1 00:02:25,920 --> 00:02:31,000 キルアが 宮殿に突入した瞬間 思ったことは… 2 00:02:31,000 --> 00:02:32,400 やっぱりな 3 00:02:32,400 --> 00:02:34,400 …であった 4 00:02:35,090 --> 00:02:38,080 ピトーの「円」は 全く感じられず 5 00:02:38,080 --> 00:02:43,000 目の前には 1階にいるはずのない ユピーが立っているという 6 00:02:43,000 --> 00:02:45,000 あり得ない場面 7 00:02:45,061 --> 00:02:47,105 打ち合わせの段階で 8 00:02:47,105 --> 00:02:50,566 検討にすら挙がらなかった状況に 直面しても 9 00:02:50,566 --> 00:02:55,571 経験によって キルアは平静を保てた 10 00:02:58,074 --> 00:03:02,578 何だ? こいつらは どこから湧いた? 11 00:03:02,578 --> 00:03:06,624 あり得ない場面は ユピーに とっても同様であったが 12 00:03:06,624 --> 00:03:10,545 ユピーは すぐに考えるのをやめた 13 00:03:40,074 --> 00:03:45,580 われは盾 身をもって 王を守る 14 00:03:45,580 --> 00:03:48,124 護衛軍の中で 唯一 15 00:03:48,124 --> 00:03:51,544 人間ではなく 魔獣との混成 16 00:03:51,544 --> 00:03:56,549 それに由来するのか 他の2匹に比べ 個に頓着がなく 17 00:03:56,549 --> 00:04:00,553 だが 無我故の強さを持つ 18 00:04:05,600 --> 00:04:10,062 ユピーが 形態変化と 好戦的な笑みを見せた時 19 00:04:10,062 --> 00:04:12,565 シュートは 動きを止めた 20 00:04:18,070 --> 00:04:21,073 しかし それは シュートが精神的に 21 00:04:21,073 --> 00:04:23,576 遅れをとったからではない 22 00:04:23,576 --> 00:04:29,081 これ以上 接近すると 奴は 俺を迎え撃つ 23 00:04:29,081 --> 00:04:31,542 その攻撃が 万が一にも 24 00:04:31,542 --> 00:04:35,546 前にいるはずのナックル達に 命中したら… 25 00:04:37,548 --> 00:04:41,594 ユピーの注意を さらに自分へ向けるため 26 00:04:41,594 --> 00:04:46,140 飛ぶ腕とカゴを 操作しようとした瞬間 27 00:04:46,140 --> 00:04:48,059 それは来た 28 00:04:48,059 --> 00:04:49,060 ハッ! 29 00:05:02,573 --> 00:05:05,576 これは 「ドラゴンダイヴ」! 30 00:05:07,161 --> 00:05:10,081 じいさんの知人って… 31 00:05:10,081 --> 00:05:15,545 唯一 解答を得たキルアが それ故 一瞬固まる 32 00:05:15,545 --> 00:05:20,591 事情を知らぬ者の衝撃は それ以上である 33 00:05:20,591 --> 00:05:24,595 その中で ただ2名 34 00:05:27,056 --> 00:05:31,561 ゴンとユピーが 敵だけを見ていた 35 00:05:31,561 --> 00:05:33,062 バカな! 36 00:05:33,062 --> 00:05:34,564 暴走!? 37 00:05:34,564 --> 00:05:37,525 お前の相手は ユピーじゃねえだろ! 38 00:05:37,525 --> 00:05:41,028 いや 違う 39 00:05:47,034 --> 00:05:50,079 やや遅れて キルアが 40 00:05:50,079 --> 00:05:54,584 さらに コンマ数秒遅れて 他の者が理解する 41 00:05:56,043 --> 00:06:00,047 あの野郎 この状況で 42 00:06:00,047 --> 00:06:04,135 何て早く 何てとこに 気付きやがるんだ! 43 00:06:04,135 --> 00:06:08,055 万が一 メレオロンとナックルが 44 00:06:08,055 --> 00:06:10,558 「神の共犯者」を発動したまま 45 00:06:10,558 --> 00:06:13,060 この龍の矢に貫かれ 46 00:06:13,060 --> 00:06:16,063 ひと呼吸の間もなく即死したら 47 00:06:16,063 --> 00:06:18,065 能力は解除されるのか? 48 00:06:18,065 --> 00:06:22,612 それとも 死後 さらに強まる「念」として 49 00:06:22,612 --> 00:06:27,074 このまま 誰にも認識されずに 朽ちるのか? 