1 00:00:16,945 --> 00:00:20,849 ぷつりと 糸の切れる音を 六太は聞いた。 2 00:00:20,849 --> 00:00:26,949 …あまりに かそけく 重い音を。 十二国記 第四十二話。 3 00:00:33,945 --> 00:00:53,832 ♪♪~ (オープニング・テーマ) 4 00:00:53,832 --> 00:01:29,334 ♪♪~ 5 00:01:29,334 --> 00:02:04,034 ♪♪~ 6 00:02:21,336 --> 00:02:25,507 (陽子)…斡由の言には 理が あるように思えます。 7 00:02:25,507 --> 00:02:30,862 (楽俊)おいらも 講談で聞いた話 とは 全く別人のような…。 8 00:02:30,862 --> 00:02:35,283 (尚隆)「民の噂話」とは そういう ものかも しれんな。 9 00:02:35,283 --> 00:02:40,672 …それが 延王の おっしゃる 「もう一人の おれ」と どういう? 10 00:02:40,672 --> 00:02:44,342 …そう 急く事はないだろう。 11 00:02:44,342 --> 00:02:47,679 陽子…。…はい。 12 00:02:47,679 --> 00:02:53,451 斡由の父親は 梟王に 加担して 民を虐げていた。 13 00:02:53,451 --> 00:03:01,176 そして 斡由は 父親を放逐して 元州を束ねる事を 選んだ。 14 00:03:01,176 --> 00:03:06,681 梟王を 戦乱や 天災と同種の 災厄だった と考えると→ 15 00:03:06,681 --> 00:03:11,081 斡由は 災厄を取り除いたとも 言える。 16 00:03:14,939 --> 00:03:19,677 (斡由)「漉水」でさえ この有様なら 他の河も 推して知るべし…。→ 17 00:03:19,677 --> 00:03:23,077 そうは 思われませんか? 18 00:03:29,003 --> 00:03:34,843 (六太)一国は広い。 一朝一夕に 国は 立ち直りは しないんだ。 19 00:03:34,843 --> 00:03:38,346 (斡由)…王は しばしば 朝議を ご欠席になり→ 20 00:03:38,346 --> 00:03:42,667 官は 王を お探し するのに 躍起とか…? 21 00:03:42,667 --> 00:03:46,604 (斡由)州の自治を… 候の権を 返して頂きたい。 22 00:03:46,604 --> 00:03:50,842 その上で どれほどにも お遊びになれば いい。 23 00:03:50,842 --> 00:03:56,781 それでは 国は成り立たない。 諸侯が 勝手な事を始めれば→ 24 00:03:56,781 --> 00:04:02,503 治水一つ とっても 上流だけ潤い 下流は枯れる事に なりかねない。 25 00:04:02,503 --> 00:04:06,107 では 全権を委ねる 官を 置かれると いい。 26 00:04:06,107 --> 00:04:09,277 それに 王を代行 させれば よろしい。 27 00:04:09,277 --> 00:04:13,681 (驪媚)台輔… その奸夫の言葉に 耳を貸しては なりません。 28 00:04:13,681 --> 00:04:16,534 (驪媚)今 これが言った事は 罪深き事。 29 00:04:16,534 --> 00:04:21,172 この世は 天帝が創られ 万事を お定めに なりました。 30 00:04:21,172 --> 00:04:25,176 民意の具現たる麒麟に 王を 選ばせる事も…。 31 00:04:25,176 --> 00:04:30,615 この理に逆らう という事は 世の 成り立ちを 否定する事ですよ。 32 00:04:30,615 --> 00:04:38,673 (斡由)梟王を選んだのも 麒麟。 牧伯は それを お忘れでは…? 33 00:04:38,673 --> 00:04:43,945 「天帝」が おられるのなら 連れて 来ては もらえますまいか? 34 00:04:43,945 --> 00:04:49,000 私は はっきり 申し上げる。 「天帝」なぞ おらんのだ! 