1 00:00:34,868 --> 00:00:37,371 出たよ 出たよ~ 今年の火消番付でい! 2 00:00:37,371 --> 00:00:41,875 何と何と あの火喰鳥こと新庄藩の松永源吾が 3 00:00:41,875 --> 00:00:44,544 早くも西の小結に返り咲いた~ 4 00:00:44,544 --> 00:00:48,048 さあさあ 買った 買った~! 5 00:00:48,048 --> 00:00:52,553 ⚟火喰鳥って言やあ まだ復活して四月くらいしかたってねえだろ 6 00:00:52,553 --> 00:00:56,223 ああ 何でも 火事場には とことん出張っていくらしいぜ 7 00:00:56,223 --> 00:01:00,394 この前も四谷の火事で 加賀鳶と並ぶ活躍を見せたんだとよ 8 00:01:00,394 --> 00:01:02,996 へえ~ そりゃすごいねえ 9 00:01:07,234 --> 00:01:57,951 ♬~ 10 00:02:51,204 --> 00:02:55,042 すいませんねえ こんなことまでしていただいて 11 00:02:55,042 --> 00:02:58,712 (源吾)なあに 俺らは早く うまい蕎麦を食べたいだけだよ 12 00:02:58,712 --> 00:03:02,049 (金五郎)ああ 小諸屋がねえと寂しくてなあ 13 00:03:02,049 --> 00:03:04,718 (漣次)違えねえ 頼むぜ 女将 14 00:03:04,718 --> 00:03:08,722 はい 必ず 小諸屋を再開させてみせます 15 00:03:09,723 --> 00:03:12,559 (深雪)皆さん お疲れさまです (三人)うん? 16 00:03:12,559 --> 00:03:15,462 (深雪)これでも食べて 休憩なさってください 17 00:03:17,230 --> 00:03:19,533 ⚟うめえ 18 00:03:21,068 --> 00:03:24,237 (左門)いや~ しかし 復帰したばかりの源吾が 19 00:03:24,237 --> 00:03:27,574 いきなり 西の小結になるとはなあ 20 00:03:27,574 --> 00:03:31,578 (寅次郎)御頭には 昔の功績もありますからね 21 00:03:33,346 --> 00:03:37,684 (新之助)でも 私が入幕すらしてないのは心外だなあ 22 00:03:37,684 --> 00:03:39,686 (彦弥)いや おめえは無理だろ 23 00:03:39,686 --> 00:03:42,522 俺が入ってねえのは 明らかにおかしいけどよ 24 00:03:42,522 --> 00:03:48,028 バカ言え! ハナタレどもが入幕できるほど 火消番付は甘くねえよ! 25 00:03:48,028 --> 00:03:50,030 しまった! 26 00:03:50,030 --> 00:03:53,366 おっさんの前で 番付の話をするのは御法度だったぜ 27 00:03:53,366 --> 00:03:56,036 漣次さんに 番付 抜かれたんだもんな 28 00:03:56,036 --> 00:03:58,038 お… おう 29 00:03:58,038 --> 00:04:00,207 まあ おめえみてえな向こう見ずは 30 00:04:00,207 --> 00:04:04,044 番付に入る前に おっちんじまうのがオチだろうけどな 31 00:04:04,044 --> 00:04:07,214 悪いけど おっさんよりは長生きするぜ 32 00:04:07,214 --> 00:04:10,383 俺は 漣次さんを超える纏持ちになるからよ 33 00:04:10,383 --> 00:04:15,222 フッ おめえ ほら吹き番付なら大関になれるぜ ヘヘヘ 34 00:04:15,222 --> 00:04:17,390 ほら吹きって… 35 00:04:17,390 --> 00:04:19,726 (一同 笑う) 36 00:04:19,726 --> 00:04:23,430 (杉野)何が そんなに おもろいんでっか? 37 00:04:24,731 --> 00:04:26,733 あんたか 38 00:04:26,733 --> 00:04:30,904 (杉野)人の店 ぶち壊しといて よう そんな笑えまんなあ? 39 00:04:30,904 --> 00:04:32,839 何だ? こいつ 40 00:04:32,839 --> 00:04:35,842 この辺に 店を構えていた商人だ 41 00:04:35,842 --> 00:04:40,180 あんた 火消番付いうんの 小結になったそうやないか 42 00:04:40,180 --> 00:04:44,985 ワイは 店なくしたのに あんただけ得するって納得いきまへんで 43 00:04:47,854 --> 00:04:50,524 今 得するとおっしゃいましたが 44 00:04:50,524 --> 00:04:54,861 火事が起こって 最も得する商いは何かご存じですか? 