1 00:00:04,938 --> 00:00:09,243 <典坐:物心ついた頃には ずっと同じことを言われてきた> 2 00:00:11,345 --> 00:00:13,347 《クズ。 ろくでなし。 3 00:00:13,347 --> 00:00:15,249 ごく潰し。 4 00:00:15,249 --> 00:00:17,251 (典坐)ん…》 5 00:00:17,251 --> 00:00:19,920 <貧民街で生まれ育った。 6 00:00:19,920 --> 00:00:23,924 親には自分を食わせる余裕も 気力もなかった> 7 00:00:31,365 --> 00:00:34,935 <腹がへったら 盗む。 奪う。 8 00:00:34,935 --> 00:00:37,538 殺し以外は なんでもやった> 9 00:00:42,242 --> 00:00:47,247 <眠りたいときに寝て 起きたいときに起きた> 10 00:00:51,652 --> 00:00:54,054 <自由だった> 11 00:00:55,923 --> 00:00:59,293 《イテッ… おい! どこ 見てんだ! 12 00:00:59,293 --> 00:01:01,328 浮浪児か。 13 00:01:01,328 --> 00:01:03,597 クズめ。 くっ…。 14 00:01:03,597 --> 00:01:05,599 (典坐)おら~っ!! 15 00:01:05,599 --> 00:01:08,969 うっ… ううっ…。 16 00:01:08,969 --> 00:01:12,606 あ… ああ… もう… 勘弁してくれ…。 17 00:01:12,606 --> 00:01:15,275 うっ…。 18 00:01:17,244 --> 00:01:21,248 ゴホッ!! (士遠)そこまでにしておけ。 19 00:01:21,248 --> 00:01:23,650 なんだ? テメエ! 20 00:01:23,650 --> 00:01:25,652 あっ…》 21 00:03:13,927 --> 00:03:15,929 (典坐)ハーッ…。 22 00:03:15,929 --> 00:03:18,598 (ヌルガイ)闇雲に浜を歩いても➨ 23 00:03:18,598 --> 00:03:21,601 島の外へつながる海流は 見つからない。 24 00:03:21,601 --> 00:03:24,271 (ヌルガイ)日ざしと砂に 体力を奪われて…。 25 00:03:24,271 --> 00:03:26,273 だ~っ! もう 正論やめて! 26 00:03:26,273 --> 00:03:28,942 バカなりに考えての行動っす! 27 00:03:28,942 --> 00:03:31,611 森は虫やら化物やらが いるでしょ! 28 00:03:31,611 --> 00:03:33,947 協力すれば倒せるだろ。 29 00:03:33,947 --> 00:03:37,250 女性とわかった以上 危険は避けたいっす。 30 00:03:37,250 --> 00:03:41,922 はぁ… やっぱり 婿になってくれ。 色々と… 尚早っす。 31 00:03:41,922 --> 00:03:45,592 婿だなんだも まずは生きて ここを出ないと。 32 00:03:45,592 --> 00:03:48,595 時間はかけても 安全策を取りましょう。 33 00:03:48,595 --> 00:03:50,964 戦闘は徹底的に避ける。 34 00:03:50,964 --> 00:03:52,999 慎重な所も夫向きだ。 35 00:03:52,999 --> 00:03:55,068 (水音) 36 00:03:55,068 --> 00:03:57,070 (2人)ん? 37 00:04:00,474 --> 00:04:03,443 えっ? だ… 誰? 38 00:04:03,443 --> 00:04:05,445 今 空から…。 39 00:04:05,445 --> 00:04:09,449 (朱槿)森が… 騒がしかった。 珍しい事だ。 40 00:04:09,449 --> 00:04:11,451 はっ…。 41 00:04:11,451 --> 00:04:16,790 多くの竈神の死体を見た。 これも珍しい事だ。 42 00:04:16,790 --> 00:04:18,759 お前らの仕業か? 43 00:04:18,759 --> 00:04:20,794 男になった…。 44 00:04:20,794 --> 00:04:23,463 化物っす! 逃げましょう! 45 00:04:23,463 --> 00:04:25,432 なんで逃げる? 46 00:04:28,101 --> 00:04:30,103 えっ? 47 00:04:30,103 --> 00:04:32,105 無駄なのに。 48 00:04:32,105 --> 00:04:35,542 かっ… あっ… クハッ…。 49 00:04:35,542 --> 00:04:37,544 あっ…。 50 00:04:37,544 --> 00:04:39,546 あっ…。 