1 00:00:06,005 --> 00:00:12,011 ♪~ 2 00:01:27,712 --> 00:01:33,718 {\an8}~♪ 3 00:01:50,693 --> 00:01:55,156 (森田 忍(もりたしのぶ)の声)灰色の街に 今年 初めての雪が降った日 4 00:01:56,366 --> 00:01:58,409 馨(かおる)は姿を消した 5 00:02:01,496 --> 00:02:05,750 こうなることは どっかで 気付いていたはずなのに— 6 00:02:06,918 --> 00:02:11,131 どうしても どうしても 流れを変えることができなくて 7 00:02:14,843 --> 00:02:18,596 (森田)しばらく どっか 暖(あった)かい国に行こう 8 00:02:19,305 --> 00:02:23,601 うまい物食って 海とか眺めて ぼんやりしよう 9 00:02:27,147 --> 00:02:28,273 (馨)イヤだよ 10 00:02:30,608 --> 00:02:31,818 分かるよ 11 00:02:32,152 --> 00:02:36,990 お前 ああ これでやっと 肩の荷が下りたって顔してるな 12 00:02:38,783 --> 00:02:39,617 だよな 13 00:02:40,285 --> 00:02:43,663 だって お前は しかたなく つきあってくれたんだもんな 14 00:02:44,372 --> 00:02:46,124 親父(おやじ)の言いつけを破ってまで… 15 00:02:50,003 --> 00:02:51,629 親父は言ったよな 16 00:02:52,589 --> 00:02:54,173 “光のほうへ進め”って 17 00:02:56,676 --> 00:02:58,761 お前には見えたんだろ? 18 00:02:59,888 --> 00:03:02,974 でも 俺には見えなかったんだよ 光なんて… 19 00:03:03,808 --> 00:03:05,518 どっちから さしてるのかもな 20 00:03:06,311 --> 00:03:07,520 無理だよ 21 00:03:08,104 --> 00:03:10,523 お前みたいに 持ってるやつに言われたって— 22 00:03:10,815 --> 00:03:12,442 どうしようもないんだ 23 00:03:13,151 --> 00:03:14,777 俺は何も持ってないんだよ 24 00:03:16,446 --> 00:03:19,407 親父だって 最後まで お前しか… 25 00:03:21,784 --> 00:03:25,413 俺が お前みたいだったら どんなに… 26 00:03:30,710 --> 00:03:35,089 (森田)城山(しろやま)さん 俺 間違ってたのかな? 27 00:03:35,590 --> 00:03:40,929 (城山) どだい 想像力のある人間に 残酷な復讐(ふくしゅう)なんて無理なんです 28 00:03:41,846 --> 00:03:45,266 しかも 馨様は 半端に優しいときてます 29 00:03:45,934 --> 00:03:49,395 相手に与えたダメージを 自分でも受けてしまう 30 00:03:50,271 --> 00:03:52,899 もし 馨に何かあったら 俺… 31 00:03:53,900 --> 00:03:56,736 大丈夫です 言いましたでしょ? 32 00:03:57,320 --> 00:03:59,322 馨様には想像力がある 33 00:04:00,156 --> 00:04:03,076 おまけに頭もよくて 記憶力も— 34 00:04:03,618 --> 00:04:06,329 そりゃ もう イヤになるほど たっぷりある 35 00:04:06,913 --> 00:04:10,166 松田(まつだ)さんの 今までの 長いシカゴでの苦労と— 36 00:04:10,750 --> 00:04:12,877 20年近くも 同じものを見てきた— 37 00:04:13,002 --> 00:04:16,339 われわれ 部下全員の 積み重ねた努力とか— 38 00:04:17,090 --> 00:04:20,093 何より ずっと慕って そばを離れなかった— 39 00:04:20,218 --> 00:04:21,719 あなた様のことが— 40 00:04:21,844 --> 00:04:25,473 今頃 グルグル 頭の中をよぎりまくって 41 00:04:26,224 --> 00:04:28,810 自分を粗末にすることすら できずに— 42 00:04:28,977 --> 00:04:30,770 いらっしゃるはずですよ 43 00:04:36,901 --> 00:04:38,027 (花本修司(はなもとしゅうじ))ごめん 44 00:04:38,236 --> 00:04:40,530 しばらく そっとしておいて やってくれるかい? 45 00:04:41,114 --> 00:04:43,366 (山田(やまだ)あゆみ) よくないんですか? 