1 00:00:01,969 --> 00:00:06,306 (半鐘の音) 2 00:00:06,306 --> 00:00:08,642 (いななき) 3 00:00:08,642 --> 00:00:12,312 (歓声) 4 00:00:12,312 --> 00:00:14,481 待ってました 加賀鳶! 5 00:00:14,481 --> 00:00:16,783 よっ 江戸一の火消! 6 00:00:25,325 --> 00:01:16,043 ♬~ 7 00:02:09,296 --> 00:02:13,800 (彦弥)紙… (新之助)火元は四谷宗福寺の北 愛染院の南 8 00:02:13,800 --> 00:02:16,970 寺に品を卸している紙問屋ですからね 9 00:02:16,970 --> 00:02:19,306 (源吾) この辺りは有名な寺社だらけだ 10 00:02:19,306 --> 00:02:23,643 しかも 燃えてるのが紙屋ってんなら 大火にしてくれって言ってるようなもんだ 11 00:02:23,643 --> 00:02:28,482 しかし どうも寺社奉行が 境内に立ち入ることを禁じているようで 12 00:02:28,482 --> 00:02:32,152 そんなもの いざとなったら構っちゃいられねえ 13 00:02:32,152 --> 00:02:36,156 (寅次郎)この火事 火付けの疑いが濃厚とのことでしたな 14 00:02:36,156 --> 00:02:38,558 狐火かもしれねえな 15 00:02:40,661 --> 00:02:43,163 (星十郎) 今も南東に向かって微風が 16 00:02:43,163 --> 00:02:45,332 あと二刻は変わりません 17 00:02:45,332 --> 00:02:49,836 東には御城がありますが 見附の大名家が防ぐでしょう 18 00:02:49,836 --> 00:02:53,673 我らは南より上がり 四谷の火元を叩くべきかと 19 00:02:53,673 --> 00:02:56,677 火消兵法も既に完璧だな 20 00:02:56,677 --> 00:02:59,880 急ぐぞ! (一同)おう! 21 00:03:05,118 --> 00:03:09,956 (大音)ひるむな 水をかけろ! (鳶達)せいやー!➡ 22 00:03:09,956 --> 00:03:12,292 せいやー!➡ 23 00:03:12,292 --> 00:03:14,594 せいやー! 24 00:03:15,796 --> 00:03:17,798 あっ 25 00:03:19,132 --> 00:03:22,335 先着の火消は 加賀鳶! 26 00:03:25,305 --> 00:03:28,308 ⚟せいやー! ⚟せーの! 27 00:03:28,308 --> 00:03:31,311 ⚟せいやー! ⚟せーの! 28 00:03:31,311 --> 00:03:33,480 ⚟せいやー! ⚟おい 大丈夫か! 29 00:03:33,480 --> 00:03:35,649 御頭 どうかしましたか? 30 00:03:35,649 --> 00:03:39,986 いや 大丈夫だ 俺達も行くぞ へい! 31 00:03:39,986 --> 00:03:41,988 加勢する 32 00:03:41,988 --> 00:03:43,990 噂のぼろ鳶か 33 00:03:43,990 --> 00:03:47,494 復帰したと聞いたが 火喰鳥も落ちたものだ 34 00:03:47,494 --> 00:03:49,996 力を合わせれば すぐに… 35 00:03:49,996 --> 00:03:53,500 おぬしの目は節穴か? 我らの手並みを見よ 36 00:03:53,500 --> 00:03:56,002 ヘタにかき回されたら かなわん 37 00:03:56,002 --> 00:03:59,339 見た目で判断するな おぬしらに何ができる 38 00:03:59,339 --> 00:04:02,109 寺社を 焼失させてしまうのがオチではないか? 39 00:04:02,109 --> 00:04:04,778 今 何て言った? 40 00:04:04,778 --> 00:04:07,114 《⚟よいしょ!》 《⚟えいっ!》 41 00:04:07,114 --> 00:04:10,617 《⚟せいやー!》 《⚟えいっ!》 42 00:04:10,617 --> 00:04:14,955 てめえ 寺社を優先しやがったな! 被害は! 43 00:04:14,955 --> 00:04:17,457 今のところ 妙行寺の塀が 44 00:04:17,457 --> 00:04:20,127 そうじゃねえ! ケガ人はいないのか!? 