1 00:00:08,141 --> 00:00:10,644 (カラスの鳴き声) 2 00:00:15,148 --> 00:00:19,820 <打ち首には 極めて高度な技術が求められる。 3 00:00:19,820 --> 00:00:24,324 頑強な骨と十を超える 筋肉が重なる首は→ 4 00:00:24,324 --> 00:00:26,827 容易に切断できない> 5 00:00:26,827 --> 00:00:30,497 言い遺すことは? (画眉丸)ない。 6 00:00:32,466 --> 00:00:35,969 < ましてや 一刀両断など至難の業。 7 00:00:35,969 --> 00:00:38,472 大抵は 何度も叩き斬り→ 8 00:00:38,472 --> 00:00:41,942 刑場は 常に惨状を極めた> 9 00:00:41,942 --> 00:00:44,444 はあっ! おぉ! 10 00:00:46,480 --> 00:00:48,482 ああっ! 11 00:00:50,550 --> 00:00:52,553 はぁ…。 12 00:00:52,553 --> 00:00:54,855 (どよめき) 13 00:00:59,159 --> 00:01:01,194 ばかな…。 14 00:01:01,194 --> 00:01:03,964 《なぜだ? なぜ死ねない。 15 00:01:03,964 --> 00:01:06,233 いや 死なない?》 16 00:01:09,002 --> 00:01:11,271 《生に執着などないさ》 17 00:01:14,908 --> 00:01:18,812 《これまで さんざん 人を殺してきたんだ。 18 00:01:18,812 --> 00:01:22,215 今更 自分だけ 生き永らえようとは思わん》 19 00:03:07,087 --> 00:03:09,790 (佐切)名は 画眉丸。 20 00:03:09,790 --> 00:03:12,659 石隠れの里に忍として生まれ→ 21 00:03:12,659 --> 00:03:16,763 幼き頃より殺人術のみを習う。 22 00:03:16,763 --> 00:03:19,766 修業の中で 多くが 命を落とすが→ 23 00:03:19,766 --> 00:03:24,337 代わりに超人的な肉体を得る。 24 00:03:24,337 --> 00:03:27,874 なるほど 石隠れ衆であれば→ 25 00:03:27,874 --> 00:03:31,278 生身で刃を折るなど 造作もない と。 26 00:03:31,278 --> 00:03:35,248 まぁ そうだ。 あんな下手くそじゃ傷もつかん。 27 00:03:35,248 --> 00:03:37,784 忍術を使うまでもない。 28 00:03:37,784 --> 00:03:40,287 忍術が使えるのですか? 29 00:03:40,287 --> 00:03:43,623 試しに見せていただけますか? なぜ? 30 00:03:43,623 --> 00:03:46,626 個人的な興味です。 じゃあ やだ。 31 00:03:46,626 --> 00:03:48,628 火刑に処す! 32 00:03:48,628 --> 00:03:53,133 <火刑は本来 放火犯に適用される刑である。 33 00:03:53,133 --> 00:03:55,769 あぶられた皮膚は 激痛を引き起こし→ 34 00:03:55,769 --> 00:04:01,174 熱で縮んだ筋肉は 骨折するほど体を屈曲させる。 35 00:04:01,174 --> 00:04:05,445 最終的には 炎から発する煙で窒息。 36 00:04:05,445 --> 00:04:10,617 あるいは 中毒で死ぬ 非常に苦しい刑である。 37 00:04:10,617 --> 00:04:14,621 温情として先に 殺してやることもあったという> 38 00:04:16,656 --> 00:04:19,593 あぁ… なんかごめん。 39 00:04:19,593 --> 00:04:37,644 ♬~ 40 00:04:37,644 --> 00:04:41,148 こ これだけの炎でも…。 むう…。 41 00:04:43,116 --> 00:04:47,120 別に抵抗してるつもりは ないんだがなぁ。 42 00:04:47,120 --> 00:04:51,124 なんなら 殺してほしいくらいだ。 そうですか。 43 00:04:51,124 --> 00:04:54,294 てか 後ろ 向くくらいなら服くれよ。 44 00:04:54,294 --> 00:04:56,263 ねぇ ねぇ。 