1 00:00:05,538 --> 00:00:06,272 うおっ! 2 00:00:06,272 --> 00:00:07,474 うぉほほ… 3 00:00:07,474 --> 00:00:09,809 お〜採れたぞ〜 4 00:00:09,809 --> 00:00:11,544 これも食べられるのか? 5 00:00:16,649 --> 00:00:20,020 うお〜…大漁だな〜 6 00:00:20,387 --> 00:00:24,491 セラフィーナ様 ここに馴染みすぎじゃないです? 7 00:01:57,584 --> 00:01:59,519 あ あ あのー…… 8 00:01:59,519 --> 00:02:01,955 セラフィーナ様 ちょっと…… 9 00:02:02,022 --> 00:02:04,591 ん?どうしたマルシアス? 10 00:02:04,591 --> 00:02:08,495 いつかイルドレンに戻ると仰っていましたが…… 11 00:02:08,495 --> 00:02:12,065 本当にソレを受け取って 大丈夫だったんですか? 12 00:02:16,036 --> 00:02:17,604 だいじょばない……! 13 00:02:17,604 --> 00:02:19,939 あっ多分駄目な感じ! 14 00:02:19,939 --> 00:02:22,475 こっコモネラ教団の婚姻的には 15 00:02:22,475 --> 00:02:24,711 全く拘束力がないとは言え 16 00:02:24,744 --> 00:02:27,013 やはり婚約は早計かと……! 17 00:02:27,013 --> 00:02:29,783 だ だがレシア姉様がだなぁ…… 18 00:02:29,783 --> 00:02:31,751 もも元王女とはいえ 19 00:02:31,751 --> 00:02:35,722 蛮族の大族長の妻の言を鵜呑みは 不味いでしょーッ!? 20 00:02:36,656 --> 00:02:38,625 ……案ずるなマルシアス 21 00:02:38,792 --> 00:02:44,631 わわわ私はきき貴族としての責務を 忘れる事はななないぞぉ……? 22 00:02:44,631 --> 00:02:47,334 説得力がまるでないッ!? 23 00:02:47,334 --> 00:02:51,237 しっ しかしな……レシア姉様の仰った通り 24 00:02:51,237 --> 00:02:54,874 自分自身の幸せというものを探してみたい…… 25 00:02:54,874 --> 00:02:58,244 なんて事をちょっと考えていたりとか…… 26 00:02:58,311 --> 00:03:02,015 その結果がその優柔不断な状態ですか……? 27 00:03:02,015 --> 00:03:05,785 ゆっ……優柔……不断…… 28 00:03:06,019 --> 00:03:08,822 そんな事は……わかってはいるのだ 29 00:03:08,822 --> 00:03:10,890 わかってはいるのだが…… 30 00:03:10,890 --> 00:03:16,496 剣と騎士道しかない私の幸せとは 一体何かと考えるとだな…… 31 00:03:16,563 --> 00:03:17,831 ううう…… 32 00:03:17,831 --> 00:03:20,300 わからん……!何もわからん……! 33 00:03:20,300 --> 00:03:21,801 げ!! 34 00:03:21,968 --> 00:03:24,704 そんな情けない事を……! 35 00:03:24,704 --> 00:03:27,674 ……しかし……何というか…… 36 00:03:29,009 --> 00:03:33,847 『氷のラヴィラント』 とまで謳われた騎士の中の騎士が 37 00:03:33,847 --> 00:03:37,484 ウブな村娘の様ではないですか…… 38 00:03:41,454 --> 00:03:44,491 それはっ……そうかもしれないが…… 39 00:03:44,491 --> 00:03:47,994 いや……むしろ誤解されているというか…… 40 00:03:48,261 --> 00:03:52,799 ……以前の私は責務と戦しか 知らなかっただけなのだ 41 00:03:53,400 --> 00:03:57,904 騎士として家柄と剣才に 恵まれた者の責務を果たす…… 42 00:03:57,904 --> 00:04:01,307 子供の頃からそれに殉ずる一心で 生きてきたのだ! 43 00:04:01,941 --> 00:04:03,610 ……それは 44 00:04:03,610 --> 00:04:07,447 ……今思えば 思い詰め過ぎていたのやもしれぬ…… 45 00:04:08,014 --> 00:04:11,818 もっともお前にとっては 理想の騎士に見えただろうが 46 00:04:11,818 --> 00:04:13,186 うっ 47 00:04:13,186 --> 00:04:17,457 別に責めている訳ではないぞ?