1 00:01:40,943 --> 00:01:43,462 (役人)見えてきたぜ 獄門島! 2 00:01:43,462 --> 00:01:46,465 (役人)古今東西 手のつけられない悪党どもが➡ 3 00:01:46,465 --> 00:01:49,785 最後に流れ着く最凶最悪の監獄。 4 00:01:49,785 --> 00:01:53,639 島ひとつ 丸ごと 監獄の体をなす鋼の要塞。 5 00:01:53,639 --> 00:01:57,443 一度 入ったら最後 二度と 日の光を浴びることは叶わない➡ 6 00:01:57,443 --> 00:01:59,962 この世に現存する冥府…。 7 00:01:59,962 --> 00:02:02,781 (役人)あれが 今日から テメエの住まいだ。 8 00:02:02,781 --> 00:02:04,800 せいぜい 今のうちに➡ 9 00:02:04,800 --> 00:02:08,120 お天道様との別れを 惜しんでおくことだ。 10 00:02:08,120 --> 00:02:12,141 (桂)心配いらん。 日の神 天照から八百万の神まで➡ 11 00:02:12,141 --> 00:02:14,777 すでに別れは済ませてある。 12 00:02:14,777 --> 00:02:19,765 (桂)毎朝 朝飯とともに 死ぬる覚悟を決するが男子たる者。 13 00:02:19,765 --> 00:02:23,602 オレにとっても 今日は なんら特別な日ではないぞ。 14 00:02:23,602 --> 00:02:27,002 フハハハハ…。 15 00:02:29,008 --> 00:02:31,460 《末吉:世界は広いなどというが➡ 16 00:02:31,460 --> 00:02:35,965 オレの世界は 長らく この狭い監獄のなかだけだった。 17 00:02:35,965 --> 00:02:41,453 (末吉)鉄格子越しに見える景色… それが オレの世界のすべてだった。 18 00:02:41,453 --> 00:02:46,458 カビ臭いハコのなかで ただ 心が 腐っていくのを待つだけの日々。 19 00:02:46,458 --> 00:02:49,461 何度 心が 折れそうになったかしれない。 20 00:02:49,461 --> 00:02:53,761 だが ついに そんな日々とも お別れするときがきたのだ!》 21 00:02:59,605 --> 00:03:02,942 《末吉:そう… そこには 鉄格子などない➡ 22 00:03:02,942 --> 00:03:05,794 果てしなく広がる 美しい世界があった。 23 00:03:05,794 --> 00:03:08,314 (末吉)そこから見える景色…。 24 00:03:08,314 --> 00:03:11,514 それが オレの欲しかった すべてだった》 25 00:03:18,440 --> 00:03:21,126 《ついに… ついに やった。 26 00:03:21,126 --> 00:03:24,630 あそこまで掘るのに 15年… 15年 かかった。 27 00:03:24,630 --> 00:03:27,633 長年かけて 看守どもの行動パターン➡ 28 00:03:27,633 --> 00:03:31,770 そして 隣の囚人たちが 眠る時間帯を頭に叩き込み➡ 29 00:03:31,770 --> 00:03:34,807 その 2つのスキが重なる わずかな時に➡ 30 00:03:34,807 --> 00:03:39,445 毎日 少しずつ岩と土を削る。 そんな作業を15年…。 31 00:03:39,445 --> 00:03:44,967 ついに 難攻不落といわれた 獄門島を脱出する日…。 32 00:03:44,967 --> 00:03:49,471 我ながら よくやった。 末吉。 執念だな…。 33 00:03:49,471 --> 00:03:54,443 あとは いつ脱出に乗り出すかだ。 焦っては いけない。 34 00:03:54,443 --> 00:03:57,813 (末吉)時間は いつものように 囚人たちが寝静まった明け方近く。 35 00:03:57,813 --> 00:04:00,816 日取りは海が穏やかなときがいい。 36 00:04:00,816 --> 00:04:03,302 脱出口は すでに確保してある。 37 00:04:03,302 --> 00:04:07,690 慎重に… 確実に脱出できる日を 選んで決行しよう。 38 00:04:07,690 --> 00:04:12,311 最も警戒すべき向かいの獄舎は 幸い 今は空き部屋。 39 00:04:12,311 --> 00:04:16,949 あれに囚人が来る前に 決行できれば… 問題ない》 40 00:04:16,949 --> 00:04:21,820 (桂)む… 起きたか。 おはよう。 いい朝だな。 41 00:04:21,820 --> 00:04:25,958 すまぬ。 紹介 遅れた。 寝てたようだったから。 42 00:04:25,958 --> 00:04:30,312 今日から入った 囚人番号 は-206の桂だ。 43 00:04:30,312 --> 00:04:32,798 お向かい同士 よろしく。 44 00:04:32,798 --> 00:04:36,151 《なんでぇ~!? 昨日まで もぬけの空だったのに➡ 45 00:04:36,151 --> 00:04:38,787 よりによって このタイミングで新入りだと!?》 