1 00:00:02,023 --> 00:00:07,029 ♪~ 2 00:01:30,028 --> 00:01:35,033 ~♪ 3 00:01:43,875 --> 00:01:45,418 (楽俊(らくしゅん)) おいらの生まれた巧(こう)じゃ― 4 00:01:45,544 --> 00:01:49,381 山客(さんきゃく)や海客(かいきゃく)は 浮民(ふみん)以下の厳しい待遇だ 5 00:01:49,589 --> 00:01:53,051 (祥瓊(しょうけい)) へえ 私 会ったことないの 6 00:01:53,343 --> 00:01:56,805 (楽俊)山客や海客は 珍しいものを伝える 7 00:01:57,597 --> 00:02:01,560 紙 陶磁器 印刷技術 医術 8 00:02:01,893 --> 00:02:03,395 仏教もそうだ 9 00:02:03,520 --> 00:02:04,938 (祥瓊)そうなの? 10 00:02:05,397 --> 00:02:07,941 (楽俊)寺が最初に建ったのは芳(ほう)だ 11 00:02:08,400 --> 00:02:11,653 必王(ひつおう)の時代に 山客が来て 寺を建てた 12 00:02:11,987 --> 00:02:13,196 (祥瓊)必王って? 13 00:02:13,947 --> 00:02:18,160 芳の12か13代目の 王じゃなかったかな 14 00:02:19,119 --> 00:02:23,456 あなた なんで そんなことまで知っているの? 15 00:02:23,874 --> 00:02:26,501 今の景王(けいおう)だって 海客だからな 16 00:02:40,265 --> 00:02:43,727 妖魔が出るってのは ほんとらしい 17 00:02:46,855 --> 00:02:50,650 (楽俊の寝息) 18 00:02:56,072 --> 00:02:59,034 ほら 高岫山(こうしゅうざん)が見えてきたぞ 19 00:02:59,951 --> 00:03:02,495 あれを越えれば 雁(えん)の国だ 20 00:03:21,181 --> 00:03:22,015 (祥瓊)あ… 21 00:03:39,741 --> 00:03:41,618 (祥瓊)やっぱり おかしいわよ 22 00:03:41,743 --> 00:03:45,080 (楽俊)何がだよ? 無事に通れてよかったじゃねえか 23 00:03:45,830 --> 00:03:50,085 雁の門番たち あなたの旌券(りょけん)を見ただけで… 24 00:03:51,086 --> 00:03:53,171 私 旌券 持ってないのに― 25 00:03:53,672 --> 00:03:55,465 さあ どうぞって 26 00:03:56,091 --> 00:03:57,509 あなた 一体… 27 00:03:57,634 --> 00:04:00,512 (楽俊)まっ いろいろ事情が あるってことだ 28 00:04:00,637 --> 00:04:01,930 (祥瓊)でも 29 00:04:02,430 --> 00:04:03,848 はっ 30 00:04:07,143 --> 00:04:10,230 すごい これが雁なの 31 00:04:10,522 --> 00:04:13,817 (楽俊) 北方では 最も豊かな国だからな 32 00:04:14,192 --> 00:04:17,404 何が採れるの? 玉(ぎょく)とか石? 33 00:04:17,529 --> 00:04:20,490 いや めぼしい鉱山は何もねえ 34 00:04:20,740 --> 00:04:22,826 (楽俊)土地だけだ (祥瓊)えっ? 35 00:04:22,951 --> 00:04:26,288 小麦を作り 牛を飼う それで終わり 36 00:04:27,080 --> 00:04:32,002 でも 柳(りゅう)や私の国とは まるで違う 37 00:04:32,335 --> 00:04:34,963 そりゃ 主上の格の違いだな 38 00:04:35,088 --> 00:04:38,758 500年傾いたことがないってのは ものすごく大きな違いなんだよ 39 00:04:40,302 --> 00:04:41,636 でも… 40 00:04:43,430 --> 00:04:45,432 (楽俊) 玉座が空になることがなければ― 41 00:04:45,557 --> 00:04:47,058 天災が少ない 42 00:04:47,225 --> 00:04:50,353 農地も増え 穀物の蓄えができる 43 00:04:50,645 --> 00:04:55,400 治水も街の整備も 隅々まで ひとつの方針で貫かれている 44 00:04:55,734 --> 00:04:58,403 王が短命な国は