1 00:00:12,000 --> 00:00:15,870 宇宙暦801年 新帝国暦3年5月末 2 00:00:15,870 --> 00:00:19,800 銀河帝国軍と イゼルローン革命軍の全面衝突は 3 00:00:19,800 --> 00:00:22,740 些細な偶発事から もたらされたように見える 4 00:00:22,740 --> 00:00:26,410 だが それは戦略レベルでの必然が もたらしたものであることを 5 00:00:26,410 --> 00:00:28,650 当事者たちは理解していた 6 00:00:28,650 --> 00:00:32,480 応答願います イゼルローン要塞 応答願います 7 00:00:32,480 --> 00:00:35,390 こちら民間宇宙船 ニュー・センチュリー号 8 00:00:35,390 --> 00:00:39,790 亡命を求めて航行中に 動力部に故障を生じて漂流中 9 00:00:39,790 --> 00:00:43,660 イゼルローン要塞への 保護と救援を要請します 10 00:00:43,660 --> 00:00:46,330 イゼルローン要塞 応答願います 11 00:00:46,330 --> 00:00:49,100 こちら民間宇宙船 ニュー・センチュリー号 12 00:00:49,100 --> 00:00:53,840 およそ900名の 自由と解放を 求める男女が搭乗しています 13 00:00:53,840 --> 00:00:56,110 イゼルローン要塞への 保護と救援を… 14 00:00:56,110 --> 00:00:59,510 レーダーに反応! 救援か? 15 00:00:59,510 --> 00:01:01,450 反応は後方からです 16 00:01:01,450 --> 00:01:03,550 追っ手か 17 00:01:08,290 --> 00:01:13,390 救援を求める通信が かえって 帝国軍を呼び込んでしまった 18 00:01:13,390 --> 00:01:19,200 せっかく ここまで帝国軍の 哨戒網をくぐってきたというのに 19 00:01:19,200 --> 00:01:22,670 レーダーに新たな反応! イゼルローン回廊からです 20 00:01:22,670 --> 00:01:24,670 救援だ! 21 00:01:34,110 --> 00:01:37,050 まったく いい迷惑だよ こんな時期に 22 00:01:37,050 --> 00:01:41,820 だからといって見殺しにはできん 道義的にも政治的にも 23 00:01:41,820 --> 00:01:46,260 帝国軍のワナという可能性は ないでしょうか? 24 00:01:46,260 --> 00:01:50,130 カイザー・ラインハルトの人となりからして それはないだろう 25 00:01:50,130 --> 00:01:53,130 前にも言ったが 俺たちのような小物を相手に 26 00:01:53,130 --> 00:01:56,530 小細工をするカイザーではないさ 27 00:01:56,530 --> 00:01:59,840 かろうじて帝国軍に先んじたぞ 28 00:01:59,840 --> 00:02:03,170 間一髪ではあるがな 29 00:02:03,170 --> 00:02:06,080 目標の船は イゼルローン軍の 管制下に入りました 30 00:02:06,080 --> 00:02:08,410 敵の総数は? およそ2000 31 00:02:08,410 --> 00:02:12,420 それでは我が方が不利だ 至急に増援を求めろ 32 00:02:12,420 --> 00:02:15,220 ドロイゼン艦隊が 既にこちらに向かっております 33 00:02:15,220 --> 00:02:17,520 よし ならば奴らを二度と 34 00:02:17,520 --> 00:02:20,330 イゼルローン回廊の穴倉には 逃げ込ませんぞ 35 00:02:20,330 --> 00:02:22,530 攻撃開始! 36 00:02:24,760 --> 00:02:26,730 応戦しろ ニュー・センチュリー号の 37 00:02:26,730 --> 00:02:30,070 修理が終わるまで 敵を近づけるな 38 00:02:30,070 --> 00:02:32,870 開かれた戦端は 偶発的なものであったが 39 00:02:32,870 --> 00:02:35,770 帝国軍が近距離の味方を 呼び集めたため 40 00:02:35,770 --> 00:02:37,710 戦線が一挙に拡大した 41 00:02:37,710 --> 00:02:40,680 帝国軍がドロイゼン艦隊の 来援を得たため 42 00:02:40,680 --> 00:02:44,820 イゼルローン軍も大規模な動員を 行わざるを得なくなったのである 43 00:02:44,820 --> 00:02:49,050 こうして数千隻単位の交戦が 2時間にわたって繰り広げられた 44 00:02:49,050 --> 00:02:52,360 よし いったん後退し 敵との間に距離を置くぞ 45 00:02:52,360 --> 00:02:55,760 しかし 現在のところ 我が方が優勢です 46 00:02:55,760 --> 00:02:59,300 このまま一気に… むろん奴らを逃がしはしない 47 00:02:59,300 --> 00:03:02,670 反転してイゼルローン回廊へ 逃げ込む気配を示したら 48 00:03:02,670 --> 00:03:06,340 すかさず攻勢をかける 分からぬか? 