45 00:04:54,861 --> 00:04:57,364 何や やぶから棒に… 46 00:04:57,364 --> 00:05:00,200 それは 材木屋と畳屋です 47 00:05:00,200 --> 00:05:03,870 確か 杉野様は その両方をされているとか 48 00:05:03,870 --> 00:05:06,540 よもや 江戸の火事の多さにつけ込んで 49 00:05:06,540 --> 00:05:10,877 上方から 進出されたわけではございませんよね? 50 00:05:10,877 --> 00:05:12,879 そんなわけあるかいな 51 00:05:12,879 --> 00:05:16,716 とはいえ 悪い噂というものは すぐに広まるもの 52 00:05:16,716 --> 00:05:19,886 私 噂話が大好きでして 53 00:05:19,886 --> 00:05:25,392 杉野様の態度次第では お口が勝手に動いてしまうかも… 54 00:05:25,392 --> 00:05:27,394 ワイを脅す気か? 55 00:05:27,394 --> 00:05:32,232 いいえ 穏便に済ませましょうと御提案してるんです 56 00:05:32,232 --> 00:05:34,167 ああ もうええ! 57 00:05:34,167 --> 00:05:37,871 店の一つや二つ くれてやるわ! フン! 58 00:05:38,839 --> 00:05:44,344 (深雪)杉野様 あなたの商いがなければ 生活に困る方もたくさんおられます➡ 59 00:05:44,344 --> 00:05:47,848 どうか 今後も 我々をお助けくださいませ 60 00:05:49,015 --> 00:05:51,017 くっ… 61 00:05:53,186 --> 00:05:55,856 深雪様 カッコいい~! 62 00:05:55,856 --> 00:05:58,191 見事な弁論術でした 63 00:05:58,191 --> 00:06:02,529 深雪様のお知恵と料理の腕も ぼろ鳶には欠かせません 64 00:06:02,529 --> 00:06:06,199 ありがとよ 深雪 助かったぜ 65 00:06:06,199 --> 00:06:08,201 いえいえ 66 00:06:08,201 --> 00:06:11,037 (彦弥)よっ! さすがでさあ 67 00:06:11,037 --> 00:06:14,040 じゃあ みんな そろそろ再開するか! 68 00:06:14,040 --> 00:06:16,042 おう! 69 00:06:17,043 --> 00:06:19,446 (鐘の音) 70 00:06:23,216 --> 00:06:27,053 もう俺には 仲間などできないと思っていた 71 00:06:27,053 --> 00:06:31,725 私も 旦那様が再び 火消組を率いる日が来るとは 72 00:06:31,725 --> 00:06:33,927 夢にも思いませんでした 73 00:06:35,161 --> 00:06:37,330 苦労かけたな 74 00:06:37,330 --> 00:06:39,332 いいえ 75 00:06:39,332 --> 00:06:43,637 七年間の貧乏暮らしも 今となっては いい思い出です 76 00:06:45,672 --> 00:06:49,676 そうか あれからもう七年か 77 00:06:58,184 --> 00:07:02,689 ヘイホ ヘイホ ヘイホ ヘイホ ヘイホ 78 00:07:02,689 --> 00:07:04,891 もっと気合い入れろ! 79 00:07:11,031 --> 00:07:13,233 (庄助)あっ! 80 00:07:14,701 --> 00:07:16,703 遅い! 庄助 81 00:07:16,703 --> 00:07:19,205 そんなんじゃ 俺一人でやった方が早えぞ 82 00:07:19,205 --> 00:07:21,207 すいません 83 00:07:24,044 --> 00:07:27,047 なあ 最近の御頭 変じゃねえか? 84 00:07:27,047 --> 00:07:31,551 ああ 孫一さんがやめてから 何か必死っつうか 85 00:07:31,551 --> 00:07:33,987 おい そこの二人 86 00:07:33,987 --> 00:07:36,990 お前らも必死になれねえんなら やめてもいいぞ 87 00:07:36,990 --> 00:07:40,160 二人欠けようが 俺一人で穴を埋めてやる 88 00:07:40,160 --> 00:07:42,362 す… すいません! 