かわいそうだ 45 00:04:58,528 --> 00:05:00,947 どんな立派な店や畑を持っても― 46 00:05:01,072 --> 00:05:03,408 洪水一発で流されちまったりする 47 00:05:04,534 --> 00:05:06,036 そうか 48 00:05:06,536 --> 00:05:08,330 芳も そうなるのね 49 00:05:08,705 --> 00:05:12,625 天災で穀物も取れなくなり みんな 飢えて 50 00:05:13,918 --> 00:05:16,171 王が いなくなったばかりに 51 00:05:17,005 --> 00:05:19,924 (楽俊)峯王(ほうおう) あんたのおやじさんの洌王(れつおう)は― 52 00:05:20,467 --> 00:05:22,969 厳しいので有名だったからな 53 00:05:23,511 --> 00:05:27,390 民を虐げる王は 長く続いたためしがねえ 54 00:05:27,640 --> 00:05:29,392 王に さんざん虐げられて― 55 00:05:29,934 --> 00:05:33,355 また 次の王が立つまで 天災に苦しめられる 56 00:05:33,897 --> 00:05:35,482 芳は かわいそうだな 57 00:05:35,607 --> 00:05:39,110 どの王だって 民を助けるために 一生懸命やっているわ 58 00:05:39,652 --> 00:05:43,031 無軌道な民には 刑罰だって必要なのよ 59 00:05:44,783 --> 00:05:45,950 父は… 60 00:05:47,410 --> 00:05:49,162 (祥瓊)父は賄賂を嫌い― 61 00:05:49,287 --> 00:05:52,499 民も官も 清廉潔白であることを望んだ 62 00:05:52,999 --> 00:05:56,127 夫役をサボることも 物を盗むことも― 63 00:05:56,252 --> 00:05:59,672 税をごまかすことも 決して許さなかった 64 00:06:00,131 --> 00:06:04,302 父は 芳を真っ白な 美しい国にしたかったのだ 65 00:06:07,555 --> 00:06:10,266 ある程度の厳しさも必要だろう 66 00:06:10,767 --> 00:06:14,104 けど 物事には 限度ってもんがあるからな 67 00:06:14,604 --> 00:06:18,775 王が倒れたってことは 行き過ぎだったってことだろうなあ 68 00:06:18,900 --> 00:06:22,445 芳の王が倒れたのは 天命が尽きたからじゃないわ 69 00:06:23,988 --> 00:06:27,158 さん奪者が王を弑逆(しいぎゃく)したからよ 70 00:06:28,076 --> 00:06:29,786 (月渓(げっけい)) 公主にも よく見ていただきたい 71 00:06:29,994 --> 00:06:31,329 (祥瓊)やめて! (月渓)むんっ! 72 00:06:33,248 --> 00:06:35,250 (楽俊)弑逆は大罪だ 73 00:06:35,375 --> 00:06:38,086 恵州侯(けいしゅうこう)が あえて それをしたってことは― 74 00:06:38,211 --> 00:06:40,505 王が国をどうしようもなく 傾ける前に― 75 00:06:40,630 --> 00:06:43,842 討たなければいけなかったって ことなんだろうよ 76 00:06:44,759 --> 00:06:47,262 そのほうが ましだと思えるほど 77 00:06:48,555 --> 00:06:49,931 確かに― 78 00:06:50,515 --> 00:06:53,393 誰もが弑逆者の月渓を褒めた 79 00:06:54,644 --> 00:06:56,688 (祥瓊)里家(りけ)に預けられた私は― 80 00:06:56,813 --> 00:06:59,858 次第に年を取っていく 自分の体と― 81 00:07:00,024 --> 00:07:04,946 私の正体を知って 何かにつけて つらく当たる閭胥(ちょうろう)を呪って過ごした 82 00:07:06,030 --> 00:07:07,907 やがて 私の正体がばれて― 83 00:07:08,533 --> 00:07:11,578 月渓は 私を助けざるをえなくなった 84 00:07:13,621 --> 00:07:15,665 私は恭国(きょうこく)に送られ― 85 00:07:15,790 --> 00:07:18,501 供王(きょうおう) 珠晶(しゅしょう)のはしためとなった 86 00:07:19,419 --> 00:07:21,796 誰もが 