45 00:04:20,127 --> 00:04:25,465 出火元の紙問屋の近隣の住民に ケガ人が出ている 数も多い 46 00:04:25,465 --> 00:04:30,470 寺社を守って何が火消だ! 命を守るのが俺達の仕事だろうが! 47 00:04:30,470 --> 00:04:32,472 我々は武士だ 48 00:04:32,472 --> 00:04:35,809 藩の威信と誇りを懸けて 火消に当たっているのだ 49 00:04:35,809 --> 00:04:39,312 大義のために優先するものが お前とは違う 50 00:04:39,312 --> 00:04:42,315 人命以上に優先するものなどねえ! 51 00:04:42,315 --> 00:04:45,652 命を軽視して寺社を守ることが 誇りと言えんのか? 52 00:04:45,652 --> 00:04:49,156 寺社を守り 人命も可能な限り救う 53 00:04:49,156 --> 00:04:51,992 決して軽んじてなどおらぬ 54 00:04:51,992 --> 00:04:56,496 人命を最優先しろ 寺社奉行が何と言おうと気にするな 55 00:04:56,496 --> 00:04:58,665 壊すべきものは壊せ! (鳶達)おう! 56 00:04:58,665 --> 00:05:02,769 加賀鳶が寺社を守るならば 我らは人命 民家を守る! 57 00:05:02,769 --> 00:05:04,771 邪魔立てさせるな 58 00:05:04,771 --> 00:05:06,773 星十郎! 59 00:05:08,441 --> 00:05:11,545 師走十日 時は四つ半 60 00:05:15,615 --> 00:05:18,785 (星十郎)出火元は紙商和久屋➡ 61 00:05:18,785 --> 00:05:22,956 風は緩やかに南東へ 火は方々に散ったもよう➡ 62 00:05:22,956 --> 00:05:26,459 西方の手薄も 柳沢家が抑えてます 63 00:05:26,459 --> 00:05:30,463 我らは出火の本陣中央より 南側を消し止めます 64 00:05:30,463 --> 00:05:32,465 いくぞ 彦弥! 65 00:05:32,465 --> 00:05:35,068 少しだけ待ってくださいよ 66 00:05:39,139 --> 00:05:41,308 フッ 67 00:05:41,308 --> 00:05:43,643 フッ! 68 00:05:43,643 --> 00:05:45,645 あ… 69 00:05:45,645 --> 00:05:47,647 たっ! 70 00:05:48,648 --> 00:05:52,652 寅! おお~! えいっ! 71 00:05:54,487 --> 00:05:56,656 彦弥 立てろ! 72 00:05:56,656 --> 00:05:58,658 いくぜー! 73 00:05:59,926 --> 00:06:02,596 おお~! 74 00:06:02,596 --> 00:06:04,931 ⚟えいっ! ⚟えいやっ! 75 00:06:04,931 --> 00:06:06,933 ⚟えいやっ! 76 00:06:11,938 --> 00:06:15,108 ぼろ鳶なんぞに負けては 加賀鳶の名が廃る 77 00:06:15,108 --> 00:06:17,444 格の違いを見せつけよ! 78 00:06:17,444 --> 00:06:19,446 おお~! 79 00:06:19,446 --> 00:06:22,282 ⚟とりゃあっ! ⚟せーの! 80 00:06:22,282 --> 00:06:24,284 これはいける 81 00:06:24,284 --> 00:06:28,955 このような状況では 指揮系統が乱れるやもと思いましたが 82 00:06:28,955 --> 00:06:32,792 この場にいるのは 江戸一きらびやかな加賀鳶と 83 00:06:32,792 --> 00:06:35,295 江戸一みすぼらしいぼろ鳶だ 84 00:06:35,295 --> 00:06:38,298 だが 働きぶりは負けちゃいねえ 85 00:06:38,298 --> 00:06:42,135 このまま加賀鳶と連携すれば 寺社も守れます 86 00:06:42,135 --> 00:06:48,541 しかし あの寺の一角だけは壊さねば 炎は さらに広がります 87 00:06:50,310 --> 00:06:52,612 縄を持って ついてこい 88 00:06:58,985 --> 00:07:00,921 よし 引け! 89 00:07:00,921 --> 00:07:04,090 よいしょ~! ⚟よいしょ~! 