1 00:02:20,830 --> 00:02:25,250 キルアが 宮殿に突入した瞬間 思ったことは… 2 00:02:25,250 --> 00:02:27,250 (キルア ゾルディック)《やっぱりな》 3 00:02:27,250 --> 00:02:29,740 …であった 4 00:02:29,740 --> 00:02:32,740 ピトーの「円」は 全く感じられず 5 00:02:32,740 --> 00:02:37,240 目の前には 1階にいるはずのない ユピーが立っているという 6 00:02:37,240 --> 00:02:39,760 あり得ない場面 7 00:02:39,760 --> 00:02:41,800 打ち合わせの段階で 8 00:02:41,800 --> 00:02:45,250 検討にすら挙がらなかった状況に 直面しても 9 00:02:45,250 --> 00:02:50,250 経験によって キルアは平静を保てた 10 00:02:52,760 --> 00:02:57,250 《何だ? こいつらは どこから湧いた?》 11 00:02:57,250 --> 00:03:01,300 あり得ない場面は ユピーに とっても同様であったが 12 00:03:01,300 --> 00:03:05,240 ユピーは すぐに考えるのをやめた 13 00:03:34,750 --> 00:03:40,270 われは盾 身をもって 王を守る。 14 00:03:40,270 --> 00:03:42,820 護衛軍の中で 唯一 15 00:03:42,820 --> 00:03:46,240 人間ではなく 魔獣との混成 16 00:03:46,240 --> 00:03:51,250 それに由来するのか 他の2匹に比べ 個に頓着がなく 17 00:03:51,250 --> 00:03:55,250 だが 無我故の強さを持つ 18 00:04:00,290 --> 00:04:04,760 ユピーが 形態変化と 好戦的な笑みを見せた時 19 00:04:04,760 --> 00:04:07,260 シュートは 動きを止めた 20 00:04:12,740 --> 00:04:15,740 しかし それは シュートが精神的に 21 00:04:15,740 --> 00:04:18,260 遅れをとったからではない 22 00:04:18,260 --> 00:04:23,750 (シュート)《これ以上 接近すると 奴は 俺を迎え撃つ》 23 00:04:23,750 --> 00:04:26,230 《その攻撃が 万が一にも 24 00:04:26,230 --> 00:04:30,230 前にいるはずのナックル達に 命中したら…》 25 00:04:32,240 --> 00:04:36,260 ユピーの注意を さらに自分へ向けるため 26 00:04:36,260 --> 00:04:40,820 飛ぶ腕とカゴを 操作しようとした瞬間 27 00:04:40,820 --> 00:04:42,730 それは来た 28 00:04:42,730 --> 00:04:43,730 ハッ! 29 00:04:57,270 --> 00:05:00,270 《これは 「ドラゴンダイヴ」!》 30 00:05:01,850 --> 00:05:04,760 《じいさんの知人って…》 31 00:05:04,760 --> 00:05:10,250 唯一 解答を得たキルアが それ故 一瞬固まる 32 00:05:10,250 --> 00:05:15,270 事情を知らぬ者の衝撃は それ以上である 33 00:05:15,270 --> 00:05:19,270 その中で ただ2名 34 00:05:21,740 --> 00:05:26,240 ゴンとユピーが 敵だけを見ていた 35 00:05:26,240 --> 00:05:27,750 (モラウ)《バカな!》 36 00:05:27,750 --> 00:05:29,250 (シュート)《暴走!?》 37 00:05:29,250 --> 00:05:32,230 《お前の相手は ユピーじゃねえだろ!》 38 00:05:32,230 --> 00:05:35,730 《いや 違う》 39 00:05:41,740 --> 00:05:44,750 やや遅れて キルアが 40 00:05:44,750 --> 00:05:49,250 さらに コンマ数秒遅れて 他の者が理解する 41 00:05:50,750 --> 00:05:54,740 《あの野郎 この状況で 42 00:05:54,740 --> 00:05:58,830 何て早く 何てとこに 気付きやがるんだ!》 43 00:05:58,830 --> 00:06:02,750 万が一 メレオロンとナックルが 44 00:06:02,750 --> 00:06:05,230 「神の共犯者」を発動したまま 45 00:06:05,230 --> 00:06:07,740 この龍の矢に貫かれ 46 00:06:07,740 --> 00:06:10,740 ひと呼吸の間もなく即死したら 47 00:06:10,740 --> 00:06:12,740 能力は解除されるのか? 48 00:06:12,740 --> 00:06:17,280 それとも 死後 さらに強まる「念」として 49 00:06:17,280 --> 00:06:21,750 このまま 誰にも認識されずに 朽ちるのか? 