1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 ⸨セラ:な… なんだ!? 2 00:00:04,004 --> 00:00:07,007 (ヴェーオル)セラ! 儂の嫁になれ!⸩ 3 00:00:09,676 --> 00:00:14,348 夢!? あの蛮族の? なぜ…。 4 00:00:14,348 --> 00:00:17,684 (いびき) 5 00:00:17,684 --> 00:00:20,520 なんの音… だ? 6 00:00:20,520 --> 00:00:22,623 (いびき) 7 00:00:26,026 --> 00:00:28,028 うっ! 8 00:00:28,028 --> 00:00:30,030 あっ… あぁっ! 9 00:00:30,030 --> 00:00:32,032 うわぁ~っ! 10 00:02:14,001 --> 00:02:16,003 (セラ)わぁ~っ! 11 00:02:16,003 --> 00:02:18,005 あっ… あぁっ! 12 00:02:18,005 --> 00:02:22,009 な… な な なぜ 貴様が ここにいる!? 13 00:02:22,009 --> 00:02:24,011 (ヴェーオル)なぜ だと? 14 00:02:24,011 --> 00:02:27,681 自分の寝床で寝ていて 何か 問題があるか? 15 00:02:27,681 --> 00:02:29,683 はぁ? 16 00:02:29,683 --> 00:02:34,021 ひっ! なぜ 私が 貴様の寝室にいる!? 17 00:02:34,021 --> 00:02:38,025 そして なんで 全裸!? 朝から かしましいのう…。 18 00:02:38,025 --> 00:02:41,695 昨晩のアレがあったにしては 元気で結構。 19 00:02:41,695 --> 00:02:45,365 ハッハッハッハッハ…。 えっ? あっ…。 20 00:02:45,365 --> 00:02:48,201 《昨晩のアレ? 21 00:02:48,201 --> 00:02:51,872 覚えていないが 思い出したくない!》 22 00:02:51,872 --> 00:02:55,542 と… というか 貴様 昨日 無理強いはしないと➨ 23 00:02:55,542 --> 00:02:58,545 言っていたはずでは? まっ 細かいことは➨ 24 00:02:58,545 --> 00:03:02,315 よいではないか。 乙女の純潔を些末事扱いするな! 25 00:03:02,315 --> 00:03:04,317 この ケダモノが! あっ…。 26 00:03:04,317 --> 00:03:08,155 《というか 待て… 蛮族の捕虜になっただけでも➨ 27 00:03:08,155 --> 00:03:11,658 家名の名折れなのに やつの子を孕みでもしたら➨ 28 00:03:11,658 --> 00:03:14,561 祖国の敵を産み増やすことに!?》 29 00:03:16,496 --> 00:03:18,498 今すぐ 私を斬れ! 30 00:03:18,498 --> 00:03:21,334 ぐえっ! なぜに そうなる? 31 00:03:21,334 --> 00:03:26,006 儂を斬ろうとするならともかく なにゆえ 死にたがる。 32 00:03:26,006 --> 00:03:28,008 くっ…。 33 00:03:28,008 --> 00:03:30,010 貴様には わかるまい。 34 00:03:30,010 --> 00:03:33,013 戦で負けて 生き恥をさらし 挙げ句の果てに➨ 35 00:03:33,013 --> 00:03:36,016 丸腰の相手に逆上し 斬りかかるなど➨ 36 00:03:36,016 --> 00:03:39,019 騎士の誇りにもとる行為…。 37 00:03:39,019 --> 00:03:42,689 ならば! これ以上 面目が立たなくなる前に➨ 38 00:03:42,689 --> 00:03:46,193 いっそ ひと思いに 殺してくれ と言っているのだ! 39 00:03:46,193 --> 00:03:50,030 それはまた 難儀なことだのう。 40 00:03:50,030 --> 00:03:54,534 な… 難儀だと!? 難儀に決まっておろうが。 41 00:03:54,534 --> 00:03:57,704 面目や生き恥ごときで 死なねばならんのか? 42 00:03:57,704 --> 00:04:01,308 ごとき? 面目や生き恥ごときと 言ったか!? 43 00:04:01,308 --> 00:04:03,977 貴様ら蛮族にとっては ごときでも➨ 44 00:04:03,977 --> 00:04:06,313 その誇りだけが 貴族の…。 (ツェツィ)ヴェーオル様。 45 00:04:06,313 --> 00:04:09,649 お着替え 乾きましたよ~。 