90 00:07:04,090 --> 00:07:06,593 ⚟えいっ! 91 00:07:10,430 --> 00:07:13,433 えいっ! 92 00:07:13,433 --> 00:07:16,736 この調子でいくぞ! おう! 93 00:07:18,938 --> 00:07:22,042 御頭 また火元から紙が… 94 00:07:24,611 --> 00:07:28,615 紙問屋を叩かねえと らちが明かねえか 95 00:07:28,615 --> 00:07:30,950 でも 叩くったって 96 00:07:30,950 --> 00:07:34,788 あれだけ燃えてたら 消火は無理ですよ 97 00:07:34,788 --> 00:07:36,957 一つ 提案があります 98 00:07:36,957 --> 00:07:40,961 策と呼ぶには少々荒いですが 何だ? 99 00:07:42,462 --> 00:07:44,464 (耳打ちをする) 100 00:07:44,464 --> 00:07:47,634 フッ 面白え 101 00:07:47,634 --> 00:07:51,304 (寅次郎)フン! フン! 102 00:07:51,304 --> 00:07:53,473 こちらは いつでもいけますぞ! 103 00:07:53,473 --> 00:07:56,476 ⚟よいしょっと ⚟よいしょ 104 00:07:56,476 --> 00:07:58,478 ⚟おうっ! ⚟おっと! 105 00:07:58,478 --> 00:08:02,582 よし そこでいい こっちも準備できた 106 00:08:04,250 --> 00:08:06,586 先生 どの向きへ? 107 00:08:06,586 --> 00:08:08,788 もう少々お待ちを 108 00:08:15,095 --> 00:08:17,263 この向きへ 全力で! 109 00:08:17,263 --> 00:08:19,265 承知! フン! 110 00:08:19,265 --> 00:08:21,935 フッ うおっ! 111 00:08:21,935 --> 00:08:25,238 はあ… 助けてください お侍様! 112 00:08:26,439 --> 00:08:31,277 子供が… 娘のお七が まだ中にいるんです! 113 00:08:31,277 --> 00:08:34,781 何ですって!? もう鐘は転がり始めてるのに! 114 00:08:34,781 --> 00:08:39,119 どうか 娘を助けてください お願いします! 115 00:08:39,119 --> 00:08:41,121 分かった 116 00:08:41,121 --> 00:08:43,623 新之助 ここは お前に任せる 117 00:08:43,623 --> 00:08:46,826 俺は中に入って子供を助ける あ… 118 00:08:48,795 --> 00:08:52,632 無茶ですよ! こんな中に飛び込むなんて 119 00:08:52,632 --> 00:08:54,834 自殺行為です! 120 00:09:08,081 --> 00:09:10,083 喰ってやる! 121 00:09:14,087 --> 00:09:17,490 御頭! クソッ! 122 00:09:21,428 --> 00:09:23,430 お七! 123 00:09:28,768 --> 00:09:31,104 お前に喰われてたまるか 124 00:09:31,104 --> 00:09:34,808 俺は火喰鳥 喰うのは俺の方だ! 125 00:09:44,951 --> 00:09:48,955 お七 助けに来たぞ お七! 126 00:09:48,955 --> 00:09:51,458 ⚟たす… けて 127 00:09:52,625 --> 00:09:55,829 来るぞ 構えて! (鳶達)おう! 128 00:10:00,800 --> 00:10:03,002 もう大丈夫だ 129 00:10:06,473 --> 00:10:09,976 絶対に押し潰されるな! 130 00:10:12,312 --> 00:10:14,314 はっ! 131 00:10:18,318 --> 00:10:21,321 店が… 御頭~! 132 00:10:25,825 --> 00:10:28,661 まさか 中に入っていくなんて 133 00:10:28,661 --> 00:10:31,064 これじゃあ 御頭は… 134 00:10:33,666 --> 00:10:36,069 あっ あそこに! 135 00:10:39,506 --> 00:10:43,176 もう少し 鐘が大きいと快適だったんだがな 136 00:10:43,176 --> 00:10:45,578 贅沢は言えねえか 137 00:10:47,514 --> 00:10:49,849 おお… 138 00:10:49,849 --> 00:10:52,352 御頭 ご無事でしたか! 