50 00:06:21,750 --> 00:06:24,240 答えは 分からない 51 00:06:24,240 --> 00:06:26,760 仮に 後者が正解ならば 52 00:06:26,760 --> 00:06:31,260 今 2人が無事かどうかを 確かめるすべはない 53 00:06:31,260 --> 00:06:34,730 万が一の場合 代わりに誰かが 54 00:06:34,730 --> 00:06:37,730 ユピーと やらなければならない 55 00:06:39,320 --> 00:06:42,320 《本来ならば俺の役目》 56 00:06:43,250 --> 00:06:45,240 (シュート)《ゴン!》 57 00:06:45,240 --> 00:06:47,240 (モラウ)《シュートに落ち度はない》 58 00:06:47,240 --> 00:06:51,740 《俺すら 気付いて動くのは キルアより遅かった》 59 00:06:53,750 --> 00:06:56,750 《シュート 自分を責めるな》 60 00:06:56,750 --> 00:06:58,790 《精神を立て直すんだ!》 61 00:06:58,790 --> 00:07:01,340 《ゴンとキルアがユピーなら 62 00:07:01,340 --> 00:07:03,840 お前がピトーだぞ!》 63 00:07:06,750 --> 00:07:10,250 しかし この時 シュートの胸中には 64 00:07:10,250 --> 00:07:13,750 全く別の感情が湧いていた 65 00:07:15,240 --> 00:07:20,760 (シュート)《ゴン! できるならば 世界中の人々に叫びたい》 66 00:07:20,760 --> 00:07:24,330 《あれが ゴンだ!》 67 00:07:24,330 --> 00:07:27,750 《俺より ひと回り以上 年下の 68 00:07:27,750 --> 00:07:30,250 俺の恩人だ》 69 00:07:31,740 --> 00:07:36,240 (シュート)《危険や好機と 全力で 向かい合うことを恐れ 逃げて 70 00:07:36,240 --> 00:07:39,740 安全な檻の中で 自分の言葉すら隠し 71 00:07:39,740 --> 00:07:43,740 何者からも 傷つけられまいとしていた》 72 00:07:45,320 --> 00:07:48,750 (シュート)《そんな自分が嫌だった》 73 00:07:48,750 --> 00:07:51,740 《でも 直せなかった》 74 00:07:51,740 --> 00:07:55,740 《仲間 師の言葉ですら 75 00:07:55,740 --> 00:08:00,230 強い者の理屈と 本当には聞いていなかった》 76 00:08:00,230 --> 00:08:03,230 《けど… なのに!》 77 00:08:05,300 --> 00:08:10,260 (シュート)《俺より ひと回り以上 弱かった お前が 78 00:08:10,260 --> 00:08:14,260 俺の檻を壊してくれた》 79 00:08:16,730 --> 00:08:19,730 シュートは 確かに好機には尻込み 80 00:08:19,730 --> 00:08:22,740 弱い傾向があった 81 00:08:22,740 --> 00:08:27,840 《生きて お前に言う 「ありがとう」と!》 82 00:08:27,840 --> 00:08:32,250 だが 逆境時には 独特の思考展開によって 83 00:08:32,250 --> 00:08:36,750 本領発揮することに 本人すら気付いていない 84 00:08:38,750 --> 00:08:40,260 《よし!》 85 00:09:05,760 --> 00:09:07,260 なっ…。 86 00:09:09,830 --> 00:09:11,750 (モラウ:シュート)《ナックル達は…》 87 00:09:11,750 --> 00:09:13,750 (キルア:ゴン)《生きている!》 88 00:09:38,300 --> 00:09:40,300 (モントゥトゥユピー)《何だ?》 89 00:09:43,260 --> 00:09:46,760 (モントゥトゥユピー)《どいつだ? 誰に攻撃された?》 90 00:09:49,730 --> 00:09:51,750 《見えなかったぞ》 91 00:09:51,750 --> 00:09:54,750 《飛び道具? 死角からか?》 92 00:10:03,740 --> 00:10:06,730 (ナックル) 「ハコワレ」 発動! 93 00:10:06,730 --> 00:10:11,750 「神の共犯者」と「ハコワレ」の コンボが可能であることは 94 00:10:11,750 --> 00:10:15,260 無論 事前に検証を終えている 95 00:10:15,260 --> 00:10:17,810 「神の共犯者」の発動中に 96 00:10:17,810 --> 00:10:21,740 ユピーが ポットクリンを 認識するすべはない 97 00:10:21,740 --> 00:10:24,730 故に ユピーが疑問を棚上げし 98 00:10:24,730 --> 00:10:27,250 押し寄せる敵に 集中せんとしたのは 99 00:10:27,250 --> 00:10:30,250 至極 当然の流れである 100 00:10:31,750 --> 00:10:34,240 (モントゥトゥユピー) 《ダメージや異変はねえ》 101 00:10:34,240 --> 00:10:37,240 《なら 今は それより!》 102 00:10:48,250 --> 00:10:52,760 ここまでは 討伐軍の思惑通りであった 103 00:10:52,760 --> 00:10:57,260 しかし 見事 初撃を 打ち込んだはずのナックルに 104 00:10:57,260 --> 00:10:59,230 戦慄 走る! 105 00:10:59,230 --> 00:11:00,730 ぐっ…。 