1 00:00:01,501 --> 00:00:03,128 (カラスの鳴き声) 2 00:00:03,211 --> 00:00:05,463 (鐘の音) 3 00:00:06,881 --> 00:00:08,800 (女の子)ウッフフ 4 00:00:08,883 --> 00:00:11,219 (家臣)もういいかい? 5 00:00:11,302 --> 00:00:12,804 (女の子)ま~だだよ 6 00:00:13,513 --> 00:00:15,473 (家臣)もういいかい? 7 00:00:16,099 --> 00:00:18,810 (女の子)ま~だだよ~! フフッ 8 00:00:18,893 --> 00:00:20,812 ハァ ハァ 9 00:00:20,895 --> 00:00:22,814 よっと 10 00:00:30,071 --> 00:00:31,698 (家臣)もういいかい? 11 00:00:33,575 --> 00:00:36,202 (女の子)もういいよー! 12 00:00:36,286 --> 00:00:39,706 (家臣) ハハッ どこに隠れなさった… 13 00:00:40,790 --> 00:00:42,751 (女の子)フフフッ 14 00:00:42,834 --> 00:00:44,961 (家臣)どこじゃ どこじゃ 15 00:00:46,546 --> 00:00:48,339 (半鐘の音) 16 00:00:51,760 --> 00:00:55,221 (家臣)姫様 姫様 姫様ー! 17 00:00:55,305 --> 00:00:56,139 (女の子)ハッ 18 00:00:59,350 --> 00:01:01,269 ああ… 19 00:01:01,352 --> 00:01:03,271 (町人たちのどよめき) 20 00:01:03,354 --> 00:01:04,898 (男性)来たぞ 21 00:01:04,981 --> 00:01:06,399 火喰鳥(ひくいどり)だ! 22 00:01:06,483 --> 00:01:08,485 (馬のいななき) 23 00:01:16,743 --> 00:01:17,952 {\an8}(家臣のせき込み) 24 00:01:18,036 --> 00:01:21,164 {\an8}姫様が… 姫様が… 25 00:01:21,247 --> 00:01:24,167 まだ中に 姫様が…! 26 00:01:27,253 --> 00:01:29,172 あっ ああ… 27 00:01:29,255 --> 00:01:30,632 ああっ 28 00:01:38,681 --> 00:01:43,812 (家臣) 姫様ー! 誰か… 姫様をー! 29 00:01:48,399 --> 00:01:49,818 あっ… 30 00:01:53,655 --> 00:01:57,158 (左門(さもん))お主 まさか… この火事では もう… 31 00:02:02,580 --> 00:02:06,751 (左門)炎の前では 人は無力だ 32 00:02:06,835 --> 00:02:10,797 どんな剣豪も 火を斬ることはできない 33 00:02:16,803 --> 00:02:19,222 (女の子)ウフッ フフフ… 34 00:02:21,641 --> 00:02:27,564 (走る足音) (女の子)ハァ ハァ… 35 00:02:31,359 --> 00:02:34,237 (女の子の荒い息遣い) 36 00:02:38,533 --> 00:02:44,747 (おびえる息遣い) 37 00:02:50,837 --> 00:02:55,341 ハァ… キャー! ううっ… 38 00:02:55,425 --> 00:02:58,469 (せき込み) 39 00:03:01,890 --> 00:03:02,724 あ… 40 00:03:03,808 --> 00:03:05,351 (源吾(げんご))怖いか? 41 00:03:09,606 --> 00:03:11,482 その恐怖 42 00:03:12,275 --> 00:03:13,818 喰ってやれ! 43 00:03:17,488 --> 00:03:19,365 (町人たち)うお~! 44 00:03:24,996 --> 00:03:25,914 (源吾)んっ 45 00:03:28,208 --> 00:03:30,001 (火消(ひけし)たち)おおっ 46 00:03:30,084 --> 00:03:31,252 {\an8}(左門)ああ… 47 00:03:31,336 --> 00:03:35,298 {\an8}このとき 私は 初めて気付いた 48 00:03:35,381 --> 00:03:39,302 江戸には 火が斬れる侍もいることを 49 00:03:39,385 --> 00:03:40,261 あ… 50 00:03:40,929 --> 00:03:42,305 あれが… 51 00:03:45,308 --> 