49 00:03:06,340 --> 00:03:09,240 このまま双方が 戦力の逐次投入を続ければ 50 00:03:09,240 --> 00:03:14,210 総兵力で はるかに勝る我が軍が いずれ有利になるのは自明の理だ 51 00:03:14,210 --> 00:03:16,980 ならば ここで 戦術的勝利にこだわるより 52 00:03:16,980 --> 00:03:19,880 この機にイゼルローン軍を 全てカイザーの御前に 53 00:03:19,880 --> 00:03:23,090 引きずり出したほうが 得策というものだろう 54 00:03:23,090 --> 00:03:25,090 敵 イエローゾーンまで後退 55 00:03:25,090 --> 00:03:27,590 ニュー・センチュリー号の修理 完了しました 56 00:03:27,590 --> 00:03:30,300 よし 護衛艦をつけて後送しろ 57 00:03:30,300 --> 00:03:33,700 司令官 まずいぞ 奴ら また増援が来たらしい 58 00:03:33,700 --> 00:03:36,370 敵 イエローゾーンで 再布陣しています 59 00:03:36,370 --> 00:03:39,070 いつでも攻勢に出られる構えだな 60 00:03:39,070 --> 00:03:42,540 こちらも要塞から増援を いいのか? 61 00:03:42,540 --> 00:03:45,210 やむを得ません カイザー・ラインハルトは 62 00:03:45,210 --> 00:03:47,980 いずれにせよ交渉の前に 一戦を望むでしょう 63 00:03:47,980 --> 00:03:50,350 理想のために血を流し得るか否か 64 00:03:50,350 --> 00:03:54,450 それがカイザーが相手を計る 計器の一つであるようですから 65 00:03:59,060 --> 00:04:02,360 僕はカイザー・ラインハルトからの 交渉の呼びかけを 66 00:04:02,360 --> 00:04:05,030 こちらから拒絶する気は ありません 67 00:04:05,030 --> 00:04:08,300 しかし一方的な臣従を 申し出るつもりもありません 68 00:04:08,300 --> 00:04:11,170 カイザーも それを望まないと思います 69 00:04:11,170 --> 00:04:14,870 つまり交渉の前に 一戦するのが望みだと? 70 00:04:14,870 --> 00:04:17,240 ヤン提督が おっしゃっておられました 71 00:04:17,240 --> 00:04:20,210 「カイザー・ラインハルトは 自分の理想と野心」 72 00:04:20,210 --> 00:04:24,020 「更には愛憎のために 自らを 焼いて悔いることのない人だ」 73 00:04:24,020 --> 00:04:27,890 「それだけに敵に対してさえ それを要求する」と 74 00:04:27,890 --> 00:04:30,790 「民主共和制が それほど貴重なものであるなら」 75 00:04:30,790 --> 00:04:34,790 「命懸けで守ってみせろ」 そう要求しているのです 76 00:04:34,790 --> 00:04:38,900 我々は その姿勢を見せてこそ 対等な交渉相手として 77 00:04:38,900 --> 00:04:41,270 カイザーの前に 立てるのではないでしょうか 78 00:04:41,270 --> 00:04:44,170 なるほどな だとしたら後世の歴史家は 79 00:04:44,170 --> 00:04:46,870 カイザー・ラインハルトを 血に飢えた野心家として 80 00:04:46,870 --> 00:04:49,440 断罪するかな? いえ 81 00:04:49,440 --> 00:04:52,410 多分「流された血の量に 釣り合うだけの業績をあげた」 82 00:04:52,410 --> 00:04:55,080 「偉人であった」と書くでしょうよ 83 00:04:55,080 --> 00:04:58,450 後世の歴史家って人種は 流される血の量を 84 00:04:58,450 --> 00:05:01,350 効率という価値基準で 計測しますからね 85 00:05:01,350 --> 00:05:05,820 たとえ宇宙が統一されるまでに 更に1億人が死んだとしても 86 00:05:05,820 --> 00:05:07,790 彼らはこう言うでしょうよ 87 00:05:07,790 --> 00:05:11,960 「たった1億人しか死なずに 宇宙の統一は完成された」 88 00:05:11,960 --> 00:05:15,230 「大いなる偉業だ」とね 89 00:05:15,230 --> 00:05:18,940 (せき払い) お前さんらしくない言い方だな 90 00:05:18,940 --> 00:05:23,540 冷笑家に変身して 後世に 毒舌録でも残すつもりかね 91 00:05:23,540 --> 00:05:26,310 すみません ちょっと興奮しまして 92 00:05:26,310 --> 00:05:29,350 いや 謝るようなことじゃない 93 00:05:29,350 --> 00:05:33,080 いずれにしても戦うとなれば 俺としても望むところだ 94 00:05:33,080 --> 00:05:35,350 もっとも戦闘の結果として 95 00:05:35,350 --> 00:05:37,590 カイザー・ラインハルトの 首を取ってしまえば 96 00:05:37,590 --> 00:05:40,990 交渉の必要も なくなるだろうが フッ 97 00:05:40,990 --> 00:05:43,230 こうしてイゼルローン革命軍は 98 00:05:43,230 --> 00:05:46,600 回廊の出入り口付近の宙域に 主力を結集して 99 00:05:46,600 --> 00:05:49,630 予期し得ぬ事態に 対応しようと備えていた 100 00:05:49,630 --> 00:05:53,300 「イゼルローン軍 動く」の報は 即日 惑星ハイネセンにある 101 00:05:53,300 --> 00:05:56,170 カイザー・ラインハルトの元に もたらされた 102 00:05:56,170 --> 00:05:58,810 彼らが兵をもって 挑んでくるのであれば 103 00:05:58,810 --> 00:06:01,250 こちらに それを回避すべき理由はない 104 00:06:01,250 --> 00:06:04,150 元々 そのためにこそ 親征してきたのだ 105 00:06:04,150 --> 00:06:07,650 余は即日にでも卿らを率いて ハイネセンを出立し 106 00:06:07,650 --> 00:06:09,620 彼らを討つであろう 107 00:06:09,620 --> 00:06:12,960 はあ… どうした ミュラー 108 00:06:12,960 --> 00:06:16,230 何か言いたいことがあるようだが 109 00:06:16,230 --> 00:06:18,460 お許しを得て申し上げます 110 00:06:18,460 --> 00:06:21,230 敵を軽んじるわけでは ありませんが 111 