1 00:00:02,085 --> 00:00:03,920 (天音(あまね)) 転落13日目 2 00:00:06,381 --> 00:00:10,301 (金田(かねだ)) 誰か来て! 古森(こもり)が… 古森が! 3 00:00:10,635 --> 00:00:13,304 (天音) 古森さんが花の芽を食べて倒れた 4 00:00:13,888 --> 00:00:16,808 (伊吹(いぶき)) ここに来てから何日たったのかな? 5 00:00:17,225 --> 00:00:20,186 (佐久間(さくま)) 13日目だよ おとなしく寝てな 6 00:00:20,770 --> 00:00:24,441 (天音) 伊吹はビタミン不足で意識が 混濁する時間が増えた 7 00:00:25,108 --> 00:00:27,694 桜井(さくらい)さんは敗血症の症状を見せ― 8 00:00:28,069 --> 00:00:30,697 広岡(ひろおか)さんは もう 反応すらしなかった 9 00:00:31,072 --> 00:00:32,449 (天音) もう限界だよ 10 00:00:32,866 --> 00:00:34,659 このまま目を閉じて― 11 00:00:34,784 --> 00:00:37,579 心臓が止まってくれれば どれだけ楽だろう 12 00:00:37,704 --> 00:00:39,205 (一姫(かずき)) 諦めるのは早いわ 13 00:00:40,165 --> 00:00:45,378 まだ地獄ではない まだ 生き残る価値のある世界だわ 14 00:00:46,504 --> 00:00:51,509 ♪~ 15 00:02:10,922 --> 00:02:15,927 ~♪ 16 00:02:19,222 --> 00:02:21,724 (天音) 空腹は極限まで達していた 17 00:02:21,933 --> 00:02:23,810 わずかに肉を食べたことが― 18 00:02:23,935 --> 00:02:26,271 かえって食料への思いを強くした 19 00:02:27,063 --> 00:02:29,774 (天音) どうすれば 助かるんだろう? 20 00:02:29,899 --> 00:02:31,067 (一姫)雄二(ゆうじ)… (天音)え? 21 00:02:31,734 --> 00:02:33,278 (一姫) 弟の名前よ 22 00:02:33,403 --> 00:02:35,196 (天音) 風見(かざみ)… 雄二? 23 00:02:35,321 --> 00:02:38,074 (一姫) そう それが 私の弟の名前 24 00:02:38,783 --> 00:02:42,370 生きて帰ることができたら 紹介してあげるわ 25 00:02:42,662 --> 00:02:44,080 きっと気に入るはずよ 26 00:02:44,622 --> 00:02:48,835 (天音)楽しみだな きっとだよ (一姫)ええ 約束するわ 27 00:02:48,960 --> 00:02:50,962 (越智(おち)の笑い声) 28 00:02:51,129 --> 00:02:55,341 (越智) やった! 戻ってこれたぞ! ハハハ… 29 00:02:55,758 --> 00:02:57,010 (坂下(さかした)) 先生! 30 00:02:55,758 --> 00:02:57,010 (越智の笑い声) 31 00:02:57,010 --> 00:02:57,594 (越智の笑い声) 32 00:02:57,594 --> 00:03:00,221 (越智の笑い声) 33 00:02:57,594 --> 00:03:00,221 (天音) そうか 失敗したんだ 34 00:03:00,221 --> 00:03:00,763 (越智の笑い声) 35 00:03:00,972 --> 00:03:03,308 (越智の笑い声) 36 00:03:04,851 --> 00:03:08,104 (桜井) 広岡さん 広岡さん! 37 00:03:08,771 --> 00:03:12,609 (天音) その日の夕方 広岡さんが 息を引き取った 38 00:03:14,944 --> 00:03:17,113 (越智) 俺が墓を掘って埋めてくる 39 00:03:19,282 --> 00:03:19,949 んっ 40 00:03:21,993 --> 00:03:24,621 (天音) 私たちは皆おかしくなっていた 41 00:03:26,205 --> 00:03:31,419 誰かが言いだせば しかたがない という空気が そこにはあった 42 00:03:32,295 --> 00:03:35,924 私は なんて卑しい女なのだろう 43 00:03:36,549 --> 00:03:38,259 (泣き声) 44 00:03:38,509 --> 00:03:41,679 (泣き声) 45 00:03:43,765 --> 00:03:45,808 (天音) 人は生きていれば 必ず死ぬ 46 00:03:45,934 --> 00:03:48,937 それは この世界の 絶対的なルール 47 00:03:49,270 --> 00:03:51,773 今日 桜井先輩と古森さんが死んだ 48 00:03:53,024 --> 00:03:54,776 桜井先輩は敗血症 49 00:03:55,568 --> 00:03:57,237 