具合 46 00:04:44,659 --> 00:04:46,536 (花本)…ていうかね 47 00:04:47,245 --> 00:04:50,581 (花本(はなもと)はぐみ) ウウッ… ウッ グッ… 48 00:04:50,707 --> 00:04:51,666 (花本)はぐ! 49 00:04:52,125 --> 00:04:55,378 (はぐみ)ウッ グッ… (花本)はぐ つらいか? 50 00:04:55,503 --> 00:04:56,629 痛み止め 飲むかい? 51 00:04:56,754 --> 00:05:00,008 いい… このままでいい ウッ 52 00:05:00,133 --> 00:05:02,343 飲むと 分からなくなっちゃうから 53 00:05:02,927 --> 00:05:07,181 この手 もし このまま 痛みが感じられなかったら— 54 00:05:07,307 --> 00:05:10,601 神経が つながってないって ことなのでしょ? 55 00:05:10,977 --> 00:05:15,815 だとしたら 再手術は 一刻も早いほうがいいのでしょ? 56 00:05:16,858 --> 00:05:18,818 だったら今は… 57 00:05:23,239 --> 00:05:24,157 はぐちゃん 58 00:05:24,741 --> 00:05:26,409 (はぐみ)修… 修ちゃん… 59 00:05:26,909 --> 00:05:27,910 (花本)ああっ (山田)あっ 60 00:05:28,036 --> 00:05:29,495 (はぐみ)修ちゃん 61 00:05:30,913 --> 00:05:32,749 (花本)どうした? はぐ 62 00:05:35,877 --> 00:05:36,711 来た… 63 00:05:38,004 --> 00:05:41,215 痛いの… 来た 64 00:05:41,883 --> 00:05:44,761 手… 大丈夫 65 00:05:45,762 --> 00:05:47,680 つながってる 66 00:05:48,056 --> 00:05:49,307 私の手… 67 00:05:51,184 --> 00:05:53,019 よかった… 68 00:05:53,269 --> 00:05:55,104 (花本)ああっ はぐ! 69 00:05:55,438 --> 00:05:56,898 (竹本祐太(たけもとゆうた)・山田)はぐちゃん! 70 00:06:00,985 --> 00:06:04,447 (竹本)じゃあ あれから ずっと 一睡もしてなかったんですか? 71 00:06:04,572 --> 00:06:08,785 (花本)ああ はぐには状況を全部 話したんだ 72 00:06:09,202 --> 00:06:12,163 医者からも本人に きちんと説明してもらった 73 00:06:13,331 --> 00:06:17,835 万が一 つながってなかったとして 神経系は時間との勝負なんだ 74 00:06:18,753 --> 00:06:21,714 再手術をするなら 一刻も早いほうがいい 75 00:06:22,215 --> 00:06:24,717 だから はぐは 必死に追っていたんだよ 76 00:06:25,343 --> 00:06:30,181 他の傷 全部の痛みの中で 自分の右手の感覚だけを 77 00:06:31,682 --> 00:06:34,143 鎮痛剤も安定剤も拒否して 78 00:06:34,727 --> 00:06:36,062 眠ることもせず… 79 00:06:37,271 --> 00:06:40,483 ただ 闇に目を凝らして 80 00:06:45,238 --> 00:06:47,949 (山田)すごいね はぐちゃん… 81 00:06:48,950 --> 00:06:50,952 (竹本の声)正直に言う 82 00:06:52,453 --> 00:06:56,707 圧倒されていたのだ 山田さんも 僕も 83 00:06:58,167 --> 00:07:00,461 彼女の中にある強さに 84 00:07:01,170 --> 00:07:03,673 痛みさえ ねじ伏せてしまえるほどの— 85 00:07:04,382 --> 00:07:06,092 強い意志に 86 00:07:08,386 --> 00:07:10,847 ここからが本当の分かれ目だ 87 00:07:10,972 --> 00:07:13,766 全ては このあとの リハビリにかかってくる 88 00:07:14,559 --> 00:07:19,147 はぐのことだ 動くまで 何が何でも諦めないだろう 89 00:07:19,397 --> 00:07:20,606 リハビリを続けても— 90 00:07:21,399 --> 00:07:24,861 指先までの感覚が 戻らないこともあるらしい 91 00:07:25,903 --> 00:07:29,615 筆を持って 以前と同じように 描(か)けるようになるかは… 92 00:07:30,283 --> 00:07:33,119 しびれや感覚障害は