1 00:00:02,002 --> 00:00:05,005 《シズク:小学生の頃 トモコは人気者で➡ 2 00:00:05,005 --> 00:00:07,508 あたしは やっかい者だった。 3 00:00:07,508 --> 00:00:12,012 トモコは みんなをもり立てて 空気をよくするタイプ。 4 00:00:12,012 --> 00:00:14,014 あたしは正反対で➡ 5 00:00:14,014 --> 00:00:18,852 人見知りで 口下手で 周囲を緊張させる…。 6 00:00:18,852 --> 00:00:24,057 だからかな 初めは トモコが大嫌いだった》 7 00:00:26,193 --> 00:00:28,362 《誰にだって事情はある。 8 00:00:28,362 --> 00:00:31,865 あたしは いわゆる放置子ってやつだ。 9 00:00:31,865 --> 00:00:35,702 母さんと新しい父親候補が よろしくやっている間➡ 10 00:00:35,702 --> 00:00:39,039 いつも あたしは 家から閉め出された。 11 00:00:39,039 --> 00:00:43,043 最初のうちは 短い時間つぶしだったけど➡ 12 00:00:43,043 --> 00:00:47,381 いつしか一日の大半を 外で過ごすことになった。 13 00:00:47,381 --> 00:00:50,217 日のあるうちは 遊ぶ相手もいるけど➡ 14 00:00:50,217 --> 00:00:54,054 つらいのは夜だ。 15 00:00:54,054 --> 00:01:00,494 だから 友達の家で遊んで 夕飯もごちそうになった。 16 00:01:00,494 --> 00:01:03,497 どの家も快く迎えてくれた。 17 00:01:03,497 --> 00:01:05,999 最初のうちは…》 18 00:01:05,999 --> 00:01:08,001 (玄関チャイム) 19 00:01:08,001 --> 00:01:10,003 🔊(友達)は~い どなた~? 20 00:01:10,003 --> 00:01:12,172 (シズク)あたし 遊びに来たよ。 21 00:01:12,172 --> 00:01:15,342 (友達)あっ シズクちゃん。 ちょっと待ってて。 22 00:01:15,342 --> 00:01:18,512 ママ~ シズクちゃん来た~。 23 00:01:18,512 --> 00:01:20,514 (友達の母)また来たの? えっ? 24 00:01:20,514 --> 00:01:22,516 (友達の母)どういう しつけされてるのかしら。 25 00:01:22,516 --> 00:01:24,518 🔊いつも晩ごはん食べて ずうずうしいし。 26 00:01:24,518 --> 00:01:26,520 🔊呼んじゃだめって 言ったでしょ? 27 00:01:26,520 --> 00:01:29,022 🔊(友達)呼んでないよ。 仲よくないもん。 28 00:01:29,022 --> 00:01:32,025 🔊(友達の母)そうなの? じゃあ 帰ってもらうわね。 29 00:01:32,025 --> 00:01:35,696 🔊シズクちゃん 今日はちょっと 用事があって だめなのよ~。 30 00:01:35,696 --> 00:01:38,031 🔊ごめんなさいね~。 31 00:01:38,031 --> 00:01:42,135 シズクちゃん? なんだ 誰もいないじゃない。 32 00:01:45,038 --> 00:01:48,542 《シズク:クラスメートは 次第にあたしを 遠ざけるようになった。 33 00:01:48,542 --> 00:01:53,046 そのほうが うちの事情がバレるより マシだと思った》 34 00:03:34,190 --> 00:03:37,360 (ドアノブが動く音) 35 00:03:37,360 --> 00:03:41,530 (ノック) 36 00:03:41,530 --> 00:03:44,700 📱(菫子)いいか 乙ちゃん。 絶対に ノックに応じるな! 37 00:03:44,700 --> 00:03:47,030 📱今すぐ そのビルから出るんだ! 38 00:03:47,030 --> 00:03:49,530 (乙)シズクさん! お… あっ ああ…。 39 00:03:49,530 --> 00:03:58,480 ♬~ 40 00:03:58,480 --> 00:04:01,150 (菫子)そっちはだめだ! 