00:06:21,230 --> 00:06:25,540 今回のこと 帝国の存亡に 関わるとも思えません 112 00:06:25,540 --> 00:06:29,070 カイザー御自らが出陣あそばすには 及ばぬかと存じます 113 00:06:29,070 --> 00:06:31,380 戦いは小官らにお任せあって 114 00:06:31,380 --> 00:06:35,080 陛下はどうぞ この惑星にお留まりください 115 00:06:35,080 --> 00:06:39,520 余が軍を率いて親征してきたのは 何のゆえんあってのことだ 116 00:06:39,520 --> 00:06:43,750 共和主義者どもの非礼な挑戦に 無原則な笑顔で応えるためか 117 00:06:43,750 --> 00:06:46,660 そうではあるまい ミュラーの好意は分かるが 118 00:06:46,660 --> 00:06:48,660 この際は無用である 119 00:06:51,130 --> 00:06:54,030 あえて申し上げます 陛下 120 00:06:54,030 --> 00:06:57,300 フェザーンには 皇妃陛下と大公殿下がおわし 121 00:06:57,300 --> 00:07:00,200 陛下のご帰還を お待ちしておいでです 122 00:07:00,200 --> 00:07:03,740 どうか我らの戦いを 後方より督戦なさいますよう 123 00:07:03,740 --> 00:07:06,180 ほう 卿にも妻子がいて 124 00:07:06,180 --> 00:07:08,910 卿の生還を 祈っていると思っていたが 125 00:07:08,910 --> 00:07:12,810 卿の方は 身を危険にさらしても よいというわけか 126 00:07:16,150 --> 00:07:18,690 オーベルシュタインは 当地の治安回復のため 127 00:07:18,690 --> 00:07:20,890 ハイネセンに残留せよ 128 00:07:23,190 --> 00:07:27,100 ワーレンも先の戦いで 旗下の艦隊が半減したままであり 129 00:07:27,100 --> 00:07:30,100 今回はハイネセンの警備に当たれ 130 00:07:34,170 --> 00:07:37,640 かのヤン・ウェンリーは 131 00:07:37,640 --> 00:07:40,850 勝算がなければ戦わぬ男であった 132 00:07:40,850 --> 00:07:45,250 ゆえに余の尊敬に値したのだが 133 00:07:45,250 --> 00:07:48,150 彼の後継者はどうかな 134 00:07:48,150 --> 00:07:50,560 ミッターマイヤー はっ 135 00:07:50,560 --> 00:07:52,790 余より1日早く進発し 136 00:07:52,790 --> 00:07:56,390 共和主義者どもと 雌雄を決すべき戦場を設定せよ 137 00:07:56,390 --> 00:08:00,400 全軍の前衛も卿に委ねる はっ! 138 00:08:00,400 --> 00:08:02,530 左翼はアイゼナッハ 139 00:08:02,530 --> 00:08:06,000 右翼はビッテンフェルト 後衛はミュラー 140 00:08:06,000 --> 00:08:10,510 メックリンガーは 幕僚総監として余と共にあれ 141 00:08:10,510 --> 00:08:13,140 では プロージット 142 00:08:13,140 --> 00:08:15,440 プロージット! 143 00:08:33,000 --> 00:08:36,470 5月29日 帝国軍は 惑星ハイネセンから 144 00:08:36,470 --> 00:08:42,010 12日の行程にある シヴァ星域に布陣していた 145 00:08:42,010 --> 00:08:44,810 この時 ラインハルトは 微熱を自覚していたが 146 00:08:44,810 --> 00:08:48,480 重臣にも近侍にも その事実を明かしていない 147 00:08:48,480 --> 00:08:50,410 彼らに知られれば出戦を 148 00:08:50,410 --> 00:08:52,820 止められたであろうことは 明らかであり 149 00:08:52,820 --> 00:08:57,360 それはラインハルトには 耐えられないことであった 150 00:08:57,360 --> 00:09:00,630 「戦わずして後悔するより 戦って後悔する」 151 00:09:00,630 --> 00:09:05,060 そういう警句が ラインハルトの 発言として後世に残されているが 152 00:09:05,060 --> 00:09:08,030 信頼できる歴史資料には 見いだし得ない 153 00:09:08,030 --> 00:09:11,000 ただ いかにも軍神としての ラインハルトの一面を 154 00:09:11,000 --> 00:09:14,740 端的に示す言葉なので 広く深く人々の印象に 155 00:09:14,740 --> 00:09:17,540 刻み込まれたもののようである 156 00:09:17,540 --> 00:09:22,850 敵影見ゆ! 距離106.4光秒 3192万キロ 157 00:09:22,850 --> 00:09:27,790 レッドゾーン突入は 最短で1880秒後と推定 158 00:09:27,790 --> 00:09:31,320 未熟だが戦理にかなっている 159 00:09:31,320 --> 00:09:34,190 全軍に告げておくことがある マイクを持て 160 00:09:34,190 --> 00:09:36,190 はっ 161 00:09:38,500 --> 00:09:41,830 戦うにあたり 卿らに改めて言っておこう 162 00:09:41,830 --> 00:09:44,570 ゴールデンバウム王朝の過去は いざ知らず 163 00:09:44,570 --> 00:09:48,040 ローエングラム王朝ある限り 銀河帝国の軍隊は 164 00:09:48,040 --> 00:09:51,910 皇帝が必ず陣頭に立つ 余の息子もだ 165 00:09:51,910 --> 00:09:55,380 ローエングラム王朝の皇帝は 兵士たちの背中に隠れて 166 00:09:55,380 --> 00:09:59,220 安全な宮廷から 戦争を指揮することはせぬ 167 00:09:59,220 --> 00:10:02,990 卿らに誓約しよう 卑怯者はローエングラム王朝において 168 00:10:02,990 --> 00:10:07,290 至尊の座を占めることは 決してないと 169 00:10:07,290 --> 00:10:09,890 ジーク・カイザー・ラインハルト! 