ただなぁ…… 48 00:04:17,791 --> 00:04:22,729 この地に来て その生活を知って 人々に触れて…… 49 00:04:22,729 --> 00:04:26,132 東征軍の大将で筆頭騎士であっても 50 00:04:26,132 --> 00:04:30,904 西方からの侵略者でしかないと…… 自覚してしまった 51 00:04:32,038 --> 00:04:34,307 ……セラフィーナ様…… 52 00:04:34,307 --> 00:04:39,412 勿論 民の為に戦った七年を 後悔するようなことはしない…… 53 00:04:39,746 --> 00:04:43,883 確かに これまでの私にとって 正しいと思う行いだった 54 00:04:44,150 --> 00:04:45,518 だが…… 55 00:04:45,518 --> 00:04:49,055 それをここの者達に責められもしないなど…… 56 00:04:49,055 --> 00:04:51,391 想像すらしていなくてな 57 00:04:51,825 --> 00:04:53,293 ......それが...... 58 00:04:53,293 --> 00:04:55,261 負い目なのですか......? 59 00:04:56,296 --> 00:04:58,398 その負い目があるが故に 60 00:04:58,398 --> 00:05:01,735 あなた様は故郷を 見捨てるかもしれないのですか......!? 61 00:05:02,635 --> 00:05:04,204 ......故郷―― 62 00:05:04,204 --> 00:05:07,974 荒涼としたイルドレンの緑薄き大地…… 63 00:05:07,974 --> 00:05:13,013 この度の東征は七年の長きに渡り 利益を生み出したが 64 00:05:13,013 --> 00:05:16,449 多くの騎士や兵がこの地の戦士に敗れ 65 00:05:16,449 --> 00:05:19,853 相応以上に犠牲を出すことになった…… 66 00:05:20,053 --> 00:05:22,088 故郷と負い目…… 67 00:05:22,088 --> 00:05:25,892 どちらを選んでも バツが悪すぎるのがなんともな…… 68 00:05:25,992 --> 00:05:27,160 ちょっと...... 69 00:05:27,160 --> 00:05:30,397 今の話は聞き捨てなりませんね? 70 00:05:30,797 --> 00:05:32,098 ツェツィ...... 71 00:05:32,432 --> 00:05:35,235 お前の境遇ならそう言うだろうな...... 72 00:05:35,468 --> 00:05:37,904 たとえこの地の者が気にせずとも...... 73 00:05:37,904 --> 00:05:40,540 たやすく割り切れる話ではないのだ...... 74 00:05:40,774 --> 00:05:44,911 普通なら恨まれ憎まれるだけの事は してきた自覚はある 75 00:05:44,911 --> 00:05:47,681 あっ今更そういうのいいです 76 00:05:47,681 --> 00:05:48,648 えっ! 77 00:05:48,648 --> 00:05:50,917 負い目とか責務とか言っても 78 00:05:50,917 --> 00:05:54,788 結局のところ婚約首輪が 着いたままじゃないですか 79 00:05:55,221 --> 00:05:58,825 外したいと念じたら外れる品なんて着けたまま 80 00:05:58,825 --> 00:06:03,229 そんな悩みを抱えてるなんて 言っても滑稽話ですよ 81 00:06:06,933 --> 00:06:10,303 ま 悩もうが悩むまいがお腹は空くんです 82 00:06:10,303 --> 00:06:14,908 やっぱり私達にとっては 食事の支度の方が大事ですよ 83 00:06:21,715 --> 00:06:24,284 改めて思うことだが―― 84 00:06:24,284 --> 00:06:27,053 この地の食事はとにかく豊かだ 85 00:06:29,456 --> 00:06:30,924 滋味深い 86 00:06:30,924 --> 00:06:33,727 森と湖の幸に恵まれていて―― 87 00:06:33,727 --> 00:06:37,030 そして竜という荒々しくも美味で 88 00:06:37,030 --> 00:06:41,468 一頭狩るだけで数百人が 生きられる巨獣が息づく森…… 89 00:06:41,468 --> 00:06:43,737 そう 森だ 90 00:06:44,004 --> 00:06:47,374 この地の森は深く 山は険しい 91 00:06:47,374 --> 00:06:50,877 民達の耕す畑が作れようはずもない…… 92 00:06:50,944 --> 00:06:54,748 森を拓かねば民は住めず麦も育たず 93 00:06:54,748 --> 00:06:57,851 拓けば恩恵は遠からず失われる―― 94 00:06:58,385 --> 00:07:02,622 数十年ごとに土地を奪い続けて七百年あまり 95 00:07:02,856 --> 00:07:06,960 王国東側の版図は東征前に比べ広がり 96 00:07:06,960 --> 00:07:09,696 肥沃な土地だって獲得できたはず…… 97 00:07:09,829 --> 00:07:13,433 それでも足りないのは涸れるばかりだからか…? 