1 00:00:02,002 --> 00:00:07,007 (クリシュナ)まさか こんなところで 別のホシが 見つかるとはな。 2 00:00:07,007 --> 00:00:09,009 (リリ)ゼノス! ゼノス! 3 00:00:09,009 --> 00:00:11,011 (せきこむ声) 4 00:00:11,011 --> 00:00:13,514 私は 今 大きな事件を追っているが 5 00:00:13,514 --> 00:00:17,143 それとは別に 子どもの誘拐事件も 抱えているのだ。 6 00:00:17,143 --> 00:00:19,145 ゼノスは…。 (せきこむ声) 7 00:00:19,145 --> 00:00:23,149 エルフの子どもだな。 しかし この男は人間。 8 00:00:23,149 --> 00:00:25,317 ということは 親子ではない。 9 00:00:25,317 --> 00:00:27,319 やっと 見つけたぞ。 10 00:00:27,319 --> 00:00:31,323 人が寄りつかない廃墟街に アジトを構えるとは 考えたものだ。 11 00:00:31,323 --> 00:00:34,535 ち 違うの! ゼノスは リリを引き取って…。 12 00:00:34,535 --> 00:00:37,163 取引所を 経由しない 人身売買は 禁じられている。 13 00:00:37,163 --> 00:00:39,165 そうじゃなくて! 14 00:00:39,165 --> 00:00:42,042 ゼノスは リリを助けてくれたの! 15 00:00:42,042 --> 00:00:44,170 なに… 早まったか? 16 00:00:44,170 --> 00:00:46,172 早まりすぎだよ~! 17 00:00:46,172 --> 00:00:50,718 すまないな 捕縛用の弾だから 殺傷力は それほどないが 18 00:00:50,718 --> 00:00:53,554 この男は しばらく目覚めないぞ。 19 00:00:53,554 --> 00:00:55,556 仕事は 確実である一方 20 00:00:55,556 --> 00:00:58,559 短気なのが 私の 唯一の弱点なのだ。 21 00:00:58,559 --> 00:01:00,895 (ゼノス)さっきは 方向音痴が 22 00:01:00,895 --> 00:01:04,064 唯一の弱点だと 言っていなかったか? 23 00:01:04,064 --> 00:01:07,067 なんだと? はぁ~。 24 00:02:38,158 --> 00:02:40,160 なんだと? 25 00:02:40,160 --> 00:02:44,832 たいへん 失礼した 早とちりをしたようだ。 26 00:02:44,832 --> 00:02:47,459 無事で なによりだが なぜ…。 27 00:02:47,459 --> 00:02:50,838 防護魔法を 使っただけだ。 冗談を。 28 00:02:50,838 --> 00:02:54,300 防護魔法くらいで 私の魔法銃を 防げるはずがない。 29 00:02:54,300 --> 00:02:57,469 いや ごく平凡な 防護魔法のつもりだが。 30 00:02:57,469 --> 00:02:59,471 本気で 言っているのか? 31 00:03:02,474 --> 00:03:04,476 う~ん…。 32 00:03:04,476 --> 00:03:08,188 確かに まったく 傷がない… どういうことだ? 33 00:03:08,188 --> 00:03:10,858 今日は 信じがたい出来事ばかり起こる。 34 00:03:10,858 --> 00:03:13,027 俺も 初対面で いきなり 撃たれるという 35 00:03:13,027 --> 00:03:16,030 信じがたい出来事を たった今 経験した。 36 00:03:16,030 --> 00:03:18,324 貴公は 名のある大魔道士か? 37 00:03:18,324 --> 00:03:22,202 幼少のころより 防護魔法のみに 心血を注ぎ 38 00:03:22,202 --> 00:03:25,205 防護魔法を極め ついた 二つ名は 39 00:03:25,205 --> 00:03:27,207 防護魔法を 頑張った人。 40 00:03:27,207 --> 00:03:29,710 違うし 二つの名のセンス 皆無だな! 41 00:03:29,710 --> 00:03:32,713 ネーミングセンスの欠如は 私の 唯一の弱点だ。 42 00:03:32,713 --> 00:03:34,715 また 弱点 増えてない? 43 00:03:34,715 --> 00:03:37,343 しかし そうでなければ 説明がつかない。 44 00:03:37,343 --> 00:03:39,345 他人の目は ごまかせても 45 00:03:39,345 --> 00:03:43,223 近衛師団副師団長である この クリシュナの目は ごまかせんぞ。 46 00:03:43,223 --> 00:03:47,353 (2人)近衛師団の 副師団長? 47 00:03:47,353 --> 00:03:50,230 ああ ゼノス氏といったな。 48 00:03:50,230 --> 00:03:53,233 よかったら 私の調査に協力してくれないか? 49 00:03:53,233 --> 00:03:55,736 (カーミラ)クックックー。 50 00:03:55,736 --> 00:03:59,740 《ゼノス:一応 異常事態だから 近づくなって合図を出したし 51 00:03:59,740 --> 00:04:02,368 あいつらと 鉢合わせはしないが…》 52 00:04:02,368 --> 00:04:06,372 私は とある密命を帯びて 貧民街へと やってきたのだ。 53 00:04:06,372 --> 00:04:09,375 密命を 他人に話して 大丈夫なのか? 54 00:04:09,375 --> 00:04:13,545 その密命とは とある人物を探して 捕縛することなのだ。 55 00:04:13,545 --> 00:04:15,547 ちゅうちょなく 話し出したな。 