来い! 41 00:04:01,150 --> 00:04:03,150 団地妻! く…。 42 00:04:06,150 --> 00:04:08,150 (叩く音) 43 00:04:08,150 --> 00:04:10,160 なんだよ これ! 行くぞ! 44 00:04:10,160 --> 00:04:19,500 ♬~ 45 00:04:19,500 --> 00:04:22,330 あっ! シャッターが! (叩く音) 46 00:04:22,330 --> 00:04:26,000 くっ… さっき入ったときは 開いてたのに。 47 00:04:26,000 --> 00:04:30,180 どうしよう 団地妻。 クソ! 戻るしかない! 48 00:04:30,180 --> 00:04:34,350 はぁ… これで少しは もつかな。 (叩く音) 49 00:04:34,350 --> 00:04:37,180 さあ 説明してくれよ。 (叩く音) 50 00:04:37,180 --> 00:04:40,020 いったい 何が どうなってやがるんだ? 51 00:04:40,020 --> 00:04:44,860 紅衣小女孩は ノックに応じたものを襲うんだ。 52 00:04:44,860 --> 00:04:46,860 (ノック) 53 00:04:46,860 --> 00:04:50,300 (菫子)乙ちゃんは 一度 ノックに応じてしまっている。 54 00:04:50,300 --> 00:04:52,300 だから狙われたんだ。 55 00:04:52,300 --> 00:04:54,970 違う! そんなこと聞いちゃいない! 56 00:04:54,970 --> 00:04:57,970 あれがトモコって どういうことだ? 57 00:04:57,970 --> 00:05:02,140 (菫子)今の この紅衣小女孩は 怪異のキメラなんだ。 58 00:05:02,140 --> 00:05:05,980 本来は 人を山にさらう程度の 怪異だったのに➡ 59 00:05:05,980 --> 00:05:07,980 伝ぱする過程で➡ 60 00:05:07,980 --> 00:05:11,980 「ノックに応じると取り殺される」 という怪談が結合して➡ 61 00:05:11,980 --> 00:05:15,990 更には水辺に近づく者を殺す 溺死者の霊➡ 62 00:05:15,990 --> 00:05:19,320 「水鬼」が混ざって 雨の要素が加わった。 63 00:05:19,320 --> 00:05:21,660 ⦅化野:それに水鬼には➡ 64 00:05:21,660 --> 00:05:24,830 見逃せない特質が もう一つあります。 65 00:05:24,830 --> 00:05:27,670 それが 「替死鬼」です。 66 00:05:27,670 --> 00:05:30,170 (化野)水鬼が人間を死に導くと➡ 67 00:05:30,170 --> 00:05:32,670 その水鬼は成仏できますが➡ 68 00:05:32,670 --> 00:05:35,670 殺された人間は 新たに水鬼となって➡ 69 00:05:35,670 --> 00:05:38,680 次の犠牲者を探すことになります。 70 00:05:38,680 --> 00:05:42,510 その入れ代わる特性を 「替死鬼」と言い➡ 71 00:05:42,510 --> 00:05:45,020 大陸に広く伝わる伝承です。 72 00:05:45,020 --> 00:05:49,020 日本で言う 七人ミサキと同種のものです。 73 00:05:49,020 --> 00:05:51,460 (菫子)七人ミサキ…。 74 00:05:51,460 --> 00:05:55,130 (化野)そう。 常に七人で行動する怨霊で➡ 75 00:05:55,130 --> 00:05:58,630 出会った者は取り殺されて 新たなミサキとなり➡ 76 00:05:58,630 --> 00:06:00,970 古い霊から成仏していく⦆ 77 00:06:00,970 --> 00:06:04,800 (菫子)その結果 紅衣小女孩に出会うと➡ 78 00:06:04,800 --> 00:06:08,140 雨の夜にのみ 家々の扉をノックして回り➡ 79 00:06:08,140 --> 00:06:10,140 ドアを開けてもらおうと➡ 80 00:06:10,140 --> 00:06:12,640 さまよい歩く怪異になってしまう。 