46 00:04:38,787 --> 00:04:41,457 あの これ つまらないものですが…。 47 00:04:41,457 --> 00:04:44,460 攘夷志士タオルだ。 シミ汚れなどが よく拭き取れるぞ。 48 00:04:44,460 --> 00:04:47,980 ただし 世の中のな。 ハハ… 攘夷だけに。 49 00:04:47,980 --> 00:04:51,283 《ま… まずいぞ。 向かいの牢屋から オレの牢屋は➡ 50 00:04:51,283 --> 00:04:54,119 死角なしの丸見え! ここまで 作業を進められたのも➡ 51 00:04:54,119 --> 00:04:56,972 向かいの囚人不在だったことが 大きかったのに…。 52 00:04:56,972 --> 00:04:59,458 ここまできて まさか こんな…。 53 00:04:59,458 --> 00:05:01,960 しかも 超うざそうなんだけど コイツ…》 54 00:05:01,960 --> 00:05:05,647 あの これ 攘夷志士タオルだ。 シミ汚れなどが よくとれるぞ。 55 00:05:05,647 --> 00:05:08,283 ただし 世の中のな。 ハハ… 攘夷だけに。 56 00:05:08,283 --> 00:05:10,953 《末吉:さっきの聞こえなかったと 思って もう1回 言ってるよ! 57 00:05:10,953 --> 00:05:13,956 聞こえてるよ!! うけねえよ 何回 言っても! 58 00:05:13,956 --> 00:05:16,959 落ち着け… あとオレに必要なのは➡ 59 00:05:16,959 --> 00:05:20,462 トンネルをくぐり 島を脱出する機会 一度だけ。 60 00:05:20,462 --> 00:05:25,150 真正面 向かいの部屋とはいえ 24時間いれば スキも必ずできる。 61 00:05:25,150 --> 00:05:29,150 この際 日取りは選んでられない。 スキが でき次第…》 62 00:05:31,123 --> 00:05:34,476 《末吉:幸い ここの労働は 囚人を いたぶることを目的とした➡ 63 00:05:34,476 --> 00:05:37,963 地獄の苦行。 最初の夜は 獄舎に帰り次第➡ 64 00:05:37,963 --> 00:05:41,984 気絶するように 眠ってしまうのが常…。 65 00:05:41,984 --> 00:05:46,984 勝負は 今晩… ヤツが 疲れ果てて眠ったあとだ》 66 00:05:48,974 --> 00:05:52,661 (いびき) 67 00:05:52,661 --> 00:05:54,646 《末吉:ヘッ… 思ったとおりだ。 68 00:05:54,646 --> 00:05:56,982 暗くて よく見えんが このいびき…➡ 69 00:05:56,982 --> 00:05:59,582 ちょっとやそっとの音では 起きそうもないな…》 70 00:06:01,637 --> 00:06:03,639 《視線!? バ… バカな! 71 00:06:03,639 --> 00:06:05,974 いや 見ている! あの男 こっちを見ている! 72 00:06:05,974 --> 00:06:07,960 そんな… まさか!》 73 00:06:07,960 --> 00:06:09,978 (いびき) 74 00:06:09,978 --> 00:06:12,798 《どんな寝顔してんだぁ! 75 00:06:12,798 --> 00:06:15,284 やばいよ これ! 瞼 半開きは 聞いたことあるけど➡ 76 00:06:15,284 --> 00:06:17,619 全開だよ 瞳孔が! 眼球 カッサカサだよ! 77 00:06:17,619 --> 00:06:19,655 メッチャこっち見てんだけど! 78 00:06:19,655 --> 00:06:21,640 カッサカサの眼球で メッチャこっち見てんだけど! 79 00:06:21,640 --> 00:06:23,659 なんつう 紛らわしい寝顔してんだ! 80 00:06:23,659 --> 00:06:26,145 ビックリした… 大丈夫だよね これ。 81 00:06:26,145 --> 00:06:28,664 ホント寝てるよね これ!? いびき かいてるし…》 82 00:06:28,664 --> 00:06:31,667 (いびき) 83 00:06:31,667 --> 00:06:33,652 《あれ? なんか やっぱ これ起きてない? 84 00:06:33,652 --> 00:06:36,472 これ 大丈夫だよね? いや これ起きてない? 85 00:06:36,472 --> 00:06:38,991 やっぱ これ起きてない? ダメだ このままじゃ! 86 00:06:38,991 --> 00:06:41,326 思いきって確かめてみよう!》 87 00:06:41,326 --> 00:06:43,312 か… 桂さ~ん! 88 00:06:43,312 --> 00:06:46,665 う~ん…。 89 00:06:46,665 --> 00:06:48,650 《大丈夫だ やっぱ寝てる! 90 00:06:48,650 --> 00:06:52,821 よし これならいけ… って やっぱ起きてんだろ これ!? 91 00:06:52,821 --> 00:06:55,157 なんで クラウチングスタートしながら 寝てんだぁ!? 