50 00:06:27,074 --> 00:06:29,535 答えは 分からない 51 00:06:29,535 --> 00:06:32,079 仮に 後者が正解ならば 52 00:06:32,079 --> 00:06:36,584 今 2人が無事かどうかを 確かめるすべはない 53 00:06:36,584 --> 00:06:40,046 万が一の場合 代わりに誰かが 54 00:06:40,046 --> 00:06:43,049 ユピーと やらなければならない 55 00:06:44,634 --> 00:06:47,637 本来ならば俺の役目 56 00:06:48,554 --> 00:06:50,556 ゴン! 57 00:06:50,556 --> 00:06:52,558 シュートに落ち度はない 58 00:06:52,558 --> 00:06:57,063 俺すら 気付いて動くのは キルアより遅かった 59 00:06:59,065 --> 00:07:02,068 シュート 自分を責めるな 60 00:07:02,068 --> 00:07:04,111 精神を立て直すんだ! 61 00:07:04,111 --> 00:07:06,656 ゴンとキルアがユピーなら 62 00:07:06,656 --> 00:07:09,158 お前がピトーだぞ! 63 00:07:12,078 --> 00:07:15,581 しかし この時 シュートの胸中には 64 00:07:15,581 --> 00:07:19,043 全く別の感情が湧いていた 65 00:07:20,544 --> 00:07:26,092 ゴン! できるならば 世界中の人々に叫びたい 66 00:07:26,092 --> 00:07:29,637 あれが ゴンだ! 67 00:07:29,637 --> 00:07:33,057 俺より ひと回り以上 年下の 68 00:07:33,057 --> 00:07:35,559 俺の恩人だ 69 00:07:37,061 --> 00:07:41,565 危険や好機と 全力で 向かい合うことを恐れ 逃げて 70 00:07:41,565 --> 00:07:45,069 安全な檻の中で 自分の言葉すら隠し 71 00:07:45,069 --> 00:07:49,073 何者からも 傷つけられまいとしていた 72 00:07:50,616 --> 00:07:54,078 そんな自分が嫌だった 73 00:07:54,078 --> 00:07:57,039 でも 直せなかった 74 00:07:57,039 --> 00:08:01,043 仲間 師の言葉ですら 75 00:08:01,043 --> 00:08:05,548 強い者の理屈と 本当には聞いていなかった 76 00:08:05,548 --> 00:08:08,551 けど… なのに! 77 00:08:10,594 --> 00:08:15,558 俺より ひと回り以上 弱かった お前が 78 00:08:15,558 --> 00:08:18,728 俺の檻を壊してくれた 79 00:08:22,025 --> 00:08:25,375 シュートは 確かに好機には尻込み 80 00:08:25,370 --> 00:08:27,550 弱い傾向があった 81 00:08:28,175 --> 00:08:32,800 生きて お前に言う 「ありがとう」と! 82 00:08:33,275 --> 00:08:37,750 だが 逆境時には 独特の思考展開によって 83 00:08:37,750 --> 00:08:42,330 本領発揮することに 本人すら気付いていない 84 00:08:44,375 --> 00:08:45,775 よし! 85 00:09:11,350 --> 00:09:12,300 なっ… 86 00:09:15,284 --> 00:09:17,203 ナックル達は… 87 00:09:17,203 --> 00:09:19,163 生きている! 88 00:09:44,400 --> 00:09:45,800 何だ? 89 00:09:49,360 --> 00:09:52,863 どいつだ? 誰に攻撃された? 90 00:09:55,825 --> 00:09:57,868 見えなかったぞ 91 00:09:57,868 --> 00:10:00,871 飛び道具? 死角からか? 92 00:10:09,839 --> 00:10:12,842 「ハコワレ」 発動! 93 00:10:12,842 --> 00:10:17,847 「神の共犯者」と「ハコワレ」の コンボが可能であることは 94 00:10:17,847 --> 00:10:21,350 無論 事前に検証を終えている 95 00:10:21,350 --> 00:10:23,894 「神の共犯者」の発動中に 96 00:10:23,894 --> 00:10:27,857 ユピーが ポットクリンを 認識するすべはない 97 00:10:27,857 --> 00:10:30,818 故に ユピーが疑問を棚上げし 98 00:10:30,818 --> 00:10:33,362 押し寄せる敵に 集中せんとしたのは 99 00:10:33,362 --> 00:10:36,365 至極 当然の流れである 100 00:10:37,867 --> 00:10:40,327 ダメージや異変はねえ 101 00:10:40,327 --> 00:10:43,330 なら 今は それより! 102 00:10:54,383 --> 00:10:58,846 ここまでは 討伐軍の思惑通りであった 103 00:10:58,846 --> 00:11:03,350 しかし 見事 初撃を 打ち込んだはずのナックルに 104 00:11:03,350 --> 00:11:05,352 戦慄 走る! 105 00:11:05,352 --> 00:11:06,854 ぐっ… 106 00:11:06,854 --> 00:11:08,814 マジかよ… 107 00:11:11,942 --> 00:11:14,445 オーラの底が見えねえ! 