98 00:07:13,600 --> 00:07:14,934 セラ…… 99 00:07:16,136 --> 00:07:18,204 むぐっモグモグ…… 100 00:07:18,204 --> 00:07:23,043 何か考え事をしておる様子だが リスみたいになっておるぞ? 101 00:07:24,244 --> 00:07:27,013 セラフィーナ様!これを……! 102 00:07:29,382 --> 00:07:31,584 すっ……すまん助かった……! 103 00:07:31,584 --> 00:07:33,019 大丈夫か?セラ…… 104 00:07:33,019 --> 00:07:34,821 あ あぁ…… 105 00:07:35,088 --> 00:07:38,558 ……今考えておったのは昼間の話か? 106 00:07:42,195 --> 00:07:46,399 ……いや 私は今 騎士として貴族として 107 00:07:46,399 --> 00:07:49,035 東征の意義を考えていた…… 108 00:07:49,035 --> 00:07:52,972 私達が民の為に お前達の土地を拓くことが…… 109 00:07:53,640 --> 00:07:58,778 『今思えば本当に正しい行いだったと 言い切ることができない』 110 00:07:59,079 --> 00:08:00,847 ……などと言えば…… 111 00:08:00,847 --> 00:08:03,350 死んでいった騎士達や志願兵 112 00:08:03,350 --> 00:08:06,553 救われた民達に恨まれようか…… 113 00:08:07,387 --> 00:08:08,688 ……セラ 114 00:08:10,056 --> 00:08:13,927 食事を終えたら表で少し話をせぬか? 115 00:08:16,196 --> 00:08:21,034 ……西でも東でも 三つ子月の綺麗さは変わらないな 116 00:08:21,034 --> 00:08:22,168 ……ああ 117 00:08:22,168 --> 00:08:24,170 綺麗だのうセラ…… 118 00:08:24,170 --> 00:08:25,939 ……ああ 119 00:08:26,373 --> 00:08:29,342 昼間の事と先刻の事…… 120 00:08:29,342 --> 00:08:33,847 私はこれからどうしたいのか 分からなくなってしまったようだ 121 00:08:34,247 --> 00:08:39,152 祖国の民の為 戦友達の為に帰るべき私と 122 00:08:39,152 --> 00:08:42,989 自身の幸せを考えてみようかという私が 123 00:08:43,056 --> 00:08:46,259 なんか矛盾を起こしている感じだ 124 00:08:46,259 --> 00:08:47,227 ふむ…… 125 00:08:47,227 --> 00:08:49,362 ならばそうだな 126 00:08:49,362 --> 00:08:52,532 一度空想でもしてみるのはどうだろうか? 127 00:08:52,532 --> 00:08:54,701 空そ……うん!? 128 00:08:55,769 --> 00:08:59,406 なんか意外だな お前がそういうこと言うのって 129 00:08:59,406 --> 00:09:01,641 意外なものか! 130 00:09:01,641 --> 00:09:03,309 わしはむしろ 131 00:09:03,309 --> 00:09:07,514 夢や理想に関しては人一倍に思うたちでな 132 00:09:07,514 --> 00:09:09,516 例えば妖精曰く―― 133 00:09:09,516 --> 00:09:11,718 『こうであれ』という強い意念…… 134 00:09:11,718 --> 00:09:16,022 意志の力は望む結果を 手繰り寄せると言われておる 135 00:09:16,022 --> 00:09:20,093 ならば迷いはきっと後悔だけを残すのだろう 136 00:09:20,093 --> 00:09:22,662 故にセラ どうありたいか 137 00:09:22,662 --> 00:09:26,866 如何に成るのかを空想してみるの 良いやもしれぬぞ 138 00:09:27,033 --> 00:09:30,737 空想…空想かぁ… 139 00:09:31,838 --> 00:09:33,273 例えば 140 00:09:33,273 --> 00:09:37,010 何か良い結果を持って祖国に帰還したとして… 141 00:09:37,010 --> 00:09:40,246 ひゃっほーい 142 00:09:40,747 --> 00:09:44,284 少なくとも民には飢えず栄えて欲しい 143 00:09:44,284 --> 00:09:46,853 東征の歴史が終わる位に 144 00:09:46,853 --> 00:09:48,521 そうなれば私は…… 145 00:09:48,521 --> 00:09:52,492 捕虜になった以上 貴族の娘としては終わりだろうな 146 00:09:52,492 --> 00:09:55,528 順当に考えれば 部屋住みの生涯だろう…… 147 00:09:55,895 --> 00:09:59,032 考えれば考える程詰んでるな 