1 00:00:04,004 --> 00:00:08,175 <ルトルバーグ伯爵家 王都別邸 通称 幽霊屋敷。 2 00:00:08,175 --> 00:00:13,514 錆びついた門 ひび割れた石畳 手入れをされていない木々。 3 00:00:13,514 --> 00:00:16,183 まさしく幽霊屋敷の名に違わぬ➨ 4 00:00:16,183 --> 00:00:21,188 ボロ屋敷… だった二週間前までは> 5 00:00:21,188 --> 00:00:24,691 (ベアトリス)これが ルシアナの屋敷? (ミリアリア)どういうことでしょう? 6 00:00:26,693 --> 00:00:29,696 (ルシアナ)ベアトリス ミリアリア。 7 00:00:29,696 --> 00:00:31,698 (ベアトリス)ルシアナ!? (ミリアリア)ルシアナさん!? 8 00:00:31,698 --> 00:00:34,535 (ルシアナ)ようこそ我が家へ お越しくださいました。 9 00:00:34,535 --> 00:00:37,871 今日は 来てくれて とても嬉しいわ。 10 00:00:37,871 --> 00:00:39,873 うふっ。 11 00:00:39,873 --> 00:00:42,876 (ルシアナ)メロディ。 私達はテラスへ行きますね。 12 00:00:42,876 --> 00:00:47,047 お茶の用意をお願いします。 (メロディ)かしこまりました お嬢様。 13 00:00:47,047 --> 00:00:49,883 (2人)あぁ…。 14 00:00:49,883 --> 00:00:53,186 さあ 2人とも お茶をどうぞ。 15 00:00:55,222 --> 00:00:57,391 (2人)これは! 16 00:00:57,391 --> 00:00:59,393 《なんて芳醇ないい香り。 17 00:00:59,393 --> 00:01:02,829 華やかな春の香りが 優しく包み込んでくるわ》 18 00:01:02,829 --> 00:01:05,332 《味も とても美味しいですわ。 19 00:01:05,332 --> 00:01:08,168 喉を通り抜ける爽やかな口当たり。 20 00:01:08,168 --> 00:01:11,672 深いけれど渋さを感じさせない まろやかな味》 21 00:01:11,672 --> 00:01:15,676 (ミリアリア)でも こんないい茶葉を 使って大丈夫ですか? 22 00:01:15,676 --> 00:01:18,011 ふふふ。 安心なさって。 23 00:01:18,011 --> 00:01:20,847 これは いつも お出ししている紅茶ですもの。 24 00:01:20,847 --> 00:01:22,849 (2人)えぇっ!? 25 00:01:22,849 --> 00:01:26,019 低品質な茶葉でも 淹れ方次第で変わるわよ。 26 00:01:26,019 --> 00:01:29,523 そうよね メロディ。 はい お嬢様。 27 00:01:29,523 --> 00:01:32,693 (ベアトリス)そういえば メイドも変わってるじゃない? 28 00:01:32,693 --> 00:01:36,363 本当に どういう事なのですか? ルシアナさん。 29 00:01:36,363 --> 00:01:39,533 たった二週間で 何もかも見違えちゃって。 30 00:01:39,533 --> 00:01:41,702 いい加減 説明してちょうだい! 31 00:01:41,702 --> 00:01:43,870 (ルシアナ)ふふふ。 こればかりは秘密よ。 32 00:01:43,870 --> 00:01:45,872 (ミリアリア)意地悪なんだから! 33 00:01:45,872 --> 00:01:47,874 (ベアトリス)でも そろそろ その話し方は➨ 34 00:01:47,874 --> 00:01:49,876 どうにかならない? 35 00:01:49,876 --> 00:01:52,079 (ミリアリア)ルシアナさんらしく ありませんわ。 36 00:01:54,548 --> 00:01:57,384 はぁ…。 (2人)うん? 37 00:01:57,384 --> 00:02:00,053 結構 お嬢様って感じが 出てたでしょ? 38 00:02:00,053 --> 00:02:02,155 私 頑張ったんだからね! 39 00:02:02,155 --> 00:02:04,157 出てた出てた。 40 00:02:04,157 --> 00:02:06,994 私は いつものルシアナさんが好きですよ。 41 00:02:06,994 --> 00:02:09,296 (ルシアナ)そう思う? ありがとう! 42 00:02:11,999 --> 00:02:14,501 (ミリアリア)それでは また。 (ベアトリス)ごきげんよう。 