1 00:01:36,200 --> 00:01:40,870 宇宙暦801年 新帝国暦3年 2月7日 2 00:01:40,870 --> 00:01:44,740 イゼルローン軍 動くの報は 監視部隊から 直ちに 3 00:01:44,740 --> 00:01:50,380 アウグスト・ザムエル・ワーレン上級大将の元に もたらされた 4 00:01:50,380 --> 00:01:54,050 回廊出口への到達推定日時は? 5 00:01:54,050 --> 00:01:58,380 それが こちらの方面へ 向かっているのではありません 6 00:01:58,380 --> 00:02:01,350 すると どちらへ動いたのだ 7 00:02:01,350 --> 00:02:03,820 いや 聞くまでもないか 8 00:02:03,820 --> 00:02:08,160 はい イゼルローン回廊の 帝国側の出入り口へ向かってです 9 00:02:08,160 --> 00:02:11,960 やつらは 帝国本土への進攻を 目指しているようです 10 00:02:15,830 --> 00:02:20,010 閣下 イゼルローンのやつらめ 焦慮と混迷のあげく 11 00:02:20,010 --> 00:02:24,180 自暴自棄になったと見えます 直ちに 回廊に侵入し 12 00:02:24,180 --> 00:02:28,510 やつらの帰るべき家を 失わせてやりましょう 13 00:02:28,510 --> 00:02:31,550 敵を過小評価するのは禁物だ 14 00:02:31,550 --> 00:02:33,690 イゼルローン軍の司令官は 15 00:02:33,690 --> 00:02:38,020 若年ながら ヤン・ウェンリーの 薫陶の厚い人物だと思われる 16 00:02:38,020 --> 00:02:41,060 何か 策を巡らしているのではないか 17 00:02:41,060 --> 00:02:44,530 しかし 閣下 イゼルローン軍が要塞を出て 18 00:02:44,530 --> 00:02:49,370 帝国本土側に移動したとなれば 我が軍が回廊に侵入して 19 00:02:49,370 --> 00:02:53,040 敵の後背を脅かすことは 規程の戦略です 20 00:02:53,040 --> 00:02:57,210 もっともだ 手をこまねいて 傍観するわけにはいかん 21 00:02:57,210 --> 00:03:01,810 わなの存在に留意しつつ イゼルローン回廊に侵入する 22 00:03:01,810 --> 00:03:03,810 はっ はっ 23 00:03:07,620 --> 00:03:11,160 イゼルローン回廊の 帝国本土側出口を守るのは 24 00:03:11,160 --> 00:03:14,490 ヴァーゲンザイル大将の 艦隊である 25 00:03:14,490 --> 00:03:16,530 イゼルローンの捨て犬どもが 26 00:03:16,530 --> 00:03:20,830 遠ぼえしているうちに 自分を おおかみだと錯覚したらしい 27 00:03:20,830 --> 00:03:23,670 犬をしつけるには むちが必要だ 28 00:03:23,670 --> 00:03:28,470 二度と 自分たちの実力を 忘れぬよう 厳しく調教してやれ 29 00:03:32,850 --> 00:03:36,720 イゼルローンの捨て犬だと? 30 00:03:36,720 --> 00:03:39,620 言ってくれるじゃないか 31 00:03:39,620 --> 00:03:42,120 俺たちを何だと思ってるんだ やつらは 32 00:03:44,190 --> 00:03:49,860 そう 宇宙の恥さらし 平和と統一の敵 血迷った反逆者 33 00:03:49,860 --> 00:03:54,370 首に縄を掛けて 白刃の上で ダンスしている血まみれのピエロ 34 00:03:54,370 --> 00:03:59,870 明日の死を考えもしない 楽天主義の純粋培養物 35 00:03:59,870 --> 00:04:04,840 よく それだけ 自分たちの 悪口が言えるな お前さんは 36 00:04:04,840 --> 00:04:09,310 何です それは 俺には自虐趣味はありませんが 37 00:04:09,310 --> 00:04:12,220 今 言ったのは 俺たちの悪口だろ 38 00:04:12,220 --> 00:04:16,190 ええ あなたたちの悪口ですよ 39 00:04:16,190 --> 00:04:18,190 あのな… 提督 40 00:04:22,030 --> 00:04:25,660 まあ いずれにしても あした死ぬことができるのは 41 00:04:25,660 --> 00:04:28,700 今日 生き延びることが できるやつだけさ 42 00:04:28,700 --> 00:04:32,170 そのとおりですよ せいぜい 明日以降に死ぬ資格を 43 