1 00:00:02,202 --> 00:01:28,588 ♬~ 2 00:01:32,626 --> 00:01:39,333 広大な宇宙空間は さまざまな次元に囲まれて存在している。 3 00:01:39,333 --> 00:01:43,737 だが 残念ながら我々人間は➡ 4 00:01:43,737 --> 00:01:49,242 生活空間としての次元にしか 関わることはできない。 5 00:01:49,242 --> 00:01:53,814 しかし ごくまれではあるが➡ 6 00:01:53,814 --> 00:02:00,053 異次元空間との接触 または遭遇がないではない。 7 00:02:00,053 --> 00:02:03,056 (雷鳴) 8 00:02:08,695 --> 00:02:19,506 (雷鳴) 9 00:02:19,506 --> 00:02:21,475 (木が倒れる音) 10 00:02:21,475 --> 00:02:31,885 (雷鳴) 11 00:02:31,885 --> 00:02:34,254 っ! うぅ…。 12 00:02:34,254 --> 00:02:48,402 (雨音) 13 00:02:48,402 --> 00:02:54,207 (雨音と雷鳴) 14 00:02:58,111 --> 00:03:08,221 (読経) 15 00:03:08,221 --> 00:03:19,700 ⚟(読経) 16 00:03:19,700 --> 00:03:22,636 っ! さっ 左近介さま…! 17 00:03:22,636 --> 00:03:25,505 ⚟(読経) 18 00:03:25,505 --> 00:03:28,408 (雷鳴) 19 00:03:28,408 --> 00:03:36,049 (読経) 20 00:03:36,049 --> 00:03:38,585 (扉が開く音) 21 00:03:38,585 --> 00:03:41,822 (読経) 22 00:03:41,822 --> 00:03:44,925 八百比丘尼! (読経) 23 00:03:46,660 --> 00:03:49,162 おまえを殺しに来た。 24 00:03:49,162 --> 00:03:51,164 存じております…。 25 00:03:51,164 --> 00:03:53,733 なに? 26 00:03:53,733 --> 00:03:57,037 お待ちしておりました。 27 00:03:57,037 --> 00:04:00,440 そなたには死んでもらわねばならぬ。 28 00:04:00,440 --> 00:04:03,844 はい… 覚悟はできております。 29 00:04:06,680 --> 00:04:08,915 さ 左近介さま…。 30 00:04:08,915 --> 00:04:27,467 ♬~ 31 00:04:27,467 --> 00:04:30,170 ふっふっ… うぅぅ…。 32 00:04:36,810 --> 00:04:39,613 何をためらっておられます。 33 00:04:39,613 --> 00:04:42,382 ご心配には及びません。 34 00:04:42,382 --> 00:04:46,153 私はあなたさまに斬られれば 死にまする。 35 00:04:46,153 --> 00:04:51,391 …しかし そなたは 八百年も生きているというではないか。 36 00:04:51,391 --> 00:04:56,163 私が死んでも 他の人間が私となり➡ 37 00:04:56,163 --> 00:04:59,599 永劫に 生き続けることになるのでございます。 38 00:04:59,599 --> 00:05:03,970 な… 何をたわけたことを! 39 00:05:03,970 --> 00:05:07,674 (雷鳴) 40 00:05:14,915 --> 00:05:19,653 (家老)お屋形さま 八百比丘尼が参りましたでございます。 41 00:05:19,653 --> 00:05:22,656 おお… 八百比丘尼か。 42 00:05:22,656 --> 00:05:25,158 待っておったぞ… 近う。 43 00:05:27,027 --> 00:05:29,429 (家正)かまわぬ 近う寄れ。 44 00:05:31,765 --> 00:05:34,568 (家正)苦しゅうない 面を上げい。 45 00:05:36,570 --> 00:05:39,773 よっこらしょ… おぉ…。 46 00:05:41,374 --> 00:05:46,680 比丘尼 何でもそちは 八百歳にもなるそうだな? 