170 00:10:09,890 --> 00:10:12,800 ジーク・プリンツ・アレク! 171 00:10:12,800 --> 00:10:15,630 ジーク・カイザー・ラインハルト! 172 00:10:15,630 --> 00:10:18,330 ジーク・プリンツ・アレク! 173 00:10:21,510 --> 00:10:25,680 誇り高きかな マイン・カイザーは 常に味方に背を向け 174 00:10:25,680 --> 00:10:28,080 敵に胸をさらしたもう 175 00:10:30,080 --> 00:10:32,380 ファイエル! ファイヤー! 176 00:10:37,420 --> 00:10:40,060 あえて奇策を弄する必要はない 177 00:10:40,060 --> 00:10:43,860 間断ない攻撃を連続させて 敵を消耗させよ 178 00:10:45,860 --> 00:10:49,760 よし 予定どおり そろそろ後退するぞ 179 00:10:52,070 --> 00:10:55,440 奴らの手に乗るなよ トールハンマーの射程内に 180 00:10:55,440 --> 00:10:59,310 我が軍を引きずり込まない限り 奴らに勝機はないのだ 181 00:10:59,310 --> 00:11:04,150 見え透いた誘いに かかってはならんぞ 182 00:11:04,150 --> 00:11:06,950 シュワルツ・ランツェンレイターの 足が止まりました 183 00:11:06,950 --> 00:11:09,950 後退をやめて 反撃を装え 184 00:11:14,490 --> 00:11:17,400 敵が乗ってきません 逆に後退しています 185 00:11:17,400 --> 00:11:20,600 チッ ビッテンフェルトの猪め 186 00:11:20,600 --> 00:11:23,570 いつの間にやら辞書に 「慎重」とか「用心」とかいう単語を 187 00:11:23,570 --> 00:11:27,970 書き加えたらしい 今更 秀才ぶってどうする気だ 188 00:11:27,970 --> 00:11:30,310 敵をクロスファイアポイントに 誘い込むのは 189 00:11:30,310 --> 00:11:32,910 諦めざるを得ないようだ 190 00:11:37,650 --> 00:11:39,580 前進! 191 00:11:39,580 --> 00:11:42,190 ラインハルトのように 明言したわけではないが 192 00:11:42,190 --> 00:11:44,860 ユリアンも陣頭に立って 危険を引き受けることを 193 00:11:44,860 --> 00:11:48,630 自らに課していた これも むろんヤンの影響であったが 194 00:11:48,630 --> 00:11:52,430 この時はやや猪突の趣が あったかもしれない 195 00:12:03,070 --> 00:12:07,080 ヤン・ウェンリーの後継者は なかなか巧妙だな 196 00:12:07,080 --> 00:12:10,710 こちらに全面攻勢の機会を つかませない 197 00:12:10,710 --> 00:12:15,120 それともメルカッツの統率に よるものか 198 00:12:15,120 --> 00:12:17,860 この時ラインハルトは 悪寒を感じていた 199 00:12:17,860 --> 00:12:21,590 自覚せざるを得ない体調の悪さが ラインハルトの不快を誘い 200 00:12:21,590 --> 00:12:24,400 集中力を欠いて いらだっていた 201 00:12:24,400 --> 00:12:26,460 陛下 202 00:12:26,460 --> 00:12:31,170 どうした 余の顔に 呪いの影でも映っているか 203 00:12:31,170 --> 00:12:34,070 ブラウンシュヴァイク公を始め 何億人の呪いが 204 00:12:34,070 --> 00:12:36,670 集中しているか 分からぬ身だからな 205 00:12:38,810 --> 00:12:41,850 失礼しました 陛下がどこか別の宇宙に 206 00:12:41,850 --> 00:12:45,620 思いを馳せておられるように 見えましたので 207 00:12:45,620 --> 00:12:48,820 はあ… そうか 208 00:12:48,820 --> 00:12:51,090 だが 別の宇宙に思いを馳せるのは 209 00:12:51,090 --> 00:12:54,960 まず余の宇宙を掌握してからに したほうがよさそうだな 210 00:12:54,960 --> 00:12:58,700 卿らの努力に期待する はっ! 211 00:12:58,700 --> 00:13:01,600 シヴァ星域の会戦に 参加した戦力は 212 00:13:01,600 --> 00:13:07,400 帝国軍が艦艇5万1700隻 将兵584万2400 213 00:13:07,400 --> 00:13:12,940 イゼルローン軍が艦艇9800隻 将兵56万7200 214 00:13:12,940 --> 00:13:16,150 数量的な優勢は 圧倒的に帝国軍にあり 215 00:13:16,150 --> 00:13:20,020 イゼルローン軍が少人数での 操艦を余儀なくされている 216 00:13:20,020 --> 00:13:22,820 それはイゼルローン軍にとって 弱点ではあるが 217 00:13:22,820 --> 00:13:27,020 同時に奇策を生み出す 母胎となる可能性があった 218 00:13:27,020 --> 00:13:30,790 この弱点をユリアンは 大胆過ぎる術策で補った 219 00:13:30,790 --> 00:13:35,430 全艦隊の1割に当たる数を 無人艦にして 左翼後方に配置し 220 00:13:35,430 --> 00:13:37,800 あたかも とっておきの 予備兵力であるかのように 