43 00:02:24,011 --> 00:02:26,013 ありがとう! メロディ! 44 00:02:26,013 --> 00:02:28,015 きゃあ~! 45 00:02:28,015 --> 00:02:30,851 お嬢様 メイドに抱きついてはいけません! 46 00:02:30,851 --> 00:02:32,853 だって嬉しいんだもん! 47 00:02:32,853 --> 00:02:35,689 お茶会が成功したのは メロディのおかげだよ! 48 00:02:35,689 --> 00:02:38,358 分かりましたから離れて下さい! 49 00:02:38,358 --> 00:02:41,194 ふふふ よいではないか よいではないか。 50 00:02:41,194 --> 00:02:44,865 どこで そんな言葉覚えてきたんですか!? 51 00:02:44,865 --> 00:02:49,202 これはもう 淑女教育のやり直しですね。 52 00:02:49,202 --> 00:02:52,205 ごめんなさい! それだけは勘弁して! 53 00:02:54,374 --> 00:02:58,211 それにしても メロディは どうして うちで働く気になったの? 54 00:02:58,211 --> 00:03:00,881 このお屋敷では 使用人は1人なので➨ 55 00:03:00,881 --> 00:03:04,317 全ての仕事を 任せて頂けるからです。 56 00:03:04,317 --> 00:03:08,321 すべて? メイドには 様々な仕事がありますから➨ 57 00:03:08,321 --> 00:03:10,991 王城などでは 分担されているんです。 58 00:03:10,991 --> 00:03:15,162 でも こちらなら あらゆる仕事は私のもの。 59 00:03:15,162 --> 00:03:17,164 こんな素敵な話は そうありません! 60 00:03:17,164 --> 00:03:19,166 素敵なのかしら? 61 00:03:19,166 --> 00:03:21,835 もちろんです! 大好きなメイドの仕事を➨ 62 00:03:21,835 --> 00:03:24,004 全部できるんですよ? 63 00:03:24,004 --> 00:03:30,343 メイドなら全ての業務を任される オールワークスメイド 一択です! 64 00:03:30,343 --> 00:03:34,181 《そう… 私 絶対 世界一 素敵なメイドに➨ 65 00:03:34,181 --> 00:03:37,084 なってみせるわ。 見ていて お母さん!》 66 00:05:20,153 --> 00:05:23,824 (セレスティ)お母さん あのきれいな人は だ~れ? 67 00:05:23,824 --> 00:05:29,496 (セレナ)きれいな人? ああ あれはメイドさんよ。 68 00:05:29,496 --> 00:05:32,999 <幼き日のメロディこと セレスティ・マクマーデンは➨ 69 00:05:32,999 --> 00:05:35,335 この日 心に決めた。 70 00:05:35,335 --> 00:05:37,671 メイドになると> 71 00:05:37,671 --> 00:05:40,173 (セレスティの鼻歌) 72 00:05:40,173 --> 00:05:42,842 (セレナ)最近のセレスティは ご機嫌ね。 73 00:05:42,842 --> 00:05:45,178 何か良い事でもあったのかしら? 74 00:05:45,178 --> 00:05:47,848 うん! でも秘密なの! 75 00:05:47,848 --> 00:05:50,350 その時が来たら教えてあげるね! 76 00:05:50,350 --> 00:05:52,519 あらあら。 77 00:05:52,519 --> 00:05:55,522 < この世界では 15歳で成人を迎える。 78 00:05:55,522 --> 00:05:57,858 セレスティは それまで こっそり➨ 79 00:05:57,858 --> 00:06:01,361 メイドの修行をして 母を驚かせようと思っていた> 80 00:06:01,361 --> 00:06:03,296 ゲホッ ゲホッ…。 81 00:06:03,296 --> 00:06:05,599 (セレナ)優しく照らせ ルーチェ。 82 00:06:08,635 --> 00:06:10,637 < だが…> 83 00:06:12,639 --> 00:06:15,542 お母さん… お母さん! 84 00:06:18,311 --> 00:06:22,649 (セレナ)「愛するセレスティ。 あなたを残して逝く私を➨ 85 00:06:22,649 --> 00:06:24,985 どうか許してちょうだい。 86 00:06:24,985 --> 00:06:26,987 もっと一緒にいたかった…。 87 00:06:26,987 --> 00:06:30,991 成人してメイドになった あなたを 祝福したかった。 