35 00:04:49,000 --> 00:04:53,004 いたとしても そんなもの 必要ない! 36 00:04:53,004 --> 00:05:00,345 お前は 麒麟の選んだ者を 玉座に 据える事が 間違いだと言うのか。 37 00:05:00,345 --> 00:05:07,835 (斡由)台輔には 現王が 最善の 王だという確信が ありますか? 38 00:05:07,835 --> 00:05:10,338 無いな。(驪媚)台輔! 39 00:05:10,338 --> 00:05:14,442 確かに 尚隆を見て「王だ」と思った。 ならば…! 40 00:05:14,442 --> 00:05:19,347 これが 雁を 滅ぼす王だ と。 おお…!? 41 00:05:19,347 --> 00:05:24,619 王の上に 上帝を作れ というならオレは やめてくれと言う。 42 00:05:24,619 --> 00:05:29,774 「王の全権を 取り上げよ」という なら 協力したかも しれないが。 43 00:05:29,774 --> 00:05:34,012 民の主は 民自身だけで いいんじゃ ないのか? 44 00:05:34,012 --> 00:05:38,499 上に 権を置けば 権は 民を虐げる。 45 00:05:38,499 --> 00:05:44,599 ご理解 頂けず オレも だよ 残念です。 …斡由。 46 00:05:46,774 --> 00:05:50,778 (成笙)駁 更夜… 元州 夏官 射士。 47 00:05:50,778 --> 00:05:54,999 (朱衡)やはり (帷湍)元州師の 元州か…。 数は? 48 00:05:54,999 --> 00:05:58,936 (成笙)一軍 ただし 黒備左軍一万二千五百…。 49 00:05:58,936 --> 00:06:01,673 (帷湍)やっかい だな。 (尚隆)はったりだ。 50 00:06:01,673 --> 00:06:04,509 辛うじて 黄備 七千五百。 51 00:06:04,509 --> 00:06:10,615 民を懲役して 一万…と 思うがな。黒備左軍は ありえない。 52 00:06:10,615 --> 00:06:13,785 (帷湍)…元州だ という 証が欲しい。 53 00:06:13,785 --> 00:06:18,006 (朱衡)しかし 台輔に 万一の事が あったら…。 54 00:06:18,006 --> 00:06:23,611 (成笙)王師の準備を 進言する。 (朱衡)あ?! 55 00:06:23,611 --> 00:06:28,399 (朱衡)どちらへ? (尚隆)おれは 必要ない ようだから 寝る。 56 00:06:28,399 --> 00:06:34,172 そうだ! 勅命を出しておけ。 六官三公を 罷免する。 57 00:06:34,172 --> 00:06:38,676 (帷湍)何を考えてる!? (尚隆)連中は 見飽きた。 58 00:06:38,676 --> 00:06:44,832 成笙… 冢宰に伝え 明日 (成笙) 朝議を召集しろ。 正気か? 59 00:06:44,832 --> 00:06:50,132 おれが 王なんだろう? …おれの勝手に させてもらう! 60 00:06:53,508 --> 00:06:57,678 ≫(毛施)主上!! 少し 散歩に 出るだけだ。 61 00:06:57,678 --> 00:07:02,667 (毛施)いつも 行方をくらまされたなんて言い訳では→ 62 00:07:02,667 --> 00:07:06,337 左遷されてしまう。 アッハッハッハッハッハ… 63 00:07:06,337 --> 00:07:10,341 その時には 何とでも してやろうよ。 64 00:07:10,341 --> 00:07:14,041 主上! …主上~っ!! 65 00:07:18,666 --> 00:07:22,270 (更夜)六太は 王が嫌いなのか? 66 00:07:22,270 --> 00:07:27,008 オレが なんとか してあげる。王なんか いなければ いい? 67 00:07:27,008 --> 00:07:32,346 尚隆が嫌い なんじゃない… 王とか 将軍とか 大名とか→ 68 00:07:32,346 --> 00:07:36,951 そういうのが 嫌いなだけ。 