1 00:00:02,147 --> 00:00:04,792 (化野)菫子さんちょっといいですか? 2 00:00:04,816 --> 00:00:07,962 (菫子)うん?(化野)問い合わせなんですけど➡ 3 00:00:07,986 --> 00:00:09,964 わかります? 4 00:00:09,988 --> 00:00:12,300 『おなら大全』? 5 00:00:12,324 --> 00:00:15,803 これなら あそこの文化・民族の棚だよ。 6 00:00:15,827 --> 00:00:18,806 えっ? 実在するんですか?この本。 7 00:00:18,830 --> 00:00:21,642 こちらですね。あ〜 そうそう。 8 00:00:21,666 --> 00:00:23,978 これこれ よかったぁ。 9 00:00:24,002 --> 00:00:26,814 ありがとうございました。 10 00:00:26,838 --> 00:00:30,151 助かりました。お礼は 缶コーヒー。 11 00:00:30,175 --> 00:00:32,153 書店で働いてると➡ 12 00:00:32,177 --> 00:00:34,989 自分の知らない本がこんなにあるのかって➡ 13 00:00:35,013 --> 00:00:36,991 思い知りますよ。 14 00:00:37,015 --> 00:00:40,328 (菫子)しかも それが日々 更新されてくなんて。 15 00:00:40,352 --> 00:00:42,330 たまらないねぇ。 16 00:00:42,354 --> 00:00:44,332 でも 菫子さん。んっ? 17 00:00:44,356 --> 00:00:47,001 店の本 ほぼ全部把握してません? 18 00:00:47,025 --> 00:00:49,170 気持ち悪っ。んっ!いてっ。 19 00:00:49,194 --> 00:00:51,172 君がディスるのは なしだろう。 20 00:00:51,196 --> 00:00:54,508 コーヒー1本追加だ。ええ〜…。 21 00:00:54,532 --> 00:00:57,845 フッ… 本にこだわるのはしかたないだろう? 22 00:00:57,869 --> 00:01:02,783 ずっと捜してる本たちがあって捜してたら覚えちゃったんだよ。 23 00:01:02,807 --> 00:01:06,787 ずっと捜してる?いつから見つかってないんです? 24 00:01:06,811 --> 00:01:09,623 ふむ… とにかく ずっと前だよ。 25 00:01:09,647 --> 00:01:13,961 たくさん読んだのにどのタイトルも覚えてなくてね。 26 00:01:13,985 --> 00:01:18,632 手がかりは ひたすらにおもしろかったという感触だけ。 27 00:01:18,656 --> 00:01:22,470 書店にいるのは その本たちを捜すためでもあるんだ。 28 00:01:22,494 --> 00:01:25,806 記憶力なさすぎでは?あぁ! 29 00:01:25,830 --> 00:01:29,977 黙れ小僧! コーヒー3本だ! フン! 30 00:01:30,001 --> 00:01:32,146 フフ。ふぅ…。 31 00:01:32,170 --> 00:01:34,148 フッ。んっ? 32 00:01:34,172 --> 00:01:36,317 いらっしゃいませ〜。 33 00:01:36,341 --> 00:01:40,654 ⦅化野:生きて故郷に帰るそれが僕ら兄妹の目的⦆ 34 00:01:40,678 --> 00:01:42,990 《菫子:そうか…。 35 00:01:43,014 --> 00:01:46,014 君はいつか いなくなるんだなぁ》 36 00:03:26,651 --> 00:03:28,629 フフフフフン…。 37 00:03:28,653 --> 00:03:31,131 コーヒー3本せしめたぞ。 38 00:03:31,155 --> 00:03:33,300 んっ? 39 00:03:33,324 --> 00:03:36,637 は…。 40 00:03:36,661 --> 00:03:38,961 あああ…。 41 00:03:43,334 --> 00:03:48,983 《菫子:子どもの頃私は極端な口下手だった。 