1 00:00:01,167 --> 00:00:04,086 (雨音) 2 00:00:20,186 --> 00:00:24,899 (足音) 3 00:01:07,901 --> 00:01:09,486 (特別部捜査官) アイ スパイ ユー 4 00:01:15,742 --> 00:01:18,411 君をスパイ容疑で逮捕する 5 00:01:21,081 --> 00:01:24,793 (神永(かみなが)) 世界大戦の火種がくすぶる 昭和12年 秋 6 00:01:25,710 --> 00:01:27,754 帝国陸軍内に 秘密裏に― 7 00:01:27,879 --> 00:01:30,590 スパイ養成学校が 設立された 8 00:01:31,633 --> 00:01:34,052 過酷な選抜試験を 突破したのは― 9 00:01:34,177 --> 00:01:37,263 その経歴 氏名 年齢までもが 10 00:01:37,388 --> 00:01:40,892 一切 極秘事項として 扱われた精鋭たち 11 00:01:42,143 --> 00:01:44,854 精神と肉体の極限を 要求される訓練を 12 00:01:45,146 --> 00:01:47,607 やすやすと 乗り越えた彼らは― 13 00:01:47,816 --> 00:01:50,360 創設者である 結城(ゆうき)中佐の指揮のもと 14 00:01:50,652 --> 00:01:52,654 世界各地で暗躍し始める 15 00:01:54,155 --> 00:01:57,617 かくして新たな 諜報(ちょうほう)組織が誕生した 16 00:01:58,785 --> 00:02:01,704 その名は D機関 17 00:02:02,080 --> 00:02:08,086 ♪~ 18 00:03:25,204 --> 00:03:31,210 ~♪ 19 00:03:38,801 --> 00:03:40,428 (伊沢和男(いざわ かずお)) イングランドの ヨークで生まれた 20 00:03:40,553 --> 00:03:42,096 ロビンソン・ クルーソーは― 21 00:03:42,222 --> 00:03:46,267 父の忠告を振り切って 冒険航海に出る 22 00:03:48,811 --> 00:03:51,105 大嵐に遭って 難船したものの 23 00:03:51,231 --> 00:03:52,815 運よく生き残り 24 00:03:52,941 --> 00:03:55,985 たった1人 無人島に漂着する 25 00:03:56,194 --> 00:04:01,115 その島で彼は手元に残った わずかな道具を使って家を作り 26 00:04:01,241 --> 00:04:05,036 穀物を栽培して たくましく生き抜いていく 27 00:04:05,787 --> 00:04:08,665 無人島に漂着して25年目 28 00:04:08,790 --> 00:04:10,750 人食い人種に 殺されそうになっていた― 29 00:04:10,875 --> 00:04:14,837 1人の野蛮人の青年を ロビンソンが救う 30 00:04:15,129 --> 00:04:17,298 その日が 金曜日だったことから 31 00:04:17,423 --> 00:04:21,177 ロビンソンは その青年を “フライデー”と名付ける 32 00:04:26,349 --> 00:04:28,893 (結城) せん別だ 持っていけ 33 00:04:36,109 --> 00:04:38,611 (伊沢) フライデーに 孤独を救われつつも 34 00:04:38,736 --> 00:04:43,783 ロビンソンは28年間 無人島での生活を余儀なくされた 35 00:04:44,659 --> 00:04:46,035 今回の任務は― 36 00:04:46,160 --> 00:04:49,580 その程度の潜入期間を 覚悟しろということなのか 37 00:04:50,748 --> 00:04:51,582 あっ 38 00:04:52,709 --> 00:04:55,461 (うめき声) 39 00:05:27,160 --> 00:05:30,163 何ですか? 何かの間違いだ 40 00:05:30,288 --> 00:05:32,248 人違いですよ 41 00:05:33,082 --> 00:05:35,501 (尋問官) 手荒なことをして すまない 42 00:05:36,210 --> 00:05:38,254 ええっと 君は… 43 00:05:38,379 --> 00:05:40,048 伊沢和夫 44 00:05:40,339 --> 00:05:42,091 写真師です 45 00:05:42,425 --> 00:05:45,386 (尋問官) “マエダ・ロンドン・ フォトスタジオ”? 