あいつら ロクな事しねぇもん。 69 00:07:36,951 --> 00:07:42,507 人は そういう生き物だと思う。群れないと 生きていけない。 70 00:07:42,507 --> 00:07:47,345 どうせ 群れるなら 強い長がいる 強い群れに…。 71 00:07:47,345 --> 00:07:52,450 更夜も 強い長が いや… オレは 欲しいか? 人じゃないから。 72 00:07:52,450 --> 00:07:58,606 妖魔の子だから だったら なぜ 群れない。 斡由に仕える? 73 00:07:58,606 --> 00:08:02,009 そうだな…。…違うな。 74 00:08:02,009 --> 00:08:08,166 オレは人だから 群れに入りたい…でも 入る事が出来なかった。 75 00:08:08,166 --> 00:08:14,105 オレには 六太に会った事が 夢だったか と思える事があった。 76 00:08:14,105 --> 00:08:17,675 あんなふうに 「ろくた」や オレに怯えず→ 77 00:08:17,675 --> 00:08:24,075 親しく 話を してくれる人なんて他に 誰も いなかったから…。 78 00:08:26,501 --> 00:08:29,101  回想  ≫(斡由)子供…! …出て来い。 79 00:08:39,680 --> 00:08:43,080 (斡由)怯えているようだ… …やめよ! 80 00:08:46,337 --> 00:08:51,037 来い。 何も しない。 …お前にも その妖魔にも だ。 81 00:08:57,181 --> 00:09:01,181 (更夜)アッ… …触られるのは嫌か…。 82 00:09:03,504 --> 00:09:07,504 いい… 嫌がる事は すまいよ。 83 00:09:09,510 --> 00:09:14,999 しかし 近隣に 天犬を連れた 人妖が出ると 聞いたが…→ 84 00:09:14,999 --> 00:09:18,452 まさか 本当に 人の子だとはな…。 85 00:09:18,452 --> 00:09:23,508 お前 名は無いのか? …どこに 住んでいる? 86 00:09:23,508 --> 00:09:26,344 更夜…。 更夜か。 87 00:09:26,344 --> 00:09:31,165 お前は 私の言葉を 理解しておるんだな。 …利口な子だ。 88 00:09:31,165 --> 00:09:36,165 あ…! …すまぬ。 更夜は 嫌いだった のだな。 89 00:09:44,946 --> 00:09:48,833 どうした… 怪我か? …膿んでいるな。 90 00:09:48,833 --> 00:09:54,171 これは 手当てをした方が いい。…誰か! 薬を持ってこい。 91 00:09:54,171 --> 00:09:57,071 それから 医者の 手配も しておけ! 92 00:09:59,010 --> 00:10:03,581 私は 「斡由」と言う。 更夜… 私の住まいに 来い。 93 00:10:03,581 --> 00:10:08,581 「ろくた」も… …一緒? もちろんだ! 94 00:10:11,272 --> 00:10:16,777  現実  (更夜)斡由は オレと ろくたに居場所を与えてくれた。 そうか。 95 00:10:16,777 --> 00:10:21,182 更夜にとって 斡由は 恩人なんだな。 うん。 96 00:10:21,182 --> 00:10:25,937 でも 戦うのだけは 避けたい。 逃げれば? 97 00:10:25,937 --> 00:10:31,442 それは どうして? …王は 出来ない。 嫌いなんだろう? 98 00:10:31,442 --> 00:10:35,346 更夜 お前… 蓬莱を 探してたよな。 99 00:10:35,346 --> 00:10:39,500 オレ 蓬莱で 生まれたんだ。 へえ。 100 00:10:39,500 --> 00:10:43,337 覚えてない? 蓬莱って どんな ところ? 101 00:10:43,337 --> 00:10:46,173 戦争ばっかり やってたな…。 102 00:10:46,173 --> 00:10:51,673 実は オレも 山に 捨てられたんだ。 …六太も!? 103 00:10:54,832 --> 00:10:59,032 …お前と 同じで 置き去りにされて…。 104 00:11:01,339 --> 00:11:08,539 死にそうに なっていた ところに 迎えが来たんだ …蓬山から。 105 00:11:13,284 --> 00:11:16,504 それで 「王を選べ」って 言われた…。 106 00:11:16,504 --> 00:11:20,675 「冗談じゃない」と思ったな。 「絶対に嫌だ」って…。 107 00:11:20,675 --> 00:11:26,347 だから 逃げ出したんだ… 王を選ばなくて いい所に…。 108 00:11:26,347 --> 00:11:31,969 でもさ… 帰っても 行く所も する事も ないんだよな。 109 00:11:31,969 --> 00:11:36,774 そして 西へ向かって……。 110 00:11:36,774 --> 00:11:39,774 尚隆と 会った…。 111 00:11:43,030 --> 00:11:48,269 今となっては 王を選ぶのが 嫌で 逃げ出したのか→ 112 00:11:48,269 --> 00:11:53,674 王が居るから 蓬莱に 帰りたかったのか 分からない。 113 00:11:53,674 --> 00:11:58,012 オレは 尚隆の臣だ。 …それは あきらめた。 114 00:11:58,012 --> 00:12:02,616 …斡由が 兵を挙げれば オレは 更夜の敵になる。 115 00:12:02,616 --> 00:12:06,771 オレは お前とも お前の主とも 戦いたくない。 116 00:12:06,771 --> 00:12:11,175 今なら まだ 間に合う… 斡由を止めてくれ! 117 00:12:11,175 --> 00:12:14,178 出来ない。 …更夜…。 118 00:12:14,178 --> 00:12:19,166 斡由は分かっている。 その上でやると言うんだから→ 119 00:12:19,166 --> 00:12:23,170 オレには 止められない。 …内乱になる。 120 00:12:23,170 --> 00:12:28,175 たくさんの兵が 死んで たくさんの民が 巻き込まれる…。 121 00:12:28,175 --> 00:12:31,175 …そうだね…。 122 00:12:34,999 --> 00:12:39,503 (白沢)元州 州宰 「院 白沢」と申します。 123 00:12:39,503 --> 00:12:44,275 台輔 延麒は 元州に (尚隆) ご滞在です。 それで? 124 00:12:44,275 --> 00:12:50,614 王の上に 上帝位を設け 我らが 主君 元伯を お就け頂きたい。 125 00:12:50,614 --> 00:12:57,938 なるほど… 斡由の望みは 「王位」 ではなく 「上帝位」か。 考えたな。 126 00:12:57,938 --> 00:13:03,444 斡由に伝えろ! おれは 自分の ものを やるほど 心広くはない。 127 00:13:03,444 --> 00:13:08,449 延麒を返せ。 …ならば 温情を下して 自刎させてやる。 128 00:13:08,449 --> 00:13:12,336 …延麒を盾に 事を構える というの ならば→ 129 00:13:12,336 --> 00:13:17,108 必ず 捕らえて 天下の逆賊として 馘刑する。 130 00:13:17,108 --> 00:13:21,512 (白沢)確かに 承りました。 131 00:13:21,512 --> 00:13:26,000 (尚隆)生きて 元州へ帰れると思うか? いえ…。 132 00:13:26,000 --> 00:13:29,837 (尚隆)州宰のお前を 使者に 命じたのは 斡由か? 133 00:13:29,837 --> 00:13:33,841 私が 自ら お願い 申し上げたので ございます。 134 00:13:33,841 --> 00:13:39,613 帰城あたわぬ事は 存じますゆえ 前途ある若者に 任せられませぬ。 135 00:13:39,613 --> 00:13:45,669 こういう場合 使者の首を斬って元州城へ投げ込むのが 筋だな。 