221 00:13:37,800 --> 00:13:41,510 見せかけたのである もし帝国軍がそれを看破して 222 00:13:41,510 --> 00:13:44,010 その方角に攻勢を集中させれば 223 00:13:44,010 --> 00:13:48,010 イゼルローン軍の戦列は 一挙に 崩壊してしまうところである 224 00:13:48,010 --> 00:13:50,450 ラインハルトの体調が 万全であれば 225 00:13:50,450 --> 00:13:52,820 ユリアンのトリックを 看破したに違いない 226 00:13:52,820 --> 00:13:57,390 その意味ではユリアンは 運が よかったと言えるかもしれない 227 00:13:57,390 --> 00:14:00,020 だがユリアンも トリックに技巧を凝らした 228 00:14:00,020 --> 00:14:02,930 無人艦隊が しばしばイゼルローン方面や 229 00:14:02,930 --> 00:14:05,430 帝国軍 右側面へと陽動するため 230 00:14:05,430 --> 00:14:08,270 帝国軍は それに注意力を割かざるを得ず 231 00:14:08,270 --> 00:14:12,140 対応するための戦力を 用意して おかなくてはならなかった 232 00:14:12,140 --> 00:14:14,940 更にユリアンは もし機会を与えられれば 233 00:14:14,940 --> 00:14:18,380 これらの艦をおとりに使って カイザー・ラインハルトの旗艦 234 00:14:18,380 --> 00:14:21,350 ブリュンヒルトに直接攻撃を かけるつもりであった 235 00:14:21,350 --> 00:14:25,220 もっともカイザー・ラインハルトが その程度の詭計にかかると思えず 236 00:14:25,220 --> 00:14:28,650 恐らくそのような機会は 訪れないだろうとも思っている 237 00:14:28,650 --> 00:14:31,160 それでもなお イゼルローン軍の兵力は 238 00:14:31,160 --> 00:14:34,060 人数の点において 絶対的に不足していた 239 00:14:34,060 --> 00:14:38,730 たった52人で どうやって巡航艦を 動かせってんだ ええ? 240 00:14:38,730 --> 00:14:42,030 タコをクルーにでもしなきゃ とても手が足りないぜ 241 00:14:42,030 --> 00:14:43,970 不平を言うんじゃない 242 00:14:43,970 --> 00:14:48,570 俺は以前 300人分の料理を 80人で片づけたことがあるんだ 243 00:14:48,570 --> 00:14:51,280 ある提督の 再婚パーティーの時でな 244 00:14:51,280 --> 00:14:54,080 花嫁が花婿の息子と 駆け落ちしちまったんで 245 00:14:54,080 --> 00:14:57,950 パーティーはお流れ 料理の山が 残ってしまったってわけさ 246 00:14:57,950 --> 00:15:00,520 おい 聞いたかよ この艦にはタコじゃなくて 247 00:15:00,520 --> 00:15:04,220 豚が乗ってるらしいぜ 頭の中まで胃袋の奴がな 248 00:15:04,220 --> 00:15:07,190 (笑い声) 249 00:15:07,190 --> 00:15:10,430 善戦から苦戦へ 転落しかけているにも関わらず 250 00:15:10,430 --> 00:15:12,700 なおも冗談と毒舌が飛び交うのは 251 00:15:12,700 --> 00:15:18,240 ヤン艦隊と呼ばれていた頃からの 救われがたい彼らのさがである 252 00:15:18,240 --> 00:15:21,240 ひと暴れしてくるぜ 253 00:15:21,240 --> 00:15:25,880 その中で1人 ユリアンだけが 生真面目に事態を憂慮していた 254 00:15:25,880 --> 00:15:28,150 奇策が入り込む余地が ないとすれば 255 00:15:28,150 --> 00:15:30,650 イゼルローン軍にとって 唯一の勝機は 256 00:15:30,650 --> 00:15:34,180 トールハンマーの射程に 敵を引き込むことにしかない 257 00:15:34,180 --> 00:15:38,060 帝国軍も それを熟知しており その行動は慎重であった 258 00:15:38,060 --> 00:15:41,090 そのためユリアンは 自分が状況に流されて 259 00:15:41,090 --> 00:15:45,700 戦略的判断を誤ったのでは ないかと悩み始めていたのである 260 00:15:45,700 --> 00:15:49,470 だが帝国軍の動きは 慎重と言うには消極的すぎた 261 00:15:49,470 --> 00:15:51,800 ラインハルト自身が 体調の不全から 262 00:15:51,800 --> 00:15:54,300 特に用兵に 自重を強いたためである 263 00:15:54,300 --> 00:15:57,210 そのことに気づいたユリアンは 戸惑いを覚えていたが 264 00:15:57,210 --> 00:16:00,510 慎重な帝国軍の動きは 重厚さにも通じ 265 00:16:00,510 --> 00:16:02,980 奇策を仕掛けて 帝国軍をかき回す隙を 266 00:16:02,980 --> 00:16:05,220 見いだすには至っていなかった 267 00:16:05,220 --> 00:16:08,550 一方 必要を越えると思われる 大本営の慎重さに 268 00:16:08,550 --> 00:16:11,860 帝国軍の諸将も 戸惑いを覚えていた 269 00:16:11,860 --> 00:16:15,730 これだけ重厚な布陣を 少数の艦艇で完成させるとは 270 00:16:15,730 --> 00:16:20,700 恐らくメルカッツの手腕だろう まだまだ宿将も衰えを見せんな 271 00:16:20,700 --> 00:16:25,240 しかしそろそろ敵も 行動の 限界点に達すると思われます 272 00:16:25,240 --> 00:16:28,870 総攻撃の指示があって しかるべきと考えますが 273 