56 00:04:15,547 --> 00:04:19,551 ある程度は 情報公開せねば 貴公の協力も 得られないだろう? 57 00:04:19,551 --> 00:04:22,388 協力するとは ひとことも言っていないが。 58 00:04:22,388 --> 00:04:25,265 近衛師団への協力は 国民の義務だぞ。 59 00:04:25,265 --> 00:04:28,102 《ゼノス:こいつも 話を聞かない系か…》 60 00:04:28,102 --> 00:04:31,271 いったい 誰を探しているんだ? 61 00:04:31,271 --> 00:04:33,273 仲裁者。 62 00:04:33,273 --> 00:04:36,276 貧民街の抗争を 終わらせた人物だ。 63 00:04:36,276 --> 00:04:38,570 ブフォ! どうした? 64 00:04:38,570 --> 00:04:40,948 (ゼノス)いや なんでもない…。 (カーミラ)クククー クククー。 65 00:04:40,948 --> 00:04:42,950 《ゼノス:こいつ!》 66 00:04:42,950 --> 00:04:44,952 秩序の番人として 67 00:04:44,952 --> 00:04:49,123 そのような 巨大な影響力を持つ 人物を 捨ててはおけない。 68 00:04:49,123 --> 00:04:53,419 だが 肝心の亜人を脅しても 口を割る気配すら ないのだ。 69 00:04:53,419 --> 00:04:57,423 人の心を コントロールするすべにも たけている その所業 70 00:04:57,423 --> 00:04:59,425 まさに 悪魔の手先! 71 00:04:59,425 --> 00:05:01,969 悪魔の手先…。 72 00:05:01,969 --> 00:05:05,597 そいつは 別に表に出たいわけじゃ ないかもしれないし 73 00:05:05,597 --> 00:05:07,599 むしろ 目立ちたくないと思うし 74 00:05:07,599 --> 00:05:10,602 無理に探さず そっとしておくのが いちばんだと思う。 75 00:05:10,602 --> 00:05:12,980 まさか 仲裁者を知っているのか! 76 00:05:12,980 --> 00:05:16,150 ただの勘だよ ハハハハハ…。 77 00:05:16,150 --> 00:05:18,152 クックック…。 78 00:05:18,152 --> 00:05:21,321 貧民街を まとめる力を持つ人物 79 00:05:21,321 --> 00:05:25,617 いずれ 王国への反対勢力を率いる 脅威に なりかねん。 80 00:05:25,617 --> 00:05:31,331 その人は そんな 大それたこと 考えてないと思う。 81 00:05:31,331 --> 00:05:33,333 ちょっと お金に うるさいけど 82 00:05:33,333 --> 00:05:35,461 本当は ただ 自分の目の前で 83 00:05:35,461 --> 00:05:39,173 人が 傷ついていくのが 嫌なだけなんだと思う。 84 00:05:39,173 --> 00:05:41,175 リリ…。 85 00:05:41,175 --> 00:05:44,011 エルフの子は 仲裁者を 知っているのか? 86 00:05:44,011 --> 00:05:47,848 しし し 知らない! リリ なんにも知らない! 87 00:05:47,848 --> 00:05:51,351 (クリシュナ)まあ いい。 (下手な口笛) 88 00:05:51,351 --> 00:05:54,855 (クリシュナ)影をつかむことすら 容易ではないのはわかっている。 89 00:05:54,855 --> 00:05:58,192 街への戻り方を教えるから そろそろ 帰ってくれないか? 90 00:05:58,192 --> 00:06:00,652 ずいぶんと せかすじゃないか。 91 00:06:00,652 --> 00:06:04,198 い いや ほら 大事な任務が あるんだろ? 92 00:06:04,198 --> 00:06:10,370 そのとおりだが… それでは 邪魔をしたな。 93 00:06:10,370 --> 00:06:13,499 んっ? 94 00:06:13,499 --> 00:06:16,210 なぜ こんなところに ベッドがあるのだ? 95 00:06:16,210 --> 00:06:18,879 ああ それは 余ったベッドで 96 00:06:18,879 --> 00:06:21,215 捨てようと思って そこに置いてたんだ。 97 00:06:21,215 --> 00:06:25,677 ならば… 悪いが このベッドを 私に使わせてくれないか? 98 00:06:25,677 --> 00:06:29,056 えっ? 実は 拠点探しに困っていたんだ。 99 00:06:29,056 --> 00:06:31,391 ここなら 貧民街にも 近くて 目立たない 100 00:06:31,391 --> 00:06:33,393 調査に うってつけだ。 101 00:06:33,393 --> 00:06:36,063 むろん 宿泊代は払う。 102 00:06:36,063 --> 00:06:38,899 私は 諸悪の根源である 仲裁者を探して 103 00:06:38,899 --> 00:06:40,901 この手で 捕らえてみせる。 104 00:06:40,901 --> 00:06:44,071 悪魔の手先から 諸悪の根源に…。 105 00:06:44,071 --> 00:06:46,073 こうして いつものように 106 00:06:46,073 --> 00:06:50,536 治療院には やっかいな女が 増えていくのであった。 107 00:06:50,536 --> 00:06:52,538 (リリ)ふん! 108 00:06:52,538 --> 00:06:54,706 粗茶ですが。 これは 109 00:06:54,706 --> 00:06:57,084 すまないな。 110 00:06:57,084 --> 00:06:59,920 熱い…。 