136 00:13:45,669 --> 00:13:49,069 家内を 整理して 参りました。 137 00:13:50,941 --> 00:13:58,449 ふん… 肝が据わっている。 お前 国府に仕える気は ないか? 138 00:13:58,449 --> 00:14:02,019 小官の主は 元伯で ございます。 139 00:14:02,019 --> 00:14:05,172 百官の主は 王であると 思ったが。 140 00:14:05,172 --> 00:14:10,511 (白沢)拙が 官を賜りましたのは 元州候よりの事で ございます。 141 00:14:10,511 --> 00:14:14,348 (尚隆)だが 斡由は 州候では ない。 142 00:14:14,348 --> 00:14:17,768 州候の息子 では あるが…。 143 00:14:17,768 --> 00:14:23,274 候は 政を お引きになり 全権を 元伯に委譲されて おります。 144 00:14:23,274 --> 00:14:28,112 では 二重の簒奪だな。 州候は 王が任じるもの。 145 00:14:28,112 --> 00:14:31,448 その上 玉座まで よこせと言うか? 146 00:14:31,448 --> 00:14:36,337 いかに 仰せられましても 元州の意は 定まって おります。 147 00:14:36,337 --> 00:14:42,459 なるほどな (朱衡たち) …戻るが いい。 …え!? 148 00:14:42,459 --> 00:14:45,346 お帰し下さる のですか? 149 00:14:45,346 --> 00:14:52,002 気が向いたら 斡由に 思い留まるように 進言してくれ。 150 00:14:52,002 --> 00:14:57,007 (帷湍)お前には 何を言っても 無駄だと 理解した。 今ごろか。 151 00:14:57,007 --> 00:15:00,678 (帷湍)とにかく 王師を。 辛うじて 一万二千五百。→ 152 00:15:00,678 --> 00:15:04,999 これで 元州に (尚隆)それは 向かうしかない。 出来んぞ。 153 00:15:04,999 --> 00:15:08,936 …靖州の州師を 動かすには 六太の裁可が 要る。 154 00:15:08,936 --> 00:15:13,023 (帷湍) 捕えられた台輔に もらいようが どうやって!? ないな…。 155 00:15:13,023 --> 00:15:18,012 分かっているのか!? 元州には黒備左軍が 控えている! 156 00:15:18,012 --> 00:15:24,168 ああ。 光州 州候を更迭し 光州 令尹を 大師に迎え→ 157 00:15:24,168 --> 00:15:27,438 州宰以下 州六官を 内朝六官に 据える。 158 00:15:27,438 --> 00:15:33,344 勅使を派遣して 関弓へ招け。 …成笙。 はっ! 159 00:15:33,344 --> 00:15:36,513 勅命をもって 成笙を 左軍将軍に叙す。 160 00:15:36,513 --> 00:15:41,001 左軍を率いて 元州頑朴へ向かい 頑朴城を包囲せよ。 161 00:15:41,001 --> 00:15:44,271 (帷湍)たかだか 七千五百の軍を向けて どうする。→ 162 00:15:44,271 --> 00:15:48,676 州候城は 容易には落ちんぞ! …やれやれ。 163 00:15:48,676 --> 00:15:55,683 …これだけは のみ込んでもらう。 「雁国八州」は おれの臣ではない。 164 00:15:55,683 --> 00:15:59,670 (帷湍)確かに 州候は 先の梟王が 任じたもの。 165 00:15:59,670 --> 00:16:04,441 関弓を 空ける訳には ゆかぬ。 王師を ことごとく出せば→ 166 00:16:04,441 --> 00:16:08,112 必ず 足下を (帷湍) すくう者が出る。 しかし…。 167 00:16:08,112 --> 00:16:11,448 まあ 聞け。 …元州は 六太を押さえている。 168 00:16:11,448 --> 00:16:15,769 ならば わざわざ 関弓まで 兵を向ける必要など ない。 