89 00:07:43,496 --> 00:07:45,699 (足音) 90 00:07:53,506 --> 00:07:56,509 すまんな 突然訪ねてしまって➡ 91 00:07:56,509 --> 00:08:01,348 娘の深雪だ こいつが おぬしを一目見たいと言いだしてな 92 00:08:01,348 --> 00:08:03,850 あ… ちょっとお父様! 93 00:08:03,850 --> 00:08:06,519 うん? どこかでお会いしましたか? 94 00:08:06,519 --> 00:08:09,356 あっ いいえ 95 00:08:09,356 --> 00:08:12,692 昔から おぬしに興味があるそうだ 96 00:08:12,692 --> 00:08:16,029 もう! ハハハハハハ! 97 00:08:16,029 --> 00:08:18,031 ま… 松永様 98 00:08:18,031 --> 00:08:21,368 火消屋敷を見学させていただいても よろしいでしょうか? 99 00:08:21,368 --> 00:08:25,372 もちろん 私が案内いたしましょうか? 100 00:08:25,372 --> 00:08:29,376 いえ 一人で探索するのが好きなので 101 00:08:36,483 --> 00:08:38,485 照れておるのだ 102 00:08:38,485 --> 00:08:40,653 深雪も もう十七 103 00:08:40,653 --> 00:08:43,656 そろそろ よき縁があってもいい年頃だ 104 00:08:43,656 --> 00:08:46,326 深雪様なら 引く手あまたでしょう 105 00:08:46,326 --> 00:08:50,997 うむ 実際 縁談もあったが 深雪は全て断った 106 00:08:50,997 --> 00:08:53,199 おぬしを好いておるゆえ 107 00:08:54,834 --> 00:08:57,937 どうだ? 深雪と一緒にならぬか? 108 00:09:01,341 --> 00:09:05,512 いいお話ですが 火消組は今が正念場 109 00:09:05,512 --> 00:09:08,181 妻をめとる余裕など… 110 00:09:08,181 --> 00:09:10,850 孫一殿のことか? 111 00:09:10,850 --> 00:09:15,355 おやっさんは野暮用とだけ言って 出て行ってしまった 112 00:09:15,355 --> 00:09:19,192 孫一殿にも 何か事情があったのだろう 113 00:09:19,192 --> 00:09:22,028 私が見限られたのかも… 114 00:09:22,028 --> 00:09:25,198 おぬしは 立派に火消頭を務めておる 115 00:09:25,198 --> 00:09:29,869 もし 御父上が生きておられたら さぞ喜んでいただろう 116 00:09:29,869 --> 00:09:31,871 もう遅いのです 117 00:09:31,871 --> 00:09:34,808 私が 父のことを理解したのは死ぬ間際 118 00:09:34,808 --> 00:09:38,311 それまでは 愚鈍な火消として恥じておりました 119 00:09:38,311 --> 00:09:43,149 ゆえに 父の分まで火を消して 償っていきたいのです 120 00:09:43,149 --> 00:09:46,986 もっと 肩の力を抜いてもいいのだぞ 121 00:09:46,986 --> 00:09:51,825 力を抜けば 背負ってるもの全てが落ちていきそうで 122 00:09:51,825 --> 00:09:55,328 どこまでも不器用な火消よのう 123 00:09:56,329 --> 00:09:58,832 はあ はあ… 124 00:09:58,832 --> 00:10:01,334 くっ… はあ はあ 125 00:10:01,334 --> 00:10:03,436 (走る足音) 126 00:10:04,671 --> 00:10:08,341 はあ はあ… 127 00:10:08,341 --> 00:10:11,177 病に倒れられたとお聞きして… 128 00:10:11,177 --> 00:10:13,179 わざわざすまぬ 129 00:10:13,179 --> 00:10:15,181 (せきこむ) 130 00:10:15,181 --> 00:10:17,183 大丈夫ですか? 