47 00:05:46,680 --> 00:05:49,482 それは噂にすぎませぬ。 48 00:05:49,482 --> 00:05:52,018 そうか まあよい。 49 00:05:52,018 --> 00:05:57,390 そちが霊験をもって いかなる病をも 治すというのは まことか? 50 00:05:57,390 --> 00:05:59,359 まことでございます。 51 00:05:59,359 --> 00:06:02,462 フム… 近う寄れ。 52 00:06:08,568 --> 00:06:12,072 わしの鼻の病を見立ててみろ。 53 00:06:17,944 --> 00:06:20,480 ウム… どうじゃ? 54 00:06:20,480 --> 00:06:24,651 はい これは悪性の腫れ物にございます。➡ 55 00:06:24,651 --> 00:06:28,255 このままでは やがてお命にも関わります。 56 00:06:28,255 --> 00:06:31,691 して… 治せるか? 57 00:06:31,691 --> 00:06:36,463 はい。 少々の猶予を頂けますれば 必ず…。 58 00:06:36,463 --> 00:06:39,666 よーし よく言った比丘尼! 59 00:06:39,666 --> 00:06:44,871 病を治した暁には どんな恩賞でも与えるぞ。 60 00:06:44,871 --> 00:06:48,375 わしは天下を取るまで 死ぬわけにはいかんのだ。 61 00:06:48,375 --> 00:06:50,977 頼んだぞ 比丘尼。 62 00:06:50,977 --> 00:06:54,281 <この比丘尼… 斬らねばならぬ…> 63 00:06:55,882 --> 00:06:57,884 ヒィーッ! 64 00:07:03,189 --> 00:07:06,293 さ… 左近介さまぁ~! 65 00:07:08,995 --> 00:07:11,865 可平…。 はい…。 66 00:07:11,865 --> 00:07:14,200 庫裡に湯殿があったな。 67 00:07:14,200 --> 00:07:16,136 あ はい…。 68 00:07:16,136 --> 00:07:19,039 沸かしてくれ。 体を流す。 69 00:07:19,039 --> 00:07:21,041 はい! 70 00:07:32,352 --> 00:07:36,256 左近介さま 湯の用意ができましたでございます。 71 00:07:48,601 --> 00:07:50,637 ヒィィ…。 72 00:07:50,637 --> 00:07:52,772 ⚟可平…。 へぇ! 73 00:07:52,772 --> 00:07:55,408 ⚟背中を流せ。 へぇ! 74 00:07:55,408 --> 00:08:00,847 そちには もう十七、八年も こうして背中を流してもらっておるな。 75 00:08:00,847 --> 00:08:02,782 さようでございます。 76 00:08:02,782 --> 00:08:07,187 左近介さまがまだ ネンネの年からでございます。 77 00:08:07,187 --> 00:08:10,990 心を許して何でも話せるのは そちだけだ。 78 00:08:10,990 --> 00:08:13,827 もったいないお言葉にございます。 79 00:08:13,827 --> 00:08:18,031 可平 なぜ私が 比丘尼を斬ったかわかるか? 80 00:08:18,031 --> 00:08:22,869 いえ… 私めは 左近介さまが何をなされようと➡ 81 00:08:22,869 --> 00:08:25,171 お従い申すだけでございます。 82 00:08:25,171 --> 00:08:28,842 そちは ほんとに人の好い男だな。 83 00:08:28,842 --> 00:08:31,644 ぬぇええ! 立てい!! 84 00:08:31,644 --> 00:08:34,547 この程度の太刀が 受けられなくてどうする!! 85 00:08:34,547 --> 00:08:37,450 お屋形さま どうかお許しください! 86 00:08:37,450 --> 00:08:40,153 この子は まだ七つではございませんか! 87 00:08:40,153 --> 00:08:43,590 乱世で天下を取るには鍛えねばならん! 88 00:08:43,590 --> 00:08:45,892 七つも八つもあるか! 