00:03:46,976 火喰鳥! 52 00:03:50,772 --> 00:03:52,774 ♪~ 53 00:05:11,811 --> 00:05:13,813 {\an8}~♪ 54 00:05:25,992 --> 00:05:28,995 (トビの鳴き声) 55 00:05:32,165 --> 00:05:33,249 (源吾)ん… 56 00:05:36,669 --> 00:05:38,338 フゥー 57 00:05:38,421 --> 00:05:39,839 ん? 58 00:05:40,631 --> 00:05:41,507 おっ 59 00:05:45,470 --> 00:05:48,598 (左門)んっ んん… 60 00:05:52,268 --> 00:05:54,854 こんな田舎に侍が なんの用だ? 61 00:05:54,937 --> 00:05:56,105 (左門)え…? 62 00:05:57,106 --> 00:05:58,858 (深雪(みゆき))ん? キャッ! 63 00:05:58,941 --> 00:06:00,068 (左門)あ… 64 00:06:00,902 --> 00:06:04,989 あ… いや 拙者は 決して怪しい者ではござらん 65 00:06:05,073 --> 00:06:08,201 これは どういう状況でございますか? 66 00:06:08,284 --> 00:06:10,244 俺にも分からん 67 00:06:10,328 --> 00:06:13,456 ああ 拙者 折下(おりしも)左門と申す者! 68 00:06:13,539 --> 00:06:17,335 新庄藩(しんじょうはん)藩主 戸沢(とざわ)孝次郎(こうじろう)様の命を受け参りました 69 00:06:17,418 --> 00:06:18,836 松永(まつなが)源吾殿 70 00:06:18,920 --> 00:06:23,007 ぜひとも 貴殿を新庄藩火消組の 頭取にお迎えしたい 71 00:06:23,091 --> 00:06:24,634 -(源吾)はあ? -(深雪)えっ? 72 00:06:34,185 --> 00:06:35,353 (深雪)お茶を… 73 00:06:35,436 --> 00:06:37,188 かたじけない 74 00:06:37,980 --> 00:06:42,693 新庄藩には 鳥越(とりごえ)蔵之介(くらのすけ)殿が おられたはずだが? 75 00:06:42,777 --> 00:06:47,865 いや 確かに 今の火消頭取は 鳥越殿ですが 76 00:06:47,949 --> 00:06:51,702 ここふた月は 病で床に伏せっておられまして… 77 00:06:52,411 --> 00:06:55,081 そうか 鳥越殿が 78 00:06:55,164 --> 00:06:58,251 (左門)はい もう火消には戻れまいと— 79 00:06:58,334 --> 00:07:02,839 鳥越殿自ら 貴殿を後継者に選ばれたのです 80 00:07:04,423 --> 00:07:09,345 (源吾)申し訳ないが 私は すでに火消を退いた身ゆえ 81 00:07:10,513 --> 00:07:12,098 お断り致す 82 00:07:12,181 --> 00:07:14,225 そこをなんとか! 83 00:07:14,308 --> 00:07:18,104 火消組の立て直しに ご尽力いただけませぬか? 84 00:07:18,938 --> 00:07:20,356 立て直し…? 85 00:07:20,439 --> 00:07:21,566 はい 86 00:07:21,649 --> 00:07:24,402 今や 我が藩の火消組は 人材も不足し 87 00:07:24,485 --> 00:07:26,779 存続の危機に瀕(ひん)しております 88 00:07:26,863 --> 00:07:29,615 そこで 松永殿のお知恵を借りて 89 00:07:29,699 --> 00:07:32,869 組の再建を 図っていただきたいのです 90 00:07:32,952 --> 00:07:36,789 鳥越殿は あなた様しかおらぬと 91 00:07:36,873 --> 00:07:37,915 (源吾)うん… 92 00:07:38,499 --> 00:07:39,876 分かりました! 93 00:07:39,959 --> 00:07:44,005 一旦 お役目のことは置いておいて お給金はいかほどで? 94 00:07:44,088 --> 00:07:47,258 はい 300石をご用意しております 95 00:07:47,341 --> 00:07:49,427 300石? 96 00:07:49,510 --> 00:07:50,511 俵に直せば… 97 00:07:50,595 --> 00:07:52,763 340俵! 98 00:07:52,847 --> 00:07:56,476 ほお! 