:24:21,270 兵士たちを 高揚させねばならなかった 404 00:24:21,470 --> 00:24:24,640 宇宙歴800年 新帝国歴2年11月 405 00:24:24,840 --> 00:24:29,480 宇宙は 帝国軍の双璧とうたわれた 2人の希代の用兵家のために 406 00:24:29,680 --> 00:24:32,080 存在しているかの ようにすら見えた 407 00:26:07,410 --> 00:26:09,750 ロイエンタールと ミッターマイヤー 408 00:26:09,950 --> 00:26:13,480 帝国軍の双璧とうたわれた 2人の名将同士の戦いは 409 00:26:13,680 --> 00:26:16,790 ついに火ぶたが切って落とされた 410 00:26:16,990 --> 00:26:20,090 当初 数の上で ロイエンタールが優勢であったが 411 00:26:20,290 --> 00:26:22,590 ビッテンフェルトと ワーレンの参戦によって 412 00:26:22,790 --> 00:26:26,500 戦局は大きく ミッターマイヤー側に傾いていく 413 00:26:26,700 --> 00:26:32,370 次回「銀河英雄伝説」 第96話「剣に生き…」 414 00:26:32,570 --> 00:26:34,870 銀河の歴史が また1ページ