私を憎んでいた 87 00:07:22,255 --> 00:07:24,883 私には何の責任もないのに 88 00:07:26,551 --> 00:07:27,886 私の中で― 89 00:07:28,011 --> 00:07:31,973 私の失った全てのものを得た 景王への憎しみが― 90 00:07:32,098 --> 00:07:34,601 次第に育ちつつあった 91 00:07:36,561 --> 00:07:40,565 供王の御物(ぎょぶつ)を盗んだ私は 柳国へ逃れたが― 92 00:07:40,690 --> 00:07:43,067 すぐに捕縛されてしまった 93 00:07:43,443 --> 00:07:46,404 (祥瓊)何? 何なの? うっ 94 00:07:47,405 --> 00:07:48,615 (祥瓊)自由の身と引き換えに― 95 00:07:48,740 --> 00:07:52,076 全てを失った私を 助けてくれたのは― 96 00:07:52,327 --> 00:07:54,871 楽俊という半獣だった 97 00:08:00,835 --> 00:08:04,714 (楽俊) 公主の祥瓊より おいらのほうが はるかに芳に詳しい 98 00:08:04,839 --> 00:08:08,927 それって ぼろを着るより 恥ずかしいことだって分かるか? 99 00:08:11,763 --> 00:08:14,682 (祥瓊) 楽俊の言葉に反発しながら― 100 00:08:14,849 --> 00:08:18,770 その言葉が染み渡ってくるのを 私は感じていた 101 00:08:19,812 --> 00:08:22,899 傾きかけているという 柳の風景は― 102 00:08:23,107 --> 00:08:27,654 明日の いや 今の芳国の姿だった 103 00:08:29,030 --> 00:08:31,449 王がいない国は どうなるのか 104 00:08:31,658 --> 00:08:33,451 私は 知らなかった 105 00:08:34,244 --> 00:08:37,247 ただ分かっているふりを していただけだったのだ 106 00:08:38,373 --> 00:08:42,210 私 何も知らないのね 107 00:08:44,128 --> 00:08:48,383 恵州侯のなさりようは ひどく思えたかもしれねえが 108 00:08:48,841 --> 00:08:50,635 (祥瓊)分かってる (楽俊)ん? 109 00:08:52,554 --> 00:08:54,681 国がどんな状態か― 110 00:08:55,265 --> 00:08:57,350 私は ただ王宮で遊ぶだけで― 111 00:08:57,934 --> 00:08:59,852 知ろうともしなかった 112 00:09:00,603 --> 00:09:04,107 だから そのことに対する罰なの 113 00:09:04,857 --> 00:09:07,110 私は何も分かっていなかった 114 00:09:07,527 --> 00:09:10,530 だから 月渓は私の仙籍を奪って… 115 00:09:10,989 --> 00:09:13,741 そうしたら 私は 1人で生きていけやしないから― 116 00:09:13,866 --> 00:09:15,535 里家に預けた 117 00:09:17,954 --> 00:09:20,331 私は愚かだった 118 00:09:22,917 --> 00:09:25,086 あいつも そう言ってたな 119 00:09:25,587 --> 00:09:27,380 自分は愚かだ 120 00:09:28,006 --> 00:09:29,966 それで王になっていいのかって 121 00:09:30,091 --> 00:09:32,427 えっ? 誰のこと? 122 00:09:32,552 --> 00:09:34,929 あっ いや… 123 00:09:35,888 --> 00:09:39,809 楽俊 旌券を見せてもらってもいい? 124 00:09:40,018 --> 00:09:41,185 (楽俊)うーん 125 00:09:44,147 --> 00:09:48,234 この旌券 雁国の冢宰(ちょうさい)が裏書きしている 126 00:09:49,360 --> 00:09:50,778 どういうこと? 