1 00:00:01,889 --> 00:00:06,895 ♪~ 2 00:01:29,894 --> 00:01:34,899 ~♪ 3 00:01:48,413 --> 00:01:50,081 (陽子(ようこ))それでは あなたは… 4 00:01:50,623 --> 00:01:52,667 (尚隆(しょうりゅう))俺は小松(こまつ)尚隆(なおたか) 5 00:01:52,792 --> 00:01:53,626 胎果(たいか)で― 6 00:01:53,751 --> 00:01:56,504 称号でいうなら 延王(えんおう)だ 7 00:01:58,464 --> 00:02:01,342 雁州国(えんしゅうこく)王 延 8 00:02:01,926 --> 00:02:03,386 (妖魔の鳴き声) (尚隆)あっ 9 00:02:05,680 --> 00:02:07,515 まるで お前らを狙っているようだな 10 00:02:07,807 --> 00:02:09,767 妖魔は 群れて襲うことは あり得ない 11 00:02:10,059 --> 00:02:12,854 これは 使令(しれい)が操っているのだ 使令を探せ! 12 00:02:13,438 --> 00:02:14,605 使令って… あっ 13 00:02:23,239 --> 00:02:24,073 はあーっ! 14 00:02:24,198 --> 00:02:25,074 (斬る音) 15 00:02:25,366 --> 00:02:27,243 (塙麟(こうりん))ううっ あっ… 16 00:02:33,791 --> 00:02:37,920 (塙麟の荒い息) 17 00:02:38,046 --> 00:02:43,176 残ったものは お前と峨城(がじょう)だけね 18 00:02:43,301 --> 00:02:45,845 (尹灑(いさい))台輔(たいほ) もう これ以上は 19 00:02:46,054 --> 00:02:48,306 ハァ ああ… 20 00:02:48,890 --> 00:02:51,017 (女性) 風漢(ふうかん)様 おかえりなさいませ 21 00:02:51,559 --> 00:02:55,438 妖魔が出たんですって? 何年ぶりでしょう 街まで来るのは 22 00:02:55,605 --> 00:02:56,939 (尚隆)ああ 客だ 23 00:02:57,398 --> 00:03:00,485 (楽俊(らくしゅん))おいらは 延台輔に お手紙を差し上げました 24 00:03:00,610 --> 00:03:03,613 それをご存じなのは 台輔の周囲にしかおられないはず 25 00:03:03,738 --> 00:03:07,074 だからって 延王のはずがあるか あんな気軽に 26 00:03:07,200 --> 00:03:10,328 台輔の使者が 延王をかたることなど あり得ねえ 27 00:03:10,453 --> 00:03:13,289 と… とにかく おいらは同席できねえです 28 00:03:13,414 --> 00:03:15,792 (楽俊)ここでお待ちしますので (陽子)でも… 29 00:03:15,917 --> 00:03:16,918 (尚隆)どうした? (陽子)あっ 30 00:03:17,251 --> 00:03:18,336 (尚隆)上だ 31 00:03:33,309 --> 00:03:34,310 (陽子)あ… 32 00:03:35,061 --> 00:03:37,146 (店主)風漢様 他にご用は? 33 00:03:40,024 --> 00:03:41,359 それでは 34 00:03:43,736 --> 00:03:44,570 風漢? 35 00:03:44,862 --> 00:03:47,031 街では 王とは名乗れぬだろう 36 00:03:47,740 --> 00:03:50,785 雁国の治世は 500年続いていると聞いた 37 00:03:51,202 --> 00:03:53,830 どうやら 体は老けぬらしい 38 00:03:53,955 --> 00:03:58,251 おかげで 30年ぐらいで 通う店を変えぬと 気味悪がられる 39 00:04:00,294 --> 00:04:01,254 ああっ 40 00:04:03,673 --> 00:04:04,715 抜けた? 41 00:04:05,174 --> 00:04:09,679 鞘(さや)が死んでいるな 妙な幻も見たろ? 42 00:04:12,557 --> 00:04:14,267 これが何か知っているのですか? 