1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 (正蔵)学校か…。 (イネ)んっ? 2 00:00:04,004 --> 00:00:06,506 小学校 出てからは 畑仕事ばかりで➡ 3 00:00:06,506 --> 00:00:09,843 ちゃんと勉強した記憶がないのう。 4 00:00:09,843 --> 00:00:13,680 ばあさまは 東京のお嬢様学校だったべ? 5 00:00:13,680 --> 00:00:17,017 ほんの一瞬 通っただげだがの。 6 00:00:17,017 --> 00:00:21,021 東京の女学校は 夢のようじゃったな。 7 00:00:21,021 --> 00:00:25,859 米は 食いたいときに食えだし 蛇口 ひねれば 水が出る。 8 00:00:25,859 --> 00:00:28,028 それが当たり前で➡ 9 00:00:28,028 --> 00:00:31,698 戦後 路頭に迷い 田舎に戻ったけど➡ 10 00:00:31,698 --> 00:00:34,701 泥にまみれるのを苦痛だと思った。 11 00:00:39,206 --> 00:00:41,208 ⦅あっ…⦆ 12 00:00:41,208 --> 00:00:45,212 だが じいさまに出会ってから➡ 13 00:00:45,212 --> 00:00:48,715 この泥も悪ぐない物だと 思えるようになった。 14 00:00:52,719 --> 00:00:55,556 でも 東京には なんでもあったべ。 15 00:00:55,556 --> 00:00:59,059 んだな。 ないものは なかったな。 16 00:00:59,059 --> 00:01:03,830 あっ でも 東京になくて ここにあるものもあるぞ。 17 00:01:03,830 --> 00:01:07,000 んっ? なんじゃ? 18 00:01:07,000 --> 00:01:10,837 いや やっぱり 秘密だべ。 19 00:01:10,837 --> 00:01:13,507 わざわざ 口にすることでもないべしのう。 20 00:01:13,507 --> 00:01:17,311 なっ… なんじゃ? それ! 気になるでねが! 21 00:03:03,150 --> 00:03:05,152 なんじゃ? これ。 22 00:03:05,152 --> 00:03:07,320 (詩織) 認知症予防にいいからって➡ 23 00:03:07,320 --> 00:03:09,656 お父さんが 持っていってあげろって。 24 00:03:09,656 --> 00:03:12,993 小さい画面で ピコピコと…。 25 00:03:12,993 --> 00:03:16,830 遊びっちゅうのは めんこに ベーゴマ 鬼ごっこ…。 26 00:03:16,830 --> 00:03:19,666 はいはい とにかく置いてくから。 27 00:03:19,666 --> 00:03:25,505 うわっ! ばあさま このゲーム 死体が歩いてら。 28 00:03:25,505 --> 00:03:29,810 かわいそうだね。 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏。 29 00:03:31,845 --> 00:03:33,847 詩織 この人 さっきから➡ 30 00:03:33,847 --> 00:03:36,349 同じ言葉しか話してないべ。 31 00:03:36,349 --> 00:03:39,186 それは そういうプログラムだからだよ。 32 00:03:39,186 --> 00:03:41,521 📺回復用ハーブを手に入れた。 33 00:03:41,521 --> 00:03:45,192 家の宝箱 勝手に開げたら泥棒だべ! 34 00:03:45,192 --> 00:03:48,195 罰当だりだ! 仏様が怒るべ! 35 00:03:48,195 --> 00:03:50,697 それも そういう仕様だから。 36 00:03:50,697 --> 00:03:52,699 この主人公 けがしても➡ 37 00:03:52,699 --> 00:03:56,369 葉っぱで回復するのか。 超人だべ! 38 00:03:56,369 --> 00:03:59,973 《やっぱり 世代的に難しいに決まってる。 39 00:03:59,973 --> 00:04:02,476 ゲームは この2人には無理…》 40 00:04:02,476 --> 00:04:06,813 この人たち 望んで こうなったわけじゃないんだべ? 41 00:04:06,813 --> 00:04:11,485 なら なるべく 頭 ぶち抜いて 苦しませないようにせねばの。 42 00:04:11,485 --> 00:04:14,821 んだんだ そのほうがええ。 43 00:04:14,821 --> 00:04:17,824 (うめき声) 44 00:04:17,824 --> 00:04:20,827 うわ~! 