1 00:00:09,259 --> 00:00:10,176 (天音(あまね)) あ… 2 00:00:11,010 --> 00:00:12,011 ん? 3 00:00:13,888 --> 00:00:14,806 一姫(かずき)? 4 00:00:17,851 --> 00:00:18,560 (佐久間(さくま)) ああ… 5 00:00:18,935 --> 00:00:21,813 (天音) 佐久間先輩 何をなさってるんですか? 6 00:00:21,938 --> 00:00:22,939 (佐久間) おお 天音か 7 00:00:23,606 --> 00:00:26,192 (佐久間) メールを送信したまま 空に投げれば― 8 00:00:26,317 --> 00:00:29,320 圏内に入って 助けが呼べるんじゃ ないかと思ったけどさ― 9 00:00:29,654 --> 00:00:31,322 一度も成功しなくて 10 00:00:31,573 --> 00:00:33,074 (天音) そうですか 11 00:00:33,825 --> 00:00:37,787 森に入るなら 目印を付けながら 行ったほうがいいよ 12 00:00:37,912 --> 00:00:39,080 すぐ迷うから! 13 00:00:40,206 --> 00:00:41,666 わかりました 14 00:00:43,501 --> 00:00:48,506 ♪~ 15 00:02:07,919 --> 00:02:12,924 ~♪ 16 00:02:13,842 --> 00:02:17,178 (天音) 一姫 一姫! 17 00:02:22,308 --> 00:02:25,436 一姫 どこにいるの? 18 00:02:26,479 --> 00:02:28,314 (一姫) 人の名前を あまり大きな声で― 19 00:02:28,439 --> 00:02:30,191 叫ばないでもらえる? 20 00:02:30,316 --> 00:02:32,735 (天音) 一姫 どこ行ってたの? 21 00:02:32,861 --> 00:02:34,154 (一姫) トイレよ 22 00:02:34,279 --> 00:02:34,988 ついでだから― 23 00:02:35,113 --> 00:02:37,949 食べられそうな草を 摘んできたわ ほら 24 00:02:38,575 --> 00:02:40,952 とりあえず 朝食は これで済ませましょう 25 00:02:41,077 --> 00:02:43,913 (天音) 食材なら まだ残ってるけど 26 00:02:44,038 --> 00:02:44,914 日もちするものは― 27 00:02:45,039 --> 00:02:47,375 できるだけ 残しておきたいの 28 00:02:47,584 --> 00:02:50,712 3日で ここを脱出できるとは かぎらないのだし 29 00:02:51,004 --> 00:02:53,590 そっか そうだよね 30 00:02:53,882 --> 00:02:55,967 そんなに がっかりしないで 31 00:02:56,092 --> 00:02:58,511 確かに絶望的ではあるけど― 32 00:02:58,636 --> 00:03:01,306 助からないと 決まったわけではないから 33 00:03:01,431 --> 00:03:04,601 私たちが助かる方法ってあるの? 34 00:03:04,976 --> 00:03:10,607 あるにはあるけど まだ無理 今はただ じっと耐えるしかないわ 35 00:03:10,732 --> 00:03:12,609 (天音) あっ ちょっ 一姫 36 00:03:13,067 --> 00:03:16,613 もお! これからは 勝手に1人で行動しないで 37 00:03:16,738 --> 00:03:18,907 私 心配したんだよ 38 00:03:19,657 --> 00:03:21,492 あなたが? 私を? 39 00:03:21,618 --> 00:03:25,663 そりゃさ 私ごときが おこがましいとは思うけど 40 00:03:25,788 --> 00:03:28,374 いえ そういう意味ではなくて 41 00:03:28,499 --> 00:03:33,004 むしろ 私を心配してくれる人が いることに驚いたというか 42 00:03:33,421 --> 00:03:37,592 でも そうね ごめんなさい そんな顔をしないで 43 00:03:37,926 --> 00:03:41,429 大丈夫 あなたを置いて どこにも行きはしないから 44 00:03:42,013 --> 00:03:45,475 (天音)約束? (一姫)ええ 約束するわ 45 00:03:50,271 --> 00:03:52,106 (古森(こもり)) 全然 揚がりませんね 46 00:03:52,232 --> 00:03:56,152 (金田(かねだ)) いい考えだと思ったんだけどな もう一度やってみようか 47 00:03:57,904 --> 00:03:58,780 (佐久間) ああ… 48 00:03:59,989 --> 00:04:00,782 おう 天音 49 00:04:01,241 --> 00:04:02,951 君の相方は見つかったかな? 