1 00:00:01,793 --> 00:00:03,253 (戸が開く音) (走ってくる足音) 2 00:00:04,337 --> 00:00:05,630 (左門(さもん))源吾(げんご)! 3 00:00:09,342 --> 00:00:11,302 新之助(しんのすけ)が… 4 00:00:12,095 --> 00:00:13,513 死んだ! 5 00:00:14,097 --> 00:00:15,098 (源吾)えっ? 6 00:00:19,769 --> 00:00:21,521 新之助が? 7 00:00:21,604 --> 00:00:23,398 なぜだ いつ! 8 00:00:23,481 --> 00:00:24,899 何があって? 9 00:00:25,942 --> 00:00:28,278 一刻(とき)ほど前のことだ 10 00:00:40,081 --> 00:00:41,791 (新之助) では 行ってまいります 11 00:00:41,875 --> 00:00:44,544 (秋代(あきよ)) はいはい 今日も精進なさい 12 00:00:45,336 --> 00:00:46,254 はい 13 00:01:14,532 --> 00:01:16,826 (鐘の音) 14 00:01:27,420 --> 00:01:30,465 (新之助) お久しぶりです 父上 15 00:01:30,548 --> 00:01:34,844 きのう 実は父上の日記を 読ませてもらいました 16 00:01:34,928 --> 00:01:39,057 毎日 何をして過ごしたか どこに火消(ひけし)に行ったか 17 00:01:39,140 --> 00:01:43,144 何を食べたか 事細かに書かれてあって 18 00:01:43,228 --> 00:01:45,522 父上らしいなって 19 00:01:46,231 --> 00:01:50,527 本当に バカ真面目な火消 だったんだなあって思いましたよ 20 00:01:51,236 --> 00:01:54,614 でも ちょっと うるっとくる場面もあったかな 21 00:01:56,199 --> 00:01:59,494 まったく 口下手すぎますよ 22 00:01:59,577 --> 00:02:01,830 私みたいに もっとおしゃべりだったら 23 00:02:01,913 --> 00:02:04,999 お互い 分かり合えてたかも しれないのに 24 00:02:05,083 --> 00:02:08,127 もっと いろいろ 直接 聞きたかったです 25 00:02:08,211 --> 00:02:11,256 父上が火消として 大事にしていたこと 26 00:02:11,339 --> 00:02:15,176 本当は 私に火消を目指して ほしいと思っていたこと 27 00:02:15,844 --> 00:02:18,513 もっともっと会話ができていれば 28 00:02:19,222 --> 00:02:23,476 まあ でも 私もいざとなったら 本音が言えないし 29 00:02:23,560 --> 00:02:26,020 その辺は 父上に似たのかな? 30 00:02:30,108 --> 00:02:31,401 もう行かないと 31 00:02:31,484 --> 00:02:34,404 また来ます 今度は母上も一緒に 32 00:02:35,155 --> 00:02:38,283 父上の言葉 御頭にも伝えますね 33 00:02:42,245 --> 00:02:42,954 {\an8}(半鐘の音) 34 00:02:42,954 --> 00:02:45,290 {\an8}(半鐘の音) 35 00:02:42,954 --> 00:02:45,290 ハッ 火事? 36 00:02:45,290 --> 00:02:47,917 {\an8}(半鐘の音) 37 00:02:49,460 --> 00:02:52,380 そんなに遠くない 品川(しながわ)? 38 00:02:52,463 --> 00:02:54,674 いや 目黒(めぐろ)の方か? 39 00:02:54,757 --> 00:02:57,677 (火事場のけん騒) 40 00:02:57,760 --> 00:03:00,680 (錫杖(しゃくじょう)の音) 41 00:03:00,763 --> 00:03:01,848 (新之助)あっ 42 00:03:02,724 --> 00:03:03,766 あいつは… 43 00:03:06,769 --> 00:03:08,271 秀助(ひですけ)! 