148 00:09:59,699 --> 00:10:01,267 はあ〜…… 149 00:10:01,267 --> 00:10:04,537 ま それ位は覚悟の上……か 150 00:10:05,171 --> 00:10:08,508 それでは もしもの話としてだが 151 00:10:08,608 --> 00:10:13,980 私が騎士としての責務を棄てて ヴェーオルを選んだとしたら―― 152 00:10:14,080 --> 00:10:16,683 多少粗野だが下卑てはいないし 153 00:10:16,683 --> 00:10:21,688 剣の腕も私に及ばないまでも 豪腕と巨躯で迫り…… 154 00:10:22,055 --> 00:10:23,123 あ…… 155 00:10:23,123 --> 00:10:25,258 いやまだ十八歳か 156 00:10:25,258 --> 00:10:27,994 経験次第で私に並ぶやも 157 00:10:27,994 --> 00:10:31,765 血筋はイルドレン王家のものだから 当然良くて…… 158 00:10:32,465 --> 00:10:34,467 想像もつかんが…… 159 00:10:34,467 --> 00:10:37,037 もしや子供が生まれたり――!? 160 00:10:37,037 --> 00:10:41,107 子供!?私とヴェーオルの間に 子供が生まれる!? 161 00:10:41,174 --> 00:10:43,977 きっと生まれるだろうなぁ……! 162 00:10:43,977 --> 00:10:46,813 あれ……?悪くないかも……? 163 00:10:50,483 --> 00:10:52,986 違う!これでは妄想ではないかっ!? 164 00:10:52,986 --> 00:10:54,187 ぐわぁー! 165 00:10:54,187 --> 00:10:57,257 結局何も決断できぬままではないかコレ!? 166 00:10:57,257 --> 00:10:59,826 うわぁぁ… 167 00:10:57,490 --> 00:11:00,527 そうか……悩んでくれるか 168 00:10:59,893 --> 00:11:01,261 え……? 169 00:11:01,428 --> 00:11:04,130 ……儂はな 本当のところを言うなら 170 00:11:04,130 --> 00:11:07,334 もっと拒絶されるものだと思っていた 171 00:11:07,334 --> 00:11:10,770 だから……悩んでくれて嬉しく思う 172 00:11:11,938 --> 00:11:16,142 それはそなたの今までの生き方……信念や誇りと 173 00:11:16,142 --> 00:11:20,880 儂への気持ちが釣り合うに足る…… と 考えても良いのだろう? 174 00:11:21,915 --> 00:11:25,085 なら 今はそれで良いではないか 175 00:11:25,385 --> 00:11:30,290 ……お前な さっきと言ってることが矛盾してるぞ 176 00:11:30,290 --> 00:11:33,360 迷うなと言ったり悩めと言ったり…… 177 00:11:33,360 --> 00:11:34,327 うん? 178 00:11:34,327 --> 00:11:37,030 それはセラの問題だからのう! 179 00:11:37,030 --> 00:11:40,000 儂は側に居ることしかできんさ 180 00:11:40,000 --> 00:11:41,368 だが…… 181 00:11:41,368 --> 00:11:42,769 そうだな 182 00:11:42,769 --> 00:11:48,041 セラが悩みを解消するために 見聞を広めてやりたいとは思う 183 00:11:48,208 --> 00:11:49,642 それは……ッ 184 00:11:49,843 --> 00:11:53,380 そろそろ遠出のことも考えてみるか! 185 00:11:55,215 --> 00:11:57,951 シディウス閣下!不肖ヒルベイン 186 00:11:58,018 --> 00:12:00,987 東方の蛮地より伝令として戻りました―― 187 00:12:01,121 --> 00:12:02,856 ――火急の報告故 188 00:12:02,856 --> 00:12:05,658 先触れを介さぬご無礼をお許しください 189 00:12:06,593 --> 00:12:07,727 ……入れ 190 00:12:07,827 --> 00:12:09,262 はっ! 191 00:12:16,803 --> 00:12:20,340 先ずは遠征先よりの伝令大義であった…… 192 00:12:20,340 --> 00:12:24,911 貴様が伝令となった時点で 報告の内容は概ね把握している 193 00:12:25,512 --> 00:12:28,048 セラフィーナが討たれたか 194 00:12:28,448 --> 00:12:30,817 はっ……い……いえ 195 00:12:30,817 --> 00:12:35,889 ご遺体は確認できず…… おそらくは敵将を留める為 196 00:12:35,889 --> 00:12:39,392 殿を務められた後に捕虜になられたと…… 197 00:12:40,160 --> 00:12:42,095 同じ事だ 198 00:12:42,162 --> 00:12:43,430 ……はい 199 00:12:43,430 --> 00:12:44,964 妹のことはよい 200 00:12:44,964 --> 00:12:48,234 それよりも東征軍の残存兵力は如何程か? 