00:04:32,170 --> 00:04:35,670 持ち越すことにしましょうや お互いに 44 00:04:35,670 --> 00:04:38,580 ユリアンは この戦いが あるいは 45 00:04:38,580 --> 00:04:43,350 帝国との間に架かりかけた 修好の橋を自らの手で破壊する 46 00:04:43,350 --> 00:04:48,190 愚挙であるかもしれないとの 懸念を拭いきれなかった 47 00:04:48,190 --> 00:04:52,690 だが 一旦 決意した以上 今更 引き返すわけにはいかない 48 00:04:55,060 --> 00:04:58,900 2月12日 4時20分 イゼルローン回廊の 49 00:04:58,900 --> 00:05:03,300 帝国本土側出入り口に近い宙域で 両軍は待機する 50 00:05:03,300 --> 00:05:08,810 帝国軍 8500隻に対して イゼルローン軍は 6600隻 51 00:05:08,810 --> 00:05:10,910 ファイエル ファイヤ 52 00:05:27,190 --> 00:05:30,660 トールハンマーの威力を 知り尽くしている帝国軍を 53 00:05:30,660 --> 00:05:33,170 いかにして その射程に引きずり込むか 54 00:05:33,170 --> 00:05:36,270 それが イゼルローン軍にとっての 課題であった 55 00:05:39,840 --> 00:05:43,340 空戦隊 発進せよ 行くぜ 56 00:05:54,190 --> 00:05:56,190 こちらも ワルキューレを出せ 57 00:06:49,370 --> 00:06:52,010 これで 通算 250機目 58 00:06:52,010 --> 00:06:55,310 撃墜王ランキングの ベストテンには入ったな 59 00:07:29,650 --> 00:07:34,250 カリン 大丈夫か? ポプラン中佐 60 00:07:36,320 --> 00:07:40,660 ちょうどいい 手を貸せ コンビネーションプレイだ 61 00:07:40,660 --> 00:07:42,760 はい 62 00:07:48,530 --> 00:07:53,240 この日の戦いで オリビエ・ポプランが 指揮する スパルタニアン部隊は 63 00:07:53,240 --> 00:07:56,840 ドッグファイト史上に 特筆されるであろう戦果を挙げた 64 00:08:04,850 --> 00:08:09,820 スパルタニアン 240機のうち 帰投せざるもの 16機 65 00:08:09,820 --> 00:08:14,420 それに対し 帝国軍のワルキューレは 104機が失われた 66 00:08:21,970 --> 00:08:27,140 何たる醜態だ やむをえん ワルキューレを撤収させろ 67 00:08:27,140 --> 00:08:30,440 本来の艦隊の数でなら こちらが有利だ 68 00:08:33,910 --> 00:08:38,010 こちらも スパルタニアンを収容し 次の作戦に移る 69 00:08:53,270 --> 00:08:57,140 5時40分 一進一退を繰り返していた攻防に 70 00:08:57,140 --> 00:08:59,140 微妙な変化が生じた 71 00:09:01,940 --> 00:09:03,940 敵艦隊 後退します 72 00:09:05,810 --> 00:09:07,810 閣下 73 00:09:07,810 --> 00:09:11,120 釣られるように 味方の一部が突出します 74 00:09:11,120 --> 00:09:13,790 ここは わなの存在を考慮なさって 75 00:09:13,790 --> 00:09:17,660 控えるように ご命令なさった方が よろしいかと考えますが 76 00:09:17,660 --> 00:09:19,660 いや このままでいい 77 00:09:19,660 --> 00:09:23,130 しかし 敵がトールハンマーの射程に 78 00:09:23,130 --> 00:09:26,160 我々を誘い込むことを 機としているのは明らかです 79 00:09:26,160 --> 00:09:30,640 敵の撤退より早く追いすがり 混戦状態を作り出せば 80 00:09:30,640 --> 00:09:34,510 トールハンマーも使えまい 並行追撃ですか? 