1 00:03:12,009 --> 00:03:14,528 (役人)見えてきたぜ 獄門島! 2 00:03:14,528 --> 00:03:17,531 (役人)古今東西 手のつけられない悪党どもが➡ 3 00:03:17,531 --> 00:03:20,851 最後に流れ着く最凶最悪の監獄。 4 00:03:20,851 --> 00:03:24,705 島ひとつ 丸ごと 監獄の体をなす鋼の要塞。 5 00:03:24,705 --> 00:03:28,509 一度 入ったら最後 二度と 日の光を浴びることは叶わない➡ 6 00:03:28,509 --> 00:03:31,028 この世に現存する冥府…。 7 00:03:31,028 --> 00:03:33,847 (役人)あれが 今日から テメエの住まいだ。 8 00:03:33,847 --> 00:03:35,866 せいぜい 今のうちに➡ 9 00:03:35,866 --> 00:03:39,186 お天道様との別れを 惜しんでおくことだ。 10 00:03:39,186 --> 00:03:43,207 (桂)心配いらん。 日の神 天照から八百万の神まで➡ 11 00:03:43,207 --> 00:03:45,843 すでに別れは済ませてある。 12 00:03:45,843 --> 00:03:50,831 (桂)毎朝 朝飯とともに 死ぬる覚悟を決するが男子たる者。 13 00:03:50,831 --> 00:03:54,668 オレにとっても 今日は なんら特別な日ではないぞ。 14 00:03:54,668 --> 00:03:58,068 フハハハハ…。 15 00:04:00,074 --> 00:04:02,526 《末吉:世界は広いなどというが➡ 16 00:04:02,526 --> 00:04:07,031 オレの世界は 長らく この狭い監獄のなかだけだった。 17 00:04:07,031 --> 00:04:12,519 (末吉)鉄格子越しに見える景色… それが オレの世界のすべてだった。 18 00:04:12,519 --> 00:04:17,524 カビ臭いハコのなかで ただ 心が 腐っていくのを待つだけの日々。 19 00:04:17,524 --> 00:04:20,527 何度 心が 折れそうになったかしれない。 20 00:04:20,527 --> 00:04:24,827 だが ついに そんな日々とも お別れするときがきたのだ!》 21 00:04:30,671 --> 00:04:34,008 《末吉:そう… そこには 鉄格子などない➡ 22 00:04:34,008 --> 00:04:36,860 果てしなく広がる 美しい世界があった。 23 00:04:36,860 --> 00:04:39,380 (末吉)そこから見える景色…。 24 00:04:39,380 --> 00:04:42,580 それが オレの欲しかった すべてだった》 25 00:04:49,506 --> 00:04:52,192 《ついに… ついに やった。 26 00:04:52,192 --> 00:04:55,696 あそこまで掘るのに 15年… 15年 かかった。 27 00:04:55,696 --> 00:04:58,699 長年かけて 看守どもの行動パターン➡ 28 00:04:58,699 --> 00:05:02,836 そして 隣の囚人たちが 眠る時間帯を頭に叩き込み➡ 29 00:05:02,836 --> 00:05:05,873 その 2つのスキが重なる わずかな時に➡ 30 00:05:05,873 --> 00:05:10,511 毎日 少しずつ岩と土を削る。 そんな作業を15年…。 31 00:05:10,511 --> 00:05:16,033 ついに 難攻不落といわれた 獄門島を脱出する日…。 32 00:05:16,033 --> 00:05:20,537 我ながら よくやった。 末吉。 執念だな…。 33 00:05:20,537 --> 00:05:25,509 あとは いつ脱出に乗り出すかだ。 焦っては いけない。 34 00:05:25,509 --> 00:05:28,879 (末吉)時間は いつものように 囚人たちが寝静まった明け方近く。 35 00:05:28,879 --> 00:05:31,882 日取りは海が穏やかなときがいい。 36 00:05:31,882 --> 00:05:34,368 脱出口は すでに確保してある。 37 00:05:34,368 --> 00:05:38,756 慎重に… 確実に脱出できる日を 選んで決行しよう。 38 00:05:38,756 --> 00:05:43,377 最も警戒すべき向かいの獄舎は 幸い 今は空き部屋。 39 00:05:43,377 --> 00:05:48,015 あれに囚人が来る前に 決行できれば… 問題ない》 40 00:05:48,015 --> 00:05:52,886 (桂)む… 起きたか。 おはよう。 いい朝だな。 41 00:05:52,886 --> 00:05:57,024 すまぬ。 紹介 遅れた。 寝てたようだったから。 42 00:05:57,024 --> 00:06:01,378 今日から入った 囚人番号 は-206の桂だ。 43 00:06:01,378 --> 00:06:03,864 お向かい同士 よろしく。 44 00:06:03,864 --> 00:06:07,217 《なんでぇ~!? 昨日まで もぬけの空だったのに➡ 45 00:06:07,217 --> 00:06:09,853 よりによって このタイミングで新入りだと!?》 