201 00:12:48,234 --> 00:12:49,202 はっ! 202 00:12:49,636 --> 00:12:51,671 姫様の献身により 203 00:12:51,671 --> 00:12:53,573 損害は軽微であります―― 204 00:12:55,709 --> 00:12:57,644 損害は軽微 205 00:12:57,644 --> 00:13:01,081 しばしの時を要すれば再編も容易……か 206 00:13:02,248 --> 00:13:04,951 なんとも頭が痛い問題だ 207 00:13:04,951 --> 00:13:06,619 フウ〜 208 00:13:06,619 --> 00:13:11,758 ……命を懸けども 民草の困窮は救えんと終ぞ解らぬか…… 209 00:13:12,792 --> 00:13:15,662 哀れなセラフィーナよ 210 00:13:21,735 --> 00:13:25,071 遠出......遠出かー 211 00:13:25,071 --> 00:13:29,175 確かに見聞を広められそうで願ってもない話だ 212 00:13:30,043 --> 00:13:31,378 しかし...... 213 00:13:31,378 --> 00:13:34,214 一体どこへ行くのだろうか? 214 00:13:35,148 --> 00:13:38,218 例えばエルフの優美な都だったり 215 00:13:38,752 --> 00:13:42,522 妖精は楽園の様な所で遊び回り 216 00:13:42,589 --> 00:13:46,326 ドライアド……というか動く植物は―― 217 00:13:46,326 --> 00:13:49,729 あっ 何か普通に恐ろしい光景が脳裏に……!? 218 00:13:50,130 --> 00:13:51,364 ドワーフは―― 219 00:13:51,364 --> 00:13:55,068 地底の王国で栄えてたりとかするんだろうか…… 220 00:13:55,068 --> 00:13:57,203 いやー流石にそれは…… 221 00:13:57,203 --> 00:13:59,673 娯楽小説じゃあるまいし 222 00:13:59,839 --> 00:14:00,540 セラ 223 00:14:00,540 --> 00:14:02,008 おうふ!? 224 00:14:02,008 --> 00:14:04,644 鉱人の集落に興味があるのか? 225 00:14:04,644 --> 00:14:07,447 ヴェーオル!?驚かすな心臓に悪いッ! 226 00:14:07,447 --> 00:14:09,783 ははは!すまぬすまぬ 227 00:14:09,783 --> 00:14:14,354 それでなクィェフトの集落は 先の呟きに近い所だぞ 228 00:14:14,354 --> 00:14:15,288 ほう! 229 00:14:15,288 --> 00:14:18,124 地下の集落も印象的だがな? 230 00:14:18,124 --> 00:14:23,296 特筆すべき事にあの地には なんと温泉が湧いておるのだ! 231 00:14:23,396 --> 00:14:25,265 ……ヘー……なにそれ? 232 00:14:25,265 --> 00:14:29,169 ぬっ!温泉という単語では通じぬか!? 233 00:14:29,169 --> 00:14:30,570 ……いや そうか 234 00:14:30,570 --> 00:14:34,307 平野ばかりの西方生まれでは知る由もないか 235 00:14:34,307 --> 00:14:37,077 それでその温泉とは一体何だ……? 236 00:14:37,077 --> 00:14:40,513 うーむ……何というか そうだのう…… 237 00:14:40,513 --> 00:14:44,684 うむ 要するに 自然に湧いた風呂だと言えば良いだろうか? 238 00:14:45,218 --> 00:14:47,187 風呂が自然に!? 239 00:14:47,187 --> 00:14:52,692 またまたぁ 風呂なんて 薪を大量に使って沸かす贅沢な娯楽だぞ? 240 00:14:52,692 --> 00:14:57,397 クィェフトが言うには 地熱の影響で勝手に温まるらしいぞ? 241 00:15:01,101 --> 00:15:04,938 湯が勝手に湧くって何だそれズルくない!? 242 00:15:04,938 --> 00:15:10,010 湖畔の邑は水産資源に竜肉 おまけに木材も豊富だし! 243 00:15:10,010 --> 00:15:13,747 ドワーフの里は里で ミスリルやら尽きない湯やら―― 244 00:15:13,747 --> 00:15:17,684 どうなってるんだ この地の豊かさはぁぁぁぁぁあん! 