50 00:04:03,076 --> 00:04:04,994 あっ はい 今は 大テントに 51 00:04:05,495 --> 00:04:08,039 そっか あの風見(かざみ)って子は― 52 00:04:08,164 --> 00:04:11,417 放っておくと すねるタイプだから 気をつけてあげなよ 53 00:04:11,542 --> 00:04:14,045 え? まさか あの一姫ですよ? 54 00:04:14,420 --> 00:04:16,965 わかっちゃいないね 周防(すおう)天音 55 00:04:17,423 --> 00:04:20,677 だったら 彼女ともめたとき こんなことを言ってみな 56 00:04:23,263 --> 00:04:24,055 (天音) え? 57 00:04:28,226 --> 00:04:30,061 一姫いる? あっ… 58 00:04:32,730 --> 00:04:36,818 天音 悪いけど 広岡(ひろおか)さんの タオルを換えてあげてもらえる? 59 00:04:37,568 --> 00:04:39,028 わ… わかった 60 00:04:43,741 --> 00:04:45,410 (広岡) ありがとう 風見さん 61 00:04:45,743 --> 00:04:50,248 (一姫) 私じゃないわ 今あなたを 見ているのは 周防天音よ 62 00:04:50,373 --> 00:04:52,458 (広岡) ありがとう 周防さん 63 00:04:52,583 --> 00:04:57,171 (一姫) そう 意識をしっかりね 呼吸のタイミングを忘れないように 64 00:04:57,463 --> 00:04:59,424 うん ごめんね 65 00:04:59,757 --> 00:05:03,303 桜井(さくらい)さん 縫った傷が かゆいのはわかりますが― 66 00:05:03,428 --> 00:05:05,096 かきむしらないでください 67 00:05:05,221 --> 00:05:07,056 (桜井) はい ごめんなさい 68 00:05:07,557 --> 00:05:10,560 どうしても我慢できないときは 呼んでください 69 00:05:10,685 --> 00:05:13,104 そのときは また消毒します 70 00:05:17,483 --> 00:05:20,528 (天音) 先輩たちの携帯つながらないって 71 00:05:20,653 --> 00:05:24,032 (一姫) この全域が 圏外である可能性もあるしね 72 00:05:24,157 --> 00:05:28,619 でも まだ2日目だし 試せることは試したほうがいい 73 00:05:28,745 --> 00:05:30,288 ペアなんか組まずに― 74 00:05:30,413 --> 00:05:34,500 みんなで一丸になって仕事したり 試したりしたほうがいいのかな 75 00:05:35,001 --> 00:05:38,880 集団で行動すれば 必ず怠け者が出てくる 76 00:05:39,005 --> 00:05:42,967 ペア単位で 何かしら 仕事を与えたほうが効率がいいのよ 77 00:05:43,301 --> 00:05:47,096 ふ… ふーん よくわからないけど― 78 00:05:47,221 --> 00:05:49,849 一姫がそう言うのなら そうなんでしょうね 79 00:05:51,309 --> 00:05:54,103 言いたいことや不満があれば 遠慮なく言いなさい 80 00:05:54,395 --> 00:05:56,230 え? あっ ごめん 81 00:05:56,355 --> 00:05:59,901 ただ 一姫の言うことなら 間違いないかなって― 82 00:06:00,026 --> 00:06:02,153 そういう意味で言っただけだよ 83 00:06:03,738 --> 00:06:07,617 もし あなたが 私とのペアに不満があるのなら― 84 00:06:07,742 --> 00:06:10,119 ほかの子と代わってくれても かまわないのよ 85 00:06:10,703 --> 00:06:11,370 あ… 86 00:06:14,123 --> 00:06:15,750 (一姫) 何? “あ”って 87 00:06:16,000 --> 00:06:19,962 大体 あなた どうして 私とのペアなんて受け入れたの? 88 00:06:20,254 --> 00:06:22,381 (天音) あ… フッ 89 00:06:22,548 --> 00:06:27,178 それはね 一姫のことが いちばん好きだからだよ 90 00:06:28,471 --> 00:06:29,180 はい? 91 00:06:29,430 --> 00:06:33,017 だから 私は一姫のことが いちばん好きだから― 92 00:06:33,142 --> 00:06:35,061 あなたとペアを組んだの 93 00:06:35,186 --> 00:06:37,855 あ… ああ そう… 94 00:06:38,189 --> 00:06:40,900 (天音) 一姫は? 私のこと好き? 95 00:06:41,025 --> 00:06:42,944 (一姫) ほ… 包帯を洗わなきゃ… 96 00:06:43,361 --> 00:06:44,445 一姫… 97 00:06:44,737 --> 00:06:48,282 ちょっ ウソ… あの風見一姫がてれている? 