89 00:08:45,892 --> 00:08:47,894 この子は女子でございます! 90 00:08:47,894 --> 00:08:50,597 わしが男だと言ったら男なのだ! 91 00:08:50,597 --> 00:08:54,467 <そうして私は 男として育てられた…> 92 00:08:54,467 --> 00:08:57,871 いつ女子を産めと 貴様に頼んだ! 93 00:08:57,871 --> 00:09:00,607 左近介は 男の子なのだ! 94 00:09:00,607 --> 00:09:07,147 <その母も 戦の人質に送られて 見殺しにされてしまった。➡ 95 00:09:07,147 --> 00:09:12,552 私は 恋をしても 打ち明けることもできなかった…。➡ 96 00:09:12,552 --> 00:09:16,423 父には 死んでもらわなければならないのだ。➡ 97 00:09:16,423 --> 00:09:21,227 そうでなければ 私は女にはなれぬのだ…> 98 00:09:26,666 --> 00:09:29,569 可平 下山するぞ。 へぇ。 99 00:09:32,505 --> 00:09:35,775 可平 足元がまだぬれておる。 100 00:09:35,775 --> 00:09:38,478 気をつけろ。 へ へぇっ。 101 00:09:38,478 --> 00:09:41,448 さ 左近介さま こ ここは⁉ 102 00:09:41,448 --> 00:09:43,450 どうした 可平? 103 00:09:43,450 --> 00:09:45,685 元に戻っております! 104 00:09:45,685 --> 00:09:48,221 そんなバカな…。 105 00:09:48,221 --> 00:09:51,124 よし 別な道を行くぞ。 へぇ! 106 00:09:56,863 --> 00:09:59,566 左近介さま…。 107 00:09:59,566 --> 00:10:04,704 可平 どうやら私たちは もののけに閉じ込められたようだな。 108 00:10:04,704 --> 00:10:06,706 えぇっ⁉ 109 00:10:12,812 --> 00:10:16,783 もののけが何を考えておるか 確かめねばなるまい。 110 00:10:16,783 --> 00:10:18,918 左近介さま…。 111 00:10:18,918 --> 00:10:20,854 ん…。 ん? 112 00:10:20,854 --> 00:10:22,789 何事だ…。 113 00:10:22,789 --> 00:10:26,526 (村人たちの声) 114 00:10:26,526 --> 00:10:30,163 寺に向かって 大勢の者が登ってまいります! 115 00:10:30,163 --> 00:10:32,098 …なに? 116 00:10:32,098 --> 00:10:42,108 (村人たちの声) 117 00:10:44,511 --> 00:10:51,317 尼御前さま 今年も八か村の病人 けが人 年寄りなど引き連れてやって参りました。 118 00:10:51,317 --> 00:10:55,955 何とぞ いつもの功徳を お授けくださいませ。 119 00:10:55,955 --> 00:10:59,926 く 功徳? どうすればよいのだ…? 120 00:10:59,926 --> 00:11:04,264 えっ? あ あの 昨年も病人たちを…➡ 121 00:11:04,264 --> 00:11:08,134 あの霊験あらたかな 光る羽で…。 122 00:11:08,134 --> 00:11:10,136 光る羽? 123 00:11:10,136 --> 00:11:13,106 (小声で)光る羽だ 可平 探せ。 124 00:11:13,106 --> 00:11:15,875 へッ… 光る羽? 125 00:11:15,875 --> 00:11:19,379 <う~ん 光る羽ったって…➡ 126 00:11:19,379 --> 00:11:22,282 どこにあるかわかんないものを探すほど➡ 127 00:11:22,282 --> 00:11:24,617 やっかいなことは…> 128 00:11:24,617 --> 00:11:26,920 あった! 129 00:11:26,920 --> 00:11:35,261 ♬~ 130 00:11:35,261 --> 00:11:37,263 こ これだ! 131 00:11:38,965 --> 00:11:40,900 見事な羽だ…。 