127 00:09:51,821 --> 00:09:54,198 冢宰には面識がねえ 128 00:09:54,532 --> 00:09:57,327 ただ 騶虞(すうぐ)を貸してくれた人が… 129 00:09:58,786 --> 00:10:03,207 おいら たまたま 景王と知り合いなんだ それで 130 00:10:03,333 --> 00:10:06,085 えっ なぜ? 131 00:10:06,753 --> 00:10:10,006 おいらは ご覧のとおりの半獣だけどな 132 00:10:10,131 --> 00:10:12,550 あいつは 人と人との間には― 133 00:10:12,675 --> 00:10:16,095 立ってる場所の距離しか 隔たりはねえんだって言った 134 00:10:16,220 --> 00:10:17,513 だから… 135 00:10:18,222 --> 00:10:21,059 うん おいらは あいつの友達なんだ 136 00:10:21,934 --> 00:10:24,228 行き倒れているのを拾ったんだ 137 00:10:24,479 --> 00:10:26,773 (楽俊) それで 雁まで連れていった 138 00:10:27,231 --> 00:10:29,859 (祥瓊)行き倒れる? 景王が? 139 00:10:29,984 --> 00:10:31,819 (楽俊)海客だからな 140 00:10:31,944 --> 00:10:33,738 巧の錯王(さくおう)は海客には― 141 00:10:33,863 --> 00:10:36,074 厳しいお方だったからな 142 00:10:37,533 --> 00:10:39,494 そんな苦労を… 143 00:10:40,620 --> 00:10:43,039 最初は あいつを送り届ければ― 144 00:10:43,164 --> 00:10:46,250 そのご褒美に 仕事でも もらえるかもって 145 00:10:47,335 --> 00:10:49,253 だけど あいつといるうちに― 146 00:10:49,379 --> 00:10:53,091 それって どうも 卑屈なんじゃねえかと思ってさ 147 00:10:55,551 --> 00:10:58,346 でも ご褒美をくれるってんで― 148 00:10:58,471 --> 00:11:01,391 するっと 大学に入りてえって 言っちまった 149 00:11:05,520 --> 00:11:07,730 おいらが会った頃の景王と― 150 00:11:07,855 --> 00:11:10,066 牢の中のあんたが同じに見えた 151 00:11:10,191 --> 00:11:11,442 私が? 152 00:11:11,901 --> 00:11:15,905 (楽俊)苦しくて 苦しくて 辛抱できないって顔してた 153 00:11:19,200 --> 00:11:23,079 それで 私も拾われたのね 154 00:11:24,622 --> 00:11:27,250 そういう巡り合わせなんだって 言ったろ 155 00:11:29,669 --> 00:11:31,462 景王は どんな人? 156 00:11:31,796 --> 00:11:34,715 (楽俊) 年は 祥瓊と同じぐらいだな 157 00:11:35,091 --> 00:11:37,844 けど 祥瓊のほうが女らしい 158 00:11:38,177 --> 00:11:41,347 あいつ ぶっきらぼうなところが あるからな 159 00:11:42,598 --> 00:11:43,641 便りはあるの? 160 00:11:45,393 --> 00:11:47,019 (楽俊)それが― 161 00:11:47,687 --> 00:11:50,273 あいつ 今 行方不明なんだ 162 00:11:50,398 --> 00:11:51,607 えっ 163 00:11:52,817 --> 00:11:57,363 (楽俊)陽子(ようこ)… 陽子ってのは 蓬莱(ほうらい)の名前なんだけどな 164 00:11:57,488 --> 00:12:01,701 あいつの即位式は 去年の終わりに大々的に行われた 165 00:12:02,326 --> 00:12:04,662 でも やっと 王になったっていうのに― 166 00:12:04,787 --> 00:12:06,747 あいつの顔はすぐれねえ 167 00:12:07,123 --> 00:12:09,876 あいつには こちらのことが 何ひとつ分からない 168 00:12:10,918 --> 00:12:14,213 加えて 慶(けい)は 前の王も短命だったから― 169 00:12:14,338 --> 00:12:17,258 もう何年も 官吏が国を動かしてきたんだ 170 00:12:17,884 --> 00:12:22,180 それに 麦州侯(ばくしゅうこう)の浩瀚(こうかん)という人物の 処遇を巡って― 171 00:12:22,305 --> 00:12:24,765 官吏たちは対立していたらしい 172 00:12:25,725 --> 00:12:29,103 浩瀚に謀反の兆しが あるという うわさがあって― 