1 00:00:13,680 --> 00:00:18,518 (ユキハル) 彼岸のネフト…。 一足 遅かったな。 2 00:00:18,518 --> 00:00:23,023 でも 最初の一行の生き残りは もう1人いるんでしょう? 3 00:00:23,023 --> 00:00:26,693 星図のロムゾね。 あれは だめだ。 4 00:00:26,693 --> 00:00:31,198 交渉するとなると ネフトより危険だよ。 ハハハ。 5 00:00:31,198 --> 00:00:34,701 最初の一行の生き残りが だめとなると➡ 6 00:00:34,701 --> 00:00:37,037 やっぱり 最後の地だな。 7 00:00:37,037 --> 00:00:41,041 それって 本物の魔王が 死んだっていう場所? 8 00:00:41,041 --> 00:00:45,879 うん。 でも 怖いんだよね 最後の地は。 9 00:00:45,879 --> 00:00:48,048 アリモ列村って知ってる? 10 00:00:48,048 --> 00:00:51,218 最後の地の すぐ近くなんだけど…。 11 00:00:51,218 --> 00:00:54,888 むごい事件が 起こったばかりらしくて…。 12 00:00:54,888 --> 00:00:59,559 でも もう他に 本物の魔王の 手がかりはないんじゃない? 13 00:00:59,559 --> 00:01:04,164 う~ん… 嫌だな。 できれば 行きたくないんだけど。 14 00:01:04,164 --> 00:01:06,166 弱気だな。 15 00:01:06,166 --> 00:01:09,836 でも そんなこと 言うときは 大抵やるよね ユキハル。 16 00:01:09,836 --> 00:01:12,172 ハハハ! まあね。 17 00:01:12,172 --> 00:01:14,374 プロだから。 18 00:01:17,177 --> 00:01:21,181 <地平のすべてを恐怖させた 世界の敵➡ 19 00:01:21,181 --> 00:01:25,218 本物の魔王を 何者かが倒した。 20 00:01:25,218 --> 00:01:31,058 だが 世界には まだ 時代を変革しうる 逸脱の存在➡ 21 00:01:31,058 --> 00:01:34,895 修羅のごとき 百鬼魔人が うごめいている。 22 00:01:34,895 --> 00:01:38,899 民が求めるのは 世界を平和に導くための➡ 23 00:01:38,899 --> 00:01:41,568 本物の勇者。 24 00:01:41,568 --> 00:01:45,639 今 その1人を 決める必要があった> 25 00:03:30,043 --> 00:03:41,054 ♬~ 26 00:03:41,054 --> 00:03:44,224 神官様 環座のクノーディ様。 27 00:03:44,224 --> 00:03:47,561 どうか 詞術のご加護を お授けください。 28 00:03:47,561 --> 00:03:52,232 (クノーディ)ええ 隣人のためとあらば もちろんのことです。 29 00:03:52,232 --> 00:03:56,536 街道の森に オーガが現れるのです。 あっ…。 30 00:03:56,536 --> 00:03:58,538 <クノーディ:オーガ…。 31 00:03:58,538 --> 00:04:04,311 鬼族の中で 最も強く 恐ろしい 人食いの怪物。 32 00:04:04,311 --> 00:04:08,482 幼いころに 一度だけ➡ 33 00:04:08,482 --> 00:04:11,785 その姿を見たことがありました> 34 00:04:16,656 --> 00:04:20,160 ((うっ… うぅ… うっ うっ…)) 35 00:04:20,160 --> 00:04:22,829 明日の朝…。 あっ…。 36 00:04:22,829 --> 00:04:26,166 村の者数名で討伐に向かいます。 37 00:04:26,166 --> 00:04:30,337 教団の詞術のお力で 加護を願えますでしょうか? 38 00:04:30,337 --> 00:04:33,840 教団の神官が詞術を学ぶのは➡ 39 00:04:33,840 --> 00:04:40,013 あまねく 通ずる言葉をもたらした 詞神様の奇跡を知るためです。 40 00:04:40,013 --> 00:04:43,850 しかし 本物の魔王の時代には➡ 41 00:04:43,850 --> 00:04:49,022 誰もが よく生きるための力を 戦いに用いました。 42 00:04:49,022 --> 00:04:52,692 我々 教団も例外なく。 