132 00:11:40,900 --> 00:11:45,505 それで いつものように 病人をなでていただけますれば…。 133 00:11:45,505 --> 00:11:47,507 こうか…? 134 00:11:55,181 --> 00:11:59,919 <こんな まじないのようなことをして 何になるというのだ> 135 00:11:59,919 --> 00:12:02,288 与作が起き上がったぞ! (どよめき) 136 00:12:02,288 --> 00:12:04,591 七年も寝たまんまだった与作が! 137 00:12:04,591 --> 00:12:06,526 なに⁉ 138 00:12:06,526 --> 00:12:08,995 ヨ… ヨサ…ク…。 139 00:12:08,995 --> 00:12:10,964 オスギばあが口をきいたぞ! 140 00:12:10,964 --> 00:12:13,566 ⚟見てくれ! うちの母ちゃんも治ったぞ! 141 00:12:13,566 --> 00:12:15,802 ⚟よかったねえ! 142 00:12:15,802 --> 00:12:18,404 (村人たちの喜ぶ声) 143 00:12:24,277 --> 00:12:29,782 この羽には 病気やけがを治す 不思議な力が宿っている。 144 00:12:29,782 --> 00:12:36,389 比丘尼は この羽の霊力で 父の病を治そうと思っていたのだろう…。 145 00:12:36,389 --> 00:12:38,825 だが あの非道な父のことだ。 146 00:12:38,825 --> 00:12:44,631 羽の霊力を知れば 比丘尼を殺して 羽を奪っていたに違いない。 147 00:12:44,631 --> 00:12:47,033 父は そうした男だ。 148 00:12:50,069 --> 00:12:53,539 たたたたたたっ! 大変です~っ!! 149 00:12:53,539 --> 00:12:56,009 何事だ! 150 00:12:56,009 --> 00:12:58,911 左近介さま! けけけ… 境内が! 151 00:12:58,911 --> 00:13:00,913 なに⁉ 152 00:13:02,782 --> 00:13:05,351 な 何だこれは! 153 00:13:05,351 --> 00:13:08,921 こ これは 父の紋章! 154 00:13:08,921 --> 00:13:13,926 しかし 父がこの紋章を使ったのは 応仁の頃のはず…。 155 00:13:15,595 --> 00:13:19,365 左近介さま 確かに こやつの持っている書状にも➡ 156 00:13:19,365 --> 00:13:21,601 応仁二年と書かれております! 157 00:13:21,601 --> 00:13:25,304 <応仁の乱では 父は大敗をして➡ 158 00:13:25,304 --> 00:13:28,508 軍勢を戦場に置き去りにしたと聞く…。➡ 159 00:13:28,508 --> 00:13:32,245 しかしそれは 三十年も昔のこと。➡ 160 00:13:32,245 --> 00:13:35,615 私が生まれる ずっと…> 161 00:13:35,615 --> 00:13:40,953 もののけめ! 妖術で時間のはざまに 私を閉じ込める気か! 162 00:13:40,953 --> 00:13:54,834 ♬~ 163 00:13:54,834 --> 00:13:58,504 さ 左近介さま! おぐしを! 164 00:13:58,504 --> 00:14:02,108 可平 どういうことか よくはわからぬが➡ 165 00:14:02,108 --> 00:14:08,881 私たちは三十年も昔に遡った時間の中に 閉じ込められてしまったようだ。 166 00:14:08,881 --> 00:14:11,884 この者たちが父の犠牲者たちならば➡ 167 00:14:11,884 --> 00:14:16,889 私は せめてもの償いに 尼の役を引き受けるつもりだ…。 168 00:14:18,558 --> 00:14:23,396 こうして左近介は 何年も何年も➡ 169 00:14:23,396 --> 00:14:29,969 寺に集まってくる病人やけが人を 光る羽で治し続けた。 170 00:14:29,969 --> 00:14:36,743 ♬~ 171 00:14:36,743 --> 00:14:39,145 誰です? そこにいるのは。 