45 00:04:56,263 --> 00:04:59,199 私の役目は 調書を取ること。 46 00:04:59,199 --> 00:05:02,469 このままで支障ないので続きを。 47 00:05:02,469 --> 00:05:06,339 はぁ… おもしろくないぞ。 ワシの生い立ちなど。 48 00:05:06,339 --> 00:05:08,308 仕事ですから。 49 00:05:11,478 --> 00:05:14,481 親? さあな。 50 00:05:14,481 --> 00:05:18,518 赤子の頃に 里の長に殺されたとしか。 51 00:05:18,518 --> 00:05:21,688 理由は知らん。 なんとも思わん。 52 00:05:23,623 --> 00:05:26,293 夢? ないな。 53 00:05:26,293 --> 00:05:29,963 忍には 大義だの大志だのはない。 54 00:05:29,963 --> 00:05:31,965 言われるまま殺すだけだ。 55 00:05:34,401 --> 00:05:38,271 捕まった理由? あ~ え~っと。 56 00:05:38,271 --> 00:05:40,941 里を抜けようとしてな。 57 00:05:40,941 --> 00:05:44,578 仕事中に仲間に裏切られ 捕らえられたのだ。 58 00:05:44,578 --> 00:05:47,080 まあ 里の長の指示だろう。 59 00:05:47,080 --> 00:05:51,985 抜け忍を許さぬのは 里の掟だし 仕方なかろう。 60 00:05:51,985 --> 00:05:56,756 では そもそも なぜ里を抜けようと? 61 00:05:56,756 --> 00:05:58,925 牛裂きに処す! 62 00:05:58,925 --> 00:06:04,097 <牛裂きは 足に括った 縄を牛に引かせる刑である。 63 00:06:04,097 --> 00:06:08,268 人間の足は 500キロの力に 耐えると言われているが→ 64 00:06:08,268 --> 00:06:11,104 牛の力は 950キロ。 65 00:06:11,104 --> 00:06:13,273 実際は 足どころか→ 66 00:06:13,273 --> 00:06:16,176 股から胸にかけて 裂けたという> 67 00:06:24,284 --> 00:06:26,953 モー! 68 00:06:29,823 --> 00:06:31,791 モー! 69 00:06:34,928 --> 00:06:38,965 あ~ え~っと。 70 00:06:38,965 --> 00:06:41,101 ぐっ…。 71 00:06:41,101 --> 00:06:43,270 このままでは 奉行所の名折れだ! 72 00:06:43,270 --> 00:06:45,272 もっと牛 連れてこい! 73 00:06:45,272 --> 00:06:48,141 不思議ですね。 74 00:06:48,141 --> 00:06:50,777 忍の体がか? 75 00:06:50,777 --> 00:06:54,114 いえ あなたは 殺してほしいと言いながら→ 76 00:06:54,114 --> 00:06:57,284 今も抵抗していたように見えます。 77 00:06:57,284 --> 00:07:00,120 生きる意欲のない者が なぜ…。 78 00:07:00,120 --> 00:07:02,422 いえ そもそも→ 79 00:07:02,422 --> 00:07:05,592 里を抜けようとした 理由は なんですか? 80 00:07:05,592 --> 00:07:09,963 昨日の質問に 答えていただけますか? 81 00:07:09,963 --> 00:07:13,099 調書などいいから こやつを。 仕事中です。 82 00:07:13,099 --> 00:07:15,602 あの牛を…。 仕事中です。 83 00:07:15,602 --> 00:07:17,604 別に…。 仕事ちゅ…。 84 00:07:17,604 --> 00:07:19,773 大した理由じゃないよ。 85 00:07:19,773 --> 00:07:24,778 ワシは 石隠れ衆の筆頭だった。 86 00:07:24,778 --> 00:07:29,950 里の長にも認められ 長の娘と結婚することになった。 87 00:07:29,950 --> 00:07:31,952 ところが…。 88 00:07:31,952 --> 00:07:34,587 この娘が とんだ愚鈍だった。 89 00:07:34,587 --> 00:07:40,460 忍の それも長の娘が どう育てばああなるものか。 