92 00:06:55,157 --> 00:06:57,643 これ 寝てねえだろ! だって クラウチングスタートだもの! 93 00:06:57,643 --> 00:06:59,978 どこかに走り出すつもりだもの! 94 00:06:59,978 --> 00:07:03,348 どうすんだ これ!? さらに ややこしいことになっちゃったよ。 95 00:07:03,348 --> 00:07:08,470 いびきかいてるけど いや でも いや 待て… いや でも…》 96 00:07:08,470 --> 00:07:11,990 (桂)どうした 末吉殿? 昨日は眠れなかったのか? 97 00:07:11,990 --> 00:07:15,978 いかんぞ そんなことでは ここの重労働には耐え切れまい。 98 00:07:15,978 --> 00:07:17,980 《末吉:誰のせいだと思ってんだ! 99 00:07:17,980 --> 00:07:19,965 完全に騙された! 100 00:07:19,965 --> 00:07:22,968 まさか 世の中に あんな 寝相の悪いヤツがいたなんて。 101 00:07:22,968 --> 00:07:26,321 こんな生活が続けば 体力が消耗していくだけだ! 102 00:07:26,321 --> 00:07:28,307 早急に解決せねば! 103 00:07:28,307 --> 00:07:30,609 先手を打とう!》 104 00:07:30,609 --> 00:07:33,462 (看守)消灯! 105 00:07:33,462 --> 00:07:35,480 《末吉:眠らせる必要はない。 106 00:07:35,480 --> 00:07:38,483 要は 脱出できるだけの スキを作らせればいいんだ》 107 00:07:38,483 --> 00:07:41,470 いやぁ 最近 寝れなくて まいってんだよね! 108 00:07:41,470 --> 00:07:44,156 どうやったら寝られるかなぁ? 109 00:07:44,156 --> 00:07:46,491 (桂)ウノでもやるか? 強いぞ オレは! 110 00:07:46,491 --> 00:07:49,811 いや 寝ないと明日に響くし! (桂)そうか 強いぞ? 111 00:07:49,811 --> 00:07:51,980 いや もっと ベーシックなやつない? 112 00:07:51,980 --> 00:07:54,800 そうだ! ひつじ数えないか? 桂さん! 113 00:07:54,800 --> 00:07:57,836 目をつむって ひつじを数えると 眠れるっていうじゃないか! 114 00:07:57,836 --> 00:08:01,306 (桂)そうか? ウノのほうが いいだろう。 強いぞ! 115 00:08:01,306 --> 00:08:03,792 いや 逆に 目 覚めちゃいそうだから! 116 00:08:03,792 --> 00:08:05,811 (末吉)じゃあ 一緒に 目をつぶって➡ 117 00:08:05,811 --> 00:08:10,315 ひつじを1匹ずつ数えていこう。 いいね? はい ひつじが1匹! 118 00:08:10,315 --> 00:08:12,834 (桂)ひつじが2匹 ひつじが3匹。 119 00:08:12,834 --> 00:08:16,305 《よし! これで ヤツは 朝まで目を開けることはない。 120 00:08:16,305 --> 00:08:20,325 しかも うまくいけば このまま 眠りにつなげることができる! 121 00:08:20,325 --> 00:08:22,644 だが まだ行動は せんほうがいいな。 122 00:08:22,644 --> 00:08:24,980 20匹ぐらいまでは 一応 様子を見ておこう》 123 00:08:24,980 --> 00:08:26,999 ひつじが11匹…。 124 00:08:26,999 --> 00:08:31,999 ひつじが12匹 ひつじが13…。 125 00:08:34,973 --> 00:08:36,975 ((何やってんのよ 松子のヤツ! 126 00:08:36,975 --> 00:08:39,978 早く跳べよ! あと つっかえてんだから! 127 00:08:39,978 --> 00:08:42,578 どうした 松原 足でもくじいたか!? 128 00:08:44,633 --> 00:08:47,669 (松子)エヘッ… テントウムシいたから。 129 00:08:47,669 --> 00:08:50,489 ったく お前ってヤツは…。 130 00:08:50,489 --> 00:08:55,978 (桂)松原 松子… いつだって アイツは そうやって笑ってた。 131 00:08:55,978 --> 00:09:01,667 本当は誰より高く跳べるのに そうやって いつも笑ってた。 132 00:09:01,667 --> 00:09:05,337 以上 今回の大会 スタメンは この5人でいく。 133 00:09:05,337 --> 00:09:07,322 お前ら3年 最後の大会だ。 134 00:09:07,322 --> 00:09:09,808 悔いのないよう頑張れ。 はい! 135 00:09:09,808 --> 00:09:14,479 ねぇ 松原先輩 スタメン落ちだって。 