81 00:06:14,810 --> 00:06:18,150 端的に言えよ。 トモコは生きているのか? 82 00:06:18,150 --> 00:06:20,150 はっ! 83 00:06:20,150 --> 00:06:23,820 いいや トモコさんは すでに死んでいる。 84 00:06:23,820 --> 00:06:26,320 (乙)なんで? 85 00:06:26,320 --> 00:06:28,490 なんで! なんで! 86 00:06:28,490 --> 00:06:31,830 トモコさんは生きてる! 絶対 再会できるの! 87 00:06:31,830 --> 00:06:34,330 乙ちゃん。 シズクさん! 88 00:06:34,330 --> 00:06:37,340 違う! きっと何かの間違いで。 89 00:06:37,340 --> 00:06:39,340 ちょっと着替えてくるよ。 90 00:06:39,340 --> 00:06:42,670 この格好じゃ どうにも落ち着かない。 91 00:06:42,670 --> 00:06:45,010 (乙)シズクさん? 92 00:06:45,010 --> 00:06:47,350 ドアは開けっ放しにしておけ。 93 00:06:47,350 --> 00:06:49,510 じゃないと…。 わかってる。 94 00:06:49,510 --> 00:06:53,120 世話かけて ごめん。 95 00:06:53,120 --> 00:06:55,120 ありがとう。 (鍵のかかる音) 96 00:06:55,120 --> 00:06:57,960 シズクさん! 何 考えてる? 97 00:06:57,960 --> 00:06:59,960 どうして! 98 00:07:02,790 --> 00:07:05,960 覚悟は とうにできていたんだ。 99 00:07:05,960 --> 00:07:10,300 ただ 想像よりも ずっと最悪だっただけ。 100 00:07:10,300 --> 00:07:14,110 それでも また会えただけ マシってもんだ。 101 00:07:17,310 --> 00:07:20,150 久しぶり トモコ。 102 00:07:20,150 --> 00:07:22,980 覚えているか…。 103 00:07:22,980 --> 00:07:27,320 あのとき ドアを開けてくれたのは お前だったんだぜ。 104 00:07:27,320 --> 00:07:32,320 は… は… は…。 105 00:07:32,320 --> 00:07:34,330 (ドアの開く音) 106 00:07:34,330 --> 00:07:36,330 ⦅トモコ:シズクちゃん? 107 00:07:36,330 --> 00:07:39,000 は…。 108 00:07:39,000 --> 00:07:49,510 ♬~ 109 00:07:49,510 --> 00:07:51,610 はい。 110 00:07:51,610 --> 00:07:56,280 (ラーメンを食べる音) 111 00:07:56,280 --> 00:08:00,290 う… うう…⦆ 112 00:08:00,290 --> 00:08:09,460 (泣き声) 113 00:08:09,460 --> 00:08:13,630 (シズク)なんてことのない 普通の気遣いだったんだろう? 114 00:08:13,630 --> 00:08:16,300 お前は優しいから。 115 00:08:16,300 --> 00:08:19,970 お前にとっちゃ あたしは大勢の友達の一人。 116 00:08:19,970 --> 00:08:23,810 でも あたしにすりゃ トモコは世界で唯一の➡ 117 00:08:23,810 --> 00:08:26,810 友達って呼べる存在だったんだ。 118 00:08:26,810 --> 00:08:29,980 そんな…。 お店のみんなもいるでしょう? 119 00:08:29,980 --> 00:08:32,480 それに私 私だって…。 120 00:08:32,480 --> 00:08:35,820 ハハハ。 お前も優しいな 化野乙。 121 00:08:35,820 --> 00:08:39,320 けど あのとき あたしは決めたんだ。 122 00:08:39,320 --> 00:08:41,330 この一瞬のために➡ 123 00:08:41,330 --> 00:08:44,630 残りの人生全部 トモコに使おうって。 