1 00:03:12,993 --> 00:03:15,512 見えてきたぜ 獄門島! 2 00:03:15,512 --> 00:03:18,565 古今東西 手のつけられない悪党どもが→ 3 00:03:18,565 --> 00:03:21,668 最後に流れ着く最凶最悪の監獄。 4 00:03:21,668 --> 00:03:25,705 島ひとつ 丸ごと 監獄の体をなす鋼の要塞。 5 00:03:25,705 --> 00:03:29,492 一度 入ったら最後 二度と 日の光を浴びることは叶わない→ 6 00:03:29,492 --> 00:03:32,012 この世に現存する冥府…。 7 00:03:32,012 --> 00:03:34,898 あれが 今日から テメエの住まいだ。 8 00:03:34,898 --> 00:03:36,833 せいぜい 今のうちに→ 9 00:03:36,833 --> 00:03:39,853 お天道様との別れを 惜しんでおくことだ。 10 00:03:39,853 --> 00:03:41,805 (桂)心配いらん。 11 00:03:41,805 --> 00:03:47,010 日の神 天照から八百万の神まで すでに別れは済ませてある。 12 00:03:47,010 --> 00:03:51,014 《末吉:世界は広いなどというが→ 13 00:03:51,014 --> 00:03:55,502 俺の世界は 長らく この狭い監獄のなかだけだった。 14 00:03:55,502 --> 00:04:01,024 鉄格子越しに見える景色… それが 俺の世界のすべてだった。 15 00:04:01,024 --> 00:04:05,962 カビ臭いハコのなかで ただ 心が 腐っていくのを待つだけの日々。 16 00:04:05,962 --> 00:04:09,065 何度 心が 折れそうになったかしれない。 17 00:04:09,065 --> 00:04:13,365 だが ついに そんな日々とも お別れするときがきたのだ!》 18 00:04:19,175 --> 00:04:22,345 《末吉:そう… そこには 鉄格子などない→ 19 00:04:22,345 --> 00:04:25,365 果てしなく広がる 美しい世界があった。 20 00:04:25,365 --> 00:04:27,717 そこから見える景色…。 21 00:04:27,717 --> 00:04:30,517 それが 俺の欲しかった すべてだった》 22 00:04:35,525 --> 00:04:37,861 《末吉:ついに… ついに やった。 23 00:04:37,861 --> 00:04:41,665 あそこまで掘るのに 15年… 15年 かかった。 24 00:04:41,665 --> 00:04:44,634 長年かけて 看守どもの行動パターン→ 25 00:04:44,634 --> 00:04:48,838 そして 隣の囚人たちが 眠る時間帯を頭に叩き込み→ 26 00:04:48,838 --> 00:04:51,841 その 2つのスキが重なる わずかな時に→ 27 00:04:51,841 --> 00:04:56,463 毎日 少しずつ岩と土を削る。 そんな作業を15年…。 28 00:04:56,463 --> 00:05:02,018 ついに 難攻不落といわれた 獄門島を脱出する日…。 29 00:05:02,018 --> 00:05:06,506 我ながら よくやった。 末吉。 執念だな…。 30 00:05:06,506 --> 00:05:11,511 あとは いつ脱出に乗り出すかだ。 焦っては いけない。 31 00:05:11,511 --> 00:05:14,898 時間は いつものように 囚人たちが寝静まった明け方近く。 32 00:05:14,898 --> 00:05:17,801 日取りは海が穏やかなときがいい。 33 00:05:17,801 --> 00:05:20,336 脱出口は すでに確保してある。 34 00:05:20,336 --> 00:05:24,724 慎重に… 確実に脱出できる日を 選んで決行しよう。 35 00:05:24,724 --> 00:05:29,362 最も警戒すべき向かいの獄舎は 幸い 今は空き部屋。 36 00:05:29,362 --> 00:05:33,933 あれに囚人が来る前に 決行できれば… 問題ない》 37 00:05:33,933 --> 00:05:37,233 (桂)む… 起きたか。 おはよう。 いい朝だな。 38 00:05:39,172 --> 00:05:43,176 今日から入った 囚人番号 は-206の桂だ。 39 00:05:43,176 --> 00:05:45,295 お向かい同士 よろしく。 40 00:05:45,295 --> 00:05:49,232 《なんでぇ~!? 昨日まで もぬけの空だったのに→ 41 00:05:49,232 --> 00:05:51,818 よりによって このタイミングで新入りだと!?》 42 00:05:51,818 --> 00:05:54,504 あの これ つまらないものですが…。 43 00:05:54,504 --> 00:05:57,507 攘夷志士タオルだ。 シミ汚れなどが よく拭き取れるぞ。 44 00:05:57,507 --> 00:06:00,960 ただし 世の中のな。 ハハ… 攘夷だけに。 45 00:06:00,960 --> 00:06:04,347 《ま… まずいぞ。 