えっ? 失礼。 111 00:06:59,920 --> 00:07:03,090 実は 猫舌なのが 私の 唯一の弱点なのだ。 112 00:07:03,090 --> 00:07:05,092 結構 弱点 多いな。 113 00:07:05,092 --> 00:07:08,428 何を言う 私の弱点は 1つだけだ。 114 00:07:08,428 --> 00:07:10,430 そうか…。 115 00:07:11,807 --> 00:07:14,810 どうしたんだ? リリ。 ゼノス 膝。 116 00:07:14,810 --> 00:07:16,812 んっ? 117 00:07:18,814 --> 00:07:21,942 ふん! ゼノス いつもの。 118 00:07:21,942 --> 00:07:23,944 いつもの? 119 00:07:23,944 --> 00:07:26,113 い つ も の! 120 00:07:26,113 --> 00:07:28,323 あぁ…。 121 00:07:30,325 --> 00:07:32,327 ウフフ…。 122 00:07:32,327 --> 00:07:34,955 フフン。 んっ? 123 00:07:34,955 --> 00:07:37,666 嫉妬じゃ。 うわっ ビックリした! 124 00:07:37,666 --> 00:07:40,669 どうした? (ゼノス)いや なんでもない。 125 00:07:40,669 --> 00:07:42,838 そうか…。 126 00:07:42,838 --> 00:07:45,841 姿を消して 耳元で ささやいておる。 127 00:07:45,841 --> 00:07:48,343 心臓に悪いから やめてほしい。 128 00:07:48,343 --> 00:07:50,971 (ゼノス)それで なんで リリが嫉妬するんだ? 129 00:07:50,971 --> 00:07:54,683 突然の 押しかけ女に マウントを取っておるのじゃ。 130 00:07:54,683 --> 00:07:58,687 (カーミラ)あなたなんかより 私のほうがゼノスと親しいのよ とな。 131 00:07:58,687 --> 00:08:00,689 魔法銃を ぶっぱなしたうえに 132 00:08:00,689 --> 00:08:02,858 ずうずうしく 泊まろうとする女のことなど 133 00:08:02,858 --> 00:08:04,860 到底 認められないわけじゃ。 134 00:08:04,860 --> 00:08:07,154 しかも 無粋な女が 実は 猫舌だったという 135 00:08:07,154 --> 00:08:09,364 ギャップ萌えで 攻めてきおった。 136 00:08:09,364 --> 00:08:11,867 さあ どうする? 自分は 何ができる? 137 00:08:11,867 --> 00:08:14,369 女のプライドを賭けた戦い いざ 開幕! 138 00:08:14,369 --> 00:08:16,371 うるさい。 139 00:08:16,371 --> 00:08:21,376 ゼノス 紅茶は まだ熱いから リリが ふぅふぅしてあげる。 140 00:08:21,376 --> 00:08:26,006 ゼノス 髪が跳ねてるよ。 リリが 直してあげる。 141 00:08:26,006 --> 00:08:30,719 ゼノス リンゴだよ。 リリが 食べさせてあげる。 フン。 142 00:08:30,719 --> 00:08:32,888 フー フー。 143 00:08:32,888 --> 00:08:34,890 むぅ…。 144 00:08:34,890 --> 00:08:37,184 こうなったら カーミラさんに教えてもらった 145 00:08:37,184 --> 00:08:40,187 奥の手を出す! 146 00:08:40,187 --> 00:08:43,565 ゼノス! こ 今夜は 147 00:08:43,565 --> 00:08:46,902 リリが 寝かさないんだから。 148 00:08:46,902 --> 00:08:49,738 (寝息) 149 00:08:49,738 --> 00:08:52,407 (クリシュナ)よく寝ているな。 ああ。 150 00:08:52,407 --> 00:08:54,409 (寝息) 151 00:08:54,409 --> 00:08:56,411 (リリ)勝った…。 152 00:08:59,414 --> 00:09:02,417 (ゼノス)どうした? あのエルフの子だが 153 00:09:02,417 --> 00:09:04,920 奴隷商に 捕まっていたと言ったな? 154 00:09:04,920 --> 00:09:08,215 素性は わかるか? いや わからないな。 155 00:09:08,215 --> 00:09:10,425 そうか…。 どうやら 156 00:09:10,425 --> 00:09:13,595 子どもの 不正売買の温床が どこかにあるようなのだ。 157 00:09:13,595 --> 00:09:15,931 だから いきなり 俺を撃ってきたのか。 158 00:09:15,931 --> 00:09:17,933 本当に すまなかった。 159 00:09:17,933 --> 00:09:21,228 短気なのが 私の 唯一の弱点だからな。 160 00:09:21,228 --> 00:09:24,606 やっぱり 弱点 多くない? まあ いいけど。 161 00:09:24,606 --> 00:09:29,069 私は 完璧な近衛兵であり 市民のヒーローでなくてはならない。 162 00:09:29,069 --> 00:09:31,071 弱点が あったとしても 163 00:09:31,071 --> 00:09:33,240 せいぜい 1つしか許されないのだ。 164 00:09:33,240 --> 00:09:35,242 聞きたいことがある。 165 00:09:35,242 --> 00:09:37,786 貴公は 防護魔法を極めた達人だろう? 166 00:09:37,786 --> 00:09:39,788 違うけど。 