46 00:05:45,511 --> 00:05:47,805 ええ オックスフォードストリートの 47 00:05:48,181 --> 00:05:53,186 ああ あの写真館か 地下鉄の駅近くの 48 00:05:53,519 --> 00:05:54,479 (伊沢)そうです 49 00:05:54,604 --> 00:05:57,607 あの近くのパブに よく行くんだ 50 00:05:58,024 --> 00:05:59,776 スタウトを飲みにね 51 00:06:00,068 --> 00:06:02,987 ええ 僕も あそこへは よく… 52 00:06:03,112 --> 00:06:07,200 (尋問官) なぜ 連れてこられたのか 心当たりはあるかね? 53 00:06:08,201 --> 00:06:11,245 さあ 想像もつきません 54 00:06:12,080 --> 00:06:16,334 君が日本のスパイではないかと 嫌疑がかけられている 55 00:06:16,584 --> 00:06:20,713 スパイ? この僕が? バカバカしい 56 00:06:23,508 --> 00:06:25,802 僕は ただの写真師ですよ 57 00:06:26,511 --> 00:06:28,805 ウソだと思うなら 伯父さんに… 58 00:06:30,431 --> 00:06:35,061 (尋問官) 我々は2週間以上も前から 君を監視下に置いた 59 00:06:35,269 --> 00:06:39,107 ドイツのスパイや 英国ファシスト連盟の党員 60 00:06:40,024 --> 00:06:41,526 ただの写真師にしては― 61 00:06:41,651 --> 00:06:45,029 変わった交遊関係を 持っているようだね 62 00:06:53,204 --> 00:06:55,081 (伊沢) 一体 何のことですか… 63 00:06:56,249 --> 00:06:59,127 僕には さっぱり分からないんです 64 00:06:59,335 --> 00:07:03,047 ロンドンに来て まだ1か月もたってないし 65 00:07:03,172 --> 00:07:05,716 (尋問官) ああ それはもう聞いたよ 66 00:07:05,842 --> 00:07:09,929 我々は君がイギリスに来た 本当の理由が知りたいんだ 67 00:07:10,263 --> 00:07:13,808 (伊沢) だから体を壊した 伯父さんの代わりに… 68 00:07:13,933 --> 00:07:15,560 (尋問官)それも聞いた 69 00:07:16,102 --> 00:07:19,689 (伊沢) 神に誓って 本当に何のことだか… 70 00:07:21,274 --> 00:07:22,692 (尋問官)分かった 71 00:07:23,234 --> 00:07:27,447 少し休憩しよう 今日も長くなりそうだ 72 00:07:28,406 --> 00:07:30,199 トイレに行ってきたまえ 73 00:07:39,959 --> 00:07:42,587 (男A) 北側の人員を もう少し増やしてくれるか 74 00:07:42,712 --> 00:07:43,838 (男B)了解しました 75 00:07:44,046 --> 00:07:47,216 ここの改修は あと3週間ほどかかるそうです 76 00:07:47,383 --> 00:07:48,801 (男A)分かった (男B)あと ここは… 77 00:07:50,887 --> 00:07:52,472 (伊沢)あっ うう… 78 00:07:55,183 --> 00:07:56,476 何を… 79 00:07:57,101 --> 00:07:58,311 うっ 80 00:07:59,228 --> 00:08:02,857 さて 続きを始めようか 81 00:08:53,533 --> 00:08:55,993 (ハワード・マークス) これが何か分かるかね? 82 00:09:00,873 --> 00:09:03,459 君のような 優秀な部下を持っている― 83 00:09:03,584 --> 00:09:06,045 ユウキがうらやましいよ 84 00:09:07,338 --> 00:09:09,674 (伊沢) ハワード・マークス中佐 85 00:09:09,799 --> 00:09:12,927 英国諜報機関に籍を置く スパイ・マスター 86 00:09:13,052 --> 00:09:14,720 だが タイムリミットだ 87 00:09:14,845 --> 00:09:18,182 我々も そう悠長に していられないのでね 88 00:09:22,770 --> 00:09:26,065 うちで開発した 最新の自白剤でね 89 00:09:26,232 --> 00:09:27,858 手荒な拷問をするより 90 00:09:27,984 --> 00:09:32,280 よほどスマートに君の本心を 確認できるというわけだ 91 00:09:37,493 --> 00:09:38,244 ううっ 92 00:09:40,288 --> 00:09:43,249 何 心配することはない 93 00:09:43,499 --> 00:09:47,628 君の優秀さと 国への忠誠心は分かっている 94 00:09:52,258 --> 00:09:53,384 (伊沢)あっ… 95 00:10:00,349 --> 00:10:04,312 (外村均(そとむら ひとし)) えー… それじゃあ言うけどね 96 00:10:06,355 --> 00:10:09,984 秘密だよ 絶対 秘密だからね 97 00:10:11,027 --> 00:10:13,613 君 オックスフォード通りに ある― 98 00:10:13,738 --> 00:10:16,824 マエダ・ロンドン・ フォトスタジオって知ってるかい? 