173 00:12:29,228 --> 00:12:31,481 陽子は すぐに処分を決めずに― 174 00:12:31,606 --> 00:12:35,151 とりあえず 浩瀚を呼びつけて 話を聞くことにした 175 00:12:35,860 --> 00:12:37,153 しかし― 176 00:12:37,278 --> 00:12:40,364 陽子が太師の屋敷に 招かれていた夜 177 00:12:48,456 --> 00:12:50,833 (中将軍) 冬器(とうき)は仙を斬ることができる 178 00:12:51,125 --> 00:12:53,169 三公が太宰(たいさい)と手を結び― 179 00:12:53,294 --> 00:12:57,131 浩瀚と共に弑逆を たくらんだことは明白である 180 00:12:57,340 --> 00:12:59,383 (鶯嬌(ういきょう))おわび申し上げます (陽子)鶯嬌 181 00:12:59,509 --> 00:13:00,760 (中将軍)放て! 182 00:13:07,266 --> 00:13:09,810 (楽俊)陽子は あと一歩で 殺されるところまで― 183 00:13:09,936 --> 00:13:11,938 追い込まれていたというんだ 184 00:13:12,480 --> 00:13:15,858 そして 陽子は王宮から姿を消した 185 00:13:15,983 --> 00:13:17,193 (祥瓊)消えた? 186 00:13:17,610 --> 00:13:19,987 玉座を放り出したというの? 187 00:13:20,363 --> 00:13:22,615 そう見えるだろうなあ 188 00:13:22,990 --> 00:13:25,743 雁に行くと官吏には 言っているみたいだが― 189 00:13:25,868 --> 00:13:28,829 実際には 慶のどこかに とどまっているらしい 190 00:13:29,038 --> 00:13:30,540 そんな 191 00:13:31,499 --> 00:13:35,503 王がいなくなったら また国が荒れることになる 192 00:13:35,836 --> 00:13:38,756 ああ だが おいらには― 193 00:13:38,881 --> 00:13:41,384 陽子の考えていることが 分かるような気がする 194 00:13:41,509 --> 00:13:42,593 えっ? 195 00:13:42,843 --> 00:13:44,428 あいつは 何も知らねえ 196 00:13:45,513 --> 00:13:46,973 (楽俊) でも 知らねえからって― 197 00:13:47,098 --> 00:13:49,225 官吏の言うことばかり 聞いていたら― 198 00:13:49,350 --> 00:13:52,353 そいつらの顔色ばっかり うかがっていることになる 199 00:13:52,979 --> 00:13:57,275 官吏は 自分の都合のいいように 国を動かそうとするからな 200 00:13:57,942 --> 00:14:00,736 あいつは 自分で何も決められねえで― 201 00:14:01,362 --> 00:14:05,491 自分が命を狙われても なんで そうなるのかも分からねえ 202 00:14:06,576 --> 00:14:09,161 きっと それが嫌だったんだ 203 00:14:10,246 --> 00:14:11,497 じゃあ… 204 00:14:11,622 --> 00:14:14,625 多分 あいつは 今 必死に― 205 00:14:15,293 --> 00:14:19,797 ここで この世界で 生きているんだと思う 206 00:14:21,007 --> 00:14:22,884 この世界を知って― 207 00:14:23,551 --> 00:14:25,845 自分のするべきことを知って― 208 00:14:26,762 --> 00:14:29,140 もう一度 玉座に戻ってくる 209 00:14:30,600 --> 00:14:32,226 分からないわ 210 00:14:33,603 --> 00:14:35,688 つらくて逃げ出すかも 211 00:14:36,522 --> 00:14:38,524 (楽俊)おいら あいつを信じてる 212 00:14:38,649 --> 00:14:39,609 えっ? 213 00:14:50,161 --> 00:14:53,039 (羊の鳴き声) 214 00:14:53,164 --> 00:14:56,375 (祥瓊) 私 本当は慶へ行きたかったの 215 00:14:56,500 --> 00:14:57,752 (楽俊)へえ 216 00:14:59,587 --> 