43 00:04:14,934 --> 00:04:16,227 (尚隆)水禺刀(すいぐうとう) 44 00:04:16,811 --> 00:04:18,437 水をして剣をなさしめ― 45 00:04:19,147 --> 00:04:21,023 禺(さる)をして鞘をなさしめ― 46 00:04:21,149 --> 00:04:22,900 よって 水禺刀という 47 00:04:23,734 --> 00:04:25,945 妖魔を断つ剣としても 優れるが― 48 00:04:26,070 --> 00:04:29,323 やいばは水鏡となり 幻を見せる 49 00:04:30,825 --> 00:04:33,536 (尚隆) およそ幻は 持ち主の心を示す 50 00:04:34,370 --> 00:04:37,248 操るすべを覚えれば 心の望むまま― 51 00:04:37,665 --> 00:04:41,002 過去 未来 千里のかなたまでも 映し出すという 52 00:04:41,502 --> 00:04:44,755 だが すべなしでは のべつ幕なし 幻を見せる 53 00:04:45,423 --> 00:04:47,508 ゆえに鞘をもって封じる 54 00:04:48,801 --> 00:04:51,137 かたや 鞘は猿を表す 55 00:04:51,470 --> 00:04:54,640 猿は人の心を読むが それを抑えるすべなくば― 56 00:04:55,016 --> 00:04:58,186 剣よりあふれる あるじの心を 操り惑わす 57 00:04:58,644 --> 00:05:00,521 ゆえに剣をもって封じる 58 00:05:01,355 --> 00:05:04,358 …と 何代か前の景王(けいおう)に聞いた 59 00:05:05,610 --> 00:05:07,278 慶国(けいこく)秘蔵の宝重だ 60 00:05:07,403 --> 00:05:11,490 あっ 私を景王だと連れが言います 61 00:05:11,741 --> 00:05:12,992 しかし それは誤りです 62 00:05:13,659 --> 00:05:16,662 お前は 何匹 妖魔を斬った? (陽子)えっ? 63 00:05:16,954 --> 00:05:22,043 恐らく 俺が その剣を用いても 1匹たりとも斬れぬ 64 00:05:22,168 --> 00:05:24,337 今は鞘が死んでいるから 抜けたが― 65 00:05:24,462 --> 00:05:27,089 本来ならば 正統なあるじにしか用いられぬ 66 00:05:27,798 --> 00:05:31,552 それを使っていたことが お前が景王である証しだ 67 00:05:32,178 --> 00:05:35,556 鞘を仕立て直せば 刀は思うままとなろう 68 00:05:35,681 --> 00:05:38,309 だが その前に 王として即位することだ 69 00:05:38,434 --> 00:05:40,061 えっ ま… 待ってください 70 00:05:40,061 --> 00:05:41,062 えっ ま… 待ってください 71 00:05:40,061 --> 00:05:41,062 (戸の開閉音) 72 00:05:41,228 --> 00:05:43,022 (六太(ろくた))チェッ 疲れた 73 00:05:43,856 --> 00:05:44,690 何だ? こいつは 74 00:05:44,815 --> 00:05:47,026 (尚隆) 品のない言葉遣いは改めよ 75 00:05:47,151 --> 00:05:50,363 (六太)何だよ まさか 嫁さんでも もらう気になったのか 76 00:05:50,488 --> 00:05:51,405 (尚隆)おい 77 00:05:51,530 --> 00:05:52,782 (六太) 母ちゃんってわきゃないよな 78 00:05:52,907 --> 00:05:54,992 (尚隆) お前は 俺の妻か母でなければ― 79 00:05:55,117 --> 00:05:56,911 礼儀を思い出せんのか 80 00:05:59,538 --> 00:06:00,581 あっ 81 00:06:01,457 --> 00:06:04,585 私 あなたに会ったことがある あちらで 82 00:06:04,710 --> 00:06:07,672 あちら? あ そっか 早く言え 尚隆 83 00:06:07,964 --> 00:06:10,716 フフフッ これが延麒(えんき)だ 84 00:06:10,841 --> 00:06:12,259 延の麒麟(きりん)? 85 00:06:12,385 --> 00:06:14,136 景女王であらせられる 86 00:06:14,261 --> 00:06:15,805 分かってるよ 87 00:06:15,930 --> 00:06:18,432 あの時 嗅いだ血のにおいは 間違いじゃなかったんだな 88 00:06:19,225 --> 00:06:21,686 なんで まっすぐ 慶か ここに来なかった 89 00:06:21,811 --> 00:06:24,021 たく おかげで捜し回ったぞ 90 00:06:24,146 --> 00:06:26,315 捜していた? 