99 00:10:17,366 --> 00:10:18,200 (テープを止める音) 100 00:10:18,326 --> 00:10:21,329 (マークス) この声の主を知ってるかな? 101 00:10:21,579 --> 00:10:23,205 外村均… 102 00:10:23,331 --> 00:10:26,500 最近 ロンドンに 来たばかりの外交官だ 103 00:10:26,876 --> 00:10:28,210 (テープを回す音) 104 00:10:28,878 --> 00:10:30,046 (外村) あの店をやっていた 105 00:10:30,171 --> 00:10:32,423 前田(まえだ)っておやじが 日本に帰って… 106 00:10:32,923 --> 00:10:36,594 代わりに甥(おい)っ子だっていう 若い男が来たんだけど 107 00:10:36,844 --> 00:10:40,473 ねえ 君 本当に 誰にも言っちゃダメだよ 108 00:10:41,390 --> 00:10:44,810 (女) 私のこと信用してないなら 別にいいのよ 109 00:10:44,935 --> 00:10:46,395 (外村) そう言わないで 110 00:10:46,520 --> 00:10:49,815 それでね その日本から来た 伊沢和男ってやつ 111 00:10:49,815 --> 00:10:50,107 それでね その日本から来た 伊沢和男ってやつ 112 00:10:49,815 --> 00:10:50,107 (伊沢) やめろ しゃべるな 113 00:10:50,107 --> 00:10:50,232 (伊沢) やめろ しゃべるな 114 00:10:50,232 --> 00:10:52,526 (伊沢) やめろ しゃべるな 115 00:10:50,232 --> 00:10:52,526 あいつ 実は日本のスパイなんだ 116 00:10:52,526 --> 00:10:53,402 あいつ 実は日本のスパイなんだ 117 00:10:54,236 --> 00:10:56,072 (女) それ本気で言ってるの? 118 00:10:56,197 --> 00:10:58,532 (外村) いいかい 日本の陸軍には 119 00:10:58,658 --> 00:11:01,744 通称 D機関って呼ばれている 極秘組織があってね… 120 00:11:01,869 --> 00:11:02,536 やめろ… 121 00:11:02,662 --> 00:11:03,788 (外村) 外務省の中で 122 00:11:03,913 --> 00:11:06,499 ごく限られた者しか 知らないんだけど 123 00:11:06,624 --> 00:11:08,417 あいつは そこから派遣されて… 124 00:11:11,420 --> 00:11:12,671 (マークス)君は 今― 125 00:11:12,797 --> 00:11:16,258 自分がどういう状況にいるか 分かるかね? 126 00:11:17,176 --> 00:11:20,388 (伊沢) 俺は… 売られた 127 00:11:22,723 --> 00:11:26,727 (マークス) 君を売った人物に 心当たりは? 128 00:11:28,312 --> 00:11:31,982 (伊沢) ユウキ… 結城中佐だ… 129 00:11:34,610 --> 00:11:38,364 (マークス) さて ここからが本番だ 130 00:11:43,411 --> 00:11:45,162 気分はどうだね 131 00:11:47,623 --> 00:11:49,250 使ってくれ 132 00:11:49,542 --> 00:11:50,501 (マークス)んん? 133 00:11:51,210 --> 00:11:53,504 俺を… 使ってくれ 134 00:11:53,796 --> 00:11:56,257 やっと 気が変わったのか 135 00:11:57,466 --> 00:12:00,678 (伊沢) もう俺には… 帰る場所がない 136 00:12:00,803 --> 00:12:03,264 それは何よりの申し出だ 137 00:12:03,764 --> 00:12:06,559 君はユウキに売られた男 138 00:12:06,684 --> 00:12:08,769 我々が君を信用するのに― 139 00:12:08,894 --> 00:12:12,481 これ以上のレター・オブ・ クレジットはないのでね 140 00:12:12,898 --> 00:12:14,275 先ほども聞いたが… 141 00:12:15,067 --> 00:12:17,236 これが何か分かるかね? 