00:15:04,133 (祥瓊) 慶へ行って 下官になって 景王に近づいてみたかった 217 00:15:04,967 --> 00:15:07,219 うまく取り入ってやろうと思ってた 218 00:15:08,095 --> 00:15:11,807 あわよくば 景王から 玉座をさん奪してやろうなんて 219 00:15:12,058 --> 00:15:13,267 ええっ! 220 00:15:14,977 --> 00:15:18,272 半分は きっと本気だった (楽俊のせきこみ) 221 00:15:19,690 --> 00:15:20,858 怒る? 222 00:15:21,567 --> 00:15:25,112 怒りゃしねえけど それが本当になってたら― 223 00:15:25,237 --> 00:15:28,074 おいら あいつに 顔向けできなかったなあ 224 00:15:29,116 --> 00:15:32,453 だから 戴(たい)に行って 難民として慶に来れば― 225 00:15:32,578 --> 00:15:35,998 土地と戸籍を くれる所があるって聞いて 226 00:15:37,833 --> 00:15:41,796 私 芳国の公主だった 227 00:15:43,422 --> 00:15:48,135 私 公主の自分に とてもこだわっていた 228 00:15:49,261 --> 00:15:51,389 (祥瓊)王宮に住んで ぜいたくをしている自分を― 229 00:15:51,514 --> 00:15:53,099 なくしたくなかった 230 00:15:54,058 --> 00:15:58,980 畑で働くのも 粗末な服を着るのも とても恥ずかしかった 231 00:16:00,940 --> 00:16:04,777 景王が同じ年頃の 女の子だって聞いて― 232 00:16:05,152 --> 00:16:06,779 ねたましかった 233 00:16:08,239 --> 00:16:09,532 そうか 234 00:16:11,325 --> 00:16:13,119 (祥瓊)正直 言うと― 235 00:16:13,411 --> 00:16:15,121 貧しい宿に泊まったり― 236 00:16:15,246 --> 00:16:18,082 こんな服を着るのは 今でも 抵抗があるわ 237 00:16:18,833 --> 00:16:22,753 でも そうしなければ いけないことは分かった 238 00:16:23,838 --> 00:16:28,968 芳の公主は 知っておくべきことを 知らなかったから罰せられた 239 00:16:30,344 --> 00:16:33,222 それはもう 悔やんでも始まらない 240 00:16:33,889 --> 00:16:37,059 けど 祥瓊の人生は 始まったばかりだろ 241 00:16:40,521 --> 00:16:44,275 王なら 一度 失敗すれば やり直しはきかねえ 242 00:16:44,734 --> 00:16:48,154 でも 今の祥瓊は ただの民だ 243 00:16:48,821 --> 00:16:51,240 やり直しのきかねえことなんかねえ 244 00:16:55,036 --> 00:16:59,206 私 やっぱり 慶に行ってみたい 245 00:17:00,458 --> 00:17:03,044 自分を愚かだって言った人が― 246 00:17:03,461 --> 00:17:06,338 どんな国をつくるか 見てみたい 247 00:17:07,506 --> 00:17:08,466 うっ? 248 00:17:09,425 --> 00:17:11,427 ら… 楽俊? 249 00:17:11,761 --> 00:17:13,888 ま… 待ってよ 250 00:17:14,764 --> 00:17:17,308 怒ったの? 楽俊 251 00:17:17,433 --> 00:17:18,809 (たまのうなり声) 252 00:17:19,101 --> 00:17:20,144 ああっ! 253 00:17:21,896 --> 00:17:24,607 悪(わり)い 悪い 驚かしちまったか 254 00:17:26,025 --> 00:17:28,110 ここで待たせておいたんだ 255 00:17:28,235 --> 00:17:30,279 関弓(かんきゅう)に帰るつもりだったから 256 00:17:30,905 --> 00:17:33,449 こいつで 慶の国境まで送ってやるよ 257 00:17:33,574 --> 00:17:34,784 えっ 258 00:17:36,786 --> 00:17:39,246 私が行って 心配じゃない? 