172 00:14:40,913 --> 00:14:43,416 どこか具合が悪いのですか? 173 00:14:43,416 --> 00:14:45,351 あッ…! 174 00:14:45,351 --> 00:14:49,021 (うめき声) 175 00:14:49,021 --> 00:14:53,393 とうとう姿を現したか もののけめ…。 176 00:14:53,393 --> 00:14:57,263 (うめき声) 177 00:14:57,263 --> 00:15:01,634 そなた… けがをしているのか? 178 00:15:01,634 --> 00:15:04,137 どれ 見せなさい。 179 00:15:10,343 --> 00:15:13,646 (声) 180 00:15:17,250 --> 00:15:21,454 たたたたたっ! 大変です! 左近介さま! 181 00:15:21,454 --> 00:15:23,389 どうした 可平? 182 00:15:23,389 --> 00:15:25,324 おおお… 鬼が!! 183 00:15:25,324 --> 00:15:27,894 鬼がどうした? 184 00:15:27,894 --> 00:15:31,764 こここっ… こっちにやって来ます!! (足音) 185 00:15:31,764 --> 00:15:35,468 鬼が来ようと 蛇が来ようと かまわぬ。 186 00:15:35,468 --> 00:15:40,072 ヒェーッ!! 来るものは拒まず 全て受け入れるのだ。 187 00:15:41,808 --> 00:15:45,178 そっそそっ そうはおっしゃっても…! 188 00:15:45,178 --> 00:15:48,881 こっ 今度は牛鬼が来ましたぁ~~っ!! 189 00:15:50,983 --> 00:15:56,722 <よ よくもあんなバケモノに 平気で近づけるもんだ…> 190 00:15:56,722 --> 00:16:01,561 フギャ~~ッ!! またバケモノが出たァ~~!! 191 00:16:01,561 --> 00:16:03,496 ギェエ~~ッ!! 192 00:16:03,496 --> 00:16:08,067 (妖怪たちの声) 193 00:16:08,067 --> 00:16:12,772 可平 そんなに 恐がることはなかろう。 194 00:16:12,772 --> 00:16:18,177 左近介さまは バケモノたちが気味悪くないんですか⁉ 195 00:16:18,177 --> 00:16:22,849 妖怪たちも人間も さしたる違いはない。 196 00:16:22,849 --> 00:16:26,586 病んでいたり 傷ついていたりするものを治す。 197 00:16:26,586 --> 00:16:29,555 不思議な羽を与えられたのだ。 198 00:16:29,555 --> 00:16:33,125 私は この閉じられた空間の中で➡ 199 00:16:33,125 --> 00:16:36,729 私のできることを するまでのことだ…。 200 00:16:38,965 --> 00:16:43,603 左近介と可平が 山寺に閉じ込められたまま➡ 201 00:16:43,603 --> 00:16:48,441 十数年の時が流れた ある日のこと…。 202 00:16:48,441 --> 00:16:50,977 しばらくでした。 203 00:16:50,977 --> 00:16:53,412 比丘尼さまも お元気そうで…。 204 00:16:53,412 --> 00:16:57,283 その後 里は変わりありませんか? 205 00:16:57,283 --> 00:17:03,756 はい めでたいことに ご領主さまに お世継ぎが お生まれあそばしました。 206 00:17:03,756 --> 00:17:07,627 ほう お世継ぎが… それは結構なお話。 207 00:17:07,627 --> 00:17:12,932 奥方さまによう似て かわいらしい男の子だそうでして。 208 00:17:12,932 --> 00:17:18,471 お名前をご領主さまが 左近介さまと お付けになったそうでございます。 209 00:17:18,471 --> 00:17:21,274 な なんと…! 210 00:17:21,274 --> 00:17:24,110 おおっ なんということだ! 211 00:17:24,110 --> 00:17:27,380 外の世界で私が生まれた…。 