46 00:06:09,853 --> 00:06:12,523 あの これ つまらないものですが…。 47 00:06:12,523 --> 00:06:15,526 攘夷志士タオルだ。 シミ汚れなどが よく拭き取れるぞ。 48 00:06:15,526 --> 00:06:19,046 ただし 世の中のな。 ハハ… 攘夷だけに。 49 00:06:19,046 --> 00:06:22,349 《ま… まずいぞ。 向かいの牢屋から オレの牢屋は➡ 50 00:06:22,349 --> 00:06:25,185 死角なしの丸見え! ここまで 作業を進められたのも➡ 51 00:06:25,185 --> 00:06:28,038 向かいの囚人不在だったことが 大きかったのに…。 52 00:06:28,038 --> 00:06:30,524 ここまできて まさか こんな…。 53 00:06:30,524 --> 00:06:33,026 しかも 超うざそうなんだけど コイツ…》 54 00:06:33,026 --> 00:06:36,713 あの これ 攘夷志士タオルだ。 シミ汚れなどが よくとれるぞ。 55 00:06:36,713 --> 00:06:39,349 ただし 世の中のな。 ハハ… 攘夷だけに。 56 00:06:39,349 --> 00:06:42,019 《末吉:さっきの聞こえなかったと 思って もう1回 言ってるよ! 57 00:06:42,019 --> 00:06:45,022 聞こえてるよ!! うけねえよ 何回 言っても! 58 00:06:45,022 --> 00:06:48,025 落ち着け… あとオレに必要なのは➡ 59 00:06:48,025 --> 00:06:51,528 トンネルをくぐり 島を脱出する機会 一度だけ。 60 00:06:51,528 --> 00:06:56,216 真正面 向かいの部屋とはいえ 24時間いれば スキも必ずできる。 61 00:06:56,216 --> 00:07:00,216 この際 日取りは選んでられない。 スキが でき次第…》 62 00:07:02,189 --> 00:07:05,542 《末吉:幸い ここの労働は 囚人を いたぶることを目的とした➡ 63 00:07:05,542 --> 00:07:09,029 地獄の苦行。 最初の夜は 獄舎に帰り次第➡ 64 00:07:09,029 --> 00:07:13,050 気絶するように 眠ってしまうのが常…。 65 00:07:13,050 --> 00:07:18,050 勝負は 今晩… ヤツが 疲れ果てて眠ったあとだ》 66 00:07:20,040 --> 00:07:23,727 (いびき) 67 00:07:23,727 --> 00:07:25,712 《末吉:ヘッ… 思ったとおりだ。 68 00:07:25,712 --> 00:07:28,048 暗くて よく見えんが このいびき…➡ 69 00:07:28,048 --> 00:07:30,648 ちょっとやそっとの音では 起きそうもないな…》 70 00:07:32,703 --> 00:07:34,705 《視線!? バ… バカな! 71 00:07:34,705 --> 00:07:37,040 いや 見ている! あの男 こっちを見ている! 72 00:07:37,040 --> 00:07:39,026 そんな… まさか!》 73 00:07:39,026 --> 00:07:41,044 (いびき) 74 00:07:41,044 --> 00:07:43,864 《どんな寝顔してんだぁ! 75 00:07:43,864 --> 00:07:46,350 やばいよ これ! 瞼 半開きは 聞いたことあるけど➡ 76 00:07:46,350 --> 00:07:48,685 全開だよ 瞳孔が! 眼球 カッサカサだよ! 77 00:07:48,685 --> 00:07:50,721 メッチャこっち見てんだけど! 78 00:07:50,721 --> 00:07:52,706 カッサカサの眼球で メッチャこっち見てんだけど! 79 00:07:52,706 --> 00:07:54,725 なんつう 紛らわしい寝顔してんだ! 80 00:07:54,725 --> 00:07:57,211 ビックリした… 大丈夫だよね これ。 81 00:07:57,211 --> 00:07:59,730 ホント寝てるよね これ!? いびき かいてるし…》 82 00:07:59,730 --> 00:08:02,733 (いびき) 83 00:08:02,733 --> 00:08:04,718 《あれ? なんか やっぱ これ起きてない? 84 00:08:04,718 --> 00:08:07,538 これ 大丈夫だよね? いや これ起きてない? 85 00:08:07,538 --> 00:08:10,057 やっぱ これ起きてない? ダメだ このままじゃ! 86 00:08:10,057 --> 00:08:12,392 思いきって確かめてみよう!》 87 00:08:12,392 --> 00:08:14,378 か… 桂さ~ん! 88 00:08:14,378 --> 00:08:17,731 う~ん…。 89 00:08:17,731 --> 00:08:19,716 《大丈夫だ やっぱ寝てる! 90 00:08:19,716 --> 00:08:23,887 よし これならいけ… って やっぱ起きてんだろ これ!? 91 00:08:23,887 --> 00:08:26,223 なんで クラウチングスタートしながら 寝てんだぁ!? 