259 00:17:39,955 --> 00:17:43,459 行くといい 慶を見てこいよ 260 00:17:43,793 --> 00:17:45,544 もし あいつに会ったら― 261 00:17:45,669 --> 00:17:47,463 どんな あんばいだったか 聞かせてくれ 262 00:17:49,256 --> 00:17:51,383 今 気がついたけど― 263 00:17:52,051 --> 00:17:53,969 楽俊って温かそう 264 00:17:54,261 --> 00:17:55,888 今はな 265 00:17:56,013 --> 00:17:59,517 けど 夏はバテるんだ これが 266 00:17:59,934 --> 00:18:01,727 ウフフッ… 267 00:18:06,065 --> 00:18:12,071 (祥瓊の歌声) 268 00:18:16,242 --> 00:18:17,868 人形… 269 00:18:26,418 --> 00:18:27,628 (銃の金属音) 270 00:18:28,129 --> 00:18:32,383 (浅野(あさの))あいつは 明治の生まれだと言ってた 271 00:18:33,175 --> 00:18:35,845 本当か どうかは知らない 272 00:18:36,679 --> 00:18:39,723 名前は 大木(おおき) 鈴(すず) 273 00:18:45,729 --> 00:18:48,440 (鈴)気がついたら 虚海(きょかい)に浮かんでいた 274 00:18:49,984 --> 00:18:52,194 運よく 助け上げられたんだけど― 275 00:18:52,319 --> 00:18:54,405 それから 4年間が地獄だった 276 00:18:55,322 --> 00:18:58,617 あなたも分かるでしょ 言葉が通じないつらさが 277 00:18:59,910 --> 00:19:03,789 だから 仙人になれば 言葉がしゃべれるんだと知って― 278 00:19:03,914 --> 00:19:07,501 梨耀(りよう)様に どうしても 仙人にしてくださいと頼み込んだの 279 00:19:08,544 --> 00:19:11,130 (浅野) だが その梨耀という仙人は― 280 00:19:11,714 --> 00:19:13,424 ひどいヤツで― 281 00:19:13,549 --> 00:19:17,052 鈴を下女にして 100年近い間― 282 00:19:17,261 --> 00:19:21,056 ずっと いたぶり続けたそうだ 283 00:19:22,266 --> 00:19:24,226 (鈴)ただ ただ 悲しかった 284 00:19:25,477 --> 00:19:28,856 どうして こんな目に 遭わなくちゃいけないのって 285 00:19:29,815 --> 00:19:31,066 だから… 286 00:19:32,776 --> 00:19:37,489 (浅野)鈴は 景王が 自分と同年代の海客だと知って― 287 00:19:37,615 --> 00:19:41,035 景王に会えば きっと 助けてもらえると思ったんだとか 288 00:19:42,411 --> 00:19:44,413 景王には会えなかったが― 289 00:19:44,872 --> 00:19:47,958 鈴は なんとか 采王(さいおう)の所まで 逃げることができた 290 00:19:49,084 --> 00:19:52,338 だが 采王も梨耀と同じで― 291 00:19:52,463 --> 00:19:55,049 鈴に つらく当たったらしい 292 00:19:56,842 --> 00:19:59,762 (鈴)私は もっと大人に なったほうがいいとか言って― 293 00:19:59,887 --> 00:20:02,139 王宮に置いてはくれなかった 294 00:20:02,640 --> 00:20:03,974 結局 あの人たちも― 295 00:20:04,099 --> 00:20:07,144 私の苦しみなんか 分かってはくれなかった 296 00:20:07,519 --> 00:20:10,898 だから 景王に会うために 旅に出たの 297 00:20:12,066 --> 00:20:16,195 (浅野)鈴は 出会うべくして 俺と出会った 298 00:20:16,695 --> 00:20:19,073 俺を次のミッションに 導くために― 299 00:20:19,198 --> 00:20:21,867 鈴という道案内が 必要だったんだろう 300 00:20:21,992 --> 00:20:24,912 ハハハ… 俺には すぐに分かった 301 00:20:25,079 --> 00:20:27,581 鈴は 俺と同じなのだと 302 00:20:28,916 --> 