1 00:00:15,932 --> 00:00:18,977 (清経(きよつね)) 兄上の荷物 多すぎませんか 2 00:00:19,060 --> 00:00:21,813 (資盛(すけもり)) 持っていける物は皆 持っていくさ 3 00:00:21,896 --> 00:00:23,314 (清経)あっ びわ殿 4 00:00:23,398 --> 00:00:26,026 びわ殿は持っていく物 まとめたのですか 5 00:00:26,109 --> 00:00:27,485 (びわ)うむ 6 00:00:28,820 --> 00:00:31,197 わあ 軽くていいですね 7 00:00:31,281 --> 00:00:33,908 (資盛) あー おじいさまが福原(ふくはら)なんかに 8 00:00:33,992 --> 00:00:36,244 都を移すって言い出さなければ… 9 00:00:36,327 --> 00:00:38,913 (清経)京にいては また乱が起こるやもしれませぬ 10 00:00:38,997 --> 00:00:41,458 そうしたときに福原ですと 11 00:00:41,541 --> 00:00:43,752 前は海 後ろは山 12 00:00:43,835 --> 00:00:46,254 皆を守りやすいではありませぬか 13 00:00:46,337 --> 00:00:47,630 (資盛)むっ (清経)アイテッ 14 00:00:47,714 --> 00:00:49,841 お前はオツムが軽くていいな 15 00:00:49,924 --> 00:00:50,759 (清経)むう… 16 00:00:51,342 --> 00:00:53,470 守りたいのは平家の世だ 17 00:00:54,679 --> 00:00:58,516 急な遷都で 屋敷を建てるのも間に合わぬ 18 00:00:58,600 --> 00:01:02,437 だが京に残れば 平家に反する者と見られてしまう 19 00:01:03,188 --> 00:01:07,692 皆 今ある屋敷を取り壊して 木材を運んでいる 20 00:01:08,735 --> 00:01:12,489 京の町は… 廃墟のようになるぞ 21 00:01:12,989 --> 00:01:17,994 ♪~ 22 00:02:37,574 --> 00:02:42,954 ~♪ 23 00:02:48,001 --> 00:02:50,628 (清経) 福原もよいではありませぬか 24 00:02:51,337 --> 00:02:52,589 やややっと 25 00:02:52,672 --> 00:02:56,301 ハァ… なんと気持ちのよいことでしょう 26 00:02:56,384 --> 00:02:57,886 (資盛)清経よ 27 00:02:57,969 --> 00:03:01,890 本当に お前のオツムの軽さが うらやましいな 28 00:03:01,973 --> 00:03:04,267 資盛は水遊びしとうないのか 29 00:03:04,350 --> 00:03:05,894 べっ… 別に… 30 00:03:05,977 --> 00:03:08,271 (びわ)うそつけ 遊びたいに決まっておる 31 00:03:08,354 --> 00:03:10,231 (びわ)ほれほれ (資盛)ぐぬぬ… 32 00:03:10,315 --> 00:03:12,817 (敦盛(あつもり))資盛殿に清経殿で いらっしゃいますか 33 00:03:12,901 --> 00:03:13,735 (資盛・びわ)え? 34 00:03:15,194 --> 00:03:18,323 (敦盛) 平経盛(たいらのつねもり)の末子 敦盛と申します 35 00:03:18,406 --> 00:03:20,366 知らぬ顔だの 36 00:03:20,450 --> 00:03:22,785 おじいさまの弟のご子息ですよ 37 00:03:22,869 --> 00:03:27,081 (敦盛)屋敷をお訪ねしたところ こちらだとうかがいましたので 38 00:03:27,165 --> 00:03:29,751 わざわざ挨拶になぞ来なくとも… 39 00:03:29,834 --> 00:03:32,503 ぜひ清経殿に お目にかかりたく 40 00:03:32,587 --> 00:03:34,422 (資盛)こいつにかよ (敦盛)はい! 41 00:03:34,505 --> 00:03:35,465 ハハッ 42 00:03:35,548 --> 00:03:39,093 清経殿は笛の名手と うかがっております 43 00:03:39,177 --> 00:03:42,180 それは小枝(さえだ)という銘の笛ですね 44 00:03:42,764 --> 00:03:46,726 敦盛殿のひいおじいさまが 鳥羽院(とばいん)様から賜ったという… 45 00:03:46,809 --> 00:03:47,644 (敦盛)はい 46 00:03:47,727 --> 00:03:51,356 敦盛殿の笛の音 ぜひ聴いてみとうございます 47 00:03:51,439 --> 00:03:53,024 ハッ 48 00:03:53,733 --> 00:03:55,818 清経殿の笛も… 49 00:03:55,902 --> 00:03:59,280 では今宵 この浜辺で月見など どうでしょう 50 00:03:59,364 --> 00:04:01,032 それは風流です 51 00:04:01,115 --> 00:04:02,492 (敦盛・清経)ハハッ 52 00:04:02,575 --> 00:04:03,660 ハァ… 53 00:04:03,743 --> 00:04:05,161 フフフ 54 00:04:05,703 --> 00:04:08,623 (波の音) 55 00:04:14,629 --> 00:04:16,464 いい月です 56 00:04:16,547 --> 00:04:18,508 いい月ですね 57 00:04:19,008 --> 00:04:20,802 (敦盛・清経)フフッ (資盛)フッ 58 00:04:22,512 --> 00:04:24,931 申し遅れましたが お父上のこと 59 00:04:25,014 --> 00:04:26,557 まことに残念にございます 60 00:04:28,101 --> 00:04:31,229 もう… 1年ほどになりますか 61 00:04:31,980 --> 00:04:37,068 私は重盛(しげもり)殿の武士としてのご活躍を 尊敬申し上げておりました 62 00:04:37,694 --> 00:04:40,029 特に平治の乱での 63 00:04:40,113 --> 00:04:43,992 “元号は平治 都は平安 我らは平氏” 64 00:04:44,075 --> 00:04:47,578 “3つ同じ平の字だ ならば敵を平らげよう” 65 00:04:48,079 --> 00:04:51,416 そう申され 武者たちを 鼓舞されたお話など 66 00:04:51,499 --> 00:04:54,085 心を躍らせながら うかがっておりました 67 00:04:54,168 --> 00:04:58,131 (清経)そう申してくださると 父も浮かばれます 68 00:04:58,631 --> 00:05:01,968 (資盛)そんなふうにピーピー しゃべるために ここへ来たのか 69 00:05:02,051 --> 00:05:03,970 鳴らすのは笛だろう 70 00:05:04,554 --> 00:05:05,930 申し訳ございませぬ 71 00:05:06,472 --> 00:05:09,684 兄上は少し意地悪なところが あるのです 72 00:05:09,767 --> 00:05:10,810 気にされぬよう 73 00:05:10,893 --> 00:05:12,520 なっ ぐぬぬ… 74 00:05:12,603 --> 00:05:14,981 (波の音) 75 00:05:16,816 --> 00:05:18,234 では… 76 00:05:18,317 --> 00:05:19,944 (重衡(しげひら))私もいいかな 77 00:05:20,028 --> 00:05:22,071 (清経)重衡殿 78 00:05:22,822 --> 00:05:25,033 (敦盛)重衡殿 わたくしは… 79 00:05:25,116 --> 00:05:26,242 知っているよ 80 00:05:26,326 --> 00:05:27,577 (重衡)まことですか 81 00:05:27,660 --> 00:05:30,747 わたくしも重衡殿のご活躍は うかがっております 82 00:05:30,830 --> 00:05:33,416 宇治(うじ)川や園城(おんじょう)寺での戦いでは 83 00:05:33,499 --> 00:05:35,918 それは見事なお働きだったとか 84 00:05:36,002 --> 00:05:36,836 あ… 85 00:05:38,421 --> 00:05:42,008 戦の話は風雅な月を曇らせる 86 00:05:42,091 --> 00:05:44,802 さっ 小枝の音を聴かせておくれ 87 00:05:44,886 --> 00:05:45,720 はっ 88 00:05:47,221 --> 00:05:53,853 (笛の音) 89 00:06:25,551 --> 00:06:27,720 (後白河(ごしらかわ)法皇) ここが あまり狭いので 90 00:06:27,804 --> 00:06:31,516 “籠(ろう)の御所”と 皆に言われているそうな 91 00:06:31,599 --> 00:06:34,102 (徳子(とくこ)) もう少し広い所に移れるよう 92 