88 00:06:30,991 --> 00:06:36,997 驚いた? セレスティの秘密なんて お母さんは お見通しだったわよ。 89 00:06:36,997 --> 00:06:41,001 実はね。 私も昔 メイドをしていたの。 90 00:06:41,001 --> 00:06:46,339 あなたの父親 クラウド・レギンバースは 当時の伯爵家の跡取り息子。 91 00:06:46,339 --> 00:06:49,676 きっともう 爵位を継いでいると思うわ。 92 00:06:49,676 --> 00:06:53,680 セレスティ あなたには 2つの選択肢があるの。 93 00:06:53,680 --> 00:06:57,684 ひとつは お父さんのもとへ向かい 伯爵令嬢となること。 94 00:06:57,684 --> 00:07:01,855 もうひとつは もちろんメイドを目指すこと。 95 00:07:01,855 --> 00:07:04,624 私は あなたの意思を尊重します。 96 00:07:04,624 --> 00:07:07,961 でも そうね。 どうせメイドを目指すなら➨ 97 00:07:07,961 --> 00:07:11,464 世界一 素敵なメイドになってちょうだい。 98 00:07:11,464 --> 00:07:15,802 愛してるわ セレスティ」。 99 00:07:15,802 --> 00:07:20,307 お母さん…私 メイドになる! 100 00:07:20,307 --> 00:07:24,644 私の為にも お母さんの為にも➨ 101 00:07:24,644 --> 00:07:27,647 世界一 素敵なメイドに なってみせる! 102 00:07:27,647 --> 00:07:32,485 ⚟自身のため 誰かのための大いなる誓い…。 103 00:07:32,485 --> 00:07:35,488 えっ? いま何か…。 104 00:07:35,488 --> 00:07:42,495 ⚟すべてが揃った… 聖なる乙女に白銀の祝福を。 105 00:07:45,498 --> 00:07:50,503 何してんだろ。 私には 魔法の才能なんてないのに…。 106 00:07:50,503 --> 00:07:53,006 子供の頃から何度試しても…。 107 00:07:55,008 --> 00:07:57,177 ⸨優しく照らせ⸩ 108 00:07:57,177 --> 00:08:00,013 ルーチェ。 109 00:08:00,013 --> 00:08:02,115 きゃっ! 110 00:08:04,617 --> 00:08:06,953 これは… 魔力? 111 00:08:06,953 --> 00:08:09,289 《どうして私に魔力が…。 112 00:08:09,289 --> 00:08:13,126 し しかも何だか お母さんより強いような…。 113 00:08:13,126 --> 00:08:16,463 これって もし暴走したらまずいんじゃ…。 114 00:08:16,463 --> 00:08:18,798 こんな魔力…》 115 00:08:18,798 --> 00:08:21,634 危ないから しまっとこ。 116 00:08:21,634 --> 00:08:23,803 <セレスティは知らない。 117 00:08:23,803 --> 00:08:26,639 自身の魔力が 王国十指の魔法使いも➨ 118 00:08:26,639 --> 00:08:29,142 比ではない強さであることを> 119 00:08:29,142 --> 00:08:32,145 そうだ! もしかして➨ 120 00:08:32,145 --> 00:08:36,649 火魔法と 風魔法を組み合わせたら…。 121 00:08:36,649 --> 00:08:38,818 すごい! 122 00:08:38,818 --> 00:08:41,988 凄いわ これだけの力があれば…。 123 00:08:41,988 --> 00:08:44,491 <彼女が手に入れた力は➨ 124 00:08:44,491 --> 00:08:48,995 その気になれば世界に君臨する ことすら難しくないほどの力。 125 00:08:48,995 --> 00:08:52,832 場合によっては 彼女は この世界を…> 126 00:08:52,832 --> 00:08:54,834 この魔法を使えば➨ 127 00:08:54,834 --> 00:08:58,004 世界一 素敵なメイドも 夢じゃないわ! 128 00:08:58,004 --> 00:09:01,808 < こうしてセレスティは メイド魔法の開発を始めた> 129 00:09:03,777 --> 00:09:07,080 (セレスティ)我が身を黒く染めよ。 アンネリーレ。 130 00:09:12,452 --> 00:09:16,289 《よし これで 目と髪の色が変わった。 