167 00:09:39,788 --> 00:09:43,959 貴公が 防護魔法を極めたように 治癒魔法を極めたら 168 00:09:43,959 --> 00:09:47,796 例えば 腕を完全に再生することも できるのだろうか? 169 00:09:47,796 --> 00:09:50,799 えっ? 他のヒ…。 いや そんなことは聖女か 170 00:09:50,799 --> 00:09:53,260 ごく一部の 特級クラスの 治癒師でもなければ 171 00:09:53,260 --> 00:09:55,262 不可能に決まっている…。 172 00:09:55,262 --> 00:09:57,264 それが どうしたんだ? 173 00:09:57,264 --> 00:09:59,641 私は 疾風のゾフィアと やり合ったとき 174 00:09:59,641 --> 00:10:01,643 腕に 相当な傷を負わせた。 175 00:10:01,643 --> 00:10:04,104 なのに 貧民街で見た やつらの腕は 176 00:10:04,104 --> 00:10:06,648 すっかり きれいになっていた気がした。 177 00:10:06,648 --> 00:10:09,484 もしも あの重い傷を 治癒しうる者が 178 00:10:09,484 --> 00:10:14,990 存在したとしたら その 人物の言葉は 響くのではないか? 179 00:10:14,990 --> 00:10:18,118 まあ 明日から 地道に 調査を始めるさ。 180 00:10:18,118 --> 00:10:20,120 貧民の扇動者であり 181 00:10:20,120 --> 00:10:23,999 悪の始祖たる仲裁者を 私は 必ず捕らえてみせる。 182 00:10:23,999 --> 00:10:28,003 悪の始祖… どんどん レベルアップしていくな…。 183 00:10:28,003 --> 00:10:31,673 ちなみに どうして そこまで 貧民を 目の敵にするんだ? 184 00:10:31,673 --> 00:10:34,009 別に おもしろくない話だ。 185 00:10:34,009 --> 00:10:38,513 私の母は 貧民に 命を奪われたのだ。 186 00:10:38,513 --> 00:10:42,017 母は 慈愛に満ちた人だった。 187 00:10:42,017 --> 00:10:45,687 貧民街の者たちが 腹をすかせて かわいそうだと 188 00:10:45,687 --> 00:10:48,523 毎日のように 炊き出しに行っていた。 189 00:10:48,523 --> 00:10:52,319 そして ある日 遺体となって戻ってきた。 190 00:10:52,319 --> 00:10:56,031 結婚指輪を 奪うための 犯行だったと聞いている。 191 00:10:56,031 --> 00:11:00,035 母のおかげで 大勢の貧民が 飢餓から 逃れたはずなのに 192 00:11:00,035 --> 00:11:03,538 誰も 救ってはくれなかった。 193 00:11:03,538 --> 00:11:06,041 だから 私は 決めたのだよ。 194 00:11:06,041 --> 00:11:09,044 私自身が 完全無欠の ヒーローとなって 195 00:11:09,044 --> 00:11:11,046 母のような被害者が 出ないよう 196 00:11:11,046 --> 00:11:13,715 貧民街の悪人どもを 取り締まるとな。 197 00:11:13,715 --> 00:11:15,884 私は 多くの実績を上げ 198 00:11:15,884 --> 00:11:19,346 最年少で 近衛師団の 副師団長に 上り詰めた。 199 00:11:19,346 --> 00:11:22,724 鉄のように 固い意志で 仕事を遂行することから 200 00:11:22,724 --> 00:11:25,185 いつしか アイアン・ローズ と 呼ばれるようになった。 201 00:11:25,185 --> 00:11:27,187 融通が利かず 202 00:11:27,187 --> 00:11:30,565 頭が固い という意味だと やゆされることもあるが 203 00:11:30,565 --> 00:11:33,193 そこには もう1つの意味が 含まれていることも 204 00:11:33,193 --> 00:11:35,737 私は 知っている。 205 00:11:35,737 --> 00:11:40,075 この顔は まるで 鉄の仮面のようだろう? 206 00:11:40,075 --> 00:11:44,579 あの日から 私は うまく笑うことができないのだよ。 207 00:11:50,085 --> 00:11:53,380 ((では 夜には戻ってくる)) 208 00:11:53,380 --> 00:11:56,383 (カーミラ)あまり 気にするな ゼノス。 209 00:11:56,383 --> 00:11:58,593 別に 珍しい話でもない。 210 00:11:58,593 --> 00:12:00,595 300年も 生きていれば 211 00:12:00,595 --> 00:12:04,099 あらゆる人間の営みを 嫌でも 目にするからのう。 212 00:12:04,099 --> 00:12:06,935 わざわざ それを 言いに来てくれたのか? 213 00:12:06,935 --> 00:12:09,104 ありがとうな カーミラ。 214 00:12:09,104 --> 00:12:13,233 なっ… わっ わらわは 辛気臭いのが 嫌いなだけじゃ。 215 00:12:13,233 --> 00:12:15,235 旗は どうする? 216 00:12:15,235 --> 00:12:17,779 ああ 今だけ 外しておくか。 217 00:12:19,781 --> 00:12:23,243 (ゼノス)あまり ムチャはするなよ。 (ゾフィア)ごめんよ 先生。 218 00:12:23,243 --> 00:12:25,412 そうだ 部下に聞いたんだけどさ 219 00:12:25,412 --> 00:12:28,623 前に言った 近衛師団のアイ…。 (クリシュナ)ゼノス氏 すまない。 220 00:12:28,623 --> 00:12:30,625 道に迷って… えっ? 221 00:12:30,625 --> 00:12:33,420 えっ? 疾風のゾフィア! アイアン・ローズ! 222 00:12:33,420 --> 00:12:35,422 貴様 なぜ こんなところに! あんたが どうして ここに! 223 00:12:35,422 --> 00:12:37,424 いや これは違うんだ! 224 00:12:37,424 --> 00:12:39,634 浮気がバレた 亭主みたいじゃな。 225 00:12:39,634 --> 00:12:43,263 この お姉さん み 道に迷ったって…。 226 00:12:43,263 --> 00:12:45,265 迷って ここに来ただと? 227 00:12:45,265 --> 00:12:48,143 大した 方向音痴だな。 (ゼノス)んっ? お前がな。 228 00:12:48,143 --> 00:12:50,145 そうさ 悪いかい? 229 00:12:50,145 --> 00:12:53,148 道に迷ったもんで この人に聞いていたのさ。 230 00:12:53,148 --> 00:12:57,277 疾風のゾフィア その腕は どうした? 231 00:12:57,277 --> 00:13:00,989 その腕の傷を治した者が おそらくは 仲裁者。 232 00:13:00,989 --> 00:13:03,283 貧民街の 不穏分子を取りまとめ 233 00:13:03,283 --> 00:13:06,286 善良な市民の生活を 脅かしかねん。 234 00:13:06,286 --> 00:13:10,290 ハッ… 貧民が 生活を脅かす? 235 00:13:10,290 --> 00:13:13,668 私は 実際に 小悪党だから 言えた口じゃないけど 236 00:13:13,668 --> 00:13:16,838 悪党ってのは 別に どこにでもいるんじゃないかい? 237 00:13:16,838 --> 00:13:19,174 何を言いたい? 近衛師団は 238 00:13:19,174 --> 00:13:22,469 子どもの 不正売買事件を 調べてるってうわさだけど 239 00:13:22,469 --> 00:13:25,472 その 元締めが 貴族だと知っているのかい? 240 00:13:25,472 --> 00:13:28,475 不正売買の温床は 貧民街に あるはずだ。 241 00:13:28,475 --> 00:13:32,020 尻尾を つかませないように 末端を 散らしているのさ。 242 00:13:32,020 --> 00:13:34,689 信じられんな。 だろうねぇ。 243 00:13:34,689 --> 00:13:37,192 どうせ 私たちの言葉は 届かないんだよ。 244 00:13:37,192 --> 00:13:39,694 ふん ならば ホシを言ってみろ。 245 00:13:39,694 --> 00:13:43,031 カレンドールさ。 ますます 信じられん。 246 00:13:43,031 --> 00:13:46,201 孤児の 教育支援にも 熱心な人格者だぞ。 247 00:13:46,201 --> 00:13:49,704 そうやって 表面ばっかり 見てるから だまされるんだよ。 248 00:13:49,704 --> 00:13:52,207 だけど 仲裁者は違うよ。 249 00:13:52,207 --> 00:13:55,210 あの人は 私たちを 身分で判断しない。 250 00:13:55,210 --> 00:13:57,212 見た目で 判断しない。 251 00:13:57,212 --> 00:13:59,714 ただ 目の前の命を救うだけさ。 252 00:13:59,714 --> 00:14:03,218 しゃくだけど もし あんたがケガしたら 253 00:14:03,218 --> 00:14:05,345 あの人は あんただって 治療するよ。 254 00:14:05,345 --> 00:14:07,514 金は きっちり取るけど 255 00:14:07,514 --> 00:14:11,059 貧民だけが 悪と区切っている あんたとは 大違いだ。 256 00:14:11,059 --> 00:14:14,896 あんたの正義なんて 単なる まがい物さ。 257 00:14:14,896 --> 00:14:18,358 なんだと! 258 00:14:18,358 --> 00:14:20,527 ゼノス氏 そこを どいてくれ。 259 00:14:20,527 --> 00:14:22,529 悪いが そうはいかない。 260 00:14:22,529 --> 00:14:25,907 ゾフィアは 俺の患者だからな。 患者? 261 00:14:25,907 --> 00:14:28,243 黙ってて悪かった。 262 00:14:28,243 --> 00:14:30,745 クリシュナ 仲裁者は 俺だよ。 263 00:14:30,745 --> 00:14:33,373 ゼノス氏が… 仲裁者? 264 00:14:33,373 --> 00:14:35,542 ああ。 ありえない。 265 00:14:35,542 --> 00:14:38,253 仲裁者は 治癒魔法を極めた人物。 266 00:14:38,253 --> 00:14:41,256 一方 貴公の専門は 防護魔法だろう? 267 00:14:41,256 --> 00:14:44,384 2つの魔法を 同時に極めるなど 不可能だ。 268 00:14:44,384 --> 00:14:46,386 極めたわけじゃないし 269 00:14:46,386 --> 00:14:49,264 そもそも 治癒も防護も 体の機能を 強化するだけだから 270 00:14:49,264 --> 00:14:51,266 基本は 一緒だろ。 271 00:14:51,266 --> 00:14:55,270 そんな理屈は 魔法学の授業でも 聞いたことがない。 272 00:14:55,270 --> 00:14:58,106 しかし 1つ わかったのは 273 00:14:58,106 --> 00:15:01,943 貴公は 亜人と仲裁者の 肩を持つということだ。 