1 00:00:21,104 --> 00:00:21,980 (敦盛(あつもり))ん? 2 00:00:25,567 --> 00:00:29,863 (清経(きよつね))こうやって球が 球門(きゅうもん)に入ったら勝ちだそうです 3 00:00:29,946 --> 00:00:32,198 これが毬杖(ぎっちょう)という遊びですか 4 00:00:32,282 --> 00:00:36,661 どうやら南都(なんと)の僧たちは これを清盛(きよもり)の頭と呼んで 5 00:00:36,745 --> 00:00:39,664 さんざんに打ちつけて 遊んでいるとか 6 00:00:39,748 --> 00:00:41,458 それは あまりな 7 00:00:41,541 --> 00:00:43,418 敦盛殿も打ってみては? 8 00:00:43,501 --> 00:00:45,378 清盛様の頭をですか 9 00:00:45,462 --> 00:00:47,881 (清経)いえいえ 球をです (敦盛)あ… 10 00:00:48,798 --> 00:00:49,632 はいっ 11 00:01:01,186 --> 00:01:03,146 びわ殿 何を? 12 00:01:03,730 --> 00:01:04,731 (びわ)じ… 13 00:01:05,899 --> 00:01:07,192 (猫の鳴き声) 14 00:01:08,276 --> 00:01:09,360 ほれ 15 00:01:10,445 --> 00:01:12,197 (猫)ニャア… 16 00:01:12,280 --> 00:01:15,158 (びわ)よしよし… 賢いの 17 00:01:15,784 --> 00:01:18,495 福原(ふくはら)で飼い始めた猫ですね 18 00:01:18,578 --> 00:01:20,580 猫は家につくと言いますから 19 00:01:20,663 --> 00:01:23,625 まだ京に慣れぬのでしょうか 20 00:01:24,375 --> 00:01:28,671 それにしましても よもや半年で戻ってくるとは 21 00:01:29,506 --> 00:01:33,718 (清経)ですが やはり都は ここですね 22 00:01:33,802 --> 00:01:37,931 (鐘の音) 23 00:01:38,014 --> 00:01:43,019 ♪~ 24 00:03:02,599 --> 00:03:07,896 ~♪ 25 00:03:10,982 --> 00:03:13,401 (徳子(とくこ))上皇様 冷えませぬか 26 00:03:14,402 --> 00:03:16,279 (高倉(たかくら)上皇)福原よりは… 27 00:03:16,821 --> 00:03:20,241 (徳子)さすがの父上も 比叡(ひえい)山から懇願され 28 00:03:20,325 --> 00:03:23,244 都を元に戻すしかなかったようです 29 00:03:23,828 --> 00:03:27,874 もともとは皆 移りたくなかったのですし 30 00:03:28,750 --> 00:03:30,793 わが父上は? 31 00:03:31,377 --> 00:03:33,880 (徳子)この前 ご様子を 見てまいりましたが 32 00:03:33,963 --> 00:03:35,798 お元気であられます 33 00:03:38,259 --> 00:03:42,764 そういえば興福(こうふく)寺の僧徒が 蜂起したとか 34 00:03:42,847 --> 00:03:46,226 “平家は我らを討つために 戻ってきた” 35 00:03:46,309 --> 00:03:48,228 そう疑っていると… 36 00:03:48,311 --> 00:03:50,229 もう お耳に… 37 00:03:51,439 --> 00:03:52,982 フゥ… 38 00:03:53,066 --> 00:03:55,360 (清盛) 頼朝(よりとも)が兵を挙げたというのに 39 00:03:55,443 --> 00:03:58,696 南都の寺と 争っている場合ではないわ 40 00:03:58,780 --> 00:04:02,075 兼康(かねやす) そなた 興福寺まで出向き 41 00:04:02,158 --> 00:04:05,411 討つ気などないということを 伝えてくるよう 42 00:04:05,495 --> 00:04:06,871 (兼康)はっ 43 00:04:06,955 --> 00:04:08,081 (清盛)よいか 44 00:04:08,164 --> 00:04:11,000 鎧も かぶともつけず 弓矢も持つな 45 00:04:11,084 --> 00:04:13,586 あちらが狼藉(ろうぜき)を致すことがあっても 46 00:04:13,670 --> 00:04:17,090 お前たちは決して手を出すでないぞ 47 00:04:18,132 --> 00:04:21,511 (平家の兵)うわあ… 待て… 頼む 48 00:04:21,594 --> 00:04:23,304 (僧兵)園城(おんじょう)寺の敵(かたき)を討つのだ 49 00:04:23,388 --> 00:04:24,764 (僧兵たち)おおー 50 00:04:24,847 --> 00:04:29,686 (平家の兵たちの悲鳴) 51 00:04:33,189 --> 00:04:37,652 (清盛)猿沢(さるさわ)池のほとりに さらし首を並べおったと? 