90 00:07:40,460 --> 00:07:44,264 平和ボケの世間知らずの箱入り娘。 91 00:07:44,264 --> 00:07:47,600 おかげで ワシの生活は一変した。 92 00:07:47,600 --> 00:07:51,438 ((履き物は 脱いで上がるものです。 93 00:07:51,438 --> 00:07:54,607 一日 一度は 神仏に手を合わせます。 94 00:07:54,607 --> 00:07:57,978 必ず 一緒に いただきますを言う。 95 00:07:57,978 --> 00:08:01,014 いただく命に感謝して)) 96 00:08:01,014 --> 00:08:05,285 大いに戸惑い うんざりしたよ。 このままじゃ鈍る。 97 00:08:07,287 --> 00:08:10,690 ((そういう事なら仕方あるまい。 98 00:08:10,690 --> 00:08:12,792 だが 辞めるけじめとして→ 99 00:08:12,792 --> 00:08:16,296 最後に ひと仕事 受けてくれんか)) 100 00:08:21,101 --> 00:08:23,603 はめられたと悟った。 101 00:08:23,603 --> 00:08:25,605 だが ここで逃げきっても→ 102 00:08:25,605 --> 00:08:28,608 石隠れ衆は どこまでも追ってくる。 103 00:08:28,608 --> 00:08:31,277 罠にかかった時点で詰みだ。 104 00:08:31,277 --> 00:08:38,785 そもそも 長に逆らったのが 愚かだったと諦めたわけだ。 105 00:08:38,785 --> 00:08:41,488 どうだ 大した理由じゃなかろう。 106 00:08:46,626 --> 00:08:48,995 余計な世話かもしれねえが→ 107 00:08:48,995 --> 00:08:54,100 女があまり ヤツに関わらねえほうがいい。 108 00:08:54,100 --> 00:08:56,436 ヤツの名は ご存じで? 109 00:08:56,436 --> 00:09:01,441 元石隠れ衆忍 画眉丸では? 110 00:09:01,441 --> 00:09:04,244 いえ もうひとつの名です。 111 00:09:08,248 --> 00:09:10,917 がらんの画眉丸。 112 00:09:10,917 --> 00:09:15,088 血も涙もない がらんどう。 113 00:09:15,088 --> 00:09:20,260 捕縛の際に 二十人も殺した化け物です。 114 00:09:20,260 --> 00:09:25,398 うわさじゃ 石隠れの忍は皆 仙薬を飲んで不死身とか。 115 00:09:25,398 --> 00:09:29,436 神仙郷にあるという 不老不死の薬ですよ。 116 00:09:29,436 --> 00:09:31,404 仙薬? 117 00:09:31,404 --> 00:09:34,073 すみません 与太が過ぎましたか。 118 00:09:34,073 --> 00:09:37,610 とにかく ヤツは危険なんです。 119 00:09:37,610 --> 00:09:40,480 本当にそうでしょうか? 120 00:09:40,480 --> 00:09:45,285 いえ がらんどうの男が なぜ二十人も殺すほど→ 121 00:09:45,285 --> 00:09:47,253 抵抗したのでしょう? 122 00:09:49,489 --> 00:09:52,125 ((あなたは 殺してほしいと言いながら→ 123 00:09:52,125 --> 00:09:54,894 今も抵抗していたように 見えます)) 124 00:09:56,996 --> 00:10:00,467 《そうだ 何をしている。 125 00:10:00,467 --> 00:10:03,102 なぜ おとなしく死なない。 126 00:10:03,102 --> 00:10:05,939 生に執着などないだろう。 127 00:10:05,939 --> 00:10:10,110 あしただ あしたで終わりにしよう。 128 00:10:10,110 --> 00:10:12,412 あしたの処刑で》 129 00:10:18,785 --> 00:10:24,157 <釜茹での刑は 釜揚げともいい 大量の油が使われた> 130 00:10:27,694 --> 00:10:32,432 < ただし油は 370度以上で 自然発火するため→ 131 00:10:32,432 --> 00:10:36,703 江戸時代の土製釜では 長時間は もたなかった> 132 00:10:38,838 --> 00:10:41,574 《どうして死なない? 