98 00:06:48,783 --> 00:06:52,328 ねえ 一姫 私のこと好きなんでしょう? 99 00:06:52,453 --> 00:06:54,497 それも 大好きなのね? 100 00:06:54,622 --> 00:06:57,542 う… うるさい 私は今 忙しいのよ! 101 00:06:57,959 --> 00:06:59,502 (天音)一姫! (一姫)キャー 102 00:06:59,919 --> 00:07:01,254 (川に落ちる音) 103 00:07:01,379 --> 00:07:02,338 (天音) ああ… 104 00:07:04,549 --> 00:07:05,675 ごめん 105 00:07:05,883 --> 00:07:08,302 あなたね! あっ 106 00:07:08,427 --> 00:07:09,679 (天音)一姫? (一姫)しっ! 107 00:07:09,804 --> 00:07:14,392 (ヘリのローター音) 108 00:07:14,559 --> 00:07:16,436 (佐久間)おーい (伊吹(いぶき))助けてー 109 00:07:16,561 --> 00:07:17,645 (坂下(さかした)) ここでーす 110 00:07:17,770 --> 00:07:20,606 (金田)おーい おーい (葎(りつ))お願い 111 00:07:20,731 --> 00:07:22,066 (古森) こっちでーす 112 00:07:22,191 --> 00:07:26,279 (一同) おーい 助けて こっち こっち! 113 00:07:29,615 --> 00:07:32,285 (葎) ダメだ 気づいてもらえないよ 114 00:07:32,410 --> 00:07:33,202 あっ 115 00:07:36,622 --> 00:07:38,082 お願い 気がついて! 116 00:07:38,207 --> 00:07:39,667 (クラクション) 117 00:07:39,667 --> 00:07:40,668 (クラクション) 118 00:07:39,667 --> 00:07:40,668 (一同) あ… 119 00:07:40,668 --> 00:07:43,463 (クラクション) 120 00:07:43,796 --> 00:07:45,882 どうだった? こっちに気がついた? 121 00:07:46,007 --> 00:07:47,550 そんなの わかんないよ 122 00:07:47,675 --> 00:07:49,552 (伊吹) でも 進路 変えましたよね? 123 00:07:49,677 --> 00:07:51,596 気がついたってことなんじゃ ないんですか? 124 00:07:51,804 --> 00:07:53,764 (坂下) だったら なぜ 飛び去ったのよ? 125 00:07:53,890 --> 00:07:57,310 (葎) 無線とかで 連絡を取っているかも しれないじゃないですか! 126 00:07:57,435 --> 00:07:58,936 (古森) そ… そうですよ 127 00:07:59,061 --> 00:08:03,024 それに 燃料が残り少なくて 一旦 戻っただけかもしれません 128 00:08:03,232 --> 00:08:05,026 また すぐに戻ってきますよ 129 00:08:06,527 --> 00:08:10,531 (天音) 結局 そのヘリは戻ってこなかった 130 00:08:13,367 --> 00:08:15,745 んっ んん… 131 00:08:23,711 --> 00:08:25,379 (天音) 暑さで 鹿内(しかない)先輩たちの― 132 00:08:25,505 --> 00:08:26,672 遺体が腐り始めた 133 00:08:28,090 --> 00:08:31,719 越智(おち)先生が3人を森へ運んでいった 134 00:08:32,261 --> 00:08:35,389 助けが来たとき 3人の体は― 135 00:08:35,515 --> 00:08:38,851 そして 私たちは どうなっているのだろう 136 00:08:40,061 --> 00:08:41,562 (天音) 一姫 弟がいるの? 137 00:08:42,063 --> 00:08:43,648 ええ いるわよ 138 00:08:43,773 --> 00:08:45,566 (天音) やっぱり その子も頭いいの? 139 00:08:45,900 --> 00:08:48,110 バカではないと思うけれど― 140 00:08:48,236 --> 00:08:52,198 私の弟って時点で どうしても比較されてしまうし― 141 00:08:52,490 --> 00:08:56,452 ちょっと頑張った程度じゃ 誰も認めてはくれないのよね 142 00:08:56,911 --> 00:08:59,539 あの子に失望する声は多いし― 143 00:08:59,664 --> 00:09:02,667 それは 両親ですら 例外じゃないけど― 144 00:09:02,917 --> 00:09:05,086 私は あの子をとても愛しているわ 145 00:09:05,962 --> 00:09:08,965 ハァ んー… ああ 両親か 146 00:09:09,966 --> 00:09:13,636 