108 00:11:21,827 --> 00:11:25,372 戦歴5000を超える 経験と勘から 109 00:11:25,372 --> 00:11:29,335 相手の力量を数値化して来た ナックルにとって 110 00:11:29,335 --> 00:11:33,380 過去に例のない強さを持つ敵と 出会うこと自体は 111 00:11:33,380 --> 00:11:35,883 決して珍しくはない 112 00:11:39,386 --> 00:11:42,848 しかし 過去最強の対戦相手を 据えてすら 113 00:11:42,848 --> 00:11:48,354 天秤の対として 軽過ぎるほどの力を持つ敵 114 00:11:48,354 --> 00:11:52,858 はるか膨大なオーラを 内包する怪物 115 00:11:54,902 --> 00:11:59,865 くっ… ボスの5倍!? 10倍!? 116 00:11:59,865 --> 00:12:02,868 それ以上!? 117 00:12:02,868 --> 00:12:04,870 分からねえ! 118 00:12:04,870 --> 00:12:08,374 前代未聞の経験である 119 00:12:10,876 --> 00:12:12,878 くっ…! 120 00:12:17,424 --> 00:12:21,845 仮に 10倍の 121 00:12:21,845 --> 00:12:25,849 70万オーラだとすると 122 00:12:25,849 --> 00:12:29,353 奴をとばすまでに一体… 123 00:12:38,404 --> 00:12:39,905 王! 124 00:12:42,866 --> 00:12:44,868 その時… 125 00:12:46,370 --> 00:12:49,873 ピトーの まがまがしいオーラが 126 00:12:49,873 --> 00:12:53,877 討伐軍の全身を覆った 127 00:12:53,877 --> 00:12:57,881 その こわばりを ユピーは見逃さなかった 128 00:12:58,924 --> 00:13:02,386 王~! 129 00:13:13,814 --> 00:13:15,858 王~! 130 00:13:15,858 --> 00:13:17,359 あっ… 131 00:13:34,835 --> 00:13:37,338 翼を持たぬピトーにとって 132 00:13:37,338 --> 00:13:41,383 空中という 落下の他に選択肢のない状態が 133 00:13:41,383 --> 00:13:44,345 逆に幸いしたといえるだろう 134 00:13:44,345 --> 00:13:48,891 行動に制限がなければ ピトーもまた プフと同様 135 00:13:48,891 --> 00:13:54,355 全力で 王の元へ向かうのが 護衛軍の心情として自然であり 136 00:13:54,355 --> 00:13:57,858 その際 「円」を使う余裕があるかは 137 00:13:57,858 --> 00:14:00,361 甚だ疑問である 138 00:14:01,862 --> 00:14:03,864 結果… 139 00:14:13,457 --> 00:14:16,460 西塔2階 迎賓の間 140 00:14:18,337 --> 00:14:21,840 王は アカズの女と一緒にいる 141 00:14:26,887 --> 00:14:28,347 あっ! 142 00:14:37,356 --> 00:14:40,859 奴らも 「円」を使って王の位置を… 143 00:14:40,859 --> 00:14:45,364 この時 ピトーは 自軍が置かれている現状の 144 00:14:45,364 --> 00:14:48,325 この上ない深刻さに気付いた 145 00:14:48,325 --> 00:14:53,414 瞬間 ピトーは 四足獣本来のごとく 身を丸め 146 00:14:53,414 --> 00:14:55,874 鋼のような大腿部が 147 00:14:55,874 --> 00:14:59,336 かつて カイトを襲撃する直前に 見せたこわばりの 148 00:14:59,336 --> 00:15:01,839 倍ほどに膨れ上がった 149 00:15:19,356 --> 00:15:21,859 曲者よりも速く 150 00:15:21,859 --> 00:15:24,361 王の元へ参じるために 151 00:15:26,864 --> 00:15:29,366 しかし その直後… 152 00:15:29,366 --> 00:15:30,868 あっ…! 