1 00:00:06,534 --> 00:00:08,501 カーカー 2 00:00:21,133 --> 00:00:22,834 カー 3 00:00:24,234 --> 00:00:25,167 かきゅかきゅかきゅ 4 00:00:25,267 --> 00:00:27,133 あー 5 00:00:30,434 --> 00:00:33,234 かばねを食らう鬼が出ると聞いてきてみれば 6 00:00:34,133 --> 00:00:35,100 君がそう? 7 00:00:37,133 --> 00:00:41,067 また随分と 可愛い鬼がいたものですね 8 00:00:41,234 --> 00:00:41,834 んっ う 9 00:00:48,067 --> 00:00:50,567 それもかばねからはぎ取ったのですか? 10 00:00:52,601 --> 00:00:55,033 童一人でかばねの身包みを剥ぎ 11 00:00:55,734 --> 00:00:58,200 そうして自分の身を護(まも)ってきたんですか 12 00:00:59,734 --> 00:01:02,734 大したもんじゃないですか だけど 13 00:01:03,701 --> 00:01:06,000 そんな剣 もういりませんよ 14 00:01:09,834 --> 00:01:14,534 人に怯え 自分を護るためだけに振るう剣なんて 15 00:01:14,601 --> 00:01:15,300 んっ? 16 00:01:15,934 --> 00:01:17,501 もう捨てちゃいなさい 17 00:01:19,567 --> 00:01:24,367 ああっ あ お ぐっ あ ううっ う 18 00:01:24,834 --> 00:01:25,300 あ 19 00:01:25,501 --> 00:01:28,300 くれてあげますよ 私の剣 20 00:01:30,968 --> 00:01:33,300 そいつの本当の使い方を知りたきゃあ 21 00:01:33,767 --> 00:01:35,000 ついて来るといい 22 00:03:27,133 --> 00:03:27,634 おい 23 00:03:29,100 --> 00:03:30,934 その手で触れんじゃねえ 24 00:03:31,267 --> 00:03:32,868 この女に触れんじゃねえ 25 00:03:33,601 --> 00:03:34,868 お お前は 26 00:03:38,834 --> 00:03:39,400 うわっ 27 00:03:49,267 --> 00:03:50,400 銀時 28 00:03:53,033 --> 00:03:55,467 あ うああ 29 00:03:56,100 --> 00:03:58,400 あ あ 30 00:03:58,634 --> 00:04:02,200 ぬし なぜ こんな所に 31 00:04:02,968 --> 00:04:03,934 来た? 32 00:04:13,734 --> 00:04:18,100 そんな体で 逃げろといったのに 33 00:04:19,167 --> 00:04:20,267 バカ者め 34 00:04:21,300 --> 00:04:24,033 死にゃあしねえよ おらあ 35 00:04:24,367 --> 00:04:25,234 あ 36 00:04:25,567 --> 00:04:28,667 死にゃあしねえよ 誰も 37 00:04:32,634 --> 00:04:35,734 もうこの吉原で 誰も死なせねえ 38 00:04:38,033 --> 00:04:39,200 俺たちはなあ 39 00:04:41,968 --> 00:04:43,968 お前を一人にはしねえよ 40 00:04:46,467 --> 00:04:49,434 はあっ はっ? 41 00:04:50,467 --> 00:04:54,434 フフフフフ 俺が張った糸をたどり 42 00:04:54,601 --> 00:04:56,334 ここをかぎつけたか 43 00:04:59,701 --> 00:05:01,267 奇特なことだ 44 00:05:02,067 --> 00:05:05,267 蜘蛛の糸を極楽目指して上るどころか 45 00:05:05,834 --> 00:05:08,934 地獄目指して這い上がってくるとは 46 00:05:12,033 --> 00:05:14,734 ちゅっ ずずずーっつつ 47 00:05:14,868 --> 00:05:19,467 お前さんのバカさ加減には 釈迦も閻魔も呆れようて 48 00:05:22,267 --> 00:05:23,400 あ 49 00:05:24,367 --> 00:05:26,000 待て 銀時っ 50 00:05:26,467 --> 00:05:28,601 逃げろなんてもう言わせねえよ 51 00:05:28,634 --> 00:05:29,567 うっ は 52 00:05:31,267 --> 00:05:33,701 1人で何もかも背負い込もうなんざ 53 00:05:34,834 --> 00:05:36,100 水くせえじゃねえか 54 00:05:37,033 --> 00:05:39,400 涙垂れ流して助けを乞いやがれ 55 