43 00:04:52,692 --> 00:04:57,030 この老いた身で 助けられるか わかりませんが➡ 44 00:04:57,030 --> 00:05:00,634 僅かでも あなた方の心が安らぐのなら➡ 45 00:05:00,634 --> 00:05:02,636 行かぬ理由はないでしょう。 46 00:05:02,636 --> 00:05:05,138 ああ クノーディ様! クノーディ様! 47 00:05:05,138 --> 00:05:08,141 ありがとうございます! ありがとうございます! 48 00:05:08,141 --> 00:05:11,978 <クノーディ:その日 街道の森には➡ 49 00:05:11,978 --> 00:05:15,482 明るい朝日が 差し込んでいました> 50 00:05:15,482 --> 00:05:20,187 オーガは 知能が高いからな 待ち伏せているかもしれない。 51 00:05:20,187 --> 00:05:22,355 木の上から 襲ってきたやつもいると…。 52 00:05:22,355 --> 00:05:24,324 んっ! うぅ…。 んっ…。 53 00:05:27,861 --> 00:05:29,829 あっ…。 54 00:05:35,702 --> 00:05:37,837 こちらから射ちかけて➡ 55 00:05:37,837 --> 00:05:40,841 やつが 木の陰に 逃げ込んだところを しとめよう。 56 00:05:40,841 --> 00:05:43,844 クノーディ様は 詞術で お守りいただけますか? 57 00:05:43,844 --> 00:05:46,179 えっ… ええ。 58 00:05:46,179 --> 00:05:49,182 (ウハク)んっ… うん。 んっ…。 59 00:05:49,182 --> 00:05:54,888 けれど 本当に あれは 人を害する オーガなのでしょうか? 60 00:05:57,858 --> 00:06:02,963 んっ? クノーディ様? 61 00:06:02,963 --> 00:06:05,065 危険です クノーディ様! 62 00:06:08,635 --> 00:06:10,637 血の臭いがしない。 63 00:06:20,647 --> 00:06:25,151 こんにちは 新たな隣人。 64 00:06:25,151 --> 00:06:27,153 んっ んっ…。 65 00:06:27,153 --> 00:06:30,991 私は この先の村で 神官をしている者です。 66 00:06:30,991 --> 00:06:35,829 この 環座のクノーディは あなたを救いたいと願っています。 67 00:06:35,829 --> 00:06:39,332 (においを嗅ぐ音) 68 00:06:39,332 --> 00:06:41,635 まさか あなたは…。 69 00:06:44,504 --> 00:06:47,107 私たちの言葉が聞こえないの? 70 00:06:54,347 --> 00:06:57,183 <クノーディ:ただ1人… ありえるはずのない➡ 71 00:06:57,183 --> 00:07:02,489 障害を負って この世に生まれ落ちたオーガ…。 72 00:07:02,489 --> 00:07:05,659 それが ウハクでした> 73 00:07:05,659 --> 00:07:08,662 どうして 連れてきたの? 何を考えてるんだ。 74 00:07:08,662 --> 00:07:14,834 この大1か月 オーガに襲われた という者は おりませんでした。 75 00:07:14,834 --> 00:07:18,805 彼は 誰も傷つけていません。 76 00:07:18,805 --> 00:07:21,141 信じられないぞ。 危険なんじゃないの? 77 00:07:21,141 --> 00:07:24,978 人を食べるオーガを… それも言葉を介さず➡ 78 00:07:24,978 --> 00:07:27,981 申し開きもできない者を 信用するのは➡ 79 00:07:27,981 --> 00:07:30,483 容易ではないと わかっています。 80 00:07:30,483 --> 00:07:34,521 それでも 私は 私の信じる教義において➡ 81 00:07:34,521 --> 00:07:37,691 迷い 苦しむ者であれば 誰であれ➡ 82 00:07:37,691 --> 00:07:41,161 手を差し伸べるべきだと 信じています! 83 00:07:44,364 --> 00:07:47,867 (クノーディ)あなたを 保護してよいことになりました。 84 00:07:47,867 --> 00:07:51,871 彼らからすれば 監視ということになるでしょうが。 