00:16:28,870 --> 00:16:30,870 うむ… 274 00:16:33,480 --> 00:16:38,320 もう待てん 一気に敵の左翼をたたくぞ 275 00:16:38,320 --> 00:16:42,650 敵 殺到してきます 応戦しろ 276 00:16:42,650 --> 00:16:46,560 戦艦エリダヌス 撃沈 戦艦バテンカイトス 通信途絶! 277 00:16:46,560 --> 00:16:48,560 閣下 このままでは… 278 00:16:48,560 --> 00:16:52,330 チッ やむを得ん 全艦 いったん後退だ 279 00:16:52,330 --> 00:16:56,700 イゼルローン軍は 回廊方面へ 退却する気配を見せつつあり 280 00:16:56,700 --> 00:17:00,100 退路を断って これを一挙に包囲殲滅せんと欲す 281 00:17:00,100 --> 00:17:03,510 陛下のご裁可を請う 陛下はご仮眠中です 282 00:17:03,510 --> 00:17:06,440 お伝えいたしまして 改めてご連絡いたします 283 00:17:06,440 --> 00:17:08,440 よしなに 284 00:17:35,070 --> 00:17:37,940 陛下! 軍医を早く! 285 00:17:37,940 --> 00:17:40,640 担架だ 担架を持て 286 00:17:43,610 --> 00:17:45,580 軍医殿 は… はい 287 00:17:45,580 --> 00:17:49,050 もはや原因不明で済むと 思わないでいただこう 288 00:17:49,050 --> 00:17:53,420 カイザーのご病名を確かめ 最善の治療を施していただく 289 00:17:53,420 --> 00:17:57,590 よろしいな? はあ はい 290 00:17:57,590 --> 00:17:59,530 お分かりかな 軍医殿 291 00:17:59,530 --> 00:18:02,870 卿には地位に伴う責任が あるということだ 292 00:18:02,870 --> 00:18:07,170 何もなし得ぬというのなら 一介の町医者も同じこと 293 00:18:07,170 --> 00:18:09,470 期待に応えて いただけるだろうな? 294 00:18:09,470 --> 00:18:11,410 は… はい 295 00:18:11,410 --> 00:18:15,810 失礼 軍医殿 少し興奮してしまったようだ 296 00:18:18,020 --> 00:18:21,550 何!陛下がご昏倒あそばしたと? 297 00:18:21,550 --> 00:18:24,450 それはまことですか? ご容体は?まさか… 298 00:18:24,450 --> 00:18:28,660 騒ぐな 別にカイザーが ご逝去あそばしたわけではない 299 00:18:28,660 --> 00:18:31,200 ここで節度を失えば 後日 カイザーより 300 00:18:31,200 --> 00:18:34,000 おしかりを こうむることになるぞ 301 00:18:34,000 --> 00:18:37,230 それよりも この知らせを 敵軍に知られてはまずい 302 00:18:37,230 --> 00:18:39,840 通信を一部 封鎖せよ この旨だけは 303 00:18:39,840 --> 00:18:42,610 大本営に知らせるように はっ 304 00:18:42,610 --> 00:18:47,380 おい ロイエンタール どうしたらいいと思う 305 00:18:47,380 --> 00:18:49,850 俺に重大な責任を押しつけて 306 00:18:49,850 --> 00:18:53,720 自分はヴァルハラで杯を片手に 見物だなどと 307 00:18:53,720 --> 00:18:56,550 虫がいいではないか 308 00:18:56,550 --> 00:19:00,760 ここで帝国軍は 深刻な自縄自縛に 陥ってしまっていた 309 00:19:00,760 --> 00:19:03,460 カイザーの発熱と昏倒を 秘密にしたため 310 00:19:03,460 --> 00:19:06,060 大本営と ミッターマイヤー艦隊の他は 311 00:19:06,060 --> 00:19:09,630 指揮系統の連絡が 取れなくなってしまったのである 312 00:19:09,630 --> 00:19:11,940 ことに問題は ビッテンフェルトである 313 00:19:11,940 --> 00:19:15,870 シュワルツ・ランツェンレイターは 帝国軍の中で最も突出していたが 314 00:19:15,870 --> 00:19:19,440 敵の後方に回り込む許可を 得られずに時を費やし 315 00:19:19,440 --> 00:19:23,780 メルカッツが築いた分厚い防御陣の前に 前進を阻まれていた 316 00:19:23,780 --> 00:19:28,090 その間にアッテンボローは 旗下の 艦隊を再編することができた 317 00:19:28,090 --> 00:19:31,960 せっかく敵の退路を断つ 好機を得ながら 318 00:19:31,960 --> 00:19:34,490 みすみす取り逃がすとは 319 00:19:34,490 --> 00:19:39,430 大本営は何をしている もう一度 連絡を取れ 320 00:19:39,430 --> 00:19:41,570 「覆水 盆に返らず」と言うから 321 00:19:41,570 --> 00:19:44,200 逃してしまった好機については 何も言わん 322 00:19:44,200 --> 00:19:47,040 だが再攻勢のための 予備兵力の投入まで 323 00:19:47,040 --> 00:19:49,040 ならんというのは納得いかん 324 00:19:49,040 --> 00:19:52,440 とにかく今は 無理な攻撃を避けて後退せよ 325 00:19:52,440 --> 00:19:55,380 分からず屋めが! カイザーをお出ししろ 326 00:19:55,380 --> 00:19:58,550 でなければシャトルに乗って ブリュンヒルトへ行く 327 00:19:58,550 --> 00:20:00,620 陛下に直訴申し上げるぞ 328 00:20:00,620 --> 00:20:05,020 ビッテンフェルト提督 私は皇帝陛下より勅任された 329 00:20:05,020 --> 00:20:07,520 大本営幕僚総監である 330 00:20:07,520 --> 00:20:10,860 戦場での統兵に関し 卿らに指示するのも 331 00:20:10,860 --> 00:20:13,300 陛下より委嘱された職権のうちだ 332 00:20:13,300 --> 00:20:17,170 異存がおありなら いずれ陛下の御前で理非を正そう 333 00:20:17,170 --> 00:20:22,410 だが 今はともかく後退命令に従え このエセ詩人野郎! 