古森さんは自殺だった 50 00:03:58,571 --> 00:04:02,242 もう悲しいとか かわいそうとかいう気持ちはない 51 00:04:02,825 --> 00:04:05,870 1人分の食いぶちが 浮いたと思うだけだ 52 00:04:06,996 --> 00:04:10,750 金田先輩は傷口のウジを食べていた 53 00:04:11,459 --> 00:04:13,836 彼女も完全に おかしくなっている 54 00:04:14,128 --> 00:04:14,796 (金田) デリシャス 55 00:04:14,796 --> 00:04:15,255 (金田) デリシャス 56 00:04:14,796 --> 00:04:15,255 (天音) 恐怖や飢えから逃避するため― 57 00:04:15,255 --> 00:04:16,589 (天音) 恐怖や飢えから逃避するため― 58 00:04:16,714 --> 00:04:19,801 私たちは信じられないことを 考え始めた 59 00:04:20,218 --> 00:04:24,430 私の代わりに誰かが死ねば 私たちは助かるかもしれない 60 00:04:24,806 --> 00:04:28,017 (金田) ねえ あんた早く死になよ 61 00:04:28,142 --> 00:04:31,437 君こそ 遠慮しないで さっさと死になよ 62 00:04:32,063 --> 00:04:32,772 あっ 63 00:04:33,231 --> 00:04:35,149 (坂下)死んではダメよ (天音)あっ? 64 00:04:35,275 --> 00:04:39,320 (坂下) 先生が鹿を捕らえたわ これを食べて元気を出しなさい 65 00:04:39,445 --> 00:04:40,363 (金田・佐久間) あっ… 66 00:04:40,947 --> 00:04:41,698 (金田) うっ! 67 00:04:44,784 --> 00:04:48,454 (むさぼる音) 68 00:04:48,913 --> 00:04:53,668 (天音) 一姫 鹿のお肉だよ 部長と先生が捕まえたんだって 69 00:04:54,585 --> 00:04:59,215 私は いいわ うかつに肉を食べると 肝炎になるから 70 00:04:59,799 --> 00:05:02,010 火を通してるから大丈夫だよ 71 00:05:02,135 --> 00:05:04,387 私は まだ死にたくないし 72 00:05:04,512 --> 00:05:06,723 生き残ったあと苦しむのも ごめんだわ 73 00:05:07,807 --> 00:05:09,392 (天音) うう… ん 74 00:05:13,062 --> 00:05:16,607 (天音) 私は一姫を裏切るようなマネを する気にはなれず― 75 00:05:16,733 --> 00:05:19,152 肉を断腸の思いで諦めた 76 00:05:24,073 --> 00:05:26,242 (天音) そして その日の夜 77 00:05:26,909 --> 00:05:29,078 (一姫) 天音 起きなさい 78 00:05:29,203 --> 00:05:31,122 う… 一姫? 79 00:05:31,581 --> 00:05:33,458 何? どうしたの? 80 00:05:33,958 --> 00:05:35,209 (一姫) あれを見なさい 81 00:05:36,085 --> 00:05:38,880 (天音) 部長と先生? どこへ行くの? 82 00:05:39,380 --> 00:05:42,258 チャンスは今よ ここを抜け出しましょう 83 00:05:42,383 --> 00:05:43,259 (天音) 抜け出す? 84 00:05:43,843 --> 00:05:46,471 この山を出て家に帰るの 85 00:05:46,596 --> 00:05:49,140 もう助けなんか来ない 自力で脱出するのよ 86 00:05:49,515 --> 00:05:51,768 どうして? 今このタイミングで? 87 00:05:52,060 --> 00:05:54,437 説明している時間がないのよ 88 00:05:54,562 --> 00:05:58,733 できるだけ急いで支度を済ませて 誰にも気がつかれないように 89 00:05:58,858 --> 00:06:00,651 (天音) え? ほかのみんなは? 90 00:06:01,152 --> 00:06:05,156 (一姫) いい天音 鬼は連れていけない わかる? 91 00:06:05,865 --> 00:06:06,866 鬼? 92 00:06:10,453 --> 00:06:12,288 (天音) 一姫 どこへ行くの? 