44 00:03:12,775 --> 00:03:13,860 くっ 45 00:03:13,943 --> 00:03:15,194 {\an8}(半鐘の音) 46 00:03:15,194 --> 00:03:18,323 {\an8}(半鐘の音) 47 00:03:15,194 --> 00:03:18,323 今は 致し方なしか 48 00:03:29,042 --> 00:03:33,463 煙が黒すぎる 普通の火事とは様子が違う 49 00:03:35,548 --> 00:03:39,218 ああ すみません 火元がどこか 知っていますか? 50 00:03:39,302 --> 00:03:43,139 (紙拾い)えっ? 行人坂(ぎょうにんざか)の大円寺(だいえんじ)らしいけど? 51 00:03:43,223 --> 00:03:44,974 しかも 火付けだってよ 52 00:03:46,434 --> 00:03:48,144 火付け? 53 00:03:48,228 --> 00:03:52,482 行人坂なんて 目黒不動への 参詣客でいっぱいだろうに 54 00:03:52,565 --> 00:03:54,859 とてつもない被害が出てしまう 55 00:03:55,443 --> 00:03:57,862 もう… もう行っていいかい? 56 00:03:57,946 --> 00:04:01,199 ああ その前に 57 00:04:01,699 --> 00:04:05,620 私は 新庄藩(しんじょうはん)の 鳥越(とりごえ)新之助と申します 58 00:04:05,703 --> 00:04:07,830 これを礼に上屋敷に行って 59 00:04:07,914 --> 00:04:10,375 全火消を出すよう 言ってもらえますか? 60 00:04:10,458 --> 00:04:13,336 なっ あんた まさか ぼろ鳶(とび)かい? 61 00:04:13,419 --> 00:04:15,380 さては また火をつけたのか? 62 00:04:15,463 --> 00:04:19,008 私たちは 断じて火付けなど 致しません! 63 00:04:19,092 --> 00:04:20,468 あっ… 64 00:04:22,053 --> 00:04:23,680 お願いしますよ 65 00:04:23,763 --> 00:04:26,224 必ず みんなを呼んできてください 66 00:04:29,102 --> 00:04:32,021 (紙拾い)あっ ちょっ おい! 67 00:04:38,111 --> 00:04:40,279 あれは丹羽(にわ)家の… 68 00:04:41,322 --> 00:04:42,699 大谷(おおたに)殿! 69 00:04:42,782 --> 00:04:44,283 (助之丞(すけのじょう))これは鳥越殿 70 00:04:44,367 --> 00:04:46,035 私も手伝います! 71 00:04:47,829 --> 00:04:50,540 いろいろ大変なときに かたじけない 72 00:04:50,623 --> 00:04:54,210 寺には 我々の鳶たちが すでに向かいましたので 73 00:04:54,293 --> 00:04:57,171 鳥越殿には もう一方に来てもらえますか? 74 00:04:57,255 --> 00:04:58,923 はい もちろん! 75 00:04:59,007 --> 00:05:03,302 実は 上大崎(かみおおさき)の土蔵の隣にある楠(くす)の木から 76 00:05:03,386 --> 00:05:06,139 黒煙が噴出しているというのです 77 00:05:06,222 --> 00:05:08,057 しかし 火は見当たらず 78 00:05:08,141 --> 00:05:09,434 えっ? 79 00:05:09,517 --> 00:05:13,646 土蔵の周囲も 異様な熱さに 包まれているとのことで 80 00:05:13,730 --> 00:05:15,440 何かがおかしいのです 81 00:05:15,523 --> 00:05:17,358 すぐ向かいましょう! 82 00:05:18,276 --> 00:05:20,278 ♪~ 83 00:06:39,315 --> 00:06:41,317 {\an8}~♪ 84 00:06:54,497 --> 00:06:56,541 あんなに人が集まって! 85 00:06:59,252 --> 00:07:04,215 皆さん 近づかないでください! 何があるか分かりません! 