00:05:39,667 --> 00:05:40,234 うっ うう 56 00:05:40,300 --> 00:05:42,801 鼻水垂れ流して俺にすがりやがれ 57 00:05:44,601 --> 00:05:46,634 泣きてえ時には泣けばいいんだ 58 00:05:47,934 --> 00:05:49,934 笑いたい時には笑えばいいんだ 59 00:05:50,701 --> 00:05:51,367 うう 60 00:05:51,434 --> 00:05:54,033 てめーが醜い面で泣きわめいてる時は 61 00:05:54,734 --> 00:05:56,734 それ以上きたねえ面で泣いてやる 62 00:05:57,400 --> 00:05:58,367 うん ふっ 63 00:05:58,701 --> 00:06:00,968 てめーが腹抱えて笑ってるときゃあ 64 00:06:01,501 --> 00:06:03,868 それ以上バカでかい声で笑ってやる 65 00:06:04,267 --> 00:06:06,734 うん フ 66 00:06:08,234 --> 00:06:10,534 それでいいんだよ 67 00:06:11,501 --> 00:06:15,367 てめーを捨てて潔く綺麗に死んでいくなんてことより 68 00:06:16,133 --> 00:06:19,667 小汚くても てめーらしく生きていくことの方が 69 00:06:20,467 --> 00:06:21,801 よっぽど上等だ 70 00:06:24,267 --> 00:06:26,968 お前が? 荷を負うと? 71 00:06:27,934 --> 00:06:30,901 月詠の荷を お前も共に担うと? 72 00:06:31,300 --> 00:06:34,334 フフフフフ 分からんのか 73 00:06:34,934 --> 00:06:39,167 月詠にとっての荷は お前以外の何物でもない 74 00:06:39,968 --> 00:06:41,300 お前達がいなければ 75 00:06:41,434 --> 00:06:44,300 月詠はこんなに苦しむことは無かった 76 00:06:44,834 --> 00:06:47,767 こんなに醜くなることは無かった 77 00:06:48,267 --> 00:06:49,300 はっ 78 00:06:59,667 --> 00:07:02,133 月詠 腹がすいただろう 79 00:07:02,968 --> 00:07:05,634 今特上の餌を用意してやる 80 00:07:05,968 --> 00:07:08,167 月夜を追い 巣に迷い込んだ 81 00:07:09,133 --> 00:07:11,200 この哀れな虫けらをな 82 00:07:14,133 --> 00:07:14,667 あ 83 00:07:15,234 --> 00:07:18,667 テメーがどこで誰を裏切ろうが構いやしねえ 84 00:07:19,067 --> 00:07:21,701 将軍だろうがどこぞの主君だろうが 85 00:07:22,100 --> 00:07:23,701 どうぞ好きにやりゃあいい 86 00:07:24,567 --> 00:07:28,234 だが一たび師と名乗っておきながら テメー 87 00:07:28,734 --> 00:07:30,100 弟子裏切ったな 88 00:07:32,133 --> 00:07:35,234 ガキん頃からテメーを信じてたこいつを 89 00:07:36,200 --> 00:07:38,667 ずっとテメーを追いかけてたこいつを 90 00:07:39,868 --> 00:07:42,267 テメーは 食いもんにした 91 00:07:43,100 --> 00:07:44,901 そんなもん 師とは呼ばねえ 92 00:07:47,133 --> 00:07:50,033 そんなもん 師弟とは呼ばねえ 93 00:07:51,267 --> 00:07:52,133 消えろ 94 00:07:52,467 --> 00:07:53,000 ん? 95 00:07:55,501 --> 00:07:58,334 こいつの前からさっさと消えろってんだ 96 00:07:58,701 --> 00:07:59,501 腐れ外道 97 00:08:00,300 --> 00:08:01,467 この男 98 00:08:02,200 --> 00:08:03,534 獲物の目ではない 99 00:08:04,501 --> 00:08:06,601 まして餌の目でもない 100 00:08:08,133 --> 00:08:10,367 糸が ふるえる 101 00:08:13,300 --> 00:08:14,934 かつてかかったことのない 102 00:08:14,968 --> 00:08:16,934 得体の知れぬものの侵入に 103 00:08:17,801 --> 00:08:19,567 俺の巣が反応している 104 00:08:20,534 --> 00:08:23,367 あれは あの目は 105 00:08:27,701 --> 00:08:28,367 はっ? 106 00:08:29,567 --> 00:08:33,501 地雷亜 巣にかかったのはテメーの方だ 