142 00:12:19,321 --> 00:12:21,073 コードブック 143 00:12:21,782 --> 00:12:25,202 日本陸軍のコードブックだ 144 00:12:25,578 --> 00:12:26,787 (マークス)そう 145 00:12:27,329 --> 00:12:28,831 そこでだ 146 00:12:37,047 --> 00:12:40,885 早速 君に やってもらいたいことがある 147 00:12:48,893 --> 00:12:50,311 これを使って― 148 00:12:50,436 --> 00:12:54,356 本国に暗号文を打電するのが 君の初仕事だ 149 00:12:54,815 --> 00:12:58,194 打電内容は すでに こちらで用意した 150 00:12:59,487 --> 00:13:02,531 暗号化し モールス信号に 変換するところまで 151 00:13:02,656 --> 00:13:04,325 我々の手で済ませてある 152 00:13:04,617 --> 00:13:06,076 つまり君は― 153 00:13:06,202 --> 00:13:10,915 君に割り当てられた打ちぐせを 交えて電鍵(でんけん)を打つだけでいい 154 00:13:11,123 --> 00:13:11,916 (憲兵A)はっ 155 00:13:13,501 --> 00:13:16,879 (手錠を外す音) 156 00:13:18,339 --> 00:13:19,840 どうしたんだね? 157 00:13:19,965 --> 00:13:22,510 君が さっき 自分で言っていたんだよ 158 00:13:22,635 --> 00:13:25,554 ユウキのほうが 先に君を売ったと 159 00:13:25,846 --> 00:13:28,807 君には もはや 選択肢は残されていない 160 00:13:55,125 --> 00:13:59,797 これで君も 晴れて我々の仲間だ 161 00:14:01,006 --> 00:14:02,883 向こうで食事をさせてやれ 162 00:14:03,133 --> 00:14:03,968 はっ 163 00:14:06,011 --> 00:14:07,638 (マークス) 手錠を忘れるな 164 00:14:07,763 --> 00:14:08,597 手錠ですか? 165 00:14:09,098 --> 00:14:10,724 今回の偽情報が 166 00:14:10,849 --> 00:14:14,645 確実に日本にダメージを 与えたことが判明するまで 167 00:14:14,770 --> 00:14:18,065 彼に ここを離れてもらうわけには いかないのでね 168 00:14:18,774 --> 00:14:21,485 くれぐれも 目を離すんじゃないぞ 169 00:14:21,610 --> 00:14:23,070 (憲兵A) はっ 失礼しました 170 00:14:23,237 --> 00:14:25,447 (手錠をはめる音) 171 00:14:40,296 --> 00:14:41,338 (憲兵A)おい 172 00:14:41,630 --> 00:14:43,799 (伊沢) トイレに行かせてくれ 173 00:14:44,341 --> 00:14:45,009 (憲兵A)右だ 174 00:14:49,346 --> 00:14:53,142 向こうの角のトイレのほうが 近いんじゃないのか? 175 00:14:55,102 --> 00:14:57,021 なぜ そんなことを 知っている 176 00:15:14,204 --> 00:15:16,707 (伊沢) ああっ… あっ あああ! 177 00:15:16,832 --> 00:15:18,626 (憲兵A) どうした? 何があった? 178 00:15:18,959 --> 00:15:20,794 あっ… ああ… 179 00:15:20,920 --> 00:15:22,129 何だ 180 00:15:23,631 --> 00:15:25,382 鏡がどうしたんだ? 181 00:15:25,674 --> 00:15:26,759 うっ… 182 00:15:40,564 --> 00:15:43,567 (伊沢) 念のためトイレの位置を尋ねて 確認してみたが 183 00:15:43,692 --> 00:15:45,319 間違いないようだ 184 00:15:56,288 --> 00:15:59,166 3階 廊下の突き当りに 非常階段 185 00:15:59,416 --> 00:16:01,335 そこから外に出れば 186 00:16:02,795 --> 00:16:06,548 あとは物置の屋根づたいに 表通りに脱出できるはずだ 187 00:16:12,388 --> 00:16:13,097 (憲兵B)うっ… 188 00:16:13,305 --> 00:16:14,139 あっ… 189 00:16:17,226 --> 00:16:20,729 (伊沢) あの角を曲がった先に 非常階段のドアが… 190 00:16:21,772 --> 00:16:22,815 あっ… 191 00:16:30,990 --> 00:16:32,950 バカな… なぜ 192 00:16:36,245 --> 00:16:38,706 あれはトラップ? 