245 00:15:17,684 --> 00:15:20,353 毎度の如く驚いてますねぇ 246 00:15:20,353 --> 00:15:24,924 まあ温泉は最初私も物凄ーく驚きましたから 247 00:15:24,924 --> 00:15:28,428 開拓村の様子しか記憶に残ってませんが 248 00:15:28,428 --> 00:15:34,200 冬も川で沐浴する事がある位 燃料は貴重なんですがね…… 249 00:15:34,200 --> 00:15:37,303 ……西側が占領してきた外縁の荒れ地は 250 00:15:37,303 --> 00:15:41,708 イルドレン王国の 比較的マシな所と大差ないですから 251 00:15:41,708 --> 00:15:45,078 その証拠に竜も妖精もいなかったでしょう? 252 00:15:45,078 --> 00:15:46,880 確かに…… 253 00:15:46,980 --> 00:15:51,484 でもまぁ あんなものが棲む土地で 生きてはいけないし…… 254 00:15:51,551 --> 00:15:55,355 というか蛮族達はなんで平気なのやら…… 255 00:15:55,555 --> 00:15:56,790 フー 256 00:15:56,790 --> 00:15:58,925 平気な筈ないじゃないですか 257 00:15:58,925 --> 00:16:00,226 は? 258 00:16:00,460 --> 00:16:04,964 この辺りの戦士達は竜を狩って生きる他なく 259 00:16:04,964 --> 00:16:09,002 その生活に耐えられない人は いずれ死んでいきます 260 00:16:09,869 --> 00:16:12,405 健康な戦士が絶えた集落が 261 00:16:12,405 --> 00:16:15,909 竜の餌場になる事も珍しくないんですから…… 262 00:16:15,909 --> 00:16:17,711 それは…… 263 00:16:17,711 --> 00:16:19,846 ま それはそれです 264 00:16:19,846 --> 00:16:23,683 痩せた大地を耕して僅かな実りすら税になり 265 00:16:23,683 --> 00:16:26,186 飢饉と寒さで死ぬ土地か 266 00:16:26,186 --> 00:16:29,656 お腹いっぱいご飯が食べられる程豊かだけれど 267 00:16:29,656 --> 00:16:32,425 戦士が居なくなれば死ぬ土地か…… 268 00:16:34,394 --> 00:16:36,162 確かな事は…… 269 00:16:36,162 --> 00:16:38,965 私達はいつか必ず死ぬんです 270 00:16:38,965 --> 00:16:43,636 飢えて死ぬ位なら竜に食われる方が まだマシだと思えますねぇ 271 00:16:43,937 --> 00:16:47,140 最悪でも生命の糧になれると思うのなら 272 00:16:47,140 --> 00:16:50,110 生きた甲斐が少しはあると思いません? 273 00:16:51,311 --> 00:16:54,781 えぇ……全ッ然理解できない思想だわ…… 274 00:16:54,781 --> 00:16:58,618 そりゃそうですよねぇ…… 価値観の違いってヤツです 275 00:16:58,618 --> 00:16:59,986 だだだ第一 276 00:16:59,986 --> 00:17:03,656 葬儀や埋葬がされないじゃない……! 非文明的な……! 277 00:17:03,656 --> 00:17:06,359 公暦教団の様式と違うだけですよ 278 00:17:06,359 --> 00:17:08,595 おおおおおおおおおお! 279 00:17:08,661 --> 00:17:13,600 本当にドワーフの工匠に私の兜を作る様に 頼んでくれたのか……!? 280 00:17:13,600 --> 00:17:15,135 うむ! 281 00:17:15,135 --> 00:17:18,905 だが 支払おうにも 私の資産はここにはないが…… 282 00:17:18,905 --> 00:17:21,541 それに関しては心配無用だ 283 00:17:21,541 --> 00:17:25,345 先日狩ったモリスベリの素材で十分に事足りた 284 00:17:25,345 --> 00:17:29,049 元より とどめを刺した そなたの取り分は一番多かったし 285 00:17:29,049 --> 00:17:33,753 そこに儂の取り分と魔物退治の礼も乗せてある 286 00:17:33,753 --> 00:17:38,591 バルハス老がミスリル製の代物を 仕上げてやると仰っておったぞ! 287 00:17:38,591 --> 00:17:40,527 期待しておると良い! 288 00:17:40,527 --> 00:17:42,429 ふぉぉぉぉ……! 289 00:17:42,429 --> 00:17:43,863 それは良いなぁ! 290 00:17:43,863 --> 00:17:44,964 うむ 291 00:17:44,964 --> 00:17:46,833 ははは…… 292 00:17:46,833 --> 00:17:49,202 大喜びじゃないですか 293 00:17:49,202 --> 00:17:53,206 ……セラフィーナ様の あんな喜んでる姿初めてみた…… 294 00:17:53,707 --> 00:17:56,376 で いつだ!?