212 00:17:27,380 --> 00:17:33,986 やがて十八歳になり この私を殺しに来るに違いない! 213 00:17:33,986 --> 00:17:37,990 私が殺した比丘尼は 私だったのだ…! 214 00:17:37,990 --> 00:17:41,794 因果応報とは なんと恐ろしい…! 215 00:17:43,663 --> 00:17:48,634 ≪左近介… 左近介…≫ 216 00:17:48,634 --> 00:17:51,103 っ! 誰⁉ 217 00:17:51,103 --> 00:17:55,975 ≪左近介 殺されるのが怖いか…≫ 218 00:17:55,975 --> 00:17:58,778 ≪なのに あなたは人を殺した…≫ 219 00:17:58,778 --> 00:18:05,151 で… でも父の病が治れば もっと多くの人の命が奪われます! 220 00:18:05,151 --> 00:18:09,889 ≪罪は同じです。 だからあなたは裁きを受けるのです≫ 221 00:18:09,889 --> 00:18:11,891 裁き…。 222 00:18:11,891 --> 00:18:17,697 ≪未来永劫 あなたは繰り返し 殺され続けるのです≫ 223 00:18:17,697 --> 00:18:21,500 恐ろしい… どうすれば…➡ 224 00:18:21,500 --> 00:18:24,503 私はゆるされるのでしょうか…。 225 00:18:24,503 --> 00:18:28,741 ≪不幸な人々を無限に救い続けるのです≫ 226 00:18:28,741 --> 00:18:31,143 無限に…。 227 00:18:31,143 --> 00:18:34,880 ≪ここは時間を超えた空間です≫ 228 00:18:34,880 --> 00:18:40,286 ≪人間だけではなく さまざまな世界の ものたちがやって来ます≫ 229 00:18:40,286 --> 00:18:46,092 ≪どの世界にも 虐げられたものたちが無数にいるのです≫ 230 00:18:46,092 --> 00:18:48,928 あの妖怪たちも…。 231 00:18:48,928 --> 00:18:53,632 ≪そうです。 あなたは一つの関門を通り抜けました≫ 232 00:18:55,301 --> 00:19:00,139 ≪三十年に一度 この場所は外へ開きます≫ 233 00:19:00,139 --> 00:19:03,342 ≪その時 あなたの罪が消えていれば≫ 234 00:19:03,342 --> 00:19:07,647 ≪外の世界へと あなたは解放されるでしょう≫ 235 00:19:09,181 --> 00:19:11,384 三十年に一度…。 236 00:19:13,352 --> 00:19:15,755 あ…。 237 00:19:15,755 --> 00:19:19,458 ≪もし罪が消えていればのことです…≫ 238 00:19:22,528 --> 00:19:27,933 それから更に長い年月が流れていった…。 239 00:19:29,835 --> 00:19:32,638 (家老)お頼み申す! 240 00:19:32,638 --> 00:19:36,242 当家家老 塙陣太夫と申す。 241 00:19:36,242 --> 00:19:39,445 八百比丘尼殿に お目にかかりたい。 242 00:19:39,445 --> 00:19:45,785 実は わが主 家正さまには 一年前より病に伏しており➡ 243 00:19:45,785 --> 00:19:48,688 あらゆる医師にても手の施しようもなく➡ 244 00:19:48,688 --> 00:19:53,092 八百比丘尼殿の噂をお聞きして こうして お願いに上がった…。 245 00:19:53,092 --> 00:19:57,596 <父上が病に… そうか…。➡ 246 00:19:57,596 --> 00:20:02,868 外の世界では 十八年もの年月がたっていたのか…。➡ 247 00:20:02,868 --> 00:20:05,471 早いものだ…> 248 00:20:05,471 --> 00:20:09,909 (雷鳴) 249 00:20:09,909 --> 00:20:13,245 左近介さま お帰りなさいまし。 250 00:20:13,245 --> 00:20:15,181 ご無事に お城まで? 251 00:20:15,181 --> 00:20:17,616 ああ 行ってこられたよ。 