52 00:04:37,735 --> 00:04:41,114 興福寺の僧徒ども… ぐぬぬ… 53 00:04:41,197 --> 00:04:42,115 (宗盛(むねもり))ひいっ 54 00:04:42,198 --> 00:04:43,658 (清盛)ならば承知した 55 00:04:43,741 --> 00:04:46,619 父上 どうか落ちついて… 56 00:04:46,703 --> 00:04:47,704 (清盛)何をぬかす 57 00:04:47,787 --> 00:04:51,207 武器を持たぬ者たちを 60人もからめとり 58 00:04:51,291 --> 00:04:52,667 首をはねたのだぞ 59 00:04:52,750 --> 00:04:56,462 重衡(しげひら) そなたが総大将となり 南都に向かえ 60 00:04:56,546 --> 00:04:58,715 (重衡)あ… (清盛)よいな! 61 00:05:00,717 --> 00:05:01,884 はっ 62 00:05:01,968 --> 00:05:03,803 (足音) 63 00:05:03,886 --> 00:05:06,389 (武士)重衡様 夜が明けました 64 00:05:06,472 --> 00:05:08,558 (武士)ときの声を (重衡)う… 65 00:05:08,641 --> 00:05:12,395 (武士)興福寺の僧兵は 刀しか持っておりませぬ 66 00:05:12,478 --> 00:05:16,858 我らが弓矢を射ち込めば 簡単に蹴散らせましょうぞ 67 00:05:24,991 --> 00:05:26,868 えいえい… 68 00:05:26,951 --> 00:05:29,078 (兵たち)おー 69 00:05:35,793 --> 00:05:38,254 (知盛(とももり)) 戦いは夜にもつれ込む模様とか 70 00:05:38,338 --> 00:05:41,424 (清盛)何をしておるのだ 重衡は 71 00:05:41,507 --> 00:05:44,469 (知盛)僧兵たちの抵抗が 思いのほか激しく… 72 00:05:45,053 --> 00:05:49,932 しかし 奈良坂 般若(はんにゃ)寺に築かれた 砦は突破したようです 73 00:05:51,392 --> 00:05:53,978 (武士)重衡殿 辺りが暗く 74 00:05:54,062 --> 00:05:57,106 僧兵どもが どこに 潜んでおるのか分かりませぬ 75 00:05:57,190 --> 00:05:59,817 灯をともしてみては? 76 00:06:01,235 --> 00:06:03,738 だが園城寺は そのせいで… 77 00:06:05,365 --> 00:06:08,117 兵は僧徒の勢いに押されております 78 00:06:08,201 --> 00:06:11,954 暗い中 襲われましたら ひとたまりもありませぬ 79 00:06:12,705 --> 00:06:13,915 ん… 80 00:06:16,834 --> 00:06:21,130 民家を燃やし 明かりをとるよう 十分に気をつけよ 81 00:06:31,557 --> 00:06:33,976 ん? んん… 82 00:06:37,146 --> 00:06:38,439 どうしたのかの 83 00:06:39,857 --> 00:06:41,401 変な風だの 84 00:06:42,401 --> 00:06:43,694 {\an8}(猫)ニャオ… 85 00:06:55,331 --> 00:06:58,418 ああ… くっ 86 00:07:03,381 --> 00:07:06,008 ハァ… ああ… 87 00:07:07,927 --> 00:07:11,097 (清盛の笑い声) 88 00:07:11,180 --> 00:07:14,684 興福寺どころか東大(とうだい)寺まで 燃え落ちたそうだ 89 00:07:14,767 --> 00:07:17,645 南都をことごとく 焼き討ちにするとは 90 00:07:18,604 --> 00:07:21,858 (時子(ときこ))ん… たたりがないとよいのですが 91 00:07:21,941 --> 00:07:25,319 え? むむ… 92 00:07:28,531 --> 00:07:30,199 ん… ん? 93 