00:06:34,185 --> 00:06:35,937 父に願い出てみます 93 00:06:36,020 --> 00:06:38,898 (後白河)あの清盛(きよもり)めが 承知するものか 94 00:06:38,981 --> 00:06:43,194 どうか今しばらく ご辛抱くださいませ 95 00:06:43,277 --> 00:06:45,738 “見るに心の澄むものは” 96 00:06:45,822 --> 00:06:48,241 “野中の堂のまた破れたる” 97 00:06:48,324 --> 00:06:51,035 おお 今様(いまよう)の一節だな 98 00:06:51,119 --> 00:06:51,953 (徳子)はい 99 00:06:52,537 --> 00:06:55,540 まあ そう長くはないと思えば 100 00:06:55,623 --> 00:06:57,917 籠の御所も一興かもしれぬ 101 00:06:58,501 --> 00:06:59,377 あ… 102 00:06:59,460 --> 00:07:02,630 上皇の具合が優れぬと聞いたが… 103 00:07:02,713 --> 00:07:04,048 あっ はい 104 00:07:04,132 --> 00:07:07,176 急に住まいを移りました お疲れもあるのかと… 105 00:07:15,810 --> 00:07:18,479 (高倉(たかくら)上皇)そなたが そのようなことをしなくとも 106 00:07:19,355 --> 00:07:20,439 構いませぬ 107 00:07:20,523 --> 00:07:22,066 (高倉)すまぬ 108 00:07:22,733 --> 00:07:25,486 謝られることはありませぬ 109 00:07:25,570 --> 00:07:27,905 (高倉)では かたじけない 110 00:07:27,989 --> 00:07:32,535 わたくしに そのような… そう お気を使わずとも 111 00:07:32,618 --> 00:07:37,206 (高倉)父上の所へも たびたび訪れてくれているそうな 112 00:07:39,000 --> 00:07:43,087 年端もいかぬ私と一緒になって以来 113 00:07:43,171 --> 00:07:47,508 そなたのほうには 気を使わせてばかりであるな 114 00:07:49,093 --> 00:07:51,429 そなたは美しく 115 00:07:51,512 --> 00:07:54,640 賢く 憧れのいとこであった 116 00:07:55,766 --> 00:07:57,602 それに引き換え 117 00:07:57,685 --> 00:08:02,064 世を知らぬ 何もできぬ自分が 恥ずかしかった 118 00:08:02,148 --> 00:08:05,234 そなたには感謝しておるのだ 119 00:08:06,819 --> 00:08:10,114 そのように思っていただいて いたのだと分かり 120 00:08:10,823 --> 00:08:12,200 うれしうございます 121 00:08:14,368 --> 00:08:17,121 (子供の泣き声) 122 00:08:17,205 --> 00:08:19,832 (安徳(あんとく)天皇の泣き声) 123 00:08:19,916 --> 00:08:21,334 ああ よしよし 124 00:08:21,417 --> 00:08:24,295 (乳母)波の音が聞こえると 泣き出されるのです 125 00:08:27,340 --> 00:08:32,720 (安徳天皇の泣き声) 126 00:08:39,602 --> 00:08:41,479 (清盛)うう… 127 00:08:41,562 --> 00:08:43,940 (うなされ声) 128 00:08:44,023 --> 00:08:45,399 ぐっ… あっ 129 00:08:47,401 --> 00:08:48,236 ハッ 130 00:08:49,111 --> 00:08:50,696 あ… 131 00:08:54,492 --> 00:08:57,119 (どくろたちの笑い声) 132 00:09:04,543 --> 00:09:06,295 ぐぬぬ… 133 00:09:14,220 --> 00:09:16,138 (清経)ぐぐぐ… 134 00:09:16,222 --> 00:09:18,140 (びわ)むむむ… 135 00:09:18,224 --> 00:09:21,143 (清経)ぐぐぐ… (びわ)むむむ… 136 00:09:24,563 --> 00:09:28,150 こうやって おじいさまは どくろをにらみ返したそうですよ 137 00:09:28,234 --> 00:09:29,610 はあっ 138 