131 00:10:17,183 --> 00:10:21,855 肺を病んでおってな あと一年持てば御の字よ 132 00:10:21,855 --> 00:10:23,857 また ご冗談を… 133 00:10:27,026 --> 00:10:29,028 そんな… 134 00:10:30,530 --> 00:10:34,367 人間 五十年 ちょうどいい引き際よ 135 00:10:34,367 --> 00:10:39,038 ただ 唯一の心残りは おぬしと深雪のことだ 136 00:10:39,038 --> 00:10:41,374 その件は まだ… 137 00:10:41,374 --> 00:10:44,878 よいよい だが これだけは言わせてくれ 138 00:10:44,878 --> 00:10:48,381 わしは 重内様には誠に世話になった 139 00:10:48,381 --> 00:10:53,887 金勘定しかできない堅物を 人間らしく変えてくれたのも御父上だ 140 00:10:53,887 --> 00:10:57,223 おかげで こうして娘にも恵まれた 141 00:10:57,223 --> 00:11:01,561 だから 源吾 おぬしにも幸せになってほしいのだ 142 00:11:01,561 --> 00:11:03,563 重内様亡きあと 143 00:11:03,563 --> 00:11:08,268 わしは おぬしを 本当の息子だと思って接してきたのだから 144 00:11:09,235 --> 00:11:11,237 右膳殿… 145 00:11:16,576 --> 00:11:20,980 わしを 父上と呼んでくれる日が来ればいいのだが 146 00:11:24,751 --> 00:11:29,923 (犬が吠える) 147 00:11:29,923 --> 00:11:34,027 (走る足音) 148 00:11:34,027 --> 00:11:36,863 松永様 火事でございます 149 00:11:36,863 --> 00:11:40,366 松平御家中の月元右膳様方にて 150 00:11:40,366 --> 00:11:42,368 おい 今 何て言った!? 151 00:11:42,368 --> 00:11:46,172 月元右膳様方にて 出火でございます 152 00:11:51,878 --> 00:11:53,880 お父様~! 153 00:11:55,215 --> 00:11:59,052 深雪様! 松永様! 154 00:11:59,052 --> 00:12:01,554 父が まだ中に! どうして!? 155 00:12:01,554 --> 00:12:03,556 自分は最後まで残ると言って 156 00:12:03,556 --> 00:12:07,560 家中の者を 送り出していたのですが それきり… 157 00:12:07,560 --> 00:12:09,729 煙を吸い込んだか 158 00:12:09,729 --> 00:12:13,399 父は肺病 一体どうすれば… 159 00:12:13,399 --> 00:12:17,236 庄助 月元邸に入るぞ 160 00:12:17,236 --> 00:12:19,239 それは危険すぎます! 161 00:12:19,239 --> 00:12:23,242 まだ 家の中まで火は回っていない 今なら間に合う! 162 00:12:23,242 --> 00:12:27,914 無理です! それに 早く隣家を壊さねえと火が広がっちまう! 163 00:12:27,914 --> 00:12:31,417 今は風も吹いてねえ それに あの雲だ 164 00:12:31,417 --> 00:12:33,419 一雨 来るかもしれん 165 00:12:35,855 --> 00:12:37,857 冷静になってください 166 00:12:37,857 --> 00:12:41,027 普段の御頭なら そんなこと言わねえはずだ 167 00:12:41,027 --> 00:12:44,364 身内だからですか? ああ? 168 00:12:44,364 --> 00:12:47,700 御頭 月元家に婿入りするんでしょ? 169 00:12:47,700 --> 00:12:51,037 だから 何が何でも助けたいんだ 170 00:12:51,037 --> 00:12:54,874 そんなんじゃねえ 人の命を守るためだ! 171 00:12:54,874 --> 00:12:58,211 なら 火を広げないのが先決でしょう 172 00:12:58,211 --> 00:13:02,548 それに 火消が身内を優先するのは御法度ですぜ? 