46 00:04:09,649 --> 00:04:11,985 後遺症なく 目覚めたんですね。 47 00:04:11,985 --> 00:04:13,987 運がいい。 (セラ)はぁ? 48 00:04:13,987 --> 00:04:17,991 昨日 ヴェーオル様が 外から戻られたあと…。 49 00:04:17,991 --> 00:04:20,994 ⸨うっ… オロロロ…⸩ 50 00:04:20,994 --> 00:04:23,663 (ツェツィ)戦場で捕らえた際の 眠りの秘薬が➨ 51 00:04:23,663 --> 00:04:28,001 少しばかり多量で 急に ゲロ吐いて ぶっ倒れたんですからね。 52 00:04:28,001 --> 00:04:32,005 ゲッ…。 あれには 冷や汗をかいたぞ。 53 00:04:32,005 --> 00:04:34,674 倒れたって… それは…。 54 00:04:34,674 --> 00:04:38,678 昨晩のアレとは… そのこと? 55 00:04:38,678 --> 00:04:43,517 いや すまぬ… つい 日ごろの 儂らの分量で使ってのう…。 56 00:04:43,517 --> 00:04:47,687 麻痺毒の一種ゆえ 大事をとって 部屋で寝かせた。 57 00:04:47,687 --> 00:04:51,024 麻痺毒!? 血の巡りを遅くもするから➨ 58 00:04:51,024 --> 00:04:53,360 止血薬にもなるな。 59 00:04:53,360 --> 00:04:56,363 つまり 何もしてない と? 60 00:04:56,363 --> 00:04:59,366 薬量を少々間違えた以外はな。 61 00:04:59,366 --> 00:05:03,303 嫁にすると言ったそばから 死なれては困るわ。 62 00:05:03,303 --> 00:05:05,305 まぎらわしいわ! 63 00:05:05,305 --> 00:05:07,641 剣をよこせ! 叩き斬ってやる! 64 00:05:07,641 --> 00:05:11,311 ハハハハ! それだけ元気なら 心配ないな。 65 00:05:11,311 --> 00:05:14,981 朝餉の支度も ムダにならずに済みそうだ。 66 00:05:14,981 --> 00:05:17,651 朝餉? うむ。 67 00:05:17,651 --> 00:05:20,654 戦場より 丸1日は 何も食っておらんのだ。 68 00:05:20,654 --> 00:05:23,657 腹もすくだろう。 居間で待っておるから➨ 69 00:05:23,657 --> 00:05:27,360 落ち着いたら 来るがいい。 ちょ… 待て! 70 00:05:30,664 --> 00:05:33,333 はぁ…。 71 00:05:33,333 --> 00:05:39,005 まさか 騎士である この私が 蛮族に囲われるなど…。 72 00:05:39,005 --> 00:05:41,675 《おじい様…》 73 00:05:41,675 --> 00:05:45,345 ⸨ガディウス:孫のお前に頼まれて 俺の剣を教えたが➨ 74 00:05:45,345 --> 00:05:47,681 天稟がありすぎた。 75 00:05:47,681 --> 00:05:50,016 男だったなら…。 76 00:05:50,016 --> 00:05:56,022 せめて 騎士を諦められれば どれだけ 幸せであったことか⸩ 77 00:05:56,022 --> 00:05:59,960 ⸨シディウス:セラフィーナ… 縁談を また反故にしたのか。 78 00:05:59,960 --> 00:06:01,962 女の身で騎士でいたいなど➨ 79 00:06:01,962 --> 00:06:04,464 一体 いつまで わがままを言う気だ? 80 00:06:04,464 --> 00:06:07,467 筆頭騎士の箔づけなら もう 十分だ。 81 00:06:07,467 --> 00:06:10,637 奇特な貰い手があるうちに嫁げ。 82 00:06:10,637 --> 00:06:13,640 剣で 政は動かん⸩ 83 00:06:13,640 --> 00:06:15,642 《兄様…》 84 00:06:15,642 --> 00:06:18,979 ⸨ヴェーオル:そなたの剣筋は 実に まっすぐであったぞ。 85 00:06:18,979 --> 00:06:21,481 一目惚れするほどに⸩ 86 00:06:21,481 --> 00:06:24,985 はっ! い… 今さら 特に磨いてもいない➨ 87 00:06:24,985 --> 00:06:26,987 女を求められても困る! 88 00:06:26,987 --> 00:06:29,656 って… 困るって なんだ! 困るって! 89 00:06:29,656 --> 00:06:32,993 相手は蛮族で 私は今 やつらの捕虜! 90 00:06:32,993 --> 00:06:35,662 それ以上でも以下でもない! 