133 00:10:41,574 --> 00:10:43,943 どうして まだ耐える? 134 00:10:43,943 --> 00:10:46,980 未練など ないはずだろ。 135 00:10:46,980 --> 00:10:49,282 がらんどうのはずだろ》 136 00:10:49,282 --> 00:10:52,452 貴様… なぜ死なんのだ! 137 00:10:58,658 --> 00:11:02,262 奉行様 準備が整いました。 138 00:11:02,262 --> 00:11:04,264 いつでも大丈夫です。 139 00:11:11,070 --> 00:11:13,573 今度は どんな刑かな? 140 00:11:13,573 --> 00:11:16,276 正直 つきあうのも疲れたよ。 141 00:11:16,276 --> 00:11:19,245 いったい いつになったら。 クククク…。 142 00:11:19,245 --> 00:11:22,248 減らず口もこれまでよ。 143 00:11:32,125 --> 00:11:34,127 これは…。 144 00:11:34,127 --> 00:11:39,165 ハッハッハハ! あの方は ただの目付役人ではないぞ。 145 00:11:39,165 --> 00:11:42,435 江戸よりお越しくださった 御様御用。 146 00:11:45,305 --> 00:11:49,208 打ち首執行人 山田浅ェ門 佐切。 147 00:11:59,118 --> 00:12:04,190 <山田浅ェ門とは 御様御用という役職にて→ 148 00:12:04,190 --> 00:12:09,128 刀剣の試し斬りや処刑執行人を 代々務めた浪人→ 149 00:12:09,128 --> 00:12:11,598 山田家の屋号である。 150 00:12:11,598 --> 00:12:17,036 斬首刑も一刀のもとに行う 刀剣の達人である> 151 00:12:17,036 --> 00:12:22,275 浅ェ門… 女でか? 女で です。 152 00:12:22,275 --> 00:12:24,277 伊州の抜け忍 画眉丸。 153 00:12:24,277 --> 00:12:28,481 幕府よりあなたの処刑を 仰せつかりました。 154 00:12:28,481 --> 00:12:31,484 殺してほしいと言ってましたね。 155 00:12:31,484 --> 00:12:33,486 お望み かなえましょう。 156 00:12:41,628 --> 00:12:44,397 《この女… 本物!》 157 00:12:47,767 --> 00:12:52,605 ひっ! 佐切殿 早くこいつを! かしこまりました。 158 00:12:52,605 --> 00:12:54,607 (鈴の音) 159 00:12:59,245 --> 00:13:02,448 ふう… なぜよけるのですか? 160 00:13:02,448 --> 00:13:04,917 動かなければ死ねたのに。 161 00:13:06,953 --> 00:13:09,622 《死ねた… のか?》 162 00:13:13,293 --> 00:13:16,963 《死ぬのが嫌なのか? ワシは》 163 00:13:20,266 --> 00:13:24,937 私は 仕事柄 さまざまな人間の 最期に立ち会い→ 164 00:13:24,937 --> 00:13:28,808 死に際の本音が 見抜けるようになりました。 165 00:13:28,808 --> 00:13:32,812 刀には 人の本性が映る。 166 00:13:32,812 --> 00:13:36,082 死ぬ寸前まで 虚勢を張り続ける者→ 167 00:13:36,082 --> 00:13:39,752 その場しのぎで 必死に慈悲を乞う者。 168 00:13:39,752 --> 00:13:41,788 そして…。 169 00:13:41,788 --> 00:13:44,957 死を受け入れたと自分を偽る者。 170 00:13:44,957 --> 00:13:46,926 な… に? 171 00:13:46,926 --> 00:13:48,928 がらんの画眉丸。 172 00:13:48,928 --> 00:13:52,098 確かにあなたには 大きな虚無がある。 173 00:13:52,098 --> 00:13:56,269 その生い立ちを聞けば むべなるかなと思います。 174 00:13:56,269 --> 00:14:00,106 しかし あなたは ひとつ 嘘をついている。 