向かいの牢屋から 俺の牢屋は→ 46 00:06:04,347 --> 00:06:07,200 死角なしの丸見え! ここまで 作業を進められたのも→ 47 00:06:07,200 --> 00:06:10,019 向かいが囚人不在だったことが 大きかったのに…。 48 00:06:10,019 --> 00:06:12,522 ここまできて まさか こんな…。 49 00:06:12,522 --> 00:06:14,974 しかも 超うざそうなんだけど コイツ…》 50 00:06:14,974 --> 00:06:18,678 あの これ 攘夷志士タオルだ。 シミ汚れなどが よく取れるぞ。 51 00:06:18,678 --> 00:06:21,297 ただし 世の中のな。 ハハ… 攘夷だけに。 52 00:06:21,297 --> 00:06:24,017 《末吉:さっきの聞こえなかったと 思って もう1回 言ってるよ! 53 00:06:24,017 --> 00:06:27,020 聞こえてるよ!! うけねえよ 何回 言っても! 54 00:06:27,020 --> 00:06:29,956 落ち着け… あと俺に必要なのは→ 55 00:06:29,956 --> 00:06:33,526 トンネルをくぐり 島を脱出する機会 一度だけ。 56 00:06:33,526 --> 00:06:38,148 真正面 向かいの部屋とはいえ 24時間いれば スキも必ずできる。 57 00:06:38,148 --> 00:06:43,203 この際 日取りは選んでられない。 スキが できしだい…。 58 00:06:43,203 --> 00:06:47,507 幸い ここの労働は 囚人を いたぶることを目的とした→ 59 00:06:47,507 --> 00:06:50,977 地獄の苦行。 最初の夜は 獄舎に帰りしだい→ 60 00:06:50,977 --> 00:06:55,048 気絶するように 眠ってしまうのが常…。 61 00:06:55,048 --> 00:07:00,048 勝負は 今晩… ヤツが疲れ果てて眠ったあとだ》 62 00:07:02,071 --> 00:07:05,508 (いびき) 63 00:07:05,508 --> 00:07:07,644 《末吉:ヘッ… 思ったとおりだ。 64 00:07:07,644 --> 00:07:09,846 暗くて よく見えんが このいびき→ 65 00:07:09,846 --> 00:07:14,033 ちょっとや そっとの音では 起きそうもないな…》 66 00:07:14,033 --> 00:07:15,969 《視線!? バ… バカな! 67 00:07:15,969 --> 00:07:18,388 いや 見ている! あの男 こっちを見ている! 68 00:07:18,388 --> 00:07:20,323 そんな… まさか!》 69 00:07:20,323 --> 00:07:22,342 (いびき) 70 00:07:22,342 --> 00:07:25,211 《どんな寝顔してんだぁ! 71 00:07:25,211 --> 00:07:27,630 やばいよ これ! 瞼 半開きは 聞いたことあるけど→ 72 00:07:27,630 --> 00:07:30,033 全開だよ 瞳孔が! 眼球 カッサカサだよ! 73 00:07:30,033 --> 00:07:32,051 メッチャこっち見てんだけど! 74 00:07:32,051 --> 00:07:34,070 カッサカサの眼球で メッチャこっち見てんだけど! 75 00:07:34,070 --> 00:07:36,005 なんつう 紛らわしい寝顔してんだ! 76 00:07:36,005 --> 00:07:38,474 ビックリした… 大丈夫だよね これ。 77 00:07:38,474 --> 00:07:41,010 ホント寝てるよね これ!? いびき かいてるし…》 78 00:07:41,010 --> 00:07:43,980 (いびき) 79 00:07:43,980 --> 00:07:46,015 《あれ? なんか やっぱ これ起きてない? 80 00:07:46,015 --> 00:07:48,835 これ 大丈夫だよね? いや これ起きてない? 81 00:07:48,835 --> 00:07:51,304 やっぱ これ起きてない? ダメだ このままじゃ! 82 00:07:51,304 --> 00:07:53,756 思いきって確かめてみよう!》 83 00:07:53,756 --> 00:07:55,642 か… 桂さ~ん! 84 00:07:55,642 --> 00:07:59,045 う~ん…。 85 00:07:59,045 --> 00:08:01,064 《大丈夫だ やっぱ寝てる! 86 00:08:01,064 --> 00:08:05,134 よし これならいけ… って やっぱ起きてんだろ これ!? 87 00:08:05,134 --> 00:08:07,337 なんで クラウチングスタートしながら 寝てんだぁ!? 88 00:08:07,337 --> 00:08:09,973 これ 寝てねえだろ! だって クラウチングスタートだもの! 89 00:08:09,973 --> 00:08:12,308 どこかに走り出すつもりだもの! 90 00:08:12,308 --> 00:08:15,678 どうすんだ これ!? さらに ややこしいことになっちゃったよ。 