91 00:06:35,662 --> 00:06:38,331 《そう… 捕虜の朝餉など➨ 92 00:06:38,331 --> 00:06:41,501 最低限のエサを 与えられる程度に違いない。 93 00:06:41,501 --> 00:06:44,671 自尊心をくじくには 食事というからな。 94 00:06:44,671 --> 00:06:49,342 騎士として 粗末な行軍食に 親しんだ身を甘く見るなよ! 95 00:06:49,342 --> 00:06:55,682 東征の大家 ラヴィラントに連なる者の… 大貴族の意地を見せてやる!》 96 00:06:55,682 --> 00:06:58,351 (ヴェーオル)おぉ 来たか セラ。 あっ…。 97 00:06:58,351 --> 00:07:00,954 さぁ 座れ! 98 00:07:00,954 --> 00:07:03,623 肉だと~!? 99 00:07:03,623 --> 00:07:06,626 《なんだ!? この… 脂ののった肉は。 100 00:07:06,626 --> 00:07:10,297 我が家でも そうそう… いや 土地の痩せた➨ 101 00:07:10,297 --> 00:07:13,967 我が祖国では 決して お目にかかれないほどの…》 102 00:07:13,967 --> 00:07:17,637 西の女戦士が食べる量は 今ひとつ わからぬが➨ 103 00:07:17,637 --> 00:07:19,806 四半分もあれば 足りるだろう。 104 00:07:19,806 --> 00:07:21,975 あぁ~っ! 105 00:07:21,975 --> 00:07:24,978 《四半分って! 私の胴より あるんじゃないか!? 106 00:07:24,978 --> 00:07:28,648 これは なんだ!? なんの目的で これほどの待遇を?》 107 00:07:28,648 --> 00:07:31,318 どうした? 食わんのか? 108 00:07:31,318 --> 00:07:34,988 そうか わかったぞ 貴様の魂胆…。 109 00:07:34,988 --> 00:07:38,658 かような贅沢をさせて 騎士の心根をくじき➨ 110 00:07:38,658 --> 00:07:41,661 いずれ 私を飼いならそうとする 腹づもりだな!? 111 00:07:41,661 --> 00:07:43,997 はぁ? ともかく! 112 00:07:43,997 --> 00:07:47,667 蛮族の施しなど受けるくらいなら 餓死を選ぶぞ! 113 00:07:47,667 --> 00:07:50,003 (お腹の鳴る音) 114 00:07:50,003 --> 00:07:53,840 《ここ一番で鳴るか! 私の腹の虫!》 115 00:07:53,840 --> 00:07:58,345 くっ… 殺せ! それは 口ぐせなのか? 116 00:07:58,345 --> 00:08:01,948 腹が鳴るなら 体は まだ生きたいと言っておる。 117 00:08:01,948 --> 00:08:06,619 それでも食わぬは 己にウソをつくのと 何も変わらぬ。 118 00:08:06,619 --> 00:08:10,790 何より この肉として狩られた命も 報われぬ。 119 00:08:10,790 --> 00:08:14,961 遊びではなく 生きるために 命を奪うは 道理である。 120 00:08:14,961 --> 00:08:19,299 そちらの理屈とて 大元は そうであろう? 121 00:08:19,299 --> 00:08:23,303 まぁ なんだ… いいから 四の五の言わずに 食え! 122 00:08:23,303 --> 00:08:25,638 うまいぞ! うっ…。 123 00:08:25,638 --> 00:08:29,042 《この笑顔… くっ!》 124 00:08:30,977 --> 00:08:33,980 なんだ? 端女。 僭越ながら➨ 125 00:08:33,980 --> 00:08:37,984 ヴェーオル様は 当然だと思って おっしゃりませんが➨ 126 00:08:37,984 --> 00:08:41,988 この獲物 あなたを歓迎するために わざわざ 狩ってきたものです。 127 00:08:41,988 --> 00:08:46,993 か… 歓迎!? 昨日 あなたを連れてきた後➨ 128 00:08:46,993 --> 00:08:49,662 目覚めた時には 馳走を食わせてやろう と➨ 129 00:08:49,662 --> 00:08:54,000 単身で狩りを。 ヴェーオル様は名も実もあるお方。 130 00:08:54,000 --> 00:08:56,669 西でいう 王族のようなものですよね。 131 00:08:56,669 --> 00:09:01,274 まぁ… 大族長とやらの嫡子なら 皇子 といえるか。 