最後の試合なのにね! 136 00:09:14,479 --> 00:09:16,982 最近 練習 全然きてなかったじゃん! 137 00:09:16,982 --> 00:09:18,984 つうか 今日もいないし。 138 00:09:18,984 --> 00:09:21,987 なんか男できたって ウワサよ! 3年の藤村先輩! 139 00:09:21,987 --> 00:09:24,323 まとわりつかれてるだけでしょ? 140 00:09:24,323 --> 00:09:26,341 でも よかったじゃない 杉山先輩。 141 00:09:26,341 --> 00:09:28,310 普通にやったって松原先輩には…。 142 00:09:28,310 --> 00:09:31,313 ちょっと! 声大きいわよ! 143 00:09:31,313 --> 00:09:33,632 (杉山)先生! ん…? 144 00:09:33,632 --> 00:09:35,932 ちょっと 話いいですか? 145 00:09:37,970 --> 00:09:39,838 (杉山)どういうことなんですか!? 146 00:09:39,838 --> 00:09:41,823 なんで 松子が スタメンにいないんですか!? 147 00:09:41,823 --> 00:09:43,825 うちのエースでしょ!? 148 00:09:43,825 --> 00:09:46,495 私 松子のおこぼれで スタメンのユニフォーム着れたって➡ 149 00:09:46,495 --> 00:09:50,165 嬉しくありません! これ 返します。 150 00:09:50,165 --> 00:09:53,165 (桂)やめたよ… アイツ。 151 00:09:55,137 --> 00:09:59,308 松子のポジションやれんのは うちには お前しかいない。 152 00:09:59,308 --> 00:10:02,344 それは 3年間 アイツと競いあってきた➡ 153 00:10:02,344 --> 00:10:05,347 ライバルのお前が いちばん知ってるだろう。 154 00:10:05,347 --> 00:10:08,667 (杉山)だからこそ 勝って 奪いたかった。 155 00:10:08,667 --> 00:10:13,322 親友だからこそ 戦って 勝ち取りたかった。 156 00:10:13,322 --> 00:10:20,996 ♪♪~ 157 00:10:20,996 --> 00:10:24,596 《桂:杉山… すまない》 158 00:10:32,641 --> 00:10:37,029 (杉山)アンタなんかに 私 負けないから! 159 00:10:37,029 --> 00:10:41,400 絶対 アンタより たくさん 点入れて アンタより活躍して➡ 160 00:10:41,400 --> 00:10:43,985 試合に勝ってやるんだから! 161 00:10:43,985 --> 00:10:48,340 ♪♪~ 162 00:10:48,340 --> 00:10:52,677 《桂:杉山… アイツな…。 163 00:10:52,677 --> 00:10:59,668 アイツ… お前の体のこと 知っちまったんだよ。 164 00:10:59,668 --> 00:11:08,068 本当は アイツ… 誰よりも 何よりも 高く 跳びたいんだよ》 165 00:11:10,145 --> 00:11:12,013 (桂)おい 杉山は まだか? 166 00:11:12,013 --> 00:11:15,000 試合まで あと30分だってのに 何やってんだ アイツ…。 167 00:11:15,000 --> 00:11:18,987 (部員)先生! 杉山先輩の お母さんから 今 電話が! 168 00:11:18,987 --> 00:11:23,987 (部員)先輩 ここに来る途中 倒れて 病院 運ばれたって…。 169 00:11:27,012 --> 00:11:32,812 バカ… アンタ 来るとこ 間違ってんじゃないの? 170 00:11:35,504 --> 00:11:37,989 間違ってない。 171 00:11:37,989 --> 00:11:41,489 ユニフォーム… 取りにきただけよ。 172 00:11:43,662 --> 00:11:46,331 それで… いいのよ。 173 00:11:46,331 --> 00:11:51,031 (杉山)それでこそ… 私のライバル。 174 00:11:53,822 --> 00:11:59,494 《杉山:松子… 私 ホントは アンタと同じポジションにしたこと➡ 175 00:11:59,494 --> 00:12:01,980 後悔してるんだ。 176 00:12:01,980 --> 00:12:07,002 私 ホントは… ライバルだとか そんなの どうでもいいの》 177 00:12:07,002 --> 00:12:16,002 ただ アンタと… アンタと一緒に 同じコートに立ちたかった。 178 00:12:18,663 --> 00:12:22,667 (桂)その夏… 本当の優しさを 知った彼女は➡ 179 00:12:22,667 --> 00:12:25,567 誰よりも 何よりも…。 180 00:12:28,657 --> 00:12:31,326 (桂)高く 跳んだ)) 181 00:12:31,326 --> 00:12:35,626 ひ… ひつじが 13匹~! 