124 00:08:47,330 --> 00:08:49,830 一緒に暮らせて うれしかったよ。 125 00:08:49,830 --> 00:08:53,440 美容師になる夢 かなって おめでとう。 126 00:08:53,440 --> 00:08:56,110 ずっと応援してたんだぜ。 127 00:08:56,110 --> 00:09:00,610 最近は ろくに話せてなかったけど。 128 00:09:00,610 --> 00:09:02,610 シズクさん! だめ! 129 00:09:02,610 --> 00:09:04,620 (菫子)どけ! 130 00:09:04,620 --> 00:09:07,790 ふっ! くっ! ふっ! 131 00:09:07,790 --> 00:09:10,290 ありがとな 化野乙。 132 00:09:10,290 --> 00:09:12,590 お前のおかげで 弔える。 133 00:09:14,630 --> 00:09:17,630 シズクさん やめて~! 134 00:09:17,630 --> 00:09:20,830 (ドアの開く音) 135 00:09:25,970 --> 00:09:27,970 は…。 136 00:09:33,810 --> 00:09:35,810 はぁ…。 137 00:09:38,150 --> 00:09:51,330 ♬~ 138 00:09:51,330 --> 00:09:53,830 はぁ~。 139 00:09:57,170 --> 00:10:00,340 はっ! 140 00:10:00,340 --> 00:10:05,510 (髪を切る音) 141 00:10:05,510 --> 00:10:07,850 トモコ。 142 00:10:07,850 --> 00:10:10,010 あたし捜したんだぜ? 143 00:10:10,010 --> 00:10:14,520 でも 見つけられなくて ごめんよ。 144 00:10:14,520 --> 00:10:24,360 ♬~ 145 00:10:24,360 --> 00:10:27,670 (シズク)あたしが解放してあげる。 146 00:10:31,540 --> 00:10:34,140 ふっ… ハァ…。 シズクさん!? 147 00:10:37,880 --> 00:10:40,680 会えたよ。 148 00:10:48,890 --> 00:10:50,820 は…。 は…。 149 00:10:50,820 --> 00:10:55,630 化野乙 あたし…。 150 00:11:00,500 --> 00:11:04,100 シズクさん…! ああ…。 151 00:11:15,680 --> 00:11:18,520 はっ! 152 00:11:18,520 --> 00:11:21,190 ひどいよ…。 153 00:11:21,190 --> 00:11:24,690 こんなのってないよ…。 う…。 154 00:11:24,690 --> 00:11:26,690 《レン兄~!》 155 00:11:26,690 --> 00:11:28,690 📱(バイブ音) 156 00:11:30,700 --> 00:11:33,030 《僕に任せろ 乙》 157 00:11:33,030 --> 00:11:35,030 レン兄! 158 00:11:35,030 --> 00:11:37,040 止めないと! 159 00:11:37,040 --> 00:11:39,200 レン兄 目を使っちゃう! 160 00:11:39,200 --> 00:11:41,210 あ…。 161 00:11:41,210 --> 00:11:43,210 ハァ ハァ ハァ…。 162 00:11:43,210 --> 00:11:47,210 シズクさん! レン兄 まさか目を? 163 00:11:47,210 --> 00:11:50,820 目? 使ってないよ。 164 00:11:50,820 --> 00:11:52,820 使ったのは これさ。 165 00:11:52,820 --> 00:11:55,150 答案用紙? 166 00:11:55,150 --> 00:11:59,820 どうです 僕の自慢の宝物です。 これ 私のだ。 167 00:11:59,820 --> 00:12:02,160 (菫子)訳がわからん。 説明してくれ。 