86 00:07:04,298 --> 00:07:06,717 (男性) 誰だい? あんた 偉そうに 87 00:07:06,801 --> 00:07:10,012 えっ… あっ 私は… 88 00:07:12,723 --> 00:07:16,227 丹羽家の火消だ 道を空けよ! 89 00:07:31,117 --> 00:07:32,743 (犬のほえ声) 90 00:07:35,329 --> 00:07:37,957 中から いぶされているのか? 91 00:07:38,040 --> 00:07:42,628 急いで消さねば 周囲に燃え移り この辺一帯も火の海だ! 92 00:07:42,712 --> 00:07:44,797 -(助之丞)水を! -(火消たち)はっ! 93 00:07:49,969 --> 00:07:53,264 しかし なぜ このようなことが… 94 00:07:54,807 --> 00:07:57,351 (新之助) お前は なんでここにいるんだ? 95 00:07:57,435 --> 00:07:58,269 (ほえ声) 96 00:07:58,352 --> 00:08:01,397 どうした? 中に何かあるのか? 97 00:08:09,113 --> 00:08:10,281 熱っ! 98 00:08:10,364 --> 00:08:13,910 これは 朱土竜(あけもぐら)の兆候? 99 00:08:14,952 --> 00:08:16,621 朱土竜ですと? 100 00:08:16,704 --> 00:08:21,042 はい 味噌(みそ)や泥も 木枠に隙間なく塗り込まれています 101 00:08:21,125 --> 00:08:22,877 そんな… 102 00:08:22,960 --> 00:08:25,546 まさか これも狐火(きつねび)の仕業か? 103 00:08:26,589 --> 00:08:27,632 シッ 104 00:08:28,633 --> 00:08:33,554 (中から聞こえる 複数の犬の鳴き声) 105 00:08:33,638 --> 00:08:36,557 この声は… 犬? 106 00:08:37,892 --> 00:08:40,811 お前 仲間を助けてほしいのか? 107 00:08:40,895 --> 00:08:42,563 (ほえ声) 108 00:08:42,647 --> 00:08:44,690 中に犬もいると? 109 00:08:44,774 --> 00:08:46,442 そのようです 110 00:08:48,110 --> 00:08:52,031 皆さん ここは危険です 早く離れてください! 111 00:08:58,663 --> 00:09:02,124 鳥越殿 楠の木の方は対処しました 112 00:09:02,208 --> 00:09:04,919 あとは 我々も ここを離れましょう 113 00:09:05,002 --> 00:09:07,463 いえ 犬たちを置いては行けません 114 00:09:07,547 --> 00:09:11,592 でも 朱土竜ですよ? 鎮まるまで待つしかありません 115 00:09:11,676 --> 00:09:14,345 それだと 犬たちは死んでしまいます! 116 00:09:14,428 --> 00:09:16,847 まさか 開けるおつもりですか? 117 00:09:16,931 --> 00:09:18,224 はい 118 00:09:20,101 --> 00:09:22,144 私が助けてやるからな 119 00:09:22,228 --> 00:09:24,689 (助之丞) 正気ですか? 犬ですよ! 120 00:09:24,772 --> 00:09:27,149 開けたら あなただって ただじゃ済まない 121 00:09:27,942 --> 00:09:30,361 それが なんだって言うんですか? 122 00:09:30,444 --> 00:09:34,615 その犬ですら 仲間のために 火に立ち向かおうとしています 123 00:09:34,699 --> 00:09:37,368 そんな者を私は放っておけません 124 00:09:37,451 --> 00:09:41,497 {\an8}それに 火消は 命を救うのが本分 125 00:09:41,581 --> 00:09:42,707 {\an8}どんな命でも 126 00:09:42,790 --> 00:09:45,376 {\an8}たとえ 自分が死ぬとしても 127 00:09:45,459 --> 00:09:47,878 {\an8}私は 御頭から そう教わりました 128 00:09:47,962 --> 00:09:50,631 ですが これは明らかに罠(わな)です! 129 00:09:50,715 --> 00:09:52,258 大丈夫です 130 00:09:52,341 --> 00:09:55,636 朱土竜なら 前にも対処したことがあるので 131 00:09:55,720 --> 00:09:58,723 だから やるのは私だけでいいです 132 00:09:58,806 --> 00:10:01,434 大谷殿らは 住民たちの避難と 133 00:10:01,517 --> 00:10:05,021 土蔵を開けたあと 犬たちの確保をお願いします 134 00:10:05,104 --> 00:10:07,398 お前も あっちへ行っておいで 135 00:10:07,481 --> 00:10:08,482 (犬のほえ声) 136 00:10:10,109 --> 00:10:12,028 鳥越殿… 137 00:10:15,990 --> 00:10:19,535 このまま開けてしまえば 私も犬たちも終わり 138 00:10:19,619 --> 00:10:23,164 それくらいのこと 私だって学んできたんですよ 139 00:10:25,499 --> 00:10:28,210 屋根を開けることは無理か 140 00:10:28,294 --> 00:10:31,172 どこか火を逃がせる箇所はないか 141 00:10:37,762 --> 00:10:40,056 あの小窓なら… 142 00:10:46,020 --> 00:10:47,313 お借りします! 143 00:10:47,396 --> 00:10:48,648 (火消)えっ? 144 00:10:57,490 --> 00:10:58,324 くっ 145 00:10:59,408 --> 00:11:01,577 このっ! 146 00:11:07,416 --> 00:11:09,919 あっ 父上…? 147 00:11:13,005 --> 00:11:13,839 くっ 148 00:11:15,174 --> 00:11:16,175 あっ! 149 00:11:17,468 --> 00:11:19,970 んっ! くっ! 150 00:11:20,679 --> 00:11:25,267 父上 私は あなたを軽蔑していました 151 00:11:25,351 --> 00:11:29,647 犬を助けるために 家族を残して死んでいったあなたを 152 00:11:29,730 --> 00:11:33,025 いつも私に 何か言いたそうにしているのに 153 00:11:33,109 --> 00:11:36,237 何も言わずに黙っているその姿を 154 00:11:53,879 --> 00:11:56,674 母上が時々言うんです 155 00:11:56,757 --> 00:11:58,926 私と父は似てるって 156 00:11:59,009 --> 00:12:01,846 どこがですかって思ってましたけど 157 00:12:01,929 --> 00:12:04,390 でも やっと分かりました 158 00:12:05,266 --> 00:12:09,437 武士も火消も その本分は命を守ること 159 00:12:09,520 --> 00:12:14,275 (蔵之介(くらのすけ))ならば 私は新之助にも 火消の道を選んでもらいたい 160 00:12:14,358 --> 00:12:19,029 (新之助) やはり私は 父上に似てますね 161 00:12:20,448 --> 00:12:21,907 はーっ! 162 00:12:26,120 --> 00:12:27,204 はっ 163 00:12:30,875 --> 00:12:34,044 お前たち 今すぐ助けてやるからな! 164 00:12:38,507 --> 00:12:40,926 (爆発音) 165 00:12:45,347 --> 00:12:46,724 (源吾)犬のため? 166 00:12:47,308 --> 00:12:49,602 蔵之介殿と同じではないか 167 00:12:51,228 --> 00:12:53,022 俺のせいだ 168 00:12:53,105 --> 00:12:55,816 俺が新之助に あんなことを言わなければ… 169 00:12:56,484 --> 00:12:58,569 火消に無駄死になんてねえよ 170 00:12:58,652 --> 00:13:02,281 火消の本分は命を守ること それ以外にねえ 171 00:13:02,364 --> 00:13:05,284 それが どんな命でもですか? 172 00:13:05,367 --> 00:13:09,038 たとえ 自分が死ぬと分かっていても? 