00:07:30,283 --> 00:07:31,284 (資盛(すけもり))どれ 94 00:07:31,367 --> 00:07:33,369 (猫)シャー (資盛)なんと 95 00:07:33,452 --> 00:07:36,080 飼い主そっくりだな まったく… 96 00:07:36,164 --> 00:07:37,331 ん? 97 00:07:37,415 --> 00:07:38,374 (資盛)ふむ 98 00:07:38,458 --> 00:07:42,044 (維盛(これもり))これで平家は また多くの 敵を作ることになってしまった 99 00:07:42,128 --> 00:07:44,672 (清経) 燃え広がったのは風のせいで 100 00:07:44,755 --> 00:07:46,716 どうにもできなかったのでしょう? 101 00:07:46,799 --> 00:07:49,927 もとはと言えば 南都の僧が悪いのですし 102 00:07:50,011 --> 00:07:52,513 (維盛)ハァ… そうも言い切れぬ 103 00:07:52,597 --> 00:07:53,931 (資盛)兄上 104 00:07:54,015 --> 00:07:57,101 今日は母上のご機嫌伺いに 参ったのです 105 00:07:57,185 --> 00:07:58,978 暗い顔をなさらぬよう 106 00:07:59,061 --> 00:08:02,398 それに我らが ここで何を話そうと 107 00:08:02,482 --> 00:08:04,942 南都は元には戻りませぬ 108 00:08:05,026 --> 00:08:09,906 資盛兄上は思い人との仲が 元通りになられましたから 109 00:08:09,989 --> 00:08:11,824 ほかのことは どうでもよいのでしょう 110 00:08:11,908 --> 00:08:12,783 (資盛)なっ 111 00:08:17,163 --> 00:08:20,500 今年は さみしいお正月でしたね 112 00:08:20,583 --> 00:08:22,752 南都の寺が焼けたからか 113 00:08:22,835 --> 00:08:25,796 何の行事も 行われませんでしたからね 114 00:08:26,464 --> 00:08:28,174 (敦盛)せめて重衡殿に 115 00:08:28,257 --> 00:08:31,844 笛を合わせていただこうと お訪ねしましたのに… 116 00:08:31,928 --> 00:08:34,514 会(お)うてもいただけず 117 00:08:31,928 --> 00:08:34,514 {\an8}(重衡の念仏) 118 00:08:36,057 --> 00:08:37,099 今はとても⸺ 119 00:08:37,183 --> 00:08:40,144 笛を吹く ご気分ではないのでしょうね 120 00:08:41,145 --> 00:08:42,355 (びわ)ほれほれ 121 00:08:42,980 --> 00:08:44,023 (猫)ニャア… 122 00:08:44,106 --> 00:08:45,483 (びわ)ヒヒヒ 123 00:08:47,193 --> 00:08:48,736 (猫)ギャア… (びわ)おおっ 124 00:08:48,819 --> 00:08:50,154 (女御(にょうご))申し訳ございませぬ 125 00:08:50,238 --> 00:08:52,323 どうしたのです 126 00:08:52,406 --> 00:08:54,116 上皇様が… 127 00:08:54,200 --> 00:08:55,576 えっ 128 00:08:59,288 --> 00:09:02,542 (徳子)父上 母上 何用です 129 00:09:02,625 --> 00:09:06,212 上皇様が ご危篤であられると いうときに 130 00:09:06,295 --> 00:09:10,258 そうしたご容態であればこそ そなたに用があるのだ 131 00:09:10,341 --> 00:09:12,426 ならば早く申してください 132 00:09:12,510 --> 00:09:14,053 (清盛)うっ ん… 133 00:09:14,136 --> 00:09:15,346 (時子)あ… 134 00:09:16,097 --> 00:09:19,892 フゥ… 上皇様が 崩御なされたあとの 135 00:09:19,976 --> 00:09:22,645 あなたの身の振り方なのですけどね 136 00:09:22,728 --> 00:09:26,691 後白河(ごしらかわ)法皇の後宮に 入ってはどうかと 137 00:09:26,774 --> 00:09:27,608 んっ 138 00:09:27,692 --> 00:09:30,486 安徳(あんとく)天皇は まだ幼い 139 00:09:30,570 --> 00:09:33,823 朝廷にしっかりとした 後ろ盾があったほうが 140 00:09:33,906 --> 00:09:35,825 安心であろう 141 00:09:38,244 --> 00:09:42,164 (時子)ん? (清盛)この話 進めてもよいな? 