92 00:08:26,223 --> 00:08:28,709 これ 寝てねえだろ! だって クラウチングスタートだもの! 93 00:08:28,709 --> 00:08:31,044 どこかに走り出すつもりだもの! 94 00:08:31,044 --> 00:08:34,414 どうすんだ これ!? さらに ややこしいことになっちゃったよ。 95 00:08:34,414 --> 00:08:39,536 いびきかいてるけど いや でも いや 待て… いや でも…》 96 00:08:39,536 --> 00:08:43,056 (桂)どうした 末吉殿? 昨日は眠れなかったのか? 97 00:08:43,056 --> 00:08:47,044 いかんぞ そんなことでは ここの重労働には耐え切れまい。 98 00:08:47,044 --> 00:08:49,046 《末吉:誰のせいだと思ってんだ! 99 00:08:49,046 --> 00:08:51,031 完全に騙された! 100 00:08:51,031 --> 00:08:54,034 まさか 世の中に あんな 寝相の悪いヤツがいたなんて。 101 00:08:54,034 --> 00:08:57,387 こんな生活が続けば 体力が消耗していくだけだ! 102 00:08:57,387 --> 00:08:59,373 早急に解決せねば! 103 00:08:59,373 --> 00:09:01,675 先手を打とう!》 104 00:09:01,675 --> 00:09:04,528 (看守)消灯! 105 00:09:04,528 --> 00:09:06,546 《末吉:眠らせる必要はない。 106 00:09:06,546 --> 00:09:09,549 要は 脱出できるだけの スキを作らせればいいんだ》 107 00:09:09,549 --> 00:09:12,536 いやぁ 最近 寝れなくて まいってんだよね! 108 00:09:12,536 --> 00:09:15,222 どうやったら寝られるかなぁ? 109 00:09:15,222 --> 00:09:17,557 (桂)ウノでもやるか? 強いぞ オレは! 110 00:09:17,557 --> 00:09:20,877 いや 寝ないと明日に響くし! (桂)そうか 強いぞ? 111 00:09:20,877 --> 00:09:23,046 いや もっと ベーシックなやつない? 112 00:09:23,046 --> 00:09:25,866 そうだ! ひつじ数えないか? 桂さん! 113 00:09:25,866 --> 00:09:28,902 目をつむって ひつじを数えると 眠れるっていうじゃないか! 114 00:09:28,902 --> 00:09:32,372 (桂)そうか? ウノのほうが いいだろう。 強いぞ! 115 00:09:32,372 --> 00:09:34,858 いや 逆に 目 覚めちゃいそうだから! 116 00:09:34,858 --> 00:09:36,877 (末吉)じゃあ 一緒に 目をつぶって➡ 117 00:09:36,877 --> 00:09:41,381 ひつじを1匹ずつ数えていこう。 いいね? はい ひつじが1匹! 118 00:09:41,381 --> 00:09:43,900 (桂)ひつじが2匹 ひつじが3匹。 119 00:09:43,900 --> 00:09:47,371 《よし! これで ヤツは 朝まで目を開けることはない。 120 00:09:47,371 --> 00:09:51,391 しかも うまくいけば このまま 眠りにつなげることができる! 121 00:09:51,391 --> 00:09:53,710 だが まだ行動は せんほうがいいな。 122 00:09:53,710 --> 00:09:56,046 20匹ぐらいまでは 一応 様子を見ておこう》 123 00:09:56,046 --> 00:09:58,065 ひつじが11匹…。 124 00:09:58,065 --> 00:10:03,065 ひつじが12匹 ひつじが13…。 125 00:10:06,039 --> 00:10:08,041 ((何やってんのよ 松子のヤツ! 126 00:10:08,041 --> 00:10:11,044 早く跳べよ! あと つっかえてんだから! 127 00:10:11,044 --> 00:10:13,644 どうした 松原 足でもくじいたか!? 128 00:10:15,699 --> 00:10:18,735 (松子)エヘッ… テントウムシいたから。 129 00:10:18,735 --> 00:10:21,555 ったく お前ってヤツは…。 130 00:10:21,555 --> 00:10:27,044 (桂)松原 松子… いつだって アイツは そうやって笑ってた。 131 00:10:27,044 --> 00:10:32,733 本当は誰より高く跳べるのに そうやって いつも笑ってた。 132 00:10:32,733 --> 00:10:36,403 以上 今回の大会 スタメンは この5人でいく。 133 00:10:36,403 --> 00:10:38,388 お前ら3年 最後の大会だ。 134 00:10:38,388 --> 00:10:40,874 悔いのないよう頑張れ。 はい! 135 00:10:40,874 --> 00:10:45,545 ねぇ 松原先輩 スタメン落ちだって。 