42 00:03:49,007 --> 00:03:51,318 言いたいことがなかったわけではなく➡ 43 00:03:51,342 --> 00:03:53,320 むしろ逆だ。 44 00:03:53,344 --> 00:03:57,658 高温で ドロドロに溶けた言葉が頭の中で混ざり合い➡ 45 00:03:57,682 --> 00:04:00,761 取り出せず 途方に暮れて…。 46 00:04:00,785 --> 00:04:05,599 その日もまた ささいなことから友達とケンカになった。 47 00:04:05,623 --> 00:04:10,604 私は否定も謝罪もできずただむっつり 黙り込むだけで…》 48 00:04:10,628 --> 00:04:12,606 ⦅なんで黙ってるのよぉ!⦆ 49 00:04:12,630 --> 00:04:15,109 《それが友達を更に怒らせて…。 50 00:04:15,133 --> 00:04:17,278 空気を悪化させた》 51 00:04:17,302 --> 00:04:20,281 ⦅く… えい!(友達たち)あぁ! 52 00:04:20,305 --> 00:04:22,449 ちょっと 菫子ちゃん! 53 00:04:22,473 --> 00:04:24,785 ⚟待ちなさいよぉ!⚟待って〜! 54 00:04:24,809 --> 00:04:26,809 (泣き声) 55 00:04:28,813 --> 00:04:30,813 く…。 56 00:04:34,652 --> 00:04:38,132 は〜…。 57 00:04:38,156 --> 00:04:41,456 あ… んっ…。 58 00:04:44,495 --> 00:04:47,141 菫子ちゃ〜ん!どこ行ったの! 59 00:04:47,165 --> 00:05:06,927 ♬〜 60 00:05:06,951 --> 00:05:10,097 は〜…。 61 00:05:10,121 --> 00:05:20,274 ♬〜 62 00:05:20,298 --> 00:05:22,698 (ドアベル) 63 00:05:29,307 --> 00:05:32,286 扉を閉めな。あっ! 64 00:05:32,310 --> 00:05:37,458 フッ… 本に日ざしは大敵なんだよお嬢ちゃん。 65 00:05:37,482 --> 00:05:39,982 あっ ご… ごめんなさい! 66 00:05:42,320 --> 00:05:44,720 ごゆっくり。 67 00:05:58,503 --> 00:06:00,703 は〜…。 68 00:06:05,276 --> 00:06:07,588 あっ。(鼻をすする音) 69 00:06:07,612 --> 00:06:11,091 何見てんだよ。えっ! 70 00:06:11,115 --> 00:06:15,262 いい本を読んだら涙くらい流れるもんだろ? 71 00:06:15,286 --> 00:06:18,265 大人なのに?うっ! 72 00:06:18,289 --> 00:06:21,769 あのね 大人だって泣くときには泣くんだよ。 73 00:06:21,793 --> 00:06:24,772 本を読んで?そうさ。 74 00:06:24,796 --> 00:06:27,696 気になるならお嬢ちゃんも読んでみるかい? 75 00:06:31,803 --> 00:06:36,784 いいの?ちょうど読み終わったところだ。 76 00:06:36,808 --> 00:06:39,953 ん…。奥に試し読みのスペースがあるから➡ 77 00:06:39,977 --> 00:06:41,955 自由に使っていいよ。 78 00:06:41,979 --> 00:06:44,779 どうせ他に客もいないことだしね。 79 00:06:56,994 --> 00:06:59,294 (椅子を引く音) 80 00:07:01,599 --> 00:07:04,078 ふぅ…。 81 00:07:04,102 --> 00:07:06,902 本なんて退屈なんだけどな。 82 00:07:11,943 --> 00:07:14,243 はぁぁ…。 83 00:07:21,619 --> 00:07:26,433 《「今 私の目の前には3通の封筒が置かれている。 84 00:07:26,457 --> 00:07:29,770 そして私はこの中の1通だけしか➡ 85 00:07:29,794 --> 00:07:33,107 封を切って中を見ることが許されていないのだ。 