51 00:04:41,448 --> 00:04:44,451 別にいいんだけど… 気になるだろ? 52 00:04:44,451 --> 00:04:47,154 いつもと何か違うと。 53 00:04:47,154 --> 00:04:49,823 (朱槿)そういうの嫌なんだ。 54 00:04:57,297 --> 00:05:01,601 へぇ よく動くな。 人間のくせに。 55 00:05:03,703 --> 00:05:05,705 くっ…。 56 00:05:14,614 --> 00:05:17,317 (朱槿)早い。 人間のくせに。 57 00:05:19,619 --> 00:05:23,023 ヌルガイさん! 58 00:05:23,023 --> 00:05:26,626 合図で走りますよ。 倒すことは考えず 逃げる! 59 00:05:26,626 --> 00:05:29,596 自分は 持久力はないが…。 60 00:05:29,596 --> 00:05:31,698 ハーッ…。 61 00:05:31,698 --> 00:05:34,067 剣速は自慢っす。 62 00:05:44,978 --> 00:05:46,980 おっ。 63 00:05:48,982 --> 00:05:50,951 今!! 64 00:05:53,320 --> 00:05:56,590 ハア… ハア… ハア…。 65 00:06:01,728 --> 00:06:04,130 ハア… ハア… ハア…。 66 00:06:05,932 --> 00:06:08,301 う~っ… ハア… ハア…。 67 00:06:08,301 --> 00:06:10,337 うっ…。 あっ…。 68 00:06:10,337 --> 00:06:12,339 服が破れた…。 69 00:06:15,942 --> 00:06:17,944 最悪だ。 70 00:06:27,621 --> 00:06:29,990 えっ!? 71 00:06:29,990 --> 00:06:32,626 せ… 先生! 72 00:06:32,626 --> 00:06:34,628 (士遠)走れ! 典坐! 73 00:06:34,628 --> 00:06:36,630 っす! 74 00:06:40,767 --> 00:06:42,769 誰だ? 75 00:06:42,769 --> 00:06:46,273 山田浅ェ門 士遠… 自分の師匠っす! 76 00:06:46,273 --> 00:06:48,975 (ヌルガイ)目が… 潰れてる。 77 00:06:48,975 --> 00:06:51,645 のに 森を走ってるぞ。 78 00:06:51,645 --> 00:06:54,314 (典坐)匂いや音で 視てるらしいっす。 79 00:06:58,051 --> 00:07:02,455 ハア… ハア… ハア…。 80 00:07:02,455 --> 00:07:04,791 だいぶ離れたな。 81 00:07:04,791 --> 00:07:07,127 ヌルガイく… あぁ さん。 82 00:07:07,127 --> 00:07:09,296 この人がいりゃあ もう安心ですよ。 83 00:07:09,296 --> 00:07:13,433 士遠さんは 自分の恩人で 剣の師匠すから! 84 00:07:13,433 --> 00:07:15,435 超すげ~人っす! あだっ…。 85 00:07:15,435 --> 00:07:19,806 先の太刀筋… 剣速に拘りすぎて動きが雑だ。 86 00:07:19,806 --> 00:07:22,842 ああいう相手は まず首か足を狙え。 87 00:07:22,842 --> 00:07:25,245 踏み込みの甘さも音でわかる。 88 00:07:25,245 --> 00:07:27,947 一刀の所作は丁寧に。 あだっ… ちょっ…。 89 00:07:27,947 --> 00:07:30,917 こんな時でも 相変わらず センセイっすね。 90 00:07:30,917 --> 00:07:35,922 なんか 逆に ホッとしたっす。 お前の詰めの甘さも直らんな。 91 00:07:35,922 --> 00:07:38,925 まったく… 無事で良かったよ。 92 00:07:38,925 --> 00:07:41,594 船の上が見納めになるかと…。 93 00:07:41,594 --> 00:07:44,931 (典坐)あ… つっこみ待ちっすか? 94 00:07:44,931 --> 00:07:48,601 つ~か 先生は一人で… 何してたんすか? 95 00:07:48,601 --> 00:07:50,603 ふむ。 96 00:07:50,603 --> 00:07:54,274 自分の役割を終え 帰路についたのだが…。 97 00:08:01,748 --> 00:08:06,419 島の外への海流が見つからず 方々 探していたのだ。 98 00:08:06,419 --> 00:08:08,421 オレ達と同じだ…。 