最後の試合なのにね! 136 00:10:45,545 --> 00:10:48,048 最近 練習 全然きてなかったじゃん! 137 00:10:48,048 --> 00:10:50,050 つうか 今日もいないし。 138 00:10:50,050 --> 00:10:53,053 なんか男できたって ウワサよ! 3年の藤村先輩! 139 00:10:53,053 --> 00:10:55,389 まとわりつかれてるだけでしょ? 140 00:10:55,389 --> 00:10:57,407 でも よかったじゃない 杉山先輩。 141 00:10:57,407 --> 00:10:59,376 普通にやったって松原先輩には…。 142 00:10:59,376 --> 00:11:02,379 ちょっと! 声大きいわよ! 143 00:11:02,379 --> 00:11:04,698 (杉山)先生! ん…? 144 00:11:04,698 --> 00:11:06,998 ちょっと 話いいですか? 145 00:11:09,036 --> 00:11:10,904 (杉山)どういうことなんですか!? 146 00:11:10,904 --> 00:11:12,889 なんで 松子が スタメンにいないんですか!? 147 00:11:12,889 --> 00:11:14,891 うちのエースでしょ!? 148 00:11:14,891 --> 00:11:17,561 私 松子のおこぼれで スタメンのユニフォーム着れたって➡ 149 00:11:17,561 --> 00:11:21,231 嬉しくありません! これ 返します。 150 00:11:21,231 --> 00:11:24,231 (桂)やめたよ… アイツ。 151 00:11:26,203 --> 00:11:30,374 松子のポジションやれんのは うちには お前しかいない。 152 00:11:30,374 --> 00:11:33,410 それは 3年間 アイツと競いあってきた➡ 153 00:11:33,410 --> 00:11:36,413 ライバルのお前が いちばん知ってるだろう。 154 00:11:36,413 --> 00:11:39,733 (杉山)だからこそ 勝って 奪いたかった。 155 00:11:39,733 --> 00:11:44,388 親友だからこそ 戦って 勝ち取りたかった。 156 00:11:44,388 --> 00:11:52,062 ♪♪~ 157 00:11:52,062 --> 00:11:55,662 《桂:杉山… すまない》 158 00:12:03,707 --> 00:12:08,095 (杉山)アンタなんかに 私 負けないから! 159 00:12:08,095 --> 00:12:12,466 絶対 アンタより たくさん 点入れて アンタより活躍して➡ 160 00:12:12,466 --> 00:12:15,051 試合に勝ってやるんだから! 161 00:12:15,051 --> 00:12:19,406 ♪♪~ 162 00:12:19,406 --> 00:12:23,743 《桂:杉山… アイツな…。 163 00:12:23,743 --> 00:12:30,734 アイツ… お前の体のこと 知っちまったんだよ。 164 00:12:30,734 --> 00:12:39,134 本当は アイツ… 誰よりも 何よりも 高く 跳びたいんだよ》 165 00:12:41,211 --> 00:12:43,079 (桂)おい 杉山は まだか? 166 00:12:43,079 --> 00:12:46,066 試合まで あと30分だってのに 何やってんだ アイツ…。 167 00:12:46,066 --> 00:12:50,053 (部員)先生! 杉山先輩の お母さんから 今 電話が! 168 00:12:50,053 --> 00:12:55,053 (部員)先輩 ここに来る途中 倒れて 病院 運ばれたって…。 169 00:12:58,078 --> 00:13:03,878 バカ… アンタ 来るとこ 間違ってんじゃないの? 170 00:13:06,570 --> 00:13:09,055 間違ってない。 171 00:13:09,055 --> 00:13:12,555 ユニフォーム… 取りにきただけよ。 172 00:13:14,728 --> 00:13:17,397 それで… いいのよ。 173 00:13:17,397 --> 00:13:22,097 (杉山)それでこそ… 私のライバル。 174 00:13:24,888 --> 00:13:30,560 《杉山:松子… 私 ホントは アンタと同じポジションにしたこと➡ 175 00:13:30,560 --> 00:13:33,046 後悔してるんだ。 176 00:13:33,046 --> 00:13:38,068 私 ホントは… ライバルだとか そんなの どうでもいいの》 177 00:13:38,068 --> 00:13:47,068 ただ アンタと… アンタと一緒に 同じコートに立ちたかった。 178 00:13:49,729 --> 00:13:53,733 (桂)その夏… 本当の優しさを 知った彼女は➡ 179 00:13:53,733 --> 00:13:56,633 誰よりも 何よりも…。 180 00:13:59,723 --> 00:14:02,392 (桂)高く 跳んだ)) 181 00:14:02,392 --> 00:14:06,692 ひ… ひつじが 13匹~! 