175 00:14:00,106 --> 00:14:02,675 あなたは 生に執着している。 176 00:14:02,675 --> 00:14:05,244 いや 妻を愛している。 177 00:14:08,448 --> 00:14:11,084 彼女の存在は あなたにとって→ 178 00:14:11,084 --> 00:14:14,187 生きる意味 そのもの だったのではありませんか? 179 00:14:16,956 --> 00:14:19,592 ((神仏に手を合わす。 180 00:14:19,592 --> 00:14:21,761 いただきますを言う。 181 00:14:21,761 --> 00:14:25,264 どんなときも 普通を守りましょう。 182 00:14:25,264 --> 00:14:29,769 人として 夫婦になれるように。 あなたは…)) 183 00:14:29,769 --> 00:14:31,771 くっ…。 184 00:14:35,575 --> 00:14:37,610 あっ! 185 00:14:37,610 --> 00:14:41,948 図星ですね。 なぜ自らを偽るのですか? 186 00:14:41,948 --> 00:14:46,552 処刑で死ねなかったのは 彼女への 想いがあったからでしょう。 187 00:14:46,552 --> 00:14:48,921 生に執着がないなんて→ 188 00:14:48,921 --> 00:14:52,425 そう自分に言い聞かせている だけではありませんか? 189 00:14:52,425 --> 00:14:55,094 黙れ! 190 00:14:55,094 --> 00:14:58,598 執着などない! お前に何がわかる! 191 00:14:58,598 --> 00:15:01,601 ワシの生きた世界の何が! 192 00:15:01,601 --> 00:15:04,604 ワシは… がらんの! 193 00:15:04,604 --> 00:15:08,441 ((あなたは がらんどうじゃない。 194 00:15:08,441 --> 00:15:12,111 いいや 似合いの通り名だ。 195 00:15:12,111 --> 00:15:15,114 醜いものに慣れすぎた。 196 00:15:15,114 --> 00:15:19,218 君にも同じものしか 見せられない。 197 00:15:22,755 --> 00:15:26,259 そんなことありません。 198 00:15:26,259 --> 00:15:29,162 優しい人です。 だって…。 199 00:15:29,162 --> 00:15:33,433 この顔を嫌がらなかったのは あなただけだもの。 200 00:15:35,434 --> 00:15:39,639 醜いものに慣れてるのも 悪くないですね。 201 00:15:41,607 --> 00:15:44,110 石隠れでは男は兵→ 202 00:15:44,110 --> 00:15:46,579 女は 子種の器。 203 00:15:46,579 --> 00:15:50,116 人として 生きる道は与えられない。 204 00:15:50,116 --> 00:15:53,119 私の顔もそう。 205 00:15:53,119 --> 00:15:55,154 (顔を焼く音) 206 00:15:55,154 --> 00:15:58,191 普通の女性の生き方を 諦めるようにと→ 207 00:15:58,191 --> 00:16:00,593 父に焼かれた。 208 00:16:00,593 --> 00:16:02,628 でも…。 209 00:16:02,628 --> 00:16:06,265 そう簡単に 人の心は死なないわ。 210 00:16:06,265 --> 00:16:08,734 しかし…。 211 00:16:16,676 --> 00:16:20,079 な 何を! フフフ。 212 00:16:20,079 --> 00:16:23,115 ほら こんなに赤くなって。 213 00:16:23,115 --> 00:16:27,086 そんな人が がらんどうなものですか)) 214 00:16:27,086 --> 00:16:31,123 ワシは がらんの画眉丸だ! 215 00:16:31,123 --> 00:16:35,294 心などない化け物だ! 216 00:16:35,294 --> 00:16:38,764 人のまねをしたって どうせ かなわん! 217 00:16:50,276 --> 00:16:52,812 《もう殺しで稼ぐのは やめよう。 218 00:16:52,812 --> 00:16:57,116 彼女と二人 静かに暮らすんだ。 