334 00:20:22,410 --> 00:20:24,910 いつからオーベルシュタインの 作った曲に合わせて 335 00:20:24,910 --> 00:20:27,480 ピアノを弾くように なりやがった! 336 00:20:27,480 --> 00:20:32,820 猪に聞かせるには ジャッカルが作った曲でたくさんだ 337 00:20:32,820 --> 00:20:36,720 閣下 ここは一気に攻勢に 出るべきではありませんか? 338 00:20:38,620 --> 00:20:41,960 はっ 全艦 直ちに後退 339 00:20:41,960 --> 00:20:46,360 アイゼナッハ艦隊は いったん後退し 陣形を再編した 340 00:20:46,360 --> 00:20:50,870 カイザーからどのような命令が出ても 即応できる態勢を取ったのである 341 00:20:50,870 --> 00:20:52,800 だが その命令を アイゼナッハは 342 00:20:52,800 --> 00:20:56,410 意外な長さで 待ち続けるはめになった 343 00:20:56,410 --> 00:20:59,740 ミュラー上級大将 我々がこの戦場に来たのは 344 00:20:59,740 --> 00:21:03,380 弁当を広げるためではありません ぜひとも戦闘に参加して 345 00:21:03,380 --> 00:21:06,850 共和主義者どもを砲火の下に なぎ倒してやりたく存じます 346 00:21:06,850 --> 00:21:11,490 カイザーのご命令なくして みだりに 艦隊を動かすことは許されぬ 347 00:21:11,490 --> 00:21:15,730 大本営からの指令を しばらく待つことだ 348 00:21:15,730 --> 00:21:19,600 それにしても ここに至って ご命令がないのは妙だ 349 00:21:19,600 --> 00:21:22,000 本来なら我が艦隊を動かして 350 00:21:22,000 --> 00:21:26,000 敵の側面なり 後背なりを 襲わせてしかるべきだが 351 00:21:31,240 --> 00:21:34,140 エネルギーと弾薬の補充だ 急げよ 352 00:21:34,140 --> 00:21:38,020 ユリアンか ちょっと耳に 入れておきたいことがあってな 353 00:21:38,020 --> 00:21:40,620 どうなさいました ポプラン中佐? 354 00:21:40,620 --> 00:21:44,490 さっき 奇妙な通信が 俺の スパルタニアンに入ってきてな 355 00:21:44,490 --> 00:21:47,720 報告して お前さんの判断を 仰ごうと思うんだが… 356 00:21:47,720 --> 00:21:52,560 僕の耳に収まる程度の 大きさですか 357 00:21:52,560 --> 00:21:55,530 皇帝不予? 「不予」というと病気ですか 358 00:21:55,530 --> 00:21:57,730 カイザー・ラインハルトが? 359 00:22:00,600 --> 00:22:03,910 あのカイザー・ラインハルトが 病に倒れるとは 360 00:22:03,910 --> 00:22:06,810 皇帝不予といっても 単なる風邪かもしれません 361 00:22:06,810 --> 00:22:09,710 先走りは禁物です しかし 362 00:22:09,710 --> 00:22:13,380 当面の帝国軍の動きの鈍さの 説明にはなります 363 00:22:13,380 --> 00:22:16,220 だとしたら この帝国軍の隙を突いて 364 00:22:16,220 --> 00:22:18,520 旗艦ブリュンヒルトに 兵を送り込んで 365 00:22:18,520 --> 00:22:21,190 一気に カイザー・ラインハルトを倒そう 366 00:22:21,190 --> 00:22:24,430 敵がトールハンマーの射程に 絶対に入ろうとしない以上 367 00:22:24,430 --> 00:22:27,160 勝機はそこにしかない 368 00:22:27,160 --> 00:22:29,900 2年前のイゼルローン攻防戦の時 369 00:22:29,900 --> 00:22:33,470 ロイエンタール元帥を 取り逃がしたのは残念の極みだが 370 00:22:33,470 --> 00:22:36,240 代わりにカイザー・ラインハルトの 首が取れるなら 371 00:22:36,240 --> 00:22:39,780 採算は大きな黒字になるだろうな 372 00:22:39,780 --> 00:22:43,210 確かにブリュンヒルトに 一度 肉迫してしまえば 373 00:22:43,210 --> 00:22:45,520 帝国軍は 容易に手を出せんだろうな 374 00:22:45,520 --> 00:22:48,090 戦術というより 賭けの要素が大きいがね 375 00:22:48,090 --> 00:22:51,990 だが こんな機会は 二度とないかもしれない 376 00:22:51,990 --> 00:22:56,230 メルカッツ提督のお考えは? 