99 00:08:08,421 --> 00:08:11,925 一ヶ所だけ 外への海流らしき 場所があった。 ただ…。 100 00:08:13,927 --> 00:08:17,430 今まで聞いた事のない 音と気配でな。 101 00:08:17,430 --> 00:08:21,067 さすがに盲目の私一人では 限界があると思い➨ 102 00:08:21,067 --> 00:08:23,570 同じく帰路につく者を探していた。 103 00:08:23,570 --> 00:08:27,574 そこ 連れてってください。 三人なら なんとかなりますよ! 104 00:08:27,574 --> 00:08:30,243 (士遠)ああ そうかもな。 あ…。 105 00:08:30,243 --> 00:08:32,245 だが その前に。 106 00:08:32,245 --> 00:08:34,247 あ…。 107 00:08:36,649 --> 00:08:39,252 何… してるんすか… 先生。 108 00:08:39,252 --> 00:08:41,921 (士遠) 今度は お前が説明してくれ。 109 00:08:41,921 --> 00:08:43,923 何故 罪人を庇っている? 110 00:08:43,923 --> 00:08:46,593 規則違反や想定外の事態なら➨ 111 00:08:46,593 --> 00:08:49,929 即刻 罪人を処刑しろ と言われた筈だ。 112 00:08:49,929 --> 00:08:52,198 私は そうした。 113 00:08:55,034 --> 00:08:58,338 私を籠絡しようとした罪人を…。 114 00:08:58,338 --> 00:09:00,240 《あか絹:あ…》 115 00:09:00,240 --> 00:09:04,244 (士遠)処刑した。 せめて苦しまぬやり方でな。 116 00:09:06,246 --> 00:09:08,915 お前は その罪人に 肩入れしているようだが➨ 117 00:09:08,915 --> 00:09:11,317 理由を説明してくれ。 118 00:09:11,317 --> 00:09:13,920 場合によっては 私が処刑しよう。 119 00:09:13,920 --> 00:09:16,923 この子は… 罪を犯してないんです。 120 00:09:16,923 --> 00:09:20,960 人別貼の内容は 一通り頭に入っている。 121 00:09:20,960 --> 00:09:23,997 罪人たちの事情は承知してるさ。 122 00:09:23,997 --> 00:09:27,233 だが 罪とは 得てして時代が決めるものだ。 123 00:09:27,233 --> 00:09:32,238 典坐。 山田浅ェ門とは 時代が振り下ろす刀…。 124 00:09:32,238 --> 00:09:36,409 刀が自ら斬る人間を選んでは 道理に外れる。 125 00:09:36,409 --> 00:09:39,078 何より お前が規則を破れば➨ 126 00:09:39,078 --> 00:09:41,581 山田家全体の謀反と とられかねん。 127 00:09:41,581 --> 00:09:44,584 一人の行動で お家を危険に晒すのだ。 128 00:09:44,584 --> 00:09:48,988 でも… 先生は自分に 剣を教えてくれたじゃないすか。 129 00:09:48,988 --> 00:09:51,925 無頼で無宿人だった自分を。 130 00:09:51,925 --> 00:09:54,894 拾う義理のない自分を 拾ってくれたのは➨ 131 00:09:54,894 --> 00:09:57,297 先生じゃないすか。 132 00:09:57,297 --> 00:10:01,234 それは お前に才覚と… 可能性を感じたからだ。 133 00:10:01,234 --> 00:10:03,269 なら 自分も同じっす! 134 00:10:03,269 --> 00:10:05,905 この子が 自由に生きられる世の中に➨ 135 00:10:05,905 --> 00:10:07,907 可能性を感じてる! 136 00:10:07,907 --> 00:10:13,279 一端の事 言う様になったな。 (典坐)先生の影響っす。 137 00:10:13,279 --> 00:10:15,915 それに自分は知ってんだ。 138 00:10:15,915 --> 00:10:20,220 先生は優しいから 真剣に訴えりゃ聞いてくれるって。 139 00:10:29,329 --> 00:10:32,265 《人助けとか イミわかんね~》 140 00:10:32,265 --> 00:10:34,234 フッ…。 141 00:10:34,234 --> 00:10:36,903 ま… そこまで言うなら。 142 00:10:36,903 --> 00:10:40,273 ほら きた! ね? 結局 いい人なんすよ。 143 00:10:40,273 --> 00:10:42,308 お… おう。 