ホントなら とっくにウチに帰って ごはん いっぱい食べて― 147 00:09:13,761 --> 00:09:16,806 布団でグーグー寝てたんだよね 148 00:09:17,265 --> 00:09:20,226 どうして こんなことに なっちゃったんだろう 149 00:09:20,810 --> 00:09:23,604 天音 周りを見てごらんなさい 150 00:09:24,605 --> 00:09:27,191 今は あなたと私しかいないわ 151 00:09:27,441 --> 00:09:30,027 (天音のすすり泣き) 152 00:09:31,821 --> 00:09:36,117 帰りたい… 私 帰りたいよ 一姫 153 00:09:37,159 --> 00:09:38,786 うう… うっ… 154 00:09:39,579 --> 00:09:43,499 ごめん 一姫 ごめんね 許して 155 00:09:43,666 --> 00:09:45,543 (一姫) いいのよ 大丈夫 156 00:09:45,668 --> 00:09:49,880 いつか 必ず 私があなたを家に帰してあげる 157 00:09:50,006 --> 00:09:51,382 約束するわ 158 00:09:51,799 --> 00:09:53,926 (天音のすすり泣き) 159 00:09:56,846 --> 00:09:59,432 (天音) 食料が配給制になった 160 00:09:59,849 --> 00:10:00,558 ああ… 161 00:10:05,646 --> 00:10:07,440 (天音) 1日中 雨… 162 00:10:08,399 --> 00:10:10,568 (葎) 8 9 10 163 00:10:10,943 --> 00:10:11,861 どうしよう 164 00:10:12,862 --> 00:10:15,698 部長 少々 よろしいでしょうか? あっ… 165 00:10:16,240 --> 00:10:18,075 何か あったんですか? 166 00:10:18,200 --> 00:10:21,078 (葎) ニンジンが1本 足りないの 167 00:10:21,245 --> 00:10:22,622 (一姫) 数え間違いではなくて? 168 00:10:22,955 --> 00:10:26,751 そんなことない! 間違えたら部長に怒られるもの 169 00:10:27,168 --> 00:10:30,838 となると 誰かが盗んだ 可能性があるわけですね 170 00:10:30,963 --> 00:10:33,507 (天音)え? (葎)盗まれた? 誰に? 171 00:10:33,633 --> 00:10:35,593 やっかいなのは その点です 172 00:10:35,926 --> 00:10:38,929 こんな 閉鎖空間で 犯人捜しでも始めようものなら― 173 00:10:39,430 --> 00:10:41,474 誰もが疑心暗鬼を生むでしょう 174 00:10:41,641 --> 00:10:44,727 ど… どうしよう 助けてよ 風見さん 175 00:10:44,852 --> 00:10:46,562 落ち着きなさい 葎(りっ)ちゃん 176 00:10:46,687 --> 00:10:49,732 いや 葎ちゃんって… 先輩だぞ 177 00:10:49,857 --> 00:10:51,567 私に考えがあるわ 178 00:10:52,777 --> 00:10:53,444 ちょっと! 179 00:10:53,569 --> 00:10:55,655 いいから 落ち着いて見てなさい 180 00:11:01,494 --> 00:11:02,870 (一姫) そして これを… 181 00:11:04,205 --> 00:11:07,124 (一姫)どう? ほら これで11本 (葎)え? 182 00:11:07,667 --> 00:11:10,753 (天音) ウソ! ホントに11本ある どうやったの? 183 00:11:11,253 --> 00:11:14,215 結構 有名なパズルなんだけど 知らない? 184 00:11:14,340 --> 00:11:18,469 (葎) 風見さん ありがとう この恩は 必ず返すから 185 00:11:18,594 --> 00:11:20,763 いいのよ 葎ちゃん 気にしないで 186 00:11:21,055 --> 00:11:22,556 (天音) 小出(こいで)先輩― 187 00:11:22,681 --> 00:11:26,644 とんでもない女に借りを作ったって 気づいてるのかな 188 00:11:28,479 --> 00:11:30,147 (坂下) いいかげんにしなさい! 189 00:11:30,773 --> 00:11:33,150 こんな食事でも 食べられない子もいるのよ 190 00:11:33,484 --> 00:11:36,821 ほら 食べなさい 熱があるのなら なおさら栄養を… 191 00:11:36,946 --> 00:11:39,657 (広岡)食べたくないんです (坂下)そんなことないでしょう? 192 00:11:39,990 --> 00:11:42,910 お願いします もう許してください 193 00:11:43,160 --> 00:11:44,745 許してって何よ? 