219 00:16:57,116 --> 00:17:01,988 娘のためなら 長もわかってくれるはず。 220 00:17:01,988 --> 00:17:08,160 誰も殺さず 静かな土地で→ 221 00:17:08,160 --> 00:17:10,763 普通に暮らそう》 222 00:17:14,133 --> 00:17:17,270 《人並みに》 223 00:17:17,270 --> 00:17:19,772 そんなもの どうせかなわんのだ! 224 00:17:19,772 --> 00:17:22,141 かないます! 225 00:17:24,110 --> 00:17:26,279 な… に? 226 00:17:26,279 --> 00:17:29,448 これは 幕府発給の公儀御免状。 227 00:17:29,448 --> 00:17:31,817 いかなる罪も無罪放免にし→ 228 00:17:31,817 --> 00:17:35,454 更には 将軍のご加護が 約束される書状です。 229 00:17:35,454 --> 00:17:38,457 これさえあれば 奉行所も→ 230 00:17:38,457 --> 00:17:41,427 里の忍も あなたには手出しできない。 231 00:17:41,427 --> 00:17:43,763 な… 何を言って。 232 00:17:43,763 --> 00:17:46,766 ただし 渡すには条件がある。 233 00:17:46,766 --> 00:17:50,937 あの世に行っていただきます。 は? 234 00:17:50,937 --> 00:17:54,941 あの世って彼岸? はい。 235 00:17:54,941 --> 00:17:58,110 死ねってこと? 違います。 236 00:17:58,110 --> 00:18:04,283 一切の苦しみがなく 豊穣と喜びに満ちた土地 神仙郷。 237 00:18:04,283 --> 00:18:08,254 古くより信仰され 極楽浄土 彼岸→ 238 00:18:08,254 --> 00:18:11,290 常世の国とも 呼ばれてきた場所です。 239 00:18:11,290 --> 00:18:13,259 はるか南西海→ 240 00:18:13,259 --> 00:18:16,929 琉球国の更に かなたに あるとされてきましたが→ 241 00:18:16,929 --> 00:18:19,632 ついに それが見つかったのです。 242 00:18:23,102 --> 00:18:28,107 蝶や花が舞い どこからか 美しき歌声が聞こえる。 243 00:18:28,107 --> 00:18:32,011 そのさま まさしく伝説どおり。 244 00:18:32,011 --> 00:18:37,283 神仙郷には 不老不死の仙薬が あると言い伝えられています。 245 00:18:37,283 --> 00:18:42,621 ご公儀は その仙薬を求め 調査団を島へと向かわせました。 246 00:18:42,621 --> 00:18:44,690 しかし…。 247 00:18:44,690 --> 00:19:11,951 ♬~ 248 00:19:11,951 --> 00:19:14,787 その後も計五回 派遣されましたが→ 249 00:19:14,787 --> 00:19:18,691 誰も帰ってこなかったそうです。 250 00:19:18,691 --> 00:19:20,593 ((あっ)) 251 00:19:20,593 --> 00:19:24,764 彼らだったモノを除けば。 252 00:19:24,764 --> 00:19:28,100 ちょ ちょっと待て。 なんだその話は…。 253 00:19:28,100 --> 00:19:30,136 まるで おとぎ話の。 254 00:19:30,136 --> 00:19:34,306 そう 誰もが おとぎ話だと思っていた。 255 00:19:34,306 --> 00:19:37,510 それを目にするまでは…。 あ…。 256 00:19:37,510 --> 00:19:41,113 ((斉慶:人が花になるとは なんと面妖で→ 257 00:19:41,113 --> 00:19:43,949 なんと神秘的な。 258 00:19:43,949 --> 00:19:46,452 やはり かの地は本物。 259 00:19:46,452 --> 00:19:49,622 不老不死の薬もあるに違いない。 260 00:19:49,622 --> 00:19:52,792 次は 死んでも構わん者を使え。 261 00:19:52,792 --> 00:19:56,662 全国から死罪人を集め 島へ送るのだ。 