106 00:11:00,730 --> 00:11:02,730 《マジかよ…》 107 00:11:05,840 --> 00:11:08,340 (ナックル) 《オーラの底が見えねえ!》 108 00:11:15,730 --> 00:11:19,250 戦歴5000を超える 経験と勘から 109 00:11:19,250 --> 00:11:23,240 相手の力量を数値化して来た ナックルにとって 110 00:11:23,240 --> 00:11:27,260 過去に例のない強さを持つ敵と 出会うこと自体は 111 00:11:27,260 --> 00:11:29,760 決して珍しくはない 112 00:11:33,270 --> 00:11:36,740 しかし 過去最強の対戦相手を 据えてすら 113 00:11:36,740 --> 00:11:42,260 天秤の対として 軽過ぎるほどの力を持つ敵 114 00:11:42,260 --> 00:11:46,760 はるか膨大なオーラを 内包する怪物 115 00:11:48,800 --> 00:11:53,750 (ナックル)《くっ… ボスの5倍!? 10倍!?》 116 00:11:53,750 --> 00:11:56,760 《それ以上!?》 117 00:11:56,760 --> 00:11:58,760 《分からねえ!》 118 00:11:58,760 --> 00:12:02,260 前代未聞の経験である 119 00:12:04,760 --> 00:12:06,760 (ナックル) くっ…! 120 00:12:11,340 --> 00:12:15,740 (ナックル)《仮に 10倍の 121 00:12:15,740 --> 00:12:19,760 70万オーラだとすると 122 00:12:19,760 --> 00:12:23,260 奴をとばすまでに一体…》 123 00:12:32,310 --> 00:12:33,810 (ネフェルピトー)《王!》 124 00:12:36,750 --> 00:12:38,750 その時… 125 00:12:40,250 --> 00:12:43,770 ピトーの まがまがしいオーラが 126 00:12:43,770 --> 00:12:47,760 討伐軍の全身を覆った 127 00:12:47,760 --> 00:12:51,760 その こわばりを ユピーは見逃さなかった 128 00:12:52,800 --> 00:12:56,300 (シャウアプフ) 王~~! 129 00:13:07,730 --> 00:13:09,750 (シャウアプフ) 王~! 130 00:13:09,750 --> 00:13:11,250 あっ…。 131 00:13:28,730 --> 00:13:31,250 翼を持たぬピトーにとって 132 00:13:31,250 --> 00:13:35,250 空中という 落下の他に選択肢のない状態が 133 00:13:35,250 --> 00:13:38,240 逆に幸いしたといえるだろう 134 00:13:38,240 --> 00:13:42,780 行動に制限がなければ ピトーもまた プフと同様 135 00:13:42,780 --> 00:13:48,230 全力で 王の元へ向かうのが 護衛軍の心情として自然であり 136 00:13:48,230 --> 00:13:51,750 その際 「円」を使う余裕があるかは 137 00:13:51,750 --> 00:13:54,250 甚だ疑問である 138 00:13:55,740 --> 00:13:57,740 結果… 139 00:14:07,350 --> 00:14:10,350 (ネフェルピトー)《西塔2階 迎賓の間》 140 00:14:12,240 --> 00:14:15,740 (ネフェルピトー) 《王は アカズの女と一緒にいる》 141 00:14:20,770 --> 00:14:22,250 (ネフェルピトー)《あっ!》 142 00:14:31,260 --> 00:14:34,750 《奴らも 「円」を使って王の位置を…》 143 00:14:34,750 --> 00:14:39,240 この時 ピトーは 自軍が置かれている現状の 144 00:14:39,240 --> 00:14:42,240 この上ない深刻さに気付いた 145 00:14:42,240 --> 00:14:47,310 瞬間 ピトーは 四足獣本来のごとく 身を丸め 146 00:14:47,310 --> 00:14:49,750 鋼のような大腿部が 147 00:14:49,750 --> 00:14:53,250 かつて カイトを襲撃する直前に 見せたこわばりの 148 00:14:53,250 --> 00:14:55,750 倍ほどに膨れ上がった 149 00:15:13,270 --> 00:15:15,760 曲者よりも速く 150 00:15:15,760 --> 00:15:18,260 王の元へ参じるために 151 00:15:20,760 --> 00:15:23,250 しかし その直後… 152 00:15:23,250 --> 00:15:24,750 あっ…! 