274 00:15:01,943 --> 00:15:04,279 潜伏拠点は 他を 探すことにするよ。 275 00:15:04,279 --> 00:15:06,281 (ゼノス)クリシュナ。 276 00:15:06,281 --> 00:15:09,284 民衆には 完璧なヒーローが 必要なのだ。 277 00:15:09,284 --> 00:15:12,120 私は まがい物なんかじゃない。 278 00:15:16,291 --> 00:15:20,795 クリシュナさん 貧民街の 逆方向に行ったね。 279 00:15:20,795 --> 00:15:23,298 あの 方向音痴…。 280 00:15:23,298 --> 00:15:26,301 あっ あいつ まさか…。 281 00:15:29,304 --> 00:15:33,433 (カレンドール)近衛師団の 副師団長が 突然 訪ねてこられるとは 282 00:15:33,433 --> 00:15:35,435 驚きましたな。 283 00:15:35,435 --> 00:15:38,313 カレンドール卿 盗賊が 時々 284 00:15:38,313 --> 00:15:40,982 この地区に 侵入しているのは ご存じですか? 285 00:15:40,982 --> 00:15:44,611 (カレンドール)たしか リザードマンの盗賊団が あるとか…。 286 00:15:44,611 --> 00:15:46,613 ええ 我々としては 287 00:15:46,613 --> 00:15:48,990 一層の 警備強化に努める所存です。 288 00:15:48,990 --> 00:15:50,992 貴族の 皆様自身にも 289 00:15:50,992 --> 00:15:54,162 警戒心を 高めてもらいたいと 考えております。 290 00:15:54,162 --> 00:15:56,164 ふぬ。 そこで 291 00:15:56,164 --> 00:16:00,168 お屋敷内の 現状の防犯体制を チェックさせてもらいたいのです。 292 00:16:00,168 --> 00:16:02,462 それは いい考えですな。 293 00:16:02,462 --> 00:16:07,342 しかし 事前に言ってくれれば もう少し 準備をしたものを…。 294 00:16:07,342 --> 00:16:09,844 なるべく ふだんの状態を 見せていただきたく 295 00:16:09,844 --> 00:16:13,181 失礼ながら 抜き打ちで やらせていただいているのです。 296 00:16:13,181 --> 00:16:16,351 ホッホッホ いいでしょう。 297 00:16:17,852 --> 00:16:21,523 《クリシュナ:疾風のゾフィアは カレンドール卿が ホシだと言ったが 298 00:16:21,523 --> 00:16:23,858 確かめに来るまでもなかったか》 299 00:16:23,858 --> 00:16:26,861 いかがでしたかな? クリシュナ殿。 300 00:16:26,861 --> 00:16:28,863 警備が 行き届いていますね。 301 00:16:28,863 --> 00:16:31,366 強いて言えば 警備のバラ…。 302 00:16:31,366 --> 00:16:33,702 んっ? どうなされたかね? 303 00:16:33,702 --> 00:16:35,995 いえ なんでもありません。 304 00:16:35,995 --> 00:16:39,165 失礼ですが 帰る前に お手洗いを お借りしても? 305 00:16:39,165 --> 00:16:41,376 どうぞ どうぞ。 306 00:16:41,376 --> 00:16:45,380 《カレンドール卿は 貴族の中では 下級と中級の間。 307 00:16:45,380 --> 00:16:47,382 そのわりには 警備が多い。 308 00:16:47,382 --> 00:16:49,384 それに 警備のバランス。 309 00:16:49,384 --> 00:16:53,555 正門側より やけに 裏側が多かった。 310 00:16:53,555 --> 00:16:55,557 まさかな…》 311 00:17:07,902 --> 00:17:09,904 ウソだろう…。 312 00:17:13,908 --> 00:17:16,578 誰! こ 怖い人? 313 00:17:16,578 --> 00:17:20,582 大丈夫だ。 君たちに 危害を加える者ではないよ。 314 00:17:20,582 --> 00:17:22,584 あなたは 誰なの? 315 00:17:22,584 --> 00:17:25,920 私か? 私は 正義のヒーローだ。 316 00:17:25,920 --> 00:17:27,922 ぐっ! 317 00:17:31,926 --> 00:17:36,765 さすが 近衛師団の魔法銃は 威力が違うな。 318 00:17:36,765 --> 00:17:40,935 これは ガキの脅しにも使えそうだ。 319 00:17:40,935 --> 00:17:43,938 ぐあっ! 近衛師団ごときが 320 00:17:43,938 --> 00:17:47,066 貴族様に 余計なまねをしちゃいかんなぁ。 321 00:17:47,066 --> 00:17:51,446 お前らは 黙って 愚民どもを 取り締まっていればいいんだよ! 322 00:17:51,446 --> 00:17:54,949 (カレンドール)デュフォフォ! 完璧な アイアン・ローズが 323 00:17:54,949 --> 00:17:57,452 みじめな姿だ。 324 00:17:57,452 --> 00:18:02,791 《クリシュナ:ごめんね みんな お母さん…。 325 00:18:02,791 --> 00:18:07,253 私は 本物のヒーローに なれなかったよ…》 326 00:18:07,253 --> 00:18:09,798 (ゾフィア)なんだ まだ 生きているじゃないか。 327 00:18:09,798 --> 00:18:12,091 もう少し 遅く 来るべきだったねぇ。 