107 00:08:34,133 --> 00:08:37,734 俺の巣 土足で踏み荒らしたからにゃあ 108 00:08:38,200 --> 00:08:39,801 生きて出られると思うな 109 00:08:40,467 --> 00:08:43,868 薄ぎたねえ体液ぶちまいて くたばりやがれ 110 00:08:45,167 --> 00:08:47,901 フンッ 食い合いか 111 00:08:50,934 --> 00:08:52,000 面白い 112 00:08:53,033 --> 00:08:56,567 どちらが巣の主か その身をもって知るがいい 113 00:08:58,067 --> 00:09:02,667 糸の張る所たとえ幾度なりとも 我が巣となり果てる 114 00:09:13,033 --> 00:09:13,801 うっ 115 00:09:14,067 --> 00:09:17,033 その手負いの身で俺をとらえられるか? 116 00:09:19,567 --> 00:09:22,234 外に逃げるつもりか? 甘いわっ 117 00:09:25,834 --> 00:09:27,501 あめえのはテメーだっ 118 00:09:46,667 --> 00:09:48,033 やっ ぐ う 119 00:09:48,133 --> 00:09:50,000 つーかまえたっ 120 00:09:53,801 --> 00:09:56,167 さあ 晩餐会の時間だ 121 00:09:56,968 --> 00:09:58,734 たらふく食わせてもらうぜっ 122 00:10:01,067 --> 00:10:03,367 そいつの本当の使い方を知りたきゃ 123 00:10:03,968 --> 00:10:05,033 ついて来るといい 124 00:10:06,801 --> 00:10:11,100 これからはそいつをふるい 敵を斬るためではない 125 00:10:11,934 --> 00:10:14,000 弱気己を切るために 126 00:10:14,801 --> 00:10:16,334 己を護るのではない 127 00:10:17,300 --> 00:10:19,834 己の魂を護るために 128 00:10:23,334 --> 00:10:25,801 てえええあああああーっ 129 00:10:33,267 --> 00:10:34,300 ふっ うっ 130 00:10:35,834 --> 00:10:37,200 うあああああーっ 131 00:10:37,234 --> 00:10:38,534 とあああああーっぐっ 132 00:10:42,801 --> 00:10:43,400 ぐうっ 133 00:10:46,167 --> 00:10:47,133 銀時っ 134 00:10:47,868 --> 00:10:48,868 ぐあ 135 00:10:50,200 --> 00:10:51,267 ぐうう 136 00:10:51,501 --> 00:10:52,567 ふう 137 00:10:53,234 --> 00:10:53,834 なぜ? 138 00:10:53,901 --> 00:10:56,133 はあ はあ 139 00:10:56,834 --> 00:11:00,834 お前が 俺と拮抗する力を? 140 00:11:02,667 --> 00:11:05,767 己を捨てることもできん連中に 141 00:11:05,801 --> 00:11:06,434 はあ 142 00:11:06,868 --> 00:11:10,334 己の居場所欲しさに仲間も切れん連中に 143 00:11:11,167 --> 00:11:14,334 俺は 全てを捨ててきた 144 00:11:14,667 --> 00:11:19,601 己の存在も 居場所も 仲間も 145 00:11:20,567 --> 00:11:23,734 獲物のために お前のために 146 00:11:24,434 --> 00:11:26,501 なのになぜ なぜなんだ? 147 00:11:27,868 --> 00:11:29,968 まだ分からねえのか 148 00:11:30,067 --> 00:11:30,701 ん? 149 00:11:32,167 --> 00:11:34,033 おめえが捨てたもんの中には 150 00:11:34,634 --> 00:11:36,501 大切な荷も混ざってたんだよ 151 00:11:37,601 --> 00:11:39,634 仲間を捨てた? 違う 152 00:11:40,534 --> 00:11:42,801 仲間を失うのが怖かったんだろう 153 00:11:43,534 --> 00:11:46,334 一人で戦ってきた? 違う 154 00:11:46,767 --> 00:11:48,334 最初から一人であれば 155 00:11:48,701 --> 00:11:50,934 孤独になる苦しみもねえからだろう 156 00:11:51,434 --> 00:11:53,901 己を捨てた? 