私を? 91 00:06:26,440 --> 00:06:29,068 景麒(けいき)が蓬莱(ほうらい)に向かうと 言っていたからな 92 00:06:29,193 --> 00:06:31,320 それなのに 連れてきたはずの景王が… 93 00:06:31,445 --> 00:06:32,405 (尚隆)話は後だ 94 00:06:33,280 --> 00:06:36,367 御身のため 安全な場所に来てもらう 95 00:06:36,492 --> 00:06:39,161 むさ苦しいが 俺の住みかまで来てもらえるか 96 00:06:39,620 --> 00:06:41,372 (陽子)住みか? (六太)ハハハ… 97 00:06:41,914 --> 00:06:43,958 大した所じゃない 玄英宮(げんえいきゅう)だ 98 00:06:44,083 --> 00:06:44,959 お… 王宮? 99 00:06:45,459 --> 00:06:46,669 そんな所に行けません 100 00:06:47,169 --> 00:06:49,839 妖魔は 群れて人を狙うことなどない 101 00:06:49,964 --> 00:06:51,924 あれは 使令に操られているのだ 102 00:06:52,425 --> 00:06:53,384 使令? 103 00:06:53,634 --> 00:06:55,845 使令は麒麟にしか使えない 104 00:06:55,970 --> 00:06:59,223 つまり いずこかの王が 御身を狙っているのだ 105 00:06:59,348 --> 00:07:00,349 そうなのですか 106 00:07:00,850 --> 00:07:04,061 その巻き添えで 俺の国民が傷つくのは迷惑だ 107 00:07:04,729 --> 00:07:05,896 ああ… 108 00:07:11,902 --> 00:07:15,239 (陽子) あの… 1人 連れていきます いいですか? 109 00:07:15,364 --> 00:07:17,658 さっきの半獣か 従僕か? 110 00:07:18,242 --> 00:07:19,452 友達です! 111 00:07:26,250 --> 00:07:28,377 (足音) 112 00:07:29,003 --> 00:07:29,837 ん? 113 00:07:30,504 --> 00:07:33,299 (陽子)ハァ ハァ ハァ… 114 00:07:34,091 --> 00:07:35,801 王宮に一緒に来てくれ 115 00:07:35,926 --> 00:07:38,137 (楽俊)ありがたき お申し出ではございますが― 116 00:07:38,262 --> 00:07:41,349 それでは 景王陛下に ご迷惑がかかります 117 00:07:41,515 --> 00:07:44,101 どうか これまでのご無礼を ご寛恕(かんじょ)いただき… 118 00:07:44,226 --> 00:07:46,270 (陽子)私は私だ (楽俊)いいえ 119 00:07:46,729 --> 00:07:48,856 (陽子)私は私でしかない! 120 00:07:49,565 --> 00:07:53,611 やっと分かったんだ 私は ただ私自身でいたいと 121 00:07:53,736 --> 00:07:56,530 王であるとか 海客(かいきゃく)だとか そんなこと関係ない 122 00:07:58,324 --> 00:08:00,951 楽俊と友達になれたと思っていた 123 00:08:01,369 --> 00:08:05,498 なのに 友達に敬語を使われたり 見捨てられたり― 124 00:08:05,623 --> 00:08:08,667 それが玉座のせいなら そんなもの 私はいらない! 125 00:08:09,043 --> 00:08:11,420 (楽俊) あなたは遠いお方なのです 126 00:08:11,879 --> 00:08:13,547 それは差別だ 127 00:08:13,756 --> 00:08:17,218 楽俊は 私を海客だからと 差別しなかった 128 00:08:17,593 --> 00:08:19,387 なのに 王だと差別するのか 129 00:08:20,179 --> 00:08:21,097 陽子… 130 00:08:21,806 --> 00:08:25,851 遠くなんかない 楽俊の気持ちが遠ざかったんだ 131 00:08:25,976 --> 00:08:27,436 私と楽俊の間には― 132 00:08:27,561 --> 00:08:29,355 たかだか2歩の距離しか ないじゃないか! 133 00:08:35,486 --> 00:08:36,612 違う 134 00:08:36,904 --> 00:08:38,114 (陽子)違う? 135 00:08:41,367 --> 00:08:43,035 おいらには 3歩だ 136 00:08:48,666 --> 00:08:49,500 (陽子)楽俊! 137 00:08:50,000 --> 00:08:52,169 ありがとう 楽俊 138 00:08:52,294 --> 00:08:55,047 だから だから 慎みを持てって 139 00:08:55,172 --> 00:08:56,882 ハッハッハッ… 140 00:09:15,860 --> 00:09:17,445 (楽俊)陽子 大丈夫か? 141 00:09:17,903 --> 00:09:19,905 あの時も こうして空を飛んだ 142 00:09:20,823 --> 00:09:23,909 (陽子)あの時は 心細くて 怖くて仕方なかった 143 00:09:24,785 --> 00:09:28,789 なのに 今は心地よい 楽俊がいてくれるからだ 144 00:09:29,039 --> 00:09:30,416 迷惑かけて ごめん 145 00:09:30,875 --> 00:09:33,669 (楽俊)迷惑だと思ったら 最初から ついてきてねえ 146 00:09:33,794 --> 00:09:35,212 (陽子)ケガまでさせて 147 00:09:35,337 --> 00:09:37,465 こんなに危険だとは 思ってなかったろ? 