このまま ずっと— 93 00:07:33,244 --> 00:07:35,621 つきあっていかなければ ならんかもしれない 94 00:07:37,248 --> 00:07:40,126 努力だけでは どうにもならないかもしれん 95 00:07:40,460 --> 00:07:45,047 しかし 努力をしなければ 確実に このまま失うんだ 96 00:07:48,509 --> 00:07:50,803 (竹本の声)ああ 神様 97 00:07:51,512 --> 00:07:54,182 どうか 彼女を… 98 00:07:59,770 --> 00:08:00,605 (野宮(のみや))おっ? 99 00:08:01,397 --> 00:08:03,149 (野宮)何? 山田さん (山田)あっ 100 00:08:03,274 --> 00:08:05,067 (野宮) やっと 携帯 持つ気になったの? 101 00:08:05,193 --> 00:08:07,361 (山田)あ… 野宮さん 102 00:08:10,031 --> 00:08:12,783 (野宮)そっか… それで携帯を見てたのか 103 00:08:13,326 --> 00:08:15,953 何か 手伝えればって思って 104 00:08:16,370 --> 00:08:18,956 だとしたら 持ってたほうが いいと思って 105 00:08:19,499 --> 00:08:22,084 でも 分からないんです ホントは 106 00:08:22,502 --> 00:08:24,837 私なんかに 彼女に— 107 00:08:25,213 --> 00:08:29,091 何か してあげられることなんて あるんでしょうか? 108 00:08:31,052 --> 00:08:35,973 ありきたりな言葉なんだけど 本当に世界が違うんだ… って 109 00:08:38,100 --> 00:08:39,810 うん そうだね 110 00:08:39,936 --> 00:08:40,937 はっ 111 00:08:41,062 --> 00:08:43,397 (野宮) みんな 多分 そう思ってるよ 112 00:08:44,690 --> 00:08:47,485 …で 全員で 彼女を遠巻きにするんだ 113 00:08:48,152 --> 00:08:51,739 “私には 何も してあげられそうにないから”って 114 00:08:52,365 --> 00:08:55,701 …で まんまと 彼女は独りぼっちってわけだ 115 00:08:56,452 --> 00:09:00,414 今 動く 動かないの境目で 気が張ってるだろうけど— 116 00:09:00,790 --> 00:09:04,919 多分 彼女が ひどく苦しむのは これから始まるリハビリだよ 117 00:09:05,962 --> 00:09:10,341 山田さん 君は残りなさい 残んなきゃダメだ 118 00:09:12,093 --> 00:09:14,512 (野宮)友達なんだろ? (山田)あ… 119 00:09:18,391 --> 00:09:19,559 うんっ 120 00:09:21,102 --> 00:09:23,604 (山田の声)ありがとう 野宮さん 121 00:09:24,230 --> 00:09:27,984 …ったく 手間のかかる子だこと 122 00:09:30,194 --> 00:09:31,654 あっ ああ… 123 00:09:31,779 --> 00:09:33,197 (野宮の声) やべ しまった 聞かれてたよ 124 00:09:33,322 --> 00:09:34,907 “友達なんだろ?”なんて 甘酸っぱいセリフを— 125 00:09:35,032 --> 00:09:36,993 30過ぎのオトコが 目いっぱい言っちゃったとこ 126 00:09:37,118 --> 00:09:38,953 ゼッテー 一生ネタにされて 笑われるっつーの 127 00:09:39,078 --> 00:09:40,538 どーする俺? みたいな!? 128 00:09:40,663 --> 00:09:43,374 (美和子(みわこ)・山崎(やまざき)) 野宮… グッジョブ! 129 00:09:43,499 --> 00:09:46,377 {\an8}(美和子)ひっ ひー ひぃーい いいー 130 00:09:46,502 --> 00:09:47,461 {\an8}あれ? 131 00:09:49,171 --> 00:09:52,091 (美和子)友達か… 弱いわよね 132 00:09:52,466 --> 00:09:55,428 何でだか その言葉だけでも 涙が出てくる 133 00:09:55,636 --> 00:09:56,804 (山崎)分かります 134 00:09:56,929 --> 00:10:01,142 この年になると いろんなことが 難しくなってきますからね 135 00:10:01,475 --> 00:10:04,186 みんな どんどん疎遠になってしまうし… 136 00:10:04,312 --> 00:10:06,981 そんなことない 私がいるわ 山崎! 137 00:10:07,106 --> 00:10:09,233 み… 美和子さん 138 00:10:09,358 --> 00:10:11,986 あんたと私は 一生 友達だからね 139 00:10:12,111 --> 00:10:14,572 (美和子の声)友達だからね 友達だからね 友達だからね 140 00:10:17,116 --> 00:10:19,410 大人になったって 壊れない友情があるってことを— 141 00:10:19,535 --> 00:10:21,662 私たちで証明するのよー! 