1 00:01:32,400 --> 00:01:36,970 宇宙暦801年 新帝国暦3年7月8日 2 00:01:36,970 --> 00:01:40,580 ようやく治安の回復が見られる 惑星ハイネセンにおいて 3 00:01:40,580 --> 00:01:44,580 ルビンスキーの火祭りに巻き込まれて 負傷 入院していた人物の一人が 4 00:01:44,580 --> 00:01:46,880 身分証明書の偽造を発見されて 5 00:01:46,880 --> 00:01:50,290 憲兵隊の尋問を 受けることになった 6 00:01:50,290 --> 00:01:53,190 卿の名は? シューマッハ 7 00:01:53,190 --> 00:01:55,890 レオポルド・シューマッハ 8 00:01:58,590 --> 00:02:00,830 それは前王朝の幼帝 9 00:02:00,830 --> 00:02:03,600 エルウィン・ヨーゼフ二世 誘拐の実行犯として 10 00:02:03,600 --> 00:02:06,800 重要手配されている 国事犯の名であった 11 00:02:08,770 --> 00:02:12,310 照合の結果 本人に間違いないことが分かると 12 00:02:12,310 --> 00:02:15,280 病室は 本格的な 取り調べの場となったが 13 00:02:15,280 --> 00:02:18,410 シューマッハ自身が 供述を拒否しなかったので 14 00:02:18,410 --> 00:02:21,380 拷問も自白剤も使用されなかった 15 00:02:21,380 --> 00:02:25,020 その取り調べの中で シューマッハは 今年に入って 16 00:02:25,020 --> 00:02:27,490 エルウィン・ヨーゼフ二世の 死体とされたものは 17 00:02:27,490 --> 00:02:29,990 別人の死体だと語った 18 00:02:29,990 --> 00:02:31,930 どういうことだ? 19 00:02:31,930 --> 00:02:34,860 エルウィン・ヨーゼフ二世は 行方不明になったんだ 20 00:02:34,860 --> 00:02:39,170 昨年の3月に ランズベルク伯の 手から逃げ出してね 21 00:02:39,170 --> 00:02:41,870 その後はどうしているか 見当もつかないな 22 00:02:41,870 --> 00:02:43,810 では あの死体は? 23 00:02:43,810 --> 00:02:46,610 精神の均衡を失った ランズベルク伯が 24 00:02:46,610 --> 00:02:50,180 死体収容所から 同年齢の少年の遺体を盗み出して 25 00:02:50,180 --> 00:02:53,080 それをカイザーのものとして 扱っていたんだ 26 00:02:53,080 --> 00:02:56,350 ランズベルク伯が所持していた 幼帝の死の記録は 27 00:02:56,350 --> 00:02:59,350 全て彼の妄想が生んだ 創作に過ぎない 28 00:02:59,350 --> 00:03:04,090 もっとも帝国の治安当局が 完全に信じるほどの出来だ 29 00:03:04,090 --> 00:03:07,960 彼の生涯最高の 創作物であったのだろう 30 00:03:07,960 --> 00:03:10,430 それと もう一つ 31 00:03:10,430 --> 00:03:15,340 地球教の残党は まだカイザーの 命を狙うことを諦めてはいない 32 00:03:15,340 --> 00:03:18,210 俺がルビンスキーの線から 聞いた話では 33 00:03:18,210 --> 00:03:23,480 最後の実動集団が フェザーンに 潜入したということだ 34 00:03:23,480 --> 00:03:28,250 人数は30人に満たないはずで もう他の組織は壊滅している 35 00:03:28,250 --> 00:03:34,760 そいつらを処理すれば 地球教が 再起することはないだろう 36 00:03:34,760 --> 00:03:37,390 今後 どのように身を処すつもりか 37 00:03:37,390 --> 00:03:41,700 別に何もない できれば フェザーンのアッシニボイヤ渓谷で 38 00:03:41,700 --> 00:03:46,100 元の部下たちとやっていた 農場に戻りたい それだけだ 39 00:03:46,100 --> 00:03:50,110 後日のことになるが シューマッハの希望は達成されなかった 40 00:03:50,110 --> 00:03:54,410 2ヵ月後 恩赦によって 釈放された彼はフェザーンに帰ったが 41 00:03:54,410 --> 00:03:58,050 アッシニボイヤ渓谷の集団農場は 既に解体されて 42 00:03:58,050 --> 00:04:00,550 彼の元の部下たちも四散していた 43 00:04:00,550 --> 00:04:04,920 一時 彼はシュトライト中将の 推挙で帝国軍准将となるが 44 00:04:04,920 --> 00:04:08,560 宇宙海賊との戦闘中 行方不明となる 45 00:04:08,560 --> 00:04:12,090 シューマッハのもたらした情報は フェザーンに向けて航行中の 46 00:04:12,090 --> 00:04:15,090 オーベルシュタイン元帥に 伝えられた 47 00:04:25,270 --> 00:04:27,740 フェザーンへ向かう ブリュンヒルトの艦内で 48 00:04:27,740 --> 00:04:31,910 ユリアンは しばしばカイザー・ラインハルトと 面談する機会を得た 49 00:04:31,910 --> 00:04:35,780 ラインハルトはヤン・ウェンリーの 逸話を聞くことを好んだ 50 00:04:35,780 --> 00:04:40,390 無論 この間にも今後の政治に ついて真剣な討議がなされた 51 00:04:40,390 --> 00:04:43,290 イゼルローン要塞を 帝国軍に引き渡すこと 52 