1 00:00:01,746 --> 00:00:06,752 ♪~ 2 00:01:29,751 --> 00:01:34,756 ~♪ 3 00:01:49,521 --> 00:01:53,525 (陽子(ようこ))確かに 斡由(あつゆ)の言には 理があるように思えます 4 00:01:53,733 --> 00:01:55,861 (楽俊(らくしゅん))おいらも 講談で聞いた話とは― 5 00:01:56,236 --> 00:01:58,405 全く別人のような 6 00:01:59,155 --> 00:02:03,243 (尚隆(しょうりゅう))民のうわさ話とは そういうものなのかもしれんな 7 00:02:03,577 --> 00:02:08,707 しかし それが延王(えんおう)のおっしゃった “もう1人の俺”と どういう… 8 00:02:08,957 --> 00:02:12,210 まあ そう せくことはないだろう 9 00:02:12,335 --> 00:02:13,169 陽子 10 00:02:13,503 --> 00:02:15,380 あっ はい 11 00:02:15,964 --> 00:02:18,466 斡由の父親は ふぬけでな 12 00:02:18,675 --> 00:02:21,636 梟王(きょうおう)に加担して民を虐げていた 13 00:02:21,761 --> 00:02:25,098 そして 斡由は その父親を放逐して― 14 00:02:25,223 --> 00:02:28,268 自ら 元州(げんしゅう)を束ねることを選んだ 15 00:02:29,477 --> 00:02:33,982 梟王を戦乱や天災と 同種の災厄だったと考えると― 16 00:02:34,900 --> 00:02:38,278 斡由は災厄を取り除いたともいえる 17 00:02:43,366 --> 00:02:45,327 (斡由) 漉水(ろくすい)でさえ このありさまなら― 18 00:02:45,452 --> 00:02:47,787 他の川も推して知るべし 19 00:02:47,912 --> 00:02:50,165 そうは思われませんか? 20 00:02:57,339 --> 00:02:59,299 (六太(ろくた))一国は広い 21 00:02:59,549 --> 00:03:02,469 一朝一夕に 国は立ち直りはしないんだ 22 00:03:03,011 --> 00:03:06,389 聞けば 王は しばしば 朝議をご欠席になり― 23 00:03:06,514 --> 00:03:09,643 官は王をお捜しするのに躍起とか 24 00:03:10,810 --> 00:03:14,731 (斡由)州の自治を 侯の権を 返していただきたい 25 00:03:14,856 --> 00:03:18,360 そのうえで どれほどにも お遊びになればいい 26 00:03:18,860 --> 00:03:21,363 それでは 国は成り立たない 27 00:03:21,613 --> 00:03:25,033 諸侯が おのおのの思惑で 勝手なことを始めれば― 28 00:03:25,158 --> 00:03:27,952 治水ひとつとっても 上流だけが潤って― 29 00:03:28,161 --> 00:03:30,538 下流が枯れることになりかねない 30 00:03:30,664 --> 00:03:34,125 では 全権を委ねる官を 置かれるといい 31 00:03:34,250 --> 00:03:36,920 それに王を代行させればよろしい 32 00:03:37,545 --> 00:03:41,508 (驪媚(りび))台輔(たいほ) そのかん夫の言葉に 耳をお貸しになってはなりません 33 00:03:42,050 --> 00:03:44,636 (驪媚)今 これが言ったことは 罪深きこと 34 00:03:44,803 --> 00:03:47,097 この世は 天帝がおつくりになり― 35 00:03:47,263 --> 00:03:48,974 万事をお定めになりました 36 00:03:49,432 --> 00:03:53,186 民意の具現たる麒麟(きりん)に 王を選ばせることも 37 00:03:53,311 --> 00:03:55,105 このことわりに 逆らうということは― 38 00:03:55,230 --> 00:03:58,441 世の成り立ちを否定することに ほかなりません 39 00:03:58,984 --> 00:04:02,195 (斡由) 梟王を選んだのもまた 麒麟 40 00:04:02,654 --> 00:04:04,990 牧伯(ぼくはく)は それをお忘れではないか? 41 00:04:05,115 --> 00:04:05,949 それは… 42 00:04:06,866 --> 00:04:09,411 天帝なるお方がおられるのなら― 43 00:04:09,536 --> 00:04:11,830 連れてきては もらえますまいか 44 00:04:12,288 --> 00:04:14,749 私は はっきりと申し上げる 45 00:04:14,958 --> 00:04:17,002 天帝なぞ おらんのだ 46 00:04:17,127 --> 00:04:19,671 いたとしても そんなもの必要ない! 47 00:04:19,921 --> 00:04:20,880 なっ… 48 00:04:21,006 --> 00:04:22,340 (六太)お前は― 49 00:04:22,757 --> 00:04:25,593 麒麟の選んだ者を 玉座に据えることが― 50 00:04:25,719 --> 00:04:27,721 そもそも間違いだというんだな 51 00:04:28,555 --> 00:04:31,349 台輔には 現王が間違いなく― 52 00:04:31,474 --> 00:04:34,185 最善の王だという確信が ありましょうか? 