45 00:04:20,827 --> 00:04:23,997 じいさま チェーンソーが落ぢどる。 46 00:04:23,997 --> 00:04:27,834 わしは散弾銃あるから ばあさま 使ってええぞ。 47 00:04:27,834 --> 00:04:32,672 あいつら 田んぼ 荒らしてるべ じいさま! 何!? 48 00:04:32,672 --> 00:04:35,008 うわ~! 49 00:04:35,008 --> 00:04:37,677 うわ~! こりゃ 残酷だべ。 50 00:04:37,677 --> 00:04:39,846 あっ… ああ…。 う~ん… 生け垣みたいに➡ 51 00:04:39,846 --> 00:04:41,848 うまく切れないの。 52 00:04:41,848 --> 00:04:46,353 こらこら 動いだら 狙いが定まらないべ。 53 00:04:46,353 --> 00:04:52,859 (うめき声) 54 00:04:52,859 --> 00:04:57,364 トロフィーだか 全部 手に入れて やることなくなったべ。 55 00:04:57,364 --> 00:04:59,366 うそ…。 56 00:05:02,803 --> 00:05:05,972 (未乃)あっ! んっ? げっ! 57 00:05:05,972 --> 00:05:10,977 あ~! 久しぶり! しおりんじゃ~ん! 58 00:05:10,977 --> 00:05:12,979 未乃 べたべた触んないで。 59 00:05:12,979 --> 00:05:16,650 え~? 久しぶりなのに冷たいにゃ~。 60 00:05:16,650 --> 00:05:18,652 同じ学校なのに 校舎 違うから➡ 61 00:05:18,652 --> 00:05:21,988 めったに会えないんだも~ん。 うざい。 62 00:05:21,988 --> 00:05:25,825 あ~ あんなに 一緒に遊んだのに そっけないな。 63 00:05:25,825 --> 00:05:27,994 それは昔の話でしょ。 64 00:05:27,994 --> 00:05:30,330 でも しおりん ほんと 昔から➡ 65 00:05:30,330 --> 00:05:32,999 おじいちゃん おばあちゃん 大好きだよね。 66 00:05:32,999 --> 00:05:35,502 実際 今も 家にいるし。 67 00:05:35,502 --> 00:05:41,007 口 悪いけど 根は なんにも 変わってな~いって感じ? エヘヘ。 68 00:05:41,007 --> 00:05:45,512 それも 昔の話でしょ。 今は 好きでも なんでもな…。 69 00:05:45,512 --> 00:05:47,681 んっ? ハァー… ハッ…。 70 00:05:47,681 --> 00:05:50,183 あっ! あっ…。 71 00:05:50,183 --> 00:05:53,520 あ~ えっとね おじいちゃん これは その…。 72 00:05:53,520 --> 00:05:56,690 だだだ… だっ… 大丈夫だ みみみ… 未乃。 73 00:05:56,690 --> 00:06:01,461 わしは 至って へへへへへ… 平気だべべべ べべべ… べっ…。 74 00:06:01,461 --> 00:06:05,298 ほら しおりん 早く 前言撤回しないと! 75 00:06:05,298 --> 00:06:07,634 おじいちゃん 壊れちゃうよ! 76 00:06:07,634 --> 00:06:10,804 そっ… そんなこと 言っても…。 77 00:06:10,804 --> 00:06:14,608 ききき… 気にしなくていいべべべ…。 78 00:06:16,643 --> 00:06:21,648 おっ… おじいちゃん 今のは言葉のあやで➡ 79 00:06:21,648 --> 00:06:25,819 その… さっきのは うそだから。 80 00:06:25,819 --> 00:06:29,322 本当は… 本当は…。 81 00:06:29,322 --> 00:06:32,025 とにかく おっ… お願いだから…。 82 00:06:34,160 --> 00:06:36,162 嫌いにならないで。 83 00:06:38,498 --> 00:06:43,169 ファー! ⦅未乃/詩織:ファー!⦆ 84 00:06:43,169 --> 00:06:45,672 長生きしてよかったべ! 85 00:06:45,672 --> 00:06:49,509 やった~! おじいちゃんが直った~! 86 00:06:49,509 --> 00:06:53,013 お願いだから静かにして。 87 00:06:53,013 --> 00:06:55,515 ほい! てい! ほわっ! 88 00:06:57,684 --> 00:06:59,686 しゃっ! 89 00:07:01,788 --> 00:07:05,125 ⦅うっ… んっ… ああ…。 