194 00:11:44,870 --> 00:11:47,039 まるで 私が あなたを いじめてるようじゃない 195 00:11:47,456 --> 00:11:50,084 (一姫) 人が嫌がっていることを 無理強いするのが― 196 00:11:50,209 --> 00:11:52,169 いじめ以外の何だと言うんです? 197 00:11:52,294 --> 00:11:53,170 (坂下) ええ? 198 00:11:53,295 --> 00:11:57,383 (一姫) 弱者を相手に いい人ごっこを している姿を主張したいのなら― 199 00:11:57,508 --> 00:12:00,719 少しは 他者を思いやる姿勢を 見せてはいかがですか? 200 00:12:02,179 --> 00:12:06,225 ここは もう結構ですから ご自分のテントにお戻りください 201 00:12:09,645 --> 00:12:11,063 か… 一姫 202 00:12:11,188 --> 00:12:14,483 (一姫) 情けない声を出さないでちょうだい 薬草は? 203 00:12:14,608 --> 00:12:18,237 (天音)あっ うん 摘んできたけど (一姫)ありがとう 204 00:12:20,281 --> 00:12:22,700 今日は外に出て 日に当たってください 205 00:12:22,825 --> 00:12:24,702 (桜井) お世話になりました 206 00:12:28,747 --> 00:12:30,249 さて 広岡さん 207 00:12:30,958 --> 00:12:31,959 はい 208 00:12:33,335 --> 00:12:36,505 (一姫) なかなか気づいてあげられなくて ごめんなさい 209 00:12:36,797 --> 00:12:38,883 な… 何のことですか? 210 00:12:39,300 --> 00:12:42,178 あなたが食事を 取りたがらない理由よ 211 00:12:42,970 --> 00:12:46,765 ああ… あっ 待って お願い 嫌っ! 212 00:12:47,224 --> 00:12:49,351 恥ずかしいのはわかるけど― 213 00:12:49,477 --> 00:12:51,145 このままにしては おけないでしょう? 214 00:12:51,437 --> 00:12:54,148 (すすり泣き) 215 00:12:54,523 --> 00:12:57,985 (一姫) 天音 悪いけど お湯を沸かしてきてくれる? 216 00:12:58,110 --> 00:12:59,153 (天音) うん わかった 217 00:13:00,946 --> 00:13:02,656 急がないでいいわ お願い 218 00:13:03,073 --> 00:13:04,658 え? ええ 219 00:13:05,284 --> 00:13:08,537 あっ 広岡さん 漏らしちゃったんだ 220 00:13:09,580 --> 00:13:13,042 今の広岡さんは 自分の足で 立ち上がることもできない 221 00:13:13,792 --> 00:13:15,878 食事を拒み続けた理由は― 222 00:13:16,003 --> 00:13:19,673 出したくないから 食べたくないということだったんだ 223 00:13:20,049 --> 00:13:22,760 (すすり泣き) 224 00:13:22,885 --> 00:13:24,261 (一姫) 気にすることはないわ 225 00:13:24,803 --> 00:13:27,640 生きていれば 当たり前のことなのだから 226 00:13:32,686 --> 00:13:35,689 (天音) チェッ 何だよ 一姫のヤツ 227 00:13:35,814 --> 00:13:39,735 私には あんな優しい顔 絶対しないくせにさ 228 00:13:40,986 --> 00:13:42,655 (一姫) 首の所 血が出てるわ 229 00:13:42,780 --> 00:13:44,406 うわ! 一姫 ああ… 230 00:13:44,532 --> 00:13:46,992 (一姫)ヒルにかまれたのね (天音)あ… 231 00:13:47,117 --> 00:13:50,996 天音 私はあなたを いちばん信頼しているし― 232 00:13:51,121 --> 00:13:53,165 いちばん頼っているのも事実よ 233 00:13:53,582 --> 00:13:58,170 私がどこへ行こうと 結局 最後には ここへ帰ってくるのだから 234 00:13:58,629 --> 00:14:01,757 あなたは どっしりと構えて 待っていればいいの 235 00:14:01,882 --> 00:14:02,841 な… 何よ? 236 00:14:03,342 --> 00:14:05,469 (一姫) 血が止まっていないじゃない 237 00:14:05,636 --> 00:14:10,266 (血を吸う音) (天音)あっ んん んん… んん… 238 00:14:11,183 --> 00:14:13,102 (天音) やっ ちょっ 一姫… 239 00:14:13,227 --> 00:14:17,398 そんなに強く吸ったら… んん… あっ あっ… 240 00:14:22,236 --> 00:14:24,947 越智先生が