142 00:09:44,583 --> 00:09:45,626 (徳子)いいえ 143 00:09:46,127 --> 00:09:47,086 (2人)え? 144 00:09:47,795 --> 00:09:51,799 わたくしを まだ父上の野心の 道具になさいますか 145 00:09:51,882 --> 00:09:53,509 徳子… 146 00:09:53,592 --> 00:09:54,760 しかも 147 00:09:54,844 --> 00:09:59,056 まだ上皇様がご存命のうちに そのようなお話をなさるなど… 148 00:09:59,557 --> 00:10:04,353 わたくしは心より上皇様に お仕えしてまいりました 149 00:10:04,854 --> 00:10:06,939 どのようなことがあろうとも 150 00:10:07,023 --> 00:10:10,985 上皇様よりほかに お仕えする気はございませぬ 151 00:10:11,736 --> 00:10:14,864 んっ んんー 152 00:10:14,947 --> 00:10:18,618 もし 無理にでもと おっしゃるのなら… 153 00:10:18,701 --> 00:10:20,077 おおっ 154 00:10:24,206 --> 00:10:25,541 出家いたします 155 00:10:25,625 --> 00:10:28,252 分かった分かった 剣を収めよ 156 00:10:33,716 --> 00:10:36,635 それで その話はなくなったの 157 00:10:36,719 --> 00:10:38,888 (びわ)徳子 勇ましいの 158 00:10:38,971 --> 00:10:42,767 (徳子)フフ… 初めて父上に逆らったわ 159 00:10:42,850 --> 00:10:43,851 (安徳天皇)びわ? 160 00:10:43,934 --> 00:10:45,394 琵琶(びわ) 161 00:10:45,478 --> 00:10:46,729 びわ? 162 00:10:46,812 --> 00:10:48,022 びわ 163 00:10:48,105 --> 00:10:49,565 びわ 164 00:10:49,649 --> 00:10:50,524 (琵琶の音) 165 00:10:50,608 --> 00:10:53,110 ウハハッ びわ 166 00:10:53,194 --> 00:10:54,278 はあい 167 00:10:54,362 --> 00:10:57,740 (安徳天皇の笑い声) 168 00:11:01,243 --> 00:11:02,953 大丈夫 私… 169 00:11:03,621 --> 00:11:06,040 この子を守って生きていくわ 170 00:11:09,502 --> 00:11:12,380 きっと上皇様も 見守っていてくださる 171 00:11:13,589 --> 00:11:15,132 そうよね? 172 00:11:16,592 --> 00:11:20,221 ただ一度だけど 優しい言葉を頂いた 173 00:11:20,888 --> 00:11:24,266 そなたには感謝しておるのだ 174 00:11:24,350 --> 00:11:26,644 (徳子)愛情ではないのだと 175 00:11:26,727 --> 00:11:29,522 あのときは素直に受け取れなかった 176 00:11:29,605 --> 00:11:33,609 でも私が上皇様の おそばにいたことは 177 00:11:33,692 --> 00:11:35,277 ムダではなかったのよね? 178 00:11:44,036 --> 00:11:45,454 (風が吹く音) 179 00:11:45,538 --> 00:11:46,664 あ… 180 00:11:46,747 --> 00:11:47,873 あっ 181 00:11:55,172 --> 00:11:56,882 ああ… 182 00:11:57,883 --> 00:12:00,886 徳子にも見えるとよいのにの 183 00:12:04,181 --> 00:12:06,267 (宗盛)木曽(きそ)の義仲(よしなか)? 184 00:12:06,350 --> 00:12:09,311 (知盛)はっ 頼朝のいとこに 当たります者で 185 00:12:09,395 --> 00:12:11,063 では源氏か 186 00:12:11,147 --> 00:12:14,275 (知盛)ですが内輪で いろいろとありましたようで 187 00:12:14,817 --> 00:12:18,154 父親が頼朝の兄に討たれたため 木曽に逃れ 188 00:12:18,237 --> 00:12:19,989 そこで育ったそうです 189 00:12:20,489 --> 00:12:23,701 (宗盛)その者が 信濃(しなの)で兵を挙げたと? 