131 00:09:16,289 --> 00:09:20,293 お母さんの手紙にあった お父さん… クラウド・レギンバース伯爵が➨ 132 00:09:20,293 --> 00:09:22,462 私を引き取るなんて 言い出したら➨ 133 00:09:22,462 --> 00:09:25,298 メイドに なれなくなってしまうものね。 134 00:09:25,298 --> 00:09:29,302 今更お母さんを捜してるとも 思えないけど》 135 00:09:29,302 --> 00:09:35,642 それで レギンバース伯爵家の騎士様が こんな小さな町になぜ? 136 00:09:35,642 --> 00:09:38,812 (レクティアス)ある人物を捜している。 137 00:09:38,812 --> 00:09:41,815 セレナ? (レクティアス)知っているのか? 138 00:09:41,815 --> 00:09:44,150 は はあ…ですが➨ 139 00:09:44,150 --> 00:09:48,655 セレナは死にました。 もう半年ほどになりますか…。 140 00:09:48,655 --> 00:09:53,493 娘がいたのですが 母を失った 悲しみを癒やしたいと➨ 141 00:09:53,493 --> 00:09:55,495 2日前 隣国へ…。 142 00:09:55,495 --> 00:09:58,832 娘? セレナ様は ご結婚されていたのか? 143 00:09:58,832 --> 00:10:02,502 いいえ。 年は? 容姿は? 144 00:10:02,502 --> 00:10:05,171 今年で15歳になります。 145 00:10:05,171 --> 00:10:07,674 母親ゆずりの瑠璃色の瞳と➨ 146 00:10:07,674 --> 00:10:10,844 珍しい銀の髪が美しい少女です。 147 00:10:10,844 --> 00:10:13,546 銀の髪! 148 00:10:16,850 --> 00:10:19,018 《2日前 隣国へ発ったなら➨ 149 00:10:19,018 --> 00:10:21,855 このトレンディバレスに 着いている頃だが》 150 00:10:21,855 --> 00:10:24,858 ⸨銀の髪の女の子? さあねぇ…。 151 00:10:24,858 --> 00:10:28,561 そんな珍しい髪の子なら 覚えてると思うがなぁ⸩ 152 00:10:30,530 --> 00:10:36,703 《閣下と同じ銀の髪… おそらく間違いないというのに》 153 00:10:36,703 --> 00:10:38,705 んっ…。 154 00:10:42,709 --> 00:10:45,211 どうした。 迷子か? お嬢さ…。 155 00:10:45,211 --> 00:10:47,714 あっ。 んっ…。 156 00:10:47,714 --> 00:10:52,385 あ あの 王都行きの定期便の 乗り場が分からなくて…。 157 00:10:52,385 --> 00:10:54,721 あ ああ。 それなら向こうだ。 158 00:10:54,721 --> 00:10:56,723 (セレスティ)あっ 本当だ! 159 00:10:56,723 --> 00:10:59,425 ありがとうございます。 助かりました! 160 00:11:02,495 --> 00:11:05,798 いかん! 銀の髪の少女! 161 00:11:09,002 --> 00:11:13,506 (セレスティ)へぇ~ 7年前に この定期馬車便を考えたのは➨ 162 00:11:13,506 --> 00:11:15,842 王太子様なんですか。 163 00:11:15,842 --> 00:11:18,678 (マクスウェル)事業が始まったのは 7年前だけど➨ 164 00:11:18,678 --> 00:11:21,181 提案したのは更に1年前らしいよ。 165 00:11:21,181 --> 00:11:26,352 王太子様は 確か私と同い年だから 当時6歳! 166 00:11:26,352 --> 00:11:29,355 世の中には 凄い人がいるものですねえ。 167 00:11:29,355 --> 00:11:32,192 ふふふふ そうだね。 168 00:11:32,192 --> 00:11:36,362 おもしろい話をしてくれて ありがとうございます マックスさん! 169 00:11:36,362 --> 00:11:39,365 俺も楽しいよ。 ええと…。 170 00:11:39,365 --> 00:11:42,202 メロディです。 メロディ・ウェーブ。 171 00:11:42,202 --> 00:11:44,203 《見た目も変えて➨ 172 00:11:44,203 --> 00:11:47,874 町の人にも本当の行き先や目的は 言わなかったけど➨ 173 00:11:47,874 --> 00:11:51,544 名前も変えないと バレるかもしれないからね》 174 00:11:51,544 --> 00:11:54,714 それにしても この馬車の御者は凄いな。 