182 00:12:39,334 --> 00:12:41,634 (末吉)なげぇよ! 183 00:12:48,026 --> 00:12:51,346 (桂)どうした? 末吉殿。 昨日も眠れなかったのか? 184 00:12:51,346 --> 00:12:53,331 いかんぞ そんなことでは。 185 00:12:53,331 --> 00:12:55,667 ここのところ ずっと その調子ではないか。 186 00:12:55,667 --> 00:12:58,670 《クソ! あとは あの穴を抜け➡ 187 00:12:58,670 --> 00:13:01,523 この島から脱出すれば 自由が得られるのに…。 188 00:13:01,523 --> 00:13:04,526 どうして そんな簡単なことが できないんだ…。 189 00:13:04,526 --> 00:13:07,195 すべての元凶は この男…。 190 00:13:07,195 --> 00:13:09,531 一見 スキのないように見えて スキだらけ。 191 00:13:09,531 --> 00:13:12,350 しかし スキにつけいるやいなや 転じて 牙をむくと見せて➡ 192 00:13:12,350 --> 00:13:16,021 実は まだ スキだという… 無限地獄のような男。 193 00:13:16,021 --> 00:13:19,374 コイツが 向かいの牢屋にいるかぎり 脱獄は ムリだ。 194 00:13:19,374 --> 00:13:22,374 スキをつくなどと 甘っちょろい 考えは もう捨てよう》 195 00:13:24,329 --> 00:13:27,682 《消すんだ! この男を消さねば オレに 自由はない! 196 00:13:27,682 --> 00:13:29,701 しかし どうやって…》 197 00:13:29,701 --> 00:13:33,355 (鯱)おい! オメエか? 最近 入った 新入りってのは。 198 00:13:33,355 --> 00:13:37,342 (鯱)ずいぶんと 甘ったれたツラの ヤツが 入ってきたもんだ。 199 00:13:37,342 --> 00:13:41,363 お坊ちゃん 何をやって こんな所に入れられたのかな? 200 00:13:41,363 --> 00:13:43,348 《あれは… 鯱! 201 00:13:43,348 --> 00:13:47,369 強盗 殺人 誘拐… あまたの罪状を持つ 犯罪王。 202 00:13:47,369 --> 00:13:51,022 囚人たちのボス 人斬り鯱!》 203 00:13:51,022 --> 00:13:53,375 (鯱)おい… なんだ その目は。 204 00:13:53,375 --> 00:13:57,028 なに見てんだ コラ! あぁ!? ケンカ売ってんのか!? 205 00:13:57,028 --> 00:13:59,014 《末吉:やめろ! 面倒ごとに巻き込むな!》 206 00:13:59,014 --> 00:14:01,850 いや すまない。 気分を害してしまったか。 207 00:14:01,850 --> 00:14:05,186 悪かった。 ちょっと 気になることがあったんでな。 208 00:14:05,186 --> 00:14:07,505 《末吉:そうだ おとなしくしとけ。 ソイツに逆らうな》 209 00:14:07,505 --> 00:14:11,205 あの… 着物 破れてますよ。 210 00:14:13,011 --> 00:14:15,030 《ファッション! 211 00:14:15,030 --> 00:14:18,033 それ ファッションだから! ワイルドさを出すための ファッションだよ》 212 00:14:18,033 --> 00:14:20,669 あ… あと 顔に 落書きされてますよ。 213 00:14:20,669 --> 00:14:23,338 寝てる間に イタズラされたんじゃないかな? 214 00:14:23,338 --> 00:14:26,524 (手下)おちょくってんのか! これは こういう仕様なんじゃ ボケ。 215 00:14:26,524 --> 00:14:29,527 え? これ わざと こういう感じにしてるんですか? 216 00:14:29,527 --> 00:14:33,031 わざわざ 自分で ここ ギザギザに切ったんですか…。 217 00:14:33,031 --> 00:14:35,016 《末吉:やめろ! そこは 深く触れてやるなよ! 218 00:14:35,016 --> 00:14:37,018 そこは そっとしておいてやろうや!》 219 00:14:37,018 --> 00:14:41,339 別に… なんか 袖が邪魔だったから➡ 220 00:14:41,339 --> 00:14:44,676 ちぎったら なんか こんなふうになっちゃった…。 221 00:14:44,676 --> 00:14:46,711 《末吉:鯱! もう完全に➡ 222 00:14:46,711 --> 00:14:49,014 鯱 照れちゃってるよ! 面目 丸つぶれだよ!》 223 00:14:49,014 --> 00:14:51,700 おい 何やってる 静かに食事しろ! 224 00:14:51,700 --> 00:14:54,369 チッ テメエら覚えとけよ。 