169 00:16:15,769 --> 00:16:19,073 しかし こちらから 攻めない訳には いかぬ。 170 00:16:19,073 --> 00:16:25,346 元州左軍 一万二千五百。 対して王師も 一万二千五百。 171 00:16:25,346 --> 00:16:30,167 だが 全軍で 頑朴城を攻めても 元州は 守城戦の構え。 172 00:16:30,167 --> 00:16:36,006 事態は膠着する。 …ここまでは もちろん 元州にも読める。 173 00:16:36,006 --> 00:16:39,443 となると 元州は どういう手に出るか…。 174 00:16:39,443 --> 00:16:43,514 (朱衡)近くの州候に 働きかけて 関弓を突かせます。 175 00:16:43,514 --> 00:16:46,166 それで まず 光州候ですか! 176 00:16:46,166 --> 00:16:49,436 断じて ここを 裸にする訳には ゆかん。 177 00:16:49,436 --> 00:16:54,842 州師は残し 元州謀反の報を流し 付近から 兵を募る。 178 00:16:54,842 --> 00:16:59,613 肝心の 元州攻略は (尚隆)成笙に どうなさいます? 任す。 179 00:16:59,613 --> 00:17:05,002 …禁軍 七千五百で(朱衡)けれど包囲せよ。黒備左軍が…。 180 00:17:05,002 --> 00:17:10,507 (尚隆)懲役した市民・州下から 集めた浮民で 一万が やっとだ。 181 00:17:10,507 --> 00:17:16,947 嘘ではない。 頑朴で遊んでいたら「州師に入らんか」と 誘われた。 182 00:17:16,947 --> 00:17:22,002 藁を斬ってみせたら おれが 両司馬だそうだ。 183 00:17:22,002 --> 00:17:26,507 (朱衡)…攻城戦となると 一朝一夕には 片が つきません。 184 00:17:26,507 --> 00:17:31,679 その間に 台輔に もしもの事が あれば 禍は 主上にも及びます。 185 00:17:31,679 --> 00:17:36,834 では 六太の命を惜しんで (朱衡) 斡由の要求を のむか? いえ… 186 00:17:36,834 --> 00:17:42,289 この国は 麒麟が王を選ぶ。 その道理で 成り立っておるのだ。 187 00:17:42,289 --> 00:17:45,009 国を選ぶか 王を選ぶか…。 188 00:17:45,009 --> 00:17:50,009 おれに 運があれば なんとか切り抜けられる だろう。 189 00:17:52,282 --> 00:17:57,671 (六太)雨が来る。 …漉水 間に合いそうに ないな。 190 00:17:57,671 --> 00:18:01,008 …もっと早くに 事を 起こせば よかったのに…。 191 00:18:01,008 --> 00:18:04,445 (更夜)ただ 関弓に 攻め登っても 勝ち目は ないだろ。 192 00:18:04,445 --> 00:18:07,514 それで オレが 六太の事を 言ったんだ。 193 00:18:07,514 --> 00:18:09,814 怒る? いや…。 194 00:18:11,835 --> 00:18:14,438 (斡由)…王師が 動く ようです。 195 00:18:14,438 --> 00:18:18,842 軍が 来る 禁軍のみ のか? 七千五百。 196 00:18:18,842 --> 00:18:22,679 勝てるのか?「王師が」というお尋ねなら→ 197 00:18:22,679 --> 00:18:29,119 簡単には勝たせませんが 「我々が」でしたら 最善を尽くします。 198 00:18:29,119 --> 00:18:32,773 なぜ お前も 尚隆も 戦いたがる…? 199 00:18:32,773 --> 00:18:36,510 …お前が言った 「七千五百」の 意味を分かって いるのか? 200 00:18:36,510 --> 00:18:40,164 それは 「物の数」じゃない… 「命の数」だぞ。 