奥方は勘定方が務まりそう… 99 00:07:56,559 --> 00:07:59,520 あちっ… ですな あちっ… 100 00:07:59,604 --> 00:08:01,522 待て待て 早まるな 101 00:08:02,356 --> 00:08:03,941 (深雪)どうぞ… 102 00:08:04,025 --> 00:08:07,403 うちの主人を よろしくお願い申し上げます 103 00:08:08,488 --> 00:08:11,407 あちっ あっち… 104 00:08:11,490 --> 00:08:15,870 あっ いや それでは 今日一日 考えてくだされ 105 00:08:15,953 --> 00:08:18,497 もし 江戸に来ていただけるなら 106 00:08:18,581 --> 00:08:22,543 明日 新庄藩上屋敷で お待ちしております 107 00:08:24,128 --> 00:08:26,464 (深雪)承知致しました 108 00:08:26,547 --> 00:08:28,341 (源吾)あ~… 109 00:08:28,883 --> 00:08:32,553 (カラスの鳴き声) 110 00:08:45,316 --> 00:08:46,400 {\an8}(半鐘の音) 111 00:08:46,400 --> 00:08:49,570 {\an8}(半鐘の音) 112 00:08:46,400 --> 00:08:49,570 (源吾の荒い息遣い) 113 00:08:49,570 --> 00:08:51,405 (源吾の荒い息遣い) 114 00:09:00,873 --> 00:09:02,833 親父(おやじ)! 親父! 115 00:09:03,834 --> 00:09:05,836 親父! 116 00:09:07,088 --> 00:09:08,172 (重内(じゅうない))源吾 117 00:09:08,256 --> 00:09:11,968 お主は わしとは違う 多くの人を救え 118 00:09:12,051 --> 00:09:13,052 あっ 119 00:09:22,311 --> 00:09:24,230 行くしかねえか 120 00:09:30,570 --> 00:09:31,737 {\an8}(町のけん騒) 121 00:09:31,737 --> 00:09:34,490 {\an8}(町のけん騒) 122 00:09:31,737 --> 00:09:34,490 -(子供1)早く早くー! -(子供2)待ってよー 123 00:09:34,573 --> 00:09:36,742 (男性)今朝 とれたばかり… 124 00:09:38,286 --> 00:09:41,372 (六右衛門(ろくえもん)) やはり あやつは来ぬか… 125 00:09:41,455 --> 00:09:43,874 (金五郎(きんごろう))源吾…? 126 00:09:43,958 --> 00:09:48,879 (左門)あ~ いや ご家老 もうしばし お待ちを! 127 00:09:48,963 --> 00:09:50,673 (六右衛門)もうよい! 128 00:09:51,215 --> 00:09:53,843 別の火消を連れてまいれ! 129 00:09:54,427 --> 00:09:57,680 (家来)ご家老! 松永源吾様がご到着です! 130 00:09:57,763 --> 00:09:59,140 (左門)ああ… 131 00:09:59,223 --> 00:10:02,143 (源吾)拙者 松永源吾 132 00:10:02,226 --> 00:10:07,398 鳥越蔵之介殿のお話を伺いたく こちらへ参りました 133 00:10:08,149 --> 00:10:10,151 松永殿 134 00:10:10,234 --> 00:10:12,862 お主に謝らねばならぬ 135 00:10:12,945 --> 00:10:17,658 その鳥越蔵之介のことだが もう ヤツには会えんのだ 136 00:10:17,742 --> 00:10:19,994 この世におらぬゆえ 137 00:10:20,745 --> 00:10:22,955 (小声で)話が違うではないか 138 00:10:23,039 --> 00:10:24,915 (小声で)申し訳ない 139 00:10:25,708 --> 00:10:30,254 火事場での殉職だ ふた月ほど前にな 140 00:10:30,338 --> 00:10:32,298 折下を責めんでくれ 141 00:10:32,381 --> 00:10:35,676 わしの一存で 偽りを申せと命じたのだ 142 00:10:35,760 --> 00:10:40,431 そうでもせぬと ここには来なかったであろう? 