190 00:12:23,784 --> 00:12:27,663 調子者が… 頼朝に乗じおったな 191 00:12:27,746 --> 00:12:29,457 ハァ… 192 00:12:29,540 --> 00:12:33,878 どやつもこやつも 皆 わしに逆らいおる 193 00:12:34,378 --> 00:12:37,006 実の娘まで… 194 00:12:37,089 --> 00:12:39,884 一門の栄華を築いた果てに 195 00:12:39,967 --> 00:12:43,304 皆に嫌われ憎まれるとはのう 196 00:12:43,387 --> 00:12:46,640 (知盛)父上 そのようなことを 嘆かれるのは 197 00:12:46,724 --> 00:12:48,434 源氏を討ってからですぞ 198 00:12:48,517 --> 00:12:49,393 おっ 199 00:12:49,477 --> 00:12:52,104 あっ そうでございますとも 200 00:12:52,188 --> 00:12:55,608 平家にあらざるは人にあらず 201 00:12:56,609 --> 00:12:58,569 そなたらの言うとおりだ 202 00:12:59,653 --> 00:13:03,282 フゥ… それにしても… 203 00:13:03,824 --> 00:13:07,119 ハァ 今日は暑いの 204 00:13:07,203 --> 00:13:09,872 (時子)冬にございますよ 205 00:13:13,042 --> 00:13:15,461 (敦盛)河内(かわち)でも九州でも熊野(くまの)でも 206 00:13:15,544 --> 00:13:17,838 源氏につく者が出てきたとか 207 00:13:17,922 --> 00:13:20,966 宗盛の叔父上が総大将となられ 208 00:13:21,050 --> 00:13:23,802 その者たちを討つと 言うておられる 209 00:13:24,303 --> 00:13:27,097 重衡殿は南都の焼き討ち以来 210 00:13:27,181 --> 00:13:30,017 あまり戦に乗り気ではないようです 211 00:13:30,100 --> 00:13:33,270 宗盛殿で大丈夫でしょうか 212 00:13:33,354 --> 00:13:36,148 何? 父上が? 213 00:13:36,232 --> 00:13:39,360 熱い… 熱い… 214 00:13:39,443 --> 00:13:40,444 ああ… 215 00:13:40,528 --> 00:13:41,821 母上… うわっ 216 00:13:41,904 --> 00:13:43,948 (時子)一体どうしたことか 217 00:13:44,031 --> 00:13:47,284 一向に熱が お下がりにならないのです 218 00:13:47,368 --> 00:13:49,453 (清盛がうなされる声) 219 00:13:49,537 --> 00:13:51,914 (宗盛)ええっ (時子)ああ… 220 00:13:55,209 --> 00:13:57,586 (時子がうなされる声) 221 00:14:03,050 --> 00:14:05,761 ああ… あああ… 222 00:14:07,555 --> 00:14:09,932 あ… ハッ 223 00:14:15,604 --> 00:14:17,356 (時子)者どもは? 224 00:14:17,439 --> 00:14:21,068 (牛)閻魔(えんま)様の使いで 参上いたしました 225 00:14:21,151 --> 00:14:22,444 閻魔様? 226 00:14:22,528 --> 00:14:26,282 清盛入道を迎えに上がりました 227 00:14:26,365 --> 00:14:30,244 あの方は寺を焼き 大仏を焼き 228 00:14:30,327 --> 00:14:33,497 そのため今 炎に焼かれております 229 00:14:33,581 --> 00:14:38,836 このあとは無間(むげん)地獄の底へ 沈まれることでしょう 230 00:14:39,795 --> 00:14:42,047 ハッ ハッ… 231 00:14:42,715 --> 00:14:45,926 ああ… うう… 232 00:14:46,010 --> 00:14:48,262 何ということでしょう 233 00:14:53,142 --> 00:14:54,894 ううっ 234 00:14:54,977 --> 00:14:56,729 (女御たちの悲鳴) 235 00:14:56,812 --> 00:14:58,856 (清盛)ううっ (女御たち)ああ… 236 00:14:58,939 --> 00:15:00,983 (清盛)あつ… 237 00:15:01,066 --> 00:15:05,779 (清盛がうなされる声) 238 00:15:05,863 --> 00:15:07,948 (時子)清盛様 239 00:15:08,032 --> 00:15:11,785 もし言い残されることが ございましたら… 240 00:15:12,786 --> 00:15:18,042 わしの骨と灰は福原の浜に… 241 00:15:18,125 --> 00:15:18,959 はい 242 00:15:19,627 --> 00:15:24,131 現世の望みは残さず達した 243 00:15:24,214 --> 00:15:25,424 ただ… 244 00:15:25,507 --> 00:15:31,180 ただ… 頼朝の首を 見なかったことだけが心残り 245 00:15:32,473 --> 00:15:37,061 わしが死んだあとは お堂も塔もいらぬ 246 00:15:37,144 --> 00:15:39,063 供養もするな 247 00:15:39,146 --> 00:15:42,107 すぐに追っ手を送り… 248 00:15:42,775 --> 00:15:45,819 頼朝の首をはね 249 00:15:45,903 --> 00:15:49,490 わしの墓の前にかけろ 250 00:15:51,367 --> 00:15:54,662 ハァ… 徳子は… 251 00:15:55,245 --> 00:15:59,166 まだヘソを曲げておるのかの 252 00:16:14,890 --> 00:16:18,602 ハッ 燃えて… おる… 253 00:16:23,107 --> 00:16:25,776 (武士)大変だ (武士)清盛様のお屋敷が… 254 00:16:25,859 --> 00:16:28,112 (武士)何事だ (武士)何があったのだ 255 00:16:42,042 --> 00:16:43,669 (びわ)重盛(しげもり) 256 00:16:43,752 --> 00:16:47,673 清盛が… そなたのおとうが… 257 00:16:50,509 --> 00:16:52,594 どうすればよいのかの 258 00:16:52,678 --> 00:16:56,306 知っている者も知らぬ者も 259 00:16:56,390 --> 00:16:59,059 皆 亡くなっていく 260 00:16:59,143 --> 00:17:01,061 これからも きっと… 261 00:17:03,439 --> 00:17:07,860 びわに… 何かできることは あるのかの? 262 00:17:07,943 --> 00:17:10,070 (牛車が止まる音) 263 00:17:10,154 --> 00:17:12,990 (維盛)ハァ ハァ ハァ… 264 00:17:13,699 --> 00:17:16,326 ん? 維盛… 265 00:17:16,827 --> 00:17:19,580 ハァ… 教えよ 266 00:17:19,663 --> 00:17:22,708 父上も亡くなり おじいさまも亡くなった 267 00:17:22,791 --> 00:17:25,377 これから平家はどうなるのだ 268 00:17:25,461 --> 00:17:27,254 我らはどうなっていくのだ 269 00:17:27,337 --> 00:17:30,257 申せ 包み隠さず申してみろ 270 00:17:30,340 --> 00:17:31,717 兄上 271 00:17:32,509 --> 00:17:34,762 屋敷に戻って お休みください 272 00:17:34,845 --> 00:17:38,182 知りたいのだ 北も… 273 00:17:38,265 --> 00:17:42,644 東も西も 皆 源氏についたではないか 274 00:17:42,728 --> 00:17:46,356 父上はいない おじいさまもいない 275 00:17:46,940 --> 00:17:49,568 これから一体どうすれば… 276 00:17:51,153 --> 00:17:54,531 そんなふうだから 水鳥の羽音で逃げ出すのです 277 00:17:54,615 --> 00:17:55,824 ハッ 278 00:17:56,408 --> 00:17:59,995 先が見えたって きっと何もできませぬ 兄上は 279 00:18:00,662 --> 00:18:03,540 兄上は… お疲れだったのです 280 00:18:04,333 --> 00:18:10,088 福原まで おじいさまのご遺骨と ご遺灰を納めにいった帰りで… 281 