225 00:14:54,369 --> 00:14:58,023 《テメエら 「ら」って何? オレも 一緒に目つけられちゃったよ! 226 00:14:58,023 --> 00:15:01,376 最悪だ。 今まで脱獄を ジャマされないため➡ 227 00:15:01,376 --> 00:15:03,695 目立たずひっそり生きてきたのに。 228 00:15:03,695 --> 00:15:07,195 もうおしまいだ。 あんな連中に 目をつけられてしまったら…》 229 00:15:09,217 --> 00:15:12,037 《いや 待て。 このピンチ利用しよう。 230 00:15:12,037 --> 00:15:15,507 オレが手引きして 鯱にあの男を差し出す。 231 00:15:15,507 --> 00:15:19,361 鯱に恩を売れるうえ あの男を 亡き者にできる。 232 00:15:19,361 --> 00:15:21,696 一石二鳥だ。 233 00:15:21,696 --> 00:15:24,032 まずは鯱の一味に近づかなくては。 234 00:15:24,032 --> 00:15:26,868 うえっ! 完全に敵意むきだしだ。 235 00:15:26,868 --> 00:15:31,373 仕方ない。 まずは仲間であることを示そう》 236 00:15:31,373 --> 00:15:34,042 なに 鯱に会いてえだ? 237 00:15:34,042 --> 00:15:38,380 あぁ オレはキミたちに敵意はないと いうことを わかってほしくてな。 238 00:15:38,380 --> 00:15:41,866 あのふざけた男は オレの仲間でも何でもないんだ。 239 00:15:41,866 --> 00:15:45,203 そういやテメエは あのとき ボーっと見てただけだったな。 240 00:15:45,203 --> 00:15:48,023 鯱さん 末吉のヤツが 会いたがってますが。 241 00:15:48,023 --> 00:15:51,860 《よし 完璧だ。 やはりこの ギザギザノースリーブが…》 242 00:15:51,860 --> 00:15:54,195 (鯱)何だよ 何の用だよ。 243 00:15:54,195 --> 00:15:57,015 ほっとけよ。 もうオレのことなんか ほっとけよ! 244 00:15:57,015 --> 00:16:01,369 《鯱! ギザギザノースリーブの ギザギザ部分を 全部カットしている!》 245 00:16:01,369 --> 00:16:03,672 あれから ずっとあの調子なんだ。 246 00:16:03,672 --> 00:16:06,341 すべての着物の ギザギザ部分をカットし始めて…。 247 00:16:06,341 --> 00:16:08,360 やめてくれ 鯱 かっこいいよ! 248 00:16:08,360 --> 00:16:11,029 心配しなくても そのギザギザかっこいいよ! 249 00:16:11,029 --> 00:16:15,016 かっこいいとか かっこ悪いとか別に関係ないし。 250 00:16:15,016 --> 00:16:19,371 別にオレ そういうの意識して これ着てたわけじゃないし。 251 00:16:19,371 --> 00:16:22,040 ギザギザなんか もう二度と着ねえし! 252 00:16:22,040 --> 00:16:24,025 《末吉:めんどくせえよ 鯱 超めんどくせえよ。 253 00:16:24,025 --> 00:16:26,027 どんだけ繊細なんだよ!》 254 00:16:26,027 --> 00:16:29,397 言っとくけど この前髪もギザギザ 意識したわけじゃないからね! 255 00:16:29,397 --> 00:16:32,367 違うかんね! あ~ もうこれも切る 切るっ! 256 00:16:32,367 --> 00:16:35,036 やめろ 鯱! そのギザギザだけは! 257 00:16:35,036 --> 00:16:38,723 おい テメエ それ何着てんだ! 258 00:16:38,723 --> 00:16:40,692 《しまった! この状況で この格好は➡ 259 00:16:40,692 --> 00:16:42,677 おちょくりにしか見えない》 260 00:16:42,677 --> 00:16:45,377 ここにもあった ギザギザ! 261 00:16:51,703 --> 00:16:54,355 ケガはないか? 末吉殿。 えっ? あぁ。 262 00:16:54,355 --> 00:16:58,343 キサマら 末吉殿の袖まで こんなギザギザに。 恥をしれ! 263 00:16:58,343 --> 00:17:01,880 いや ソイツ最初からギザギザだったよ! オレたちじゃねえよ! 264 00:17:01,880 --> 00:17:04,349 (桂)黙れ! 何だこの三角の切れ端は。 265 00:17:04,349 --> 00:17:06,718 (桂)ギザギザの証拠だろうが! (手下)違うそれ 鯱のギザ…。 266 00:17:06,718 --> 00:17:09,718 黙れ! (手下たち)ギャーッ! 267 00:17:14,159 --> 00:17:17,479 (桂)どうした 末吉殿。 また昨日も眠れなかったのか? 268 00:17:17,479 --> 00:17:20,782 桂さん オレたち 隣で朝までウノやってたから➡ 269 00:17:20,782 --> 00:17:22,700 うるさくて 眠れなかったんすよ きっと。 