173 00:13:02,548 --> 00:13:05,051 くっ… 174 00:13:05,051 --> 00:13:08,554 月元邸に行きたいなら 御頭だけ行けばいい 175 00:13:08,554 --> 00:13:11,391 一人で何でもできるんだから 176 00:13:11,391 --> 00:13:14,394 お前ら 俺の指示が聞けねえのか 177 00:13:14,394 --> 00:13:18,398 もう あんたにはついていけねえ 俺らは延焼を防ぐぞ! 178 00:13:18,398 --> 00:13:20,400 おう! 179 00:13:21,901 --> 00:13:23,903 おい 待て! 180 00:13:29,575 --> 00:13:31,577 クソッ… 181 00:13:31,577 --> 00:13:34,080 右膳殿は必ず助けます 182 00:13:46,693 --> 00:13:48,695 向こうか 183 00:13:54,200 --> 00:13:56,202 右膳殿! 184 00:13:59,706 --> 00:14:02,041 おお 源吾か 185 00:14:02,041 --> 00:14:04,544 さあ ここから出ますぞ 186 00:14:04,544 --> 00:14:09,549 もうよい わしは捨て置け おぬしの身が危ない 187 00:14:09,549 --> 00:14:14,554 何をおっしゃいます あなたを助けると深雪様に約束しました 188 00:14:18,558 --> 00:14:22,562 もう少しの辛抱です じきに庭に出られます 189 00:14:22,562 --> 00:14:25,732 (風の音) クソッ 風が… 急ぎますよ! 190 00:14:25,732 --> 00:14:27,734 (風の音) ぬぐっ… 191 00:14:31,571 --> 00:14:34,507 おぬし一人なら まだ出られる 行け! 192 00:14:34,507 --> 00:14:38,010 ダメです! あなたと一緒でなければ 193 00:14:38,010 --> 00:14:41,347 頑固なところは 御父上そっくりだな 194 00:14:41,347 --> 00:14:43,349 血は争えませんな 195 00:14:43,349 --> 00:14:45,852 (せきこむ) 196 00:14:47,353 --> 00:14:50,456 居間の方へ行くぞ 居間? 197 00:14:57,029 --> 00:14:59,031 これは… 198 00:14:59,031 --> 00:15:02,702 昔 家財を守るために作った穴蔵だ 199 00:15:02,702 --> 00:15:06,038 先におぬしが入って わしを受け止めてくれ 200 00:15:06,038 --> 00:15:08,040 分かりました 201 00:15:11,210 --> 00:15:13,413 これを頼む 202 00:15:14,714 --> 00:15:16,916 はい 203 00:15:18,384 --> 00:15:20,386 (引き戸が閉まる) 何を!? 204 00:15:27,059 --> 00:15:29,896 右膳殿 開けてください! 205 00:15:29,896 --> 00:15:32,565 (右膳)二人入れば空気が持たぬ➡ 206 00:15:32,565 --> 00:15:36,002 おぬしだけでも生き延びよ! そんな… 207 00:15:36,002 --> 00:15:38,171 どうせ長くはない命 208 00:15:38,171 --> 00:15:40,339 武士として 209 00:15:40,339 --> 00:15:43,009 潔く逝かせてくれ 210 00:15:43,009 --> 00:15:46,846 (せきこむ) 211 00:15:46,846 --> 00:15:48,848 おやめください! 212 00:15:48,848 --> 00:15:51,517 深雪様とのご縁談も ありがたくお受けいたします! 213 00:15:51,517 --> 00:15:53,519 ゆえに 何とぞ! 214 00:15:53,519 --> 00:15:57,023 そうか ならば その刀は譲ろう 215 00:15:57,023 --> 00:16:00,193 婿殿には もったいないほどの名刀ぞ 216 00:16:00,193 --> 00:16:02,361 (せきこむ) 217 00:16:02,361 --> 00:16:06,866 (荒い息づかい) 218 00:16:06,866 --> 00:16:09,368 父上~! 