153 00:15:37,833 --> 00:15:43,380 跳躍を一瞬 後悔するほどの 暗霊とした負のエネルギーが 154 00:15:43,380 --> 00:15:45,340 向かう場を中心として 155 00:15:45,340 --> 00:15:48,343 発散されていることに 気付かされる 156 00:15:49,845 --> 00:15:53,348 これが 王の… 157 00:15:54,933 --> 00:15:57,352 主君の発しているオーラは 158 00:15:57,352 --> 00:16:02,357 今の精神状態が 容易に くみ取れるくらいに警戒がなく 159 00:16:02,357 --> 00:16:05,360 それ故に 現況が途方もなく 160 00:16:05,360 --> 00:16:09,364 想像以上に悪い方向へ 進行していることを 161 00:16:09,364 --> 00:16:12,326 痛感せざるを得なかった 162 00:17:06,463 --> 00:17:09,925 大階段が 崩れ落ちた 163 00:18:04,855 --> 00:18:07,357 王が視線を切ると 164 00:18:07,357 --> 00:18:10,861 再び 時が動き始めた 165 00:18:10,861 --> 00:18:15,365 いや 王以外の時間は 凍ったままである 166 00:18:21,913 --> 00:18:25,876 王をとらんと侵入して来た はずの 曲者までが 167 00:18:25,876 --> 00:18:29,379 固唾をのんで 足を止めた理由は 168 00:18:29,379 --> 00:18:32,841 血に染まる少女 169 00:18:32,841 --> 00:18:35,385 そして その体を抱く 170 00:18:35,385 --> 00:18:39,848 異形なる者の所作 全てが 見紛うことなく 171 00:18:39,848 --> 00:18:44,478 優しさにあふれていたからに 他ならない 172 00:19:03,330 --> 00:19:05,874 ピトー 173 00:19:05,874 --> 00:19:07,417 はっ 174 00:19:07,417 --> 00:19:11,380 通常の王の表情に戻っていた 175 00:19:11,380 --> 00:19:15,384 それが逆に ピトーを不安にさせた 176 00:19:17,344 --> 00:19:19,846 コムギを治せ 177 00:19:19,846 --> 00:19:22,349 頼んだぞ 178 00:19:47,833 --> 00:19:52,421 敵の動きを ただ 立ち止まって 見守るという愚挙を 179 00:19:52,421 --> 00:19:55,340 百戦錬磨の2人が続けたのは 180 00:19:55,340 --> 00:19:57,843 敬意の表れである 181 00:20:04,850 --> 00:20:09,855 一個の生命に対する 慈愛あふれる振る舞い 182 00:20:13,442 --> 00:20:17,863 これを侵しては そもそもの大儀を失い 183 00:20:17,863 --> 00:20:20,365 人ですら なくなる 184 00:20:25,328 --> 00:20:29,875 話が随分 違うじゃねえかよ 185 00:20:29,875 --> 00:20:33,378 ゼノが そう問い詰めるのも 無理はない 186 00:20:33,378 --> 00:20:37,382 同様の思いは ネテロにもあった 187 00:20:41,845 --> 00:20:43,847 ここでは… 188 00:20:46,349 --> 00:20:48,852 場所を変えるか 189 00:20:48,852 --> 00:20:52,355 そのほうが都合が良いのは 190 00:20:52,355 --> 00:20:56,359 うぬらも同じであろう? 191 00:20:56,359 --> 00:20:59,946 王と護衛軍の分断 192 00:20:59,946 --> 00:21:05,327 そのために巨額を費やし ゼノの力を借りたネテロである 193 00:21:05,327 --> 00:21:07,871 異存のあるはずもない 194 00:21:07,871 --> 00:21:09,831 しかし… 195 00:21:09,831 --> 00:21:12,375 まぁ… な 196 00:21:12,375 --> 00:21:17,380 先手をとられたという思いは 拭えない 197 00:21:22,928 --> 00:21:25,430 「ドクターブライス」 198 00:21:28,350 --> 00:21:32,354 ピトーが 能力を発動した瞬間… 199 00:21:38,318 --> 00:21:40,362 致命的な油断 200 00:21:40,362 --> 00:21:45,367 一瞬 2人が そう覚悟したのも無理はない 201 00:21:49,871 --> 00:21:53,875 それほどに たやすく 悠然と 202 00:21:53,875 --> 00:21:57,838 王は 2人の死線を横切った 203 00:22:00,841 --> 00:22:05,929 敵もまた はるか怪物