85 00:07:51,871 --> 00:07:55,542 あなたの聴覚に 異常はないはずなのに➡ 86 00:07:55,542 --> 00:08:00,480 言葉を聞き取れないのは 不思議なことですね。 87 00:08:00,480 --> 00:08:05,485 これまで あなたに 言葉が 与えられたことがないのなら➡ 88 00:08:05,485 --> 00:08:09,456 今 名前を与えましょう。 89 00:08:09,456 --> 00:08:12,459 不言のウハクと。 90 00:08:15,962 --> 00:08:19,299 (クノーディ)不言… 伝説の時代…。 91 00:08:19,299 --> 00:08:22,969 ただ1人 多弁を慎み➡ 92 00:08:22,969 --> 00:08:27,807 語らずして 多くの種族の争いを治めた聖者➡ 93 00:08:27,807 --> 00:08:32,846 不言のメルユグレ様が果たした 徳の名です。 94 00:08:32,846 --> 00:08:38,184 私たちは 詞術の力の本質を知っています。 95 00:08:38,184 --> 00:08:40,520 何かを語ることではなく➡ 96 00:08:40,520 --> 00:08:46,693 詞術の通ずる心があることこそが その本質なのだと。 97 00:08:46,693 --> 00:08:50,864 きっと 受け入れられる日が来ます。 98 00:08:50,864 --> 00:08:54,634 話せないことも 聞こえないことも。 99 00:08:59,372 --> 00:09:03,443 <クノーディ:ウハクは その2つ目の名が示すとおり➡ 100 00:09:03,443 --> 00:09:08,448 私や村の人々を 誠実に助けてくれました> 101 00:09:10,784 --> 00:09:15,121 <クノーディ:私は 心を伝える方法の1つとして➡ 102 00:09:15,121 --> 00:09:18,024 彼に 教団文字を教えました> 103 00:09:21,127 --> 00:09:26,633 <クノーディ:その上達は目覚ましく とても驚いたものです。 104 00:09:26,633 --> 00:09:31,638 彼は 決して 肉を食べませんでした。 105 00:09:31,638 --> 00:09:36,643 いつも 自分が食べる分だけの 木の実や豆を➡ 106 00:09:36,643 --> 00:09:39,145 森から採ってきました> 107 00:09:44,317 --> 00:09:47,320 (笑い声) 108 00:09:47,320 --> 00:09:50,156 <クノーディ:アイナ ノーフェルト➡ 109 00:09:50,156 --> 00:09:53,493 リビエ クゼ…。 110 00:09:53,493 --> 00:09:57,831 いつも 私を悩ませ 笑わせてくれた子どもたちは➡ 111 00:09:57,831 --> 00:10:00,333 もう いません。 112 00:10:00,333 --> 00:10:04,337 今では 無言のオーガが 新たな息子。 113 00:10:04,337 --> 00:10:07,841 なくてはならない 私の家族であり➡ 114 00:10:07,841 --> 00:10:10,844 かつての神官たちに代わって➡ 115 00:10:10,844 --> 00:10:16,015 共に信仰の暮らしを守る 仲間となりました> 116 00:10:16,015 --> 00:10:20,186 (クノーディ) なぜ 詞神様の教えを学ぶのか➡ 117 00:10:20,186 --> 00:10:22,589 あなたは わかっていますよね? 118 00:10:24,524 --> 00:10:28,027 神官は 呪いを解く者です。 119 00:10:28,027 --> 00:10:30,363 人の心に落ちる影を➡ 120 00:10:30,363 --> 00:10:34,534 言葉や意思を通じて 晴らすことができます。 121 00:10:34,534 --> 00:10:40,373 本物の魔王の残した恐怖も 解くことができます。 122 00:10:40,373 --> 00:10:46,379 だから 言葉は尊く 詞術は 私たちの祝福なのです。 123 00:10:46,379 --> 00:10:51,885 けれど あなただけは 言葉を与えられていません。 124 00:10:51,885 --> 00:10:55,555 喉も耳も健康であるのに…。 125 00:10:55,555 --> 00:10:59,893 それも 詞神様の おぼし召しなのでしょう。 