219 00:16:09,368 --> 00:16:11,671 よい響きだ 220 00:16:17,877 --> 00:16:22,048 火消は このような魔物と闘っておるのか 221 00:16:22,048 --> 00:16:25,551 (引き戸を叩きながら)開けてください 父上! 222 00:16:25,551 --> 00:16:30,223 源吾 おぬしは生きて 多くの人を救え 223 00:16:30,223 --> 00:16:33,025 深雪のことも頼んだぞ 224 00:16:36,162 --> 00:16:40,466 父上~! 225 00:16:46,005 --> 00:16:48,007 くっ… 226 00:17:04,857 --> 00:17:07,693 定火消を おやめになるそうですね 227 00:17:07,693 --> 00:17:11,364 ええ あの火事で 配下達からも見捨てられ 228 00:17:11,364 --> 00:17:13,366 お役御免となりました 229 00:17:13,366 --> 00:17:16,869 でも あれは 松永様に非はございません 230 00:17:16,869 --> 00:17:21,541 いえ もとを正せば 私の独りよがりが原因なのです 231 00:17:21,541 --> 00:17:25,378 必死になりすぎて 仲間に頼ることを忘れていた 232 00:17:25,378 --> 00:17:30,216 だから 信頼も得られず 大事なときに失態を… 233 00:17:30,216 --> 00:17:32,818 私との縁談は? 234 00:17:32,818 --> 00:17:37,657 職を失った私に あなたを養うことはできません 235 00:17:37,657 --> 00:17:42,495 松永様ほどの実績があれば 他の組から お声が… 236 00:17:42,495 --> 00:17:44,997 火消は もうやりません 237 00:17:44,997 --> 00:17:48,668 父と呼べる存在を 二人も火事で失った 238 00:17:48,668 --> 00:17:52,672 私は火が怖い 怖くて仕方がない 239 00:17:56,842 --> 00:18:00,680 少し 私と歩きましょう えっ… 240 00:18:00,680 --> 00:18:03,182 いいから ついてきてください 241 00:18:07,186 --> 00:18:11,991 一体どこまで行くのです? もう日も暮れたし 帰りましょう 242 00:18:21,701 --> 00:18:24,203 今日は隅田川の川開き 243 00:18:24,203 --> 00:18:27,540 これを見ていただきたく お連れしました 244 00:18:27,540 --> 00:18:31,444 花火か そんなことも忘れていた 245 00:18:37,817 --> 00:18:39,819 キレイ… 246 00:18:39,819 --> 00:18:43,656 花火師は あのような美しい火を生み出せるのか 247 00:18:43,656 --> 00:18:46,325 火消とは大違いだ 248 00:18:46,325 --> 00:18:49,328 火消も立派ではございませんか 249 00:18:49,328 --> 00:18:52,331 花火師の業の先には笑顔があるが 250 00:18:52,331 --> 00:18:56,836 火消の業の先にあるのは 大なり小なり泣き顔です 251 00:18:56,836 --> 00:18:59,005 そんなことはありません 252 00:18:59,005 --> 00:19:02,675 火消は人を救い その者を笑顔にします 253 00:19:02,675 --> 00:19:07,513 松永様に救われた方も この花火を笑顔で見ているはずです 254 00:19:07,513 --> 00:19:10,850 でも 私はもう 火消には戻れない 255 00:19:10,850 --> 00:19:16,689 いいのです 火消をやめても 生きてゆくすべは他にもあります 256 00:19:16,689 --> 00:19:18,858 深雪様… 257 00:19:18,858 --> 00:19:24,196 松永様を象徴する鳳凰は 再生を繰り返す不死身の鳥 258 00:19:24,196 --> 00:19:28,701 あなた様も 再び夢を見られる日が来るはずです 259 00:19:30,536 --> 00:19:32,538 ありがとう 260 00:19:47,153 --> 00:19:51,824 過去は過去 今がよければ それでいいではありませんか 261 00:19:51,824 --> 00:19:53,826 ああ 262 00:19:59,665 --> 00:20:03,169 (深雪)旦那様 お客様が来ておられます 263 00:20:03,169 --> 00:20:05,371 うん? 