139 00:10:52,352 --> 00:10:55,355 ああ この子を早く医者に… 140 00:11:00,293 --> 00:11:02,629 おお… 大丈夫ですか? 141 00:11:02,629 --> 00:11:05,031 ああ すまねえ 142 00:11:09,802 --> 00:11:14,474 みんな もう少しだ 残った火を喰らい尽くしてやれ! 143 00:11:14,474 --> 00:11:16,476 おう! 144 00:11:30,156 --> 00:11:33,826 御頭 何で あんな無茶したんですか! 145 00:11:33,826 --> 00:11:37,997 無駄死にする気ですか!? 新之助… 146 00:11:37,997 --> 00:11:41,834 生きてこそ 命を助けられるんじゃないんですか? 147 00:11:41,834 --> 00:11:47,140 誰かを助けるために御頭が死んだら 火消をやる意味なんてないでしょう! 148 00:11:48,174 --> 00:11:50,510 火消に無駄死になんてねえよ 149 00:11:50,510 --> 00:11:52,512 どんな死に方だって 150 00:11:52,512 --> 00:11:55,515 誰かの命を守ろうとしたことに 変わりはないんだからな 151 00:11:55,515 --> 00:11:58,351 でも… いいか 新之助 152 00:11:58,351 --> 00:12:01,955 火消の本分は命を守ること それ以外にねえ 153 00:12:01,955 --> 00:12:05,959 それが どんな命でもですか? ああ 154 00:12:05,959 --> 00:12:09,963 たとえ 自分が死ぬと分かっていても? 155 00:12:09,963 --> 00:12:11,965 そうだ 156 00:12:13,967 --> 00:12:17,637 一つ 昔話をしてもいいか? 157 00:12:17,637 --> 00:12:20,139 昔話? 158 00:12:20,139 --> 00:12:24,043 俺の 死んじまった親父の話だ 159 00:12:27,480 --> 00:12:30,149 もう十五年も前の火事だが 160 00:12:30,149 --> 00:12:32,986 その下手人が火消だったんだ 161 00:12:32,986 --> 00:12:36,656 伊神甚兵衛っていう 当時 江戸一の火消で 162 00:12:36,656 --> 00:12:38,825 俺の憧れだった 163 00:12:38,825 --> 00:12:42,495 だが どんな理由があろうと 火付けは火付け 164 00:12:42,495 --> 00:12:46,666 許されるようなもんじゃない はい 165 00:12:46,666 --> 00:12:51,838 俺の親父はな そんな火付けを助けるために死んだんだ 166 00:12:51,838 --> 00:12:53,840 えっ!? 167 00:12:53,840 --> 00:12:58,011 その最後の姿を 俺は目の前で見ていた 168 00:12:58,011 --> 00:13:01,280 《(松永)えいっ ん…》 169 00:13:01,280 --> 00:13:04,450 《源吾 ケガ人を連れて逃げよ》 170 00:13:04,450 --> 00:13:06,953 《わしは この方を救う》 171 00:13:08,621 --> 00:13:12,292 《(伊神)松永殿 もはや 貴殿に恨みはない》 172 00:13:12,292 --> 00:13:14,961 《早く源吾を連れて逃げてください》 173 00:13:14,961 --> 00:13:16,963 《いいや まだです》 174 00:13:16,963 --> 00:13:20,133 《今の私は もう仲間ではない》 175 00:13:20,133 --> 00:13:24,137 《悪人を 命を懸けて守る必要などない》 176 00:13:24,137 --> 00:13:27,473 《火消は どんな命でも救うものです》 177 00:13:27,473 --> 00:13:29,809 《たとえ それが悪人であろうとも》 178 00:13:29,809 --> 00:13:33,513 《たとえ 己が死ぬことになろうとも》 179 00:13:35,481 --> 00:13:38,651 《もはや時がない 急ぐのだ》 180 00:13:38,651 --> 00:13:42,355 《寂しい思いをさせて すまなかった》 181 00:13:44,657 --> 00:13:49,662 《源吾 おぬしは わしとは違う 多くの人を救え》 182 00:13:49,662 --> 00:13:51,998 《似ているって言ってくれよ》 183 00:13:51,998 --> 00:13:54,100 《俺は弱くて…》 184 00:13:55,501 --> 00:13:59,172 《人の強さは 人の弱さを知ることだ》 185 00:13:59,172 --> 00:14:02,175 《それを喰らって 人は強くなる》 186 00:14:03,276 --> 00:14:05,778 《くっ…》 187 00:14:07,280 --> 00:14:09,582 《フッ》 188 00:14:19,959 --> 00:14:22,462 《親父…》 189 00:14:22,462 --> 00:14:24,764 《源吾 諦めるな》 190 00:14:32,305 --> 00:14:34,307 《喰ってやれ》 191 00:14:51,491 --> 00:14:56,162 親父は火消として とても粋とは言えない男だった 192 00:14:56,162 --> 00:15:00,600 やじ馬になじられる姿を 目の当たりにしたこともある 193 00:15:00,600 --> 00:15:04,604 あの頃 俺は それが恥ずかしくてたまらなかった 194 00:15:07,440 --> 00:15:10,443 だが それは間違いだった 195 00:15:10,443 --> 00:15:15,948 最後まで火消の本分を守っていたのは 親父の方だったんだ 196 00:15:16,949 --> 00:15:22,121 親父が死んで以来 火の前に立つと真っ先に思い出すのは 197 00:15:22,121 --> 00:15:25,124 火消として救えなかった命だ 198 00:15:25,124 --> 00:15:28,528 その度に 自分の弱さを思い知らされる 199 00:15:29,962 --> 00:15:32,799 でもな 親父の言ったように 200 00:15:32,799 --> 00:15:36,469 人の強さは 人の弱さを知ることなんだ 201 00:15:36,469 --> 00:15:40,306 ずっと立ち止まっているほど 人は弱くもない 202 00:15:40,306 --> 00:15:44,811 たとえ もし俺が 誰かのために命を落とすことがあったとしても 203 00:15:44,811 --> 00:15:49,482 別の誰かが 俺の志を引き継いでくれるはずだ 204 00:15:49,482 --> 00:15:53,653 だから それは決して無駄死になんかじゃねえんだ 205 00:15:53,653 --> 00:15:58,491 色々と差し出がましいことを言って 申し訳ありませんでした 206 00:15:58,491 --> 00:16:00,593 以後 精進いたします 207 00:16:00,593 --> 00:16:04,263 よし じゃあ 作業の続きだ 208 00:16:04,263 --> 00:16:06,265 はい! 209 00:16:06,265 --> 00:16:08,434 ⚟おい そっち気をつけろよ 210 00:16:08,434 --> 00:16:12,538 俺は認めぬぞ 火喰鳥 211 00:16:16,442 --> 00:16:21,280 ⚟何て格好だ 汚えな 粋のかけらもない どこの家中だ あれは 212 00:16:21,280 --> 00:16:24,617 ⚟戸沢家らしいぜ 田舎者はこれだから… 213 00:16:24,617 --> 00:16:27,954 ⚟ぼろ鳶とは聞いていたが ここまでとはな 214 00:16:27,954 --> 00:16:32,124 ⚟あれなら 俺のふんどしの方がキレイなくらいだぜ➡ 215 00:16:32,124 --> 00:16:34,126 アハハハハハハ! 216 00:16:34,126 --> 00:16:37,129 ぼっろぼろのぼろ鳶だ! あ… 217 00:16:37,129 --> 00:16:39,632 あ… 218 00:16:39,632 --> 00:16:42,535 てめえら 顔を上げやがれ! 219 00:16:44,804 --> 00:16:47,807 気にするなって言っても 無理だろうけどよ 220 00:16:47,807 --> 00:16:50,977 火消は ただ一人でも命を救う 221 00:16:50,977 --> 00:16:53,813 その腕で魅せるもんなんだろ? 222 00:16:53,813 --> 00:16:57,149 昨今 火消を まるで役者のようにもてはやし 223 00:16:57,149 --> 00:16:59,819 火事で喜々とする輩もいる 224 00:16:59,819 --> 00:17:05,124 火消も まんざらでもなく 粋だ 鯔背だと妙なことにこだわる 225 00:17:06,926 --> 00:17:09,095 そんなことは どうでもいいんだ 226 00:17:09,095 --> 00:17:12,598 命が守れるなら ぼろを着てたってな 227 00:17:20,773 --> 00:17:22,775 何でしょう? 