00:09:29,694 --> 00:09:31,070 ん? 139 00:09:31,153 --> 00:09:34,782 ほかにも奇怪なことが たくさん起こってるようですよ 140 00:09:34,865 --> 00:09:37,034 松が ひと晩で枯れたり 141 00:09:37,118 --> 00:09:39,495 東国イチと評判である馬の尾に 142 00:09:39,578 --> 00:09:41,497 ネズミが巣を作ったり… 143 00:09:41,581 --> 00:09:44,292 そのネズミ 子まで産んだとか 144 00:09:44,375 --> 00:09:45,209 何だ そりゃ 145 00:09:46,711 --> 00:09:49,171 (資盛)兄上は怖がりだから (維盛(これもり))ん… 146 00:09:49,797 --> 00:09:52,174 モノノケのほうが どれほどいいか… 147 00:09:55,011 --> 00:09:56,596 うっ 148 00:09:56,679 --> 00:09:57,805 ん? 149 00:09:57,888 --> 00:09:59,307 あ… 150 00:10:00,850 --> 00:10:04,061 (清経)敦盛殿の父上は 歌がお上手だとか 151 00:10:04,145 --> 00:10:07,064 今度 父の歌合わせに いらしてください 152 00:10:07,148 --> 00:10:09,233 (資盛) モノノケのうわさが立つのは 153 00:10:09,317 --> 00:10:13,279 京に比べ ここが あまりにさみしいからだろうな 154 00:10:13,362 --> 00:10:16,741 みんな 京に帰りたいと 思ってるんだ 155 00:10:16,824 --> 00:10:20,202 あの資盛の思い人は 京に残っているのか? 156 00:10:20,286 --> 00:10:21,120 ううっ 157 00:10:21,203 --> 00:10:25,082 (びわ)資盛も歌は得意であろう 文を送れば… 158 00:10:25,166 --> 00:10:27,543 お前は分からぬかもしれぬが 159 00:10:27,626 --> 00:10:30,629 男女の仲は それだけでは… 160 00:10:30,713 --> 00:10:35,092 ハァ… 会えぬなら よき嫁御をもらうしかないか 161 00:10:35,176 --> 00:10:38,012 ハァ… あきれるの 162 00:10:39,013 --> 00:10:40,639 (女御(にょうご))びわ殿 (びわ)ん? 163 00:10:40,723 --> 00:10:43,142 (女御)清盛様がお呼びです 164 00:10:43,225 --> 00:10:44,101 びわを? 165 00:10:44,185 --> 00:10:46,103 (女御)さようでございます 166 00:10:46,687 --> 00:10:47,980 あっ 167 00:10:53,486 --> 00:10:56,447 何だ 維盛と資盛まで 168 00:10:56,530 --> 00:10:59,950 (時子(ときこ))お二人はびわ殿が心配で ついてきたのでしょう 169 00:11:00,451 --> 00:11:03,245 資盛が 一緒にと申しまして 170 00:11:03,329 --> 00:11:04,914 “心配”とな? 171 00:11:04,997 --> 00:11:06,207 (資盛の口笛) 172 00:11:06,290 --> 00:11:10,294 清盛入道に何をされるか 分かったものではないと? 173 00:11:10,378 --> 00:11:11,921 ひどいのう 174 00:11:12,004 --> 00:11:16,133 その琵琶(びわ)の音でモノノケを 鎮めてほしいと思うただけだ 175 00:11:16,217 --> 00:11:18,594 あら そうでございましたか 176 00:11:18,677 --> 00:11:20,137 ああ… 177 00:11:20,221 --> 00:11:21,847 ヒヒッ 178 00:11:21,931 --> 00:11:24,975 わたくしは ぐっすりと眠れるたちですので 179 00:11:25,059 --> 00:11:27,520 モノノケなどは見ませぬのでな 180 00:11:27,603 --> 00:11:29,563 先に休ませていただきます 181 00:11:30,731 --> 00:11:33,025 (清盛)では聴かせてくれぬかの 182 00:11:35,069 --> 00:11:37,947 (琵琶の音) 183 00:11:47,081 --> 00:11:50,710 (清盛)重盛も この音を 聴いておったのだな 184 00:11:50,793 --> 00:11:52,169 あ… 185 00:11:52,253 --> 00:11:55,214 おもしろうもない男であったが 186 00:11:55,297 --> 00:11:59,844 あやつだけは わしにも 臆さず ものを申しておった 187 00:11:59,927 --> 00:12:02,930 まだまだ これからというときに… 188 00:12:03,013 --> 00:12:03,973 ああ… 189 00:12:04,515 --> 00:12:08,018 カネがないのに 使うばかりで手を打たず 190 00:12:08,102 --> 00:12:11,939 各地で反乱が起こっても 収めることもできず 191 00:12:12,022 --> 00:12:17,153 何もできぬ貴族と 偉そうにする ばかりの坊主が支配する… 192 00:12:17,236 --> 00:12:21,782 身分と権威が すべての世を 我らは変えた 193 00:12:21,866 --> 00:12:25,119 息苦しい世界に風穴を開けたのだ 194 00:12:25,202 --> 00:12:26,787 富と武力でな 195 00:12:26,871 --> 00:12:28,789 ああ… 196 00:12:28,873 --> 00:12:30,541 (清盛)何だ 197 00:12:31,125 --> 00:12:34,628 ですが… 今 我ら平家は… 198 00:12:37,423 --> 00:12:41,635 (清盛)何かを大きく変えるときには 反する者も出よう 199 00:12:41,719 --> 00:12:44,638 変わるのをよしとせぬ者もおろう 200 00:12:45,181 --> 00:12:49,393 だからこそ我ら平家一門 力を合わせねばならぬ 201 00:12:51,854 --> 00:12:56,275 この新しい都で… 開いた港で 202 00:12:56,358 --> 00:12:58,319 我らは さらに富を築く 203 00:12:59,320 --> 00:13:01,447 その富で武力も蓄える 204 00:13:02,406 --> 00:13:06,410 さすれば我らの世は続くのだ 205 00:13:07,703 --> 00:13:10,623 (文覚) 頼朝(よりとも)様のお父上にございます 206 00:13:13,709 --> 00:13:15,252 (頼朝)父の? 207 00:13:15,336 --> 00:13:17,004 (文覚)平治の乱ののち 208 00:13:17,087 --> 00:13:20,257 牢の前で こけむしておりました お父上のこうべを 209 00:13:20,341 --> 00:13:22,510 もらい受けたのです 210 00:13:22,593 --> 00:13:26,597 弔う者もなく なんと無念であられたでしょう 211 00:13:27,973 --> 00:13:30,017 本当に これが? 212 00:13:30,100 --> 00:13:34,813 以仁王(もちひとおう)様は平家打倒の志半ばで 命を落とされました 213 00:13:34,897 --> 00:13:38,359 源頼政(よりまさ) 仲綱(なかつな)親子も 自害いたしました 214 00:13:38,442 --> 00:13:41,946 その意思を継ぐのは 頼朝様以外におりません 215 00:13:42,029 --> 00:13:44,740 平家は武士の世を 作ったつもりでおりますが 216 00:13:44,823 --> 00:13:47,117 朝廷に取って代わっただけです 217 00:13:47,201 --> 00:13:49,119 栄えるのは一門のみ 218 00:13:49,203 --> 00:13:51,121 それは そうだが… 219 00:13:52,498 --> 00:13:56,460 頼朝様ならば どのように変えられましょうか 220 00:13:56,544 --> 00:13:58,879 (頼朝)清盛公とは違い 221 00:13:58,963 --> 00:14:01,924 一門以外の武士も取り立て 222 00:14:02,007 --> 00:14:05,302 朝廷は立てつつ… 新たな世を 223 00:14:05,845 --> 00:14:08,514 それならば 多くの武士が従いましょう 224 00:14:09,306 --> 00:14:13,435 (頼朝)しかし 私は 清盛公に命を救われた身 225 00:14:14,562 --> 00:14:16,647 なのに兵を挙げるなど… 226 00:14:16,730 --> 00:14:18,107 (文覚)ご安心ください 227 