93 00:06:12,538 --> 00:06:16,292 (一姫) 静かについてらっしゃい 今 全部 見せてあげる 94 00:06:17,043 --> 00:06:19,253 決して大きな声を出してはダメよ 95 00:06:19,378 --> 00:06:20,254 うん 96 00:06:22,799 --> 00:06:23,549 あ… 97 00:06:25,676 --> 00:06:27,095 見てごらんなさい 98 00:06:27,678 --> 00:06:28,387 あ… 99 00:06:28,596 --> 00:06:30,306 (坂下・越智の激しい息遣い) 100 00:06:30,431 --> 00:06:34,685 (坂下・越智の激しい息遣い) 101 00:06:34,852 --> 00:06:38,064 あの2人 こんな関係だったんだ 102 00:06:38,397 --> 00:06:40,691 周りを もっと よく見てごらんなさい 103 00:06:40,817 --> 00:06:41,692 あっ? 104 00:06:42,068 --> 00:06:43,194 (坂下・越智の激しい息遣い) 105 00:06:43,319 --> 00:06:44,654 あっ ん… 106 00:06:51,828 --> 00:06:52,578 あっ ああ… 107 00:06:53,079 --> 00:06:54,956 (木を踏む音) (越智)誰だ! 108 00:06:55,373 --> 00:06:56,290 逃げるわよ! 109 00:06:58,459 --> 00:07:00,044 見られた! 逃がしちゃダメ! 110 00:07:00,169 --> 00:07:01,796 (坂下)殺して! (越智)ガア~! 111 00:07:08,469 --> 00:07:10,138 (天音) まさか… まさか… 112 00:07:10,471 --> 00:07:13,474 これでもう たがが外れた! 殺し合いが始まるわよ 113 00:07:14,225 --> 00:07:18,646 (越智のうなり声) 114 00:07:19,063 --> 00:07:20,273 来たわ 115 00:07:20,398 --> 00:07:23,025 (越智のうなり声) 116 00:07:23,359 --> 00:07:24,402 (越智のうなり声) 117 00:07:25,319 --> 00:07:26,446 (越智のうなり声) 118 00:07:26,571 --> 00:07:27,905 (一姫)フン! (越智)グハッ! 119 00:07:34,287 --> 00:07:36,622 (一姫)行くわよ (天音)ええっ! う… うん 120 00:07:37,415 --> 00:07:39,542 (一姫・天音の息遣い) 121 00:07:40,001 --> 00:07:43,504 ウソだよ こんなの これは夢でしょう? 122 00:07:43,629 --> 00:07:46,841 あの人たちを もう人間だと 思わないほうがいいわ 123 00:07:47,842 --> 00:07:48,843 止まって! 124 00:07:51,804 --> 00:07:54,390 こんな時間に どこへ行くんだい? 125 00:07:54,515 --> 00:07:56,434 (天音) 佐久間先輩 部長と先生が! 126 00:07:56,851 --> 00:07:59,061 (一姫)天音 この人は もうダメ (天音)え? 127 00:07:59,437 --> 00:08:02,565 そうか 見てしまったのか… 2人とも 128 00:08:02,899 --> 00:08:05,067 (天音) 佐久間… 先輩? 129 00:08:05,193 --> 00:08:08,279 (一姫) 言ったはずよ 天音 鬼は連れていけない 130 00:08:08,654 --> 00:08:11,324 もうこの人たちは 人間の世界には戻れないのよ! 131 00:08:11,657 --> 00:08:15,453 (天音) あ… ウソだ… そんなの… ウソだ! 132 00:08:15,578 --> 00:08:16,787 (一姫)天音! (天音)ああ! 133 00:08:17,330 --> 00:08:19,457 残念だよ 周防(すおう)天音 134 00:08:20,208 --> 00:08:23,794 私は君のこと 結構 気に入っていたんだよ 135 00:08:24,879 --> 00:08:29,217 (一姫) いい天音 ここにいるのは もう人間じゃない 動物よ 136 00:08:30,218 --> 00:08:33,262 ライオンにシマウマが 食べられるのは当たり前のこと 137 00:08:33,387 --> 00:08:36,724 そのことで シマウマは 怒ったりしないし泣くこともない 138 00:08:37,433 --> 00:08:40,436 弱いものがいて それを強いものが食べる 139 00:08:40,561 --> 00:08:42,230 それがルールなのよ 140 00:08:44,232 --> 00:08:47,401 (泣き声) 141 00:08:47,527 --> 00:08:48,736 (一姫) 黙りなさい! 142 00:08:49,153 --> 00:08:50,821 約束したでしょう? 143 00:08:50,947 --> 00:08:55,868 あなたは必ず私が助けるから 何も心配はいらないの 144 00:08:56,077 --> 00:08:57,495 (一姫)わかる? (天音)うん… 145 00:08:57,620 --> 00:09:00,706 (金田) おーい どこ行った? 