148 00:09:37,590 --> 00:09:38,757 (楽俊)まあな 149 00:09:38,883 --> 00:09:41,886 でも 陽子を見捨てて 危険じゃない所にいるより― 150 00:09:42,011 --> 00:09:44,346 陽子と一緒に 危険な所に行くほうが― 151 00:09:44,472 --> 00:09:47,391 自分にとって 値打ちがあることだと思ったんだ 152 00:09:49,977 --> 00:09:53,105 陽子 あれが きっと関弓(かんきゅう)の街だ 153 00:09:56,358 --> 00:09:57,902 (陽子)何だか暗いな 154 00:09:58,611 --> 00:10:00,279 王宮は どこにあるんだ? 155 00:10:00,404 --> 00:10:02,114 (楽俊)関弓山(かんきゅうざん)の頂上だ 156 00:10:02,239 --> 00:10:05,117 山? 山なんて どこに… 157 00:10:12,166 --> 00:10:13,209 ああ… 158 00:10:22,051 --> 00:10:23,886 (陽子)天に届く山… 159 00:10:34,522 --> 00:10:37,149 心地よすぎて うたた寝しなかったか? 160 00:10:57,503 --> 00:10:59,713 やっぱり これを上るのかな 161 00:10:59,838 --> 00:11:02,424 じゃないかな ハァ… 162 00:11:05,469 --> 00:11:06,428 えっ あ… 163 00:11:08,639 --> 00:11:10,849 階段に呪をかけてあるんだ 164 00:11:14,144 --> 00:11:15,562 潮の香り? 165 00:11:19,942 --> 00:11:22,278 ら… 楽俊 海があるよ 166 00:11:22,653 --> 00:11:24,947 あるさ 空の上だもん 167 00:11:26,699 --> 00:11:28,200 (陽子)空の上に海がある 168 00:11:28,659 --> 00:11:31,161 (楽俊)海がなかったら 雲海とは言わねえだろ 169 00:11:33,455 --> 00:11:35,457 (陽子)地上の光が… 170 00:11:36,208 --> 00:11:38,877 もし 水が落ちたら どうするんだ? 171 00:11:39,003 --> 00:11:40,879 雲海の水が落ちるものか 172 00:11:41,422 --> 00:11:42,464 気に入ったのなら― 173 00:11:42,589 --> 00:11:45,342 景王には 露台のある部屋を 用意させてもらおう 174 00:11:45,926 --> 00:11:49,596 あの その景王って やめていただけませんか 175 00:11:49,722 --> 00:11:51,307 (尚隆)すぐに慣れる 176 00:12:47,863 --> 00:12:49,782 私の連れは まだでしょうか 177 00:12:55,037 --> 00:12:56,163 楽俊? 178 00:12:58,582 --> 00:12:59,416 あっ… 179 00:12:59,541 --> 00:13:01,960 (楽俊) だから慎みがないって言ったろ? 180 00:13:02,086 --> 00:13:05,255 そうか 半獣って そういうことなんだ 181 00:13:05,381 --> 00:13:07,674 男の… 人なんだね 182 00:13:08,634 --> 00:13:10,427 ただの獣なら しゃべるかい 183 00:13:10,803 --> 00:13:13,555 どうして いつも その姿でいないわけ? 184 00:13:13,680 --> 00:13:15,766 だったら 私だって 抱きついたりしない 185 00:13:16,475 --> 00:13:18,727 こっちより あっちのほうが楽なんだよ 186 00:13:19,311 --> 00:13:20,729 (朱衡(しゅこう))申し訳ございません 187 00:13:20,854 --> 00:13:24,274 何ぶん 主上は あのように 不調法な方ですので― 188 00:13:24,400 --> 00:13:28,278 せめて少しは格式ばりませんと 示しがつきません 189 00:13:28,404 --> 00:13:32,491 分かっています あのなりじゃ 非礼にも程がある 190 00:13:32,783 --> 00:13:35,577 景女王陛下のお世話を 仰せつかりました― 