252 00:20:17,616 --> 00:20:23,155 しかし… 私たちは この何十年も ここから出ることは…。 253 00:20:23,155 --> 00:20:28,494 可平 今日一日は どうやらここから解放されているようだ。 254 00:20:28,494 --> 00:20:31,497 へっ? どういうことで…? 255 00:20:31,497 --> 00:20:34,300 それは私にも よくわからぬ。 256 00:20:34,300 --> 00:20:38,270 可平 おまえは今から山を下りるのだ。 257 00:20:38,270 --> 00:20:41,540 へっ? 私一人で? 258 00:20:41,540 --> 00:20:46,512 そう 一人でだ。 私は城まで行けた。 259 00:20:46,512 --> 00:20:52,451 間違いない… 可平 おまえは今から山を下りなさい! 260 00:20:52,451 --> 00:20:57,022 え⁉ 山を下りられる⁉ そ そんな…。 261 00:20:57,022 --> 00:21:01,460 それじゃ 左近介さま! 今すぐ一緒に逃げましょう! 262 00:21:01,460 --> 00:21:05,464 可平 私は行くことはできないのだ。 263 00:21:05,464 --> 00:21:09,001 それなら 私もここを動きませぬ! 264 00:21:09,001 --> 00:21:11,904 可平! 私はここで➡ 265 00:21:11,904 --> 00:21:15,808 人を殺めた罪を 償わなければならないのだ。 266 00:21:15,808 --> 00:21:21,413 おまえは何の罪もないのに 長い間よく尽くしてくれた。 礼を言うぞ。 267 00:21:21,413 --> 00:21:23,349 そんな…。 268 00:21:23,349 --> 00:21:28,721 さ 早くするのだ。 時間がまた閉じてしまう。 269 00:21:28,721 --> 00:21:36,262 左近介さま… 私には あなたさまの いない日々など意味ありません! 270 00:21:36,262 --> 00:21:38,197 ありがとう可平。 271 00:21:38,197 --> 00:21:41,801 だが私は 一人で罪を償うべきなのだ。 272 00:21:41,801 --> 00:21:44,503 (雷鳴) 急ぐのだ! 273 00:21:44,503 --> 00:21:46,839 (雷鳴) 274 00:21:46,839 --> 00:21:53,245 左近介さまっ!! ずっと… お慕い申しておりましたァー!! 275 00:21:53,245 --> 00:21:56,282 (雷鳴と木が倒れる音) 276 00:21:56,282 --> 00:22:01,787 (雷鳴) 277 00:22:01,787 --> 00:22:08,260 (雨音) 278 00:22:08,260 --> 00:22:26,579 (読経) 279 00:22:26,579 --> 00:22:28,514 (扉が開く音) 280 00:22:28,514 --> 00:22:32,284 (読経) 281 00:22:32,284 --> 00:22:34,687 八百比丘尼! (読経) 282 00:22:37,122 --> 00:22:40,492 おまえを殺しに来た。 283 00:22:40,492 --> 00:22:43,696 お待ちしておりました。 284 00:22:43,696 --> 00:22:47,166 そなたには死んでもらわねばならぬ。 285 00:22:47,166 --> 00:22:50,636 はい… 覚悟はできております。 286 00:22:50,636 --> 00:23:02,982 ♬~ 287 00:23:02,982 --> 00:23:05,384 イヤーーーッ!! 288 00:23:07,653 --> 00:23:11,890 その後 左近介が罪をゆるされて➡ 289 00:23:11,890 --> 00:23:18,297 閉じられた空間から解放されたかどうかは 定かではないが➡ 290 00:23:18,297 --> 00:23:22,968 我々の生きる時間の中に ごくまれに➡ 291 00:23:22,968 --> 00:23:27,473 こうした次元のはざまが 存在するらしい…。 292 00:23:30,109 --> 00:24:57,296 ♬~