173 00:13:09,121 --> 00:13:10,498 そうだ 174 00:13:11,582 --> 00:13:14,335 違う! お主のせいではない 175 00:13:14,418 --> 00:13:18,297 土蔵に朱土竜を仕込み 犬を押し込めたヤツが悪いのだ! 176 00:13:19,215 --> 00:13:21,300 (すすり泣き) 177 00:13:26,514 --> 00:13:30,392 俺に関わると みんな 命を失う 178 00:13:31,310 --> 00:13:34,688 俺にはもう 火消はできねえ 179 00:13:36,148 --> 00:13:37,483 ふざけるな! 180 00:13:37,566 --> 00:13:40,152 お主が行かねば 誰が命を救う? 181 00:13:40,236 --> 00:13:43,989 命を一義と考える火消は 我ら新庄藩のみぞ! 182 00:13:46,033 --> 00:13:48,619 火は今まだ 町じゅうにくすぶっておる 183 00:13:48,702 --> 00:13:51,747 そのうち 業火となって 江戸中に広がるだろう 184 00:13:51,831 --> 00:13:54,750 ここに火が及ぶのも時間の問題 185 00:13:54,833 --> 00:13:57,503 私はお主をここから解き放つ 186 00:13:57,586 --> 00:14:00,256 たとえ 腹を切ることになろうとも かまわぬ! 187 00:14:01,090 --> 00:14:03,509 (牢番(ろうばん)) あなたに そのような権限は… 188 00:14:05,469 --> 00:14:06,512 -(左門)んっ! -(牢番)うっ 189 00:14:13,310 --> 00:14:15,771 (源吾) 無理だ 俺には もう消せない 190 00:14:15,855 --> 00:14:19,650 (左門)うるさい! なんとしてでも引っ張り出してやる 191 00:14:21,860 --> 00:14:26,031 さあ出ろ 源吾 私は腹を切る覚悟ができている 192 00:14:26,115 --> 00:14:28,033 お主も覚悟を決めろ! 193 00:14:32,621 --> 00:14:36,041 14年前の飯田町(いいだまち)の火事を 覚えているか? 194 00:14:37,293 --> 00:14:38,544 飯田町? 195 00:14:39,211 --> 00:14:42,339 (左門) よわい19の私は そこに居合わせた 196 00:14:42,423 --> 00:14:46,885 行灯屋(あんどんや)は激しく燃え盛り 今にも崩れ落ちそうになっていた 197 00:14:46,969 --> 00:14:52,182 中には 子供が取り残され もう助からぬと皆が言った 198 00:14:52,266 --> 00:14:58,105 (家臣) 姫様ー! 誰か… 姫様をー! 199 00:14:58,188 --> 00:14:59,064 (左門)だが どうだ 200 00:14:59,732 --> 00:15:03,944 私と年も変わらぬ若者が 勇敢にも飛び込んでいった 201 00:15:04,862 --> 00:15:06,405 それは誰だ! 202 00:15:15,122 --> 00:15:18,834 ケガを負い 夢にもがいた力士 203 00:15:18,918 --> 00:15:22,296 愛のために道を踏み外した軽業師 204 00:15:22,379 --> 00:15:26,008 殻に籠もり 孤独に生きていた学者 205 00:15:26,091 --> 00:15:28,385 そして 父を拒み 206 00:15:28,469 --> 00:15:31,722 父と同じ道をたどった火消 207 00:15:32,348 --> 00:15:34,767 人は 何度でも立ち直る 208 00:15:34,850 --> 00:15:38,270 そう教えたのは誰だ! 火喰鳥(ひくいどり)! 209 00:15:38,354 --> 00:15:39,480 あっ 210 00:15:40,189 --> 00:15:41,690 (寅次郎(とらじろう))御頭 211 00:15:41,774 --> 00:15:42,942 (彦弥(ひこや))御頭! 212 00:15:43,442 --> 00:15:44,401 (星十郎(せいじゅうろう))御頭 213 00:15:45,110 --> 00:15:46,195 御頭! 214 00:15:52,660 --> 00:15:54,536 {\an8}新之助は死んでねえ 215 00:15:58,123 --> 00:16:00,584 あいつの志は共にある 216 00:16:01,126 --> 00:16:02,127 (左門)うむ 217 00:16:04,838 --> 00:16:06,423 (源吾)深雪(みゆき)は今どこにいる? 