86 00:07:33,131 --> 00:07:37,111 あの人が記したメッセージはどの封筒に入っている? 87 00:07:37,135 --> 00:07:40,114 封筒の見た目はどれもまったく同じだ。 88 00:07:40,138 --> 00:07:44,451 表面に ほんのかすかな染みのようなものがついている。 89 00:07:44,475 --> 00:07:46,954 私は その封筒を取り上げると➡ 90 00:07:46,978 --> 00:07:50,124 自分に迷う隙を与えずに封を切った。 91 00:07:50,148 --> 00:07:54,294 中の便箋を引き出しメッセージを目にしたその刹那に➡ 92 00:07:54,318 --> 00:07:57,798 私を取り巻く世界は様相が一変していた」》 93 00:07:57,822 --> 00:07:59,733 あっ! は…。 94 00:07:59,757 --> 00:08:02,069 もう日没だ 帰りな。 95 00:08:02,093 --> 00:08:04,738 家族が心配するよ。でも…。 96 00:08:04,762 --> 00:08:08,762 続きは また明日だ。でも…。 97 00:08:11,602 --> 00:08:14,581 じゃあ その本は貸してあげるよ。 98 00:08:14,605 --> 00:08:18,085 ただし明日には必ず返してくれよ。 99 00:08:18,109 --> 00:08:20,109 うん。 100 00:08:22,113 --> 00:08:24,713 ハァ ハァ ハァ ハァ…。 101 00:08:28,119 --> 00:08:30,119 フフフ…。 102 00:08:32,623 --> 00:08:36,103 はい。返しに来てくれたんだね。 103 00:08:36,127 --> 00:08:39,106 ありがとう。 104 00:08:39,130 --> 00:08:43,930 次は そこら辺りから好きな本選んで読みな。 105 00:08:50,308 --> 00:08:53,287 《「もうコーヒーはとっくに冷めてしまっている。 106 00:08:53,311 --> 00:08:57,791 “ねぇ 奥さんのこと愛してるの?”ユリアが そう聞いてきた。 107 00:08:57,815 --> 00:09:01,562 僕の背後の扉が開き誰か客が入ってきたようだが➡ 108 00:09:01,586 --> 00:09:03,564 今は どうでもいい。 109 00:09:03,588 --> 00:09:06,066 弱り果てた僕は思わず答えていた。 110 00:09:06,090 --> 00:09:08,068 “愛してるわけないじゃないか”。 111 00:09:08,092 --> 00:09:11,572 その瞬間 ユリアが僕の後ろを見て小さく笑った。 112 00:09:11,596 --> 00:09:15,409 後ろを見た僕は もうすべてが終わったのだと知った。 113 00:09:15,433 --> 00:09:17,411 立っていたのは妻だったのだ。 114 00:09:17,435 --> 00:09:21,582 そして 表情一つ変えることなく冷たい声で口にした。 115 00:09:21,606 --> 00:09:24,918 “どうぞ お幸せに”」》 116 00:09:24,942 --> 00:09:26,920 ねぇ。んっ? 117 00:09:26,944 --> 00:09:28,922 「ふりん」って何? 118 00:09:28,946 --> 00:09:33,093 不倫? う〜ん… そうだねぇ。 119 00:09:33,117 --> 00:09:36,096 「誰でもしていることなんだけど➡ 120 00:09:36,120 --> 00:09:39,433 それがバレたら最悪にマズいこと」かな。 121 00:09:39,457 --> 00:09:43,604 ふ〜ん。 じゃあ辞書で エッチな単語を見つけたら➡ 122 00:09:43,628 --> 00:09:45,772 線を引くみたいなこと? 123 00:09:45,796 --> 00:09:49,943 それは悪いことじゃないがそんなことしてるのか? 君。 124 00:09:49,967 --> 00:09:52,279 私は不安で胸がいっぱいだよ。 