00:14:18,190 --> 00:14:23,070 福原に参り 後白河法皇から 院宣を受け取ってまいりました 228 00:14:23,904 --> 00:14:27,783 (後白河)このところ 平家は朝廷をないがしろにし 229 00:14:27,866 --> 00:14:30,703 身勝手な政治を行っている 230 00:14:30,786 --> 00:14:32,371 平家を滅ぼせ 231 00:14:32,454 --> 00:14:35,833 朝廷の敵を退けよ 232 00:14:39,378 --> 00:14:40,588 本物? 233 00:14:40,671 --> 00:14:42,840 本物にございます 234 00:14:43,340 --> 00:14:46,218 (清盛)頼朝が挙兵したと? 235 00:14:46,302 --> 00:14:50,431 (宗盛(むねもり))舅(しゅうと)である北条時政(ほうじょうときまさ)と共に 伊豆(いず)を出まして… 236 00:14:50,514 --> 00:14:53,392 命は助け 流罪にしてやったのに 237 00:14:53,475 --> 00:14:55,894 その恩を忘れるとは何事か 238 00:14:55,978 --> 00:15:00,399 (宗盛)ですが石橋(いしばし)山で 我ら平家の軍と戦いになり 239 00:15:00,482 --> 00:15:03,277 敗れて わずか7~8騎で 逃げたとか 240 00:15:04,236 --> 00:15:08,490 諸国の源氏が駆けつけぬうちに 討っておかねばな 241 00:15:08,574 --> 00:15:10,659 うーん… 242 00:15:10,743 --> 00:15:13,454 よし 総大将には維盛を 243 00:15:13,537 --> 00:15:14,788 それは… 244 00:15:14,872 --> 00:15:16,040 (知盛(とももり))まだ早いのでは 245 00:15:16,123 --> 00:15:18,959 (清盛) 亡き重盛は維盛の年の頃には 246 00:15:19,043 --> 00:15:21,503 見事な働きをしておったぞ 247 00:15:21,587 --> 00:15:23,297 維盛にもできる 248 00:15:23,380 --> 00:15:25,841 平家の力を見せつけるのだ 249 00:15:36,185 --> 00:15:38,062 (維盛)ここで源氏を待つと? 250 00:15:38,145 --> 00:15:41,941 このまま富士(ふじ)川を渡り 足柄(あしがら)の山を越え 251 00:15:42,024 --> 00:15:45,527 広い東国の野で戦ったほうが よいのではないか 252 00:15:45,611 --> 00:15:50,366 (忠清(ただきよ))戦のことは清盛様より この忠清に任せられております 253 00:15:50,866 --> 00:15:52,993 兵も馬も疲れております 254 00:15:53,077 --> 00:15:56,538 兵糧も足りませぬゆえ ここで待つほうがよいかと 255 00:15:58,582 --> 00:16:02,836 途中 駆り集めた兵も 7万騎に増えております 256 00:16:02,920 --> 00:16:05,005 ヘタに動かぬほうがよいかと 257 00:16:05,089 --> 00:16:07,007 (兵士)お知らせ申し上げます 258 00:16:07,091 --> 00:16:09,051 源氏の兵 およそ20万騎 259 00:16:09,134 --> 00:16:11,220 20万騎? 260 00:16:11,303 --> 00:16:14,056 頼朝の挙兵から ひと月が過ぎております 261 00:16:14,139 --> 00:16:18,227 各地から源氏の武者が 馳せ参じたようですな 262 00:16:18,310 --> 00:16:19,853 実盛(さねもり) 263 00:16:19,937 --> 00:16:20,813 (実盛)はっ 264 00:16:20,896 --> 00:16:23,524 そなたは東国の武士に詳しいと聞く 265 00:16:23,607 --> 00:16:27,069 (実盛)かつては よく源氏と 戦っておりましたので 266 00:16:27,152 --> 00:16:29,113 その戦いぶりは? 