175 00:11:54,714 --> 00:11:57,383 何がですか? まったく揺れないだろ? 176 00:11:57,383 --> 00:12:01,221 この辺りの街道は まだ整備が不十分なのに。 177 00:12:01,221 --> 00:12:04,324 《あっ そろそろ掛け直さないと》 178 00:12:04,324 --> 00:12:06,326 (車輪が揺れる音) 179 00:12:06,326 --> 00:12:09,128 揺れることなかれ オリゾンターレ。 180 00:12:16,502 --> 00:12:20,006 メイドになりたいなら 商業ギルドへ行くといい。 181 00:12:20,006 --> 00:12:24,344 紹介状を必要としない中流階層の 使用人も斡旋しているから。 182 00:12:24,344 --> 00:12:27,013 ありがとうございます マックスさん! 183 00:12:27,013 --> 00:12:29,015 それじゃあ また! 184 00:12:31,017 --> 00:12:33,686 (マクスウェル)うちで雇えれば 良かったんだけどな。 185 00:12:33,686 --> 00:12:36,889 まあでも 父上が許さないか。 186 00:12:39,025 --> 00:12:44,530 (メロディ)う~ん 短期募集か 男性向けの求人ばっかり…。 187 00:12:44,530 --> 00:12:47,033 あっ これは女性向け。 188 00:12:47,033 --> 00:12:53,373 あれ でもこれ… ルトルバーグ伯爵家? 貴族のメイド募集? 189 00:12:53,373 --> 00:12:57,377 《貴族の使用人は 紹介状が必要なはずなのに?》 190 00:12:57,377 --> 00:13:01,381 えっと 定員は1名。 仕事内容は…。 191 00:13:01,381 --> 00:13:03,650 オールワークス!? 192 00:13:03,650 --> 00:13:05,818 <オールワークス それは➨ 193 00:13:05,818 --> 00:13:10,490 台所 洗濯 掃除 接客ほか その全てを兼任する職。 194 00:13:10,490 --> 00:13:14,327 メイドの中でも最も地位が低く 過酷な仕事である。 195 00:13:14,327 --> 00:13:17,997 使用人を多く雇う余裕のない 下級貴族や➨ 196 00:13:17,997 --> 00:13:21,334 平民の中流層に主に雇われる。 197 00:13:21,334 --> 00:13:24,504 伯爵家である ルトルバーグ家が求人しているなど➨ 198 00:13:24,504 --> 00:13:28,508 どう考えても地雷案件である。 だが…> 199 00:13:28,508 --> 00:13:31,177 これ… これよ! 200 00:13:31,177 --> 00:13:34,681 私がやりたかったのは この仕事だわ! 201 00:13:34,681 --> 00:13:36,849 (鳴き声) 202 00:13:36,849 --> 00:13:39,519 幽霊屋敷? 203 00:13:39,519 --> 00:13:42,188 なんて やりがいのある荒れっぷり! 204 00:13:42,188 --> 00:13:44,857 これは 是非とも雇ってもらわないと! 205 00:13:44,857 --> 00:13:47,527 えっと 裏口は…。 (門の開閉音) 206 00:13:47,527 --> 00:13:50,530 (ルシアナ)あら? 《えっ?》 207 00:13:50,530 --> 00:13:52,699 (ルシアナ)あなた 誰? 208 00:13:52,699 --> 00:13:56,369 《わっ! すっごい美少女! 209 00:13:56,369 --> 00:14:01,541 なのに もったいない! 肌も髪もボロボロ ドレスも古い! 210 00:14:01,541 --> 00:14:03,643 じゃなかった》 211 00:14:03,643 --> 00:14:06,646 商業ギルドの メイド募集を見てまいりました。 212 00:14:06,646 --> 00:14:08,815 メロディ・ウェーブと申します。 213 00:14:08,815 --> 00:14:11,818 えぇ!? もう来てくれたの!? ありがとう! 214 00:14:11,818 --> 00:14:14,654 えっ? 早速食堂で話しましょう! 215 00:14:14,654 --> 00:14:16,656 待ってください! 