132 00:09:01,274 --> 00:09:03,610 その方が あなたをもてなすため➨ 133 00:09:03,610 --> 00:09:05,945 礼を尽くして 獲物を狩ってきました。 134 00:09:05,945 --> 00:09:09,282 無下に断るのは 貴族として 無作法なのでは? 135 00:09:09,282 --> 00:09:11,284 あっ…。 136 00:09:13,286 --> 00:09:15,955 いいだろう… そこまでの礼儀に応えぬのは➨ 137 00:09:15,955 --> 00:09:18,258 たしかに 騎士の名折れ。 138 00:09:20,293 --> 00:09:23,630 だが もし つまらぬもの… やわっ! 139 00:09:23,630 --> 00:09:26,633 えっ! あぁ…。 140 00:09:31,471 --> 00:09:34,474 《うまっ! 141 00:09:34,474 --> 00:09:37,644 やわらかな肉質と あふれる肉汁! 142 00:09:37,644 --> 00:09:39,646 独特のくせがありながら➨ 143 00:09:39,646 --> 00:09:42,982 それを風味と感じさせる 圧倒的な旨み! 144 00:09:42,982 --> 00:09:46,653 イルドレンでは おそらく 王族でも食べることは不可能。 145 00:09:46,653 --> 00:09:50,323 あぁ 贅沢… 贅沢すぎる!》 146 00:09:50,323 --> 00:09:52,992 どうだ? うまかろう。 うぇっ! 147 00:09:52,992 --> 00:09:56,663 た… たしかに こ これほどのものを出されて➨ 148 00:09:56,663 --> 00:10:01,000 文句は言えん。 貴様の嫁になるかはともかく➨ 149 00:10:01,000 --> 00:10:04,003 薬の一件は 水に流してやっていい。 150 00:10:04,003 --> 00:10:06,673 ハハハ! それなら 結構。 151 00:10:06,673 --> 00:10:11,010 それにしても 美味だが… なんの肉だ? これは。 152 00:10:11,010 --> 00:10:13,012 見るか? あっ…。 153 00:10:13,012 --> 00:10:15,348 血抜きと モツ抜きは 山で済ませたが➨ 154 00:10:15,348 --> 00:10:18,518 肉は 裏庭で解体中だ。 155 00:10:18,518 --> 00:10:21,688 気になるなら そこの窓から見られるぞ。 156 00:10:21,688 --> 00:10:24,357 《し… 知りたい! 157 00:10:24,357 --> 00:10:29,028 その生物 もしも 祖国で 繁殖可能なら あるいは…》 158 00:10:29,028 --> 00:10:33,700 (ヴェーオル)このあたりでは わりとよく獲れる生物でな。 159 00:10:33,700 --> 00:10:35,702 うんっ!? 160 00:10:35,702 --> 00:10:37,704 (ヴェーオル)名を 竜という。 161 00:10:37,704 --> 00:10:41,541 (セラ)りゅ… 竜~っ!? 162 00:10:41,541 --> 00:10:45,712 こ… これは 竜の肉なのか? うむ。 163 00:10:45,712 --> 00:10:51,551 あの! 伝説上の! 空を飛ぶ怪物!? 164 00:10:51,551 --> 00:10:53,720 (ヴェーオル)西では そうらしいな。 165 00:10:53,720 --> 00:10:55,722 (セラ)火吹き袋があるとか! 166 00:10:55,722 --> 00:10:58,391 身には 毒があると 伝わっている 竜が!? 167 00:10:58,391 --> 00:11:01,661 どちらもいるが 種類が違うな。 168 00:11:01,661 --> 00:11:06,666 のう セラ それはそれとして…。 169 00:11:06,666 --> 00:11:09,836 食べる速度は 落ちんな。 170 00:11:09,836 --> 00:11:13,673 いや! その… 美味なものは 美味なものだし…。 171 00:11:13,673 --> 00:11:16,376 ハハハハハ! 172 00:11:18,344 --> 00:11:22,048 (ツェツィ)当面 死ぬ気は失せたっぽいですね。 173 00:11:25,018 --> 00:11:27,520 (セラ)外に出られる… だと? 174 00:11:27,520 --> 00:11:31,691 うむ。 裏手の山に 見せたいものがあってな。 175 00:11:31,691 --> 00:11:36,696 なんだ? 竜が 蜂の巣を食ったような顔をして。 