90 00:07:05,125 --> 00:07:07,127 まだ これか…。 91 00:07:07,127 --> 00:07:12,465 《若返ってから 寝るたびに 出てくる 砂時計の夢。 92 00:07:12,465 --> 00:07:14,968 不思議な空間だべ。 93 00:07:14,968 --> 00:07:19,639 ばあさまも 同じ夢 見てると 言っておったな。 94 00:07:19,639 --> 00:07:23,810 若返って はしゃぎ過ぎだ。 95 00:07:23,810 --> 00:07:27,647 まだ してないことが たくさんある。 96 00:07:27,647 --> 00:07:30,984 してあげたいことが たくさんある。 97 00:07:30,984 --> 00:07:36,323 義明たちが用意してくれだ 新婚旅行もある。 98 00:07:36,323 --> 00:07:40,994 今の ばあさまの体なら 連れでいげる。 99 00:07:40,994 --> 00:07:47,500 人生 何があるか わからんのう》 100 00:07:47,500 --> 00:07:49,502 あっ!⦆ 101 00:07:52,505 --> 00:07:57,677 ばあさま ばあさま ばあさま! 102 00:07:57,677 --> 00:07:59,846 んっ…。 103 00:07:59,846 --> 00:08:04,451 んっ? どうした? じいさま…。 104 00:08:04,451 --> 00:08:08,288 うっ… 元に戻ってしまった。 105 00:08:08,288 --> 00:08:13,126 えっ? え~! 106 00:08:13,126 --> 00:08:19,799 今のところ 苦しいとか そういうのはないから安心せえ。 107 00:08:19,799 --> 00:08:22,635 やっぱり ばあさまは…。 んっ? 108 00:08:22,635 --> 00:08:26,306 若いころの わしのほうが 好みだべ。 109 00:08:26,306 --> 00:08:28,475 こんな よぼよぼのじじいじゃ➡ 110 00:08:28,475 --> 00:08:31,644 今の ばあさまとじゃ 月と すっぽんだな。 111 00:08:31,644 --> 00:08:36,483 じいさま 勘違いするでねえ。 112 00:08:36,483 --> 00:08:38,485 わしが ほれたのは➡ 113 00:08:38,485 --> 00:08:41,988 若いじいさまでも 老いたじいさまでもねえ。 114 00:08:41,988 --> 00:08:47,327 斎藤正蔵って名前の 世界で たった1人の男だ。 115 00:08:47,327 --> 00:08:50,163 老いを責めるでねえ。 116 00:08:50,163 --> 00:08:53,833 わしらは ずっと 何も変わってないべさ。 117 00:08:53,833 --> 00:08:56,669 《ハッ… そうだ。 118 00:08:56,669 --> 00:09:00,607 自分は 老いを悪いことだと思っていた。 119 00:09:00,607 --> 00:09:05,445 でも それは ばあさまと 歩いてきた人生への冒とく。 120 00:09:05,445 --> 00:09:09,783 老いを 都合のいい 諦める理由にしていただけ。 121 00:09:09,783 --> 00:09:17,624 若さに溺れていたせいで 本当に大切なものを忘れていた》 122 00:09:17,624 --> 00:09:19,793 ばあさま。 んっ? 123 00:09:19,793 --> 00:09:22,962 もし 例の熱海旅行のとき➡ 124 00:09:22,962 --> 00:09:26,633 この体のままでも 予定どおり行くべ。 125 00:09:26,633 --> 00:09:30,970 年取ったぐらいで 人生 見限るなんて…。 126 00:09:30,970 --> 00:09:34,974 わしも まだまだ 若すぎるな! 127 00:09:34,974 --> 00:09:39,279 《フッ… その目に ほれたんじゃよ じいさま》 128 00:09:42,982 --> 00:09:45,318 う~ん。 129 00:09:45,318 --> 00:09:49,155 (貴弘)おやじたちの体 一体 どうなってんだ? 130 00:09:49,155 --> 00:09:51,491 こっちが聞きたいべ。 131 00:09:51,491 --> 00:09:54,160 若返ったころの名残かの。 132 00:09:54,160 --> 00:09:56,830 あっ… 腎臓や肝臓は➡ 133 00:09:56,830 --> 00:10:01,334 年相応に老化しつつあるから 無理はしないでくれ。 134 00:10:01,334 --> 00:10:03,837 ニャー ニャッ。 