53 00:04:34,436 --> 00:04:35,687 (六太)ん… 54 00:04:35,812 --> 00:04:36,646 ないな 55 00:04:37,022 --> 00:04:37,856 台輔! 56 00:04:38,648 --> 00:04:41,317 確かに 尚隆を見て 王だと思った 57 00:04:41,651 --> 00:04:42,485 ならば… 58 00:04:42,777 --> 00:04:44,946 (六太)これが雁(えん)を滅ぼす王だと 59 00:04:45,280 --> 00:04:46,156 (驪媚)おっ… 60 00:04:47,532 --> 00:04:50,243 (六太)王の上に 上帝をつくれということなら― 61 00:04:50,368 --> 00:04:51,828 俺は やめてくれと言う 62 00:04:52,912 --> 00:04:55,540 王の全権を取り上げてしまえと いうなら― 63 00:04:55,665 --> 00:04:57,792 協力したかもしれないが 64 00:04:58,209 --> 00:05:01,755 民のあるじは民自身だけで いいんじゃないのか? 65 00:05:02,255 --> 00:05:05,258 上に権を置けば 権は民を虐げる 66 00:05:06,634 --> 00:05:08,970 ご理解いただけず 残念です 67 00:05:09,345 --> 00:05:12,265 (六太)ハァ… 俺もだよ 斡由 68 00:05:15,185 --> 00:05:18,605 (成笙(せいしょう))駁(ばく) 更夜(こうや) 元州 夏官 射士 69 00:05:19,022 --> 00:05:21,066 (朱衡(しゅこう))やはり 元州か 70 00:05:21,191 --> 00:05:22,567 (帷湍(いたん))元州師の数は? 71 00:05:23,193 --> 00:05:27,030 (成笙) 1軍 ただし 黒備左軍 1万2,500 72 00:05:27,155 --> 00:05:28,323 (帷湍)やっかいだな 73 00:05:28,448 --> 00:05:29,783 (尚隆)はったりだ 74 00:05:29,908 --> 00:05:32,118 かろうじて 黄備 7,500 75 00:05:32,660 --> 00:05:36,539 民を懲役して 1万というところだと思うがな 76 00:05:36,664 --> 00:05:38,458 黒備左軍は あり得ない 77 00:05:38,958 --> 00:05:41,836 (帷湍)間違いなく元州だという 証しが欲しい 78 00:05:41,961 --> 00:05:44,839 (朱衡)しかし 台輔に 万一のことがあったら 79 00:05:46,216 --> 00:05:47,926 (成笙)王師の準備を進言する 80 00:05:48,051 --> 00:05:49,177 (長椅子がきしむ音) (朱衡)あっ 81 00:05:51,930 --> 00:05:53,264 どちらへ? 82 00:05:53,389 --> 00:05:55,725 (尚隆) 俺は必要ないようだから寝る 83 00:05:56,559 --> 00:05:59,771 (尚隆)そうだ 勅命を出しておけ 84 00:05:59,896 --> 00:06:01,731 六官三公を罷免(ひめん)する 85 00:06:02,357 --> 00:06:04,359 何を考えているんだ お前は 86 00:06:04,776 --> 00:06:06,778 連中の顔は見飽きた 87 00:06:06,903 --> 00:06:11,074 成笙 冢宰(ちょうさい)に伝えて 明日 朝議を招集しろ 88 00:06:11,574 --> 00:06:12,534 正気か? 89 00:06:13,076 --> 00:06:14,702 俺が王なんだろ? 90 00:06:15,411 --> 00:06:17,705 俺の勝手にさせてもらう 91 00:06:18,581 --> 00:06:20,416 (成笙・朱衡)あ… あ… (帷湍のせきばらい) 92 00:06:20,792 --> 00:06:22,168 (毛旋(もうせん))主上! 93 00:06:23,670 --> 00:06:25,505 少し散歩に出るだけだ 94 00:06:25,922 --> 00:06:27,382 (毛旋)そうそう いつも― 95 00:06:27,507 --> 00:06:30,593 行方をくらまされたなんて 言い訳を続けていたら― 96 00:06:30,927 --> 00:06:32,512 左遷されてしまう 97 00:06:32,637 --> 00:06:34,264 ハッハッハッ… 98 00:06:34,389 --> 00:06:37,016 その時には 何とでもしてやろうよ 99 00:06:38,351 --> 00:06:41,604 (毛旋)主上! 主上ー! 100 00:06:46,818 --> 00:06:49,404 (更夜)六太は王が嫌いなのか? 101 00:06:50,572 --> 00:06:52,699 俺が なんとかしてあげるよ 102 00:06:53,032 --> 00:06:54,617 王なんか いなければいい? 