146 00:09:00,831 --> 00:09:03,376 隠れてないで出てきなよ 147 00:09:03,751 --> 00:09:04,752 金田先輩… 148 00:09:05,127 --> 00:09:08,339 鬼に飲み込まれたか だまされているのか 149 00:09:08,464 --> 00:09:10,633 どのみち あの人も もう引き返せない 150 00:09:11,133 --> 00:09:12,969 (金田) ちゃんと話せば わかるからさ 151 00:09:12,969 --> 00:09:14,136 (金田) ちゃんと話せば わかるからさ 152 00:09:12,969 --> 00:09:14,136 (一姫)逃げるわよ (天音)うん 153 00:09:19,934 --> 00:09:21,519 (金田) いたよ あっちだ! 154 00:09:23,062 --> 00:09:24,814 (天音の悲鳴) 155 00:09:25,314 --> 00:09:26,107 天音! 156 00:09:27,275 --> 00:09:28,609 立って お願いだから! 157 00:09:29,026 --> 00:09:33,447 もういいよ 一姫… 1人で逃げて 158 00:09:33,573 --> 00:09:37,868 私は… もう無理 怖くて動けない 159 00:09:38,035 --> 00:09:40,121 (天音の泣き声) 160 00:09:40,246 --> 00:09:46,168 捕まって殺されるくらいなら 私… 今ここで死ぬ… 161 00:09:47,837 --> 00:09:49,672 (一姫) その役目は私がやるわ 162 00:09:49,922 --> 00:09:50,756 (天音) え? 163 00:09:50,881 --> 00:09:53,009 私が おとりになると 言っているのよ 164 00:09:53,134 --> 00:09:53,884 でも! 165 00:09:54,010 --> 00:09:57,221 いい天音 よく聞いてちょうだい 166 00:09:57,471 --> 00:10:00,558 この中に隠しておいた 食糧と塩が入っているわ 167 00:10:01,100 --> 00:10:03,811 (天音)一姫? (一姫)それとこれ 168 00:10:03,936 --> 00:10:07,398 生きて山を脱出するための方法を メモしておいたから― 169 00:10:07,523 --> 00:10:10,151 しっかりと読んで 諦めずに進みなさい 170 00:10:10,526 --> 00:10:14,614 やだ一姫… ウソでしょ どうして? 171 00:10:14,739 --> 00:10:16,991 あたしを… あたしを見捨てるの? 172 00:10:17,325 --> 00:10:23,372 大丈夫よ 私は死なないわ いつか必ず また会えるから ね? 173 00:10:23,706 --> 00:10:28,252 一姫が1人で逃げてよ! 私はもう疲れちゃったよ 174 00:10:28,377 --> 00:10:29,712 もう無理だよ! 175 00:10:29,837 --> 00:10:34,759 私に従っていれば 何も心配はないわ ほら立って 176 00:10:34,884 --> 00:10:35,635 (天音) うっ… 177 00:10:35,760 --> 00:10:36,886 (金田の息遣い) 178 00:10:37,637 --> 00:10:39,096 一姫… 一姫! 179 00:10:39,347 --> 00:10:40,348 (金田・葎(りつ)の息遣い) 180 00:10:40,765 --> 00:10:42,350 (一姫) いいから行きなさい 181 00:10:42,767 --> 00:10:45,227 絶対に振り返ってはダメよ 急いで 182 00:10:45,770 --> 00:10:46,479 一姫… 183 00:10:46,604 --> 00:10:47,480 (一姫) 走りなさい! 184 00:10:48,022 --> 00:10:48,814 ううっ! 185 00:10:54,570 --> 00:10:58,824 (天音) 私は自分が助かりたい一心で 一姫を見捨てた 186 00:10:59,575 --> 00:11:05,373 一姫は殺される きっと生きたまま いちばん苦しい死に方をする 187 00:11:05,831 --> 00:11:09,835 私みたいな臆病な女を 助けるために犠牲になるのだ 188 00:11:10,211 --> 00:11:11,045 (天音) うう… 189 00:11:11,504 --> 00:11:12,797 一姫! 190 00:11:14,548 --> 00:11:16,592 (天音) 私が最後に目にした一姫は― 191 00:11:17,134 --> 00:11:21,138 泣き叫ぶでもなく恨みがましく にらめつけるわけでもなく 192 00:11:21,263 --> 00:11:22,473 ただ ほほ笑んでいた 193 00:11:23,140 --> 00:11:25,976 これが運命だと これがルールだと 194 00:11:26,102 --> 00:11:29,480 だから気にすることはない というように ほほ笑んでいた 195 00:11:31,273 --> 00:11:33,234 (天音) 許して 一姫 196 00:11:33,859 --> 00:11:35,069 許して! 197 00:11:45,871 --> 00:11:49,166 (天音) あれから何日がたっただろうか? 