91 00:08:15,678 --> 00:08:20,800 いびきかいてるけど いや でも いや 待て… いや でも…》 92 00:08:20,800 --> 00:08:24,337 (桂)どうした? 末吉殿。 昨日は眠れなかったのか? 93 00:08:24,337 --> 00:08:28,291 いかんぞ そんなことでは ここの重労働には耐え切れまい。 94 00:08:28,291 --> 00:08:30,376 《誰のせいだと思ってんだ! 95 00:08:30,376 --> 00:08:32,378 完全に騙された! 96 00:08:32,378 --> 00:08:35,348 まさか 世の中に あんな 寝相の悪いヤツがいたなんて。 97 00:08:35,348 --> 00:08:38,718 こんな生活が続けば 体力が消耗していくだけだ! 98 00:08:38,718 --> 00:08:40,737 早急に解決せねば! 99 00:08:40,737 --> 00:08:42,839 先手を打とう!》 100 00:08:42,839 --> 00:08:45,875 消灯! 101 00:08:45,875 --> 00:08:47,877 《末吉:眠らせる必要はない。 102 00:08:47,877 --> 00:08:50,847 要は 脱出できるだけの スキを作らせればいいんだ》 103 00:08:50,847 --> 00:08:53,816 いやぁ 最近 寝れなくて まいってんだよね! 104 00:08:53,816 --> 00:08:56,519 どうやったら寝られるかなぁ? 105 00:08:56,519 --> 00:08:58,888 ウノでもやるか? 強いぞ 俺は。 106 00:08:58,888 --> 00:09:02,141 いや 寝ないと明日に響くし! (桂)そうか 強いぞ? 107 00:09:02,141 --> 00:09:04,344 いや もっと ベーシックなやつない? 108 00:09:04,344 --> 00:09:07,196 そうだ! ひつじ数えないか? 桂さん! 109 00:09:07,196 --> 00:09:10,133 目をつむって ひつじを数えると 眠れるっていうじゃないか! 110 00:09:10,133 --> 00:09:13,686 (桂)そうか? ウノのほうが いいだろう。 強いぞ! 111 00:09:13,686 --> 00:09:16,139 いや 逆に 目 覚めちゃいそうだから。 112 00:09:16,139 --> 00:09:18,174 (末吉)じゃあ 一緒に 目をつぶって→ 113 00:09:18,174 --> 00:09:22,679 ひつじを1匹ずつ数えていこう。 いいね? はい ひつじが1匹! 114 00:09:22,679 --> 00:09:25,248 (桂)ひつじが2匹 ひつじが3匹。 115 00:09:25,248 --> 00:09:28,685 《よし! これで ヤツは 朝まで目を開けることはない。 116 00:09:28,685 --> 00:09:32,639 しかも うまくいけば このまま 眠りにつなげることができる! 117 00:09:32,639 --> 00:09:35,008 だが まだ行動は せんほうがいいな。 118 00:09:35,008 --> 00:09:37,343 20匹ぐらいまでは 一応 様子を見ておこう》 119 00:09:37,343 --> 00:09:39,462 ひつじが11匹…。 120 00:09:39,462 --> 00:09:44,462 ひつじが12匹 ひつじが13…。 121 00:09:47,303 --> 00:09:49,339 ((何やってんのよ 松子のヤツ! 122 00:09:49,339 --> 00:09:52,375 早く跳べよ! あと つっかえてんだから! 123 00:09:52,375 --> 00:09:54,975 どうした? 松原 足でもくじいたか!? 124 00:09:57,013 --> 00:09:59,999 (松子)エヘッ… テントウムシいたから。 125 00:09:59,999 --> 00:10:02,819 ったく お前ってヤツは…。 126 00:10:02,819 --> 00:10:08,341 《桂:松原松子… いつだって アイツは そうやって笑ってた。 127 00:10:08,341 --> 00:10:13,980 本当は誰より高く跳べるのに そうやって いつも笑ってた》 128 00:10:13,980 --> 00:10:17,667 以上 今回の大会 スタメンは この5人でいく。 129 00:10:17,667 --> 00:10:19,686 お前ら3年 最後の大会だ。 130 00:10:19,686 --> 00:10:22,155 悔いのないよう頑張れ。 (みんな)はい! 131 00:10:22,155 --> 00:10:26,843 ねぇ 松原先輩 スタメン落ちだって。 最後の試合なのにね! 132 00:10:26,843 --> 00:10:29,295 最近 練習 全然来てなかったじゃん! 133 00:10:29,295 --> 00:10:31,330 つうか 今日もいないし。 134 00:10:31,330 --> 00:10:34,300 なんか男できたって ウワサよ! 3年の藤村先輩! 