228 00:17:22,775 --> 00:17:26,779 御家老は人気者になれと仰せだ 派手にやれるか? 229 00:17:26,779 --> 00:17:30,116 それはやれますよ 本職だもの 230 00:17:30,116 --> 00:17:33,452 しかし どうなっても あとで文句はなしですよ 231 00:17:33,452 --> 00:17:35,955 フッ 好きにやれ 232 00:17:37,957 --> 00:17:39,959 おおっ? 233 00:17:39,959 --> 00:17:44,297 さあさ 皆様 ただ今 紙問屋の火を消してまいりましたは 234 00:17:44,297 --> 00:17:47,967 戸沢孝次郎様家中の火消でございます 235 00:17:47,967 --> 00:17:51,137 身なりが汚いって? そりゃそうだ 236 00:17:51,137 --> 00:17:53,973 何たって 今さっき 火を消してきたばかり 237 00:17:53,973 --> 00:17:56,309 煤にまみれもしましょうよ 238 00:17:56,309 --> 00:17:58,978 えっ? そういう話ではないと? 239 00:17:58,978 --> 00:18:01,080 (一同 笑う) 240 00:18:01,080 --> 00:18:05,584 我ら新庄藩の鳶は そんじょそこらの鳶とは違う 241 00:18:05,584 --> 00:18:08,487 まずは この彦弥をご覧あれ! 242 00:18:09,922 --> 00:18:12,591 はっ! たっ! 243 00:18:12,591 --> 00:18:14,593 はっ! 244 00:18:14,593 --> 00:18:16,929 (歓声) 245 00:18:16,929 --> 00:18:21,267 愛称は山彦 現役の軽業師でございます 246 00:18:21,267 --> 00:18:25,104 この水も滴るいい男を 覚えてくださいな 247 00:18:25,104 --> 00:18:27,106 (一同 笑う) 248 00:18:27,106 --> 00:18:29,442 そこの大きい奴が見えますか? 249 00:18:29,442 --> 00:18:32,611 おい 寅 手を挙げやがれ! 250 00:18:32,611 --> 00:18:34,780 はい… 251 00:18:34,780 --> 00:18:36,782 そいつの名は寅次郎 252 00:18:36,782 --> 00:18:38,784 ケガで引退しちまったが 253 00:18:38,784 --> 00:18:43,456 今をときめく あの達ヶ関と大一番を取ったほどの幕内力士だ 254 00:18:43,456 --> 00:18:46,626 寅 いつまで ぼさっと手を挙げてやがる! 255 00:18:46,626 --> 00:18:48,961 あ… (一同 笑う) 256 00:18:48,961 --> 00:18:51,964 侍にも変わった男がおりますぜ 257 00:18:51,964 --> 00:18:55,968 我らが 加持星十郎大先生でございます 258 00:18:57,303 --> 00:18:59,472 髪色が赤いでしょう? 259 00:18:59,472 --> 00:19:03,409 幼い頃に 天神様に お力を授かった証拠です 260 00:19:03,409 --> 00:19:07,580 天の動きの見通しは 外れることはございません 261 00:19:07,580 --> 00:19:11,917 我が戸沢家の 完全無欠の天文方でい! 262 00:19:11,917 --> 00:19:15,421 お次は 火消方副頭取… 263 00:19:16,922 --> 00:19:21,427 まあ この男は置いておきますか あ… 264 00:19:21,427 --> 00:19:23,596 (一同 笑う) 265 00:19:23,596 --> 00:19:27,266 年も若く まだまだ修行中じゃあございますが 266 00:19:27,266 --> 00:19:30,102 何とも気の優しいよい御方だ 267 00:19:30,102 --> 00:19:33,105 青田買いのつもりで 目をつけておいて損はねえ 268 00:19:33,105 --> 00:19:37,443 (犬が吠える) あ… おお? 269 