125 00:09:52,303 --> 00:09:54,448 クラスの男子はしてるよ。 126 00:09:54,472 --> 00:09:57,284 まったく 度し難いな。 127 00:09:57,308 --> 00:10:00,787 《「男はあざ笑うような表情で言った。 128 00:10:00,811 --> 00:10:04,958 “魔法? その年でまだ魔法なんか信じてるのかい?” 129 00:10:04,982 --> 00:10:07,794 サリは悔しくて唇をかんだ。 130 00:10:07,818 --> 00:10:11,965 またしても 勝手に心の中を読まれてしまったのだ。 131 00:10:11,989 --> 00:10:15,469 男に対する殺意さえ沸き起こった。 132 00:10:15,493 --> 00:10:20,474 “人を呪うのは幽霊なんかじゃありませんよ”と霊媒師は言う。 133 00:10:20,498 --> 00:10:22,976 “彼女は自ら命を絶つ前に➡ 134 00:10:23,000 --> 00:10:25,312 あなたにひと言だけ告げたのでしょう? 135 00:10:25,336 --> 00:10:30,150 花の名前を あなたに教えた”霊媒師は薄く目を開く。 136 00:10:30,174 --> 00:10:33,674 “それが呪いというものなのですよ”」》 137 00:10:35,680 --> 00:10:39,493 はっ!フッ。 138 00:10:39,517 --> 00:10:41,517 フフフ。 139 00:10:44,021 --> 00:10:47,668 この本は どんなの?お目が高いねぇ。 140 00:10:47,692 --> 00:10:51,338 それは 相撲取りが爆死するタイプのミステリーだよ。 141 00:10:51,362 --> 00:10:55,175 わぁ おもしろそう! 142 00:10:55,199 --> 00:10:59,499 ふむ… もう 大丈夫そうだね。 143 00:11:04,308 --> 00:11:08,121 んっ?やっぱり 一回だけ聞いておこう。 144 00:11:08,145 --> 00:11:11,625 んっ?君 何かあったのかい? 145 00:11:11,649 --> 00:11:13,961 えっ?いや…。 146 00:11:13,985 --> 00:11:17,297 君が初めて来たとき泣いてたからさ。 147 00:11:17,321 --> 00:11:19,633 無理に言わなくてもいいよ? 148 00:11:19,657 --> 00:11:23,457 第一 ガラじゃないんだ。 ふぅ…。 149 00:11:26,831 --> 00:11:29,309 わわわ わ… 私…⦆ 150 00:11:29,333 --> 00:11:31,812 《菫子:うまくしゃべれないこと。 151 00:11:31,836 --> 00:11:35,315 それが原因で友達とケンカしたこと。 152 00:11:35,339 --> 00:11:37,985 たったそれだけの説明に➡ 153 00:11:38,009 --> 00:11:42,823 ひどく時間がかかったのを覚えている。 154 00:11:42,847 --> 00:11:49,247 でも彼女は せかすことなくただ待っててくれた》 155 00:11:54,191 --> 00:11:56,670 ⦅うまくしゃべれるようになりたいかい? 156 00:11:56,694 --> 00:11:59,606 うん。知ってるかい? 157 00:11:59,630 --> 00:12:04,111 人は頭の中に一冊の辞書があるんだそうだ。 158 00:12:04,135 --> 00:12:06,446 「心的辞書」といってね。 159 00:12:06,470 --> 00:12:10,450 そこから無意識に言葉を探してしゃべってるんだ。 160 00:12:10,474 --> 00:12:12,452 君は どうやら➡ 161 00:12:12,476 --> 00:12:15,976 その辞書を引くのが苦手みたいだな。 162 00:12:20,818 --> 00:12:23,630 文章を書いてごらん。 163 00:12:23,654 --> 00:12:25,654 は…? 