267 00:16:29,196 --> 00:16:31,657 (実盛)気性荒く 意気盛ん 268 00:16:31,740 --> 00:16:34,284 馬に乗れば 落ちることを知らず 269 00:16:34,368 --> 00:16:37,162 親が討たれようが 子が討たれようが 270 00:16:37,246 --> 00:16:39,832 そのしかばねを乗り越え 戦いまする 271 00:16:40,541 --> 00:16:41,542 ハァ… 272 00:16:41,625 --> 00:16:42,793 ああ… 273 00:16:42,876 --> 00:16:45,087 しかし源氏には そなたのように 274 00:16:45,170 --> 00:16:47,631 強い弓を引く武士は おらぬだろう? 275 00:16:47,715 --> 00:16:51,969 いえ 源氏には鎧を2つ3つ まとめて射抜くほどの 276 00:16:52,052 --> 00:16:54,179 弓の使い手がたくさんおりまする 277 00:16:54,263 --> 00:16:55,139 ああ… 278 00:16:55,222 --> 00:16:59,643 (実盛)この辺りは 甲斐(かい)や信濃(しなの)の 源氏が詳しうございます 279 00:16:59,727 --> 00:17:04,106 背後に回られぬよう 注意を怠らぬほうがよいかと 280 00:17:07,651 --> 00:17:10,028 (忠清)どうして あのようなことを申したのだ 281 00:17:10,112 --> 00:17:13,866 どうにも士気が上がらぬように 見受けましたので 282 00:17:13,949 --> 00:17:15,242 奮い立たせようと 283 00:17:15,325 --> 00:17:17,536 暮らしぶりがよくなったせいで 284 00:17:17,619 --> 00:17:20,914 平家の武士は 昔の猛々しさを失っております 285 00:17:20,998 --> 00:17:21,999 (忠清)む… 286 00:17:22,082 --> 00:17:23,542 (兵士)おい 何だ あれは… 287 00:17:23,625 --> 00:17:24,460 (2人)おお? 288 00:17:24,543 --> 00:17:26,754 (兵士)あれを (維盛)ん? 289 00:17:27,296 --> 00:17:28,297 ハッ 290 00:17:28,380 --> 00:17:30,507 (兵士)おっ 何という… 291 00:17:30,591 --> 00:17:33,010 (2人)ハァハァ… ああっ 292 00:17:33,552 --> 00:17:35,262 (兵士)これほどの兵が… 293 00:17:35,345 --> 00:17:36,930 (兵士)川や海にも 294 00:17:37,014 --> 00:17:40,976 明日の朝一番に 矢合わせとなっております 295 00:17:41,059 --> 00:17:43,562 今宵は攻めてまいりますまい 296 00:17:43,645 --> 00:17:44,897 お休みを 297 00:17:46,482 --> 00:17:49,860 (荒れる波の音) 298 00:17:56,325 --> 00:17:58,535 (琵琶の音) 299 00:17:58,619 --> 00:18:01,538 (びわ)その夜の夜半あたり 300 00:18:01,622 --> 00:18:05,501 富士の沼に いくらも   群れいたりける水鳥どもが 301 00:18:08,962 --> 00:18:09,755 {\an8}(水鳥の鳴き声) 302 00:18:09,755 --> 00:18:11,757 {\an8}(水鳥の鳴き声) 303 00:18:09,755 --> 00:18:11,757 何にか驚きたりけん 304 00:18:16,386 --> 00:18:19,473 一度にバッとたける羽音の 305 00:18:20,432 --> 00:18:24,019 大風いかづち   なんどのように聞こえければ 306 00:18:28,732 --> 00:18:33,654 すはや源氏の大勢 寄するは   取り込められては かなうまじ 307 00:18:33,737 --> 00:18:35,656 (維盛)ハァ ハァ ハァ… 308 00:18:39,076 --> 00:18:43,455 平家の兵(つわもの)ども   とるものもとりあえず 309 00:18:43,539 --> 00:18:48,502 我先にぞと落ちゆきける 310 00:18:56,301 --> 00:18:59,096 なぜ戦わずして逃げたのだ 311 00:18:59,179 --> 00:19:02,933 (実平)鳥の羽音に驚き 一斉に逃げ出したとか 312 00:19:03,851 --> 00:19:05,727 本当に? 313 00:19:05,811 --> 00:19:07,354 (清盛)なんと ぶざまな 314 00:19:07,437 --> 00:19:09,189 戦って負けたのなら