176 00:11:36,696 --> 00:11:41,034 その言葉 そう易々と 鵜呑みにできるはずがなかろう。 177 00:11:41,034 --> 00:11:43,036 (ヴェーオル)ふむ… 信用ならんと? 178 00:11:43,036 --> 00:11:46,372 当たり前だ! 捕虜になって まだ 2日目だぞ! 179 00:11:46,372 --> 00:11:49,208 いや… 日数の問題とかではなく➨ 180 00:11:49,208 --> 00:11:53,379 奇怪な生物の棲む土地を歩くなど 常識的に考えても➨ 181 00:11:53,379 --> 00:11:56,716 ありえんだろう! 常識と言われてもな…。 182 00:11:56,716 --> 00:11:59,052 所変われば 常識も変わる。 183 00:11:59,052 --> 00:12:03,156 生物や文化の違いも まぁ… その一つだな。 184 00:12:03,156 --> 00:12:06,159 それとも なんだ… 怖いのか? 185 00:12:06,159 --> 00:12:08,161 うっ… うぅ…。 186 00:12:08,161 --> 00:12:12,332 まったく… 貴様の口車に 乗せられた気が➨ 187 00:12:12,332 --> 00:12:16,002 しないでもないが… くれぐれも勘違いはするなよ! 188 00:12:16,002 --> 00:12:20,006 私は 貴様らに 心を 許したわけではないのだからな。 189 00:12:20,006 --> 00:12:23,843 わかっておる。 だが… それでも この地を見れば➨ 190 00:12:23,843 --> 00:12:27,680 きっと 気に入るぞ。 フン! 何を根拠に…。 191 00:12:27,680 --> 00:12:31,384 根拠などない。 儂の勘だ 勘! 192 00:12:41,361 --> 00:12:43,363 あっ…。 193 00:12:59,045 --> 00:13:02,315 どうかしたのか? いや…。 194 00:13:02,315 --> 00:13:07,320 想像以上に自然豊かな 恵まれた地なのか… と。 195 00:13:07,320 --> 00:13:09,989 戦地は 荒野にも等しい枯れ地だが➨ 196 00:13:09,989 --> 00:13:13,993 この地本来の息吹は とても力強い。 197 00:13:13,993 --> 00:13:16,829 驚きすぎて 腰が抜けぬといいが。 なっ! 198 00:13:16,829 --> 00:13:19,332 バカにするな! 199 00:13:19,332 --> 00:13:24,337 《この蛮族め… 竜と この景色は不意打ちゆえだ。 200 00:13:24,337 --> 00:13:26,339 何を見せる気か知らないが➨ 201 00:13:26,339 --> 00:13:30,043 心構えをすれば そうそう 驚くものか!》 202 00:13:41,854 --> 00:13:43,856 生き物も豊か…。 203 00:13:43,856 --> 00:13:46,025 (竜の鳴き声) 204 00:13:46,025 --> 00:13:49,362 竜は こちらでは どこにでもいる獣の一つだ。 205 00:13:49,362 --> 00:13:53,533 狩れば手強いが 仔竜のいる巣に近づかなければ➨ 206 00:13:53,533 --> 00:13:58,371 人に構わんしな。 そんな簡単に 馴染めるものか。 207 00:13:58,371 --> 00:14:00,640 ここで暮らせば 慣れよう。 208 00:14:00,640 --> 00:14:04,477 第一 今朝 あれだけ うまそうに食べてたではないか。 209 00:14:04,477 --> 00:14:07,980 うっ… に… 肉は空を飛ばない。 210 00:14:07,980 --> 00:14:11,484 ハハハハ! 鳥と そう変わらぬさ。 211 00:14:11,484 --> 00:14:14,654 (水音) 212 00:14:14,654 --> 00:14:17,056 なんの音だ? 213 00:14:23,663 --> 00:14:28,167 これは… 滝!? 初めて見た! 214 00:14:28,167 --> 00:14:32,004 どうだ? セラ… 西では見られん景色だろう? 215 00:14:32,004 --> 00:14:34,006 それは 嫌味か!? 216 00:14:34,006 --> 00:14:38,678 私の祖国にも これくらいの景観は…。 217 00:14:38,678 --> 00:14:41,080 《ない… な》 218 00:14:43,683 --> 00:14:47,019 別に 自慢をしたいわけではないぞ。 219 00:14:47,019 --> 00:14:52,024 ただ… そなたに この景色を 見せたいと思っただけだ。 