191 00:13:35,702 --> 00:13:38,831 秋官長 大司寇(だいしこう)の楊(よう)と申します 192 00:13:39,623 --> 00:13:40,791 はあ… 193 00:13:45,295 --> 00:13:47,714 楽俊 そんなもの 脱いでもかまわんぞ 194 00:13:48,173 --> 00:13:49,675 お気遣いなく 195 00:13:50,384 --> 00:13:53,887 では 台輔から 慶国の状況を説明させよう 196 00:13:56,306 --> 00:13:58,809 舒栄(じょえい)の軍は ますます膨れ上がってる 197 00:13:58,934 --> 00:14:02,146 民衆は妖魔に追われて 舒栄に助けを求めている 198 00:14:02,771 --> 00:14:04,690 あれでは 新たに景王を連れていっても― 199 00:14:04,815 --> 00:14:06,650 すぐには納得しないな 200 00:14:06,775 --> 00:14:08,569 舒栄というのは誰ですか? 201 00:14:08,694 --> 00:14:11,029 (尚隆)慶の新しい王を 名乗っているそうだ 202 00:14:11,155 --> 00:14:12,114 王を? 203 00:14:12,239 --> 00:14:14,283 (六太)偽王だ (陽子)偽王? 204 00:14:14,408 --> 00:14:16,702 でも どうして 偽者だと分かるのですか? 205 00:14:16,827 --> 00:14:19,872 俺は見た あいつは横に景麒を置いている 206 00:14:19,997 --> 00:14:20,831 (陽子)だったら… 207 00:14:21,707 --> 00:14:25,127 (六太) 景麒は霊力の源である角を 封じられていた 208 00:14:25,252 --> 00:14:29,006 もし 舒栄が まことの王ならば なぜ あのようなまねをする 209 00:14:29,923 --> 00:14:32,885 ただの人に 角を封じることなどできぬ 210 00:14:33,010 --> 00:14:36,054 どこかのしれ者の王が 麒麟を使い やらせているのだ 211 00:14:36,430 --> 00:14:41,268 陽子 そなたが即位するには まず景麒を取り戻す必要がある 212 00:14:41,393 --> 00:14:42,728 (陽子)ま… 待ってください 213 00:14:42,853 --> 00:14:46,523 私は景王なんかになりたくて ここに来たんじゃないんです 214 00:14:46,982 --> 00:14:50,444 延王が私を王だと言うなら 信じてもいいです 215 00:14:50,569 --> 00:14:54,823 でも 私は もうこれ以上 妖魔に追われたくなくて― 216 00:14:54,948 --> 00:14:57,951 人々に ウソをついて 逃げ回るのが嫌で― 217 00:14:58,076 --> 00:15:00,996 自分の国に帰る方法を 教えてもらおうと― 218 00:15:01,121 --> 00:15:02,372 ここまで来たんです 219 00:15:05,584 --> 00:15:07,252 陽子 かけなさい 220 00:15:07,920 --> 00:15:08,754 私… 221 00:15:09,171 --> 00:15:10,506 座りなさい 222 00:15:10,631 --> 00:15:14,218 そなたには長い話を 聞いてもらわなくてはならない 223 00:15:16,678 --> 00:15:18,972 (落人(らくじん)) この世界には12の国があり― 224 00:15:19,097 --> 00:15:21,475 それぞれの王は天帝が選びます 225 00:15:21,934 --> 00:15:25,604 (杉本(すぎもと))中嶋(なかじま)陽子は 王の娘として生まれたんですか? 226 00:15:25,729 --> 00:15:29,858 いいえ 天は その意を 麒麟という霊獣によって伝えます 227 00:15:30,776 --> 00:15:33,654 (落人)ただ麒麟だけが 誰が王であるかを知り― 228 00:15:33,779 --> 00:15:36,240 それを選ぶことができるのです 229 00:15:36,490 --> 00:15:38,450 名君に足る王を 230 00:15:39,076 --> 00:15:42,162 名君とは 民を虐げない王 231 00:15:42,412 --> 00:15:44,248 国を守り 百姓(ひゃくせい)を救って― 232 00:15:44,373 --> 00:15:46,291 安寧をもたらすものです 233 00:15:47,084 --> 00:15:50,838 しかし 名君でも その治世は永遠に続かない 234 00:15:51,213 --> 00:15:53,632 どうしてだか分かりますか? 