いつ頃に完成する!? 295 00:17:56,376 --> 00:17:58,645 ふむ……聞いてみよう 296 00:17:58,645 --> 00:18:01,514 三人とも少し耳を塞いでおれ 297 00:18:02,816 --> 00:18:04,317 すうう〜 298 00:18:04,317 --> 00:18:10,957 ヴュフメェェクどのぉおおー!…… 299 00:18:13,259 --> 00:18:16,763 相も変わらず凄まじい程の『雷声』だな 300 00:18:21,167 --> 00:18:22,302 ヤっほー! 301 00:18:22,302 --> 00:18:25,405 意力ノ乗った良い『雷声』だネ 次期大族長! 302 00:18:25,405 --> 00:18:27,974 そッしテ イるどれンひっさシぶリー! 303 00:18:27,974 --> 00:18:29,676 わぁ 元気…… 304 00:18:29,709 --> 00:18:32,712 急に呼び付けてすまぬなヴュフメーク殿 305 00:18:32,712 --> 00:18:34,114 イーのイーの! 306 00:18:34,114 --> 00:18:37,550 オークフィムの言葉ナらアタシ達には勅命サ! 307 00:18:37,550 --> 00:18:40,220 それデそれデ!何かでんごーン!? 308 00:18:40,220 --> 00:18:41,521 うむ·……! 309 00:18:41,521 --> 00:18:46,893 場所は黒鉄山脈 クィェフトの集落で最も人が多い所 310 00:18:46,893 --> 00:18:48,395 内容は 311 00:18:48,395 --> 00:18:54,267 『オークフィムよりバルハス老へ 例の品の受領日お伺い奉る』と 312 00:18:54,267 --> 00:18:57,704 おっぼえタ!そレじゃ行っテくル! 313 00:18:57,904 --> 00:18:59,806 おぉっ!また消えた…… 314 00:18:59,806 --> 00:19:03,309 風の妖精はどこにでも偏在しておってな 315 00:19:03,309 --> 00:19:06,846 声に意力を乗せられるなら手を貸してくれる 316 00:19:06,913 --> 00:19:10,583 まぁ 今では儂と父上にしか出来んのだが…… 317 00:19:10,583 --> 00:19:12,085 ほぉー…… 318 00:19:12,085 --> 00:19:14,954 ん……?あれっ?ふと思ったが 319 00:19:14,954 --> 00:19:19,159 次期大族長って氏族間の要望調整役なのか……? 320 00:19:19,159 --> 00:19:23,530 そうだぞ?ま 連盟の長はそんなものよな 321 00:19:23,530 --> 00:19:26,599 魔物退治と大祓の際の要 322 00:19:26,599 --> 00:19:30,437 その他諸々の利益調整が主な役割だな…… 323 00:19:30,437 --> 00:19:33,073 いやぁその辺りは大変でな…… 324 00:19:33,073 --> 00:19:37,544 ワイルドな感じかと思ったら 政治的色が濃いんだな…… 325 00:19:37,544 --> 00:19:39,346 だのう…… 326 00:19:39,346 --> 00:19:42,749 ま 儂には儂に出来る事をやるだけさ 327 00:19:42,816 --> 00:19:47,887 皆 己に出来る事を精一杯にやって 生きてきたし生きていく他ない 328 00:19:47,887 --> 00:19:52,959 重責ではあるが父祖達より続く 儂の誇りでもあるのだ セラ 329 00:19:53,026 --> 00:19:54,594 ヴェーオル…… 330 00:19:54,994 --> 00:19:58,264 第一印象こそ野蛮だ何だと思っていたが 331 00:19:58,264 --> 00:20:01,034 やはりお前は王族の血筋なんだなぁ 332 00:20:01,034 --> 00:20:03,803 ふふ……どうだ惚れ直したか? 333 00:20:03,803 --> 00:20:06,439 ほっ……惚れ直すってお前なぁ! 334 00:20:06,439 --> 00:20:10,210 ははは!よいではないか!言葉のアヤよ 335 00:20:10,210 --> 00:20:14,814 き 貴族としてその意識を 見直したりはしたけどな……! 336 00:20:14,981 --> 00:20:16,816 たっダいマー! 337 00:20:16,816 --> 00:20:19,019 アレ?イるどれン顔赤いヨ? 338 00:20:19,019 --> 00:20:19,986 なんでもないっ! 339 00:20:19,986 --> 00:20:23,923 そっそれよりさっきの伝言の返事は どうだったのか…… 340 00:20:23,923 --> 00:20:25,925 あっ!