220 00:14:52,024 --> 00:14:54,193 フン…。 さてと…。 221 00:14:54,193 --> 00:14:56,696 ここに来た目的は もう一つある。 222 00:14:56,696 --> 00:15:00,633 もう一つ? うむ。 まず 最初に…。 223 00:15:00,633 --> 00:15:02,635 脱げ。 ふぁっ!? 224 00:15:02,635 --> 00:15:06,139 な… なぜに そうなる!? なぜだと? 225 00:15:06,139 --> 00:15:09,642 水場で 男女が服を脱いで することは 一つ。 226 00:15:09,642 --> 00:15:12,979 ま… まさか…。 227 00:15:12,979 --> 00:15:14,981 水浴びだ。 いちいち➨ 228 00:15:14,981 --> 00:15:16,983 含みのある言い方をするな! 229 00:15:16,983 --> 00:15:19,318 なんとなく わかってはいたけれど! 230 00:15:19,318 --> 00:15:22,488 だいたい なんで 男女の区別なく 沐浴するのか! 231 00:15:22,488 --> 00:15:24,991 破廉恥な! 破廉恥と言われても…。 232 00:15:24,991 --> 00:15:26,993 そういう文化としか 言えんなぁ…。 233 00:15:26,993 --> 00:15:30,163 郷に入りては 郷に従え というだろう? 234 00:15:30,163 --> 00:15:34,500 ガーッ! そんな蛮習に 従うわけがあるか~っ! 235 00:15:34,500 --> 00:15:36,669 おぉ 怖い 怖い。 236 00:15:36,669 --> 00:15:39,839 少し 匂いますね。 えっ! 237 00:15:39,839 --> 00:15:42,675 こちらには 浴場なんて文化はありません。 238 00:15:42,675 --> 00:15:45,678 昨日塗った香油にも 限界があります。 239 00:15:45,678 --> 00:15:50,183 もう少し放置すれば 悪臭に…。 あっ… あぁ…。 240 00:15:50,183 --> 00:15:53,352 (セラ)まったく 貴様も貴様だ。 241 00:15:53,352 --> 00:15:56,355 男の前で なんのてらいもなく脱ぎ出して…。 242 00:15:56,355 --> 00:15:59,692 そうは言っても 慣れってものがありますからね。 243 00:15:59,692 --> 00:16:03,963 あなたが嫌がるから ヴェーオル様は 別の沢に行かれましたし➨ 244 00:16:03,963 --> 00:16:06,632 私が あなたの付き添い という形です。 245 00:16:06,632 --> 00:16:09,969 フン! 逃げ出さぬように 見張っているのだろうが。 246 00:16:09,969 --> 00:16:15,308 いえ… しいて言うなら あなたの安全のためですかね。 247 00:16:15,308 --> 00:16:17,310 安全のため? 248 00:16:17,310 --> 00:16:19,312 うわ~っ! 249 00:16:19,312 --> 00:16:23,316 (ツェツィ)サワイワオ。 こんなのがいますから。 250 00:16:23,316 --> 00:16:26,319 ねっ! ねっ! では ないわ! 251 00:16:26,319 --> 00:16:30,990 (ツェツィ)まぁ この場にいる彼らは おとなしいものばかりですけど。 252 00:16:30,990 --> 00:16:34,660 はぁ? 今の言い方 まるで 怪物に囲まれているような➨ 253 00:16:34,660 --> 00:16:37,563 物言いだが…。 そう言っているんですが? 254 00:16:47,673 --> 00:16:50,676 (セラ)怪物に囲まれて 水浴びできるか! 255 00:16:50,676 --> 00:16:54,013 私は帰るぞ! あっ そっちは…。 256 00:16:54,013 --> 00:16:57,516 あっ… まぁ 別にいっか。 257 00:17:00,620 --> 00:17:04,290 思わず 飛び出してきてしまったが➨ 258 00:17:04,290 --> 00:17:08,628 服も靴も あそこに置いたままは さすがに無謀か…。 259 00:17:08,628 --> 00:17:11,297 (怪鳥の鳴き声) 260 00:17:11,297 --> 00:17:14,467 気は進まんが 戻って 着替えるか…。 261 00:17:14,467 --> 00:17:17,136 ⚟誰かいるのか? 262 00:17:17,136 --> 00:17:20,306 しまった! 私以外にも誰かが…。 