144 00:10:42,308 --> 00:10:44,911 だが あくまで保留だぞ。 145 00:10:44,911 --> 00:10:47,580 もしも 彼女を庇う事が 山田家を…。 146 00:10:47,580 --> 00:10:51,584 或いは お前を 危険に晒すなら その時は…。 147 00:10:51,584 --> 00:10:53,987 ん? なんだ? 148 00:10:53,987 --> 00:10:56,923 か… 彼女って… よくわかりましたね。 149 00:10:56,923 --> 00:10:58,925 わかるよ。 150 00:10:58,925 --> 00:11:02,228 目利きは得意だ。 (士遠)好きっすね そういう冗談。 151 00:11:04,297 --> 00:11:06,332 よろしく… センセイ。 152 00:11:06,332 --> 00:11:08,902 よろしく ヌルガイ。 153 00:11:08,902 --> 00:11:11,771 だが 君が先生と呼ぶ必要はない。 154 00:11:11,771 --> 00:11:14,440 私は 君に 何も与えていないからね。 155 00:11:16,409 --> 00:11:20,079 では 早速 先生の言う 海流へ行ってみましょう! 156 00:11:20,079 --> 00:11:22,081 大声を出すな。 157 00:11:22,081 --> 00:11:24,417 急がず 慎重に行こう。 158 00:11:24,417 --> 00:11:26,953 目下 危険なのは先刻の化物だな。 159 00:11:26,953 --> 00:11:29,255 とても人とは思えない。 160 00:11:29,255 --> 00:11:31,591 遭遇した際の対処も考えておこう。 161 00:11:31,591 --> 00:11:35,295 逃げるだけなら さっきの要領で いけそうっすけどねぇ…。 162 00:11:37,263 --> 00:11:39,532 (朱槿)なめられてるなぁ。 163 00:11:44,571 --> 00:11:48,241 た… 助かったっす 先生。 ありがと…。 164 00:11:48,241 --> 00:11:50,243 クハッ! 165 00:11:50,243 --> 00:11:52,245 先せ…。 166 00:11:52,245 --> 00:11:56,249 あれ? 首が飛んだと 思ったけど やるねぇ。 167 00:11:58,284 --> 00:12:00,620 があっ! うっ…。 168 00:12:00,620 --> 00:12:02,989 フンッ! 169 00:12:02,989 --> 00:12:04,958 それは慣れたよ。 170 00:12:07,026 --> 00:12:11,297 (朱槿)本当は生きてないと 「たん」にならないんだけど➨ 171 00:12:11,297 --> 00:12:13,967 ムカつくから 殺そ。 172 00:12:13,967 --> 00:12:18,605 《どうする? 逃げるべき… だが…。 173 00:12:18,605 --> 00:12:21,975 いや ここでやるしかない》 174 00:12:21,975 --> 00:12:24,577 ハーッ…。 175 00:12:26,613 --> 00:12:29,282 《試一刀流 奥義…》 176 00:12:29,282 --> 00:12:32,652 待て! てっ… カハッ…。 177 00:12:32,652 --> 00:12:35,021 《篠突く雨!》 178 00:12:40,627 --> 00:12:43,329 慣れたって。 うっ…。 179 00:12:47,033 --> 00:12:49,035 あっ…。 180 00:12:51,971 --> 00:12:53,940 (ヌルガイ)典坐!! 181 00:13:02,915 --> 00:13:04,917 《なあ センセー。 182 00:13:04,917 --> 00:13:07,587 なんで オレみて~なの 拾ったんだよ。 183 00:13:07,587 --> 00:13:09,589 言葉遣いは? 184 00:13:09,589 --> 00:13:12,592 なんで自分を拾ったっすか? 185 00:13:12,592 --> 00:13:15,995 浅ェ門の仕事は人命を奪う事。 186 00:13:15,995 --> 00:13:19,565 それ以外の時間は 人助けに使いたい。 187 00:13:19,565 --> 00:13:23,903 まあ 確かに お前は乱暴な所もあるが➨ 188 00:13:23,903 --> 00:13:26,939 芯には可能性を感じてる。 189 00:13:26,939 --> 00:13:32,312 か~ お偉ぇな。 人助けとか イミわかんねぇ。 190 00:13:32,312 --> 00:13:34,247 うお~っ! 191 00:13:34,247 --> 00:13:36,249 フンッ! 192 00:13:36,249 --> 00:13:38,251 あっ… てっ…。 