あした ここを出てくそうよ 241 00:14:25,072 --> 00:14:26,866 出ていくって どうして? 242 00:14:27,283 --> 00:14:31,245 周辺を調べて なんとか 下山できそうなメドが立ったそうよ 243 00:14:31,495 --> 00:14:34,874 先生がいなくなったら 私たちはどうなるんだろう 244 00:14:35,416 --> 00:14:37,167 (一姫) 心配はいらないわ 245 00:14:37,293 --> 00:14:39,003 もしも 何かを 犠牲にしなければ― 246 00:14:39,128 --> 00:14:42,131 あなたを守れないという 状況になったら― 247 00:14:42,631 --> 00:14:46,510 私は全てを犠牲にしてでも あなたを守るから 大丈夫 248 00:14:47,720 --> 00:14:49,680 (一姫)愛してるわ 天音 (天音)え? 249 00:14:53,309 --> 00:14:54,143 (越智) では 行くよ 250 00:14:54,476 --> 00:14:56,520 先生 どうか お気をつけて 251 00:14:56,854 --> 00:14:59,648 (越智) うん 必ず助けを呼んでくる 252 00:15:01,775 --> 00:15:03,861 先生 大丈夫かな? 253 00:15:03,986 --> 00:15:06,947 正直 あまり期待しないほうがいいね 254 00:15:07,072 --> 00:15:11,660 食料を半分も持っていったんですよ 結果を出してくれなきゃ困りますよ 255 00:15:12,077 --> 00:15:14,705 あなたたち! おしゃべりしてる暇があったら― 256 00:15:14,830 --> 00:15:17,416 ほかにやるべきことが いくらでもあるでしょう? 257 00:15:18,167 --> 00:15:20,920 (葎)部長 (佐久間)はいはい ごめんよ 258 00:15:21,295 --> 00:15:23,964 なんかさ 坂下を見てると― 259 00:15:24,089 --> 00:15:27,051 こういう状況で どなり散らすだけの人間が― 260 00:15:27,176 --> 00:15:30,429 どれだけ惨めかって 思い知らされるよね 261 00:15:30,763 --> 00:15:31,805 言い方はどうあれ― 262 00:15:32,389 --> 00:15:35,976 坂下部長の言葉に 間違いがないのも事実です 263 00:15:36,101 --> 00:15:39,939 私たちの食料は半減したのだから 探しに行かなければ 264 00:15:41,190 --> 00:15:44,902 (天音) 今はただ 自分にできることをするしかない 265 00:15:45,027 --> 00:15:50,115 そんな言葉で自分をだましていても 限界は近いような気がしていた 266 00:15:50,741 --> 00:15:55,120 それでも 私は一姫に ついていくことしか頭になかった 267 00:15:55,454 --> 00:16:00,250 それ以外に どうすればいいのか 考えようともしていなかったのだ 268 00:16:02,419 --> 00:16:04,880 (天音) また雨だ もう うんざり 269 00:16:05,464 --> 00:16:09,259 雨粒がテントに当たる音を 聞いているとイライラしてくる 270 00:16:09,718 --> 00:16:13,138 満たされない空腹も また その拍車をかける 271 00:16:13,263 --> 00:16:17,226 天音 あなた日記に書いてること 声に出してるけど? 272 00:16:17,351 --> 00:16:18,394 (天音) え? ウソ? 273 00:16:18,811 --> 00:16:22,272 (一姫) 自覚なし 重症ね 気をつけなさい 274 00:16:22,606 --> 00:16:25,359 ほら これでも食べて元気を出して 275 00:16:25,567 --> 00:16:28,445 うう… もう デンデンムシ飽きた 276 00:16:28,570 --> 00:16:31,490 ていうか 虫以外のものが食べたいよ 277 00:16:32,032 --> 00:16:34,284 食べたら 大テントに行きましょう 278 00:16:34,410 --> 00:16:36,328 お湯と雑炊を用意してね 279 00:16:36,453 --> 00:16:37,496 うん 280 00:16:45,337 --> 00:16:47,006 (一姫)あっ… (天音)お湯 沸いたよ 281 00:16:47,589 --> 00:16:48,757 ありがとう 天音 282 00:16:48,882 --> 00:16:53,262 そこの手拭いを熱湯で消毒して 広岡さんの体を拭いてくれる? 283 00:16:53,804 --> 00:16:55,848 こっちはいいから 広岡さんを… 284 00:16:55,973 --> 00:16:57,141 (天音) う… うん 285 00:17:00,394 --> 00:17:03,689 (天音) ちょっと待ってね 今 熱いタオルで拭いてあげるから 286 00:17:04,565 --> 00:17:07,109 (広岡) たし… もう… にたい… 287 00:17:07,234 --> 00:17:09,445 (天音) ん? 