377 00:22:56,230 --> 00:23:01,500 今のままでも 負けない戦いを することはできるでしょうな 378 00:23:01,500 --> 00:23:04,400 皇帝不予の真偽にかかわらず 379 00:23:04,400 --> 00:23:08,210 帝国軍の動きが奇妙に 鈍いのは事実 380 00:23:08,210 --> 00:23:12,040 後退しても 追撃は かけてこないような印象です 381 00:23:12,040 --> 00:23:14,950 だが これで イゼルローンに戻っても 382 00:23:14,950 --> 00:23:16,980 更に戦力が減少して 383 00:23:16,980 --> 00:23:21,180 次の戦いでは 現状より もっと苦しくなるでしょうな 384 00:23:25,190 --> 00:23:29,060 決まった かの美しき ブリュンヒルトに乗り込んで 385 00:23:29,060 --> 00:23:32,930 カイザーの首を上げてやろう くたばれ カイザー! 386 00:23:32,930 --> 00:23:34,870 では 僕も行きます 387 00:23:34,870 --> 00:23:37,770 おいおい こいつは肉体労働だ 388 00:23:37,770 --> 00:23:40,770 労働者が超過勤務手当を 稼ぐ機会なのに 389 00:23:40,770 --> 00:23:43,940 全軍の総司令官が 邪魔をするもんじゃない 390 00:23:43,940 --> 00:23:48,550 ヤン提督を見習って 指揮席で ベレー帽をかぶって寝ていろよ 391 00:23:48,550 --> 00:23:52,780 僕も同行するか 作戦自体を 許可しないかどちらかです 392 00:23:52,780 --> 00:23:56,050 僕の目的はカイザー・ラインハルトと 談判することで 393 00:23:56,050 --> 00:23:57,990 殺害することではありません 394 00:23:57,990 --> 00:24:01,860 そこのところを 間違えないでください 395 00:24:01,860 --> 00:24:03,790 オーケー ユリアン 396 00:24:03,790 --> 00:24:07,460 先にカイザーと対面したほうが やりたいようにやるさ 397 00:24:07,460 --> 00:24:11,370 礼儀正しく話しかけるか トマホークを振り下ろすか 398 00:24:11,370 --> 00:24:15,170 それから 僕は必ず 生きて帰るつもりですが 399 00:24:15,170 --> 00:24:19,710 帝国軍にも言い分はあるでしょう 僕に万一のことがあった場合には 400 00:24:19,710 --> 00:24:23,580 アッテンボロー中将を 次の革命軍司令官に指名します 401 00:24:23,580 --> 00:24:25,520 当然ながら 提督には 402 00:24:25,520 --> 00:24:28,420 ユリシーズに残留して いただきますので よろしく 403 00:24:28,420 --> 00:24:31,420 おい そんな 命令です 404 00:24:35,990 --> 00:24:37,930 この上ない大舞台だ 405 00:24:37,930 --> 00:24:41,160 後世に残る 死体の山を築いてやろうぜ 406 00:24:41,160 --> 00:24:44,430 おう! いや 死体は1つでいい 407 00:24:44,430 --> 00:24:47,740 ラインハルト・フォン・ ローエングラムの死体だけでな 408 00:24:47,740 --> 00:24:51,610 この世で最も美しく 貴重な死体ではあるが 409 00:24:51,610 --> 00:24:54,010 ん? ん? 410 00:24:57,210 --> 00:25:00,610 (口笛を鳴らす音) 411 00:25:02,550 --> 00:25:05,460 ユリアン 気をつけるのよ あんたって優等生のくせに 412 00:25:05,460 --> 00:25:09,330 要領の悪いところがあるから みんなが放っておけないんだわ 413 00:25:09,330 --> 00:25:12,230 でも 僕を止めないんだね 君は 414 00:25:12,230 --> 00:25:16,400 止めないわよ 女に止められて 言うことを聞くような男 415 00:25:16,400 --> 00:25:21,240 いざという時 自分の家族だって 守れるはずないじゃない 416 00:25:21,240 --> 00:25:24,670 ワルター・フォン・シェーンコップから 離れないようにするのね 417 00:25:24,670 --> 00:25:27,010 地面や床に足をつけている限り 418 00:25:27,010 --> 00:25:31,510 あれほど頼りになる男は いないって 母が言ってたわ 419 00:25:31,510 --> 00:25:34,420 美人に頼られては 嫌とは言えないね 420 00:25:34,420 --> 00:25:37,920 さて カリン 俺にも一つ 頼みがあるんだがな 421 00:25:37,920 --> 00:25:41,630 何でしょうか? 恋愛は大いにやるべきだが 422 00:25:41,630 --> 00:25:45,830 子供を生むのは 二十歳を過ぎてからにしてくれ 423 00:25:45,830 --> 00:25:49,030 俺は30代で じいさんになる気はないからな 424 00:25:53,100 --> 00:25:57,510 宇宙暦801年 新帝国暦3年5月30日 425 00:25:57,510 --> 00:26:01,010 イゼルローン軍は 乾坤一擲の戦いを挑むべく 426 00:26:01,010 --> 00:26:03,010 再び動き出した 427 00:26:07,650 --> 00:26:10,620 カイザー・ラインハルトの病状は 予想外に重く 428 00:26:10,620 --> 00:26:13,460 原因も治療法も 分からないものだった 429 00:26:13,460 --> 00:26:16,430 この事実を伏せた帝国軍は 前線で混乱し 430 00:26:16,430 --> 00:26:18,430 その隙に乗じたイゼルローン軍に 431 00:26:18,430 --> 00:26:22,170 総旗艦ブリュンヒルトへの侵入を 許す事態となった 432 00:26:22,170 --> 00:26:24,630 ラインハルトの姿を 捜し求めるユリアンは 433 00:26:24,630 --> 00:26:27,240 死闘の中を駆けるが… 434 00:26:27,240 --> 00:26:32,940 次回「銀河英雄伝説」 第108話「美姫は血を欲す」 435 00:26:32,940 --> 00:26:35,440 銀河の歴史が また1ページ