235 00:15:54,132 --> 00:15:57,928 いつか王は死ぬし その跡継ぎが名君とは限らない 236 00:15:58,512 --> 00:15:59,972 だから この世界では― 237 00:16:00,097 --> 00:16:03,767 王は神に据えられ 不老不死となります 238 00:16:04,184 --> 00:16:08,689 そして いわゆる世襲は許されず 麒麟が 次の王を選びます 239 00:16:09,064 --> 00:16:12,401 そして 天は王を監視し続ける 240 00:16:12,734 --> 00:16:14,862 よく できているとは 思いませんか? 241 00:16:14,987 --> 00:16:16,655 (杉本)麒麟って 一体 何なの? 242 00:16:17,197 --> 00:16:21,034 (落人)世界の中心 蓬山(ほうざん)に生まれる霊獣です 243 00:16:21,368 --> 00:16:24,663 その本性は 正義と慈悲で できているといわれます 244 00:16:25,289 --> 00:16:29,626 (尚隆)台輔の進言することは 正義と慈悲の言葉ばかりだ 245 00:16:29,751 --> 00:16:35,257 やれ 罪を許せ やれ 税を軽くしろ やれ 民を思いやれ 246 00:16:36,091 --> 00:16:38,844 だが それだけでは国は治まらぬ 247 00:16:39,052 --> 00:16:42,556 進言を無視して 無慈悲なまねをすることもある 248 00:16:42,681 --> 00:16:46,393 麒麟は 王の言葉には 絶対 服従する 249 00:16:46,560 --> 00:16:48,353 どんなに不満があろうと 250 00:16:48,478 --> 00:16:52,524 (陽子)じゃあ 王に選ばれた後は 勝手にしてもいいんですか? 251 00:16:52,649 --> 00:16:56,862 (尚隆)例えば 民を捨てて 自分の世界に帰るというようにな 252 00:16:56,987 --> 00:16:58,113 (陽子)捨てるって 253 00:16:58,363 --> 00:17:02,576 王にできぬことはない 帰りたくば 帰ればよい 254 00:17:02,701 --> 00:17:05,787 だが 天が麒麟を そのように つくったということは― 255 00:17:05,913 --> 00:17:07,748 天は正義と慈悲によって― 256 00:17:07,873 --> 00:17:11,126 国を治めてほしいと 思っているということだ 257 00:17:11,251 --> 00:17:14,504 麒麟の進言を無視し 無慈悲の度が過ぎれば― 258 00:17:14,796 --> 00:17:16,298 天命を失う 259 00:17:16,423 --> 00:17:20,093 例えば 前の延王は その心に魔を宿し― 260 00:17:20,218 --> 00:17:24,181 民が逆らえば 皆殺しにし 街も焼き尽くした 261 00:17:24,306 --> 00:17:26,934 すると 麒麟が病の床に就いた 262 00:17:27,351 --> 00:17:30,187 王が道を誤ると 麒麟が病む 263 00:17:30,312 --> 00:17:31,521 失道(しつどう)っていってな 264 00:17:31,897 --> 00:17:32,731 失道? 265 00:17:33,148 --> 00:17:36,360 大抵 一度 失道した麒麟は 癒えません 266 00:17:36,652 --> 00:17:40,197 心を入れ替える王は 少ないですから そして… 267 00:17:40,614 --> 00:17:42,908 そのままでいれば 麒麟は死ぬ 268 00:17:43,033 --> 00:17:44,660 麒麟が死ねば 王も死ぬ 269 00:17:44,952 --> 00:17:47,329 だって 不老不死だって… 270 00:17:47,579 --> 00:17:51,792 ああ だが 首を落とされたり 胴を断たれれば死ぬし― 271 00:17:51,917 --> 00:17:54,002 王を神にしたのは麒麟だ 272 00:17:54,127 --> 00:17:55,712 麒麟が死ねば 王も死ぬ 273 00:17:56,213 --> 00:17:59,883 だが 王が先に死んだ場合は 麒麟が死ぬとは限らぬ 274 00:18:00,008 --> 00:18:00,926 景麒が そうだ 275 00:18:01,635 --> 00:18:02,761 景麒… 276 00:18:05,180 --> 00:18:08,141 (尚隆) お前は既に 景麒によって選ばれた 277 00:18:08,558 --> 00:18:13,146 玉座に就くには 蓬山に昇って 天勅をいただかなければならんが 278 00:18:13,271 --> 00:18:16,441 天命は下った お前は景王だ 279 00:18:16,566 --> 00:18:19,111 これだけは どうあっても変わることはない 280 