198 00:11:52,670 --> 00:11:54,338 一姫のリュックには― 199 00:11:54,463 --> 00:11:57,425 秘蔵していたであろう スナック菓子が入っていたが― 200 00:11:57,550 --> 00:11:59,385 私は一度も手を付けなかった 201 00:12:00,636 --> 00:12:05,141 もし運良く一姫が追っ手を逃れ 私に追いついてきたときには― 202 00:12:05,266 --> 00:12:07,560 全てを返すつもりだったからだ 203 00:12:08,018 --> 00:12:10,020 今ここで自分に負けたら― 204 00:12:10,146 --> 00:12:14,400 あの餓鬼たちと変わりのない存在で あるように思えて 気が引けたのだ 205 00:12:15,651 --> 00:12:18,487 私は ただ一姫に救われた命を― 206 00:12:18,612 --> 00:12:22,658 無駄にするわけにはいかない という思いだけで― 207 00:12:22,783 --> 00:12:25,077 森の中をさまよっていた 208 00:12:30,040 --> 00:12:30,875 あっ 209 00:12:33,085 --> 00:12:34,462 一姫? 210 00:12:35,379 --> 00:12:39,383 待って… 待ってよ… 一姫 211 00:12:40,217 --> 00:12:40,885 みんな… 212 00:12:41,886 --> 00:12:46,932 これは幻覚だ 私はきっとみんなに 道案内されて天国へ行くんだ 213 00:12:47,766 --> 00:12:51,187 待って… 私うまく歩けないよ 214 00:12:51,395 --> 00:12:56,025 あっ 置いていかないで ねえ みんな! 215 00:12:56,150 --> 00:12:57,026 あっ 216 00:13:00,696 --> 00:13:02,198 (車の走行音) 217 00:13:02,198 --> 00:13:03,032 (車の走行音) 218 00:13:02,198 --> 00:13:03,032 あっ 219 00:13:07,286 --> 00:13:08,037 え? 220 00:13:11,207 --> 00:13:12,958 あっ あっ… 221 00:13:16,128 --> 00:13:18,547 ウソ… 本当… に? 222 00:13:20,549 --> 00:13:21,217 あ… 223 00:13:21,800 --> 00:13:23,552 あっ ああ… 224 00:13:23,677 --> 00:13:25,054 ああ… あっ… 225 00:13:30,017 --> 00:13:31,435 (せきこみ) 226 00:13:35,940 --> 00:13:39,235 (笑い声) 227 00:13:39,360 --> 00:13:44,240 (天音) こうして私は たくさんのものを 犠牲にして たった1人― 228 00:13:44,365 --> 00:13:46,784 惨めに生き残ってしまったのだ 229 00:13:48,869 --> 00:13:53,457 (天音) 事故から生還した私を マスコミは 奇跡の生還と取り上げ出すが― 230 00:13:54,041 --> 00:13:55,960 すぐに その理由を邪推し始めた 231 00:13:57,336 --> 00:14:00,631 (女子生徒A) 何で あんただけ 生きて帰ってこれたの? 232 00:14:01,715 --> 00:14:02,883 ねえ あんた 233 00:14:04,468 --> 00:14:08,722 (女子生徒B) よく普通に暮らしてられるよね? 気持ち悪い 234 00:14:08,847 --> 00:14:11,267 (女子生徒C) 私なら絶対にしないね 235 00:14:11,392 --> 00:14:14,395 そんなことしてまで 生きたいと思わないもん 236 00:14:17,231 --> 00:14:18,941 うっ… うっ! 237 00:14:19,483 --> 00:14:22,278 (坂下)天音… (伊吹)助けて… 天音… 238 00:14:22,403 --> 00:14:25,072 (葎)死にたくないよ… (広岡)苦しい… 239 00:14:25,197 --> 00:14:27,283 (金田) どうして あんただけ… 240 00:14:27,408 --> 00:14:29,952 (桜井)なぜ助けてくれないの? (佐久間)天音… 241 00:14:30,160 --> 00:14:30,828 あっ! 242 00:14:31,412 --> 00:14:33,455 ハッ! うっ ううっ… 243 00:14:34,206 --> 00:14:36,542 (天音) これは生き残った罰なのだ 244 00:14:36,667 --> 00:14:39,336 他人を犠牲にして 生き残った私には― 