135 00:10:03,837 --> 00:10:06,673 実際のところ どうなんだ? 136 00:10:06,673 --> 00:10:10,343 今の状態を見るかぎりは 大丈夫だ。 137 00:10:10,343 --> 00:10:15,348 むしろ 若返り前より 少し 体の機能が回復してる。 138 00:10:15,348 --> 00:10:17,684 ハァ…。 これから少しずつ➡ 139 00:10:17,684 --> 00:10:20,687 年相応の体に なっていくだろうが…。 140 00:10:20,687 --> 00:10:24,524 むしろ 心配なのは 母さんのほうだ。 わし? 141 00:10:24,524 --> 00:10:29,863 母さんの今の体は 20代の健康体そのもの。 142 00:10:29,863 --> 00:10:33,700 もし その状態で 少しずつ老いていくとしたら➡ 143 00:10:33,700 --> 00:10:41,541 母さんは 一体 あと どれくらい 生きるんだろうって。 144 00:10:41,541 --> 00:10:45,545 《自分の死は恐ろしぐないが➡ 145 00:10:45,545 --> 00:10:49,549 このままだと じいさまが先に。 146 00:10:49,549 --> 00:10:52,719 あど70年 まだ生きるのか? 147 00:10:52,719 --> 00:10:55,555 そのころ 貴弘たちは いない。 148 00:10:55,555 --> 00:10:58,892 下手すると 未乃や詩織すら》 149 00:10:58,892 --> 00:11:01,494 嫌だのう。 150 00:11:01,494 --> 00:11:06,599 独りぼっちで死ぬのは嫌だのう。 151 00:11:09,002 --> 00:11:12,672 《なんだか 母さんの距離が いつもより近いような…。 152 00:11:12,672 --> 00:11:15,174 絵面が 祖父と孫みたいだ》 153 00:11:17,177 --> 00:11:19,679 (義明)なっ! (楓)んっ…。 あ~…。 154 00:11:19,679 --> 00:11:22,015 おじいちゃんだけ元に戻ってる! 155 00:11:22,015 --> 00:11:25,184 いや~ いろいろあっての。 156 00:11:25,184 --> 00:11:30,189 こんなんでも 結構 体力は 残ってるべ。 え~ ほんと? 157 00:11:30,189 --> 00:11:34,027 じゃあ 確かめてみるべ。 んっ…。 158 00:11:34,027 --> 00:11:36,863 おやじ 無理するなよ。 159 00:11:36,863 --> 00:11:40,700 なに 心配するな。 大丈夫だべ。 160 00:11:40,700 --> 00:11:44,537 あなた くれぐれもね。 わかってるよ。 161 00:11:44,537 --> 00:11:48,541 おやじ もし 俺に勝ったら いいもの あげるよ。 162 00:11:48,541 --> 00:11:50,543 いいもの? 163 00:11:50,543 --> 00:11:55,348 熱海の旅行。 露天風呂付きの部屋にしてやる。 164 00:12:00,653 --> 00:12:03,556 《露天風呂付きだと?》 165 00:12:07,660 --> 00:12:11,331 それじゃあ おじいちゃん お父さん 準備して。 166 00:12:11,331 --> 00:12:15,335 《んっ… 思ったより 握力 結構あるな。 167 00:12:15,335 --> 00:12:19,672 わざと負けると怒るだろうし ちょっとだけ 力 入れるか》 168 00:12:19,672 --> 00:12:23,176 んっ…。 用意… スタート! 169 00:12:23,176 --> 00:12:25,345 うぅ~! 170 00:12:25,345 --> 00:12:28,848 なっ… あっ! あっ! あっ! ハッ! ハッ! 171 00:12:31,017 --> 00:12:34,854 ああ…。 おっ… おじいちゃんの勝ち! 172 00:12:34,854 --> 00:12:37,523 (楓)あっ… あなた! 173 00:12:37,523 --> 00:12:40,360 んっ! 174 00:12:40,360 --> 00:12:45,198 《老いてから ばあさまと買い物に行くと➡ 175 00:12:45,198 --> 00:12:48,201 ものすごい 視線を集める。 176 00:12:48,201 --> 00:12:52,205 夫婦には見えんよな》 ♬「フフフフフー フフフ」 177 00:12:52,205 --> 00:12:55,375 じいさま 何色のダンプがいい? 178 00:12:55,375 --> 00:12:59,379 えっ? あっ… 赤だべか。 