126 00:10:59,893 --> 00:11:04,831 けれど あなたには 心があります。 127 00:11:04,831 --> 00:11:09,636 私たちと何も変わらない心が。 128 00:11:14,374 --> 00:11:16,342 (子どもたち)お~! 129 00:11:16,342 --> 00:11:18,545 <クノーディ:そうした ウハクの心は➡ 130 00:11:18,545 --> 00:11:23,049 村の人々にも 少しずつ通じていたと➡ 131 00:11:23,049 --> 00:11:25,518 私も信じていました> 132 00:11:39,899 --> 00:11:44,170 ああ… ありがとう ウハク。 寒くはなかった? 133 00:11:47,407 --> 00:11:49,909 これを見つけてきてくれたの? 134 00:11:49,909 --> 00:11:52,412 すばらしい働きだわ。 135 00:11:52,412 --> 00:11:57,383 これで おおかみにおびえる 村人たちも 安心できるでしょう。 136 00:12:08,661 --> 00:12:10,863 (鳴き声) 137 00:12:46,199 --> 00:12:48,201 ウハク あれを。 138 00:12:52,205 --> 00:12:54,207 ハッ! 139 00:12:56,242 --> 00:12:58,578 (鳥の鳴き声) 140 00:12:58,578 --> 00:13:02,348 <クノーディ:私は 同じような ありさまを 知っていました> 141 00:13:05,184 --> 00:13:08,354 <クノーディ:本物の魔王が 生きていたころの…。 142 00:13:08,354 --> 00:13:11,524 何もかもが おかしくなる 恐怖を…> 143 00:13:11,524 --> 00:13:14,360 (悲鳴) 144 00:13:14,360 --> 00:13:16,529 早く逃げろ! (悲鳴) 145 00:13:16,529 --> 00:13:20,533 (ベルカ)うお~! あ~! 146 00:13:20,533 --> 00:13:24,037 うわ~!! 147 00:13:24,037 --> 00:13:26,706 うっ… 助けて。 148 00:13:26,706 --> 00:13:30,710 聞こえる! まだ あれの声が聞こえる! 149 00:13:30,710 --> 00:13:34,213 うお~!! 150 00:13:34,213 --> 00:13:36,716 ベルカだ! 魔王を倒しに行った英雄の…。 151 00:13:36,716 --> 00:13:40,720 ベッ… ベルカより アリモの土へ 蠢く群影… 助けて…。 152 00:13:40,720 --> 00:13:43,556 鉄の起源 砕ける波…。 153 00:13:43,556 --> 00:13:45,892 怖い 怖い…。 154 00:13:45,892 --> 00:13:47,860 孵れ! 155 00:13:51,731 --> 00:13:53,733 ハッ… あっ…。 156 00:13:53,733 --> 00:13:56,903 うお~! 157 00:13:56,903 --> 00:14:02,475 あっ! うっ! うっ… あっ…。 158 00:14:02,475 --> 00:14:08,648 ハァハァ… 声… 声を止めて! あっ…。 159 00:14:08,648 --> 00:14:11,984 うっ うぅ… うっ…。 あっ…。 160 00:14:11,984 --> 00:14:15,988 うっ… あっ! やっ… やめ…。 うわ~! 161 00:14:15,988 --> 00:14:18,491 ハッ…。 (そしゃく音) 162 00:14:22,995 --> 00:14:25,832 やめなさい! 裂震のベルカ! 163 00:14:25,832 --> 00:14:29,836 本物の魔王は もう いません! あっ…。 164 00:14:29,836 --> 00:14:32,171 もはや どこにもいないのです! 165 00:14:32,171 --> 00:14:35,842 うそだ…。 あっ…。 166 00:14:35,842 --> 00:14:39,846 この声は 私の中で ずっと聞こえる。 167 00:14:39,846 --> 00:14:42,348 いいえ 声などありません! 168 00:14:42,348 --> 00:14:47,353 私たちは 自らの心の内の恐怖と 闘わなければいけません! 169 00:14:47,353 --> 00:14:50,523 すべてを恐れ 憎み 殺し合うようでは➡ 170 00:14:50,523 --> 00:14:54,026 本物の魔王の時代と 同じではありませんか! 