まだしも… 315 00:19:09,273 --> 00:19:10,482 維盛 316 00:19:10,566 --> 00:19:13,402 重盛が亡くなり 後ろ盾のいなくなった そなたに 317 00:19:13,485 --> 00:19:16,029 わしは手柄を上げさせたかった 318 00:19:16,113 --> 00:19:17,906 だから総大将にしたのだ 319 00:19:17,990 --> 00:19:18,866 (維盛)あ… 320 00:19:20,367 --> 00:19:21,702 忠清は死罪 321 00:19:21,785 --> 00:19:22,828 ん… 322 00:19:23,370 --> 00:19:25,330 維盛は鬼界ヶ島(きかいがしま)に流せ 323 00:19:25,414 --> 00:19:26,290 ハッ 324 00:19:26,373 --> 00:19:27,457 父上 325 00:19:27,583 --> 00:19:31,545 忠清殿は保元の乱では 先陣を務められた武将です 326 00:19:31,628 --> 00:19:33,755 今まで どれほど助けられましたか 327 00:19:33,839 --> 00:19:36,383 わたくしよりも お願い申し上げます 328 00:19:36,466 --> 00:19:39,344 維盛も まだ戦に慣れておりませぬ 329 00:19:39,428 --> 00:19:42,055 これよりは 必ずや武功をあげるはず 330 00:19:42,139 --> 00:19:44,057 (知盛)憎きは頼朝 331 00:19:44,141 --> 00:19:47,978 平家一門を合わせ 必ずや頼朝を討ち取りましょう 332 00:19:48,061 --> 00:19:50,731 うっ くっ… 333 00:19:51,315 --> 00:19:55,694 (清経)流罪は免れましたが わが兄ながら恥ずかしいかぎりで… 334 00:19:55,777 --> 00:19:57,237 何の! 335 00:19:57,321 --> 00:20:01,909 我らが戦に出るときが来ましたら 雄々しく潔く戦いましょうぞ 336 00:20:01,992 --> 00:20:03,160 (猫の鳴き声) 337 00:20:03,744 --> 00:20:04,870 (びわ)ん? 338 00:20:04,953 --> 00:20:06,580 あっ 339 00:20:14,004 --> 00:20:15,213 怖(こ)おうないぞ 340 00:20:16,757 --> 00:20:19,092 (猫)ニャア… (びわ)かわいいの 341 00:20:19,176 --> 00:20:20,802 わしは びわじゃ 342 00:20:20,886 --> 00:20:22,137 (物音) 343 00:20:25,515 --> 00:20:29,561 んっ んっ ん… ふんっ 344 00:20:30,437 --> 00:20:31,521 んっ 345 00:20:31,605 --> 00:20:32,522 (猫)ニャア… 346 00:20:32,606 --> 00:20:33,899 あ… 347 00:20:34,816 --> 00:20:35,651 ハァ… 348 00:20:36,610 --> 00:20:38,195 維盛 349 00:20:40,656 --> 00:20:42,282 無事で… 350 00:20:43,200 --> 00:20:45,035 (維盛)怖かった (びわ)あ… 351 00:20:45,744 --> 00:20:49,164 あのような数の兵が 攻めてくると思うと… 352 00:20:49,915 --> 00:20:50,999 怖かった 353 00:20:54,920 --> 00:20:58,465 (びわ)維盛 今宵は維盛の舞が見たい 354 00:20:58,548 --> 00:21:00,676 厳島(いつくしま)で見たように海辺で 355 00:21:02,260 --> 00:21:05,597 (維盛)舞など… 都は変わった 356 00:21:06,181 --> 00:21:07,641 私も変わらねば 357 00:21:07,724 --> 00:21:09,351 あ… 358 00:21:10,143 --> 00:21:13,313 (維盛)戦うのだ… 戦わねばならぬのだ 359 00:21:13,397 --> 00:21:15,315 平家の武士として… ふんっ 360 00:21:15,983 --> 00:21:20,529 ふんっ ふんっ ふんっ… 361 00:21:26,034 --> 00:21:31,039 ♪~ 362 00:22:49,409 --> 00:22:54,331 ~♪