143 00:10:40,514 --> 00:10:41,640 ん… 144 00:10:42,266 --> 00:10:46,270 (六右衛門)それに 蔵之介が お主を買っていたのは事実 145 00:10:46,354 --> 00:10:50,900 さらに申せば お父上を 火消の手本としておったそうだ 146 00:10:50,983 --> 00:10:52,151 のう? 折下 147 00:10:52,234 --> 00:10:53,444 (左門)はい 148 00:10:53,527 --> 00:10:56,113 (六右衛門) この折下にしてもそうだ 149 00:10:56,197 --> 00:11:00,159 後継者は松永殿しかおらぬと 江戸中 探し回り 150 00:11:00,242 --> 00:11:03,079 田舎に逃げたお主を ようやく見つけたのだ 151 00:11:04,246 --> 00:11:06,082 (源吾)買いかぶりすぎかと… 152 00:11:06,165 --> 00:11:10,878 (六右衛門)ならば 火消頭取の話は水に流すか? 153 00:11:12,672 --> 00:11:16,801 まだ決めかねておるなら 話を続けよう 154 00:11:16,884 --> 00:11:19,845 お主 我が藩の窮状は 知っておるか? 155 00:11:19,929 --> 00:11:23,099 火消組が存続の危機に あることは… 156 00:11:23,808 --> 00:11:26,310 火消組だけではない 157 00:11:26,394 --> 00:11:30,523 財政難で 新庄藩そのものが 危機に瀕しておるのだ 158 00:11:30,606 --> 00:11:33,484 つまり どういうことか 分かるか? 159 00:11:33,567 --> 00:11:35,361 (源吾) どういうことでございましょう? 160 00:11:35,444 --> 00:11:38,406 火消組の予算には限りがある 161 00:11:38,489 --> 00:11:41,951 その額 200両 それ以上は出せぬ 162 00:11:42,034 --> 00:11:43,452 200両? 163 00:11:43,536 --> 00:11:44,787 (六右衛門)足りぬか? 164 00:11:44,870 --> 00:11:47,289 さすがに厳しいかと存じます 165 00:11:47,915 --> 00:11:51,335 (六右衛門) そうか できぬと申すのだな? 166 00:11:52,628 --> 00:11:54,088 はい 167 00:11:54,171 --> 00:11:57,883 (六右衛門)分かった では お引き取り願おうか 168 00:11:57,967 --> 00:11:59,343 (左門)お待ちください! 169 00:11:59,427 --> 00:12:04,390 ご家老! 松永殿でなければ 火消組の再建はできませぬ! 170 00:12:04,473 --> 00:12:07,143 他にも火消は腐るほどおる! 171 00:12:07,226 --> 00:12:08,227 いいえ! 172 00:12:08,310 --> 00:12:12,273 拙者の知るかぎり 松永殿ほど 優れた火消はおりませぬ! 173 00:12:12,356 --> 00:12:16,527 ならば 再建がかなわぬ場合 誰が責任を取る? 174 00:12:16,610 --> 00:12:20,030 (左門)拙者が 腹を切ります! 175 00:12:21,866 --> 00:12:23,159 ほう 176 00:12:23,242 --> 00:12:26,954 しかし 当の本人は 200両ではできぬと言っておるが? 177 00:12:27,037 --> 00:12:28,873 松永殿なら できます! 178 00:12:28,956 --> 00:12:30,958 -(源吾)できねえ! -(左門)できる! 179 00:12:31,041 --> 00:12:32,084 無理だ! 180 00:12:32,168 --> 00:12:33,586 無理ではない! 181 00:12:33,669 --> 00:12:37,089 随分と仲が良いではないか 182 00:12:37,173 --> 00:12:40,342 まあいい もう一日 猶予を与えるゆえ 183 00:12:40,426 --> 00:12:41,844 答えを出せ 184 00:12:41,927 --> 00:12:43,471 期待しておるぞ 185 00:12:43,554 --> 00:12:44,472 (2人)んん… 186 00:12:48,058 --> 00:12:50,853 (源吾)あんた 見かけによらず頑固なんだな 187 00:12:50,936 --> 00:12:54,231 (左門)あっ いや つい熱くなってしまって… 188 00:12:54,315 --> 00:12:59,236 これから火消組の教練場を 案内したいのだが かまわぬか? 