328 00:18:12,091 --> 00:18:14,969 (クリシュナ)疾風の ゾフィア…。 329 00:18:14,969 --> 00:18:16,971 な なぜ…。 330 00:18:16,971 --> 00:18:18,973 ムチャしやがって。 331 00:18:18,973 --> 00:18:22,268 悪い意味で 期待を 裏切らないやつだな お前は。 332 00:18:22,268 --> 00:18:24,646 わざわざ 往診に来てやったぞ。 333 00:18:24,646 --> 00:18:27,649 死ぬほど 高くつくから 覚悟しておけ。 334 00:18:27,649 --> 00:18:29,984 貴様らは なんだ! 気にするな 335 00:18:29,984 --> 00:18:31,986 しがない 回復屋だ。 336 00:18:31,986 --> 00:18:33,988 私は 単なる道案内さね。 337 00:18:33,988 --> 00:18:37,826 ふ ふざけるな! 貴様は リザードマンか…。 338 00:18:37,826 --> 00:18:42,664 貧民街の盗賊なら 撃ち殺しても なんの問題もないか。 339 00:18:42,664 --> 00:18:44,666 そこに なおれ! 340 00:18:44,666 --> 00:18:46,668 はぁ~。 341 00:18:48,670 --> 00:18:52,507 ハッ フハハハ! バカめ! 342 00:18:52,507 --> 00:18:54,843 (ゼノス)ちょっと痛いな これ。 343 00:18:54,843 --> 00:18:56,845 (カレンドール)なにぃ!? 344 00:18:56,845 --> 00:18:59,305 クソが! な なぜだ! 345 00:18:59,305 --> 00:19:03,518 なぜだ! なぜだ なぜだ なぜだ!! 346 00:19:03,518 --> 00:19:05,520 ヒッ! 347 00:19:07,522 --> 00:19:11,025 うっ! うぅ…。 348 00:19:11,025 --> 00:19:13,027 なんだ…。 349 00:19:13,027 --> 00:19:15,864 なんなんだ お前は! 350 00:19:15,864 --> 00:19:18,700 ヒッ! げ 下民ごときが 351 00:19:18,700 --> 00:19:21,327 貴族のわしに 銃を向けるとは! 352 00:19:21,327 --> 00:19:25,039 人を撃つなら 自分が撃たれる覚悟も 必要だ。 353 00:19:25,039 --> 00:19:29,335 ま 待て! な なんでもやるから その銃を 下ろせ! 354 00:19:29,335 --> 00:19:32,547 まあ 正直 俺は あんたに会ったばかりだし 355 00:19:32,547 --> 00:19:35,174 過去に ひどい仕打ちを 受けたわけでもない。 356 00:19:35,174 --> 00:19:38,720 恨みといえば たった今 容赦なく 撃たれたくらいだ。 357 00:19:38,720 --> 00:19:41,180 わ 悪かったよ! 358 00:19:41,180 --> 00:19:43,182 このわしが 謝ったんだぞ。 359 00:19:43,182 --> 00:19:46,185 見逃してくれよ。 だめ。 360 00:19:46,185 --> 00:19:48,187 な なぜだ? 361 00:19:48,187 --> 00:19:53,067 そ そうか あの女にも 謝ればいいんだな? 362 00:19:53,067 --> 00:19:55,904 わ わしが悪かった。 363 00:19:55,904 --> 00:19:59,741 勢いで 撃っただけだから 許してくれ なっ? 364 00:19:59,741 --> 00:20:03,077 はぁ~ それで 謝ったつもりなのも すごいが 365 00:20:03,077 --> 00:20:05,079 あんたが いちばん 366 00:20:05,079 --> 00:20:07,373 謝らないといけない 相手がいるだろ? 367 00:20:07,373 --> 00:20:10,376 誰に 謝れというのだ! 368 00:20:10,376 --> 00:20:13,087 (ゼノス)わかってないみたいだから お仕置き。 369 00:20:13,087 --> 00:20:16,591 俺の未来の お客様候補に なに してくれるんだ! 370 00:20:16,591 --> 00:20:18,593 ごべぇ~! 371 00:20:21,596 --> 00:20:24,223 殺し… たのか? 372 00:20:24,223 --> 00:20:26,601 (ゼノス)リミッターをつけたから 死んじゃいない。 373 00:20:26,601 --> 00:20:29,938 こいつを 真に裁くのは 俺の役目じゃないだろ? 374 00:20:29,938 --> 00:20:34,233 わ 私は もう 手遅れだ…。 375 00:20:34,233 --> 00:20:36,778 この件を 近衛師団に…。 376 00:20:36,778 --> 00:20:39,113 誰が そんな面倒なことやるか。 377 00:20:39,113 --> 00:20:41,240 それは お前の仕事だろ? 378 00:20:41,240 --> 00:20:45,954 左腕と脇腹 あとは 内臓も 一部 やられたみたいだな。 379 00:20:45,954 --> 00:20:48,957 これくらいで 何を 諦めた顔をしているんだ? 380 00:20:48,957 --> 00:20:51,793 アイアン・ローズの名が泣くぞ。 えっ? 381 00:20:51,793 --> 00:20:54,420 あとで 請求額 見て 驚くなよ。 382 00:20:54,420 --> 00:20:58,132 ゼノス氏… 貴公は いったい…。 383 00:20:58,132 --> 00:21:00,802 気が散るから ちょっと黙ってろ。 