135 00:10:34,300 --> 00:10:36,636 まとわりつかれてるだけでしょ? 136 00:10:36,636 --> 00:10:38,671 でも よかったじゃない 杉山先輩。 137 00:10:38,671 --> 00:10:40,656 普通にやったって松原先輩には…。 138 00:10:40,656 --> 00:10:43,693 ちょっと! 声大きいわよ! 139 00:10:43,693 --> 00:10:45,878 (杉山)先生! ん? 140 00:10:45,878 --> 00:10:48,178 ちょっと 話いいですか? 141 00:10:50,183 --> 00:10:52,185 (杉山)どういうことなんですか!? 142 00:10:52,185 --> 00:10:54,137 なんで 松子が スタメンにいないんですか!? 143 00:10:54,137 --> 00:10:56,172 うちのエースでしょ!? 144 00:10:56,172 --> 00:10:58,808 私 松子のおこぼれで スタメンのユニフォーム着れたって→ 145 00:10:58,808 --> 00:11:02,545 嬉しくありません。 これ 返します。 146 00:11:02,545 --> 00:11:05,545 やめたよ… アイツ。 147 00:11:07,650 --> 00:11:11,838 松子のポジションやれんのは うちには お前しかいない。 148 00:11:11,838 --> 00:11:14,841 それは 3年間 アイツと競いあってきた→ 149 00:11:14,841 --> 00:11:17,810 ライバルのお前が いちばん知ってるだろう。 150 00:11:17,810 --> 00:11:21,180 (杉山)だからこそ 勝って 奪いたかった。 151 00:11:21,180 --> 00:11:25,802 親友だからこそ 戦って 勝ち取りたかった。 152 00:11:25,802 --> 00:11:33,543 ♪♪~ 153 00:11:33,543 --> 00:11:37,143 《桂:杉山… すまない》 154 00:11:45,121 --> 00:11:49,509 (杉山)アンタなんかに 私 負けないから! 155 00:11:49,509 --> 00:11:53,913 絶対 アンタより たくさん 点入れて アンタより活躍して→ 156 00:11:53,913 --> 00:11:56,466 試合に勝ってやるんだから! 157 00:11:56,466 --> 00:12:00,837 ♪♪~ 158 00:12:00,837 --> 00:12:05,224 《桂:杉山… アイツな…。 159 00:12:05,224 --> 00:12:12,215 アイツ… お前の体のこと 知っちまったんだよ。 160 00:12:12,215 --> 00:12:20,315 本当は アイツ… 誰よりも 何よりも 高く 跳びたいんだよ》 161 00:12:22,291 --> 00:12:24,343 (桂)おい 杉山は まだか? 162 00:12:24,343 --> 00:12:27,513 試合まで あと30分だってのに 何やってんだ アイツ…。 163 00:12:27,513 --> 00:12:31,567 先生! 杉山先輩のお母さんから 今 電話が! 164 00:12:31,567 --> 00:12:36,567 先輩 ここに来る途中 倒れて 病院 運ばれたって…。 165 00:12:39,559 --> 00:12:45,359 バカ… アンタ 来るとこ 間違ってんじゃないの? 166 00:12:48,017 --> 00:12:50,536 間違ってない。 167 00:12:50,536 --> 00:12:54,036 ユニフォーム… 取りにきただけよ。 168 00:12:56,175 --> 00:12:58,878 それで… いいのよ。 169 00:12:58,878 --> 00:13:03,478 (杉山)それでこそ… 私のライバル。 170 00:13:06,352 --> 00:13:12,024 《杉山:松子… 私 ホントは アンタと同じポジションにしたこと→ 171 00:13:12,024 --> 00:13:14,477 後悔してるんだ。 172 00:13:14,477 --> 00:13:19,615 私 ホントは… ライバルだとか そんなの どうでもいいの》 173 00:13:19,615 --> 00:13:28,615 ただ アンタと… アンタと一緒に 同じコートに立ちたかった。 174 00:13:31,127 --> 00:13:35,214 (桂)その夏… 本当の優しさを知った彼女は→ 175 00:13:35,214 --> 00:13:38,014 誰よりも 何よりも…。 176 00:13:41,153 --> 00:13:43,890 高く 跳んだ)) 177 00:13:43,890 --> 00:13:48,190 ひ… ひつじが 13匹~! 178 00:13:51,898 --> 00:13:53,998 (末吉)なげぇよ! 179 00:14:56,012 --> 00:14:59,398 (桂)どうした? 末吉殿。 昨日も眠れなかったのか? 180 00:14:59,398 --> 00:15:01,400 いかんぞ そんなことでは。 181 00:15:01,400 --> 00:15:03,653 ここのところ ずっと その調子ではないか。 