201 00:18:40,164 --> 00:18:46,003 家族もある 思いもある 人間の集まり なのだぞ! 202 00:18:46,003 --> 00:18:51,942 …漉水が溢れると どれだけの数の民が死ぬか ご存じでしょうか? 203 00:18:51,942 --> 00:18:57,014 明日 万の民を 死なさぬ為に 今日 千 殺す必要が あるのなら→ 204 00:18:57,014 --> 00:18:59,514 私は 後者を選びます。 205 00:19:01,502 --> 00:19:04,671 お前も 尚隆も 同じ事を言う…。 206 00:19:04,671 --> 00:19:07,608 (更夜)王が 卿伯に 位を 譲ってくれれば…。 207 00:19:07,608 --> 00:19:13,514 尚隆は 玉座を手放さない。 あいつは 国が欲しかったんだ…。 208 00:19:13,514 --> 00:19:18,335 (斡由)そうか 王は 玉座が お望みか。 209 00:19:18,335 --> 00:19:23,440 お前も そうじゃ 私は 玉座に ないのか? 興味ありません。 210 00:19:23,440 --> 00:19:26,610 梟王 亡き後も 昇山しませんでした。 211 00:19:26,610 --> 00:19:30,514 民が潤えば それで いいのです。 212 00:19:30,514 --> 00:19:37,037 なるほど… 王は ただ 玉座に 座ってみたかった だけなのだ…。 213 00:19:37,037 --> 00:19:41,037 そういう意味じゃ… …ない…。 214 00:19:45,112 --> 00:19:49,116 (男A)おれたちは 戦う為に来た。 …家族を 苦しませない為に。 215 00:19:49,116 --> 00:19:54,605 (女A)私も戦う! 王が この国を 豊かにして くれるから。 216 00:19:54,605 --> 00:19:57,941 (男B)おれたち 頑朴に 行きます。 217 00:19:57,941 --> 00:20:02,679 (女B)信じられない。 あれほど戦乱で 苦しんだのに。 218 00:20:02,679 --> 00:20:06,283 (男C)おれも 頑朴に 行ってくる。 え!? 219 00:20:06,283 --> 00:20:10,270 (男C)王を失えば 国が荒れる。 誰の為でもない…。 220 00:20:10,270 --> 00:20:14,470 お前の為だからな。 …あんた…。 221 00:20:21,114 --> 00:20:26,770 (朱衡)ん~…… (成笙)どうした? 222 00:20:26,770 --> 00:20:33,010 大司馬から (帷湍)大司馬 お話が あられる。 って 誰だ? 223 00:20:33,010 --> 00:20:38,115 (毛施)すみません! おれです! 勘弁して下さい!! (成笙)え!? 224 00:20:38,115 --> 00:20:41,351 将軍に 主上から 伝言です! (成笙)ん? 225 00:20:41,351 --> 00:20:47,674 「一つ… 行軍の途中で 役夫を募り頑朴付近の漉水に 堤を作れ」 226 00:20:47,674 --> 00:20:50,944 (帷湍)今まで サボっていた ツケを払う つもりか? 227 00:20:50,944 --> 00:20:54,514 「二つ… おれに 首を 取られないよう 気をつけろ」→ 228 00:20:54,514 --> 00:20:58,835 「禁軍将軍は 悪くない」と……。 229 00:20:58,835 --> 00:21:02,940 どこの世界に 逆賊の軍に(成笙)加わる王が いる!? もしや→ 230 00:21:02,940 --> 00:21:06,510 内側から 何かする 気じゃ ないのか…。 231 00:21:06,510 --> 00:21:10,013 主上は 「頑朴を包囲せよ」と 命じられた。 232 00:21:10,013 --> 00:21:13,166 「落とせ」ではなく…。 そして これだ。 233 00:21:13,166 --> 00:21:17,437 (帷湍)万が一にも 戦で殺されるような事があれば…。 234 00:21:17,437 --> 00:21:21,441 承知の上だろう。 