00:18:10,172 --> 00:18:11,924 (維盛)ハァ… 282 00:18:13,717 --> 00:18:16,345 びわ すまなかった 283 00:18:24,978 --> 00:18:27,815 (資盛)びわ 出ていけ 284 00:18:27,898 --> 00:18:32,027 ずっと俺は お前の その目の色が気味悪かったんだよ 285 00:18:32,778 --> 00:18:35,114 お前が弾く琵琶の音も嫌いだった 286 00:18:35,197 --> 00:18:37,282 兄上 なぜ そのような… 287 00:18:37,366 --> 00:18:41,119 (資盛)父上が亡くなられたときに 追い出しとけばよかったんだ 288 00:18:41,203 --> 00:18:45,582 ここには もうとっくに お前の居場所はないんだからな 289 00:18:45,666 --> 00:18:47,584 (びわ)これ (猫)ニャア… 290 00:18:48,669 --> 00:18:49,586 (資盛)いいか 291 00:18:50,295 --> 00:18:52,506 春になる前には出ていけよ 292 00:18:52,589 --> 00:18:54,049 (清経)兄上 293 00:18:57,511 --> 00:18:59,513 (清経)びわ殿… (びわ)分かっておる 294 00:19:00,639 --> 00:19:04,226 資盛のことは ようよう分かっておる 295 00:19:24,580 --> 00:19:28,333 (後白河法皇)ようよう幽閉が解かれ 戻ってこられたわ 296 00:19:28,417 --> 00:19:32,671 (徳子)ご不自由をおかけして 申し訳ございませんでした 297 00:19:33,380 --> 00:19:38,260 フゥ… そう 清盛に 頭を下げさせたかったの 298 00:19:38,343 --> 00:19:41,430 だが… 無間地獄に落ちようとも 299 00:19:41,513 --> 00:19:44,474 はい上がるために あがいていそうだの 300 00:19:44,558 --> 00:19:45,976 フッ 301 00:19:46,518 --> 00:19:49,688 (後白河)わしの後宮に 御子姫君(みこのひめぎみ)が入ったぞ 302 00:19:50,272 --> 00:19:53,734 母は違うが そなたの妹に当たるの 303 00:19:53,817 --> 00:19:56,695 厳島(いつくしま)の巫女(みこ)だとか 304 00:19:56,778 --> 00:20:00,866 美しい娘御だが おとなしいばかりで つまらぬ 305 00:20:00,949 --> 00:20:05,078 そなたであれば よき話し相手になったものの 306 00:20:05,162 --> 00:20:08,290 これよりも折を見ては お訪ねします 307 00:20:08,373 --> 00:20:12,044 お許しいただければ 御子姫君のもとへも 308 00:20:12,127 --> 00:20:13,837 ほう そうか 309 00:20:13,921 --> 00:20:16,465 そなたの代わりに望みもせぬのに 310 00:20:16,548 --> 00:20:19,760 こんな じじいに嫁ぐことに なったのだからの 311 00:20:21,386 --> 00:20:24,723 望まぬ運命が不幸とは限りませぬ 312 00:20:25,307 --> 00:20:26,183 ん? 313 00:20:26,266 --> 00:20:30,646 望みすぎて不幸になった者たちを 多く見てまいりました 314 00:20:30,729 --> 00:20:34,149 得たものの代わりに 何を失ったかも分からず 315 00:20:34,232 --> 00:20:36,610 ずっと欲に振り回され… 316 00:20:37,653 --> 00:20:42,115 わたくしは泥の中でも 咲く花になりとうございます 317 00:20:43,700 --> 00:20:47,496 女人 五つの障(さわ)りあり 318 00:20:48,789 --> 00:20:52,292 無垢の浄土は疎けれど 319 00:20:53,502 --> 00:20:59,049 蓮華(れんげ)し濁りに開くれば 320 00:20:59,132 --> 00:21:04,012 龍女(りゅうにょ)も仏になりにけり 321 00:21:14,606 --> 00:21:17,526 しかしの そなたは もう⸺ 322 00:21:17,609 --> 00:21:21,822 無間の泥の中に 引きずり込まれておるのだ 323 00:21:25,993 --> 00:21:30,998 ♪~ 324 00:22:49,367 --> 00:22:54,289 ~♪