何? なんて? 288 00:17:09,945 --> 00:17:12,322 私 もう 死にたい 289 00:17:12,740 --> 00:17:15,701 大丈夫だよ ちょっとカビが生えただけじゃん 290 00:17:16,160 --> 00:17:21,290 (広岡) 体中がかゆいの 気が変になりそう もう嫌 291 00:17:21,415 --> 00:17:24,334 (天音) 我慢して 今 きれいにしてあげるから 292 00:17:26,962 --> 00:17:28,964 かいちゃダメって言ったのに 293 00:17:29,089 --> 00:17:31,717 ごめんなさい 我慢できなくて 294 00:17:32,426 --> 00:17:35,637 ありがとう 周防さん 気持ちいい 295 00:17:36,305 --> 00:17:39,224 ごめんね 面倒ばっかりかけて 296 00:17:39,683 --> 00:17:44,229 私 きっと もうすぐ死ぬから それまでは ごめんね 297 00:17:44,521 --> 00:17:46,273 そんなこと言っちゃダメだよ 298 00:17:46,398 --> 00:17:49,359 体を拭いてあげるぐらい いつだってしてあげるから― 299 00:17:49,485 --> 00:17:50,486 元気 出してよ 300 00:17:51,111 --> 00:17:55,365 (広岡) うん 私 この恩は必ず返すから 301 00:17:55,699 --> 00:18:00,370 そうして そのためには 絶対に生き残らないと ね! 302 00:18:00,829 --> 00:18:05,250 私 死んでも 絶対に この恩を忘れないよ 303 00:18:05,417 --> 00:18:08,253 (天音) だから そういうことは言わないの 304 00:18:08,545 --> 00:18:10,631 大丈夫 死なないから 305 00:18:13,133 --> 00:18:15,344 (伊吹) ♪ あめあめ ふれふれ 306 00:18:15,469 --> 00:18:16,512 ♪ かあさんが 307 00:18:16,720 --> 00:18:18,597 うるせえぞ 伊吹! 308 00:18:18,722 --> 00:18:19,848 (伊吹) うう… 309 00:18:20,140 --> 00:18:21,350 (匂いを嗅ぐ音) 310 00:18:21,475 --> 00:18:22,601 ヘヘヘ… 311 00:18:22,726 --> 00:18:23,852 (伊吹) ♪ ピッチピッチ 312 00:18:23,977 --> 00:18:25,020 ♪ チャップチャップ 313 00:18:25,145 --> 00:18:27,147 (金田) 何なんだろうね? あれ 314 00:18:25,145 --> 00:18:27,147 ♪ ランランラン 315 00:18:27,481 --> 00:18:29,566 たまに ああやって おかしくなるけど― 316 00:18:29,691 --> 00:18:32,653 しばらくすると いつもの ブッキーに戻ってるんだよね 317 00:18:32,986 --> 00:18:35,906 ダイエットによる ビタミン不足に加え― 318 00:18:36,031 --> 00:18:39,159 今の深刻な滋養不足で 脳の機能に― 319 00:18:39,284 --> 00:18:43,038 障害が出始めてるんじゃないかって 一姫が… 320 00:18:43,247 --> 00:18:45,916 ウチの古森も だいぶ ヤバい感じだよ 321 00:18:46,708 --> 00:18:48,043 アリオンが熱 出して― 322 00:18:48,168 --> 00:18:51,088 自分の分の食料まで やってるんだけどさ― 323 00:18:51,213 --> 00:18:53,298 あれじゃあ あいつがもたないよ 324 00:18:53,674 --> 00:18:58,595 みんな どんどん弱ってく このまま あたしら みんな死ぬんだ 325 00:19:01,014 --> 00:19:04,685 (天音) 越智先生がここを出て 2日以上がたつ 326 00:19:04,977 --> 00:19:08,397 相変わらず 救助は来ないし 先生も戻ってこない 327 00:19:09,439 --> 00:19:13,652 先生は“必ず助けを呼んでくる” と言って ここを出ていった 328 00:19:14,278 --> 00:19:17,531 そんな言葉を信じている者は 半分もいなかった 329 00:19:18,407 --> 00:19:20,826 それでも 誰もが心のどこかで― 330 00:19:20,951 --> 00:19:23,912 もしかしたらと信じていたし 期待もしていた 331 00:19:24,913 --> 00:19:29,793 日を追うごとに 薄くなる期待は やがて冷酷な現実に取って代わる 332 00:19:30,419 --> 