00:04:43,290 --> 00:04:46,090 ハイネセンを含むバーラト星域を 自治領として 53 00:04:46,090 --> 00:04:48,160 内政自治権を与えること 54 00:04:48,160 --> 00:04:50,970 この2点については 完全な合意を見た 55 00:04:50,970 --> 00:04:54,370 だが憲法の制定と 議会の開設については 56 00:04:54,370 --> 00:04:57,010 ラインハルトは慎重だった 57 00:04:57,010 --> 00:05:00,540 立憲政治とやらの 利点については考慮するが 58 00:05:00,540 --> 00:05:03,950 確約はできない 59 00:05:03,950 --> 00:05:07,420 余と卿とで 全てのことを 決めてしまっては 60 00:05:07,420 --> 00:05:11,120 のちの世代の人間が やるべきことがなくなってしまう 61 00:05:11,120 --> 00:05:16,930 そうなれば 余計なことを してくれたと恨まれるだろう 62 00:05:16,930 --> 00:05:19,890 冗談めかしてはいるが カイザー・ラインハルトは 63 00:05:19,890 --> 00:05:22,860 民主主義の存続を 無制限あるいは無原則に 64 00:05:22,860 --> 00:05:26,600 認めるつもりはないのだと いうことをユリアンは理解した 65 00:05:26,600 --> 00:05:29,200 ラインハルトは 病に衰弱したといっても 66 00:05:29,200 --> 00:05:32,810 為政者としての 冷静な現実感覚を失ってはおらず 67 00:05:32,810 --> 00:05:36,680 むしろユリアンらに 辛辣な試練を 与えようとしているのだ 68 00:05:36,680 --> 00:05:40,920 戦争に耐えて生き残った価値観が 平和の中で腐食しないか 69 00:05:40,920 --> 00:05:44,350 見届けてやるというのである 70 00:05:44,350 --> 00:05:49,190 7月18日 カイザー・ラインハルトの一行は フェザーンに到着した 71 00:05:49,190 --> 00:05:51,130 そのままカイザー・ラインハルトは 72 00:05:51,130 --> 00:05:54,760 皇妃と皇子が待つ ヴェルゼーデ仮皇宮に向かった 73 00:05:54,760 --> 00:05:59,030 それは かつてのゴールデンバウム王朝の 高等弁務官の邸宅だったが 74 00:05:59,030 --> 00:06:04,370 シュテッヒパルム・シュロスの炎上ののち 仮の皇宮に定められていた 75 00:06:04,370 --> 00:06:07,610 一方 ユリアンらも 仮皇宮から徒歩で10分ほどの 76 00:06:07,610 --> 00:06:09,880 ホテル・ベルンカステルに 投宿したが 77 00:06:09,880 --> 00:06:15,580 周辺を帝国軍陸戦兵に 警備されることとなった 78 00:06:15,580 --> 00:06:18,420 ま あのぐらいは大目に見てやるさ 79 00:06:18,420 --> 00:06:21,690 おや?万事に好戦的な アッテンボロー提督にしては 80 00:06:21,690 --> 00:06:23,630 お珍しいことで 81 00:06:23,630 --> 00:06:27,130 ケンカをするには 時と相手を選ばなくてはな 82 00:06:27,130 --> 00:06:31,630 帝国に議会ができるなら そっちで暴れた方が面白いだろう 83 00:06:31,630 --> 00:06:35,000 ところで この一件が済んだら お前さん どうするんだ 84 00:06:35,000 --> 00:06:38,840 そうだな 宇宙海賊も悪くないな 85 00:06:38,840 --> 00:06:40,880 とにかく 俺はもう ヤン・ウェンリーの下で 86 00:06:40,880 --> 00:06:44,310 服従心と忍耐心を使い果たした 87 00:06:44,310 --> 00:06:47,650 これから先 死ぬまで誰にも 頭を下げる気はないし 88 00:06:47,650 --> 00:06:50,650 誰の家につながれるのも ごめんこうむりたいね 89 00:06:50,650 --> 00:06:55,490 そういや 聞いたか ユリアン トリューニヒトのこと 90 00:06:55,490 --> 00:06:57,690 それはルビンスキーの死と 91 00:06:57,690 --> 00:07:01,230 ドミニクの告白によって 明らかになった事実であったが 92 00:07:01,230 --> 00:07:03,300 ヨブ・トリューニヒトが 目指していたのも 93 00:07:03,300 --> 00:07:06,630 帝国に立憲体制を 敷くことであったという 94 00:07:06,630 --> 00:07:08,900 動機も理念も大きく異なるが 95 00:07:08,900 --> 00:07:11,340 目指すところが 同じであったということに 96 00:07:11,340 --> 00:07:15,540 ユリアンは戦慄すら覚えていた 97 00:07:15,540 --> 00:07:19,810 7月25日 それまで 小康状態にあったラインハルトの容体が 98 00:07:19,810 --> 00:07:23,690 急激に悪化した 体温は40度を下らず 99 00:07:23,690 --> 00:07:27,420 しばしば意識を失い 脱水症状に陥った 100 00:07:27,420 --> 00:07:32,330 ヒルダとアンネローゼは 病人の 看護と乳児の世話を交代で行った 101 00:07:32,330 --> 00:07:36,000 どちらか1人であれば 過労で倒れていたことは疑いない 102 00:07:36,000 --> 00:07:38,970 翌26日 更に容体は悪化し 103 