384 00:21:00,802 --> 00:21:02,804 ヒーロー。 385 00:21:02,804 --> 00:21:04,806 そんな 大層なもんじゃない。 386 00:21:04,806 --> 00:21:07,433 俺は ただの 場末の闇ヒーラーだ。 387 00:21:10,019 --> 00:21:11,980 信じられん…。 388 00:21:11,980 --> 00:21:13,982 この 驚異的な治癒魔法 389 00:21:13,982 --> 00:21:16,442 ゼノス氏こそが 仲裁者だったのか? 390 00:21:16,442 --> 00:21:18,444 いや そう言っただろ。 391 00:21:18,444 --> 00:21:21,155 私は ヒーローなどではなかった…。 392 00:21:21,155 --> 00:21:25,159 ゼノス氏のような者こそ 完璧なヒーローだと思い知った。 393 00:21:25,159 --> 00:21:28,287 完璧なヒーローなんて そもそも いないんだよ。 394 00:21:28,287 --> 00:21:30,665 何かのために 戦っているやつってのは 395 00:21:30,665 --> 00:21:32,667 嫌でも 傷を負うもんだ。 396 00:21:32,667 --> 00:21:34,669 だから 俺みたいな治癒師がいる。 397 00:21:34,669 --> 00:21:36,838 受け売りの言葉だけどな。 398 00:21:36,838 --> 00:21:40,675 あいつらにとっては お前が ヒーローだと思うぞ。 399 00:21:40,675 --> 00:21:42,677 あいつら? 400 00:21:42,677 --> 00:21:45,013 ね ねぇ どうなったの? 401 00:21:45,013 --> 00:21:47,306 正義のヒーローは どうなったの? 402 00:21:47,306 --> 00:21:49,308 真っ先に 動いたんだ。 403 00:21:49,308 --> 00:21:51,853 この事件のヒーローは お前だ。 404 00:21:51,853 --> 00:21:53,855 私が…。 405 00:21:53,855 --> 00:21:56,691 私 は…。 406 00:21:56,691 --> 00:21:59,193 (クリシュナ)み みんな! 大丈夫だ! 407 00:21:59,193 --> 00:22:02,196 私は なんとか無事だ。 すぐに助ける! 408 00:22:02,196 --> 00:22:04,866 (みんな)ありがとう ヒーロー! 409 00:22:04,866 --> 00:22:08,703 母を ずっと 哀れな被害者だと思っていた。 410 00:22:08,703 --> 00:22:12,498 だけど… 母は いつも 目を輝かせて 411 00:22:12,498 --> 00:22:16,502 手をかけた料理を 貧民街の 子どもたちに届けて…。 412 00:22:16,502 --> 00:22:18,880 そうだな お前が 今 413 00:22:18,880 --> 00:22:20,882 子どもたちの ヒーローになったみたいに 414 00:22:20,882 --> 00:22:23,718 きっと 誰かのヒーローだったと思うぞ。 415 00:22:23,718 --> 00:22:25,720 私の母は 416 00:22:25,720 --> 00:22:30,349 不器用で 慌て者で 怒りっぽくて 忘れ物が多くて 417 00:22:30,349 --> 00:22:33,728 弱点だらけの人だった。 418 00:22:33,728 --> 00:22:38,232 それでも… それでも 確かに 419 00:22:38,232 --> 00:22:41,235 間違いなく 私のヒーローだったんだ。 420 00:22:48,242 --> 00:22:50,745 先生 そろそろ 近衛師団が 421 00:22:50,745 --> 00:22:52,747 騒ぎを 嗅ぎつけてくるころだよ。 422 00:22:52,747 --> 00:22:55,541 ああ 日陰者は そろそろ ずらかるか。 423 00:22:55,541 --> 00:22:57,543 ゼノス氏! 424 00:23:01,089 --> 00:23:04,550 (クリシュナ)ゼノス氏 どうして 私を助けに来たんだ? 425 00:23:04,550 --> 00:23:06,552 宿泊代。 えっ? 426 00:23:06,552 --> 00:23:10,556 ベッドを貸したときに 宿泊代は 払うと言っただろ。 427 00:23:10,556 --> 00:23:13,267 お前が ムチャして死んだら 取り立てが できない。 428 00:23:13,267 --> 00:23:15,269 さっきの治療費と合わせて 429 00:23:15,269 --> 00:23:17,271 耳そろえて しっかり払えよ。 430 00:23:17,271 --> 00:23:19,273 宿泊代…。 431 00:23:19,273 --> 00:23:27,281 フッ フフッ ハハッ ハハハ ハハハハハハハ! 432 00:23:27,281 --> 00:23:31,410 フッ お前 笑えるじゃないか。 433 00:23:31,410 --> 00:23:36,582 そうか… 私は今 笑っていたのか…。 434 00:23:36,582 --> 00:23:39,127 まあ だいぶ ぎこちないけどな。 435 00:23:39,127 --> 00:23:42,296 むしろ 余計に 不気味さが増したねぇ。 436 00:23:42,296 --> 00:23:44,298 し しかたないだろう。 437 00:23:44,298 --> 00:23:46,300 笑うのは 久しぶりなのだ。 438 00:23:46,300 --> 00:23:51,305 笑顔が 下手なのは 私の 唯一の… いや 439 00:23:51,305 --> 00:23:54,308 いろいろある弱点の 1つだ!