263 00:17:20,306 --> 00:17:23,643 ⸨ヒャッハッハ! くっ… 殺せ!⸩ 264 00:17:23,643 --> 00:17:26,479 《意外と理性的な あのヴェーオルと違って➨ 265 00:17:26,479 --> 00:17:29,649 本物のケダモノが来たら 私は…》 266 00:17:29,649 --> 00:17:32,051 ⸨あぁ~っ!⸩ 267 00:17:33,986 --> 00:17:35,988 くっ… 来るな! 268 00:17:41,994 --> 00:17:44,664 なにゆえ こんな所に? 269 00:17:44,664 --> 00:17:47,667 《び… 美形! 270 00:17:47,667 --> 00:17:51,337 蛮族の若い戦士!? なんという 美丈夫…。 271 00:17:51,337 --> 00:17:54,674 西方にも これほどの男前は…》 272 00:17:54,674 --> 00:17:58,678 き… 貴様! こっちを ジロジロと見るな! 273 00:17:58,678 --> 00:18:03,616 もしや その格好… 滝で水浴び中に 獣でも出たか? 274 00:18:03,616 --> 00:18:07,954 あっ! フフ… 我が母も西の元戦士。 275 00:18:07,954 --> 00:18:10,957 似たような話を 聞いたことがあったのでな。 276 00:18:10,957 --> 00:18:16,295 母が来た当初は 自然の豊かさ 獣の多さに驚いていたと➨ 277 00:18:16,295 --> 00:18:19,298 幼き頃に聞かされた。 278 00:18:19,298 --> 00:18:22,635 《この男の若さからして 十六次東征…。 279 00:18:22,635 --> 00:18:25,638 20年ほど前の女騎士が母?》 280 00:18:25,638 --> 00:18:27,974 うぅ…。 (くしゃみ) 281 00:18:27,974 --> 00:18:30,977 クソ… さすがに冷えるな。 282 00:18:30,977 --> 00:18:32,979 はっ! 283 00:18:35,982 --> 00:18:38,985 な… 何を…。 まったく…。 284 00:18:38,985 --> 00:18:42,321 おなごが 体を 冷やすものではない。 285 00:18:42,321 --> 00:18:45,324 そなたの服が置いてある場所まで 戻ろう。 286 00:18:45,324 --> 00:18:47,994 しばし その上着を使うがいい。 287 00:18:47,994 --> 00:18:50,329 《紳士か!? 288 00:18:50,329 --> 00:18:53,499 西方騎士の鑑のような男が こんな蛮地に! 289 00:18:53,499 --> 00:18:56,669 いや… 開口一番 嫁になれ とか言ってくる➨ 290 00:18:56,669 --> 00:18:58,838 ヴェーオルが異常なだけか?》 291 00:18:58,838 --> 00:19:01,941 はぁ…。 うん? 大丈夫か? 292 00:19:01,941 --> 00:19:03,943 あっ… うわっ! 293 00:19:03,943 --> 00:19:07,947 熱があるのか? 《近い 近い! 顔が近い! 294 00:19:07,947 --> 00:19:10,950 い… いかん! 男性経験がなさすぎて➨ 295 00:19:10,950 --> 00:19:12,952 どうしたらいいか まったくわからん!》 296 00:19:12,952 --> 00:19:15,454 本当に まずいな…。 297 00:19:15,454 --> 00:19:17,957 山を降りるのも つらそうに見える。 298 00:19:17,957 --> 00:19:21,293 仕方がない。 体に触れるが 許せ。 299 00:19:21,293 --> 00:19:23,295 はい? 300 00:19:23,295 --> 00:19:25,631 《うわっ! 301 00:19:25,631 --> 00:19:28,134 うわぁ~っ!》 302 00:19:28,134 --> 00:19:30,970 そなたは 羽のように軽いな。 303 00:19:30,970 --> 00:19:33,305 《あぁ… もう これ どうしよう…。 304 00:19:33,305 --> 00:19:36,642 自分でも チョロいと思うくらい 抵抗できないや…》 305 00:19:36,642 --> 00:19:38,644 よし 行こうか。 306 00:19:38,644 --> 00:19:41,981 はぁ… やっと 見つけました。 307 00:19:41,981 --> 00:19:45,484 いい雰囲気のところ 申し訳ないのですけれど…。 