193 00:16:39,456 --> 00:16:42,751 相手は英国諜報機関の スパイ・マスター 194 00:16:42,918 --> 00:16:46,422 この程度のワナは 当然 予想すべきだった 195 00:16:48,090 --> 00:16:49,550 これまでか… 196 00:16:50,718 --> 00:16:51,802 (憲兵C)捕虜が逃げたぞ 197 00:16:51,927 --> 00:16:53,470 (憲兵D)上だ 上にいるぞ! 198 00:16:53,595 --> 00:16:54,888 (憲兵E)3階だ 199 00:16:56,932 --> 00:16:57,641 あっ 200 00:17:02,730 --> 00:17:03,480 ハッ 201 00:17:04,147 --> 00:17:05,816 (憲兵F)よし この階だ 202 00:17:06,692 --> 00:17:09,653 (憲兵D) 追い詰めたな 俺は奥から当たる 203 00:17:09,987 --> 00:17:12,239 (憲兵E) 出てこい もう逃げ道はないぞ! 204 00:17:18,454 --> 00:17:20,998 (憲兵D) 隠れてもムダだ 出てこい! 205 00:17:33,969 --> 00:17:35,554 (憲兵E) どうだ? いたか? 206 00:17:38,766 --> 00:17:40,684 (憲兵D) ダメだ こっちにはいない 207 00:17:43,312 --> 00:17:45,898 (憲兵D) なぜだ… 影も形もない 208 00:17:46,023 --> 00:17:47,566 (憲兵E)どこへ消えた 209 00:17:47,691 --> 00:17:49,068 (マークス)どうした 210 00:17:49,193 --> 00:17:51,862 (憲兵D) それが… この階に追い詰めたのですが 211 00:17:51,987 --> 00:17:52,946 どこにも… 212 00:17:53,072 --> 00:17:58,535 (マークス) 下の階は完全に制圧している 1階ずつ上に追い詰めていけばいい 213 00:17:58,911 --> 00:18:00,662 (憲兵E)しかし上には… 214 00:18:00,913 --> 00:18:04,792 (マークス) この中にいるのは確かだ この階にはいないんだな? 215 00:18:04,917 --> 00:18:07,836 (憲兵D) はっ すべての部屋を 確認しました 216 00:18:08,879 --> 00:18:10,672 (伊沢) ロビンソン・クルーソーは 217 00:18:10,798 --> 00:18:13,717 無人島で たった1人 生活をしながらも 218 00:18:13,842 --> 00:18:16,970 “英国人”という役割を 演じ続ける 219 00:18:17,262 --> 00:18:20,557 それはまさに 敵国に潜入したスパイが 220 00:18:20,682 --> 00:18:23,310 その地で得た友人 さらには家族にさえ 221 00:18:23,435 --> 00:18:25,938 何ひとつ 本当のことを明かさず 222 00:18:26,063 --> 00:18:30,109 何食わぬ顔で生活していく 日常のアレゴリー 223 00:18:30,734 --> 00:18:33,654 無人島に漂着して25年目 224 00:18:33,779 --> 00:18:35,781 人食い人種に 殺されそうになっていた― 225 00:18:35,906 --> 00:18:38,867 1人の青年を ロビンソンが救う 226 00:18:39,076 --> 00:18:41,078 その日が 金曜日だったことから 227 00:18:41,370 --> 00:18:44,957 ロビンソンは その青年を “フライデー”と名付ける 228 00:18:46,875 --> 00:18:51,839 恐らく彼は ふだんは国王陛下の 忠実な兵士として働き― 229 00:18:51,964 --> 00:18:57,010 英国諜報機関に日本のスパイが 捕らえられた場合にのみ機能する 230 00:18:57,386 --> 00:19:00,180 “眠れるスパイ” スリーパー 231 00:19:00,305 --> 00:19:02,391 そして その暗号である