245 00:14:39,461 --> 00:14:41,463 きっと何かの罰が必要なのだ 246 00:14:42,298 --> 00:14:45,009 死んだ人間以上に 苦しんでいなければ― 247 00:14:45,134 --> 00:14:46,969 誰も私を認めてなんかくれない 248 00:14:47,720 --> 00:14:52,016 私に必要なのは生き残った罰を 与えてくれる存在 249 00:14:52,141 --> 00:14:55,477 生きている言い訳を させてくれる存在が必要だった 250 00:14:55,895 --> 00:15:00,024 そんなとき 私に罰を与えるのに ふさわしい男が現れた 251 00:15:00,900 --> 00:15:02,776 (雄二) 風見(かざみ)雄二だ よろしく 252 00:15:02,902 --> 00:15:03,611 (天音) あっ 253 00:15:03,986 --> 00:15:06,238 (天音) それが雄二だったんだよ 254 00:15:07,197 --> 00:15:09,783 ずっと黙ってて ごめんね 雄二 255 00:15:10,117 --> 00:15:14,955 私はね あんたのお姉ちゃんを 犠牲にして生き残った― 256 00:15:15,080 --> 00:15:17,207 惨めな ひきょう者なんだよ 257 00:15:17,625 --> 00:15:19,376 (天音)ごめんなさい (雄二)そうか… 258 00:15:20,127 --> 00:15:23,130 (天音) だから初めて会ったとき思ったの 259 00:15:23,422 --> 00:15:26,425 私が雄二から一姫を 奪ってしまったのなら― 260 00:15:26,550 --> 00:15:28,928 せめて その代わりになろうって 261 00:15:29,053 --> 00:15:32,514 雄二が望むなら 何でもしてあげようって思った 262 00:15:32,848 --> 00:15:36,060 つまり お前が 俺に近寄ってきた動機は― 263 00:15:36,185 --> 00:15:40,272 俺に対する負い目で 恋愛感情では なかったということか? 264 00:15:40,564 --> 00:15:45,569 (天音) 正直に言うとね 別に雄二のことは 嫌いではないけど― 265 00:15:45,694 --> 00:15:48,781 好きというほど のめり込んでいるわけでもなかった 266 00:15:49,156 --> 00:15:54,036 それでも雄二と一緒にいると 雄二に尽くしていると― 267 00:15:54,161 --> 00:15:57,581 自分の中の罪が 軽くなっていくような気がしたの 268 00:15:58,874 --> 00:16:03,504 信じてくれないと思うけど 私 雄二のこと― 269 00:16:03,629 --> 00:16:05,547 本当に好きになっちゃったんだよ 270 00:16:07,049 --> 00:16:09,760 でも これじゃダメなんだよ 271 00:16:10,094 --> 00:16:12,429 雄二のこと 好きになっちゃったら― 272 00:16:12,554 --> 00:16:16,183 抱かれても罰にならない 幸福に感じちゃうもの 273 00:16:18,477 --> 00:16:21,939 だから もうこれで最後にしよう 274 00:16:22,648 --> 00:16:26,527 本当のことを打ち明けて この人とは別れようって 275 00:16:26,652 --> 00:16:27,444 そう思ったの 276 00:16:28,278 --> 00:16:31,657 どんなに どんなに謝っても 一姫は生き返らない 277 00:16:32,491 --> 00:16:34,159 ごめんね… 雄二 278 00:16:34,535 --> 00:16:35,369 フム… 279 00:16:35,911 --> 00:16:38,122 (天音) 雄二 私を殺してくれない? 280 00:16:38,247 --> 00:16:38,956 はっ? 281 00:16:39,248 --> 00:16:43,627 私は もうこんなことでしか 罰を受けられない 282 00:16:44,086 --> 00:16:47,131 こんなことでしか許しを得られない 283 00:16:47,673 --> 00:16:51,343 だったら もう 雄二に 殺してもらうしかないの 284 00:16:52,511 --> 00:16:55,597 ん… わかった 285 00:16:57,516 --> 00:16:58,308 んっ 286 00:16:59,143 --> 00:16:59,977 (殴る音) 287 00:17:00,352 --> 00:17:01,353 あ痛っ! 288 00:17:01,603 --> 00:17:02,604 フン 289 00:17:02,730 --> 00:17:06,316 この程度で痛がってるような女が 殺してくれだと? 