308 00:19:45,484 --> 00:19:48,988 何をどうしたら そんなことになるんですかね? 309 00:19:48,988 --> 00:19:51,490 ヴェーオル様。 えっ? 310 00:19:51,490 --> 00:19:55,995 ヴェー…。 なんだ? 気づいておらんかったのか? 311 00:19:55,995 --> 00:19:59,298 求婚した手前 寂しくもあるが…。 312 00:20:01,333 --> 00:20:04,670 あぁ~っ! 儂が ヒゲを剃っただけで➨ 313 00:20:04,670 --> 00:20:09,675 乙女のように赤面するとは ウブなやつだのう…。 314 00:20:09,675 --> 00:20:12,678 あばっ! きっ… わわ…。 315 00:20:12,678 --> 00:20:16,082 私は 乙女だ! 蛮族~! (平手打ちの音) 316 00:20:18,017 --> 00:20:23,689 不安定な姿勢から この平手。 さすが 儂の見込んだ おなごよ。 317 00:20:23,689 --> 00:20:27,026 ものすごい赤くなってますが 大丈夫ですか? 318 00:20:27,026 --> 00:20:29,361 ハハハハハ! 319 00:20:29,361 --> 00:20:32,698 フン! 私が剣を持っていたら 決闘ものだ! 320 00:20:32,698 --> 00:20:34,700 第一 こうなったのも➨ 321 00:20:34,700 --> 00:20:37,703 貴様が あの怪物の巣窟に 連れていったからだろう! 322 00:20:37,703 --> 00:20:40,873 あぁ… それなら 問題ありませんでしたよ。 323 00:20:40,873 --> 00:20:43,709 はぁ? 厄介な獣が出そうな場所は➨ 324 00:20:43,709 --> 00:20:46,712 ヴェーオル様が 巡回してくださってましたから。 325 00:20:46,712 --> 00:20:49,215 あっ…。 そなたが 肌を見られるのを➨ 326 00:20:49,215 --> 00:20:53,052 嫌がっておったからな。 最初は そばで守るつもりであったが…。 327 00:20:53,052 --> 00:20:55,721 (ツェツィ)今朝 食べた ヨイトバリに比べれば➨ 328 00:20:55,721 --> 00:20:58,724 沢の獣は おとなしいものばかりですし…。 329 00:20:58,724 --> 00:21:01,660 (セラ)あ… あの竜は 危険なやつだったのか? 330 00:21:01,660 --> 00:21:03,662 (ヴェーオル)なんということはない。 331 00:21:03,662 --> 00:21:06,999 気性は 少々荒いが 基本は臆病だからな。 332 00:21:06,999 --> 00:21:09,668 ヴェーオル様だから言えることです。 333 00:21:09,668 --> 00:21:12,838 果実食の竜とはいえ あの大きさの獣が➨ 334 00:21:12,838 --> 00:21:18,010 危険じゃないはずないでしょう。 それは 否定せんが…。 335 00:21:18,010 --> 00:21:21,347 今日は 惚れたおなごの 多様な顔を見られた。 336 00:21:21,347 --> 00:21:25,017 その対価ならば 安いものだ。 337 00:21:25,017 --> 00:21:27,686 今回は 特別に許してやる。 338 00:21:27,686 --> 00:21:30,689 景色だけは悪くなかったからな。 339 00:21:30,689 --> 00:21:33,359 だが 二度目はないと思え! 340 00:21:33,359 --> 00:21:35,694 それなら 結構! 341 00:21:35,694 --> 00:21:39,365 儂も 嫁御が寛大と知れて まことに有意義であった。 342 00:21:39,365 --> 00:21:42,701 よ… だから 勝手に 嫁などと決めるな! 343 00:21:42,701 --> 00:21:46,372 この期に及んでですか? なんだ その憐れみの目は! 344 00:21:46,372 --> 00:21:48,674 まったく…。 345 00:21:50,709 --> 00:21:54,046 《本当に とんでもない目に遭った。 346 00:21:54,046 --> 00:21:56,715 が…。 347 00:21:56,715 --> 00:22:02,988 まぁ… ヒゲのない顔なら 見れなくもないと知れた… か。 348 00:22:02,988 --> 00:22:05,991 本当に 少しだけだがな!》 349 00:22:11,997 --> 00:22:14,600 《だが…》 350 00:22:17,002 --> 00:22:19,004 《なぜだ?》