218 00:16:06,507 --> 00:16:10,135 新庄藩の者と一緒に 深川(ふかがわ)へ避難している 219 00:16:10,219 --> 00:16:14,807 私は約束したのだ お主をここから必ず解き放つと! 220 00:16:14,890 --> 00:16:16,308 (源吾)うむ 221 00:16:17,893 --> 00:16:20,062 (六右衛門(ろくえもん)) 待て! 何をしておる 222 00:16:21,063 --> 00:16:25,317 折下(おりしも) そのようなことをして ただで済むと思っておるのか? 223 00:16:25,401 --> 00:16:27,695 腹を切る所存でございます! 224 00:16:27,778 --> 00:16:31,448 ハッ お前の腹だけで 許されるものか! 225 00:16:33,993 --> 00:16:38,372 腹を切る 人を斬る 縁を切る 226 00:16:38,455 --> 00:16:43,210 武士の役目とは まっこと不便なものよのう? 松永(まつなが) 227 00:16:46,004 --> 00:16:47,798 お主も武士の端くれ 228 00:16:47,881 --> 00:16:52,094 今 このとき 己の役目を心得ておるだろうな? 229 00:16:52,720 --> 00:16:55,848 はっ 火を斬ることにございます 230 00:16:55,931 --> 00:16:58,851 よし 行け! 切り放つ 231 00:16:58,934 --> 00:17:00,227 (2人)あっ 232 00:17:00,310 --> 00:17:04,690 ただし 火を収めたのち 戻らなければ死罪 233 00:17:04,773 --> 00:17:06,984 わしに腹を切らすなよ 234 00:17:07,067 --> 00:17:08,360 はっ! 235 00:17:13,365 --> 00:17:15,576 (半鐘の音) 236 00:17:15,659 --> 00:17:17,745 (左門)源吾! 永代橋(えいたいばし)だ! 237 00:17:17,828 --> 00:17:20,581 そこに 寅次郎と星十郎たちがいる 238 00:17:30,924 --> 00:17:33,844 (町人たちの悲鳴) 239 00:17:47,441 --> 00:17:49,860 ん? あいつは… 240 00:17:56,033 --> 00:17:57,117 (藤五郎(とうごろう))ヘッ 241 00:17:59,703 --> 00:18:01,371 あっ 待て! 242 00:18:03,207 --> 00:18:05,250 (馬のいななき) 243 00:18:14,718 --> 00:18:15,803 ヘッ 244 00:18:20,224 --> 00:18:22,643 順番に! 慌てすぎずに! 245 00:18:24,728 --> 00:18:27,689 (星十郎)かなりの人数が 押し寄せてきている 246 00:18:28,232 --> 00:18:31,568 このままでは 橋が崩落してしまう 247 00:18:34,279 --> 00:18:35,405 そうか 248 00:18:37,491 --> 00:18:39,576 {\an8}(寅次郎)ゆっくりで 大丈夫ですから 249 00:18:37,491 --> 00:18:39,576 寅次郎さん あと お願いします! 250 00:18:39,576 --> 00:18:39,660 寅次郎さん あと お願いします! 251 00:18:39,660 --> 00:18:40,744 寅次郎さん あと お願いします! 