193 00:13:38,251 --> 00:13:40,253 チクショー! 194 00:13:40,253 --> 00:13:43,923 剣の扱いが雑だ。 感情に振り回されている。 195 00:13:43,923 --> 00:13:47,593 怒り そして 迷い。 196 00:13:47,593 --> 00:13:51,264 俺は 別に 侍になりてぇわけじゃねえ。 197 00:13:51,264 --> 00:13:53,599 こんなことしたって…。 198 00:13:53,599 --> 00:13:56,135 初めから 士道の志を持てとは言わん。 199 00:13:56,135 --> 00:14:00,707 だが もし いつか お前に 守りたい者ができたとき➨ 200 00:14:00,707 --> 00:14:04,444 鍛え上げた剣の腕は 必ず助けになる。 201 00:14:04,444 --> 00:14:06,579 守りたい者…。 202 00:14:06,579 --> 00:14:09,248 見ろ。 あの桜の木を。 203 00:14:09,248 --> 00:14:12,618 幹が痩せ まだ つぼみのままだ。 204 00:14:12,618 --> 00:14:16,889 だが つぼみというのは あらゆる可能性を秘めている。 205 00:14:16,889 --> 00:14:19,225 お前も同じだ。 206 00:14:19,225 --> 00:14:23,896 可能性というつぼみが 花開くときが 必ずくる》 207 00:14:23,896 --> 00:14:25,932 《クズ。 ろくでなし。 208 00:14:25,932 --> 00:14:28,234 ごく潰し。 浮浪児か》 209 00:14:28,234 --> 00:14:32,238 《さあ 続きを。 ねえよ…。 210 00:14:32,238 --> 00:14:35,641 可能性なんて… ねえよ!! 211 00:14:35,641 --> 00:14:38,578 身分もねえ。 金もねえ! 212 00:14:38,578 --> 00:14:42,949 生まれたときから俺には 可能性なんか ねえんだよ! 213 00:14:44,917 --> 00:14:47,220 やめてやる。 何? 214 00:14:47,220 --> 00:14:50,389 やめてやるよ! こんな堅苦しい生活は真っ平だ! 215 00:14:50,389 --> 00:14:53,359 俺は 好きに生きたいんだ! 216 00:14:53,359 --> 00:14:56,362 本気で言っているのか? ああ。 217 00:14:56,362 --> 00:14:58,765 だったら 条件がある。 218 00:14:58,765 --> 00:15:00,800 条件? 219 00:15:00,800 --> 00:15:02,735 (士遠)一本でいい。 220 00:15:02,735 --> 00:15:07,073 いつ どんなときでもいい。 私から一本を取ってみせろ。 221 00:15:07,073 --> 00:15:10,743 もし できたら お前が辞めるのを認めよう。 222 00:15:14,714 --> 00:15:16,916 つきあってられっかよ。 223 00:15:18,885 --> 00:15:22,555 (衛善)どこに行く気だ? 道場は反対側だぞ。 224 00:15:22,555 --> 00:15:24,891 (衛善)士遠から話は聞いている。 225 00:15:24,891 --> 00:15:27,560 お前は もう一本 取ったのか? 226 00:15:27,560 --> 00:15:29,929 俺を連れ戻す気か? 227 00:15:29,929 --> 00:15:32,999 好きにするがいいさ。 は? 228 00:15:32,999 --> 00:15:35,902 だが 最後に散歩くらいつきあえ。 229 00:15:35,902 --> 00:15:38,905 早起きすると やることがなくてな。 230 00:15:48,548 --> 00:15:51,217 (衛善)ここに眠るのは➨ 231 00:15:51,217 --> 00:15:54,554 かつての士遠の 弟弟子だった男だ。 232 00:15:54,554 --> 00:15:56,556 名は鉄心。 233 00:15:56,556 --> 00:15:58,591 弟弟子? 234 00:15:58,591 --> 00:16:01,227 お前に似て素行の悪いやつでな。 235 00:16:01,227 --> 00:16:03,896 才能はあったが意欲に欠けていた。 236 00:16:03,896 --> 00:16:06,566 じゃあ ずいぶんと 先生に しごかれたでしょう? 237 00:16:06,566 --> 00:16:08,534 俺みたいに。 