00:20:31,126 俺は いろいろな話を聞いた 303 00:20:31,502 --> 00:20:33,212 そして 悟った 304 00:20:33,629 --> 00:20:36,423 この世界は とてもおかしいと 305 00:20:37,299 --> 00:20:41,804 少なくとも 俺や鈴にとって この世界は幸せじゃない 306 00:20:42,263 --> 00:20:45,349 世界は まるで 俺たちを憎んでいるようだ 307 00:20:46,558 --> 00:20:48,352 そうじゃないか 308 00:20:49,228 --> 00:20:51,647 なぜ こんな理不尽なことがある 309 00:20:52,439 --> 00:20:54,566 王だと? 妖魔だと? 310 00:20:54,692 --> 00:20:58,779 そんなもの 俺たちには 何の関係もない話だ 311 00:20:59,822 --> 00:21:04,493 (浅野)俺たちは ただ幸せに 毎日 生きていたかっただけだ 312 00:21:04,868 --> 00:21:05,744 それなのに― 313 00:21:06,662 --> 00:21:07,913 どうして こんな目に遭う 314 00:21:08,497 --> 00:21:10,958 (浅野の悲鳴) 315 00:21:11,625 --> 00:21:15,379 (浅野)俺の女は この世界が 自分の世界だと言っていた 316 00:21:16,797 --> 00:21:18,841 だが 間違いだ 317 00:21:19,216 --> 00:21:21,844 こんな世界は間違いなんだ 318 00:21:26,140 --> 00:21:27,141 (衝突音) 319 00:21:29,893 --> 00:21:31,603 (浅野)あの子供も死んだ 320 00:21:33,522 --> 00:21:36,817 あいつは 俺に向かって 放たれた刺客のはずだった 321 00:21:36,942 --> 00:21:39,945 それなのに あいつは消されたんだ 322 00:21:43,949 --> 00:21:46,243 (昇紘(しょうこう))面白い話だな 323 00:21:47,161 --> 00:21:49,204 私も思っていた 324 00:21:49,330 --> 00:21:54,335 なぜ 麒麟(きりん)が選んだ者を 王に頂かなければならないのか 325 00:21:54,460 --> 00:21:57,713 いや 王がいなければならないのか 326 00:21:58,172 --> 00:22:01,258 王がいない世界が 荒れるというなら― 327 00:22:01,383 --> 00:22:05,262 この世界は もともと 荒れ果てているものではないのか 328 00:22:06,472 --> 00:22:09,183 この世界は間違っている 329 00:22:09,308 --> 00:22:13,729 ならば この世界の摂理に 全て逆らってやろう 330 00:22:14,605 --> 00:22:19,109 天が 私を罰するというなら 罰するがいい 331 00:22:19,818 --> 00:22:21,904 だが 罰せられるまでは― 332 00:22:22,029 --> 00:22:24,448 私は 好きに生きるのだ 333 00:22:25,365 --> 00:22:28,118 (浅野)あ… あんたは なぜ 334 00:22:29,203 --> 00:22:31,705 (昇紘)私に身を任せてみろ 335 00:22:34,249 --> 00:22:38,170 俺は あんたを殺そうとしたのに 336 00:22:39,379 --> 00:22:42,341 (昇紘) 天が私を殺せるかどうか― 337 00:22:42,466 --> 00:22:44,718 世界が間違っているのか― 338 00:22:44,843 --> 00:22:47,888 私たちが間違っているのか 339 00:22:49,348 --> 00:22:52,017 (昇紘) 確かめてみたくはないか? 340 00:22:58,482 --> 00:23:00,359 ならば ついてこい 341 00:23:01,610 --> 00:23:05,614 止水郷長(しすいごうちょう) 昇紘に 342 00:23:11,036 --> 00:23:16,041 ♪~ 343 00:24:39,958 --> 00:24:44,963 ~♪ 344 00:24:45,547 --> 00:24:49,426 (ナレーター)鈴… 妙な名前だ あまり こちらふうではない 345 00:24:49,551 --> 00:24:52,596 むしろ… しまったと陽子は唇をかむ