270 00:17:22,700 --> 00:17:25,336 すみません 末吉さん。 ウノ盛り上がっちゃって。 271 00:17:25,336 --> 00:17:28,039 (鯱)だって 桂さん めっちゃ強いんですもん。 272 00:17:28,039 --> 00:17:30,391 (桂)いや 鯱 お前が弱すぎるんだ。 273 00:17:30,391 --> 00:17:33,378 (手下)そうだよ 鯱 お前弱すぎ! 274 00:17:33,378 --> 00:17:36,030 《何でだ 何でこんなことになるんだ? 275 00:17:36,030 --> 00:17:39,534 亡き者にするどころか 更に勢力 拡大してるじゃねえか!》 276 00:17:39,534 --> 00:17:42,353 よし みんな そろそろ仕事に行くぞ。 277 00:17:42,353 --> 00:17:44,372 (みんな)へい! 278 00:17:44,372 --> 00:17:46,341 《末吉:完全に ムショのトップじゃねえか!》 279 00:17:46,341 --> 00:17:49,043 いってらっしゃいませ 桂殿。 うん。 280 00:17:49,043 --> 00:17:51,379 《末吉: 何で看守まで手なずけてんだ? 281 00:17:51,379 --> 00:17:54,349 何者だ この男。 たった数日で➡ 282 00:17:54,349 --> 00:17:57,018 この地獄の 監獄を掌握してしまうとは…。 283 00:17:57,018 --> 00:17:59,854 オレは ひょっとして とてつもない男に➡ 284 00:17:59,854 --> 00:18:01,856 勝負を挑んでいたのかもしれん。 285 00:18:01,856 --> 00:18:05,360 オレは 目の前の 壁の大きさを痛感しながらも➡ 286 00:18:05,360 --> 00:18:08,029 不思議と絶望はしていなかった。 287 00:18:08,029 --> 00:18:10,381 地獄と呼ばれた この獄門島は➡ 288 00:18:10,381 --> 00:18:13,234 あの男によって 次第に変わっていった。 289 00:18:13,234 --> 00:18:18,022 過酷な労働は 働く喜びを 身に感じさせてくれる。 290 00:18:18,022 --> 00:18:20,375 辛くとも やりがいのあるものへと変わり➡ 291 00:18:20,375 --> 00:18:24,028 何も映ることのなかった 無気力な囚人たちの目は➡ 292 00:18:24,028 --> 00:18:26,548 己の罪を受け止め 懺悔するため➡ 293 00:18:26,548 --> 00:18:30,201 過去を そして罪を償い更生するため➡ 294 00:18:30,201 --> 00:18:32,554 明日を見つめはじめる。 295 00:18:32,554 --> 00:18:36,024 そんな囚人との交流のなかで 看守たちは➡ 296 00:18:36,024 --> 00:18:41,546 人を見捨てるのではなく 人を許し 更生させていく喜びを知っていく。 297 00:18:41,546 --> 00:18:47,552 そして 15年にわたり 自分の罪と向き合うこともなく➡ 298 00:18:47,552 --> 00:18:50,555 ひたすら 目の前の困難から逃げようと➡ 299 00:18:50,555 --> 00:18:53,055 穴を掘り続けてきた男は…》 300 00:18:55,043 --> 00:18:57,043 《穴を閉じた》 301 00:18:59,047 --> 00:19:02,183 (囚人)いや~ 今日も よく働いたぜ! 302 00:19:02,183 --> 00:19:04,202 最近 寝つきがよくてさ。 303 00:19:04,202 --> 00:19:06,871 (囚人)そういや 最近 クソまずい ムショのメシも➡ 304 00:19:06,871 --> 00:19:10,375 うまく感じるようになってきたな。 305 00:19:10,375 --> 00:19:13,344 人間は食って働いて寝る生き物だ。 306 00:19:13,344 --> 00:19:18,716 このうち ひとつでも満たされれば 他の2つも自然と満たされていく。 307 00:19:18,716 --> 00:19:21,035 (桂)そして この3つが満たされたとき➡ 308 00:19:21,035 --> 00:19:24,038 人は生きていることを 実感するんだ。 309 00:19:24,038 --> 00:19:30,028 桂さん… オレ 最近 明日が来るのが 楽しみで しかたないんだ。 310 00:19:30,028 --> 00:19:32,697 虫けらみたいだった オレたちが➡ 311 00:19:32,697 --> 00:19:36,701 1日1日 人間に 近づいていっている気がする。 312 00:19:36,701 --> 00:19:39,387 初めて 生きている気がする。 313 00:19:39,387 --> 00:19:45,043 こんな感情を教えてくれたのは 桂さん… アンタだ。 