290 00:17:06,483 --> 00:17:07,192 お笑いだ! 291 00:17:07,401 --> 00:17:09,194 ああ うっ ごめんね 292 00:17:09,319 --> 00:17:10,612 (雄二)それにそれ! (天音)んっ 293 00:17:10,779 --> 00:17:14,450 (雄二) その ごめんねも やめてくれ その言葉 大っ嫌いなんだ 294 00:17:14,950 --> 00:17:19,872 大体 俺の姉は1人しかいなかった 一姫のマネなんかしないでくれ 295 00:17:19,997 --> 00:17:24,918 (天音)ううっ あ… ご… ごめ… (雄二)言うなつってんだろ ボケ 296 00:17:25,169 --> 00:17:27,796 ちょっと待て 少し考えさせろ 297 00:17:27,921 --> 00:17:29,798 (天音)う… うん (雄二)ふん… 298 00:17:31,300 --> 00:17:33,010 (雄二)天音 (天音)は… はい 299 00:17:33,135 --> 00:17:36,305 結局お前 俺のこと好きなんだな? 300 00:17:36,430 --> 00:17:39,349 (天音)あ… うん (雄二)フム 301 00:17:40,434 --> 00:17:43,937 (雄二)よし天音 立て (天音)うん 302 00:17:45,147 --> 00:17:46,690 (雄二) まずは言っておく 303 00:17:46,815 --> 00:17:49,359 俺は お前の過去に 同情するつもりはない 304 00:17:49,485 --> 00:17:50,861 (天音) う… うん 305 00:17:50,986 --> 00:17:54,782 誰だって生きてりゃ 後悔の1つや2つはある 306 00:17:54,907 --> 00:17:57,201 だが お前の過去は後悔なんて― 307 00:17:57,326 --> 00:17:59,495 なまやさしいものではないのも 理解している 308 00:18:00,454 --> 00:18:03,082 そんな一生 苦しむような 深い後悔に― 309 00:18:03,207 --> 00:18:06,168 忘れちまえとか気にするな とかいう気休めは― 310 00:18:06,293 --> 00:18:08,378 クソの役にも立たないだろう 311 00:18:09,088 --> 00:18:12,508 お前 さっき俺に殺してくれと 言ったな? 312 00:18:12,633 --> 00:18:14,134 (天音) うん 言った 313 00:18:14,510 --> 00:18:15,803 なら もらおう! 314 00:18:15,928 --> 00:18:20,140 お前は今後一生 俺のために生きる それが お前の罰だ 315 00:18:20,557 --> 00:18:21,350 え? 316 00:18:21,475 --> 00:18:25,479 (雄二) 俺に尽くせ 俺が王様であり 俺が飼い主だ 317 00:18:25,604 --> 00:18:27,773 (雄二)わかったか? (天音)どういうこと? 318 00:18:28,148 --> 00:18:30,275 (雄二) ずっと俺と一緒にいろ 319 00:18:30,692 --> 00:18:33,028 (天音) 私 雄二のそばにいていいの? 320 00:18:33,695 --> 00:18:36,698 (雄二) むしろ勝手にいなくなったら ぶっ飛ばすからな 321 00:18:36,949 --> 00:18:38,158 そのつもりでいろ 322 00:18:38,325 --> 00:18:41,245 (天音)雄二… あ~! (雄二)おっと 323 00:18:42,037 --> 00:18:45,374 ああ… 雄二 ううっ 雄二! 324 00:18:45,499 --> 00:18:48,585 (雄二) お前さ 泣き顔 不っ細工だな 325 00:18:48,710 --> 00:18:52,965 (天音) ひどいよ~ こんなときぐらい泣かせてよ~ 326 00:18:53,090 --> 00:18:56,677 (雄二) よしよし じゃあうざいから 5分だけ泣いてよし 327 00:18:56,802 --> 00:19:00,597 え~ 雄二 優しくないよ~ 328 00:19:00,722 --> 00:19:03,016 (雄二) 優しかったら罰にならんだろうが 329 00:19:04,601 --> 00:19:08,856 (雄二) 天音を救う方法は ただ1つ 受け入れることだ 330 00:19:08,981 --> 00:19:13,527 過去を知りつつ全てを受け入れれば こいつは いつか気づくはずだ 331 00:19:13,986 --> 00:19:17,906 自分に許しを与えるのは 自分だけなんだということに 332 00:19:18,157 --> 00:19:22,703 それまでは俺自身が罰となり こいつのそばにいてやろう 333 00:19:23,287 --> 00:19:27,207 世界中が天音を許さなくとも 俺だけは許してやろう 334 00:19:27,958 --> 00:19:31,503 そうすれば いつか必ず 天音自身が― 335 00:19:31,628 --> 00:19:33,964 自分を許せる日がやって来る 336 00:19:35,382 --> 00:19:36,592 (雄二) なあ 天音よ 337 00:19:37,259 --> 00:19:39,845 お前は本当に一姫が死んだと 思っているのか? 