171 00:14:54,026 --> 00:14:58,364 どうか 英雄としての心を 取り戻すのです。 ベルカ! 172 00:14:58,364 --> 00:15:02,568 ベルカより アリモの土へ 蠢く群影 鉄の起源 砕ける波…。 173 00:15:04,837 --> 00:15:07,840 ああ…。 174 00:15:07,840 --> 00:15:11,611 クノーディより アリモの風へ 滝の流れ 折れる細枝…。 175 00:15:15,681 --> 00:15:17,850 孵れ! 阻め! 176 00:15:24,690 --> 00:15:27,059 あっ… ハッ! 177 00:15:31,197 --> 00:15:33,166 ウハク…。 178 00:15:38,037 --> 00:15:41,808 ハッ… うぅ…。 179 00:15:46,546 --> 00:15:51,551 ベルカより アリモの土へ 蠢く群影 鉄の起源 砕ける波…。 180 00:15:51,551 --> 00:15:55,054 孵れ! 181 00:15:55,054 --> 00:15:57,557 ハッ…。 <クノーディ:我々の詞術は➡ 182 00:15:57,557 --> 00:15:59,892 どこにも届いていませんでした。 183 00:15:59,892 --> 00:16:03,963 世界の何もかもから 切り離された孤独が➡ 184 00:16:03,963 --> 00:16:07,466 そこに 厳然と 存在しているかのように…> 185 00:16:07,466 --> 00:16:11,471 あっ あっ あっ… ああ…。 186 00:16:11,471 --> 00:16:16,142 あっ あっ! ああ… あっ! 187 00:16:16,142 --> 00:16:18,644 うっ! あっ… ああ…。 188 00:16:18,644 --> 00:16:22,648 ベルカ! うぅっ! 189 00:16:22,648 --> 00:16:27,987 ハァ… うっ うぅ… ハァハァ…。 190 00:16:27,987 --> 00:16:32,992 うっ うっ… ああ… うぅ…。 うぅ~! あ~! 191 00:16:32,992 --> 00:16:38,164 うっ… うぅ… あ~! 192 00:16:38,164 --> 00:16:41,667 ハッ! うっ! あっ! 193 00:16:41,667 --> 00:16:45,505 ハァ… うっ! 194 00:16:45,505 --> 00:16:50,510 ハァハァ ハァハァ… うぅっ! 195 00:16:50,510 --> 00:16:53,513 (殴る音) 196 00:17:06,158 --> 00:17:08,828 あっ… ああ…。 197 00:17:08,828 --> 00:17:12,832 <クノーディ:誰もが そのとき 初めて理解しました。 198 00:17:12,832 --> 00:17:17,136 ウハクは 人を食べることのできない オーガなどではなく➡ 199 00:17:17,136 --> 00:17:20,139 ただ 食べなかっただけなのだと> 200 00:17:23,009 --> 00:17:27,980 <クノーディ:それからの状況は 次第に悪くなっていきました。 201 00:17:27,980 --> 00:17:33,152 ベルカが運んできた恐怖が 村そのものに伝染したのです> 202 00:17:33,152 --> 00:17:35,988 おい! ふざけんなよ! うっ! 203 00:17:35,988 --> 00:17:38,658 くっ! あっ… つっ…。 204 00:17:38,658 --> 00:17:43,829 <クノーディ:この恐怖が 人々の心に 刻まれているかぎり➡ 205 00:17:43,829 --> 00:17:45,831 魔王は 何度でも➡ 206 00:17:45,831 --> 00:17:50,002 私たちの心に よみがえり続けるのでしょう> 207 00:17:50,002 --> 00:17:55,174 (怒号) 208 00:17:55,174 --> 00:17:58,344 教団を殺せ! 人食い鬼を殺せ! 209 00:17:58,344 --> 00:18:00,947 殺せ! 210 00:18:00,947 --> 00:18:03,616 (クノーディ)ウハク。 211 00:18:03,616 --> 00:18:06,953 あなたの なしたことは 間違ってなどいません。 212 00:18:06,953 --> 00:18:10,456 あなたは 多くの村人の命を救った。 