262 00:19:56,662 --> 00:20:01,801 仙薬を持ち帰った一名を 無罪放免とする)) 263 00:20:01,801 --> 00:20:06,272 私は その適任者を探すべく ここへ来たのです。 264 00:20:06,272 --> 00:20:11,444 能力と何より 生きる意欲のある者を。 265 00:20:11,444 --> 00:20:13,446 私が こちらに向かう際→ 266 00:20:13,446 --> 00:20:18,117 奥様はまだ 石隠れの里にいると聞きました。 267 00:20:18,117 --> 00:20:21,454 あなたが捕縛された日から 心を閉ざし→ 268 00:20:21,454 --> 00:20:24,523 誰とも口を きいていないそうです。 269 00:20:24,523 --> 00:20:29,762 きっと あなたが帰ってくると 信じているのでしょう。 270 00:20:29,762 --> 00:20:31,764 今一度 聞きます。 271 00:20:31,764 --> 00:20:34,433 生に執着はありますか? 272 00:20:34,433 --> 00:20:38,304 凶悪な死罪人たちと 得体の知れぬ島へ行き→ 273 00:20:38,304 --> 00:20:40,940 無罪放免を奪い合う。 274 00:20:40,940 --> 00:20:45,444 それだけが彼女に再会する ただ一つの方法。 275 00:20:45,444 --> 00:20:47,446 それでも…。 276 00:20:47,446 --> 00:20:50,516 彼女との生に 執着はありますか? 277 00:20:50,516 --> 00:20:53,285 がらんの画眉丸。 278 00:20:53,285 --> 00:20:55,421 ふざけるな! 279 00:20:55,421 --> 00:20:58,424 そんな与太話で 出獄などさせんぞ! 280 00:21:00,926 --> 00:21:03,596 幕府のご下知ですよ。 281 00:21:03,596 --> 00:21:07,099 たかが死罪人。 代わりなどいくらでもおるわ! 282 00:21:07,099 --> 00:21:09,869 邪魔するなら あんたもろともだぞ。 283 00:21:12,605 --> 00:21:14,607 聞いているか がらんどう! 284 00:21:14,607 --> 00:21:17,843 《心のない がらんどう》 285 00:21:17,843 --> 00:21:21,247 ((そう簡単に 人の心は死なないわ)) 286 00:21:27,620 --> 00:21:30,422 ふう…。 287 00:21:30,422 --> 00:21:33,192 忍術が見たいと言ってたな。 えっ? 288 00:21:41,600 --> 00:21:43,636 (どよめき) 289 00:21:43,636 --> 00:21:46,705 こんなものでいいなら とくと見よ。 290 00:21:46,705 --> 00:21:48,807 忍法 火法師。 291 00:21:51,277 --> 00:21:59,652 (うめき声) 292 00:21:59,652 --> 00:22:02,822 ふう。 293 00:22:02,822 --> 00:22:04,823 お見事。 294 00:22:04,823 --> 00:22:07,493 ひっ! 295 00:22:09,995 --> 00:22:14,466 やるよ 不老不死の仙薬 ワシが見つけ出す。 296 00:22:16,869 --> 00:22:22,474 で これからどうすればいい? 私についてきてください。 297 00:22:22,474 --> 00:22:24,977 まずは 江戸へ行き。 え~っ。 298 00:22:24,977 --> 00:22:29,548 直接 島に行けばいいじゃん。 遠回りだろ 面倒な。 299 00:22:29,548 --> 00:22:32,451 《吹っ切れたら愚痴が増えた》 300 00:22:32,451 --> 00:22:34,787 嫌なら この話はなしに。 301 00:22:34,787 --> 00:22:36,822 やるよ やるやる。 302 00:22:36,822 --> 00:22:39,458 こうなったら 何でもやるさ。 303 00:22:39,458 --> 00:22:43,395 死罪人も未知の島も関係ない。 304 00:22:43,395 --> 00:22:47,099 必ず生きて帰る。 305 00:22:47,099 --> 00:22:49,101 《君のために》