00:19:34,298 私たちは ただ死なないために 生きるので精いっぱいだった 333 00:19:35,048 --> 00:19:37,092 おなかがすけば 雑草や虫をはみ― 334 00:19:37,676 --> 00:19:39,720 喉が渇けば生水を飲む 335 00:19:40,179 --> 00:19:43,765 食べられるものを探し回り それ以外の時間は― 336 00:19:43,891 --> 00:19:47,477 下痢したおなかをさすりながら ただ寝たふりをする 337 00:19:48,187 --> 00:19:52,357 運よく 眠ることに成功すれば 苦痛を忘れることができた 338 00:19:56,528 --> 00:19:58,655 (天音) 古森さんの アリオンが死んだ 339 00:20:00,240 --> 00:20:01,450 アー君… 340 00:20:01,742 --> 00:20:04,244 せめて手厚く葬ろう 341 00:20:04,453 --> 00:20:05,829 あら 食べないの? 342 00:20:06,121 --> 00:20:06,955 (3人) え? 343 00:20:07,497 --> 00:20:09,458 食べるって 犬を? 344 00:20:09,583 --> 00:20:11,960 そう この子に助けてもらうの 345 00:20:12,127 --> 00:20:12,961 (3人) え? 346 00:20:17,341 --> 00:20:21,887 そうね… 彼女の意見が正しいわ 食べましょう 347 00:20:22,054 --> 00:20:22,763 あっ… 348 00:20:24,223 --> 00:20:25,641 ああ… 349 00:20:26,808 --> 00:20:29,478 それがアリオンの最後の奉公よ 350 00:20:30,729 --> 00:20:32,439 (古森) わかりました… 351 00:20:34,107 --> 00:20:37,236 だったら 虫が湧く前に “肉”にしたほうがいいわね 352 00:20:37,361 --> 00:20:38,028 (天音) え… 353 00:20:38,528 --> 00:20:40,280 (一同) うーん… 354 00:20:40,739 --> 00:20:43,450 皆さん ジャンケンってご存じ? 355 00:20:44,326 --> 00:20:47,663 (葎) 嫌! 私 犬をさばいた 経験なんかない 356 00:20:47,829 --> 00:20:50,249 しっかりしなさい 医者の娘でしょう! 357 00:20:50,374 --> 00:20:51,708 そんな… 358 00:20:52,501 --> 00:20:54,544 ひっ 見てる… 見てるよ! 359 00:20:54,670 --> 00:20:55,963 絶対無理! 360 00:20:56,421 --> 00:20:59,216 (葎の泣き声) 361 00:21:02,928 --> 00:21:04,429 (石でたたく音) (一同)うう… 362 00:21:04,554 --> 00:21:05,722 (石でたたく音) 363 00:21:06,223 --> 00:21:06,974 (石でたたく音) 364 00:21:08,934 --> 00:21:12,229 これでもう どこが“目”なのか わからないでしょう? 365 00:21:12,354 --> 00:21:13,230 頑張りなさい 366 00:21:13,438 --> 00:21:17,484 こんなの こんなのひどすぎるよ 私にはできない! 367 00:21:17,609 --> 00:21:21,113 (葎の泣き声) 368 00:21:21,488 --> 00:21:22,531 (天音) あ… 369 00:21:25,325 --> 00:21:30,205 (天音) そして 一姫の手で解体された アリオンは“肉”となり― 370 00:21:30,330 --> 00:21:32,249 私たちは それを食べた 371 00:21:32,874 --> 00:21:35,002 久しぶりに口にした “肉”の味は― 372 00:21:35,127 --> 00:21:38,005 目の前がクラクラするほど おいしかった 373 00:21:38,630 --> 00:21:42,009 一口でなくなってしまう程度の 量だったけれど― 374 00:21:42,134 --> 00:21:47,014 誰もが その滋養に涙を流し 骨まで かみ砕くようにして食べた 375 00:21:47,848 --> 00:21:52,227 古森さんも顔をクシャクシャにして 何度も鼻をすすりながら― 376 00:21:52,352 --> 00:21:53,895 肉に かぶりついた 377 00:21:54,771 --> 00:21:58,025 この 一口の肉で 私たちは生き延びた 378 00:21:58,775 --> 00:22:01,111 この たった一口の肉の味を― 379 00:22:01,236 --> 00:22:04,865 私たちは きっと 一生 忘れないだろう 380 00:22:06,325 --> 00:22:11,330 ♪~ 381 00:23:27,906 --> 00:23:32,911 ~♪