213 00:18:10,456 --> 00:18:14,794 ベルカの肉を食らってしまったことも 間違いではありません。 214 00:18:14,794 --> 00:18:17,129 鬼族は 人族の肉を食べる。 215 00:18:17,129 --> 00:18:20,800 この世の始まりから 決まっていることです。 216 00:18:20,800 --> 00:18:23,970 それなのに あなたは ずっと➡ 217 00:18:23,970 --> 00:18:27,573 私たちを おもんぱかって 食べずにいてくれたのですね。 218 00:18:30,142 --> 00:18:34,146 (クノーディ)森を抜けて 川を越え 別の村の教団を頼りなさい。 219 00:18:34,146 --> 00:18:36,315 もう 話はつけてあります。 220 00:18:36,315 --> 00:18:38,818 私は 人の心に落ちる影を…。 221 00:18:38,818 --> 00:18:41,821 恐れの呪いを 解かなければなりません。 222 00:18:44,156 --> 00:18:46,359 あっ… ウハク? 223 00:18:48,327 --> 00:18:51,831 あっ… ウハク やめて! 224 00:18:51,831 --> 00:18:56,002 あっ! 出てきたぞ! 人食いオーガが! 225 00:18:56,002 --> 00:19:00,272 やっちまうぞ お前ら! よし! 226 00:19:00,272 --> 00:19:02,274 (村人たち)んっ…。 227 00:19:05,945 --> 00:19:08,781 うわ~! ぐあっ! 228 00:19:08,781 --> 00:19:10,783 <クノーディ:ウハクが戦うとき➡ 229 00:19:10,783 --> 00:19:13,452 そこには 何も起こりませんでした> 230 00:19:13,452 --> 00:19:15,454 うわ~! 231 00:19:15,454 --> 00:19:19,458 <クノーディ:事物に呼びかけて 通ずる詞術が➡ 232 00:19:19,458 --> 00:19:22,294 最初から ありえない業だったかのように> 233 00:19:22,294 --> 00:19:25,631 あっ… ハァハァハァ…。 234 00:19:25,631 --> 00:19:29,135 <クノーディ:ウハク どうすれば…。 235 00:19:29,135 --> 00:19:32,805 どうすれば 私は正しかったの?> 236 00:19:32,805 --> 00:19:35,508 ハァハァ… うっ! 237 00:19:38,644 --> 00:19:42,348 あっ… うっ… あっ…。 (足音) 238 00:19:46,819 --> 00:19:49,155 んっ…。 うわっ! 239 00:19:49,155 --> 00:19:52,158 (村人たち)あっ…。 ハッ! 240 00:19:52,158 --> 00:19:56,162 がっ! ハァ… あっ…。 241 00:20:01,167 --> 00:20:06,005 あっ…。 やあ 先生 生きてるかい? 242 00:20:06,005 --> 00:20:08,007 あっ…。 243 00:20:12,344 --> 00:20:14,346 クゼ? 244 00:20:20,519 --> 00:20:23,856 大きくなりましたね クゼ。 245 00:20:23,856 --> 00:20:27,159 (クゼ) ごめんな。 俺は いつも こうだ。 246 00:20:30,696 --> 00:20:34,033 大丈夫だ。 待ってろよ 先生。 247 00:20:34,033 --> 00:20:36,368 必ず 家に帰してやる。 248 00:20:36,368 --> 00:20:40,239 悪い夢は みんな 片づけてくるからさ。 249 00:20:40,239 --> 00:20:44,210 クゼ… 何か 書く物を。 250 00:20:44,210 --> 00:20:48,547 ((クノーディ:「ウハク…。 私の最後の心を伝えるため➡ 251 00:20:48,547 --> 00:20:50,716 書き記しておきます」。 252 00:20:50,716 --> 00:20:54,553 「雪の朝に見た あの おおかみの子は➡ 253 00:20:54,553 --> 00:20:56,889 ウハクと 同じではなかったでしょうか」。 254 00:20:56,889 --> 00:21:03,329 「詞術の通じない獣は 心を持たないとされています」。 255 00:21:03,329 --> 00:21:05,998 「ウハク…」。 