179 00:13:02,315 --> 00:13:07,153 んっ? じいさま なぜ 距離を置く? 180 00:13:07,153 --> 00:13:11,991 いや だって さっきから 視線が すごいべさ。 181 00:13:11,991 --> 00:13:14,327 んっ? それが どうかしたかの? 182 00:13:14,327 --> 00:13:16,829 家の中なら まだしも➡ 183 00:13:16,829 --> 00:13:22,502 こういう人のいる場所では その…。 184 00:13:22,502 --> 00:13:27,507 夫婦じゃないふりをしたほうが いいのかと思っての。 185 00:13:27,507 --> 00:13:33,513 あの お客様 何か お困りですか? んっ? あっ…。 186 00:13:33,513 --> 00:13:36,516 お孫さんに プレゼントでも お探しでしょうか? 187 00:13:36,516 --> 00:13:40,520 あっ いや… それは その…。 188 00:13:40,520 --> 00:13:44,023 《ここは無難に 孫と答えておくかの》 189 00:13:44,023 --> 00:13:48,695 えっ… ええ。 実は そうで 孫と買い物に…。 190 00:13:48,695 --> 00:13:54,367 違うべ わしの旦那だ。 んっ…。 191 00:13:54,367 --> 00:13:58,204 そう見えるのも しかたないべけど➡ 192 00:13:58,204 --> 00:14:02,308 理解してくれると ありがたいべ 店員さん。 193 00:14:02,308 --> 00:14:05,978 うそをつぎだぐなる気持ちも わかるが➡ 194 00:14:05,978 --> 00:14:11,150 それでも わしは 妻以外 嫌なんじゃよ じいさま。 195 00:14:11,150 --> 00:14:15,655 すっ… すまん ばあさま。 196 00:14:15,655 --> 00:14:17,657 (2人)ダンプなければ➡ 197 00:14:17,657 --> 00:14:20,827 雪国では生きていげぬ。 198 00:14:20,827 --> 00:14:23,996 《ばあさまの大好きな豆大福。 199 00:14:23,996 --> 00:14:28,000 若返ってから よく 2人で食べてたが➡ 200 00:14:28,000 --> 00:14:32,505 最近 ばあさまは わしの前で食べなぐなった。 201 00:14:32,505 --> 00:14:37,677 老いた わしは 糖尿病が怖くて 今は控えてるが…》 202 00:14:37,677 --> 00:14:41,848 豆大福 食わないのが? 203 00:14:41,848 --> 00:14:45,518 いや 今は 腹が減ってなくての。 204 00:14:45,518 --> 00:14:50,523 あどで食べるから安心せい。 そうか。 205 00:14:56,195 --> 00:15:00,967 《今のじいさまは 若返りの名残があるとはいえ➡ 206 00:15:00,967 --> 00:15:03,469 持病が再発しつつある。 207 00:15:03,469 --> 00:15:07,473 じいさまも大好きな豆大福。 208 00:15:07,473 --> 00:15:10,643 甘い物は わしも大好きだ。 209 00:15:10,643 --> 00:15:16,816 でも 体さ気ぃ使って食べられない じいさまの前で➡ 210 00:15:16,816 --> 00:15:18,818 わしだけ食べるわけには…。 211 00:15:18,818 --> 00:15:22,989 気を使い過ぎと わかっている。 212 00:15:22,989 --> 00:15:27,326 でも 今のじいさまの前だと 大福も喉を通らない》 213 00:15:27,326 --> 00:15:31,664 ばあさま。 んっ? じっ… じいさま? 214 00:15:31,664 --> 00:15:35,001 えっ… え~っと ここ… これは その…。 215 00:15:35,001 --> 00:15:38,671 じいさまに隠れて食べてとか そういうのじゃなく…。 216 00:15:38,671 --> 00:15:41,841 わしに 気を使ってくれたんだな。 217 00:15:41,841 --> 00:15:44,177 んっ…。 なんもええのに。 218 00:15:44,177 --> 00:15:47,180 わしにとってはな ばあさま…。 219 00:15:49,849 --> 00:15:53,686 ばあさまが 幸せそうに食べてる顔が➡ 220 00:15:53,686 --> 00:15:56,189 いちばんの薬だべ。 221 00:16:00,126 --> 00:16:03,963 夜中に 年寄りが夜食。 悪だな。 