00:07:38,970 --> 00:07:42,240 11時50分に呼吸が一時停止した 104 00:07:42,240 --> 00:07:47,440 ただ これは20秒後に回復し 13時には意識も戻った 105 00:07:53,180 --> 00:07:56,080 どうだい 7月だというのに この気温は 106 00:07:56,080 --> 00:07:59,650 奇妙な天気だ カイザーは太陽の光まで 107 00:07:59,650 --> 00:08:02,560 あの世に持っていって しまうんじゃないのか 108 00:08:02,560 --> 00:08:05,460 16時20分 それまで軍務に従事していた 109 00:08:05,460 --> 00:08:08,430 帝国軍の将帥たちが招集された 110 00:08:08,430 --> 00:08:11,670 オーベルシュタイン ミッターマイヤーの 両元帥をはじめ 111 00:08:11,670 --> 00:08:13,600 ミュラー ビッテンフェルト ワーレン 112 00:08:13,600 --> 00:08:17,910 アイゼナッハ メックリンガー ケスラーの6名の上級大将が 113 00:08:17,910 --> 00:08:22,310 待機所に充てられた談話室に 招じ入れられた 114 00:08:22,310 --> 00:08:27,710 5分後 オーベルシュタインのみが 所用と称して退出している 115 00:08:35,860 --> 00:08:38,790 全宇宙を征服なさった覇王が 116 00:08:38,790 --> 00:08:43,100 地上に足止めされ 病室に閉じ込められている 117 00:08:43,100 --> 00:08:46,770 おいたわしい限りだ 118 00:08:46,770 --> 00:08:50,570 医師どもは何をしているのだ 役立たずの穀潰しどもが! 119 00:08:50,570 --> 00:08:52,510 手をつかねて陛下のお苦しみを 120 00:08:52,510 --> 00:08:55,140 放置したりすれば ただではおかんぞ! 121 00:08:55,140 --> 00:08:58,950 貴様一人わめくな! いつも貴様が逆上するものだから 122 00:08:58,950 --> 00:09:00,880 他の者が迷惑するではないか 123 00:09:00,880 --> 00:09:03,720 俺たちは 貴様の鎮静剤ではないぞ! 124 00:09:03,720 --> 00:09:05,720 何だと! 125 00:09:07,620 --> 00:09:09,620 あっ! うっ! 126 00:09:12,430 --> 00:09:16,160 カイザーご自身が 心身の苦痛に耐えていらっしゃる 127 00:09:16,160 --> 00:09:19,930 我々が7人がかりで 耐えられぬはずがなかろう 128 00:09:19,930 --> 00:09:25,030 「情けない臣下を持ったものだ」と カイザーがお嘆きになるぞ 129 00:09:27,780 --> 00:09:30,580 この時 意識を回復した ラインハルトが 130 00:09:30,580 --> 00:09:33,820 ヒルダに いくつかの遺言を 残していた 131 00:09:33,820 --> 00:09:36,720 6名の上級大将に 132 00:09:36,720 --> 00:09:40,120 帝国元帥の地位を与えること 133 00:09:40,120 --> 00:09:42,390 ただし それは余の死後 134 00:09:42,390 --> 00:09:47,230 摂政となった カイザーリンの名で行うよう 135 00:09:47,230 --> 00:09:51,070 18時30分 ミッターマイヤー元帥のみが呼び出され 136 00:09:51,070 --> 00:09:54,040 諸将は不吉な予感に 緊張を強いられた 137 00:09:54,040 --> 00:09:58,810 だがミッターマイヤーが呼ばれた理由は 一同が想像したものではなかった 138 00:09:58,810 --> 00:10:02,680 嵐の中を恐縮ですけど ミッターマイヤー元帥 139 00:10:02,680 --> 00:10:06,550 ここへ奥様とお子様を お連れくださいまし 140 00:10:06,550 --> 00:10:10,420 よろしいのですか 私の妻子などを連れてまいっても 141 00:10:10,420 --> 00:10:14,390 カイザーが そうお望みなのです どうか急いでください 142 00:10:14,390 --> 00:10:17,590 ただちに 143 00:10:17,590 --> 00:10:23,400 同時刻 ベルンカステル・ホテルにも カイザーの使者が訪れていた 144 00:10:23,400 --> 00:10:25,330 カイザーが卿らを仮皇宮に 145 00:10:25,330 --> 00:10:28,040 お呼びするようにと 仰せになりました 146 00:10:28,040 --> 00:10:31,940 悪天候の中 恐縮ですが お越しください 147 00:10:34,310 --> 00:10:36,380 …危ないのですか? 