103 00:06:55,159 --> 00:06:57,787 尚隆が嫌いなんじゃなくて― 104 00:06:57,912 --> 00:07:00,248 王とか将軍とか大名とか― 105 00:07:00,373 --> 00:07:02,625 そういうのが嫌いなだけ 106 00:07:02,834 --> 00:07:04,586 あいつら ろくなことしねえもん 107 00:07:05,211 --> 00:07:08,047 人は そういう生き物だと思う 108 00:07:08,172 --> 00:07:09,757 群れないと生きていけない 109 00:07:10,633 --> 00:07:14,929 どうせ 群れるなら 強い長(おさ)がいる強い群れに 110 00:07:15,471 --> 00:07:17,473 更夜も 強い長が欲しいか? 111 00:07:18,183 --> 00:07:20,602 いや 俺は人じゃないから 112 00:07:20,727 --> 00:07:23,438 妖魔の子 妖魔は群れない 113 00:07:23,980 --> 00:07:26,399 だったら なぜ 斡由に仕える? 114 00:07:26,774 --> 00:07:28,276 そうだな… 115 00:07:28,568 --> 00:07:29,986 違うな 116 00:07:30,153 --> 00:07:32,739 俺は人だから 群れに入りたいんだ 117 00:07:32,864 --> 00:07:35,408 でも 入ることができなかった 118 00:07:36,242 --> 00:07:38,828 (更夜)俺には 時々 六太に会ったことが― 119 00:07:38,953 --> 00:07:41,789 夢なのじゃないかと 思えることがあった 120 00:07:42,415 --> 00:07:45,460 あんなふうに ろくたにも俺自身にもおびえず― 121 00:07:45,960 --> 00:07:51,049 親しげに話をしてくれる人なんて 他に誰もいなかったから 122 00:07:52,008 --> 00:07:54,552 (近従たち)そっちは? こっちじゃないぞ 123 00:07:54,677 --> 00:07:56,888 (斡由)子供 出てこい (更夜)あっ 124 00:08:04,771 --> 00:08:06,105 うっ 125 00:08:07,899 --> 00:08:09,692 おびえているようだ やめよ 126 00:08:14,447 --> 00:08:18,076 来い 何もしない お前にも その妖魔にもだ 127 00:08:25,291 --> 00:08:26,709 (更夜)あっ… 128 00:08:27,001 --> 00:08:28,253 触られるのは嫌か 129 00:08:31,839 --> 00:08:34,175 いい 嫌がることはすまいよ 130 00:08:37,637 --> 00:08:42,308 しかし 近隣に天犬(てんけん)を連れた 人妖(にんよう)が出ると聞いたが― 131 00:08:43,184 --> 00:08:45,520 まさか 本当に 人の子だとはな 132 00:08:46,688 --> 00:08:49,482 お前 名はないのか? どこに住んでいる? 133 00:08:51,693 --> 00:08:52,944 更夜… 134 00:08:53,152 --> 00:08:57,824 更夜か お前は私の言葉を 理解しておるんだな 135 00:08:58,199 --> 00:09:00,034 (斡由)利口な子だ (更夜)あ… 136 00:09:00,159 --> 00:09:03,955 あっ すまぬ 更夜は嫌いだったのだな 137 00:09:04,080 --> 00:09:04,914 あっ 138 00:09:09,002 --> 00:09:10,295 フッ 139 00:09:13,256 --> 00:09:14,549 どうした ケガか? 140 00:09:15,675 --> 00:09:18,511 うんでいるな これは手当てをさせたほうがいい 141 00:09:20,346 --> 00:09:21,973 誰か 薬を持ってこい 142 00:09:22,348 --> 00:09:24,475 それから医者の手配もしておけ 143 00:09:24,600 --> 00:09:25,768 (近従)ははっ 144 00:09:27,270 --> 00:09:30,982 私は斡由という 更夜 私の住まいに来い 145 00:09:31,691 --> 00:09:33,943 ろくたも 一緒? 146 00:09:34,819 --> 00:09:35,653 もちろんだ 147 00:09:37,113 --> 00:09:38,114 あっ 148 00:09:39,490 --> 00:09:42,869 (更夜)斡由は 俺とろくたに 居場所を与えてくれたんだ 149 00:09:43,703 --> 00:09:47,707 そうか 更夜にとって 斡由は恩人なんだな 150 00:09:47,832 --> 00:09:49,000 (更夜)うん 151 00:09:49,292 --> 00:09:52,337 でも 戦うのだけは避けたい 152 00:09:52,670 --> 00:09:53,504 逃げれば? 153 00:09:54,213 --> 00:09:55,465 それはできない 154 00:09:55,882 --> 00:09:58,426 どうして? 王は嫌いなんだろう? 