142 00:10:22,038 --> 00:10:23,998 {\an8}♪ ルルルー ルルー 143 00:10:24,165 --> 00:10:25,333 (野宮)ああ… 姐(あね)さん (美和子)♪ 友達 友達 144 00:10:25,458 --> 00:10:26,959 (野宮)どうか もう その辺で… 145 00:10:33,382 --> 00:10:37,178 (山田の声)ずっと感じてた 目の前にいても 146 00:10:37,303 --> 00:10:40,348 彼女が ここじゃない どこかを見ているようで… 147 00:10:40,556 --> 00:10:42,683 今は ここにいるけど— 148 00:10:42,808 --> 00:10:47,021 いつか ひらりと通りすぎて いってしまうような気がして 149 00:10:48,439 --> 00:10:49,315 でも… 150 00:10:51,108 --> 00:10:52,735 (野宮の声)友達なんだろ? 151 00:10:59,241 --> 00:11:00,117 はぐちゃん 152 00:11:00,701 --> 00:11:03,120 あ… あゆ 153 00:11:03,663 --> 00:11:04,580 ウフ 154 00:11:09,877 --> 00:11:11,045 (山田)どうかな? 155 00:11:11,170 --> 00:11:13,255 ちょっと モコモコしちゃったけど… 156 00:11:15,383 --> 00:11:16,509 暖かい… 157 00:11:16,967 --> 00:11:18,260 ちょっと 起き上がったときに— 158 00:11:18,386 --> 00:11:20,888 背中と肩が 暖かいようにと思って… 159 00:11:21,263 --> 00:11:22,973 羽毛入りだから軽いでしょ? 160 00:11:23,682 --> 00:11:25,684 この 腕の固定用枕も作ろうね 161 00:11:25,810 --> 00:11:27,853 もちっと かわいいほうがいいもんね 162 00:11:27,978 --> 00:11:30,481 あっ それから ブドウも持ってきたんだよ 163 00:11:30,606 --> 00:11:33,818 はぐちゃんの好きな 皮ごと食べられるレッドグローブ 164 00:11:33,943 --> 00:11:36,320 えっと それと 本とMDと… 165 00:11:36,904 --> 00:11:39,824 あっ あゆ 髪に羽がついてるよ 166 00:11:40,491 --> 00:11:41,534 服にも… 167 00:11:41,659 --> 00:11:45,121 いやーん 家 出るとき ちゃんと取ってきたのに 168 00:11:45,246 --> 00:11:47,081 ハハハ え… 実は そのケープ— 169 00:11:47,206 --> 00:11:50,000 お父さんの古いダウンの羽毛 使って作ったんだ 170 00:11:50,126 --> 00:11:52,336 部屋中 羽毛だらけに なっちゃって すごかった 171 00:11:52,962 --> 00:11:54,296 ハサミで こう ジョッキリいったら— 172 00:11:54,422 --> 00:11:56,590 ものすごい勢いで 羽毛が飛び出してきて— 173 00:11:56,715 --> 00:12:00,636 もう すごいのなんのって 掃除するのに2時間もかかったよ 174 00:12:01,220 --> 00:12:04,390 あゆ 背中にも たくさん くっついてるよ 175 00:12:04,515 --> 00:12:07,393 (山田)えっ? ウソ イヤあ 取って取って! 176 00:12:07,518 --> 00:12:09,395 えー なんでー? 177 00:12:11,689 --> 00:12:13,065 (はぐみの声)取らなくて いいよ 178 00:12:14,066 --> 00:12:15,192 はぐちゃん? 