252 00:18:39,660 --> 00:18:40,744 {\an8}こちらへ 253 00:18:41,745 --> 00:18:43,664 えっ 先生? 254 00:18:43,747 --> 00:18:45,415 待て! てめえら! 255 00:18:47,501 --> 00:18:49,419 あ… クソッ 256 00:19:02,474 --> 00:19:03,684 深雪? 257 00:19:08,772 --> 00:19:11,066 (深雪)ハァ ハァ… 258 00:19:13,152 --> 00:19:14,695 (源吾)深雪! 259 00:19:15,696 --> 00:19:17,322 旦那様? 260 00:19:22,744 --> 00:19:23,871 ハァ… 261 00:19:23,954 --> 00:19:24,955 (源吾)深雪! 262 00:19:26,540 --> 00:19:27,749 (深雪)旦那様 263 00:19:28,292 --> 00:19:29,334 旦那様! 264 00:19:35,424 --> 00:19:36,592 深雪! 265 00:19:39,178 --> 00:19:40,304 あっ 266 00:19:44,892 --> 00:19:46,351 旦那様…! 267 00:19:47,227 --> 00:19:48,854 あっ… 268 00:19:48,937 --> 00:19:51,607 {\an8}心配をかけて すまなかった 269 00:19:51,690 --> 00:19:53,734 {\an8}俺は このとおりだ 270 00:19:55,527 --> 00:19:57,738 ご無事で何よりでございます 271 00:20:02,618 --> 00:20:03,619 あ… 272 00:20:08,874 --> 00:20:11,501 旦那様に 渡したい物がございます 273 00:20:17,591 --> 00:20:19,760 父の刀にございます 274 00:20:22,471 --> 00:20:24,139 右膳(うぜん)殿の… 275 00:20:24,222 --> 00:20:28,936 万が一のとき 父の魂が旦那様を守ってくれるよう 276 00:20:29,019 --> 00:20:30,479 お預け致します 277 00:20:30,562 --> 00:20:31,396 そして… 278 00:20:35,233 --> 00:20:36,902 これは…! 279 00:20:36,985 --> 00:20:39,529 もう お召しになっても いいころでは? 280 00:20:41,031 --> 00:20:42,407 だが… 281 00:20:43,158 --> 00:20:44,618 14年前の 282 00:20:44,701 --> 00:20:47,788 飯田町 行灯屋の火事のことを 覚えていますか? 283 00:20:48,372 --> 00:20:51,667 ああ さっき 左門からも同じことを 284 00:20:51,750 --> 00:20:53,335 そうですか 285 00:20:53,418 --> 00:20:56,088 左門さんも あの場に いらっしゃったのですね 286 00:20:56,672 --> 00:20:59,383 全ては 運命だったのかもしれません 287 00:20:59,883 --> 00:21:01,551 ん? 288 00:21:02,594 --> 00:21:05,430 “その恐怖 喰ってやれ!” 289 00:21:05,514 --> 00:21:06,932 (源吾)あっ! 290 00:21:07,683 --> 00:21:09,393 その恐怖 291 00:21:09,977 --> 00:21:11,311 喰ってやれ! 292 00:21:16,233 --> 00:21:19,278 まさか お前 あのときの… 293 00:21:20,404 --> 00:21:21,780 (深雪)ウフッ 294 00:21:21,863 --> 00:21:23,949 ああ… 295 00:21:24,032 --> 00:21:26,660 言ってくれりゃあよかったのに 296 00:21:26,743 --> 00:21:27,744 (深雪)ウフフッ 297 00:21:28,745 --> 00:21:31,665 (源吾)ああ… ハハッ 298 00:21:32,374 --> 00:21:35,335 あのとき あの火を斬った旦那様なら 299 00:21:35,419 --> 00:21:38,797 必ず この大火も 消し止められると信じております 300 00:21:39,840 --> 00:21:43,427 火の神様に 人の強さを思い知らせてください! 301 00:21:44,094 --> 00:21:44,928 おう! 302 00:22:11,038 --> 00:22:13,040 ♪~ 303 00:23:38,917 --> 00:23:40,919 {\an8}~♪