222 00:16:03,963 --> 00:16:06,566 皮だけなら大丈夫。 223 00:16:15,475 --> 00:16:20,146 < お父様と お母様が亡くなり 家を失った私は➡ 224 00:16:20,146 --> 00:16:24,317 母方の親戚の家に 住み込みで働くことになった。 225 00:16:24,317 --> 00:16:29,489 生前 父は 大金持ちだったけど➡ 226 00:16:29,489 --> 00:16:33,492 母方の家に 高慢な態度で接していたため➡ 227 00:16:33,492 --> 00:16:36,829 私は 親戚から疎まれていた> 228 00:16:36,829 --> 00:16:39,999 ⦅なもしゃべねな。 からきじな人でねく➡ 229 00:16:39,999 --> 00:16:42,001 いい人なんだばって…。 230 00:16:42,001 --> 00:16:46,005 < そもそも なまりで 言葉も まともに通じない。 231 00:16:46,005 --> 00:16:49,675 食べろが 「け」 くれも 「け」だったり…。 232 00:16:49,675 --> 00:16:51,844 同じ国の言葉とは思えない。 233 00:16:51,844 --> 00:16:55,681 寒さと飢えに耐え忍んできた 風土は➡ 234 00:16:55,681 --> 00:17:00,453 他から来た人を 好んで受け入れはしなかった。 235 00:17:00,453 --> 00:17:05,124 東京の言葉を話す私は 奇異な存在で➡ 236 00:17:05,124 --> 00:17:09,462 それを ばかにする人もいた。 237 00:17:09,462 --> 00:17:13,633 母方の家も 居心地が悪く➡ 238 00:17:13,633 --> 00:17:19,305 畑作業が終わってからは 神社で時間を潰すようになった。 239 00:17:19,305 --> 00:17:21,307 そんな ある日…> 240 00:17:21,307 --> 00:17:27,146 えっと その… 確か あんたは…。 241 00:17:27,146 --> 00:17:31,150 少し前に東京から越してきた 佐々木です。 242 00:17:31,150 --> 00:17:34,820 ああ ええよ ええよ いちいち下りなくて。 243 00:17:34,820 --> 00:17:39,325 あなたは? わしは 斎藤って者だ。 244 00:17:39,325 --> 00:17:42,161 近くで りんごを育てでら。 245 00:17:42,161 --> 00:17:45,998 ぽつんと おなご1人 座ってらはんで 気になって。 246 00:17:45,998 --> 00:17:48,334 あっ…。 おっ…。 (おなかの鳴る音) 247 00:17:48,334 --> 00:17:52,171 忘れてください。 腹 減ってたのか。 248 00:17:52,171 --> 00:17:54,173 んっ…。 249 00:17:54,173 --> 00:17:56,509 塩気と甘みの強い➡ (せきばらい) 250 00:17:56,509 --> 00:18:00,613 この辺りの味に 慣れていないので…。 251 00:18:00,613 --> 00:18:04,116 んっ んっ。 どうした? 252 00:18:04,116 --> 00:18:06,953 やめておいたほうがいいですよ。 253 00:18:06,953 --> 00:18:09,622 私のうわさは聞いてるはず。 254 00:18:09,622 --> 00:18:13,960 それとも 何か よからぬこと…。 いいから食え。 255 00:18:13,960 --> 00:18:18,464 おめが どこの誰だか なんも知らねえ。 256 00:18:18,464 --> 00:18:21,634 だばって どんな理由があっても➡ 257 00:18:21,634 --> 00:18:24,971 腹すかしていい理由さはならねべ。 258 00:18:24,971 --> 00:18:29,809 そもそも よりどころのない 娘っ子1人 養えね村などと➡ 259 00:18:29,809 --> 00:18:33,479 よそ者に言われとうない。 260 00:18:33,479 --> 00:18:36,315 へばな! 261 00:18:36,315 --> 00:18:38,818 《こういう人もいるんですね。 262 00:18:38,818 --> 00:18:44,623 忍耐の風土の中に 優しさありですか》 263 00:18:47,159 --> 00:18:49,161 《しょっぱい》 264 00:18:53,499 --> 00:18:58,170 あなたも懲りませんね。 毎日 毎日 私に声をかけて。 265 00:18:58,170 --> 00:19:02,942 だって 帰り道 ここの神社 通るはんで 気になっての。 