179 00:12:17,027 --> 00:12:17,945 (はぐみの声)だって… 180 00:12:18,988 --> 00:12:21,907 だって 天使みたいだもの 181 00:12:22,032 --> 00:12:22,950 あっ… 182 00:12:25,536 --> 00:12:26,954 ありがとう 183 00:12:27,621 --> 00:12:30,249 ありがとう あゆ 184 00:12:37,465 --> 00:12:40,509 (五月(さつき))明日の2時に また ここに来ますので 185 00:12:41,135 --> 00:12:43,387 (花本) ありがとうございました 五月先生 186 00:12:43,846 --> 00:12:46,515 (五月)ちょっと ショックが大きかったみたいですね 187 00:12:47,266 --> 00:12:48,100 ええ… 188 00:12:57,902 --> 00:12:59,195 ああ… 189 00:12:59,320 --> 00:13:00,362 はっ 190 00:13:07,286 --> 00:13:09,538 (五月)花本さん 花本さん? 191 00:13:10,206 --> 00:13:11,248 ああ… 192 00:13:11,415 --> 00:13:13,000 聞いてますか? 花本さん 193 00:13:13,459 --> 00:13:14,877 あっ はい 194 00:13:15,085 --> 00:13:18,714 (五月) はぐみさんは 上半身全体が 硬くなってしまっています 195 00:13:19,381 --> 00:13:21,383 昨日 一緒にやってみた感じで— 196 00:13:21,509 --> 00:13:25,262 患部は避けて 肩や上腕の辺りを マッサージしてあげてください 197 00:13:25,846 --> 00:13:28,224 軽く さすってあげるだけでも いいですから 198 00:13:28,682 --> 00:13:31,185 本人をリラックスさせるのが 目的なので… 199 00:13:31,727 --> 00:13:34,480 前向きに でも 気長にいきましょう 200 00:13:34,855 --> 00:13:38,108 はい ありがとうございます 201 00:13:44,240 --> 00:13:46,575 (竹本)た! 高(たけ)え 202 00:13:47,201 --> 00:13:51,455 花って高いんだな こんなん1本で300円? 203 00:13:51,872 --> 00:13:53,791 1,000円でも たったの3本 204 00:13:54,124 --> 00:13:56,835 花束にするには いったい いくらかかるんだ? 205 00:13:57,002 --> 00:13:58,254 竹本君 206 00:13:58,379 --> 00:14:00,798 だっ あ? や… 山田さん! 207 00:14:01,257 --> 00:14:03,384 (山田)はぐちゃんに? (竹本)あっ いやあ… 208 00:14:03,509 --> 00:14:06,595 (竹本)花でもって 思ったんですけど でも… 209 00:14:06,720 --> 00:14:07,638 竹本君… 210 00:14:09,098 --> 00:14:10,349 いいとこ行こっか? 211 00:14:10,474 --> 00:14:11,475 あ… 212 00:14:14,770 --> 00:14:17,982 (竹本)山田さん “いいとこ”って もしかして… 213 00:14:19,108 --> 00:14:20,401 そうよ ここよ 214 00:14:21,151 --> 00:14:23,612 花ならあるじゃない こんなに! 215 00:14:23,737 --> 00:14:24,947 摘み放題よ 216 00:14:25,155 --> 00:14:26,824 “摘んできたよ”って渡そうよ 217 00:14:27,032 --> 00:14:29,118 そのほうが はぐちゃん きっと喜ぶよ 218 00:14:29,451 --> 00:14:31,871 (竹本)うん… よーし! 219 00:14:35,624 --> 00:14:36,917 (山田)はい はぐちゃん 220 00:14:40,045 --> 00:14:41,380 うれしい 221 00:14:41,505 --> 00:14:45,342 エッヘヘ 摘みたてだよ 線路脇の斜面で取ってきた 222 00:14:45,926 --> 00:14:48,262 ホントはキリンソウが 一番でっかくて— 223 00:14:48,387 --> 00:14:49,555 かわいかったんだけど— 224 00:14:49,680 --> 00:14:52,099 ちょっと粉っぽいから アレかなあと思って 225 00:14:52,433 --> 00:14:53,267 あっ 226 00:14:54,894 --> 00:14:56,061 (はぐみ)ああ… 227 00:14:57,521 --> 00:14:58,939 うっ うう… 228 00:14:59,064 --> 00:15:00,065 はぐちゃん? 