155 00:09:59,761 --> 00:10:03,097 (六太) 更夜 お前 蓬莱(ほうらい)を探してたよな 156 00:10:03,556 --> 00:10:06,059 俺 蓬莱で生まれたんだ 157 00:10:06,351 --> 00:10:09,187 (更夜)へえ (六太)覚えてない? 158 00:10:09,312 --> 00:10:11,022 蓬莱って どんなとこ? 159 00:10:11,439 --> 00:10:13,733 戦争ばっかりやってたな… 160 00:10:14,400 --> 00:10:16,694 (六太) 実は 俺も山に捨てられたんだ 161 00:10:16,819 --> 00:10:17,779 はっ 162 00:10:17,904 --> 00:10:19,739 (更夜)六太も? (六太)ああ 163 00:10:23,076 --> 00:10:25,661 (六太)やっぱり お前と同じで 置き去りにされて 164 00:10:29,665 --> 00:10:32,960 死にそうになっていたところに 迎えが来たんだ 165 00:10:33,086 --> 00:10:34,212 蓬山(ほうざん)から 166 00:10:41,636 --> 00:10:44,597 それで 王を選べって言われた 167 00:10:44,806 --> 00:10:46,641 冗談じゃないと思ったな 168 00:10:46,766 --> 00:10:48,393 絶対に やだって 169 00:10:48,976 --> 00:10:50,895 だから 逃げ出したんだ 170 00:10:51,229 --> 00:10:53,898 王を選ばなくていい所に 171 00:10:54,690 --> 00:10:59,987 でもさ 帰ったって 行くとこもすることもないんだよな 172 00:11:00,113 --> 00:11:02,407 そして 西へ向かって 173 00:11:05,076 --> 00:11:06,702 尚隆と会った 174 00:11:11,082 --> 00:11:12,792 今となっては 俺にも― 175 00:11:13,376 --> 00:11:16,337 王を選ぶのが嫌で 逃げ出したのか― 176 00:11:16,462 --> 00:11:19,423 王がいるから 蓬莱に帰りたかったのか― 177 00:11:19,674 --> 00:11:21,717 どちらなのか分からない 178 00:11:21,843 --> 00:11:25,304 俺は尚隆の臣だ それは諦めた 179 00:11:26,180 --> 00:11:30,268 だから 斡由が兵を挙げれば 俺は更夜の敵になる 180 00:11:30,977 --> 00:11:34,856 俺は お前とも お前のあるじとも戦いたくない 181 00:11:35,022 --> 00:11:36,232 今なら まだ間に合う 182 00:11:37,233 --> 00:11:39,235 斡由を止めてくれ 183 00:11:39,360 --> 00:11:40,194 できない 184 00:11:41,112 --> 00:11:41,988 更夜 185 00:11:42,405 --> 00:11:44,240 (更夜)斡由は分かっている 186 00:11:44,365 --> 00:11:46,576 分かったうえで やると言うんだから― 187 00:11:47,451 --> 00:11:48,786 俺には止められない 188 00:11:50,037 --> 00:11:51,330 内乱になる 189 00:11:51,455 --> 00:11:55,251 たくさんの兵が死んで たくさんの民が巻き込まれる 190 00:11:56,502 --> 00:11:57,420 そうだね 191 00:12:03,217 --> 00:12:06,554 (白沢(はくたく)) 元州州宰 院(いん) 白沢と申します 192 00:12:07,805 --> 00:12:11,017 台輔 延麒(えんき)は 元州に ご滞在でございます 193 00:12:11,225 --> 00:12:12,059 それで? 194 00:12:12,435 --> 00:12:14,687 王の上に上帝位を設け― 195 00:12:14,812 --> 00:12:18,024 これに 我らが主君 元伯をお就けいただきたい 196 00:12:18,774 --> 00:12:19,609 なるほど 197 00:12:20,526 --> 00:12:25,072 斡由の望みは 王位ではなく上帝位か 考えたな 198 00:12:26,240 --> 00:12:28,034 斡由に伝えろ 199 00:12:28,242 --> 00:12:31,621 俺は自分のものをくれてやるほど 心広くはない 200 00:12:31,746 --> 00:12:33,247 延麒を返せ 201 00:12:33,372 --> 00:12:35,833 ならば 温情を下して 自刎(じふん)させてやる 202 00:12:36,709 --> 00:12:40,296 あくまでも延麒を盾に 事を構えるというのならば― 203 00:12:40,504 --> 00:12:44,634 必ず捕らえて 天下の逆賊として処刑する 204 00:12:45,426 --> 00:12:47,428 (白沢)確かに承りました 205 00:12:49,722 --> 00:12:52,266 生きて元州へ帰れると思うか? 206 00:12:53,100 --> 00:12:54,101 いえ 207 00:12:54,227 --> 00:12:57,647 (尚隆)州宰のお前を 使者に命じたのは斡由か? 