違う 157 00:11:54,601 --> 00:11:56,367 テメーは背負う苦しみも 158 00:11:56,634 --> 00:11:58,601 背負われる苦しみからも逃げた 159 00:11:59,100 --> 00:12:00,434 ただの臆病者だ 160 00:12:04,067 --> 00:12:07,767 こいつはもう テメーなんかよりよっぽど強えよ 161 00:12:08,767 --> 00:12:12,100 臆病者の相手は 臆病者で十分だ 162 00:12:12,834 --> 00:12:16,901 テメーの相手は この俺で 十分だ 163 00:12:17,367 --> 00:12:18,634 ぬかせええっ 164 00:12:19,300 --> 00:12:21,901 テメーに 師匠の名をかたる資格はねえっ 165 00:12:28,200 --> 00:12:32,267 テメーに 荷ごと弟子を背負う背中が 166 00:12:32,467 --> 00:12:33,934 あるかあああっ 167 00:12:52,734 --> 00:12:54,167 はっ あ 168 00:12:55,267 --> 00:12:56,200 う 169 00:13:05,534 --> 00:13:06,701 銀時 170 00:13:12,234 --> 00:13:15,467 けーるぞ お前の居場所に 171 00:13:15,567 --> 00:13:16,701 あっ 172 00:13:23,467 --> 00:13:23,968 はっ? 173 00:13:26,067 --> 00:13:27,501 地雷亜 やめろっ 174 00:13:29,434 --> 00:13:31,734 もう やめとけ 175 00:13:33,534 --> 00:13:36,167 テメーの巣には何も居やしねえよ 176 00:13:38,033 --> 00:13:40,000 そこに居んのは最初から 177 00:13:40,501 --> 00:13:43,200 遥か頭上の月の光を仰ぎ見て 178 00:13:43,801 --> 00:13:46,100 空に向かって糸を吐き続ける 179 00:13:46,801 --> 00:13:48,400 哀れな蜘蛛だけだ 180 00:13:49,934 --> 00:13:53,033 フッ 何を世迷言を 181 00:13:53,567 --> 00:13:57,767 そんなことは とうの昔に知ってるさ 182 00:13:59,834 --> 00:14:00,968 やめろおおっ 183 00:14:01,234 --> 00:14:02,667 地雷亜ーっ 184 00:14:09,534 --> 00:14:10,234 あっ? 185 00:14:18,100 --> 00:14:21,667 いい それで 186 00:14:22,434 --> 00:14:25,667 それで いい 187 00:14:31,234 --> 00:14:34,934 蜘蛛が 血に消えゆくか 188 00:14:35,567 --> 00:14:36,968 存外 う 189 00:14:38,334 --> 00:14:42,534 期待していたほどの 感慨は無いなあ 190 00:14:43,868 --> 00:14:47,534 己を殺すなどということは 191 00:14:47,634 --> 00:14:48,367 はっ 192 00:14:49,200 --> 00:14:52,334 俺は 俺を殺したいのだ 193 00:14:54,234 --> 00:14:56,968 地雷亜 ぬし 194 00:14:57,033 --> 00:14:59,701 地雷亜 お前の最後の獲物は… 195 00:14:59,801 --> 00:15:00,434 は 196 00:15:02,767 --> 00:15:05,267 お前自身だったってわけかい 197 00:15:05,934 --> 00:15:09,300 お前の狙いは 手塩にかけて鍛え上げた 198 00:15:09,334 --> 00:15:12,167 己の分身を殺すことなんかじゃねえ 199 00:15:13,067 --> 00:15:17,634 最愛の弟子 己自身に殺されることだったんだろう 200 00:15:17,734 --> 00:15:18,567 は 201 00:15:19,667 --> 00:15:20,267 がっ 202 00:15:21,467 --> 00:15:24,868 か 頭の 息子か 203 00:15:25,868 --> 00:15:27,968 一度おうたな 204 00:15:28,968 --> 00:15:31,467 オヤジどのと仲間の仇 205 00:15:32,534 --> 00:15:34,868 再び 取りに来たか 206 00:15:36,534 --> 00:15:41,367 ハッ 仇なんざ とうの昔に取る気は失せたぜ 207 00:15:44,667 --> 00:15:46,701 地に落ちもがく蜘蛛なんざ 208 00:15:47,467 --> 00:15:49,133 つぶす気にもなりゃしねえよ 209 00:15:50,133 --> 00:15:50,834 段蔵 210 00:15:53,033 --> 00:15:54,033 はあ 211 00:15:54,868 --> 00:15:59,100 ハ 全て調査済みというわけか 212 