216 00:14:16,656 --> 00:14:19,158 使用人が 正面玄関から入るなんて! 217 00:14:19,158 --> 00:14:21,661 私は裏口から…。 (ルシアナ)いいわよ そんなの。 218 00:14:21,661 --> 00:14:25,331 私がいいって言ってるんだから 問題ないわ! 219 00:14:25,331 --> 00:14:27,834 えっ? 私が? 220 00:14:27,834 --> 00:14:30,837 私の名前は ルシアナ・ルトルバーグ。 221 00:14:30,837 --> 00:14:33,506 これでも れっきとした伯爵令嬢よ。 222 00:14:33,506 --> 00:14:35,508 《ええぇ!》 223 00:14:35,508 --> 00:14:38,010 (鳴き声) 224 00:14:38,010 --> 00:14:40,847 (ルシアナ)座って 今お茶を淹れるから。 225 00:14:40,847 --> 00:14:44,517 (メロディ)そんな。 お嬢様に お茶を淹れていただくなんて。 226 00:14:44,517 --> 00:14:48,521 大丈夫よ。 領地でも 自分で淹れてたんだから。 227 00:14:48,521 --> 00:14:50,523 (メロディ)ちょっと待ったぁ! 228 00:14:50,523 --> 00:14:53,359 やっぱり私が! でも せっかくだから…。 229 00:14:53,359 --> 00:14:57,530 とびっきり美味しい紅茶を ご用意いたしますから! 230 00:14:57,530 --> 00:15:00,700 そう… じゃあ お願いしてもいい? 231 00:15:00,700 --> 00:15:03,102 お任せください! 232 00:15:05,471 --> 00:15:07,974 水は いつ汲んだものですか? 233 00:15:07,974 --> 00:15:10,977 昨日 井戸で汲んだ水だから まだ使えるわよ。 234 00:15:10,977 --> 00:15:12,979 (メロディ)う~ん 残念ながら➨ 235 00:15:12,979 --> 00:15:15,648 紅茶を淹れるには向いてませんね。 236 00:15:15,648 --> 00:15:19,152 清き水よ 今ここに。 んっ? 237 00:15:19,152 --> 00:15:21,821 ファーレディアッカ。 238 00:15:21,821 --> 00:15:24,991 すごい! あなた魔法が使えるの? 239 00:15:24,991 --> 00:15:28,494 すぐに淹れますので 少々お待ちください。 240 00:15:30,997 --> 00:15:34,100 さあ 完成です。 241 00:15:39,839 --> 00:15:43,176 おいしい! 香りも味も全然違う! 242 00:15:43,176 --> 00:15:46,679 淹れ方一つで こんなに変わるなんて! 243 00:15:46,679 --> 00:15:49,015 (ルシアナ)メロディだったよね。 244 00:15:49,015 --> 00:15:52,351 うちで働いてくれるってことで いいのかな。 245 00:15:52,351 --> 00:15:56,689 はい! よかった! これからよろしくね! 246 00:15:56,689 --> 00:16:00,526 では早速 ハウスキーパーと相談したいのですが…。 247 00:16:00,526 --> 00:16:04,130 えっ え… 聞いてないの? 248 00:16:04,130 --> 00:16:06,299 何をですか? 249 00:16:06,299 --> 00:16:09,635 あのね メロディ… あなた1人なの。 250 00:16:09,635 --> 00:16:12,471 うん? 《ルシアナ:あっ これ…》 251 00:16:12,471 --> 00:16:17,977 あなた1人だけなのよ。 うちで働くメイドというか 使用人が。 252 00:16:17,977 --> 00:16:20,313 わたし… ひとり? 253 00:16:20,313 --> 00:16:22,815 《ルシアナ:断られるやつ なんだろうな》 254 00:16:25,318 --> 00:16:31,657 <テオラス王国の王都にある教育機関 王立パルテシア高等教育学園。 255 00:16:31,657 --> 00:16:35,828 王国の貴族子女は 15歳を迎える年から3年間➨ 256 00:16:35,828 --> 00:16:38,998 この学園に 通うことが義務付けられている。 257 00:16:38,998 --> 00:16:42,168 ルシアナ・ルトルバーグも 入学が決まっており➨ 258 00:16:42,168 --> 00:16:45,671 本来は両親とともに 王都に向かう予定だった。 