208 00:12:58,064 --> 00:13:01,234 私が 自ら お願い申し上げたのでございます 209 00:13:01,359 --> 00:13:04,737 もとより 帰城はあたわぬことは 存じておりますゆえ― 210 00:13:04,862 --> 00:13:07,490 前途ある若者には任せられません 211 00:13:07,907 --> 00:13:10,451 こういう場合 使者の首を斬って― 212 00:13:10,576 --> 00:13:13,412 元州城へ投げ込んでやるのが 筋だな 213 00:13:13,871 --> 00:13:16,040 家内を整理してまいりました 214 00:13:19,168 --> 00:13:20,002 フッ 215 00:13:20,586 --> 00:13:22,463 肝が据わっている 216 00:13:23,130 --> 00:13:25,967 お前 国府に仕える気はないか? 217 00:13:26,759 --> 00:13:29,929 小官のあるじは 元伯でございますれば 218 00:13:30,179 --> 00:13:32,890 百官のあるじは 王であると思ったが 219 00:13:33,266 --> 00:13:38,104 (白沢)拙が官を賜りましたのは 元州侯よりのことでございます 220 00:13:38,729 --> 00:13:42,191 (尚隆)だが 斡由は州侯ではない 221 00:13:42,525 --> 00:13:45,111 州侯の息子ではあるが 222 00:13:45,987 --> 00:13:48,239 侯は 既に政をお引きになり― 223 00:13:48,364 --> 00:13:51,033 全権を元伯に委譲されております 224 00:13:51,534 --> 00:13:53,577 では 二重のさん奪だな 225 00:13:54,120 --> 00:13:55,913 州侯は王が任じるもの 226 00:13:56,289 --> 00:13:59,458 そのうえ さらに 玉座までよこせと言うか 227 00:13:59,792 --> 00:14:04,130 いかに仰せられましても 既に元州の意は定まっております 228 00:14:04,588 --> 00:14:06,257 なるほどな 229 00:14:07,133 --> 00:14:08,092 戻るがいい 230 00:14:08,384 --> 00:14:09,260 (3人のどよめき) 231 00:14:10,845 --> 00:14:13,097 お帰しくださるのでございますか? 232 00:14:13,514 --> 00:14:15,016 気が向いたら― 233 00:14:15,141 --> 00:14:18,352 斡由に思いとどまるように 進言してくれ 234 00:14:20,062 --> 00:14:23,524 (帷湍)お前には何を言っても 無駄だと理解した 235 00:14:23,858 --> 00:14:24,734 今頃か 236 00:14:25,318 --> 00:14:28,738 (帷湍)とにかく 王師をかろうじて 1万2,500 237 00:14:28,863 --> 00:14:31,198 これをもって 元州に向かうしかないだろう 238 00:14:31,324 --> 00:14:32,700 (尚隆)それは できんぞ 239 00:14:33,200 --> 00:14:36,871 一応 靖州(せいしゅう)の州師を動かすには 六太の裁可がいる 240 00:14:36,996 --> 00:14:39,081 捕らえられた台輔に どうやって? 241 00:14:39,206 --> 00:14:41,042 もらいようがないな 242 00:14:41,167 --> 00:14:43,044 分かっているのか? 243 00:14:43,377 --> 00:14:46,130 元州には 黒備左軍が控えているんだぞ 244 00:14:46,255 --> 00:14:49,425 ああ 光州(こうしゅう)州侯を更迭する 245 00:14:49,550 --> 00:14:52,219 それから 光州令尹(れいいん)を太師に迎え― 246 00:14:52,345 --> 00:14:55,181 州宰以下 州六官を 内朝六官に据える 247 00:14:55,723 --> 00:14:58,684 勅使を派遣して関弓(かんきゅう)へ招け 248 00:14:58,976 --> 00:15:00,645 (尚隆)成笙 (成笙)はっ 249 00:15:01,520 --> 00:15:04,482 勅命をもって お前を左軍将軍に叙す 250 00:15:04,649 --> 00:15:07,151 左軍を率いて 元州頑朴(がんぼく)へ向かい― 251 00:15:07,276 --> 00:15:08,861 頑朴城を包囲せよ 252 00:15:09,236 --> 00:15:12,323 (帷湍)たかだか 7,500の軍を向けて どうする 253 00:15:12,448 --> 00:15:14,825 州侯城は容易なことでは落ちんぞ 254 00:15:15,201 --> 00:15:19,246 やれやれ まず これだけは のみ込んでもらおう 255 00:15:19,455 --> 00:15:22,375 雁国8州 これは俺の臣ではない 256 00:15:22,708 --> 00:15:23,876 ええっ 257 00:15:24,043 --> 00:15:27,713 確かに 州侯は 先の梟王が任じたもの 