189 00:12:59,320 --> 00:13:00,529 (源吾)ああ 190 00:13:00,613 --> 00:13:04,241 ところでよ なんで そこまで 火消組にこだわる? 191 00:13:04,325 --> 00:13:05,743 (左門)そのお役目が 192 00:13:05,826 --> 00:13:08,579 幕府の命であるゆえ というのが建て前 193 00:13:08,662 --> 00:13:09,997 だが 拙者としては 194 00:13:10,080 --> 00:13:13,209 この江戸において 火消こそが 真の侍だと思うからだ 195 00:13:13,292 --> 00:13:17,880 それに 火消組の存続は 鳥越殿のご遺志でもある 196 00:13:17,963 --> 00:13:20,674 昔 火事場で幾度か顔を合わせたが 197 00:13:20,758 --> 00:13:25,095 功名心に走らず 実直に仕事をする いい火消だった 198 00:13:25,179 --> 00:13:26,263 ああ 199 00:13:26,347 --> 00:13:30,017 お主の父上から学んだことも多いと 言っておった 200 00:13:30,100 --> 00:13:31,101 (源吾)んっ 201 00:13:32,394 --> 00:13:36,273 (左門)ここが教練場だ 広さだけは それなりにある 202 00:13:46,492 --> 00:13:49,161 木が腐っちまってるじゃねえか 203 00:13:51,497 --> 00:13:53,082 (左門)鳥越殿のときは 204 00:13:53,165 --> 00:13:56,418 腕の立つ火消たちが 私物を持ち込んでいたが… 205 00:13:56,502 --> 00:13:59,046 今では このありさまだ 206 00:13:59,129 --> 00:14:03,509 火消道具が管理できねえようじゃ 火消は務まらねえ 207 00:14:03,592 --> 00:14:05,427 面目ない 208 00:14:05,511 --> 00:14:07,721 (左門) えー ここにおわすは 209 00:14:07,805 --> 00:14:12,685 飯田町(いいだまち)で定火消頭取を務められた 松永源吾殿でござる 210 00:14:12,768 --> 00:14:14,436 (火消たち)へえ… 211 00:14:14,520 --> 00:14:16,146 こいつら 大丈夫か? 212 00:14:16,230 --> 00:14:17,064 (左門)ハハ… 213 00:14:17,147 --> 00:14:18,315 (新之助(しんのすけ))ふんっ! 214 00:14:21,151 --> 00:14:24,113 遅いぞ 新之助! 何をしておった! 215 00:14:24,196 --> 00:14:27,324 (新之助) 申し訳ございません 母が急病で 216 00:14:27,408 --> 00:14:30,828 今朝 元気に出かける母上を見たわ! 217 00:14:30,911 --> 00:14:34,248 そう 母は日本橋(にほんばし)に出かけておりました! 218 00:14:34,331 --> 00:14:36,584 病気なのは叔母です 叔母 219 00:14:36,667 --> 00:14:37,876 ウソつけ! 220 00:14:37,960 --> 00:14:41,463 そなたの叔母御は 国元新庄におられようが 221 00:14:41,547 --> 00:14:43,465 もうよい さっさと位置につけ 222 00:14:43,549 --> 00:14:44,967 (新之助)んっ 223 00:14:47,052 --> 00:14:50,222 火消組副頭取 鳥越新之助です 224 00:14:50,306 --> 00:14:52,975 以後 よろしくお願い申し上げます! 225 00:14:53,058 --> 00:14:54,518 鳥越… 226 00:14:55,561 --> 00:14:57,021 {\an8}(風鈴の音) 227 00:14:57,021 --> 00:14:58,480 {\an8}(風鈴の音) 228 00:14:57,021 --> 00:14:58,480 (新之助)えーっと 229 00:14:58,564 --> 00:15:02,985 江戸には大きく分けて 大名火消 定火消 町火消がいて 230 00:15:03,068 --> 00:15:05,362 それぞれ 管轄があります 231 00:15:05,446 --> 00:15:08,824 一方 幕府直轄の定火消は 10か所に設置され 232 00:15:08,908 --> 00:15:11,869 主に江戸城周辺を守ります 233 00:15:11,952 --> 00:15:16,916 それらの武家火消とは対照的に 町人で組織されるのが町火消 234 00:15:16,999 --> 00:15:21,253 江戸に64組あって 各管轄の町を守ります 235 00:15:21,337 --> 00:15:27,176 そして 忘れてはいけないのが 我が新庄藩のお役目である方角火消 236 00:15:27,259 --> 00:15:29,011 方角火消は 幕府の命により 237 00:15:29,094 --> 00:15:31,138 火事が起これば 管轄を越え 238 00:15:31,221 --> 00:15:33,390 どこにでも 駆けつけなければなりません! 