148 00:10:36,380 --> 00:10:38,680 どうか お急ぎを 149 00:10:40,820 --> 00:10:44,120 ヤン提督 僕はあなたの代理として 150 00:10:44,120 --> 00:10:48,960 この時代に冠絶した 巨大な個性の終焉を確かめます 151 00:10:48,960 --> 00:10:53,130 提督が来世においでなら どうか僕の目を通して 152 00:10:53,130 --> 00:10:56,130 歴史の重大な瞬間を 確認してください 153 00:11:01,300 --> 00:11:03,300 あっ 154 00:11:06,240 --> 00:11:09,480 グリューネワルト大公妃殿下で あらせられます 155 00:11:09,480 --> 00:11:15,050 あの人が… あの人がいたからこそ ローエングラム王朝が誕生し 156 00:11:15,050 --> 00:11:20,350 カイザー・ラインハルトという 巨星が宇宙に輝き得たのか 157 00:11:35,970 --> 00:11:39,770 夢を見ていました 姉上… 158 00:11:41,780 --> 00:11:44,680 アンネローゼは ラインハルトの瞳に 159 00:11:44,680 --> 00:11:47,620 今まで見たことのない 穏やかな 柔らかな光が 160 00:11:47,620 --> 00:11:50,020 たゆたっているのを見て取った 161 00:11:50,020 --> 00:11:53,590 それはアンネローゼに 弟の死を確信させた 162 00:11:53,590 --> 00:11:56,560 ラインハルトは 常に満たされない心を埋めるべく 163 00:11:56,560 --> 00:12:00,360 自らの身を焼きながら 戦ってきたのではなかったか 164 00:12:00,360 --> 00:12:02,360 ラインハルトの柔和さは 165 00:12:02,360 --> 00:12:07,540 彼の心身が焼き尽くされた 白い灰の温かさであるようだった 166 00:12:07,540 --> 00:12:12,870 まだ夢を見足りない? ラインハルト 167 00:12:12,870 --> 00:12:16,240 いえ もう十分に見ました 168 00:12:16,240 --> 00:12:21,980 誰も見たことのない夢を 十分すぎるほど 169 00:12:21,980 --> 00:12:24,950 アンネローゼは 自分自身の胸が張り裂ける音を 170 00:12:24,950 --> 00:12:27,120 聞いたように思った 171 00:12:27,120 --> 00:12:30,890 ラインハルトの烈気と鋭気が 和らげられた時 彼は死ぬ 172 00:12:30,890 --> 00:12:33,660 剣は剣以外に 存在する意義を持たない 173 00:12:33,660 --> 00:12:38,030 彼女はそのことを知っていた 174 00:12:38,030 --> 00:12:41,730 姉上 いろいろと ありがとうございました 175 00:12:43,770 --> 00:12:47,480 感謝の言葉など アンネローゼは聞きたくなかった 176 00:12:47,480 --> 00:12:49,910 若くして世を捨てた姉など 無視して 177 00:12:49,910 --> 00:12:53,820 星々の海に巨大な翼を 広げていってほしかった 178 00:12:53,820 --> 00:12:57,690 キルヒアイスの死後 それだけが アンネローゼの願いであり 179 00:12:57,690 --> 00:13:01,190 彼女と現世をつなぐ 細い糸であったのに 180 00:13:01,190 --> 00:13:03,990 姉上 これを… 181 00:13:05,990 --> 00:13:09,430 もう私には必要がなくなりました 182 00:13:09,430 --> 00:13:11,430 姉上に差し上げます 183 00:13:11,430 --> 00:13:15,970 そして キルヒアイスもお返しします 184 00:13:15,970 --> 00:13:20,670 ずっとお借りしっぱなしで 申し訳ありませんでした 185 00:13:22,740 --> 00:13:25,480 はっ! 186 00:13:25,480 --> 00:13:28,880 昏睡されただけです 187 00:13:28,880 --> 00:13:31,890 19時 風雨の中で 急報がもたらされた 188 00:13:31,890 --> 00:13:36,260 市外の液体水素タンクが 自爆テロで爆破され 犯人の遺体から 189 00:13:36,260 --> 00:13:39,160 地球教徒であることが 判明したというのである 190 00:13:39,160 --> 00:13:43,000 うろたえるな 火災や爆破事件を 起こして陽動するのは 191 00:13:43,000 --> 00:13:44,930 地球教どもの常套手段だ 192 00:13:44,930 --> 00:13:48,200 奴らの狙いは カイザーご一家以外にはない 193 00:13:48,200 --> 00:13:52,710 仮皇宮の守りのみ心がけよ はっ! 194 00:13:52,710 --> 00:13:56,110 小官が現場に出て 直接 指揮いたしたく思いますので 195 00:13:56,110 --> 00:13:58,910 失礼いたします 196 00:13:58,910 --> 00:14:03,450 19時50分 一度軍務省に戻っていた オーベルシュタイン元帥が 197 00:14:03,450 --> 00:14:06,120 再び仮皇宮に戻ってきた 198 00:14:06,120 --> 00:14:10,090 地球教徒の最後の残党が カイザーの命を絶つべく 199 00:14:10,090 --> 00:14:14,730 まもなく ここへ 侵入してくるだろう 200 00:14:14,730 --> 00:14:18,000 なぜ地球教徒が そのような暴挙に出るのだ 201 00:14:18,000 --> 00:14:22,200 いま少し待てば 彼らの手を 必要とせず 事態は変わるのに 202 00:14:22,200 --> 00:14:24,570 私が奴らをおびき寄せたのだ 203 00:14:24,570 --> 00:14:28,010 軍務尚書が? 情報を流したのだ 204 00:14:28,010 --> 00:14:32,780 陛下のご病状が回復に向かい ご健康になられたあかつきには 205 00:14:32,780 --> 00:14:35,980 地球教の信仰の対象たる 地球そのものを 206 00:14:35,980 --> 00:14:38,020 破壊なさるであろうと 207 00:14:38,020 --> 00:14:42,290 それを阻止するために 奴らは軽挙に出てきたのだ 208 00:14:42,290 --> 00:14:45,190 卿はカイザーの御身を おとりにしたというのか! 