258 00:15:27,922 --> 00:15:30,383 (尚隆) 関弓を空けるわけにはいかぬ 259 00:15:30,633 --> 00:15:32,468 王師をことごとく出せば― 260 00:15:32,593 --> 00:15:34,970 必ず足元をすくいにかかる者が出る 261 00:15:35,262 --> 00:15:37,139 (帷湍)しかし… (尚隆)まあ 聞け 262 00:15:37,723 --> 00:15:39,642 元州は六太を押さえている 263 00:15:39,767 --> 00:15:43,104 ならば わざわざ関弓まで 兵を向ける必要などない 264 00:15:44,063 --> 00:15:47,108 しかし こちらから 攻めないわけにはいかぬ 265 00:15:47,233 --> 00:15:49,527 元州左軍1万2,500 266 00:15:49,652 --> 00:15:52,905 対して 王師が同じく1万2,500 267 00:15:53,489 --> 00:15:56,283 だが 全軍で頑朴城を攻めても― 268 00:15:56,409 --> 00:16:00,162 元州は守城戦の構え 事態はこう着する 269 00:16:00,371 --> 00:16:04,125 ここまでは 誰でも読める もちろん元州にもだ 270 00:16:04,250 --> 00:16:07,378 となると次に元州は どういう手に出るか 271 00:16:07,712 --> 00:16:11,465 近くの州侯に働きかけて 関弓を突かせますね 272 00:16:11,590 --> 00:16:13,801 それで まず光州侯ですか 273 00:16:14,468 --> 00:16:17,430 断じて ここを裸にするわけにはいかん 274 00:16:17,555 --> 00:16:22,351 州師は残し 元州謀反の報を流し 付近から兵を募る 275 00:16:22,977 --> 00:16:25,688 肝心の元州攻略は どうなさいます? 276 00:16:25,813 --> 00:16:27,440 (尚隆)成笙に任す (成笙)なっ 277 00:16:27,898 --> 00:16:30,609 何としても 禁軍7,500で包囲せよ 278 00:16:30,943 --> 00:16:33,028 けれど 黒備左軍が… 279 00:16:33,154 --> 00:16:37,825 懲役した市民 州下から かき集めた浮民(ふみん)で1万がやっとだ 280 00:16:38,701 --> 00:16:39,785 ウソではないぞ 281 00:16:40,286 --> 00:16:43,748 (尚隆)頑朴で遊んでいたら 州師に入らんかと誘われた 282 00:16:45,249 --> 00:16:48,210 わらを切ってみせたら 俺が両司馬だそうだ 283 00:16:48,669 --> 00:16:49,962 (帷湍)いつの間に 284 00:16:50,087 --> 00:16:54,175 けれども 攻城戦となると 一朝一夕には片がつきません 285 00:16:54,759 --> 00:16:56,927 その間に 台輔に もしものことがあれば― 286 00:16:57,052 --> 00:16:59,138 災いは主上にも及びます 287 00:16:59,764 --> 00:17:03,058 では 六太の命を惜しんで 斡由の要求をのむか? 288 00:17:03,184 --> 00:17:04,769 (朱衡)あっ いえ… 289 00:17:05,102 --> 00:17:07,813 この国は麒麟が王を選ぶ 290 00:17:07,938 --> 00:17:10,316 その道理で 成り立っておるのだろうが 291 00:17:10,441 --> 00:17:12,276 国を選ぶか 王を選ぶか 292 00:17:13,152 --> 00:17:16,739 俺に運があれば なんとか切り抜けられるだろう 293 00:17:20,367 --> 00:17:22,119 (六太)雨が来る 294 00:17:22,244 --> 00:17:25,122 結局 漉水 間に合いそうにないな 295 00:17:25,831 --> 00:17:28,667 どうせなら もっと早くに 事を起こせばよかったのに 296 00:17:29,210 --> 00:17:32,421 (更夜)ただ 関弓に攻め上っても 勝ち目はないだろ 297 00:17:32,546 --> 00:17:34,882 それで 俺が 六太のことを言ったんだ 298 00:17:35,758 --> 00:17:36,759 怒る? 299 00:17:36,884 --> 00:17:38,219 (六太)いや 300 00:17:38,844 --> 00:17:39,845 (2人)ん… 301 00:17:39,970 --> 00:17:42,306 どうやら 王師が動くようです 302 00:17:42,681 --> 00:17:44,266 軍が来るのか? 303 00:17:44,683 --> 00:17:46,727 禁軍のみ7,000と500 304 00:17:47,061 --> 00:17:48,103 勝てるのか? 305 00:17:48,229 --> 00:17:50,648 王師が というお尋ねでしたら― 306 00:17:50,773 --> 00:17:52,775 そう簡単には勝たせはしません 307 00:17:52,900 --> 00:17:56,195 我々がでしたら 最善を尽くします 308 00:17:57,363 --> 00:18:00,324 なぜ お前も 尚隆も戦いたがる? 