182 00:15:03,653 --> 00:15:06,639 《クソ! あとは あの穴を抜け→ 183 00:15:06,639 --> 00:15:09,558 この島から脱出すれば 自由が得られるのに…。 184 00:15:09,558 --> 00:15:12,511 どうして そんな簡単なことが できないんだ…。 185 00:15:12,511 --> 00:15:15,147 すべての元凶は この男…。 186 00:15:15,147 --> 00:15:17,533 一見 スキのないように見えて スキだらけ。 187 00:15:17,533 --> 00:15:20,286 しかし スキにつけいるやいなや 転じて 牙をむくと見せて→ 188 00:15:20,286 --> 00:15:24,006 実は まだ スキだという… 無限地獄のような男。 189 00:15:24,006 --> 00:15:27,426 コイツが 向かいの牢屋にいるかぎり 脱獄は ムリだ。 190 00:15:27,426 --> 00:15:30,426 スキをつくなどと 甘っちょろい 考えは もう捨てよう》 191 00:15:32,365 --> 00:15:35,751 《消すんだ! この男を消さねば 俺に 自由はない! 192 00:15:35,751 --> 00:15:37,636 しかし どうやって…》 193 00:15:37,636 --> 00:15:41,340 (鯱)おい! オメエか? 最近 入った 新入りってのは。 194 00:15:41,340 --> 00:15:45,311 (鯱)ずいぶんと 甘ったれたツラの ヤツが 入ってきたもんだ。 195 00:15:45,311 --> 00:15:49,348 お坊ちゃん 何をやって こんな所に入れられたのかな? 196 00:15:49,348 --> 00:15:51,350 《あれは… 鯱! 197 00:15:51,350 --> 00:15:55,388 強盗 殺人 誘拐… 数多の罪状を持つ 犯罪王。 198 00:15:55,388 --> 00:15:59,008 囚人たちのボス 人斬り鯱!》 199 00:15:59,008 --> 00:16:01,310 (鯱)おい… なんだ その目は。 200 00:16:01,310 --> 00:16:05,014 なに見てんだ コラ! あぁ!? ケンカ売ってんのか!? 201 00:16:05,014 --> 00:16:07,033 《末吉:おい やめろ! 面倒ごとに巻き込むな!》 202 00:16:07,033 --> 00:16:09,902 いや すまない。 気分を害してしまったか。 203 00:16:09,902 --> 00:16:13,005 悪かった。 ちょっと 気になることがあったんでな。 204 00:16:13,005 --> 00:16:15,341 《末吉:そうだ おとなしくしとけ。 ソイツに逆らうな》 205 00:16:15,341 --> 00:16:18,941 あの… 着物 破れてますよ。 206 00:16:21,013 --> 00:16:22,982 《ファッション! 207 00:16:22,982 --> 00:16:25,985 それ ファッションだから! ワイルドさを出すための ファッションだよ》 208 00:16:25,985 --> 00:16:28,637 あ… あと 顔に 落書きされてますよ。 209 00:16:28,637 --> 00:16:31,290 寝てる間に イタズラされたんじゃないかな? 210 00:16:31,290 --> 00:16:34,510 おちょくってんのか! これは こういう仕様なんじゃ ボケ。 211 00:16:34,510 --> 00:16:37,480 え? これ わざと こういう感じにしてるんですか? 212 00:16:37,480 --> 00:16:40,166 わざわざ 自分で ここ ギザギザに切ったんですか…。 213 00:16:40,166 --> 00:16:43,035 《末吉:やめろ! そこは 深く触れてやるなよ! 214 00:16:43,035 --> 00:16:45,054 そこは そっとしておいてやろうや!》 215 00:16:45,054 --> 00:16:49,175 別に… なんか 袖が邪魔だったから→ 216 00:16:49,175 --> 00:16:52,461 ちぎったら なんか こんなふうになっちゃった…。 217 00:16:52,461 --> 00:16:54,680 《末吉:鯱! もう完全に→ 218 00:16:54,680 --> 00:16:56,816 鯱 照れちゃってるよ! 面目 丸つぶれだよ!》 219 00:16:56,816 --> 00:16:59,685 おい 何やってる 静かに食事しろ! 220 00:16:59,685 --> 00:17:02,338 チッ テメエら覚えとけよ。 221 00:17:02,338 --> 00:17:05,975 《テメエら 「ら」って何? オレも 一緒に目つけられちゃったよ! 222 00:17:05,975 --> 00:17:09,345 最悪だ。 今まで脱獄を ジャマされないため→ 223 00:17:09,345 --> 00:17:11,714 目立たずひっそり生きてきたのに。 224 00:17:11,714 --> 00:17:15,214 もうおしまいだ。 