81 00:09:34,510 --> 00:09:40,980 そうだ この機に 一気に イゼルローン要塞に迫るぞ 急げ 82 00:09:40,980 --> 00:09:43,820 ヴァーゲンザイルが機とした 並行追撃作戦は 83 00:09:43,820 --> 00:09:45,850 何も 彼の独創ではない 84 00:09:45,850 --> 00:09:49,620 かつて イゼルローン要塞が 帝国軍のものであった時 85 00:09:49,620 --> 00:09:51,990 同盟軍のシドニー・シトレ提督が 86 00:09:51,990 --> 00:09:55,830 この方法で イゼルローンに 肉薄した実績がある 87 00:09:55,830 --> 00:09:59,160 結局のところ その時の作戦は失敗したのだが 88 00:09:59,160 --> 00:10:04,670 ヴァーゲンザイルもまた 敵将の知略に学んだのである 89 00:10:04,670 --> 00:10:08,510 だが そのことは ユリアンの予測のうちにあった 90 00:10:08,510 --> 00:10:13,180 その上で彼は ワーレン艦隊が イゼルローン要塞周辺宙域に 91 00:10:13,180 --> 00:10:18,050 到達する時期を 正確に計っていたのである 92 00:10:18,050 --> 00:10:20,920 1時間ごとに 彼の元に報告が届き 93 00:10:20,920 --> 00:10:23,920 それに応じて 艦隊を後退させていった 94 00:10:27,030 --> 00:10:31,360 ヴァーゲンザイルに 並行追撃の 可能性を見せびらかしつつ 95 00:10:31,360 --> 00:10:34,270 実に 2日間にも渡る退却戦を展開した 96 00:10:34,270 --> 00:10:37,540 ユリアンの 緻密さと精神的なタフさは 97 00:10:37,540 --> 00:10:40,540 ヤン・ウェンリーのまな弟子の名に 恥じぬものであった 98 00:10:44,040 --> 00:10:48,040 あと少しだ あと少しで要塞に肉薄できる 99 00:10:54,750 --> 00:10:56,750 よし 今だ 100 00:10:58,890 --> 00:11:01,990 敵 再び攻勢に出ます 何! 101 00:11:13,340 --> 00:11:18,510 帝国軍の足が止まりました 全艦 急速後退 102 00:11:18,510 --> 00:11:23,110 敵 再度後退 逃がすな 急速前進! 103 00:11:36,360 --> 00:11:38,300 閣下 104 00:11:38,300 --> 00:11:41,400 駄目か… 全艦待避 105 00:11:49,910 --> 00:11:53,210 要塞表面に トールハンマーの浮上確認 106 00:11:53,210 --> 00:11:55,250 来るぞ 急げ! 107 00:11:55,250 --> 00:11:59,080 味方です 要塞の向こうに友軍が 108 00:11:59,080 --> 00:12:02,180 来ました 帝国軍 ワーレン艦隊です 109 00:12:16,840 --> 00:12:19,340 全艦 砲撃用意 110 00:12:19,340 --> 00:12:21,840 正面の敵には構うな 111 00:12:21,840 --> 00:12:24,640 全艦 反転して ワーレン艦隊に向かう 112 00:12:30,350 --> 00:12:33,650 おのれ みすみす… トールハンマー 来ます 113 00:13:08,650 --> 00:13:11,160 トールハンマーの発射を確認 114 00:13:11,160 --> 00:13:14,990 急げ トールハンマーの エネルギー充填と移動の隙に 115 00:13:14,990 --> 00:13:17,290 要塞表面に取り付くのだ 116 00:13:39,020 --> 00:13:41,020 行けるか 117 00:13:47,530 --> 00:13:50,630 左舷 9時方向 敵襲です 伏兵か? 118 00:14:01,070 --> 00:14:03,640 完全に死角を突かれました 119 00:14:03,640 --> 00:14:08,310 敵は少数だ 態勢を立て直して反撃 120 00:14:08,310 --> 00:14:11,650 2時の方向 敵艦隊主力 戻ってきます! 121 00:14:11,650 --> 00:14:14,690 何! 何! 122 00:14:14,690 --> 00:14:19,390 慌てるな 敵の主力といっても 我が軍の半数以下だ 123 00:14:19,390 --> 00:14:22,190 態勢さえ立て直せば 恐るるに足らん 124 00:14:24,230 --> 00:14:27,670 敵艦隊 態勢を立て直しつつあります 125 00:14:27,670 --> 00:14:30,340 どうする あと少しです 126 00:14:30,340 --> 00:14:32,340 何とか 持ちこたえられるでしょう 127 00:14:44,850 --> 00:14:48,190 まだか… まだ 突破できないか 128 00:14:48,190 --> 00:14:50,990 要塞表面に異変 何! 129 00:14:55,690 --> 00:14:58,730 トールハンマーです! 