266 00:19:02,942 --> 00:19:07,613 裏山のバス停のほうが家さ近いし 人目も避けられるぞ。 267 00:19:07,613 --> 00:19:10,282 私は あそこよりも ここがいいんです。 268 00:19:10,282 --> 00:19:14,286 察しの悪い人。 えっ 察し? 269 00:19:14,286 --> 00:19:16,288 なんでもありません。 270 00:19:16,288 --> 00:19:21,293 これくらい わからないんだったら まだまだですね。 んっ? 271 00:19:21,293 --> 00:19:23,796 何 ちゃっかり 隣に座ってるんですか? 272 00:19:23,796 --> 00:19:26,966 えっ? あっ すまん。 273 00:19:26,966 --> 00:19:30,970 あなたと並んで座ってると 勘違いされますから。 274 00:19:30,970 --> 00:19:36,475 気を付けてください。 うっ… うむ わがった。 275 00:19:36,475 --> 00:19:38,644 《落ち着きもないし➡ 276 00:19:38,644 --> 00:19:41,981 まともに 学を修めた感じもなし。 277 00:19:41,981 --> 00:19:46,652 果たして この男が 私の心を どこまで溶かしてくれるのか》 278 00:19:46,652 --> 00:19:48,654 んっ? 279 00:19:48,654 --> 00:19:50,656 見ものですね⦆ 280 00:19:55,828 --> 00:19:57,997 (寝息) 281 00:19:57,997 --> 00:20:01,300 《全部 溶かされぢまったな》 282 00:20:07,673 --> 00:20:13,012 ⦅《出た! 最近 出てこなかった 砂時計の夢。 283 00:20:13,012 --> 00:20:15,514 待っていたべ このときを。 284 00:20:15,514 --> 00:20:17,516 こいつを ひっくり返して➡ 285 00:20:17,516 --> 00:20:21,687 元の じじいの姿に戻った ということは➡ 286 00:20:21,687 --> 00:20:23,689 やはり もう一度 ひっくり返すと➡ 287 00:20:23,689 --> 00:20:26,859 若返ることができるんだべな。 288 00:20:26,859 --> 00:20:31,363 この際だ ちゃんと調べてみるべ》 289 00:20:31,363 --> 00:20:34,867 んっ… ん~。 290 00:20:34,867 --> 00:20:37,703 あっ…。 291 00:20:37,703 --> 00:20:40,039 《これは 砂? 292 00:20:40,039 --> 00:20:43,542 ばあさまの驚く顔が浮かぶべ》⦆ 293 00:20:49,548 --> 00:20:52,885 あっ…。 《さあ 驚け ばあさま》 294 00:20:52,885 --> 00:20:56,055 じいさま 寝癖 ちゃんと直せえよ。 295 00:20:56,055 --> 00:20:59,391 あれ? 反応 薄くねが? ばあさま! 296 00:20:59,391 --> 00:21:05,331 じいさま 1つ 気になることがあるんだばって。 297 00:21:05,331 --> 00:21:07,333 んっ? 298 00:21:07,333 --> 00:21:12,004 わしらって 不老不死なんだべか? 299 00:21:12,004 --> 00:21:16,842 んっ… ばあさま たぶん それはない。 300 00:21:16,842 --> 00:21:21,680 砂が 外さ こぼれ落ちる 仕掛けになっていて➡ 301 00:21:21,680 --> 00:21:24,683 いずれ 空になる。 302 00:21:24,683 --> 00:21:27,686 砂が尽きると どうなるか わからんが➡ 303 00:21:27,686 --> 00:21:33,192 わしは それで 今回の若返りの 奇跡が終わると思っとる。 304 00:21:33,192 --> 00:21:37,596 大丈夫だ。 わしらは永遠ではない。 305 00:21:40,533 --> 00:21:43,869 息子たちより 長生きすることはないべ。 306 00:21:43,869 --> 00:21:49,175 砂時計の具合から見て あと数年ってとこかの。 307 00:21:53,712 --> 00:21:57,216 わしが ばあさまだけ 置いていくことはないから➡ 308 00:21:57,216 --> 00:21:59,218 安心せい。 309 00:22:01,320 --> 00:22:04,156 うっ… んっ…。 310 00:22:04,156 --> 00:22:08,561 ありがとう じいさま。