あんな連中に 目をつけられてしまったら…》 225 00:17:17,186 --> 00:17:20,022 《いや 待て。 このピンチ利用しよう。 226 00:17:20,022 --> 00:17:23,476 俺が手引きして 鯱にあの男を差し出す。 227 00:17:23,476 --> 00:17:27,346 鯱に恩を売れるうえ あの男を 亡き者にできる。 228 00:17:27,346 --> 00:17:29,698 一石二鳥だ。 229 00:17:29,698 --> 00:17:32,017 まずは鯱の一味に近づかなくては。 230 00:17:32,017 --> 00:17:34,904 うえっ! 完全に敵意むきだしだ。 231 00:17:34,904 --> 00:17:39,325 仕方ない。 まずは仲間であることを示そう》 232 00:17:39,325 --> 00:17:42,027 なに 鯱に会いてえだ? 233 00:17:42,027 --> 00:17:46,415 あぁ 俺はキミたちに敵意はない ということをわかってほしくてな。 234 00:17:46,415 --> 00:17:49,852 あのふざけた男は 俺の仲間でも何でもないんだ。 235 00:17:49,852 --> 00:17:53,005 そういやテメエは あのとき ボーっと見てただけだったな。 236 00:17:53,005 --> 00:17:55,975 鯱さん 末吉のヤツが 会いたがってますが。 237 00:17:55,975 --> 00:17:59,845 《よし 完璧だ。 やはりこの ギザギザノースリーブが…》 238 00:17:59,845 --> 00:18:01,964 (鯱)何だよ 何の用だよ。 239 00:18:01,964 --> 00:18:05,000 ほっとけよ。 もう俺のことなんか ほっとけよ! 240 00:18:05,000 --> 00:18:09,421 《鯱! ギザギザノースリーブの ギザギザ部分を 全部カットしている!》 241 00:18:09,421 --> 00:18:11,640 あれから ずっとあの調子なんだ。 242 00:18:11,640 --> 00:18:14,343 すべての着物の ギザギザ部分をカットし始めて…。 243 00:18:14,343 --> 00:18:16,345 やめてくれ 鯱 かっこいいよ! 244 00:18:16,345 --> 00:18:19,031 心配しなくても そのギザギザ かっこいいよ! 245 00:18:19,031 --> 00:18:23,018 かっこいいとか かっこ悪いとか別に関係ないし。 246 00:18:23,018 --> 00:18:27,306 別に俺 そういうの意識して これ着てたわけじゃないし。 247 00:18:27,306 --> 00:18:30,009 ギザギザなんか もう二度と着ねえし! 248 00:18:30,009 --> 00:18:31,994 《末吉:めんどくせえよ 鯱 超めんどくせえよ。 249 00:18:31,994 --> 00:18:34,029 どんだけ繊細なんだよ!》 250 00:18:34,029 --> 00:18:37,366 言っとくけど この前髪もギザギザ 意識したわけじゃないからね! 251 00:18:37,366 --> 00:18:40,302 違うかんね! あ~ もうこれも切る 切るっ! 252 00:18:40,302 --> 00:18:43,005 やめろ 鯱! そのギザギザだけは! 253 00:18:43,005 --> 00:18:46,625 おい テメエ それ何着てんだ! 254 00:18:46,625 --> 00:18:48,677 《しまった! この状況で この格好は→ 255 00:18:48,677 --> 00:18:50,729 おちょくりにしか見えない》 256 00:18:50,729 --> 00:18:53,329 ここにもあった ギザギザ! 257 00:18:59,738 --> 00:19:02,358 ケガはないか? 末吉殿。 えっ? あぁ。 258 00:19:02,358 --> 00:19:05,961 キサマら 末吉殿の袖まで こんなギザギザに。 恥をしれ! 259 00:19:05,961 --> 00:19:07,997 いや ソイツ最初からギザギザだったよ! 260 00:19:07,997 --> 00:19:09,999 俺たちじゃねえよ! 261 00:19:09,999 --> 00:19:12,017 (桂)黙れ! 何だ この三角の切れ端は。 262 00:19:12,017 --> 00:19:14,003 (桂)ギザギザの証拠だろうが! 263 00:19:14,003 --> 00:19:16,071 違う それ 鯱のギザ…。 黙れ! 264 00:19:16,071 --> 00:19:19,071 ギャーッ! 265 00:19:21,977 --> 00:19:25,364 (桂)どうした? 末吉殿。 また昨日も眠れなかったのか? 266 00:19:25,364 --> 00:19:28,634 桂さん 俺たち 隣で朝までウノやってたから→ 267 00:19:28,634 --> 00:19:30,636 うるさくて 眠れなかったんすよ きっと。 268 00:19:30,636 --> 00:19:33,339 すみません 末吉さん。 ウノ盛り上がっちゃって。 