182 00:14:10,400 --> 00:14:12,700 (末吉)なげぇよ! 183 00:14:19,092 --> 00:14:22,412 (桂)どうした? 末吉殿。 昨日も眠れなかったのか? 184 00:14:22,412 --> 00:14:24,397 いかんぞ そんなことでは。 185 00:14:24,397 --> 00:14:26,733 ここのところ ずっと その調子ではないか。 186 00:14:26,733 --> 00:14:29,736 《クソ! あとは あの穴を抜け➡ 187 00:14:29,736 --> 00:14:32,589 この島から脱出すれば 自由が得られるのに…。 188 00:14:32,589 --> 00:14:35,592 どうして そんな簡単なことが できないんだ…。 189 00:14:35,592 --> 00:14:38,261 すべての元凶は この男…。 190 00:14:38,261 --> 00:14:40,597 一見 スキのないように見えて スキだらけ。 191 00:14:40,597 --> 00:14:43,416 しかし スキにつけいるやいなや 転じて 牙をむくと見せて➡ 192 00:14:43,416 --> 00:14:47,087 実は まだ スキだという… 無限地獄のような男。 193 00:14:47,087 --> 00:14:50,440 コイツが 向かいの牢屋にいるかぎり 脱獄は ムリだ。 194 00:14:50,440 --> 00:14:53,440 スキをつくなどと 甘っちょろい 考えは もう捨てよう》 195 00:14:55,395 --> 00:14:58,748 《消すんだ! この男を消さねば オレに 自由はない! 196 00:14:58,748 --> 00:15:00,767 しかし どうやって…》 197 00:15:00,767 --> 00:15:04,421 (鯱)おい! オメエか? 最近 入った 新入りってのは。 198 00:15:04,421 --> 00:15:08,408 (鯱)ずいぶんと 甘ったれたツラの ヤツが 入ってきたもんだ。 199 00:15:08,408 --> 00:15:12,429 お坊ちゃん 何をやって こんな所に入れられたのかな? 200 00:15:12,429 --> 00:15:14,414 《あれは… 鯱! 201 00:15:14,414 --> 00:15:18,435 強盗 殺人 誘拐… あまたの罪状を持つ 犯罪王。 202 00:15:18,435 --> 00:15:22,088 囚人たちのボス 人斬り鯱!》 203 00:15:22,088 --> 00:15:24,441 (鯱)おい… なんだ その目は。 204 00:15:24,441 --> 00:15:28,094 なに見てんだ コラ! あぁ!? ケンカ売ってんのか!? 205 00:15:28,094 --> 00:15:30,080 《末吉:やめろ! 面倒ごとに巻き込むな!》 206 00:15:30,080 --> 00:15:32,916 いや すまない。 気分を害してしまったか。 207 00:15:32,916 --> 00:15:36,252 悪かった。 ちょっと 気になることがあったんでな。 208 00:15:36,252 --> 00:15:38,571 《末吉:そうだ おとなしくしとけ。 ソイツに逆らうな》 209 00:15:38,571 --> 00:15:42,271 あの… 着物 破れてますよ。 210 00:15:44,077 --> 00:15:46,096 《ファッション! 211 00:15:46,096 --> 00:15:49,099 それ ファッションだから! ワイルドさを出すための ファッションだよ》 212 00:15:49,099 --> 00:15:51,735 あ… あと 顔に 落書きされてますよ。 213 00:15:51,735 --> 00:15:54,404 寝てる間に イタズラされたんじゃないかな? 214 00:15:54,404 --> 00:15:57,590 (手下)おちょくってんのか! これは こういう仕様なんじゃ ボケ。 215 00:15:57,590 --> 00:16:00,593 え? これ わざと こういう感じにしてるんですか? 216 00:16:00,593 --> 00:16:04,097 わざわざ 自分で ここ ギザギザに切ったんですか…。 217 00:16:04,097 --> 00:16:06,082 《末吉:やめろ! そこは 深く触れてやるなよ! 218 00:16:06,082 --> 00:16:08,084 そこは そっとしておいてやろうや!》 219 00:16:08,084 --> 00:16:12,405 別に… なんか 袖が邪魔だったから➡ 220 00:16:12,405 --> 00:16:15,742 ちぎったら なんか こんなふうになっちゃった…。 221 00:16:15,742 --> 00:16:17,777 《末吉:鯱! もう完全に➡ 222 00:16:17,777 --> 00:16:20,080 鯱 照れちゃってるよ! 面目 丸つぶれだよ!》 223 00:16:20,080 --> 00:16:22,766 おい 何やってる 静かに食事しろ! 224 00:16:22,766 --> 00:16:25,435 チッ テメエら覚えとけよ。 