239 00:15:33,474 --> 00:15:36,310 まさに 火消の中の火消! 240 00:15:36,393 --> 00:15:40,022 (源吾)新之助 お前は なんで火消になった? 241 00:15:40,606 --> 00:15:43,901 それは… 父上の跡を継いで 242 00:15:44,902 --> 00:15:48,906 (源吾)火消は 中途半端な覚悟じゃ務まらねえぞ 243 00:15:49,740 --> 00:15:51,825 (新之助)ああ… (左門のせきばらい) 244 00:15:51,909 --> 00:15:53,786 (新之助)あっ! えっと ちょっと厠(かわや)へ行ってきます 245 00:15:53,786 --> 00:15:54,328 (新之助)あっ! えっと ちょっと厠(かわや)へ行ってきます 246 00:15:53,786 --> 00:15:54,328 {\an8}(障子の開閉音) 247 00:15:54,328 --> 00:15:54,411 {\an8}(障子の開閉音) 248 00:15:54,411 --> 00:15:55,412 {\an8}(障子の開閉音) 249 00:15:54,411 --> 00:15:55,412 (左門)ああ 250 00:15:57,206 --> 00:15:59,792 鳥越殿が亡くなって まだふた月 251 00:15:59,875 --> 00:16:01,502 飄々(ひょうひょう)と振る舞ってはいるが 252 00:16:01,585 --> 00:16:04,672 まだ父親の死を 受け止めきれていないのであろう 253 00:16:04,755 --> 00:16:08,175 その鳥越殿の事故だが 一体 どんな? 254 00:16:08,258 --> 00:16:10,636 (左門) 赤羽橋(あかばねばし)で起こった不審火だ 255 00:16:10,719 --> 00:16:11,929 不審火? 256 00:16:12,012 --> 00:16:15,516 ああ “狐火(きつねび)”という 今 江戸中を震撼(しんかん)させている— 257 00:16:15,599 --> 00:16:17,810 極悪火付人(ひつけにん)の仕業よ 258 00:16:17,893 --> 00:16:20,813 すでに多くの命が失われておる 259 00:16:20,896 --> 00:16:25,901 赤羽橋の件は その狐火が起こした最初の事件だ 260 00:16:25,985 --> 00:16:30,030 ふた月前 赤羽橋近くの木綿問屋 “日野屋(ひのや)”から 261 00:16:30,114 --> 00:16:31,573 突如 ぼやが起こった 262 00:16:32,241 --> 00:16:36,036 早く気付いたこともあり 鳥越殿たちは 見事 消し止め 263 00:16:36,120 --> 00:16:38,080 延焼を防いだのだが… 264 00:16:38,163 --> 00:16:39,915 {\an8}残り火の検分を終え 265 00:16:39,999 --> 00:16:42,334 {\an8}土蔵も確かめようと したのであろう 266 00:16:42,418 --> 00:16:46,338 鳥越殿が扉を壊そうとした そのとき… 267 00:16:51,385 --> 00:16:53,846 (爆発音) 268 00:16:58,308 --> 00:16:59,476 フゥー 269 00:17:00,144 --> 00:17:02,229 あの人 大丈夫かな 270 00:17:05,065 --> 00:17:08,193 しかし なぜ 鎮火していたのにもかかわらず 271 00:17:08,277 --> 00:17:10,112 土蔵が吹き飛んだのかが分からん 272 00:17:10,195 --> 00:17:11,530 (源吾)朱土竜(あけもぐら) 273 00:17:11,613 --> 00:17:12,865 (左門)あけもぐら? 