168 00:12:02,160 --> 00:12:05,330 (化野)向こうには 古来 人を山にさらう➡ 169 00:12:05,330 --> 00:12:07,500 「魔神仔」という 怪異がいます。 170 00:12:07,500 --> 00:12:11,170 目や服や帽子が赤い 子どものような怪異です。 171 00:12:11,170 --> 00:12:15,670 もう一つの鍵は 日本で はやった怪談話です。 172 00:12:15,670 --> 00:12:19,340 日本の赤い服の 子どもの怪異と聞いて➡ 173 00:12:19,340 --> 00:12:22,510 何が浮かびますか? 174 00:12:22,510 --> 00:12:24,520 (菫子)トイレの花子さんか。 175 00:12:24,520 --> 00:12:26,520 (化野)そのとおりです。 176 00:12:26,520 --> 00:12:30,520 おそらく 魔神仔と トイレの花子さんとが結合して➡ 177 00:12:30,520 --> 00:12:33,520 生まれたのが 紅衣小女孩でしょう。 178 00:12:33,520 --> 00:12:37,530 だから 混ざった怪異の特性を 逆用してみました。 179 00:12:37,530 --> 00:12:41,870 100点の答案用紙を見せる。 180 00:12:41,870 --> 00:12:44,200 花子さんの有名な撃退法です。 181 00:12:44,200 --> 00:12:46,370 よく そんなの持ってたな。 182 00:12:46,370 --> 00:12:50,140 乙の答案用紙は すべて大切に保管していますから。 183 00:12:50,140 --> 00:12:52,810 あっ! すさまじい兄バカっぷりに➡ 184 00:12:52,810 --> 00:12:54,810 私は戸惑うばかりだよ。 185 00:12:54,810 --> 00:12:57,320 じゃあ シズクさんは助かったの? 186 00:12:57,320 --> 00:13:00,620 いいや まだ。 一時的に撃退しただけだ。 187 00:13:02,650 --> 00:13:04,660 駅に向かいましょう。 188 00:13:06,820 --> 00:13:08,990 (化野)すみません 菫子さん。 189 00:13:08,990 --> 00:13:11,660 病み上がりじゃなければ 手伝えたんですが。 190 00:13:11,660 --> 00:13:15,500 (菫子)いまいましいガキだよ まったく。 191 00:13:15,500 --> 00:13:17,840 (化野)お疲れさまです。 192 00:13:17,840 --> 00:13:20,510 じゃあ 切符をもらってくるので しばし お待ちを。 193 00:13:20,510 --> 00:13:23,170 (菫子)切符? 何をする気だ? 194 00:13:23,170 --> 00:13:27,080 いや それ以前に ここは きさらぎ駅なのか? 195 00:13:29,350 --> 00:13:32,850 (菫子)そろそろ手札を 見せてくれてもいいだろう? 196 00:13:32,850 --> 00:13:38,190 (化野)ここが都市伝説に出てきた 謎の駅か ということなら…。 197 00:13:38,190 --> 00:13:40,190 イエスです。 198 00:13:40,190 --> 00:13:42,190 やはりここが きさらぎ駅! 199 00:13:42,190 --> 00:13:45,860 現実世界と異なる世界に存在する 異世界駅! 200 00:13:45,860 --> 00:13:50,130 私は あの伝説の中にいるのか! ハハハ~ッ! 201 00:13:50,130 --> 00:13:53,140 そんなことより 今は用件を済ませましょう。 202 00:13:53,140 --> 00:13:56,640 菫子さん あのビルで何か拾ってますよね? 203 00:13:56,640 --> 00:13:58,640 んっ? これか? 204 00:13:58,640 --> 00:14:01,310 シズクさんが持っていた はさみ。 205 00:14:01,310 --> 00:14:04,150 んっ。 (嗅ぐ音) 206 00:14:04,150 --> 00:14:06,480 う… うう…! あ…。 207 00:14:06,480 --> 00:14:10,150 やっぱりだ。 