309 00:18:00,908 --> 00:18:04,161 今 お前が言った 7,500の意味を 分かっているのか? 310 00:18:04,703 --> 00:18:07,873 それは物の数じゃない 命の数だぞ 311 00:18:08,374 --> 00:18:10,626 家族もある 思いもある― 312 00:18:10,751 --> 00:18:13,212 一人ひとりの人間の集まりなのだぞ 313 00:18:14,129 --> 00:18:16,966 台輔は 一旦 漉水があふれれば― 314 00:18:17,091 --> 00:18:20,010 どれだけの数の民が死ぬか ご存じでしょうか? 315 00:18:20,261 --> 00:18:22,763 明日 万の民を 死なせないために― 316 00:18:22,888 --> 00:18:25,015 今日 1,000殺す必要が あるのでしたら― 317 00:18:25,224 --> 00:18:27,268 私は 後者を選びます 318 00:18:27,393 --> 00:18:28,727 はっ 319 00:18:29,436 --> 00:18:32,189 お前も尚隆も同じことを言う 320 00:18:32,857 --> 00:18:35,734 王が卿伯に位を譲ってくれれば 321 00:18:35,860 --> 00:18:38,195 尚隆は玉座を手放したりしない 322 00:18:38,821 --> 00:18:41,532 あいつは国が欲しかったんだから 323 00:18:41,657 --> 00:18:44,702 (斡由) そうか 王は玉座がお望みか 324 00:18:44,827 --> 00:18:45,953 はっ 325 00:18:46,453 --> 00:18:48,163 お前も そうじゃないのか? 326 00:18:48,831 --> 00:18:51,458 (斡由) 私は玉座に興味がありません 327 00:18:51,584 --> 00:18:54,336 梟王亡き後も 昇山いたしませんでした 328 00:18:54,837 --> 00:18:57,965 民が潤えば それでいいのです 329 00:18:58,674 --> 00:18:59,675 なるほど 330 00:19:00,259 --> 00:19:04,138 王は ただ 玉座に 座ってみたかっただけなのだな 331 00:19:05,055 --> 00:19:08,601 (六太)そういう意味じゃない 332 00:19:11,186 --> 00:19:13,105 (民衆のざわめき) 333 00:19:13,230 --> 00:19:14,940 (男性) 俺たちは戦うために来た 334 00:19:15,065 --> 00:19:17,234 これ以上 家族を苦しませないために 335 00:19:17,359 --> 00:19:18,485 (女性)私も戦う 336 00:19:18,611 --> 00:19:22,239 王が将来 この国を豊かに 暮らせるようにしてくれるから 337 00:19:22,907 --> 00:19:25,075 (男性)俺たち 頑朴に行きます 338 00:19:26,201 --> 00:19:29,955 (女性)信じられない あれほど戦乱で苦しんだのに 339 00:19:30,748 --> 00:19:33,417 (男性)俺も頑朴に行ってくる (女性)えっ? 340 00:19:34,001 --> 00:19:36,420 王を失えば 国が荒れる 341 00:19:36,545 --> 00:19:39,882 誰のためでもない お前のためだからな 342 00:19:41,508 --> 00:19:42,843 あんた… 343 00:19:49,099 --> 00:19:50,643 (朱衡)うーん 344 00:19:53,395 --> 00:19:54,229 どうした? 345 00:19:54,897 --> 00:19:57,942 大司馬から お話があられる 346 00:19:58,233 --> 00:20:00,778 大司馬って誰だ? 347 00:20:01,278 --> 00:20:02,696 (毛旋)すいません! 俺です 348 00:20:02,821 --> 00:20:04,239 勘弁してください! 349 00:20:04,365 --> 00:20:05,991 (成笙・帷湍)えっ… 350 00:20:06,325 --> 00:20:09,161 (毛旋)将軍に 主上から伝言です (成笙)うん 351 00:20:09,536 --> 00:20:12,581 “一つ 行軍の途中で 役夫を募り―” 352 00:20:12,706 --> 00:20:15,334 “頑朴付近の漉水に堤を造れ” 353 00:20:16,043 --> 00:20:18,921 今まで サボっていたツケを 払おうというのか 354 00:20:19,129 --> 00:20:22,383 “二つ 俺に首を取られないよう 気をつけろ” 355 00:20:22,758 --> 00:20:25,511 “禁軍将軍は悪くない”と 356 00:20:25,636 --> 00:20:27,054 (3人)あ… 357 00:20:27,179 --> 00:20:30,140 どこの世界に 逆賊の軍に加わる王がいる! 