00:19:37,443 --> 00:19:40,613 どうやら 既に犬には人気があるようで 270 00:19:40,613 --> 00:19:42,948 (一同 笑う) 271 00:19:42,948 --> 00:19:46,952 この調子で 人にも人気が出ることを願うばかり 272 00:19:46,952 --> 00:19:51,624 将来の大火消 鳥越新之助でございます 273 00:19:51,624 --> 00:19:55,628 ⚟頑張れ! ⚟頑張って! 274 00:19:55,628 --> 00:20:01,133 そこの大根持ったおっ母さん 見ていってくだせえよ 次は二枚目だ 275 00:20:01,133 --> 00:20:03,135 フフフフ… 276 00:20:03,135 --> 00:20:08,307 江戸の町を幾度となく救った 火喰鳥という大火消がおりました 277 00:20:08,307 --> 00:20:13,012 しかし 六年前 男は こつ然と姿を消した 278 00:20:13,979 --> 00:20:19,819 しかし 男は再び江戸の衆を守るため 立ち上がったのでございます 279 00:20:19,819 --> 00:20:24,156 火消方頭取 松永源吾でございます! 280 00:20:24,156 --> 00:20:27,159 (歓声) 281 00:20:27,159 --> 00:20:29,161 フッ 282 00:20:29,161 --> 00:20:32,665 はっ! (一同)おお? 283 00:20:32,665 --> 00:20:37,336 皆様との楽しいときも いよいよ終わりに近づきました 284 00:20:37,336 --> 00:20:41,340 まことならば 全員の名を覚えていただきたいところですが 285 00:20:41,340 --> 00:20:44,343 それは またの機会に 286 00:20:44,343 --> 00:20:46,679 ⚟もっとやってくれよ 287 00:20:46,679 --> 00:20:50,850 この広い江戸で 年に数えきれねえほどの火事が起こる 288 00:20:50,850 --> 00:20:55,521 この中には 家族親類を失った御方がおられるでしょう 289 00:20:55,521 --> 00:20:58,023 火を憎んでる御方もいるでしょう 290 00:20:58,023 --> 00:21:00,126 (泣く) 291 00:21:00,126 --> 00:21:03,963 しかし 暮らしの中に火は欠かせねえ 292 00:21:03,963 --> 00:21:06,799 母ちゃんは あったかいおまんまも作れないし 293 00:21:06,799 --> 00:21:10,469 旦那は ちょうちんなしで夜道を歩かなきゃならない 294 00:21:10,469 --> 00:21:12,772 赤子の産湯も沸かせねえ 295 00:21:14,306 --> 00:21:20,312 我らは江戸を守っているのではなく 江戸に生きる方々をお守りいたします 296 00:21:20,312 --> 00:21:23,482 そのために 格好なんて構ってられねえ 297 00:21:23,482 --> 00:21:26,318 みすぼらしくとも 汚らしくとも 298 00:21:26,318 --> 00:21:28,821 人を守ってこそ 火消 299 00:21:28,821 --> 00:21:34,493 皆々様 覚えやすいならば いっそ 何と呼んでくだすっても構いやせん 300 00:21:34,493 --> 00:21:37,496 襤褸を纏えど心は錦 301 00:21:37,496 --> 00:21:40,499 心意気なら誰にも負けやせん! 302 00:21:40,499 --> 00:21:44,837 御頭 大音声でお願いいたしやす! 303 00:21:44,837 --> 00:21:47,006 フッ 304 00:21:47,006 --> 00:21:50,342 我ら 羽州ぼろ鳶組! 305 00:21:50,342 --> 00:21:53,679 (歓声) 306 00:21:53,679 --> 00:21:58,184 (秀助)松永源吾殿 おう 何だい? 307 00:21:58,184 --> 00:22:02,788 火事場での あなた様の勇姿 いたく心に染み入りました 308 00:22:02,788 --> 00:22:05,457 私にも小さな娘がおりまして 309 00:22:05,457 --> 00:22:08,794 今後のご活躍を お祈りしております 310 00:22:08,794 --> 00:22:11,297 そうかい ありがとう 311 00:22:20,139 --> 00:22:35,054 ♬~