00:15:59,434 --> 00:16:03,667 蜘蛛手の地雷亜 本名鳶田段蔵 213 00:16:04,100 --> 00:16:08,801 伊賀の郷士のもとに生まれ 幼少の頃より忍術を修め 214 00:16:09,033 --> 00:16:11,901 その才は神童と呼ばれるほどのものだった 215 00:16:13,133 --> 00:16:14,067 伊賀は郷士どもが 216 00:16:14,100 --> 00:16:16,734 年中覇権争いを繰り広げている土地だ 217 00:16:17,734 --> 00:16:19,801 鳶田家は伊賀でも有数の大家 218 00:16:20,501 --> 00:16:23,067 その上嫡男がすこぶる腕が立つとなりゃあ 219 00:16:23,367 --> 00:16:24,968 奴らも黙っちゃいねえ 220 00:16:26,200 --> 00:16:29,667 生き残ったのはお前と年端もいかない妹 221 00:16:30,400 --> 00:16:33,868 お前は一族郎党を皆殺しにされていながら 222 00:16:34,067 --> 00:16:35,868 その類い稀なる腕故 223 00:16:36,400 --> 00:16:38,667 生き恥をさらさせられることとなった 224 00:16:40,100 --> 00:16:42,934 ただ1人の肉親の命をかたに 225 00:16:43,234 --> 00:16:44,534 憎むべき敵に 226 00:16:45,434 --> 00:16:48,167 食らうべき獲物に忠誠を誓ったんだ 227 00:16:50,067 --> 00:16:53,634 お前のゆがんだ忠誠心が生まれたのはその頃だろう 228 00:16:54,901 --> 00:16:55,934 滅私奉公 229 00:16:57,434 --> 00:17:01,200 文字通り自分の身を捨てて仇のために働いた 230 00:17:02,267 --> 00:17:05,000 いや 捨てるしかなかったんだろう 231 00:17:05,934 --> 00:17:09,567 一族を根絶やした仇に仕えるその憎しみ 232 00:17:09,767 --> 00:17:10,434 悲しみ 233 00:17:11,100 --> 00:17:15,334 恥辱の念から逃れるには 己という存在を忘れ切り 234 00:17:15,868 --> 00:17:19,133 ただ目の前の任務を機械的にこなしていくしかない 235 00:17:21,567 --> 00:17:24,033 お前はそんな自分に陶酔することで 236 00:17:24,400 --> 00:17:26,133 苦しみから逃れようとした 237 00:17:27,400 --> 00:17:31,400 だが そんな兄の姿を見ていられなくなったのだろう 238 00:17:32,501 --> 00:17:34,467 もういい もういいの 239 00:17:35,400 --> 00:17:37,801 私のために無理するのはもうやめて 240 00:17:38,968 --> 00:17:42,300 兄者 自分の人生を生きて 241 00:17:43,300 --> 00:17:46,334 自由に 自分のために生きて 242 00:17:49,968 --> 00:17:53,033 お前の妹は 自ら命を絶った 243 00:17:54,167 --> 00:17:58,133 どれだけ獲物を食らっても どれだけ己を痛めつけても 244 00:17:58,167 --> 00:17:59,734 妹を護れなかった 245 00:18:00,767 --> 00:18:03,467 その痛みはいつまでもお前を苦しめた 246 00:18:05,200 --> 00:18:09,567 そうしてお前は 最も自分が忌むべき方法で 247 00:18:10,367 --> 00:18:12,400 お前自身を殺そうとした 248 00:18:13,367 --> 00:18:17,100 己が手塩にかけて育てた最愛の弟子の仇として 249 00:18:17,634 --> 00:18:19,000 その手にかかって死ぬ 250 00:18:21,067 --> 00:18:26,133 それが妹を護れなかったお前が 自身に課した罰 251 00:18:27,501 --> 00:18:32,267 違うな ただ 怖かっただけさ 252 00:18:33,634 --> 00:18:38,367 お前さんの言う通り 俺はまた失うのが怖くて 253 00:18:39,901 --> 00:18:43,434 荷を負うことをやめた ただの臆病者 254 00:18:44,234 --> 00:18:46,067 ゆえに惹かれたんだ 255 00:18:47,267 --> 00:18:50,501 わっちは 吉原と日輪を護りたいんじゃ 256 00:18:51,934 --> 00:18:57,067 小さき背中で 荷を一身に背負おうとするその童に 257 00:18:58,133 --> 00:19:01,968 ゆえに 己の全てを伝授しようとしたんだ 258 00:19:02,167 --> 00:19:03,167 はっ 259 