153 00:15:31,740 --> 00:15:37,260 跳躍を一瞬 後悔するほどの 暗霊とした負のエネルギーが 154 00:15:37,260 --> 00:15:39,250 向かう場を中心として 155 00:15:39,250 --> 00:15:42,250 発散されていることに 気付かされる 156 00:15:43,750 --> 00:15:47,250 《これが 王の…》 157 00:15:48,840 --> 00:15:51,240 主君の発しているオーラは 158 00:15:51,240 --> 00:15:56,250 今の精神状態が 容易に くみ取れるくらいに警戒がなく 159 00:15:56,250 --> 00:15:59,250 それ故に 現況が途方もなく 160 00:15:59,250 --> 00:16:03,240 想像以上に悪い方向へ 進行していることを 161 00:16:03,240 --> 00:16:06,240 痛感せざるを得なかった 162 00:17:00,340 --> 00:17:03,840 大階段が 崩れ落ちた 163 00:17:58,750 --> 00:18:01,240 王が視線を切ると 164 00:18:01,240 --> 00:18:04,740 再び 時が動き始めた 165 00:18:04,740 --> 00:18:09,240 いや 王以外の時間は 凍ったままである 166 00:18:15,820 --> 00:18:19,760 王をとらんと侵入して来た はずの 曲者までが 167 00:18:19,760 --> 00:18:23,260 固唾をのんで 足を止めた理由は 168 00:18:23,260 --> 00:18:26,750 血に染まる少女 169 00:18:26,750 --> 00:18:29,270 そして その体を抱く 170 00:18:29,270 --> 00:18:33,750 異形なる者の所作 全てが 見紛うことなく 171 00:18:33,750 --> 00:18:38,360 優しさにあふれていたからに 他ならない 172 00:18:57,240 --> 00:18:59,780 (王) ピトー。 173 00:18:59,780 --> 00:19:01,300 はっ。 174 00:19:01,300 --> 00:19:05,270 通常の王の表情に戻っていた 175 00:19:05,270 --> 00:19:09,270 それが逆に ピトーを不安にさせた 176 00:19:11,260 --> 00:19:13,760 コムギを治せ。 177 00:19:13,760 --> 00:19:16,250 頼んだぞ。 178 00:19:41,740 --> 00:19:46,310 敵の動きを ただ 立ち止まって 見守るという愚挙を 179 00:19:46,310 --> 00:19:49,250 百戦錬磨の2人が続けたのは 180 00:19:49,250 --> 00:19:51,750 敬意の表れである 181 00:19:58,750 --> 00:20:03,750 一個の生命に対する 慈愛あふれる振る舞い 182 00:20:07,330 --> 00:20:11,750 これを侵しては そもそもの大儀を失い 183 00:20:11,750 --> 00:20:14,250 人ですら なくなる 184 00:20:19,240 --> 00:20:23,750 (ゼノ) 話が随分 違うじゃねえかよ。 185 00:20:23,750 --> 00:20:27,280 ゼノが そう問い詰めるのも 無理はない 186 00:20:27,280 --> 00:20:31,280 同様の思いは ネテロにもあった 187 00:20:35,740 --> 00:20:37,740 (王) ここでは…。 188 00:20:40,250 --> 00:20:42,730 場所を変えるか。 189 00:20:42,730 --> 00:20:46,250 そのほうが都合が良いのは 190 00:20:46,250 --> 00:20:50,270 うぬらも同じであろう? 191 00:20:50,270 --> 00:20:53,840 王と護衛軍の分断 192 00:20:53,840 --> 00:20:59,230 そのために巨額を費やし ゼノの力を借りたネテロである 193 00:20:59,230 --> 00:21:01,750 異存のあるはずもない 194 00:21:01,750 --> 00:21:03,740 しかし… 195 00:21:03,740 --> 00:21:06,260 (ネテロ) まぁ… な。 196 00:21:06,260 --> 00:21:11,260 先手をとられたという思いは 拭えない 197 00:21:16,820 --> 00:21:19,320 (ネフェルピトー) 「ドクターブライス」。 198 00:21:22,250 --> 00:21:26,250 ピトーが 能力を発動した瞬間… 199 00:21:32,230 --> 00:21:34,250 致命的な油断 200 00:21:34,250 --> 00:21:39,250 一瞬 2人が そう覚悟したのも無理はない 201 00:21:43,760 --> 00:21:47,750 それほどに たやすく 悠然と 202 00:21:47,750 --> 00:21:51,750 王は 2人の死線を横切った 203 00:21:54,740 --> 00:21:59,810 敵もまた はるか怪物