間に合わなかったか 130 00:14:58,730 --> 00:15:01,730 全艦 最大速度で脱出! 131 00:15:11,640 --> 00:15:15,310 エネルギー充填完了 132 00:15:15,310 --> 00:15:18,110 トールハンマー 発射 133 00:15:39,340 --> 00:15:41,670 しまった 134 00:15:41,670 --> 00:15:45,770 引け トールハンマー 第2射用意 135 00:15:50,010 --> 00:15:53,350 逃げ出せ 逃げてくれ 136 00:15:53,350 --> 00:15:56,250 散開しろ 的を絞らせるな! 137 00:15:56,250 --> 00:15:58,350 発射 138 00:16:19,980 --> 00:16:24,780 母さん… 母さん… 139 00:16:34,830 --> 00:16:37,730 ヴァーゲンザイル艦隊は 離脱したか? 140 00:16:37,730 --> 00:16:41,500 はっ そうか 141 00:16:41,500 --> 00:16:45,800 では 我々も全艦撤退する 142 00:16:51,180 --> 00:16:54,850 ある意味で 宇宙の法則は公正に働いた 143 00:16:54,850 --> 00:16:58,350 敗北は それを きぜんとして 受容することができる者に 144 00:16:58,350 --> 00:17:02,950 与えられたのだ 少なくとも この戦いにおいては 145 00:17:04,960 --> 00:17:09,130 後に ユリアン自身が そう記している 146 00:17:09,130 --> 00:17:12,160 彼は 敵将であるワーレンとは 地球で出会っており 147 00:17:12,160 --> 00:17:17,000 その人柄に敬意を抱いていた 敵に対する敬意とは 148 00:17:17,000 --> 00:17:21,310 それ自体が矛盾であり 偽善であるかもしれない 149 00:17:21,310 --> 00:17:24,810 それを持つ者が 持たない者より称揚されるのは 150 00:17:24,810 --> 00:17:28,480 軍人に対する 人格的な評価基準 それ自体が 151 00:17:28,480 --> 00:17:33,650 矛盾と偽善の産物であることの 証明かもしれなかった 152 00:17:33,650 --> 00:17:36,990 帝国軍 完全撤退しました 153 00:17:36,990 --> 00:17:40,830 カイザーの向こうずねに 蹴りを入れてやったぞ! 154 00:17:40,830 --> 00:17:43,630 オーッ! オーッ! 155 00:17:47,330 --> 00:17:50,370 イゼルローン要塞は 勝利に沸き返っていた 156 00:17:50,370 --> 00:17:53,670 ヤン・ウェンリーの死後 初めて民主共和勢力が 157 00:17:53,670 --> 00:17:57,010 帝国軍に対して 軍事的勝利を収めたのだ 158 00:17:57,010 --> 00:18:02,610 帝国軍の戦死者は 推定 40万 量的には ささやかな勝利であった 159 00:18:02,610 --> 00:18:05,950 40万人が死んでも ささやかな勝利に過ぎない 160 00:18:05,950 --> 00:18:09,950 そこが軍事というものの 救われざる側面であった 161 00:18:13,690 --> 00:18:15,660 おおっ ミンツ司令官だ 司令官だ 162 00:18:15,660 --> 00:18:18,130 司令官! 司令官! 163 00:18:18,130 --> 00:18:20,130 ミンツ司令官! 司令官! 164 00:18:31,140 --> 00:18:34,050 だが ユリアンは 勝利の女神の微笑みに 165 00:18:34,050 --> 00:18:37,010 無邪気な笑顔を 返すことはできなかった 166 00:18:37,010 --> 00:18:39,650 戦術的には 確かな勝利だった 167 00:18:39,650 --> 00:18:41,990 政治的にも効果はあっただろう 168 00:18:41,990 --> 00:18:44,020 旧同盟の共和主義者たちに 169 00:18:44,020 --> 00:18:46,820 イゼルローンの健在を 知らせることができる 170 00:18:50,700 --> 00:18:54,500 やあ 171 00:18:54,500 --> 00:18:59,600 後は任せておけ 全銀河中に この勝利を宣伝してきてやる 172 00:19:03,210 --> 00:19:05,940 戦略的には どうだろうか 173 00:19:05,940 --> 00:19:10,620 弱者の戦術的勝利は 強者の報復の母体である 174 