238 00:16:10,570 --> 00:16:14,240 当時の士遠は 自分の技術を 上げることに執心し➨ 239 00:16:14,240 --> 00:16:17,210 今ほど指導に熱心ではなかった。 240 00:16:17,210 --> 00:16:22,615 結局 鉄心は 「好きに生きる」と 言い捨てて 道場を出ていった。 241 00:16:22,615 --> 00:16:26,219 しばらく 何も変わらない日々が続いた。 242 00:16:26,219 --> 00:16:30,890 その日も いつもと同じように 士遠は御試御用に出かけ➨ 243 00:16:30,890 --> 00:16:33,459 罪人の前に立った。 244 00:16:36,329 --> 00:16:41,534 しかし 振り上げた刀を士遠は なかなか打ち下ろさなかった。 245 00:16:41,534 --> 00:16:45,972 まさか…。 ああ。 士遠は気づいたんだ。 246 00:16:45,972 --> 00:16:48,908 目の前の罪人が鉄心だとな。 247 00:16:48,908 --> 00:16:50,877 鉄心は道場を出たあと➨ 248 00:16:50,877 --> 00:16:54,881 やがて 食うに困るようになり 罪に手を染めた。 249 00:16:54,881 --> 00:16:58,217 先生は… どうしたんすか? 250 00:16:58,217 --> 00:17:01,554 (衛善)無論 斬ったさ。 山田浅ェ門として。 251 00:17:01,554 --> 00:17:05,892 士遠は はっきりと 鉄心の最期の言葉を聞いた。 252 00:17:05,892 --> 00:17:09,562 アイツは こう言ったんだと。 253 00:17:09,562 --> 00:17:12,899 「先生 ごめんなさい」と。 254 00:17:12,899 --> 00:17:14,934 それからだ。 255 00:17:14,934 --> 00:17:19,539 士遠が弟弟子の指導に熱を入れ 人助けをするようになったのは。 256 00:17:19,539 --> 00:17:24,210 無頼者として生きれば いずれ 同じ末路をたどるかもしれん。 257 00:17:24,210 --> 00:17:28,915 お前が そうやって潰れていくのが 惜しいと感じたのだろう。 258 00:17:28,915 --> 00:17:30,883 《士遠:お前も同じだ。 259 00:17:30,883 --> 00:17:34,954 可能性というつぼみが 花開くときが 必ずくる》 260 00:17:34,954 --> 00:17:37,890 《どうする? お前は一本も取らずに➨ 261 00:17:37,890 --> 00:17:40,493 このまま逃げ出すのか? 262 00:17:49,235 --> 00:17:51,203 (士遠)典坐か。 263 00:17:51,203 --> 00:17:54,206 先生。 立会稽古をしてくれ。 264 00:18:01,581 --> 00:18:03,582 ハーッ!! 265 00:18:03,582 --> 00:18:06,552 ほう 以前とは違うようだな。 266 00:18:06,552 --> 00:18:10,590 《今まで何かに真面目に 打ち込んだことなんてなかった。 267 00:18:10,590 --> 00:18:12,558 でも…》 268 00:18:15,227 --> 00:18:18,230 や~っ! 269 00:18:18,230 --> 00:18:20,900 まだ脇が甘いぞ。 270 00:18:20,900 --> 00:18:23,569 もう一回! 271 00:18:23,569 --> 00:18:26,572 (典坐)てっ… もう一回! 272 00:18:26,572 --> 00:18:29,942 くっ… もう一回! 273 00:18:29,942 --> 00:18:32,244 まだまだ! 274 00:18:32,244 --> 00:18:34,947 《この人から一本を取りたい》 275 00:18:34,947 --> 00:18:36,916 てやっ! うっ…。 276 00:18:39,318 --> 00:18:43,923 《この人は… 俺の可能性を 初めて信じてくれた 277 00:18:43,923 --> 00:18:49,261 なあ 先生。 俺は 俺の可能性を 信じてもいいのかな? 278 00:18:49,261 --> 00:18:53,599 そして いつか 先生が言ったように俺にも…。 279 00:18:53,599 --> 00:18:56,602 俺にも守りたい人が できるのかな?》 280 00:19:06,245 --> 00:19:09,315 うっ…。 281 00:19:09,315 --> 00:19:12,885 《指先が冷たくなっていく…。 282 00:19:12,885 --> 00:19:18,224 なのに 胸から上は 焼けるように熱い…。 