225 00:16:25,435 --> 00:16:29,089 《テメエら 「ら」って何? オレも 一緒に目つけられちゃったよ! 226 00:16:29,089 --> 00:16:32,442 最悪だ。 今まで脱獄を ジャマされないため➡ 227 00:16:32,442 --> 00:16:34,761 目立たずひっそり生きてきたのに。 228 00:16:34,761 --> 00:16:38,261 もうおしまいだ。 あんな連中に 目をつけられてしまったら…》 229 00:16:40,283 --> 00:16:43,103 《いや 待て。 このピンチ利用しよう。 230 00:16:43,103 --> 00:16:46,573 オレが手引きして 鯱にあの男を差し出す。 231 00:16:46,573 --> 00:16:50,427 鯱に恩を売れるうえ あの男を 亡き者にできる。 232 00:16:50,427 --> 00:16:52,762 一石二鳥だ。 233 00:16:52,762 --> 00:16:55,098 まずは鯱の一味に近づかなくては。 234 00:16:55,098 --> 00:16:57,934 うえっ! 完全に敵意むきだしだ。 235 00:16:57,934 --> 00:17:02,439 仕方ない。 まずは仲間であることを示そう》 236 00:17:02,439 --> 00:17:05,108 なに 鯱に会いてえだ? 237 00:17:05,108 --> 00:17:09,446 あぁ オレはキミたちに敵意はないと いうことを わかってほしくてな。 238 00:17:09,446 --> 00:17:12,932 あのふざけた男は オレの仲間でも何でもないんだ。 239 00:17:12,932 --> 00:17:16,269 そういやテメエは あのとき ボーっと見てただけだったな。 240 00:17:16,269 --> 00:17:19,089 鯱さん 末吉のヤツが 会いたがってますが。 241 00:17:19,089 --> 00:17:22,926 《よし 完璧だ。 やはりこの ギザギザノースリーブが…》 242 00:17:22,926 --> 00:17:25,261 (鯱)何だよ 何の用だよ。 243 00:17:25,261 --> 00:17:28,081 ほっとけよ。 もうオレのことなんか ほっとけよ! 244 00:17:28,081 --> 00:17:32,435 《鯱! ギザギザノースリーブの ギザギザ部分を 全部カットしている!》 245 00:17:32,435 --> 00:17:34,738 あれから ずっとあの調子なんだ。 246 00:17:34,738 --> 00:17:37,407 すべての着物の ギザギザ部分をカットし始めて…。 247 00:17:37,407 --> 00:17:39,426 やめてくれ 鯱 かっこいいよ! 248 00:17:39,426 --> 00:17:42,095 心配しなくても そのギザギザかっこいいよ! 249 00:17:42,095 --> 00:17:46,082 かっこいいとか かっこ悪いとか別に関係ないし。 250 00:17:46,082 --> 00:17:50,437 別にオレ そういうの意識して これ着てたわけじゃないし。 251 00:17:50,437 --> 00:17:53,106 ギザギザなんか もう二度と着ねえし! 252 00:17:53,106 --> 00:17:55,091 《末吉:めんどくせえよ 鯱 超めんどくせえよ。 253 00:17:55,091 --> 00:17:57,093 どんだけ繊細なんだよ!》 254 00:17:57,093 --> 00:18:00,463 言っとくけど この前髪もギザギザ 意識したわけじゃないからね! 255 00:18:00,463 --> 00:18:03,433 違うかんね! あ~ もうこれも切る 切るっ! 256 00:18:03,433 --> 00:18:06,102 やめろ 鯱! そのギザギザだけは! 257 00:18:06,102 --> 00:18:09,789 おい テメエ それ何着てんだ! 258 00:18:09,789 --> 00:18:11,758 《しまった! この状況で この格好は➡ 259 00:18:11,758 --> 00:18:13,743 おちょくりにしか見えない》 260 00:18:13,743 --> 00:18:16,443 ここにもあった ギザギザ! 261 00:18:22,769 --> 00:18:25,421 ケガはないか? 末吉殿。 えっ? あぁ。 262 00:18:25,421 --> 00:18:29,409 キサマら 末吉殿の袖まで こんなギザギザに。 恥をしれ! 263 00:18:29,409 --> 00:18:32,946 いや ソイツ最初からギザギザだったよ! オレたちじゃねえよ! 264 00:18:32,946 --> 00:18:35,415 (桂)黙れ! 何だこの三角の切れ端は。 265 00:18:35,415 --> 00:18:37,784 (桂)ギザギザの証拠だろうが! (手下)違うそれ 鯱のギザ…。 266 00:18:37,784 --> 00:18:40,784 黙れ! (手下たち)ギャーッ! 267 00:18:45,225 --> 00:18:48,545 (桂)どうした 末吉殿。 また昨日も眠れなかったのか? 268 00:18:48,545 --> 00:18:51,848 桂さん オレたち 隣で朝までウノやってたから➡ 269 00:18:51,848 --> 00:18:53,766 うるさくて 眠れなかったんすよ きっと。 