00:18:19,403 --> 00:18:23,407 お前が帰るのは勝手だが 王を失った国は ますます荒れる 281 00:18:23,949 --> 00:18:26,702 そうなれば 天は お前を見捨てる 282 00:18:26,827 --> 00:18:29,413 景麒は失道の病にかかるのですね 283 00:18:29,538 --> 00:18:31,832 (尚隆) そして お前も どこかで死ぬ 284 00:18:31,999 --> 00:18:33,625 だが 問題は慶国の民だ 285 00:18:34,626 --> 00:18:38,380 (尚隆) 王がいない国は災異に襲われ 妖魔が出没する 286 00:18:38,505 --> 00:18:39,881 嵐が起こる 287 00:18:40,048 --> 00:18:44,845 日照りが続き 水がかれる 疫病がはやり 人心は惑う 288 00:18:45,345 --> 00:18:48,140 景麒は 前の王を見つける時も 時間がかかり― 289 00:18:48,265 --> 00:18:50,475 王の不在の時期が長かった 290 00:18:51,101 --> 00:18:53,020 慶は ずっと荒廃したままだ 291 00:18:53,145 --> 00:18:56,481 おかげで 既に慶から流れ込んだ難民は― 292 00:18:56,606 --> 00:18:59,484 この国では 支えきれぬ数になっている 293 00:19:00,152 --> 00:19:04,531 これ以上 難民が増えたら あなたの国が大変だから― 294 00:19:04,865 --> 00:19:06,742 だから 私に王になれと? 295 00:19:07,451 --> 00:19:09,786 そう取ってもらってもかまわぬ 296 00:19:10,120 --> 00:19:13,123 だが 俺は お前がまさに 王気を備えていると思う 297 00:19:13,999 --> 00:19:14,833 まさか 298 00:19:15,292 --> 00:19:17,669 (尚隆) お前は お前自身の王であり― 299 00:19:17,794 --> 00:19:20,297 己自身であることの責任を 知っている 300 00:19:20,672 --> 00:19:24,259 だから お前は半獣を友とし その思いに応えた 301 00:19:24,801 --> 00:19:28,722 自らを統治できぬ者に 国土を統治できようはずもない 302 00:19:28,889 --> 00:19:31,725 尚隆 無理強いするな 303 00:19:31,850 --> 00:19:35,062 景王が慶国をどうするかは 彼女の勝手だ 304 00:19:35,187 --> 00:19:38,482 責任を取る覚悟さえあれば 好きにしていいんだ 305 00:19:38,648 --> 00:19:40,484 これが 麒麟の慈悲だ 306 00:19:41,318 --> 00:19:44,404 だけど せめて 景麒だけは助けてやってほしい 307 00:19:44,529 --> 00:19:46,198 あのままじゃ かわいそうすぎる 308 00:19:46,907 --> 00:19:49,159 明日 答えを聞こう 309 00:19:49,451 --> 00:19:50,452 いきなりのことだ 310 00:19:51,912 --> 00:19:52,746 (陽子)はい 311 00:19:55,123 --> 00:19:56,917 私には分かりません 312 00:19:57,042 --> 00:20:00,462 中嶋さんなんて 王にふさわしくないんです 313 00:20:00,587 --> 00:20:02,798 私は違う 私だったら… 314 00:20:03,423 --> 00:20:06,343 そうだ みんな 勘違いしているんです 315 00:20:06,468 --> 00:20:08,762 景麒は 私をこちらに連れてきた 316 00:20:08,887 --> 00:20:11,056 中嶋さんは それに巻き込まれた 317 00:20:11,181 --> 00:20:14,059 だから 私と中嶋さんを 取り違えているんです 318 00:20:14,184 --> 00:20:16,228 だって 塙王(こうおう)は私を大事に… 319 00:20:16,353 --> 00:20:17,187 塙王? 320 00:20:17,854 --> 00:20:20,649 (杉本) 私は王にふさわしい そうでしょう 321 00:20:21,358 --> 00:20:23,777 私は あの世界に未練がない 322 00:20:24,111 --> 00:20:27,030 私は戦うことができる 私は… 323 00:20:27,155 --> 00:20:28,615 (落人)そうですか? 