これ 呪物になってますね? 208 00:14:10,150 --> 00:14:13,160 (駅係員)拾得物の 届け出でしたら➡ 209 00:14:13,160 --> 00:14:15,330 こちらへどうぞ。 んっ? 210 00:14:15,330 --> 00:14:20,830 (駅係員)今日は ずいぶんと にぎやかですね 神隠し。 211 00:14:20,830 --> 00:14:24,170 おや 変若人とは珍しい。 212 00:14:24,170 --> 00:14:27,670 その女性 切符に交換されますか? 213 00:14:27,670 --> 00:14:30,840 く… くく…。 214 00:14:30,840 --> 00:14:33,010 《友人を差し出すつもりはない》 215 00:14:33,010 --> 00:14:35,010 (駅係員)これは失礼。 216 00:14:35,010 --> 00:14:37,520 では 今日は何を交換されますか? 217 00:14:37,520 --> 00:14:42,020 (菫子)く… くく… ハァ ハァ ハァ…。 218 00:14:42,020 --> 00:14:45,120 ハァ ハァ ハァ…。 219 00:14:49,190 --> 00:14:53,460 《これを》 (駅係員)発生直後の呪物ですね。 220 00:14:53,460 --> 00:14:56,300 ですが 純粋ではないようだ。 221 00:14:56,300 --> 00:14:59,800 あなたの目的地までは 到達できませんが。 222 00:14:59,800 --> 00:15:02,640 《できるかぎり遠くまでで かまわない。 223 00:15:02,640 --> 00:15:06,340 ただし 乗るのは 紅衣小女孩だけだ》 224 00:15:08,480 --> 00:15:12,150 (化野)列車は すぐに来る。 まっすぐ ホームへ向かうんだよ。 225 00:15:12,150 --> 00:15:14,550 (乙)うん わかった。 226 00:15:34,840 --> 00:15:38,680 化野乙。 シズクさん! 227 00:15:38,680 --> 00:15:41,180 (シズク)死んで… ない? 228 00:15:41,180 --> 00:15:43,350 あたしは失敗したのか? 229 00:15:43,350 --> 00:15:45,350 (乙)落ち着いて。 230 00:15:45,350 --> 00:15:48,190 シズクさん 紅衣小女孩に取りつかれて➡ 231 00:15:48,190 --> 00:15:50,120 一度消えたんだよ。 232 00:15:50,120 --> 00:15:52,790 それを兄が食い止めてくれたの。 233 00:15:52,790 --> 00:15:56,290 ここは異界をつなぐ怪異の駅。 234 00:15:56,290 --> 00:15:58,800 あと10分で列車が来る。 235 00:15:58,800 --> 00:16:03,130 その列車に 紅衣小女孩だけを乗せれば➡ 236 00:16:03,130 --> 00:16:06,300 助かるよ。 そうか…。 237 00:16:06,300 --> 00:16:09,970 ちゃんと怪異を 引き受けられたんだな。 238 00:16:09,970 --> 00:16:15,310 ならもう… いいんだよ 化野乙。 239 00:16:15,310 --> 00:16:18,480 あのね トモコさんのことを調べたとき➡ 240 00:16:18,480 --> 00:16:20,820 いろんな人に話を聞いたの。 241 00:16:20,820 --> 00:16:24,820 「トモコさんの交友関係を ご存じですか?」って。 242 00:16:24,820 --> 00:16:27,490 質問の答えは みんな一緒。 243 00:16:27,490 --> 00:16:29,990 「シズクと買い物に行った」。 244 00:16:29,990 --> 00:16:32,160 「シズクとごはん食べに行った」。 245 00:16:32,160 --> 00:16:37,340 トモコちゃんは いつも シズクって子のエピソードばかり話すんだ。 246 00:16:37,340 --> 00:16:39,840 これでも トモコさんにとって➡ 247 00:16:39,840 --> 00:16:43,510 自分が 大勢の中の一人だったと思う? 