209 00:14:45,190 --> 00:14:47,760 いかに手段を選ぶ余裕が ないとはいえ 210 00:14:47,760 --> 00:14:50,230 それが臣下たる者のなすことか! 211 00:14:50,230 --> 00:14:53,100 カイザーは もはや ご逝去を免れぬ 212 00:14:53,100 --> 00:14:56,000 だがローエングラム王朝は続く 213 00:14:56,000 --> 00:15:00,840 王朝の将来に備え 地球教の狂信者どもを根絶する 214 00:15:00,840 --> 00:15:05,110 そのために 陛下に ご協力いただいただけのことだ 215 00:15:05,110 --> 00:15:07,050 んん… 216 00:15:07,050 --> 00:15:10,990 とにかく 地球教徒どもを 掃滅する方が先です 217 00:15:10,990 --> 00:15:13,390 指揮系統が分散しては かえって 218 00:15:13,390 --> 00:15:16,620 狂信者どもの術中に 陥るかもしれません 219 00:15:16,620 --> 00:15:22,200 我々もケスラー総監の 指示を受けて行動しましょう 220 00:15:22,200 --> 00:15:26,200 こうして20時から22時にかけて 仮皇宮の内外では 221 00:15:26,200 --> 00:15:29,700 無言のうちに 死闘が繰り広げられた 222 00:15:32,910 --> 00:15:35,480 銃声だ 始まったな 223 00:15:35,480 --> 00:15:37,910 行くか ええ 224 00:15:37,910 --> 00:15:40,510 君はここに残ってくれ 225 00:15:43,580 --> 00:15:45,520 僕たちは 地球教徒に 226 00:15:45,520 --> 00:15:48,420 感謝しなくては ならないのかもしれない 227 00:15:48,420 --> 00:15:51,890 地球教徒に対する 共通の憎悪によって 228 00:15:51,890 --> 00:15:55,460 銀河帝国と民主主義が 共存の道を見いだすことが 229 00:15:55,460 --> 00:15:57,530 できるのだとしたら 230 00:15:57,530 --> 00:16:03,270 カイザーを 守るために フェザーンで 地球教徒と 戦う… 231 00:16:03,270 --> 00:16:05,870 何だ? いくつかの文章を 232 00:16:05,870 --> 00:16:10,540 文節ごとに分解して バラバラに 組み合わせる言葉遊びがあるだろ 233 00:16:10,540 --> 00:16:13,880 あれを思い出すぜ こんな場所で こんなことをするなんて 234 00:16:13,880 --> 00:16:17,220 つい50日前には想像もしなかった 235 00:16:17,220 --> 00:16:20,490 生きていると退屈しないでいいな 236 00:16:20,490 --> 00:16:22,590 おい!あれを 237 00:16:24,460 --> 00:16:26,590 地球教徒だな 238 00:16:26,590 --> 00:16:29,260 撃たれて ここまで 逃げてきたようですね 239 00:16:29,260 --> 00:16:33,260 銃を借りておこう 武器がないと どうにもならん 240 00:16:51,320 --> 00:16:53,890 武器はそろったな 241 00:16:53,890 --> 00:16:56,090 爆発か? こっちです 242 00:16:59,530 --> 00:17:04,870 やった!やったぞ! ついにカイザーを仕留めたぞ! 243 00:17:04,870 --> 00:17:06,870 うっ! 244 00:17:08,770 --> 00:17:12,570 どこへ行くつもりだ 地球教徒 245 00:17:36,630 --> 00:17:39,100 殺す前に ぜひ聞きたいことがある 246 00:17:39,100 --> 00:17:42,700 総大主教は? 総大主教はどこにいる! 247 00:17:42,700 --> 00:17:45,140 総大主教? 248 00:17:45,140 --> 00:17:48,910 フッ フハハ… 249 00:17:48,910 --> 00:17:53,710 総大主教なら ほれ そこに転がっている 250 00:18:06,130 --> 00:18:10,130 ハッ こいつが総大主教だと? 251 00:18:10,130 --> 00:18:14,570 その男は 自分が総大主教だと 思い込んでいた 252 00:18:14,570 --> 00:18:18,910 白痴だが 一種の暗記機械でな どういうことだ? 253 00:18:18,910 --> 00:18:24,580 本物の総大主教は 地球で 巨大な岩盤の下に埋もれている 254 00:18:24,580 --> 00:18:28,880 100万年も経てば 化石になって 発掘されるかもしれんな 255 00:18:30,890 --> 00:18:34,560 総大主教の死は 信者どもには伏せてあった 256 00:18:34,560 --> 00:18:37,060 その男が 身代わりを務めていたのだ 257 00:18:37,060 --> 00:18:39,560 だが もはや信者といっても 258 00:18:39,560 --> 00:18:43,200 今日ここを襲撃した20名が 最後だがな 259 00:18:43,200 --> 00:18:47,540 思い出したぞ! 貴様はド・ヴィリエ大主教 260 00:18:47,540 --> 00:18:50,740 貴様こそ ヤン提督の敵だ! 