274 00:17:12,948 --> 00:17:16,410 “朱土竜”とは 火事場で火消が使う言葉だ 275 00:17:16,493 --> 00:17:21,290 密室で くすぶったところを破ると 外気を一気に吸い寄せ はぜる 276 00:17:21,373 --> 00:17:24,126 火事場の中でも 最も恐ろしい現象の一つだ 277 00:17:24,209 --> 00:17:26,628 そのようなことが起こるのか… 278 00:17:26,712 --> 00:17:28,922 だが どうにも腑(ふ)に落ちんな 279 00:17:29,006 --> 00:17:33,010 鳥越殿は 火消一筋30年の手だれだろ 280 00:17:33,093 --> 00:17:36,513 そんなお方が 朱土竜のことを知らねえはずがねえ 281 00:17:36,597 --> 00:17:40,642 (風鈴の音) 282 00:17:40,726 --> 00:17:42,144 お待たせしました! 283 00:17:43,896 --> 00:17:46,065 -(左門)どうした? -(源吾)火事だ 284 00:17:46,148 --> 00:17:47,608 半鐘の音がする 285 00:17:48,233 --> 00:17:50,152 (半鐘の音) 286 00:17:50,235 --> 00:17:52,154 (町人たちの悲鳴) 287 00:17:52,237 --> 00:17:54,323 拙者には全く聞こえぬが… 288 00:17:54,406 --> 00:17:56,366 (源吾)日本橋 恐らく 289 00:17:56,450 --> 00:17:57,826 どっち側ですか? 290 00:17:57,910 --> 00:17:59,411 なんだ 急に 291 00:17:59,495 --> 00:18:01,163 (町人たちの悲鳴) 292 00:18:01,246 --> 00:18:02,414 西…? 293 00:18:02,498 --> 00:18:04,917 -(新之助)んっ! -(左門)おい どこ行く? 294 00:18:05,000 --> 00:18:06,001 (左門)あ… 295 00:18:06,752 --> 00:18:09,922 そう 母は日本橋に出かけておりました! 296 00:18:10,005 --> 00:18:11,131 お母上か! 297 00:18:11,215 --> 00:18:12,549 -(源吾)追うぞ! -(左門)うむ! 298 00:18:13,509 --> 00:18:15,427 (半鐘の音) 299 00:18:17,012 --> 00:18:19,890 (2人の荒い息遣い) 300 00:18:19,973 --> 00:18:21,183 秋代(あきよ)様! 301 00:18:21,266 --> 00:18:22,810 (秋代)ああ 折下様! 302 00:18:22,893 --> 00:18:25,020 (左門) 新之助と会いませんでしたか? 303 00:18:25,104 --> 00:18:26,772 新之助? いいえ 304 00:18:26,855 --> 00:18:28,941 (左門) 秋代様を捜しに火事場へ… 305 00:18:29,024 --> 00:18:31,193 なんてこと あのバカ! 306 00:18:31,276 --> 00:18:33,070 折下殿は母上を頼む 307 00:18:33,153 --> 00:18:36,448 新之助は 俺が必ず 連れて帰るゆえ 308 00:18:36,532 --> 00:18:38,200 (左門)分かった 頼むぞ! 309 00:18:38,283 --> 00:18:40,619 よろしくお願いいたします 310 00:18:42,079 --> 00:18:44,289 (新之助)母上! 母上! 311 00:18:44,373 --> 00:18:46,667 あっ 松永様 312 00:18:46,750 --> 00:18:49,586 母上は無事だ! 左門と一緒にいる 313 00:18:49,670 --> 00:18:52,339 (新之助)本当ですか! よかった 314 00:18:52,422 --> 00:18:54,091 源吾? 315 00:18:54,174 --> 00:18:55,843 金五郎のじいさん… 316 00:18:55,926 --> 00:18:57,344 やはり 源吾か 317 00:18:58,178 --> 00:19:00,097 おめえ 火消に戻ったのか? 318 00:19:01,932 --> 00:19:03,934 あっ 危ない! 319 00:19:04,017 --> 00:19:04,852 (源吾)あっ 320 00:19:07,688 --> 00:19:08,856 危ねえ! 321 00:19:09,648 --> 00:19:10,858 (金五郎)まっ 待て! 322 00:19:14,111 --> 00:19:15,863 (新之助)うわっ! 323 00:19:15,946 --> 00:19:19,157 危ない! あ… ありがとうございます 324 00:19:21,285 --> 00:19:22,119 ハッ 325 00:19:24,037 --> 00:19:25,372 くっ 326 00:19:25,998 --> 00:19:27,124 {\an8}(金五郎) おい! おめえら… 327 00:19:30,669 --> 00:19:31,628 {\an8}クソッ! 328 00:19:31,712 --> 00:19:34,631 源吾 おめえ… 329 00:19:34,715 --> 00:19:38,135 {\an8}漣次(れんじ)! 