客人? 264 00:20:08,007 --> 00:20:12,845 わしは火付盗賊改方頭 長谷川平蔵と申す 265 00:20:12,845 --> 00:20:14,847 単刀直入に問う 266 00:20:14,847 --> 00:20:18,350 松永源吾 おぬし 狐火か? 267 00:20:18,350 --> 00:20:20,686 なぜ 私が狐火だと? 268 00:20:20,686 --> 00:20:22,688 小諸屋の一件 269 00:20:22,688 --> 00:20:27,693 おぬしが訪れた直後に被害を受け 消し止めたのも おぬし 270 00:20:27,693 --> 00:20:30,029 それで 私に何の得があると? 271 00:20:30,029 --> 00:20:32,865 名声と加持星十郎を得た 272 00:20:32,865 --> 00:20:35,534 そもそも 火消に戻ったのも 273 00:20:35,534 --> 00:20:38,204 鳥越蔵之介殿の殉職がきっかけ 274 00:20:38,204 --> 00:20:40,873 その火事を起こしたのは狐火だ 275 00:20:40,873 --> 00:20:43,209 全ては自作自演だと? 276 00:20:43,209 --> 00:20:46,545 可能性としては大いにある 277 00:20:46,545 --> 00:20:50,049 一つお聞きしてもよいか? 何だ 278 00:20:50,049 --> 00:20:55,221 蔵之介殿のような火消が なぜ 朱土竜を見破れなかったのでしょう? 279 00:20:55,221 --> 00:21:00,226 それが演技なら 大したものだ いいだろう 教えてやる 280 00:21:00,226 --> 00:21:04,396 狐火は 人の善意につけ込む罠を仕掛けたのだ➡ 281 00:21:04,396 --> 00:21:08,400 奴は あらかじめ 土蔵に火種を仕込むと同時に➡ 282 00:21:08,400 --> 00:21:10,703 複数の犬を押し込めた 283 00:21:13,072 --> 00:21:17,409 (長谷川)空気を食いつくし 火が静まり 煙と熱さで➡ 284 00:21:17,409 --> 00:21:20,579 犬が吠え始める 《(犬が吠える)》 285 00:21:20,579 --> 00:21:25,584 (長谷川)つまり 犬を助けようと思えば➡ 286 00:21:25,584 --> 00:21:28,587 一巻の終わりよ 287 00:21:28,587 --> 00:21:30,589 何て野郎だ 288 00:21:30,589 --> 00:21:34,026 おぬし なかなか尻尾を出さぬ狐だな 289 00:21:34,026 --> 00:21:38,364 長谷川様 うちの主人は バカがつくほどの正直者です 290 00:21:38,364 --> 00:21:42,535 そんなお人が 演技などできるはずがございません 291 00:21:42,535 --> 00:21:44,537 あ… 292 00:21:44,537 --> 00:21:49,208 長谷川様は 御老中・田沼意次様と昵懇の仲とか 293 00:21:49,208 --> 00:21:51,544 まだ主人をお疑いなさるなら 294 00:21:51,544 --> 00:21:57,550 私 命を賭してでも 田沼様に直訴する覚悟でございます 295 00:21:57,550 --> 00:22:02,054 フッ ハハハハハ これは一本取られた 296 00:22:02,054 --> 00:22:06,392 まあいい 今日は奥方に免じて一旦引き下がる 297 00:22:06,392 --> 00:22:10,996 だが 松永 おぬしの嫌疑が晴れたわけではないからな 298 00:22:12,565 --> 00:22:14,567 おっと 299 00:22:14,567 --> 00:22:17,069 一つ聞くのを忘れておった 300 00:22:17,069 --> 00:22:19,972 この男を見たことはないか? 301 00:22:21,907 --> 00:22:24,577 いえ 見覚えはありません 302 00:22:24,577 --> 00:22:26,579 そうか 303 00:22:32,851 --> 00:22:36,522 (藤五郎)お前 あの火消に執着しているようだな 304 00:22:36,522 --> 00:22:38,691 (秀助)あんたには関係ない 305 00:22:38,691 --> 00:22:43,862 御屋形様の計画が最優先だ それを忘れるな 306 00:22:43,862 --> 00:22:45,965 分かっている 307 00:22:53,205 --> 00:23:40,919 ♬~