261 00:18:57,510 --> 00:19:00,810 私を殺すとは愚かな… 262 00:19:02,750 --> 00:19:05,520 ローエングラム王朝を 倒そうとする者は 263 00:19:05,520 --> 00:19:07,560 我らだけではない 264 00:19:07,560 --> 00:19:11,960 私ならば その情報を… 265 00:19:11,960 --> 00:19:13,890 勘違いしないでほしいな 266 00:19:13,890 --> 00:19:17,400 僕はローエングラム王朝の将来に 何の責任もない 267 00:19:17,400 --> 00:19:21,170 僕が貴様を殺すのは ヤン・ウェンリーの敵だからだ 268 00:19:21,170 --> 00:19:24,140 そう言ったのが 聞こえなかったのか 269 00:19:24,140 --> 00:19:28,240 それに… パトリチェフ少将の敵! 270 00:19:28,240 --> 00:19:30,280 ブルームハルト中佐の敵! 271 00:19:30,280 --> 00:19:34,180 他のたくさんの人たちの敵だ! 272 00:19:38,820 --> 00:19:42,490 貴様一人の命で償えるものか! 273 00:19:42,490 --> 00:19:45,390 主演俳優一人で張り切らんでくれ 274 00:19:45,390 --> 00:19:47,460 俺たちの出番が なかったじゃないか 275 00:19:47,460 --> 00:19:49,660 こっちだ 急げ! 276 00:19:51,800 --> 00:19:53,800 動くな! 277 00:19:56,000 --> 00:19:58,000 卿らか… 278 00:20:01,910 --> 00:20:06,250 卿らが? はい 地球教の大主教です 279 00:20:06,250 --> 00:20:09,050 それより ラインハルト陛下は ご無事ですか 280 00:20:09,050 --> 00:20:12,520 爆破されたのは 陛下のご病室ではない 281 00:20:12,520 --> 00:20:15,060 連中は そう思い込んでいたようだが 282 00:20:15,060 --> 00:20:17,990 それでは… 陛下はご無事だ 283 00:20:17,990 --> 00:20:19,990 だが… 284 00:20:32,340 --> 00:20:36,110 緊急の手術が必要です 至急に軍病院へお運びしろ! 285 00:20:36,110 --> 00:20:38,050 無用だ 286 00:20:38,050 --> 00:20:41,280 助からぬ者を 助けるふりをするのは 287 00:20:41,280 --> 00:20:46,990 偽善であるだけでなく 技術と労力の浪費だ 288 00:20:46,990 --> 00:20:49,890 ラーベナルトに伝えてもらいたい 289 00:20:49,890 --> 00:20:54,500 私の遺言状は デスクの3番目の 引き出しに入っているから 290 00:20:54,500 --> 00:20:57,430 遺漏なく執行すること 291 00:20:57,430 --> 00:21:01,600 それと 犬には ちゃんと鳥肉をやってくれ 292 00:21:01,600 --> 00:21:06,270 もう先が長くないから 好きなようにさせてやるように 293 00:21:06,270 --> 00:21:09,880 それだけだ 294 00:21:09,880 --> 00:21:14,110 ラーベナルトは我が家の執事だ 295 00:21:14,110 --> 00:21:17,020 30秒後 その死が確認された 296 00:21:17,020 --> 00:21:21,020 事実としてはオーベルシュタインが カイザーの 身代わりになったのであるが 297 00:21:21,020 --> 00:21:24,390 それが 全てを計算した上での 殉死であったのか 298 00:21:24,390 --> 00:21:26,990 単なる計算違いで あったのかについては 299 00:21:26,990 --> 00:21:32,200 彼を知る者の意見は2つに分かれ しかも一方の意見を主張した者も 300 00:21:32,200 --> 00:21:36,170 完全な自信を 持ち得なかったのである 301 00:21:36,170 --> 00:21:38,910 いずれにしても 人々は オーベルシュタインの死に 302 00:21:38,910 --> 00:21:42,710 いつまでも 関心を持っていられなかった 303 00:21:42,710 --> 00:21:47,950 22時15分 ミッターマイヤーが 妻子を伴って仮皇宮に戻ってきた 304 00:21:47,950 --> 00:21:52,450 途中 道路の冠水に阻まれて 立ち往生していたのである 305 00:22:00,660 --> 00:22:04,460 よく来てくださった フラウ・ミッターマイヤー 306 00:22:08,940 --> 00:22:11,170 帝国の支配権などより 307 00:22:11,170 --> 00:22:14,110 親として 我が子 アレクサンデル・ジークフリードに 308 00:22:14,110 --> 00:22:17,880 対等の友人を1人 残してやりたいと思ってな 309 00:22:17,880 --> 00:22:23,820 勝手な願いだが 承知していただけるだろうか 310 00:22:23,820 --> 00:22:27,390 フェリックス プリンツ・アレクに いや 311 00:22:27,390 --> 00:22:31,860 カイザー・アレク陛下に 忠誠を誓約しなさい 312 00:22:31,860 --> 00:22:33,960 ああっ 313 00:22:42,040 --> 00:22:44,970 これはご無礼を 314 00:22:44,970 --> 00:22:48,580 (2人の泣き声) 315 00:22:48,580 --> 00:22:50,510 こ… これは… 316 00:22:50,510 --> 00:22:53,210 よい ミッターマイヤー 317 00:22:53,210 --> 00:22:55,210 はあ… 318 00:22:59,450 --> 00:23:01,720 よい子だな フェリックス 319 00:23:01,720 --> 00:23:05,320 これからもアレクと 仲よくしてやってくれ 320 00:23:13,870 --> 00:23:18,670 軍務尚書が見えぬようだが あの男はどこにいる? 