269 00:19:33,339 --> 00:19:36,025 (鯱)だって 桂さん めっちゃ強いんですもん。 270 00:19:36,025 --> 00:19:38,360 (桂)いや 鯱 お前が弱すぎるんだ。 271 00:19:38,360 --> 00:19:41,297 そうだよ 鯱 お前 弱すぎ! 272 00:19:41,297 --> 00:19:43,999 《何でだ 何で こんなことになるんだ? 273 00:19:43,999 --> 00:19:47,486 亡き者にするどころか 更に勢力 拡大してるじゃねえか!》 274 00:19:47,486 --> 00:19:50,289 よし みんな そろそろ仕事に行くぞ。 275 00:19:50,289 --> 00:19:52,291 (みんな)へい! 276 00:19:52,291 --> 00:19:54,343 《末吉:完全に ムショのトップじゃねえか!》 277 00:19:54,343 --> 00:19:56,979 いってらっしゃいませ 桂殿。 うん。 278 00:19:56,979 --> 00:19:59,381 《末吉:何で看守まで 手なずけてんだ? 279 00:19:59,381 --> 00:20:02,451 何者だ この男。 たった数日で→ 280 00:20:02,451 --> 00:20:04,970 この地獄の 監獄を掌握してしまうとは…。 281 00:20:04,970 --> 00:20:07,840 俺は ひょっとして とてつもない男に→ 282 00:20:07,840 --> 00:20:09,842 勝負を挑んでいたのかもしれん。 283 00:20:09,842 --> 00:20:13,362 俺は 目の前の 壁の大きさを痛感しながらも→ 284 00:20:13,362 --> 00:20:16,015 不思議と絶望はしていなかった。 285 00:20:16,015 --> 00:20:18,350 地獄と呼ばれた この獄門島は→ 286 00:20:18,350 --> 00:20:21,170 あの男によって 次第に変わっていった。 287 00:20:21,170 --> 00:20:26,091 過酷な労働は 働く喜びを 身に感じさせてくれる。 288 00:20:26,091 --> 00:20:28,344 辛くとも やりがいのあるものへと変わり→ 289 00:20:28,344 --> 00:20:32,014 何も映ることのなかった 無気力な囚人たちの目は→ 290 00:20:32,014 --> 00:20:34,483 己の罪を受け止め 懺悔するため→ 291 00:20:34,483 --> 00:20:38,170 過去を そして罪を償い更生するため→ 292 00:20:38,170 --> 00:20:40,522 明日を見つめはじめる。 293 00:20:40,522 --> 00:20:43,459 そんな囚人との交流のなかで 看守たちは→ 294 00:20:43,459 --> 00:20:46,011 人を見捨てるのではなく→ 295 00:20:46,011 --> 00:20:49,965 人を許し 更生させていく 喜びを知っていく。 296 00:20:49,965 --> 00:20:54,687 そして 15年にわたり 自分の罪と向き合うこともなく→ 297 00:20:54,687 --> 00:20:57,673 ひたすら 目の前の困難から逃げようと→ 298 00:20:57,673 --> 00:21:00,173 穴を掘り続けてきた男は…》 299 00:21:02,211 --> 00:21:04,211 《穴を閉じた》 300 00:21:06,198 --> 00:21:09,351 いや~ 今日も よく働いたぜ! 301 00:21:09,351 --> 00:21:11,303 最近 寝つきがよくてさ。 302 00:21:11,303 --> 00:21:14,023 そういや 最近 クソまずい ムショのメシも→ 303 00:21:14,023 --> 00:21:17,459 うまく感じるようになってきたな。 304 00:21:17,459 --> 00:21:20,963 人間は食って働いて寝る生き物だ。 305 00:21:20,963 --> 00:21:23,332 このうち ひとつでも満たされれば→ 306 00:21:23,332 --> 00:21:25,801 他の2つも自然と満たされていく。 307 00:21:25,801 --> 00:21:28,253 (桂)そして この3つが満たされたとき→ 308 00:21:28,253 --> 00:21:31,123 人は生きていることを 実感するんだ。 309 00:21:31,123 --> 00:21:37,162 桂さん… 俺 最近 明日が来るのが 楽しみで しかたないんだ。 310 00:21:37,162 --> 00:21:39,848 虫けらみたいだった 俺たちが→ 311 00:21:39,848 --> 00:21:43,802 1日1日 人間に 近づいていっている気がする。 312 00:21:43,802 --> 00:21:46,522 初めて 生きている気がする。 313 00:21:46,522 --> 00:21:52,127 こんな感情を教えてくれたのは 桂さん… アンタだ。 314 00:21:52,127 --> 00:21:56,665 (鯱)ありがとうよ 俺たちを人間にしてくれて…。 