248 00:16:43,510 --> 00:16:48,180 それに トモコさんが はさみを残してくれたから➡ 249 00:16:48,180 --> 00:16:51,180 列車の切符が手に入ったんだよ。 250 00:16:53,620 --> 00:16:57,120 う… うう…。 251 00:16:57,120 --> 00:17:02,630 (泣き声) 252 00:17:02,630 --> 00:17:04,630 きっと トモコさんも➡ 253 00:17:04,630 --> 00:17:08,300 あなたに 生きてほしいと思ってるよ。 254 00:17:08,300 --> 00:17:11,470 🔊まもなく列車が参ります。 255 00:17:11,470 --> 00:17:16,270 🔊危ないですから 白線の内側まで お下がりください。 256 00:17:18,980 --> 00:17:21,480 (化野)そろそろ列車が来る時間だ。 257 00:17:21,480 --> 00:17:25,320 (菫子)乙ちゃん 一人で行かせてよかったのか? 258 00:17:25,320 --> 00:17:27,320 乙なら大丈夫ですよ。 259 00:17:27,320 --> 00:17:29,490 見かけより ずっとしっかりしてる。 260 00:17:29,490 --> 00:17:33,320 むしろ 菫子さんを ここに一人にするほうが心配だ。 261 00:17:33,320 --> 00:17:38,000 余計なお世話だ と言いたいところだけどね。 262 00:17:38,000 --> 00:17:40,500 正直 助かる。 263 00:17:40,500 --> 00:17:43,830 想像以上に 私はビビッているようだ。 264 00:17:43,830 --> 00:17:46,000 ん…。 265 00:17:46,000 --> 00:17:50,940 ん… 窓口の声 何を言ってるのか わからなかったが➡ 266 00:17:50,940 --> 00:17:54,610 あれは人間が関わっては いけないものだ。 267 00:17:54,610 --> 00:17:58,280 知らないで済むのなら 一生知らないほうがいい。 268 00:17:58,280 --> 00:18:01,620 だから君は あえて何も言わなかったんだろ? 269 00:18:01,620 --> 00:18:04,620 それはさすがに よく言い過ぎだ。 270 00:18:04,620 --> 00:18:07,630 僕も言うのが怖かっただけですよ。 271 00:18:13,970 --> 00:18:17,640 (シズク)なんで こんな時間に 満員電車が…。 272 00:18:17,640 --> 00:18:19,640 コイツら なんなんだ? 273 00:18:19,640 --> 00:18:22,470 あっ! あ…! 274 00:18:22,470 --> 00:18:31,320 ♬~ 275 00:18:31,320 --> 00:18:34,490 (化野)呪物や怪異って 異物なんですよ。 276 00:18:34,490 --> 00:18:38,590 本来 この世界には あるべきではない きょう雑物。 277 00:18:45,830 --> 00:18:48,170 (叩く音) 278 00:18:48,170 --> 00:18:51,440 (化野)そして 世界はいつだって➡ 279 00:18:51,440 --> 00:18:55,740 その異物を 排除したくてたまらないんだ。 280 00:19:01,280 --> 00:19:05,120 (化野)だから 世界が不必要な 異物を排斥するために➡ 281 00:19:05,120 --> 00:19:07,790 この駅が生まれたんです。 282 00:19:07,790 --> 00:19:11,490 (猫の鳴き声) 283 00:19:14,460 --> 00:19:17,290 (猫の王)ふ~ん。 284 00:19:17,290 --> 00:19:19,800 イヒヒヒヒ…。 285 00:19:21,800 --> 00:19:23,800 (化野)料金は呪物。 286 00:19:23,800 --> 00:19:27,810 そして この路線の最果てに 僕らの故郷がある。 