229 00:15:00,190 --> 00:15:01,817 (はぐみ)うっ ううう… 230 00:15:03,694 --> 00:15:04,528 (山田)そんな… 231 00:15:05,571 --> 00:15:07,573 指先の感覚が… 232 00:15:08,198 --> 00:15:11,535 “ない”って そんなこと… 233 00:15:11,911 --> 00:15:14,538 (花本)まだ リハビリは 始まったばかりなんだ 234 00:15:15,039 --> 00:15:15,873 それに— 235 00:15:16,165 --> 00:15:18,292 はぐと同じような状態から 時間をかけて— 236 00:15:18,459 --> 00:15:21,295 感覚を取り戻した人は たくさんいるそうだ 237 00:15:21,879 --> 00:15:23,005 (山田)でも… 238 00:15:24,757 --> 00:15:25,883 (花本)山田さん 239 00:15:26,050 --> 00:15:31,347 焦らないこと 諦めないこと それは俺たちもなんだよ 240 00:15:31,972 --> 00:15:33,766 そばにいる人間が揺らいだら— 241 00:15:34,016 --> 00:15:34,975 おぼれている人間が— 242 00:15:35,100 --> 00:15:37,561 つかまるものが なくなってしまうだろ? 243 00:15:37,770 --> 00:15:38,854 (山田・竹本)あ… 244 00:15:39,313 --> 00:15:41,941 (花本)…つうわけで まずは各自 自分の足場を— 245 00:15:42,066 --> 00:15:44,151 今は しっかりと 固めようってことで… 246 00:15:44,276 --> 00:15:45,861 山田さんは 水曜 店番じゃないの? 247 00:15:45,986 --> 00:15:46,946 (山田)ギニャー! (花本)…で竹本! 248 00:15:47,071 --> 00:15:48,197 (花本)お前は卒制! 全力を尽くせよ 249 00:15:48,322 --> 00:15:49,156 (竹本)ギャイン 250 00:15:49,865 --> 00:15:52,534 (花本)お前ら ここんとこ 毎日みたいに来てんだろ? 251 00:15:52,826 --> 00:15:56,538 ありがたいが… 自分のことを おろそかにしちゃ いかんぞ 252 00:15:57,706 --> 00:15:58,874 (竹本)先生 253 00:15:59,833 --> 00:16:00,751 なんだ? 254 00:16:00,876 --> 00:16:04,338 (竹本)ゆうべ来てた人 はぐちゃんのお父さんですか? 255 00:16:16,892 --> 00:16:17,893 そうだよ 256 00:16:18,894 --> 00:16:23,273 (竹本の声)昨日 見た光景と さっきの先生の表情で分かった 257 00:16:23,691 --> 00:16:24,858 そうですか 258 00:16:25,693 --> 00:16:30,322 (竹本の声) 彼女の帰れるはずの場所が もはや姿を変えてしまったこと 259 00:16:31,365 --> 00:16:33,826 分かってる 誰も悪くない 260 00:16:34,243 --> 00:16:37,287 みんな それぞれに 一生懸命 生きてるだけなのだ 261 00:16:38,205 --> 00:16:41,709 でも神様 どうして こんなに1度に… 262 00:16:42,710 --> 00:16:47,131 これでは 彼女が耐えられない 263 00:16:48,257 --> 00:16:49,717 彼女が… 264 00:16:53,804 --> 00:16:58,934 はぐちゃんの左腕に 赤い花みたいなアザが散り始めた 265 00:17:01,979 --> 00:17:04,565 ストレスで かんでしまうのだ 266 00:17:05,274 --> 00:17:09,528 けれど しばらくすると そのアザは 先生の腕に移った 267 00:17:11,280 --> 00:17:12,906 (花本)おぼれている人間が つかまるものが— 268 00:17:13,032 --> 00:17:14,742 なくなってしまうだろ? 269 00:17:15,784 --> 00:17:18,537 (竹本の声)先生は 怖いくらいに落ち着いていた 270 00:17:18,954 --> 00:17:22,666 はぐちゃんのために 絶対 揺るがないと決めたのだろう 271 00:17:24,209 --> 00:17:27,463 昨日 しんさんから ファックスが届いた 272 00:17:27,921 --> 00:17:29,715 新しい現場は盛岡(もりおか)で— 273 00:17:30,174 --> 00:17:33,469 “4月の中旬には 合流してほしい”と書かれていた 274 00:17:34,928 --> 00:17:38,432 別れの日が 本当に近づいているのだ 275 00:17:39,975 --> 00:17:41,852 このまま離れていくのか? 