358 00:20:30,265 --> 00:20:33,602 ひょっとしたら 内側から 何かする気じゃないのか 359 00:20:34,687 --> 00:20:37,982 主上は 頑朴を包囲せよと命じられた 360 00:20:38,315 --> 00:20:39,775 落とせではなく 361 00:20:39,900 --> 00:20:41,235 そして これだ 362 00:20:41,360 --> 00:20:44,863 万が一にも 戦のどさくさで 殺されるようなことがあれば 363 00:20:45,739 --> 00:20:49,034 承知の上だろう 忘れてはおらんか? 364 00:20:49,827 --> 00:20:53,622 これは主上にとっても 生きるか死ぬかの戦いなのだ 365 00:20:53,747 --> 00:20:55,416 (帷湍・朱衡)うーん 366 00:20:58,836 --> 00:21:00,462 (驪媚)台輔 (六太)ん? 367 00:21:00,879 --> 00:21:03,882 台輔は ご自身が お選びになった王を― 368 00:21:04,008 --> 00:21:06,176 信じては いらっしゃらないのでしょうか? 369 00:21:06,468 --> 00:21:08,554 信じるも何も… 370 00:21:09,013 --> 00:21:11,098 あいつ ほんとに バカなんだもん 371 00:21:11,223 --> 00:21:13,017 (驪媚)情けのうございます 372 00:21:13,142 --> 00:21:16,645 なぜ 台輔は いちいちに 主上を軽んじられるのですか? 373 00:21:17,021 --> 00:21:19,982 私は牧伯を拝命する際― 374 00:21:20,107 --> 00:21:22,609 主上にすまぬと わびていただきました 375 00:21:24,028 --> 00:21:26,071 (驪媚)そのような大任を私に? 376 00:21:26,697 --> 00:21:28,949 たかだか 下太夫でしかない私を― 377 00:21:29,074 --> 00:21:32,786 いきなり 卿伯に抜てきとは もったいない 378 00:21:33,620 --> 00:21:35,456 礼は言わぬほうがよい 379 00:21:35,581 --> 00:21:38,042 仮に州侯が反旗を翻せば― 380 00:21:38,167 --> 00:21:40,961 まず間違いなく牧伯の身は危うい 381 00:21:41,795 --> 00:21:44,006 州侯城へ行ってくれと言うは― 382 00:21:44,131 --> 00:21:48,635 万が一 事があった時には 命を捨ててくれと言うに等しい 383 00:21:48,761 --> 00:21:50,721 だが 俺には手駒が少ない 384 00:21:51,388 --> 00:21:53,640 死なせるには あまりに惜しいが― 385 00:21:53,766 --> 00:21:56,685 お前の他に 行ってもらう者はいない 386 00:21:57,144 --> 00:21:59,480 (驪媚)それほどまでに 言っていただければ― 387 00:21:59,605 --> 00:22:03,150 たとえ 万一のことがあっても 本望でございます 388 00:22:03,901 --> 00:22:05,652 喜んで拝命いたします 389 00:22:07,571 --> 00:22:09,031 すまない 390 00:22:10,282 --> 00:22:11,992 (六太)尚隆が… 391 00:22:12,576 --> 00:22:16,705 主上は 決して愚かでも 無責任でもいらっしゃいません 392 00:22:17,039 --> 00:22:21,293 考えるべきは考え 行うべきは行っていらっしゃる 393 00:22:21,418 --> 00:22:24,046 表にお出しにならないだけで ございます 394 00:22:25,631 --> 00:22:28,801 でも 駄目だ 尚隆は王だから… 395 00:22:29,051 --> 00:22:31,178 王は民を不幸にする 396 00:22:31,303 --> 00:22:32,513 (驪媚)いいえ 逆です 397 00:22:32,763 --> 00:22:36,183 (六太)はっ (驪媚)国の荒廃は万民の苦難 398 00:22:36,683 --> 00:22:40,854 民にも国にも 王が必要なのでございます 399 00:22:44,107 --> 00:22:45,442 驪媚 400 00:22:46,485 --> 00:22:50,823 数日のうちには 王師が頑朴に到着いたしましょう 401 00:22:51,156 --> 00:22:51,990 驪媚? 402 00:22:52,991 --> 00:22:54,952 宮城へ お帰りくださいませ 403 00:22:56,370 --> 00:22:57,412 驪媚! 404 00:22:57,579 --> 00:22:58,747 (赤索条(せきさくじょう)が切れた音) 405 00:23:05,212 --> 00:23:07,923 (六太)驪媚ー! 406 00:23:10,759 --> 00:23:15,764 ♪~ 407 00:24:39,681 --> 00:24:44,686 ~♪ 408 00:24:45,020 --> 00:24:48,565 (ナレーター)もう慣れた 自分の手が血塗られていくことを 409 00:24:48,690 --> 00:24:52,235 今さら こんなことで 心を動かされたりしない