奥の長屋に まだ親子がいる! 330 00:19:41,096 --> 00:19:42,264 (漣次)合点! 331 00:19:43,098 --> 00:19:44,349 {\an8}(金五郎) 火消じゃねえなら 332 00:19:44,433 --> 00:19:46,643 {\an8}中途半端なこと するんじゃねえぞ 333 00:19:48,145 --> 00:19:50,606 大丈夫ですか? 先に行ってください 334 00:19:50,689 --> 00:19:52,399 私は さっきの親子を… 335 00:19:52,482 --> 00:19:56,737 (家屋が倒壊する音) 336 00:19:57,779 --> 00:20:00,949 クッソ 中を通って表に出るしかねえ 337 00:20:02,784 --> 00:20:05,621 (火消)頭たちが中にいる! 火を消せ~! 338 00:20:05,704 --> 00:20:06,705 (火消たち)おう! 339 00:20:09,791 --> 00:20:14,838 おい おめえら 何やってやがる! 親子は助けた 外に出るぞ! 340 00:20:14,922 --> 00:20:18,467 木戸は 炎に包まれ 中から外に出るしか… 341 00:20:18,550 --> 00:20:21,178 チッ おめえら 外に出るぞ! 342 00:20:21,261 --> 00:20:22,721 (火消たち)おー! 343 00:20:23,305 --> 00:20:27,309 (源吾の荒い息遣い) 344 00:20:30,812 --> 00:20:33,857 ハァ ハァ… 345 00:20:36,026 --> 00:20:39,363 ハァ ハァ ハァッ… 346 00:20:39,446 --> 00:20:40,906 うっ 347 00:20:40,989 --> 00:20:42,866 (火消1)大丈夫だ! 大したケガじゃねえ! 348 00:20:42,950 --> 00:20:45,869 (火消2)しっかりしろ もう火は消し止めたぞ! 349 00:20:51,959 --> 00:20:52,876 (源吾)あ… 350 00:20:54,419 --> 00:20:55,629 松永様! 351 00:20:55,712 --> 00:20:58,882 火は 金五郎さんたちのおかげで 消し止められました 352 00:20:58,966 --> 00:21:01,635 あの親子も 無事に助けられましたよ! 353 00:21:02,427 --> 00:21:03,887 松永様… 354 00:21:03,971 --> 00:21:06,390 (源吾)うっ… くっ 355 00:21:06,473 --> 00:21:08,016 ぐっ 356 00:21:09,685 --> 00:21:10,644 (新之助)あっ 357 00:21:10,727 --> 00:21:13,271 こんな火事場は初めてだぜ 358 00:21:13,355 --> 00:21:16,650 火事場は なんにも変わっちゃいねえよ 359 00:21:16,733 --> 00:21:18,026 いつも命懸けだ 360 00:21:18,110 --> 00:21:20,529 人の命の重さもな 361 00:21:20,612 --> 00:21:21,446 (源吾)ん… 362 00:21:22,864 --> 00:21:24,366 変わって見えるのは 363 00:21:24,449 --> 00:21:27,411 おめえが 変わっちまったからじゃねえのか? 364 00:21:27,494 --> 00:21:28,996 (新之助)あっ ああ… 365 00:21:32,374 --> 00:21:33,917 仲間を… 366 00:21:36,378 --> 00:21:39,131 仲間を集めるしかねえ! 367 00:21:39,214 --> 00:21:41,383 (鳥のさえずり) 368 00:21:42,092 --> 00:21:43,260 (着物を広げる音) 369 00:21:43,343 --> 00:21:44,720 (深雪)ああ… 370 00:21:52,561 --> 00:21:54,563 ♪~ 371 00:23:20,440 --> 00:23:22,442 {\an8}~♪