324 00:20:28,949 --> 00:20:30,158 私には あなたが― 325 00:20:30,283 --> 00:20:32,327 あなた自身の王であるように 見えない 326 00:20:33,036 --> 00:20:34,704 己を知っている者は― 327 00:20:34,830 --> 00:20:37,707 己が王にふさわしいなどとは 決して言わない 328 00:20:37,874 --> 00:20:38,750 (杉本)うっ 329 00:20:38,875 --> 00:20:42,754 ハァ ハァ… 330 00:20:44,798 --> 00:20:48,468 (楽俊) おいらには 陽子が どうして そんなに迷うのか分からない 331 00:20:48,593 --> 00:20:51,179 だって 景麒が殺されれば お前だって死ぬ 332 00:20:51,638 --> 00:20:53,932 国に帰っても いつまでもつか 333 00:20:54,057 --> 00:20:57,144 (陽子)分かっている それは分かった 334 00:20:57,519 --> 00:21:00,647 でも 自分の命を 守るためだとか― 335 00:21:00,772 --> 00:21:03,650 生き長らえるためだけの決断は したくない 336 00:21:03,775 --> 00:21:07,195 こちらに来て 何度 失っても おかしくない命だった 337 00:21:07,320 --> 00:21:08,738 そんなに惜しくはない 338 00:21:08,864 --> 00:21:12,075 だから 軽はずみな選択をしたくない 339 00:21:12,450 --> 00:21:14,452 楽俊は こちらの人間だから― 340 00:21:14,578 --> 00:21:17,247 王になるのが当たり前だと 思ってるんだろ 341 00:21:17,455 --> 00:21:18,665 でも違う 342 00:21:19,791 --> 00:21:23,170 朱衡さん 延王も延麒も 胎果なんですよね? 343 00:21:23,295 --> 00:21:24,129 (朱衡)はい 344 00:21:24,421 --> 00:21:27,966 なら 私の気持ちが 分かっておられるはずですよね 345 00:21:28,091 --> 00:21:29,467 帰りたいという気持ち 346 00:21:30,010 --> 00:21:34,055 (朱衡)恐らく 主上も台輔も ご自分からは申されますまい 347 00:21:34,181 --> 00:21:37,976 ですから 差し出がましいこととは 存じますが― 348 00:21:38,101 --> 00:21:39,978 申し上げたいことがございます 349 00:21:51,406 --> 00:21:54,784 (六太の父) 坊 ここにいろな すぐに戻る 350 00:21:54,910 --> 00:21:56,453 動くんじゃないぞ 351 00:21:56,786 --> 00:21:58,455 (六太)うん 動かない 352 00:22:04,628 --> 00:22:06,671 (六太)絶対 帰ったりしない 353 00:22:06,796 --> 00:22:09,216 戻って困らせたりしない 354 00:22:11,343 --> 00:22:13,637 (尚隆) おやじ! おやじはどこだ! 355 00:22:16,181 --> 00:22:18,767 あっ… おやじ… 356 00:22:24,230 --> 00:22:26,149 (老臣)若! 大殿は? 357 00:22:26,274 --> 00:22:28,151 駄目だ 間に合わんかった 358 00:22:29,027 --> 00:22:31,863 ああ 手遅れじゃったか 359 00:22:33,281 --> 00:22:36,368 では 今より 若が我らの あるじです 360 00:22:36,493 --> 00:22:37,327 ご下知を 361 00:22:40,956 --> 00:22:43,375 (尚隆)島の海城に逃げ込む (民たち)ああ… 362 00:22:43,959 --> 00:22:47,379 民を1人も見捨てるな! 舟は残らず使え! 363 00:22:47,504 --> 00:22:49,547 村上(むらかみ)にくれてやることはない! 364 00:22:49,673 --> 00:22:50,590 命もだ! 365 00:22:53,718 --> 00:22:57,514 (朱衡)都を焼いた戦火に 家を失った子がありました 366 00:22:58,014 --> 00:23:01,476 その十数年後 瀬戸内(せとうち)の小さな領地を― 367 00:23:01,977 --> 00:23:05,522 今にも失おうとしている男が いたのです 368 00:23:10,902 --> 00:23:15,907 ♪~ 369 00:24:39,824 --> 00:24:44,829 ~♪ 370 00:24:45,080 --> 00:24:46,706 (ナレーター) 六太は雁国の麒麟 371 00:24:46,831 --> 00:24:48,833 傍らの男を王に選んだ 372 00:24:49,000 --> 00:24:52,545 “国が欲しいか” 六太は この男にそう聞いた