270 00:18:53,766 --> 00:18:56,402 すみません 末吉さん。 ウノ盛り上がっちゃって。 271 00:18:56,402 --> 00:18:59,105 (鯱)だって 桂さん めっちゃ強いんですもん。 272 00:18:59,105 --> 00:19:01,457 (桂)いや 鯱 お前が弱すぎるんだ。 273 00:19:01,457 --> 00:19:04,444 (手下)そうだよ 鯱 お前弱すぎ! 274 00:19:04,444 --> 00:19:07,096 《何でだ 何でこんなことになるんだ? 275 00:19:07,096 --> 00:19:10,600 亡き者にするどころか 更に勢力 拡大してるじゃねえか!》 276 00:19:10,600 --> 00:19:13,419 よし みんな そろそろ仕事に行くぞ。 277 00:19:13,419 --> 00:19:15,438 (みんな)へい! 278 00:19:15,438 --> 00:19:17,407 《末吉:完全に ムショのトップじゃねえか!》 279 00:19:17,407 --> 00:19:20,109 いってらっしゃいませ 桂殿。 うん。 280 00:19:20,109 --> 00:19:22,445 《末吉: 何で看守まで手なずけてんだ? 281 00:19:22,445 --> 00:19:25,415 何者だ この男。 たった数日で➡ 282 00:19:25,415 --> 00:19:28,084 この地獄の 監獄を掌握してしまうとは…。 283 00:19:28,084 --> 00:19:30,920 オレは ひょっとして とてつもない男に➡ 284 00:19:30,920 --> 00:19:32,922 勝負を挑んでいたのかもしれん。 285 00:19:32,922 --> 00:19:36,426 オレは 目の前の 壁の大きさを痛感しながらも➡ 286 00:19:36,426 --> 00:19:39,095 不思議と絶望はしていなかった。 287 00:19:39,095 --> 00:19:41,447 地獄と呼ばれた この獄門島は➡ 288 00:19:41,447 --> 00:19:44,300 あの男によって 次第に変わっていった。 289 00:19:44,300 --> 00:19:49,088 過酷な労働は 働く喜びを 身に感じさせてくれる。 290 00:19:49,088 --> 00:19:51,441 辛くとも やりがいのあるものへと変わり➡ 291 00:19:51,441 --> 00:19:55,094 何も映ることのなかった 無気力な囚人たちの目は➡ 292 00:19:55,094 --> 00:19:57,614 己の罪を受け止め 懺悔するため➡ 293 00:19:57,614 --> 00:20:01,267 過去を そして罪を償い更生するため➡ 294 00:20:01,267 --> 00:20:03,620 明日を見つめはじめる。 295 00:20:03,620 --> 00:20:07,090 そんな囚人との交流のなかで 看守たちは➡ 296 00:20:07,090 --> 00:20:12,612 人を見捨てるのではなく 人を許し 更生させていく喜びを知っていく。 297 00:20:12,612 --> 00:20:18,618 そして 15年にわたり 自分の罪と向き合うこともなく➡ 298 00:20:18,618 --> 00:20:21,621 ひたすら 目の前の困難から逃げようと➡ 299 00:20:21,621 --> 00:20:24,121 穴を掘り続けてきた男は…》 300 00:20:26,109 --> 00:20:28,109 《穴を閉じた》 301 00:20:30,113 --> 00:20:33,249 (囚人)いや~ 今日も よく働いたぜ! 302 00:20:33,249 --> 00:20:35,268 最近 寝つきがよくてさ。 303 00:20:35,268 --> 00:20:37,937 (囚人)そういや 最近 クソまずい ムショのメシも➡ 304 00:20:37,937 --> 00:20:41,441 うまく感じるようになってきたな。 305 00:20:41,441 --> 00:20:44,410 人間は食って働いて寝る生き物だ。 306 00:20:44,410 --> 00:20:49,782 このうち ひとつでも満たされれば 他の2つも自然と満たされていく。 307 00:20:49,782 --> 00:20:52,101 (桂)そして この3つが満たされたとき➡ 308 00:20:52,101 --> 00:20:55,104 人は生きていることを 実感するんだ。 309 00:20:55,104 --> 00:21:01,094 桂さん… オレ 最近 明日が来るのが 楽しみで しかたないんだ。 310 00:21:01,094 --> 00:21:03,763 虫けらみたいだった オレたちが➡ 311 00:21:03,763 --> 00:21:07,767 1日1日 人間に 近づいていっている気がする。 312 00:21:07,767 --> 00:21:10,453 初めて 生きている気がする。 313 00:21:10,453 --> 00:21:16,109 こんな感情を教えてくれたのは 桂さん… アンタだ。 