276 00:17:42,394 --> 00:17:45,355 あんな姿の彼女を そのまま置いて? 277 00:17:45,939 --> 00:17:48,233 盛岡はやめて 東京に… 278 00:17:49,985 --> 00:17:51,403 なんてね 279 00:17:51,528 --> 00:17:55,824 何 考えてんだよ やめてどうすんだよ 就職 280 00:17:57,201 --> 00:17:59,620 (竹本の声) 人生が 何のためにあるのか… 281 00:18:00,329 --> 00:18:01,413 それは— 282 00:18:01,538 --> 00:18:06,168 大事な人の手を こういうときに 強く握るためなんじゃないのか? 283 00:18:07,961 --> 00:18:10,672 そうさ やめて ずっとそばに… 284 00:18:11,090 --> 00:18:13,383 励まして リハビリを手伝って— 285 00:18:14,051 --> 00:18:15,344 ケアを手伝うなら— 286 00:18:15,469 --> 00:18:18,180 シフトを自由にできるバイトを 選べばいい 287 00:18:18,680 --> 00:18:23,393 ビルの清掃とか 道路工事とか 深夜のコンビニとか… 288 00:18:25,604 --> 00:18:26,480 でも 待てよ 289 00:18:27,773 --> 00:18:31,902 そんな収入だけで 東京で1人でやっていけるのか? 290 00:18:33,278 --> 00:18:36,323 今は実家からの援助と バイトで生活してる 291 00:18:37,032 --> 00:18:38,492 当たり前だけど— 292 00:18:38,867 --> 00:18:43,789 卒業したら 何もかも全て 自分で 捻出していかなければならない 293 00:18:45,249 --> 00:18:46,291 いや… 294 00:18:46,416 --> 00:18:48,669 バイトを目いっぱいやれば 大丈夫 295 00:18:48,794 --> 00:18:51,046 ぜいたくさえしなければ 暮らしていける 296 00:18:51,547 --> 00:18:54,466 でも そんなに 目いっぱいバイトを入れたら— 297 00:18:54,842 --> 00:18:57,469 今度は はぐちゃんのケアが できなくなる 298 00:18:59,847 --> 00:19:02,182 何より 彼女が治ったとして— 299 00:19:02,432 --> 00:19:04,226 そのあとの俺は… 300 00:19:06,520 --> 00:19:10,816 高いお金を かけてもらって 美大に行かせてもらったあげく— 301 00:19:12,317 --> 00:19:16,196 就職もできてなくて 手に職もついてなくて— 302 00:19:16,738 --> 00:19:18,323 30も超えていて… 303 00:19:18,991 --> 00:19:20,659 そんなことになったら— 304 00:19:20,784 --> 00:19:24,538 今度は俺の存在自体が 彼女の重荷に変わるのでは? 305 00:19:28,417 --> 00:19:30,335 真山(まやま)さんの言葉が浮かんだ 306 00:19:31,336 --> 00:19:33,881 (真山 巧(たくみ))もし 好きな女に 何かあったときにさ 307 00:19:34,214 --> 00:19:37,593 何も考えずに しばらく休めって 言えるくらいは— 308 00:19:38,093 --> 00:19:40,929 なんかさ 持ってたいんだよね 309 00:19:42,097 --> 00:19:45,184 (竹本の声) 今 あの言葉の意味を思い知る 310 00:19:45,893 --> 00:19:48,604 あんな ちっぽけな花1つ 買ってやれない男に— 311 00:19:49,021 --> 00:19:52,566 好きな女の子1人ですら 救えるわけがない 312 00:19:53,775 --> 00:19:56,153 俺は問題を すり替えているだけ 313 00:19:56,612 --> 00:19:58,864 “彼女を助けたい” とか言って 314 00:19:59,281 --> 00:20:03,160 俺が彼女から 離れたくないだけ… 315 00:20:03,619 --> 00:20:06,580 ♪~ 316 00:21:05,138 --> 00:21:07,140 ~♪ 317 00:21:12,229 --> 00:21:18,235 ♪~ 318 00:22:39,441 --> 00:22:45,447 ~♪ 319 00:22:55,957 --> 00:23:00,087 (竹本の声) 次回 小さいころ 1度だけ神様を見た