256 00:21:05,998 --> 00:21:12,371 「けれど あなただけが 1人 平等に すべてを慈しみ 語り➡ 257 00:21:12,371 --> 00:21:15,875 命と向き合うことが できたのでしょう」。 258 00:21:15,875 --> 00:21:18,544 「小さな墓を作ったことも➡ 259 00:21:18,544 --> 00:21:21,046 殺した命を食べることも➡ 260 00:21:21,046 --> 00:21:26,385 あなたにとっての 命の責任の取り方なのでしょう」。 261 00:21:26,385 --> 00:21:28,387 「いつか 伝えましたね」。 262 00:21:28,387 --> 00:21:34,193 「神官は 呪いを 解く者でなければならないと」。 263 00:21:34,193 --> 00:21:39,698 「私が あなたに与えた教えを 明日より捨てなさい」。 264 00:21:39,698 --> 00:21:42,401 「あなたは あなたの思うように➡ 265 00:21:42,401 --> 00:21:46,572 すべての命に平等に 食べて 生きなさい」。 266 00:21:49,041 --> 00:21:54,046 「私は もはや 生きていることの 罪に 耐えられません」。 267 00:21:58,083 --> 00:22:01,153 「この身には 有り余り過ぎる償いを➡ 268 00:22:01,153 --> 00:22:04,490 成し遂げられるようにも 思いません」。 269 00:22:04,490 --> 00:22:09,829 「私が死んでしまったなら 私の肉を食べなさい」)) 270 00:22:09,829 --> 00:22:11,831 (ノーフェルト)フン…。 271 00:22:11,831 --> 00:22:13,999 ウケる。 272 00:22:13,999 --> 00:22:17,002 ハァ… ばっかじゃね? 273 00:22:17,002 --> 00:22:20,172 クノーディのばあさん どうかしてるっしょ。 274 00:22:20,172 --> 00:22:24,843 こんな村のために働き詰めで 結局 死んじまうとかさ。 275 00:22:24,843 --> 00:22:27,179 いつも こんなんかよ。 276 00:22:27,179 --> 00:22:29,515 教団が関係してるってだけで➡ 277 00:22:29,515 --> 00:22:32,851 俺は 生まれ故郷も助けに行けねえ。 278 00:22:32,851 --> 00:22:35,020 よう ウハク。 279 00:22:35,020 --> 00:22:38,023 お前 ばあさんの教え子ってことはさ➡ 280 00:22:38,023 --> 00:22:40,693 俺の後輩なんだろ? 281 00:22:40,693 --> 00:22:43,195 教団を見捨てる黄都➡ 282 00:22:43,195 --> 00:22:45,698 何も救えねえ詞神➡ 283 00:22:45,698 --> 00:22:49,034 まだ 本物の魔王に ビビってる世界。 284 00:22:49,034 --> 00:22:52,204 もういいっしょ。 どうでもいいわ。 285 00:22:52,204 --> 00:22:54,540 全部 台なしにしちまおうぜ。 286 00:22:54,540 --> 00:22:58,043 勇者やんぞ ウハク。 287 00:22:58,043 --> 00:23:00,512 < それは 生まれつき➡ 288 00:23:00,512 --> 00:23:04,683 詞術の概念を理解しないままに➡ 289 00:23:04,683 --> 00:23:07,019 世界を認識している。 290 00:23:07,019 --> 00:23:10,522 それは 自らの見る 現実を➡ 291 00:23:10,522 --> 00:23:12,691 他者へと 同じく 突きつける➡ 292 00:23:12,691 --> 00:23:16,195 真なる 解呪の力を持つ。 293 00:23:16,195 --> 00:23:19,865 それは 最強の人型生物として➡ 294 00:23:19,865 --> 00:23:22,034 厳然たる 現実としての➡ 295 00:23:22,034 --> 00:23:25,371 強さと大きさを持つ。 296 00:23:25,371 --> 00:23:32,711 疎通なき沈黙のままに 世界の前提を覆しゆく➡ 297 00:23:32,711 --> 00:23:35,381 公理否定の怪物である> 298 00:23:39,351 --> 00:23:43,656 <神官 大鬼 不言のウハク>