そウそウ それネ! 341 00:20:25,925 --> 00:20:27,694 『バルハスよりオークフィムへ 342 00:20:27,694 --> 00:20:30,930 明日の朝には仕上がるぞい』だってサ! 343 00:20:30,930 --> 00:20:34,401 それはありがたい!決まりだな セラ! 344 00:20:35,101 --> 00:20:38,405 そなたの目的の見聞を広める旅…… 345 00:20:38,405 --> 00:20:41,374 クィェフトの里から始めようではないか! 346 00:20:41,941 --> 00:20:43,643 ああ! 347 00:20:54,421 --> 00:20:57,891 うむ!今朝も清々しいな! 348 00:20:57,891 --> 00:21:00,527 ……しかし完全武装で出かけるとは 349 00:21:00,527 --> 00:21:03,663 向こうで何か戦う可能性があるのか……? 350 00:21:03,663 --> 00:21:07,334 クィェフトの集落に着くまでは 気が抜けぬからな 351 00:21:07,667 --> 00:21:10,937 人里を半歩踏み出せば竜の領域だ 352 00:21:10,937 --> 00:21:13,406 備えるに越した事はないだろう 353 00:21:13,440 --> 00:21:16,943 さて……行く先は黒鉄山脈 354 00:21:16,943 --> 00:21:19,913 裏手に見えるあの大きな山の麓だ 355 00:21:19,913 --> 00:21:23,183 裏手の大きな山?って……! 356 00:21:23,183 --> 00:21:26,152 どの辺りの山か気にはなっていたが……! 357 00:21:26,519 --> 00:21:29,823 あそこに今日中に辿り着くのは 不可能だろう!? 358 00:21:29,823 --> 00:21:32,392 一体何日かかるやら…… 359 00:21:32,859 --> 00:21:33,960 ふふ…… 360 00:21:33,960 --> 00:21:36,429 それは杞憂というものだ 361 00:21:36,563 --> 00:21:39,099 いざ刮目して見るがよい! 362 00:21:39,099 --> 00:21:42,202 儂ら汎人の数ある集落の中で 363 00:21:42,202 --> 00:21:45,472 『湖畔の邑』のみに伝わる秘法―― 364 00:21:45,472 --> 00:21:48,641 天駆ける竜達への情景を! 365 00:21:50,143 --> 00:21:53,513 わわ……!?な……なんだこれはっ!? 366 00:21:51,978 --> 00:21:53,513 きゃああ 367 00:21:53,513 --> 00:21:57,517 此れは儂ら竜鎧を纏し戦士達の夢! 368 00:21:57,517 --> 00:22:03,656 祖先の憧憬が魔物となりて やがては根付き精霊となった物―― 369 00:22:04,024 --> 00:22:06,292 『竜の写し身』である! 370 00:22:06,292 --> 00:22:07,994 ぐっ…… 371 00:22:14,034 --> 00:22:16,236 飛んだ……! 372 00:22:26,012 --> 00:22:30,717 セラ!儂らの憧れ…… 竜達への畏敬がわかるか!? 373 00:22:30,717 --> 00:22:33,920 大空を駆ける程心躍る事はそうないぞ! 374 00:22:33,920 --> 00:22:36,489 あ……ああ!わかるとも……! 375 00:22:36,489 --> 00:22:38,825 ふふ……そうか! 376 00:22:41,561 --> 00:22:44,097 だいぶ新婚感出てきましたね 377 00:22:44,097 --> 00:22:46,299 んなっ!?ツッツツツツェツィ……! 378 00:22:46,299 --> 00:22:48,335 私とヴェーオルが……しっ…… 379 00:22:48,535 --> 00:22:50,503 そんな風に見えるか……? 380 00:22:50,503 --> 00:22:52,772 あれ?ご不満で? 381 00:22:53,173 --> 00:22:57,177 んむむ……むむむ……あー 382 00:22:57,177 --> 00:22:58,778 ……いや不満はない 383 00:22:58,778 --> 00:23:00,180 惚気ます!? 384 00:23:00,180 --> 00:23:02,115 ふっ…! 385 00:23:05,552 --> 00:23:08,822 皆の者しっかと掴まれぃ! 386 00:23:16,696 --> 00:23:17,831 敵襲!? 387 00:23:17,831 --> 00:23:20,133 だがあの炎は一体……!? 388 00:23:20,133 --> 00:23:22,635 厄介な相手に目をつけられた……! 389 00:23:22,635 --> 00:23:25,438 火を吐く竜など奴等しか居らぬ! 390 00:23:25,438 --> 00:23:28,742 ――黒鉄山脈の主の血脈―― 391 00:23:33,113 --> 00:23:34,180 火竜…… 392 00:23:34,180 --> 00:23:37,984 真の竜!『グレンナイリ』ッ!