314 00:21:16,109 --> 00:21:20,596 (鯱)ありがとうよ オレたちを人間にしてくれて…。 315 00:21:20,596 --> 00:21:22,615 (泣き声) 316 00:21:22,615 --> 00:21:25,468 (桂)おい! 消灯時間に泣くヤツがあるか。 317 00:21:25,468 --> 00:21:29,168 看守が来たぞ。 うぅ… すまない。 318 00:21:31,107 --> 00:21:34,610 アハハハハハ! 319 00:21:34,610 --> 00:21:40,616 (桂)さぁ 明日に備えて 眠ろう。 食って働いて寝る それが人間だ。 320 00:21:40,616 --> 00:21:43,416 (みんな)おやすみ! 321 00:21:45,438 --> 00:21:48,441 (桂)どうした? 末吉殿。 まだ 眠れんか? 322 00:21:48,441 --> 00:21:50,927 アンタ 革命家って言ってたけど➡ 323 00:21:50,927 --> 00:21:53,963 何やって こんな所へ 入れられたんだい? 324 00:21:53,963 --> 00:21:58,017 アンタが犯した罪ってのを 聞いてみたいもんだね。 325 00:21:58,017 --> 00:22:03,289 (桂)オレは 罪など犯していない。 ここへは自分の意志で入ってきた。 326 00:22:03,289 --> 00:22:05,792 えっ!? 何をしに? 327 00:22:05,792 --> 00:22:08,961 (桂)決まっている。 オレは革命家だぞ。 328 00:22:08,961 --> 00:22:13,161 地獄を革命しにきたのさ。 329 00:22:15,118 --> 00:22:19,105 (末吉)アハハハハハ! ソイツはいいや。 でかくでたね! 330 00:22:19,105 --> 00:22:23,126 末吉殿… オレは 何か変えられたか? 331 00:22:23,126 --> 00:22:28,765 さぁね よくわからんが… 少なくとも オレは変わったよ。 332 00:22:28,765 --> 00:22:31,765 (末吉)不眠症が治った。 333 00:22:33,770 --> 00:22:37,140 《末吉:オレは 新しい穴を掘ることに決めた。 334 00:22:37,140 --> 00:22:40,460 いつ 開通するかもわからない 長いトンネル。 335 00:22:40,460 --> 00:22:44,847 そう… 明日へとつながるトンネルだ。 336 00:22:44,847 --> 00:22:48,801 逃げ道は もういらない。 明日を目指して 戦おう。 337 00:22:48,801 --> 00:22:54,801 ヤツとなら… あの男となら きっと たどり着ける》 338 00:22:59,612 --> 00:23:03,449 《ようやく眠ったか。 手こずらせおって》 339 00:23:03,449 --> 00:23:05,449 (桂)待たせたな。 340 00:23:09,922 --> 00:23:12,625 《桂:スキのない 手強い相手だった。 341 00:23:12,625 --> 00:23:15,628 脱出口は とっくに 確保していたというのに➡ 342 00:23:15,628 --> 00:23:18,965 まさか 不眠症の男が 向かいの部屋とは。 343 00:23:18,965 --> 00:23:21,267 しかし オレにかかれば こんなものよ。 344 00:23:21,267 --> 00:23:25,805 オレの芝居にだまされ 完全に 警戒を解いてしまったようだな。 345 00:23:25,805 --> 00:23:30,810 オレの消えた牢屋を見たときの ヤツらのアホヅラが見たかったが残念だ。 346 00:23:30,810 --> 00:23:35,710 さらばだ。 キサマらは 永遠に 鎖につながれているといい》 347 00:23:38,217 --> 00:23:42,817 《視線!? バカな! いや 見ている。 誰か こっちを見ている!!》 348 00:23:44,791 --> 00:23:49,445 《よし ようやく眠ったようだな。 手こずらせやがって。 349 00:23:49,445 --> 00:23:51,814 スキがあるようでない 手強い相手だった。 350 00:23:51,814 --> 00:23:54,150 脱出口は とっくに 確保していたというのに➡ 351 00:23:54,150 --> 00:23:56,150 警戒心を解くのに 手間取っちまった》 352 00:23:58,121 --> 00:24:03,126 《視線!? バカな! いや 見ている。 誰か こっちを見ている!!》 353 00:24:03,126 --> 00:24:06,629 《よし ようやく眠ったか。 手こずらせ… あっ!》 354 00:24:06,629 --> 00:24:09,132 《よし ようやく眠ったか… あっ!》 355 00:24:09,132 --> 00:24:15,132 《よし》 《よし》 356 00:24:19,108 --> 00:24:23,129 (役人)先輩! なんか 島に いっぱい 穴 開いてるんですけど。 357 00:24:23,129 --> 00:24:26,729 (役人)あぁ? 埋めとけ 埋めとけ。