314 00:19:45,043 --> 00:19:49,530 (鯱)ありがとうよ オレたちを人間にしてくれて…。 315 00:19:49,530 --> 00:19:51,549 (泣き声) 316 00:19:51,549 --> 00:19:54,402 (桂)おい! 消灯時間に泣くヤツがあるか。 317 00:19:54,402 --> 00:19:58,102 看守が来たぞ。 うぅ… すまない。 318 00:20:00,041 --> 00:20:03,544 アハハハハハ! 319 00:20:03,544 --> 00:20:09,550 (桂)さぁ 明日に備えて 眠ろう。 食って働いて寝る それが人間だ。 320 00:20:09,550 --> 00:20:12,350 (みんな)おやすみ! 321 00:20:14,372 --> 00:20:17,375 (桂)どうした? 末吉殿。 まだ 眠れんか? 322 00:20:17,375 --> 00:20:19,861 アンタ 革命家って言ってたけど➡ 323 00:20:19,861 --> 00:20:22,897 何やって こんな所へ 入れられたんだい? 324 00:20:22,897 --> 00:20:26,951 アンタが犯した罪ってのを 聞いてみたいもんだね。 325 00:20:26,951 --> 00:20:32,223 (桂)オレは 罪など犯していない。 ここへは自分の意志で入ってきた。 326 00:20:32,223 --> 00:20:34,726 えっ!? 何をしに? 327 00:20:34,726 --> 00:20:37,895 (桂)決まっている。 オレは革命家だぞ。 328 00:20:37,895 --> 00:20:42,095 地獄を革命しにきたのさ。 329 00:20:44,052 --> 00:20:48,039 (末吉)アハハハハハ! ソイツはいいや。 でかくでたね! 330 00:20:48,039 --> 00:20:52,060 末吉殿… オレは 何か変えられたか? 331 00:20:52,060 --> 00:20:57,699 さぁね よくわからんが… 少なくとも オレは変わったよ。 332 00:20:57,699 --> 00:21:00,699 (末吉)不眠症が治った。 333 00:21:02,704 --> 00:21:06,074 《末吉:オレは 新しい穴を掘ることに決めた。 334 00:21:06,074 --> 00:21:09,394 いつ 開通するかもわからない 長いトンネル。 335 00:21:09,394 --> 00:21:13,781 そう… 明日へとつながるトンネルだ。 336 00:21:13,781 --> 00:21:17,735 逃げ道は もういらない。 明日を目指して 戦おう。 337 00:21:17,735 --> 00:21:23,735 ヤツとなら… あの男となら きっと たどり着ける》 338 00:21:28,546 --> 00:21:32,383 《ようやく眠ったか。 手こずらせおって》 339 00:21:32,383 --> 00:21:34,383 (桂)待たせたな。 340 00:21:38,856 --> 00:21:41,559 《桂:スキのない 手強い相手だった。 341 00:21:41,559 --> 00:21:44,562 脱出口は とっくに 確保していたというのに➡ 342 00:21:44,562 --> 00:21:47,899 まさか 不眠症の男が 向かいの部屋とは。 343 00:21:47,899 --> 00:21:50,201 しかし オレにかかれば こんなものよ。 344 00:21:50,201 --> 00:21:54,739 オレの芝居にだまされ 完全に 警戒を解いてしまったようだな。 345 00:21:54,739 --> 00:21:59,744 オレの消えた牢屋を見たときの ヤツらのアホヅラが見たかったが残念だ。 346 00:21:59,744 --> 00:22:04,644 さらばだ。 キサマらは 永遠に 鎖につながれているといい》 347 00:22:07,151 --> 00:22:11,751 《視線!? バカな! いや 見ている。 誰か こっちを見ている!!》 348 00:22:13,725 --> 00:22:18,379 《よし ようやく眠ったようだな。 手こずらせやがって。 349 00:22:18,379 --> 00:22:20,748 スキがあるようでない 手強い相手だった。 350 00:22:20,748 --> 00:22:23,084 脱出口は とっくに 確保していたというのに➡ 351 00:22:23,084 --> 00:22:25,084 警戒心を解くのに 手間取っちまった》 352 00:22:27,055 --> 00:22:32,060 《視線!? バカな! いや 見ている。 誰か こっちを見ている!!》 353 00:22:32,060 --> 00:22:35,563 《よし ようやく眠ったか。 手こずらせ… あっ!》 354 00:22:35,563 --> 00:22:38,066 《よし ようやく眠ったか… あっ!》 355 00:22:38,066 --> 00:22:44,066 《よし》 《よし》 356 00:22:48,042 --> 00:22:52,063 (役人)先輩! なんか 島に いっぱい 穴 開いてるんですけど。 357 00:22:52,063 --> 00:22:55,663 (役人)あぁ? 埋めとけ 埋めとけ。