338 00:19:39,970 --> 00:19:43,432 (天音) え? それって どういう意味? 339 00:19:43,557 --> 00:19:46,602 一姫の死体は ばらばらに 切断されていた 340 00:19:46,852 --> 00:19:49,605 だが頭部だけは発見されていない 341 00:19:49,730 --> 00:19:50,439 あ… 342 00:19:52,858 --> 00:19:53,567 あっ! 343 00:19:54,067 --> 00:19:56,361 あくまでも参考数値だが― 344 00:19:56,486 --> 00:20:00,741 10人いれば11人分の死体が作れる 違うか? 345 00:20:01,033 --> 00:20:02,993 じゃあ 一姫は生きてるの? 346 00:20:03,118 --> 00:20:04,411 わからない 347 00:20:04,620 --> 00:20:09,124 だが どうしても あの一姫が 安易に死を選択したとは思えない 348 00:20:09,374 --> 00:20:10,167 あっ! 349 00:20:13,378 --> 00:20:16,423 一姫がくれた密林脱出メモだよ 350 00:20:17,049 --> 00:20:19,760 失敗したら居留地に戻ってこいって 351 00:20:19,885 --> 00:20:22,638 非常食を隠した穴の位置が 記されてるの 352 00:20:22,763 --> 00:20:25,807 一姫は最初から ある程度の確率で― 353 00:20:25,933 --> 00:20:27,935 天音を脱出させる つもりだったんだな 354 00:20:28,518 --> 00:20:30,312 一姫が生きているとしたら― 355 00:20:30,437 --> 00:20:32,898 そのヒントは ここにあると思うんだよね 356 00:20:33,023 --> 00:20:33,857 (雄二) なるほど 357 00:20:33,982 --> 00:20:35,442 (天音) 雄二 行ってみない? 358 00:20:35,859 --> 00:20:38,195 現場にか? だが しかし… 359 00:20:38,528 --> 00:20:41,740 (天音) いつかは克服しなければ いけないことだと思うし 360 00:20:41,865 --> 00:20:46,703 それに 雄二が一緒なら たぶん大丈夫だと思うんだ 361 00:20:46,828 --> 00:20:47,788 (雄二) そうか 362 00:20:50,123 --> 00:20:54,753 (天音) 私 お供え用のお花とお線香 買ってくるから ここで待ってて 363 00:20:54,878 --> 00:20:55,587 (雄二) わかった 364 00:20:57,130 --> 00:21:00,092 (坂下(さかした))風見雄二さんですよね? (雄二)はい 365 00:21:01,051 --> 00:21:03,553 (雄二)あなたは? (坂下)これは失礼 366 00:21:03,679 --> 00:21:07,975 (坂下) 私は坂下と申しましてね 天音さんの大ファンなんですよ 367 00:21:08,558 --> 00:21:09,351 天音の? 368 00:21:09,476 --> 00:21:12,271 (坂下) 何しろ有名ですからね 彼女 369 00:21:12,396 --> 00:21:16,108 最近 彼氏が出来たと 小耳に挟んでいましたが… 370 00:21:16,483 --> 00:21:19,111 失礼ですが お仕事は何を? 371 00:21:19,444 --> 00:21:24,366 つい最近までIT関連の会社の 取締役をしていたのですが― 372 00:21:24,491 --> 00:21:28,328 どうにも生きがいというものを なくしてしまいまして… 373 00:21:28,453 --> 00:21:29,246 それでもね… 374 00:21:29,621 --> 00:21:34,126 ああ やり残したことが まだあったって気がついたんですよ 375 00:21:34,793 --> 00:21:39,131 いやあ いきなり こんな話を 聞かされても退屈ですよね? 376 00:21:39,256 --> 00:21:40,841 失礼します 377 00:21:42,301 --> 00:21:43,260 ん… 378 00:21:43,385 --> 00:21:46,221 お待たせ! ん? どうかしたの? 379 00:21:46,346 --> 00:21:51,351 いや 今 お前のファンだという 変なおっさんに声を掛けられた 380 00:21:51,476 --> 00:21:53,228 (天音)誰? (雄二)知らん 381 00:21:53,353 --> 00:21:56,064 だが気味の悪い感じだったな 382 00:22:06,408 --> 00:22:11,413 ♪~ 383 00:23:25,654 --> 00:23:30,659 ~♪