321 00:23:20,940 --> 00:23:24,910 軍務尚書は やむを得ない理由で 座を外しております 322 00:23:24,910 --> 00:23:27,110 ああ そうか 323 00:23:27,110 --> 00:23:32,110 あの男のやることは いつも もっともな理由があるのだったな 324 00:23:33,950 --> 00:23:37,520 カイザーリン あなたなら余より賢明に 325 00:23:37,520 --> 00:23:41,090 宇宙を統治してゆけるだろう 326 00:23:41,090 --> 00:23:44,460 立憲体制に移行するなら それもよし 327 00:23:44,460 --> 00:23:49,170 いずれにしても 生ある者の中で 最も強大で賢明な者が 328 00:23:49,170 --> 00:23:52,540 宇宙を支配すればよいのだ 329 00:23:52,540 --> 00:23:56,810 もしアレクサンデル・ジークフリードが その力量を持たぬなら 330 00:23:56,810 --> 00:24:02,620 ローエングラム王朝など あえて存続させる必要はない 331 00:24:02,620 --> 00:24:06,320 全て あなたの思うとおりに やってくれれば 332 00:24:06,320 --> 00:24:09,420 それ以上 望むことはない… 333 00:24:18,970 --> 00:24:21,170 あ… ん… 334 00:24:29,910 --> 00:24:34,450 宇宙を手に入れたら… 335 00:24:34,450 --> 00:24:36,650 みんなで… 336 00:24:41,960 --> 00:24:44,860 それは 新帝国暦3年 337 00:24:44,860 --> 00:24:48,360 宇宙暦801年7月26日 338 00:24:48,360 --> 00:24:52,100 23時29分のことである 339 00:24:52,100 --> 00:24:55,400 ラインハルト・フォン・ ローエングラムは25歳 340 00:24:55,400 --> 00:24:59,800 その治世は わずかに2年あまりであった 341 00:25:06,550 --> 00:25:09,750 カイザーは 病死なさったのではありません 342 00:25:09,750 --> 00:25:12,790 命数を使い果たして 亡くなったのです 343 00:25:12,790 --> 00:25:15,690 病に倒れたのではありません 344 00:25:15,690 --> 00:25:20,890 どうかそのことを 皆さん 忘れないでいただきとう存じます 345 00:25:27,130 --> 00:25:29,930 星が落ちたよ カリン 346 00:25:32,070 --> 00:25:34,710 ラインハルト陛下の国葬ののちに 347 00:25:34,710 --> 00:25:38,410 ご長男 アレク大公殿下が 即位なさいます 348 00:25:38,410 --> 00:25:41,110 つきましては 惑星ハイネセンを含む 349 00:25:41,110 --> 00:25:44,650 バーラト星系に 内政自治権を認める件について 350 00:25:44,650 --> 00:25:48,050 ラインハルト陛下と 帝国政府の名誉に懸けて 351 00:25:48,050 --> 00:25:50,090 これを履行いたします 352 00:25:50,090 --> 00:25:55,130 一方 イゼルローン要塞を 帝国軍に引き渡す件については… 353 00:25:55,130 --> 00:25:57,930 どうぞご心配ないよう願います 354 00:25:57,930 --> 00:26:01,670 私たちイゼルローン共和政府も 名誉に懸けて 355 00:26:01,670 --> 00:26:06,340 必ずご生前のカイザーとの約束は 果たさせていただきます 356 00:26:06,340 --> 00:26:12,150 それから 思想や立場に関わりなく この時代に生きた者として 357 00:26:12,150 --> 00:26:16,480 カイザー・ラインハルト陛下の ご逝去にお悔やみを申し上げます 358 00:26:16,480 --> 00:26:19,350 ヤン・ウェンリーも 同じ思いでおりましょう 359 00:26:19,350 --> 00:26:24,150 かたじけない カイザーリンに よくお伝えしておきます 360 00:26:31,530 --> 00:26:34,430 ね ユリアン とにかくバーラト星系は 361 00:26:34,430 --> 00:26:37,340 民主主義の手に残るのね そう 362 00:26:37,340 --> 00:26:40,810 たったそれだけなのね 考えてみると 363 00:26:40,810 --> 00:26:43,340 そう たったこれだけ 364 00:26:43,340 --> 00:26:45,850 たったこれだけのことが 実現するのに 365 00:26:45,850 --> 00:26:50,320 500年の歳月と 数千億の人命が必要だったんだ 366 00:26:50,320 --> 00:26:57,060 銀河連邦の末期に 市民たちが 政治への関心を失わなかったら 367 00:26:57,060 --> 00:27:01,430 独裁者に 無制限の権力を 与えることが いかに危険か 368 00:27:01,430 --> 00:27:04,330 彼らが気づいていたら そして 369 00:27:04,330 --> 00:27:08,530 市民の権利より国家の利益が 優先されるような政治体制が 370 00:27:08,530 --> 00:27:14,040 どれほど多くの人を不幸にするか 過去の歴史から学び得ていたら 371 00:27:14,040 --> 00:27:16,940 これほどの犠牲を 払わずに済んだんだ 372 00:27:16,940 --> 00:27:22,220 政治は それを軽んじる者に 必ず復讐するんだよ 373 00:27:22,220 --> 00:27:26,090 ユリアン あんたは 政治指導者にはならないの? 