フライデーは― 232 00:19:02,599 --> 00:19:05,853 天文学でビーナスと 呼ばれるところの金星 233 00:19:05,978 --> 00:19:08,272 その惑星記号は… 234 00:19:11,024 --> 00:19:15,487 結城中佐はフライデーの存在を あらかじめ俺に教えなかった 235 00:19:15,612 --> 00:19:18,615 存在を知らなければ 自白のしようがない 236 00:19:18,991 --> 00:19:23,871 貴様たちに要求されているのは 単に意識を多層化することだけだ 237 00:19:23,996 --> 00:19:26,665 相手に与えてよい情報は 表層に 238 00:19:26,790 --> 00:19:30,127 与えるべきでない情報は 深層に蓄える 239 00:19:30,460 --> 00:19:31,545 簡単なことだ 240 00:19:32,629 --> 00:19:34,173 (伊沢) 偽情報を打電するよう 241 00:19:34,298 --> 00:19:36,800 マークス中佐から 指示されたあの時― 242 00:19:37,009 --> 00:19:41,138 俺は用意された通信文を 一字一句ミスなく打った 243 00:19:42,264 --> 00:19:45,267 一宇一句ミスなく打たれた 暗号電文 244 00:19:45,392 --> 00:19:49,021 それはD機関においては 敵中の事故 245 00:19:49,146 --> 00:19:52,316 “捕らえられた 救助を要請する”を意味している 246 00:19:54,276 --> 00:19:57,571 無論 この情報は 意識の最下層 247 00:19:57,779 --> 00:19:59,698 殺されるまで 引き出されることのない― 248 00:19:59,823 --> 00:20:02,326 一番 奥にしまいこまれる 249 00:20:11,668 --> 00:20:12,669 (ノック) 250 00:20:13,086 --> 00:20:15,088 (伊沢) 火を貸してもらえませんか? 251 00:20:15,422 --> 00:20:17,424 (白人の男) 私の靴は黒い 252 00:20:27,267 --> 00:20:29,603 敵のスパイを手に入れて 253 00:20:29,728 --> 00:20:32,814 あるいは 敵の暗号を解読した側は 254 00:20:33,232 --> 00:20:36,026 次は必ず 手に入れたスパイを使って 255 00:20:36,151 --> 00:20:40,280 偽情報を相手側に流したいという 欲求にとらわれる 256 00:20:40,530 --> 00:20:45,869 そして その時こそが 貴様たちが脱出するチャンスなのだ 257 00:20:47,371 --> 00:20:48,622 (伊沢)3か月前 258 00:20:48,747 --> 00:20:53,001 日本陸軍の機密事項が 英国に漏れていることが発覚した 259 00:20:53,377 --> 00:20:55,295 ロンドン駐在の外交官が 260 00:20:55,420 --> 00:20:58,006 暗号も使わず 電信を使用していたのだ 261 00:20:58,882 --> 00:21:03,845 陸軍は即座に軍の機密に関して 暗号を用いるよう抗議したが 262 00:21:03,971 --> 00:21:07,891 事件の性質上 因果関係を 断定できないこともあり― 263 00:21:08,016 --> 00:21:11,728 外務省は陸軍からの申し入れを 無視し続けた 264 00:21:12,145 --> 00:21:15,190 しかし 外交官が 正体を漏らすことで 265 00:21:15,315 --> 00:21:16,900 俺が英国に補まれば― 266 00:21:17,025 --> 00:21:19,820 それは明らかに外務省の責任 267 00:21:19,987 --> 00:21:24,992 これを動かぬ証拠として 外務省に陸軍の申し入れを聞かせる 268 00:21:25,826 --> 00:21:29,788 これが結城中佐の書いた シナリオだった 269 00:21:31,665 --> 00:21:34,793 今度は どこに 行くことになるのか 270 00:21:35,127 --> 00:21:36,211 フッ 271 00:21:51,143 --> 00:21:57,149 ♪~ 272 00:23:13,225 --> 00:23:19,231 ~♪ 273 00:23:24,653 --> 00:23:27,072 (福本(ふくもと)) 相変わらず 鮮やかな手さばきだな 274 00:23:28,115 --> 00:23:30,867 (田崎(たざき)) 俺が操っているのは カードじゃない 275 00:23:33,495 --> 00:23:35,288 お前の心さ