287 00:19:27,810 --> 00:19:32,140 だから 最果てに到達できる呪物を 探しています。 288 00:19:32,140 --> 00:19:37,850 生きて故郷に帰る それが僕ら兄妹の目的。 289 00:19:40,320 --> 00:19:43,320 僕らは異界からの漂流者です。 290 00:19:46,660 --> 00:19:50,660 (菫子)フンッ ようやく白状したな まったく。 291 00:19:50,660 --> 00:19:54,000 言ったら引かれるとでも 思ってたのかい? 292 00:19:54,000 --> 00:19:58,170 私も白状すると この数週間の体験のおかげで➡ 293 00:19:58,170 --> 00:20:01,670 久方ぶりに 創作意欲が あふれかえっててね。 294 00:20:01,670 --> 00:20:05,010 フッ 君らだけで そんなおもしろいことさせないぞ。 295 00:20:05,010 --> 00:20:07,850 菫子さん…。 296 00:20:07,850 --> 00:20:12,020 それに… 次回作を読む約束だろ。 297 00:20:12,020 --> 00:20:14,020 逃がしゃしない。 298 00:20:16,020 --> 00:20:19,860 完全な やっかい熟女ムーブですね。 299 00:20:19,860 --> 00:20:21,860 (菫子)無事だったか? 300 00:20:21,860 --> 00:20:25,200 紅衣小女孩は? 送れたよ。 301 00:20:25,200 --> 00:20:28,700 ごめん。 世話になったね。 緒川のねえさん! 302 00:20:28,700 --> 00:20:32,040 ねえさん? ずいぶん殊勝だな。 303 00:20:32,040 --> 00:20:35,210 トモコの分も 生きてみようと思えたんだ。 304 00:20:35,210 --> 00:20:37,710 ありがとうな オッちゃん! おお。 305 00:20:37,710 --> 00:20:40,710 で お前の兄ちゃんてのは どこだ? 306 00:20:40,710 --> 00:20:42,710 礼くらい言わせてくれよ。 307 00:20:42,710 --> 00:20:46,620 あれ? 先に外に出たのかな。 308 00:20:49,390 --> 00:20:51,590 (乙)行ってみよう! 309 00:20:56,330 --> 00:21:01,500 ハァ…。 310 00:21:04,340 --> 00:21:06,500 (駅係員)ご苦労なことだ。 311 00:21:06,500 --> 00:21:10,170 実の兄でも ましてや人間ですらない。 312 00:21:10,170 --> 00:21:13,680 まがいものの化け物風情が。 313 00:21:13,680 --> 00:21:16,180 ん… ハァ…。 314 00:21:16,180 --> 00:21:19,180 (駅係員)何年 眠っていないんです? 315 00:21:19,180 --> 00:21:22,520 最後に食事をした記憶は? 316 00:21:22,520 --> 00:21:27,020 少しでも苦痛が和らぐ瞬間は あるんですか? 317 00:21:27,020 --> 00:21:29,690 うう…。 318 00:21:29,690 --> 00:21:33,030 (駅係員)じきにあなたは 妹のために すり減り➡ 319 00:21:33,030 --> 00:21:35,370 消えるでしょう。 320 00:21:35,370 --> 00:21:38,700 切符があろうと あなたが帰れる駅なんて➡ 321 00:21:38,700 --> 00:21:41,040 どこにも ありはしないのに。 322 00:21:41,040 --> 00:21:44,140 (化野)く… ふ… く…。 323 00:21:46,380 --> 00:21:49,880 《それでも あの子は帰るべきだ。 324 00:21:49,880 --> 00:21:53,150 乙は本当に ただの迷子なんだ。 325 00:21:53,150 --> 00:21:56,490 待つ人も 捜す人もいる。 326 00:21:56,490 --> 00:21:58,820 証明してやるんだ。 327 00:21:58,820 --> 00:22:04,030 お前は 不要な存在なんかじゃないって》