374 00:27:26,090 --> 00:27:30,560 ハイネセン臨時政府の代表になる とか そういうことはないの? 375 00:27:30,560 --> 00:27:32,490 僕の予定表にはないね 376 00:27:32,490 --> 00:27:36,500 あんたの予定は それじゃ どうなってるの? 377 00:27:36,500 --> 00:27:39,870 軍人になって 専制主義の帝国と戦う 378 00:27:39,870 --> 00:27:42,640 そしてその任務が終わったら… 379 00:27:42,640 --> 00:27:44,570 終わったら? 380 00:27:44,570 --> 00:27:48,110 歴史家になり ヤン提督の事跡を記録して 381 00:27:48,110 --> 00:27:50,910 後世に残したい 382 00:27:50,910 --> 00:27:55,750 後世の人々に より多くの判断と 考察の機会を与えるのが 383 00:27:55,750 --> 00:28:00,520 この時代に生きた我々の 義務じゃないだろうか 384 00:28:00,520 --> 00:28:04,920 よう ユリアン いつフェザーンを 出発することになりそうだ? 385 00:28:04,920 --> 00:28:09,430 そうですね なんやかやで… 2週間というところでしょうか 386 00:28:09,430 --> 00:28:12,330 そうか じゃあ それでお別れだな 387 00:28:12,330 --> 00:28:15,740 俺はフェザーンに残るよ ポプラン中佐! 388 00:28:15,740 --> 00:28:20,010 いや 何も言うな ユリアン そう決めたんだ 389 00:28:20,010 --> 00:28:23,940 まあどうせフェザーンに 永住することもないだろうが 390 00:28:23,940 --> 00:28:25,950 それがポプランらしい 391 00:28:25,950 --> 00:28:29,320 それしか他にない この時代への決別の仕方なのだと 392 00:28:29,320 --> 00:28:31,880 ユリアンは理解した 393 00:28:31,880 --> 00:28:36,720 分かりました 盛大に お別れパーティーをやりましょうね 394 00:28:36,720 --> 00:28:39,090 いいか 早死にするんじゃないぞ 395 00:28:39,090 --> 00:28:43,460 何十年か経って お互いに 老人になったら再会しよう 396 00:28:43,460 --> 00:28:45,430 そして 俺たちを 置いてきぼりにして 397 00:28:45,430 --> 00:28:48,300 死んじまった奴らの 悪口を言い合おうぜ 398 00:28:48,300 --> 00:28:50,300 素敵ですね 399 00:28:53,140 --> 00:28:55,140 フッ 400 00:29:05,320 --> 00:29:08,890 さあ アッテンボロー提督と いろいろ話し合って 401 00:29:08,890 --> 00:29:11,590 予定を立てなきゃ うん 402 00:29:17,160 --> 00:29:20,070 夜が明ければ忙しくなる 403 00:29:20,070 --> 00:29:25,170 多忙な方がいい この喪失感を埋めるにはな 404 00:29:27,370 --> 00:29:31,240 ファーター ハッ 405 00:29:31,240 --> 00:29:35,110 ファーター ああ… 406 00:29:35,110 --> 00:29:39,950 ミッターマイヤーは カイザーの心が この幼児の中に入り込んで 407 00:29:39,950 --> 00:29:43,660 生まれて初めての言葉を 発しさせたように思えた 408 00:29:43,660 --> 00:29:48,590 無論 それは錯覚に過ぎないが そう信じたかった 409 00:29:48,590 --> 00:29:52,400 見えるか フェリックス あの星々が… 410 00:29:52,400 --> 00:29:56,240 いつかお前も あの星々の世界に 旅立つのだろうか 411 00:29:56,240 --> 00:30:00,540 その時 お前は一人で行くのか それとも… 412 00:30:00,540 --> 00:30:04,410 あなた ウォルフ フェリックスがしゃべった 413 00:30:04,410 --> 00:30:06,850 俺のことを「ファーター」と 呼んでくれたよ 414 00:30:06,850 --> 00:30:09,280 あら まあ まあ… 415 00:30:09,280 --> 00:30:11,280 さあ いらっしゃい 416 00:30:18,760 --> 00:30:21,690 お前もか フェリックス 417 00:30:21,690 --> 00:30:25,130 それは いつの時代 どこの世界でも 418 00:30:25,130 --> 00:30:29,000 数限りなく繰り返されてきた 動作であったかもしれない 419 00:30:29,000 --> 00:30:32,810 人は常に手の届き得ぬものを 追い続ける 420 00:30:32,810 --> 00:30:37,040 その憧憬を 一身に表したのではなかろうか 421 00:30:37,040 --> 00:30:39,840 中へ入りましょう あなた