283 00:19:18,224 --> 00:19:20,559 そうか…。 284 00:19:20,559 --> 00:19:23,596 オレ 死ぬのか…。 285 00:19:23,596 --> 00:19:26,265 みんな ここで…。 286 00:19:26,265 --> 00:19:29,235 この化物に殺されるのか…》 287 00:19:37,877 --> 00:19:40,880 《ぜってぇ させねえ!!》 288 00:19:43,883 --> 00:19:47,286 《オレが死んでも 二人は逃がす。 289 00:19:47,286 --> 00:19:52,591 どんなやり方でもいい。 全力で時間を稼げ!》 290 00:19:54,694 --> 00:19:56,662 くっ…。 291 00:20:01,600 --> 00:20:03,936 《来ちゃ駄目だ…。 292 00:20:03,936 --> 00:20:07,239 逃げろ… 逃げてくれ》 293 00:20:16,916 --> 00:20:20,920 《二人共… 逃げて…。 294 00:20:20,920 --> 00:20:24,590 駄目だ 先生… 勝てない。 295 00:20:24,590 --> 00:20:26,926 わかるだろ! 296 00:20:26,926 --> 00:20:29,962 喉がやられて声が出ねぇ…。 297 00:20:29,962 --> 00:20:32,598 先生… 逃げてくれ。 298 00:20:32,598 --> 00:20:36,569 一言でいい。 声を…》 299 00:20:36,569 --> 00:20:39,271 グフッ… ウガッ…。 300 00:20:46,679 --> 00:20:50,616 うっ… あっ…。 301 00:20:50,616 --> 00:20:52,618 うお~っ! 302 00:20:52,618 --> 00:20:54,620 (ヌルガイ)うっ… 典坐… あっ! 303 00:20:54,620 --> 00:20:58,257 あ~っ… うあ~っ!! 304 00:20:58,257 --> 00:21:00,926 カーッ…。 305 00:21:06,765 --> 00:21:09,435 う~っ! う~っ! 306 00:21:09,435 --> 00:21:13,939 《先生 すみません。 目をかけてもらったのに。 307 00:21:13,939 --> 00:21:19,211 ヌルガイさん 生きてくれ。 君には可能性がある》 308 00:21:21,580 --> 00:21:25,584 《可能性… 俺には どんな…》 309 00:21:36,595 --> 00:21:38,631 フーッ…。 310 00:21:38,631 --> 00:21:40,933 しぶとかった。 311 00:21:40,933 --> 00:21:43,269 うっ… ううっ… うっ…。 312 00:21:43,269 --> 00:21:46,572 うっ… ウワーン! 313 00:21:46,572 --> 00:21:51,277 うっ… くっ… うわ~っ!! 314 00:21:51,277 --> 00:21:54,246 なんで見捨てるんだ! オレは戻る! 315 00:21:54,246 --> 00:21:58,918 駄目… だ。 これが典坐の望みだ。 316 00:21:58,918 --> 00:22:04,290 でも だからって… 先生だろ! 弟子なんだろ!! 317 00:22:04,290 --> 00:22:06,325 それ以上だ! 318 00:22:06,325 --> 00:22:09,929 志を… 同じくする仲間だ。 319 00:22:09,929 --> 00:22:15,601 彼… の… 死を賭した覚悟… 無駄にできるか…。 320 00:22:15,601 --> 00:22:18,270 今は化物に勝てない。 321 00:22:18,270 --> 00:22:22,274 あのままでは全員 死んでいた。 一旦 退くしかなかった…。 322 00:22:22,274 --> 00:22:26,946 だが 必ず… 落とし前はつける…。 323 00:22:26,946 --> 00:22:29,915 うっ… ああっ… うっ…。 324 00:22:49,602 --> 00:22:52,905 《ハッ… あっ…。 325 00:22:52,905 --> 00:22:57,943 あっ… よっしゃ! 一本 取ったぞ!! 326 00:22:57,943 --> 00:22:59,912 見事だった。 327 00:22:59,912 --> 00:23:02,214 あとは お前の 好きにしなさい。 328 00:23:04,950 --> 00:23:10,589 先生 これからも 俺に剣を教え… いや。 329 00:23:10,589 --> 00:23:14,994 先生。 これからも自分に 剣を教えてくださいっす! 330 00:23:14,994 --> 00:23:17,997 もちろんだ》