忘れては おらんか? 235 00:21:21,441 --> 00:21:26,941 (成笙)これは 主上にとっても 生きるか死ぬかの 戦いなのだ。 236 00:21:30,450 --> 00:21:32,603 (驪媚)台輔。 ん…? 237 00:21:32,603 --> 00:21:38,342 台輔は ご自身が選ばれた王を 信じて おられないのでしょうか? 238 00:21:38,342 --> 00:21:42,946 信じるも 何も… あいつ ホントに バカなんだもん。 239 00:21:42,946 --> 00:21:48,769 情けのう ございます。 …なぜ 台輔は 主上を軽んじられる…? 240 00:21:48,769 --> 00:21:55,776 私は 牧伯を拝命する際 主上に 「すまぬ」と 詫びて頂きました。 241 00:21:55,776 --> 00:21:58,512  回想  (驪媚)そのような大任を 私に?! 242 00:21:58,512 --> 00:22:05,335 下大夫でしかない私を いきなり 卿伯に抜擢とは もったいない。 243 00:22:05,335 --> 00:22:09,940 (尚隆)礼は言わぬ方が いい。 …州候が 叛旗を翻せば→ 244 00:22:09,940 --> 00:22:13,443 間違いなく 牧伯の身は 危うい。 245 00:22:13,443 --> 00:22:17,948 州候城へ行ってくれ と言うは万が一 事があった時には→ 246 00:22:17,948 --> 00:22:23,170 命を捨ててくれ と言うに等しい。 …だが おれには 手駒が少ない。 247 00:22:23,170 --> 00:22:28,842 死なせるには惜しいが お前以外行ってもらう者が いない。 248 00:22:28,842 --> 00:22:35,615 (驪媚)そう言って頂ければ 万一の事があっても 本望でございます。 249 00:22:35,615 --> 00:22:41,672 喜んで 拝命いたします。 すまない…。 250 00:22:41,672 --> 00:22:44,508  現在  (六太)尚隆が…? 251 00:22:44,508 --> 00:22:48,845 (驪媚)主上は 決して 愚かでも 無責任でも ありません。 252 00:22:48,845 --> 00:22:53,183 考えるべきは 考え 行うべき事は 行っておられる。 253 00:22:53,183 --> 00:22:57,337 表に 出さないだけで ございます。 254 00:22:57,337 --> 00:23:00,774 でも 駄目だ。 尚隆は 王だから…。 255 00:23:00,774 --> 00:23:05,345 王は 民を (驪媚)いいえ… 不幸にする。 逆です! 256 00:23:05,345 --> 00:23:08,448 国の荒廃は 万民の苦難。 257 00:23:08,448 --> 00:23:12,948 民にも 国にも 王が 必要なので ございます。 258 00:23:16,006 --> 00:23:18,275 驪媚…? 259 00:23:18,275 --> 00:23:23,013 数日のうちには 王師が 頑朴に 到着いたしましょう。 260 00:23:23,013 --> 00:23:28,168 驪媚?! 宮城へ お帰り下さいませ。 261 00:23:28,168 --> 00:23:32,068 驪媚っ!! (赤索条の切れる音) 262 00:23:36,943 --> 00:23:39,943 驪媚~~~~~っ!! 263 00:23:42,999 --> 00:23:54,511 ♪♪~ (エンディング・テーマ) 264 00:23:54,511 --> 00:24:39,005 ♪♪~ 265 00:24:39,005 --> 00:25:14,005 ♪♪~ 266 00:25:17,010 --> 00:25:20,514 もう 慣れた。 …自分の手が 血塗られて いくこと。 267 00:25:20,514 --> 00:25:27,014 こんな事で 心を動かされたり しない。 十二国記 第四十三話。 268 00:25:34,010 --> 00:25:53,780 ♪♪~ (オープニング・テーマ)