259 00:16:45,671 --> 00:16:50,676 だが トラブルのためルシアナだけが 先行する形になったのだ。 260 00:16:50,676 --> 00:16:52,678 そして…> 261 00:16:54,680 --> 00:16:56,682 ⸨なにこれ…。 262 00:16:56,682 --> 00:16:59,352 <使用人は お婆さんメイドが1人。 263 00:16:59,352 --> 00:17:01,554 だが 彼女も…> 264 00:17:03,623 --> 00:17:05,625 《だ 大丈夫よ。 265 00:17:05,625 --> 00:17:09,128 領地でだって自分のことは 自分でしてきたわ!》 266 00:17:17,970 --> 00:17:20,973 ケホッ ケホッ…。 267 00:17:20,973 --> 00:17:26,479 《大丈夫 大丈夫 がんばれるよ》 268 00:17:26,479 --> 00:17:29,815 (カラスの鳴き声) 269 00:17:29,815 --> 00:17:32,318 《買い出しに行かないと…》⸩ 270 00:17:32,318 --> 00:17:34,520 (鳴き声) 271 00:17:37,323 --> 00:17:41,827 あの お嬢様。 私が全ての業務を するんですよね? 272 00:17:41,827 --> 00:17:43,996 オールワークスですもの。 273 00:17:43,996 --> 00:17:47,333 全部なんて無理よ! やれる範囲で十分だわ。 274 00:17:47,333 --> 00:17:53,005 私も できるだけ手伝うわ。 だから… だからっ! 275 00:17:53,005 --> 00:17:56,008 わあ! ありがとうございます お嬢様! 276 00:17:56,008 --> 00:17:58,511 私 今日から頑張ります! 277 00:18:00,680 --> 00:18:02,615 んっ んっ んっ? 278 00:18:02,615 --> 00:18:04,617 ほ 本当にいいの? 279 00:18:04,617 --> 00:18:07,119 1人でうちを切り盛りしなくちゃ いけないんだよ? 280 00:18:07,119 --> 00:18:09,622 もちろんです! まさか全ての業務を➨ 281 00:18:09,622 --> 00:18:12,625 任せて頂けるなんて 感激です! 282 00:18:12,625 --> 00:18:15,294 《どうして こんなに嬉しそうなの?》 283 00:18:15,294 --> 00:18:17,997 私って なんて幸せ者なの? 284 00:18:19,966 --> 00:18:25,304 では 仕事をはじめ… る前に 制服の作成ですね! 285 00:18:25,304 --> 00:18:28,808 制服? 今から? すぐにできますよ。 286 00:18:28,808 --> 00:18:32,812 我が身にふさわしき衣を。リクチトゥーラ。 287 00:18:37,316 --> 00:18:39,318 えっ? 288 00:18:41,320 --> 00:18:44,490 《凄い… 肝心なところは バッチリ見えないわ!》 289 00:18:44,490 --> 00:18:46,826 <ツッコミ不在> 290 00:18:46,826 --> 00:18:49,662 《メロディ:私 なれるのね メイドに。 291 00:18:49,662 --> 00:18:52,999 ずっと夢見ていた… 生まれ変わる前から➨ 292 00:18:52,999 --> 00:18:56,836 ずっと憧れていた本物のメイドに!》 293 00:18:56,836 --> 00:18:59,672 <今の言葉を お聞き頂けただろうか。 294 00:18:59,672 --> 00:19:02,608 生まれ変わる前からずっと…。 295 00:19:02,608 --> 00:19:06,112 そう 彼女… メロディ・ウェーブは➨ 296 00:19:06,112 --> 00:19:09,949 あるきっかけで この世界に やって来た転生者であった。 297 00:19:09,949 --> 00:19:14,120 転生する前の名前は 瑞波律子。 298 00:19:14,120 --> 00:19:16,288 世界は モノクロでできている。 299 00:19:16,288 --> 00:19:18,791 彼女は本気で そう思っていた。 300 00:19:18,791 --> 00:19:22,461 幼い頃から天才で 6歳であらゆる分野で➨ 301 00:19:22,461 --> 00:19:25,131 大人顔負けの 知識を手にした結果➨ 302 00:19:25,131 --> 00:19:29,468 世界の全てに対し 興味を失ってしまったのだ。 