00:19:04,167 --> 00:19:08,100 傷付けたくなかった 俺のように 260 00:19:09,267 --> 00:19:11,801 失う苦しみを味わうくらいなら 261 00:19:13,067 --> 00:19:15,767 最初から何も背負わなければいい 262 00:19:16,934 --> 00:19:19,667 居場所も仲間もいらない 263 00:19:21,701 --> 00:19:27,400 だが俺の思いとは裏腹に お前の周りにはいつの間にか 264 00:19:28,234 --> 00:19:31,400 仲間が 居場所ができていた 265 00:19:32,701 --> 00:19:36,801 お前は 俺には無い強さを持っていた 266 00:19:37,300 --> 00:19:38,934 背負う苦しみからも 267 00:19:38,968 --> 00:19:42,000 背負われる苦しみからも逃げぬ強さ 268 00:19:43,334 --> 00:19:47,267 怖かったのさ また失うのが 269 00:19:48,601 --> 00:19:53,033 お前が俺のもとから 遠く離れていくようで 270 00:19:53,300 --> 00:19:56,801 俺は その手を引き戻そうと 271 00:19:57,601 --> 00:20:00,734 お前を 俺と同じ目に遭わせていた 272 00:20:01,834 --> 00:20:06,167 俺は 結局お前も 妹も 273 00:20:07,534 --> 00:20:09,767 何も護ってなどいなかった 274 00:20:11,067 --> 00:20:14,801 俺が護っていたのは 自分だけだ 275 00:20:15,400 --> 00:20:18,934 そんな自分に愛想が尽きた 276 00:20:19,734 --> 00:20:22,501 ただ それだけのことさ 277 00:20:22,901 --> 00:20:25,968 はあ はあ もう何も 278 00:20:27,000 --> 00:20:28,667 背負うまいと思ったのに 279 00:20:29,634 --> 00:20:32,701 いつの間にかまた荷を背負い込んでいる 280 00:20:34,033 --> 00:20:37,734 もう誰にも背負わせまいと思ったのに 281 00:20:38,200 --> 00:20:41,834 いつの間にかまた何かを背負わせている 282 00:20:42,667 --> 00:20:46,534 月詠 つまらぬものを背負わせたな 283 00:20:47,534 --> 00:20:49,100 すまなかった 284 00:20:53,234 --> 00:20:57,267 はあ ああ 285 00:21:01,601 --> 00:21:02,834 ああ? 286 00:21:03,934 --> 00:21:07,567 もっと 早くに話をして欲しかった 287 00:21:07,968 --> 00:21:10,934 わっちにも 遠慮なくその荷 288 00:21:11,701 --> 00:21:13,100 分けて欲しかった 289 00:21:14,133 --> 00:21:18,834 そうしたらきっと また違った答えが出せていたはず 290 00:21:20,100 --> 00:21:23,067 弟子を荷ごと背負うのが師匠の役目なら 291 00:21:24,100 --> 00:21:25,801 弟子の役目は何じゃ? 292 00:21:27,901 --> 00:21:31,400 師を背負えるまでに 大きくなることじゃ 293 00:21:32,534 --> 00:21:35,667 軽い 軽いのう師匠 294 00:21:35,968 --> 00:21:39,767 ぬしは こんなにも軽かったんじゃな 295 00:21:42,200 --> 00:21:44,367 見えるか? 師匠 296 00:22:03,300 --> 00:22:06,000 ああ ああ 297 00:22:07,234 --> 00:22:12,400 見える 今まで 見たことが無いほどの 298 00:22:13,667 --> 00:22:16,667 綺麗な 月だ 299 00:22:20,300 --> 00:22:21,701 大した弟子だなあ 300 00:22:22,534 --> 00:22:26,133 師匠を背負えるまで大きくなるのが弟子の務めかあ 301 00:22:27,767 --> 00:22:29,767 俺はオヤジには背負われてばかりで 302 00:22:30,567 --> 00:22:32,334 そんな真似してやれなんだな 303 00:22:38,701 --> 00:22:39,968 俺もだ 304 00:24:17,601 --> 00:24:21,801 つーくーよちゃーん あーそーぼーう? 305 00:24:21,968 --> 00:24:24,267 おい起きろこら パチンコ行くぞ 306 00:24:24,701 --> 00:24:26,167 おめ 結構貯めこんでんだろ? 307 00:24:26,534 --> 00:24:28,801 全部ぱあっと使ってやっからよお