315 00:21:56,665 --> 00:21:58,667 (泣き声) 316 00:21:58,667 --> 00:22:01,537 (桂)おい! 消灯時間に泣くヤツがあるか。 317 00:22:01,537 --> 00:22:05,137 看守が来たぞ。 うぅ… すまない。 318 00:22:07,176 --> 00:22:10,662 アハハハハハ! 319 00:22:10,662 --> 00:22:14,199 (桂)さぁ 明日に備えて 眠ろう。 320 00:22:14,199 --> 00:22:16,735 食って働いて寝る それが人間だ。 321 00:22:16,735 --> 00:22:19,535 (みんな)おやすみ! 322 00:22:21,507 --> 00:22:24,526 (桂)どうした? 末吉殿。 まだ 眠れんか? 323 00:22:24,526 --> 00:22:26,979 アンタ 革命家って言ってたけど→ 324 00:22:26,979 --> 00:22:30,015 何やって こんな所へ 入れられたんだい? 325 00:22:30,015 --> 00:22:34,086 アンタが犯した罪ってのを 聞いてみたいもんだね。 326 00:22:34,086 --> 00:22:39,341 (桂)俺は 罪など犯していない。 ここへは自分の意志で入ってきた。 327 00:22:39,341 --> 00:22:41,844 えっ!? 何をしに? 328 00:22:41,844 --> 00:22:44,997 (桂)決まっている。 俺は革命家だぞ。 329 00:22:44,997 --> 00:22:49,097 地獄を革命しにきたのさ。 330 00:22:51,170 --> 00:22:55,124 アハハハハハ! そいつはいいや。 でかくでたね! 331 00:22:55,124 --> 00:22:59,178 末吉殿… 俺は 何か変えられたか? 332 00:22:59,178 --> 00:23:04,833 さぁね よくわからんが… 少なくとも 俺は変わったよ。 333 00:23:04,833 --> 00:23:07,833 不眠症が治った。 334 00:23:09,872 --> 00:23:13,142 《末吉:俺は 新しい穴を掘ることに決めた。 335 00:23:13,142 --> 00:23:16,562 いつ 開通するかもわからない 長いトンネル。 336 00:23:16,562 --> 00:23:20,866 そう… 明日へとつながるトンネルだ。 337 00:23:20,866 --> 00:23:24,887 逃げ道は もういらない。 明日を目指して 戦おう。 338 00:23:24,887 --> 00:23:30,887 ヤツとなら… あの男となら きっと たどり着ける》 339 00:23:35,697 --> 00:23:39,618 《ようやく眠ったか。 手こずらせおって》 340 00:23:39,618 --> 00:23:41,618 (桂)待たせたな。 341 00:23:46,024 --> 00:23:48,627 《桂:スキのない 手強い相手だった。 342 00:23:48,627 --> 00:23:51,680 脱出口は とっくに 確保していたというのに→ 343 00:23:51,680 --> 00:23:55,100 まさか 不眠症の男が 向かいの部屋とは。 344 00:23:55,100 --> 00:23:57,352 しかし 俺にかかれば こんなものよ。 345 00:23:57,352 --> 00:24:01,790 俺の芝居にだまされ 完全に 警戒を解いてしまったようだな。 346 00:24:01,790 --> 00:24:06,895 俺の消えた牢屋を見たときの ヤツらのアホヅラが見たかったが残念だ。 347 00:24:06,895 --> 00:24:11,695 さらばだ。 キサマらは 永遠に 鎖につながれているといい》 348 00:24:14,236 --> 00:24:18,836 《視線!? バカな! いや 見ている。 誰か こっちを見ている!!》 349 00:24:20,843 --> 00:24:25,514 《よし ようやく眠ったようだな。 手こずらせやがって。 350 00:24:25,514 --> 00:24:27,850 スキがあるようでない 手強い相手だった。 351 00:24:27,850 --> 00:24:30,235 脱出口は とっくに 確保していたというのに→ 352 00:24:30,235 --> 00:24:32,235 警戒心を解くのに 手間取っちまった》 353 00:24:34,156 --> 00:24:39,194 《視線!? バカな! いや 見ている。 誰か こっちを見ている!!》 354 00:24:39,194 --> 00:24:42,648 《よし ようやく眠ったか。 手こずらせ… あっ!》 355 00:24:42,648 --> 00:24:45,234 《よし ようやく眠ったか… あっ!》 356 00:24:45,234 --> 00:24:51,234 《よし》 《よし》 357 00:24:55,210 --> 00:24:59,164 先輩! なんか 島に いっぱい 穴 開いてるんですけど。 358 00:24:59,164 --> 00:25:02,964 あぁ? 埋めとけ 埋めとけ。