00:19:10,620 --> 00:19:13,650 向こうずねを蹴飛ばされた カイザー・ラインハルトが 175 00:19:13,650 --> 00:19:16,790 柔和に敗北を 受容するとは思えない 176 00:19:16,790 --> 00:19:19,290 アイスブルーの瞳に 雷光を満たして 177 00:19:19,290 --> 00:19:23,130 全軍に出撃を司令するであろう 178 00:19:23,130 --> 00:19:27,000 ユリアンは それを待っている かつて ヤンが待っていたように 179 00:19:27,000 --> 00:19:30,300 だが ヤンが手にしえた不敗の伝説を 180 00:19:30,300 --> 00:19:32,970 ユリアンが手にしうるであろうか 181 00:19:32,970 --> 00:19:37,140 一度の勝利は 続けての勝利を 勝者に要求するのだ 182 00:19:37,140 --> 00:19:40,980 彼の死に至るまで 貪欲に 183 00:19:40,980 --> 00:19:43,480 ユリアン 何を考えているの 184 00:19:45,650 --> 00:19:47,650 ああ… 185 00:19:50,320 --> 00:19:52,660 いや 勝ったことは勝ったけど 186 00:19:52,660 --> 00:19:55,490 これから どうなることやらと思ってね 187 00:19:55,490 --> 00:19:58,830 ちょっと 苦労性かな いいんじゃない 188 00:19:58,830 --> 00:20:03,000 負けてたら それっきりだけど 勝ったんだから また 戦えるわ 189 00:20:03,000 --> 00:20:08,170 今度は カイザーの心臓に 蹴りを入れてやりましょうよ 190 00:20:08,170 --> 00:20:10,170 フフッ 191 00:20:14,050 --> 00:20:18,680 フレデリカさんなら 勝利を ヤン提督に報告にいらしたわ 192 00:20:18,680 --> 00:20:21,720 もうすぐ 帰っていらして お祝いを言ってくださるわよ 193 00:20:21,720 --> 00:20:25,020 きっと うん 194 00:20:31,260 --> 00:20:35,030 シェーンコップ中将 今回は出番がほとんどなくて 195 00:20:35,030 --> 00:20:37,070 お気の毒でしたな 196 00:20:37,070 --> 00:20:40,710 同情するふりを してもらわなくても結構だ 197 00:20:40,710 --> 00:20:43,740 エキシビションゲームは 二流俳優に任せて 198 00:20:43,740 --> 00:20:48,580 名優は 皇帝陛下の御前興業に出演するさ 199 00:20:48,580 --> 00:20:51,220 御前興業? 200 00:20:51,220 --> 00:20:56,720 無論 惑星ハイネセン奪還作戦さ そう 遠くのことでもあるまい 201 00:21:04,330 --> 00:21:06,630 そいつは 是非 出演したいものだ そいつは 是非 出演したいものだ 202 00:21:08,670 --> 00:21:12,170 ヴァーゲンザイル艦隊と ワーレン艦隊の敗退の報は 203 00:21:12,170 --> 00:21:16,970 直ちに 惑星フェザーンにある カイザー・ラインハルトの元に もたらされた 204 00:21:21,850 --> 00:21:24,350 今回は イゼルローンの 共和主義者どもから 205 00:21:24,350 --> 00:21:28,220 先に手を出してきたか 意外ではあったな 206 00:21:28,220 --> 00:21:31,520 陛下 彼らに対して 207 00:21:31,520 --> 00:21:35,030 まず 外交使節を 派遣なさってはいかがでしょう 208 00:21:35,030 --> 00:21:40,900 この時期 対決を焦る理由は こちらにはないと存じます 209 00:21:40,900 --> 00:21:43,730 カイザー・リンの忠告は もっともだが 210 00:21:43,730 --> 00:21:48,570 寝台の端に蚊が1匹 潜んでいては 安眠もできかねる 211 00:21:48,570 --> 00:21:51,580 戦いは 共和主義者どもが望んだことだ 212 00:21:51,580 --> 00:21:54,080 望みをかなえてやろうではないか 213 00:22:01,190 --> 00:22:04,060 カイザー・ラインハルトの 決定を待つまでもなく 214 00:22:04,060 --> 00:22:09,560 ワーレンらの敗退は 帝国軍の他の 将帥たちにとって出征を意味する 215 00:22:16,170 --> 00:22:18,500 これほどの 