303 00:19:29,468 --> 00:19:31,637 だが…> 304 00:19:31,637 --> 00:19:35,808 いらっしゃいませ。 ようこそお越しくださいました。 305 00:19:35,808 --> 00:19:40,646 (律子)あっ… お母さん あのきれいなひとは だ~れ? 306 00:19:40,646 --> 00:19:44,150 綺麗な人? ああ あれはメイドさんよ。 307 00:19:44,150 --> 00:19:47,653 律子の知識は 学問に偏っているからな。 308 00:19:47,653 --> 00:19:51,490 彼女は 主催が英国から わざわざ呼び寄せたらしい。 309 00:19:51,490 --> 00:19:53,993 接客担当のパーラーメイドだ。 310 00:19:55,995 --> 00:19:58,831 あっ…。 311 00:19:58,831 --> 00:20:01,333 わぁ~。 312 00:20:01,333 --> 00:20:04,003 とってもきれい…。 313 00:20:04,003 --> 00:20:11,310 メイド… 女性の家事使用人。 特にメイドが栄えたのは19世紀後半。 314 00:20:13,345 --> 00:20:15,681 お帰りなさいませ 旦那様。 315 00:20:15,681 --> 00:20:18,350 なんて可愛らしいメイドさんだ! 316 00:20:18,350 --> 00:20:22,521 最近の律子は 楽しそうでよかった。 本当に。 317 00:20:22,521 --> 00:20:26,358 ここのところ何をしても つまらなそうだったのに。 318 00:20:26,358 --> 00:20:30,196 <失いかけた 世界の色彩が取り戻されていく。 319 00:20:30,196 --> 00:20:35,034 そして 律子は立派な メイドジャンキーに成長した。 320 00:20:35,034 --> 00:20:37,536 類いまれな学習能力で➨ 321 00:20:37,536 --> 00:20:42,541 メイドに関わるあらゆる技能を 身につけ 学問を学び…> 322 00:20:42,541 --> 00:20:45,878 お父さん お母さん 私 メイドになるために➨ 323 00:20:45,878 --> 00:20:48,047 英国に留学します! 324 00:20:48,047 --> 00:20:51,550 おお そうか。 ビッグベンが観光名所らしいぞ。 325 00:20:51,550 --> 00:20:54,553 律子ちゃんは 本当にメイドが好きねえ。 326 00:20:54,553 --> 00:20:56,555 楽しんできてね。 327 00:20:56,555 --> 00:20:58,657 < そして…> 328 00:21:03,329 --> 00:21:06,499 《セレスティ:メイド… 飛行機…》 329 00:21:06,499 --> 00:21:09,835 < あの時 思い出したのであった。 330 00:21:09,835 --> 00:21:13,506 生まれ変わる前の自分のことを。 331 00:21:13,506 --> 00:21:16,008 ちなみに…> 332 00:21:21,514 --> 00:21:25,851 お待たせいたしました。 いかがでしょうか お嬢様。 333 00:21:25,851 --> 00:21:30,356 うん 可愛いと思うわ。 ありがとうございます。 334 00:21:30,356 --> 00:21:33,025 やはり メイドといえば これですよね。 335 00:21:33,025 --> 00:21:35,694 魔法って こんなこともできるのね。 336 00:21:35,694 --> 00:21:38,030 なかなか いい制服ができました。 337 00:21:38,030 --> 00:21:42,201 守りの魔法もあるので その辺の鎧より丈夫ですよ。 338 00:21:42,201 --> 00:21:45,371 メロディって変な冗談言うのね。 339 00:21:45,371 --> 00:21:47,873 <冗談だったら よかったのにね> 340 00:21:47,873 --> 00:21:50,209 (カラスの鳴き声) 341 00:21:50,209 --> 00:21:53,712 最優先は やっぱり屋敷のメンテナンスね。 342 00:21:53,712 --> 00:21:56,715 さすがに 1人で整えるのは難しいかも…。 343 00:21:56,715 --> 00:21:58,717 だったら➨ 344 00:21:58,717 --> 00:22:01,720 我が身はひとつにあらず。 アルテレーゴ! 345 00:22:06,992 --> 00:22:09,995 みんな はじめるわよ! (分身たち)はいっ!