用兵は… 216 00:22:18,500 --> 00:22:22,300 革命軍司令官とやらの 手腕だとすれば 侮れんな 217 00:22:24,310 --> 00:22:29,150 それもあるが 俺が思うに この側面攻撃の老練さは 218 00:22:29,150 --> 00:22:32,020 恐らく メルカッツ提督だろう 219 00:22:32,020 --> 00:22:34,350 そうか メルカッツがいたか 220 00:22:34,350 --> 00:22:38,860 心して掛かれよ ビッテンフェルト 亡き ヤン・ウェンリーから 221 00:22:38,860 --> 00:22:44,360 賓客として遇されたほどの 練達の用兵家だぞ 222 00:22:44,360 --> 00:22:48,030 だが メルカッツ提督も カイザーに お仕えしていれば 223 00:22:48,030 --> 00:22:50,530 今頃 我が帝国軍の重鎮として 224 00:22:50,530 --> 00:22:54,040 地位と名誉を ほしいままにできたであろうに 225 00:22:54,040 --> 00:22:58,540 選択を誤ったな それもそうだがな 226 00:22:58,540 --> 00:23:00,580 能ある者が味方ばかりでは 227 00:23:00,580 --> 00:23:03,380 戦う身として 張り合いがなさ過ぎる 228 00:23:03,380 --> 00:23:05,820 まして ヤン・ウェンリーを失って 229 00:23:05,820 --> 00:23:09,320 宇宙は せきりょうを禁じえぬところだ 230 00:23:09,320 --> 00:23:13,190 メルカッツ健在と聞けば 俺は むしろ うれしさを感じる 231 00:23:13,190 --> 00:23:16,190 けいらは そうは思わないか? 232 00:23:16,190 --> 00:23:19,790 確かに そう思うが 救い難いさがだな 233 00:23:22,870 --> 00:23:24,870 フン! 234 00:23:24,870 --> 00:23:28,710 だが それにしても ワーレンは最善を尽くしたが 235 00:23:28,710 --> 00:23:32,840 帝国本土の残留部隊は いささか 醜態だったな 236 00:23:32,840 --> 00:23:34,840 確かに 237 00:23:37,180 --> 00:23:39,120 この 敵の側面部隊は 238 00:23:39,120 --> 00:23:42,050 ワーレン提督の位置からは 完全に死角だが 239 00:23:42,050 --> 00:23:45,520 ヴァーゲンザイルの位置からは 捕捉できていたはずだ 240 00:23:45,520 --> 00:23:48,560 自分たちが トールハンマーから 逃げるのに精いっぱいで 241 00:23:48,560 --> 00:23:53,860 友軍に対する配慮が 欠けていたと言わざるをえんな 242 00:23:53,860 --> 00:23:58,040 近頃 大将以下の人材が精彩を欠く 243 00:23:58,040 --> 00:24:01,810 このまま 放置しておくわけにはゆくまい 244 00:24:01,810 --> 00:24:04,710 2月18日 カイザー・ラインハルトは 245 00:24:04,710 --> 00:24:09,210 大本営において 惑星ハイネセンへの 親政の意思を表明した 246 00:24:12,520 --> 00:24:17,820 だが その翌日 カイザー・ラインハルトは 高熱を発して倒れた 247 00:24:17,820 --> 00:24:22,160 それは この年に入ってから 初めての発熱であったが 248 00:24:22,160 --> 00:24:27,000 これまでにない高熱で 侍医団を そう白にさせるに十分であり 249 00:24:27,000 --> 00:24:29,800 出征計画は白紙に戻された 250 00:26:08,300 --> 00:26:12,170 カイザー・ラインハルトの 発病によって親政は中止され 251 00:26:12,170 --> 00:26:15,070 代わって オーベルシュタインが 事態の収拾のために 252 00:26:15,070 --> 00:26:17,310 ハイネセンに派遣された 253 00:26:17,310 --> 00:26:20,340 同行するのは ミュラーとビッテンフェルト 254 00:26:20,340 --> 00:26:23,180 だが この人事が新たな火種となって 255 00:26:23,180 --> 00:26:27,820 事態は意外な方向に 進もうとしていた 256 00:26:27,820 --> 00:26:33,160 第103話 257 00:26:33,160 --> 00:26:35,760 銀河の歴史が また1ページ