164 00:12:27,658 --> 00:12:30,137 実際に書かなくてもいい。 165 00:12:30,161 --> 00:12:34,474 まずは頭の中に原稿用紙を用意するんだ。 166 00:12:34,498 --> 00:12:38,812 そこに 知ってる言葉を全部書いて形を与える。 167 00:12:38,836 --> 00:12:42,315 頭の辞書を 一度バラバラにするんだ。 168 00:12:42,339 --> 00:12:44,818 もう言葉は十分にあるから。 169 00:12:44,842 --> 00:12:49,823 次に原稿用紙に言葉を並べ直して文章にする。 170 00:12:49,847 --> 00:12:54,661 そして 出来上がった原稿を読んでごらん。 171 00:12:54,685 --> 00:12:58,999 できるかな…?できるさ。はっ! 172 00:12:59,023 --> 00:13:01,601 慣れは必要だけどね。 173 00:13:01,625 --> 00:13:04,104 はぁぁ…。きっと君は➡ 174 00:13:04,128 --> 00:13:07,441 膨大な量の文章を書くことになる。 175 00:13:07,465 --> 00:13:10,265 日常そのものが長編小説だ。 176 00:13:12,636 --> 00:13:17,784 いつか君が小説を書いたときは私にも読ませてほしいね。 177 00:13:17,808 --> 00:13:21,788 もう本は あらかた読み尽くしちゃったからさ。 178 00:13:21,812 --> 00:13:23,812 (菫子)うん! 179 00:13:26,984 --> 00:13:29,463 (菫子)ねぇ 見て見て〜⦆ 180 00:13:29,487 --> 00:13:32,632 《菫子:彼女の助言はてきめんだった。 181 00:13:32,656 --> 00:13:35,256 友人としゃべれるようになったのだ》 182 00:13:37,328 --> 00:13:39,473 ⦅あっ!⦆ 183 00:13:39,497 --> 00:13:43,997 《仲直りできたお礼を言うために書店に向かったが…》 184 00:13:47,505 --> 00:13:52,205 《書店に続く道は二度と見つからなかった》 185 00:13:55,012 --> 00:13:58,992 《その道が… 目の前にあった》 186 00:13:59,016 --> 00:14:01,816 は… んん…。 187 00:14:04,288 --> 00:14:08,768 ん… あっ! 188 00:14:08,792 --> 00:14:11,192 ぬっ いかん…! 189 00:14:13,964 --> 00:14:18,264 君が日に異に 老ゆらく惜しも。 190 00:14:25,142 --> 00:14:27,287 フフフン。 191 00:14:27,311 --> 00:14:29,789 余裕だね。 うおっ!? 192 00:14:29,813 --> 00:14:47,313 ♬〜 193 00:14:49,667 --> 00:14:52,267 ああ…。 194 00:14:54,338 --> 00:14:57,817 (菫子)で あの店で読んだ本たちの正体も➡ 195 00:14:57,841 --> 00:15:01,922 わからずじまい ってオチなのさ。 196 00:15:01,946 --> 00:15:06,593 なるほど。 これで一つ菫子さんの謎が解けましたよ。 197 00:15:06,617 --> 00:15:09,763 私の謎? 聞き捨てならんな。 198 00:15:09,787 --> 00:15:14,768 どこか堅苦しい 独特なしゃべり方をすると思ってたんで。 199 00:15:14,792 --> 00:15:19,105 ああ 書きながらしゃべるうちにしぜんとこうなったんだ。 200 00:15:19,129 --> 00:15:23,109 私は このしゃべり方が気に入ってるんでね。 201 00:15:23,133 --> 00:15:25,612 あの人に どこか似ているから。 202 00:15:25,636 --> 00:15:29,115 へぇ〜。ずいぶんと軽いリアクションだな。 203 00:15:29,139 --> 00:15:32,953 それより その書店の名前ってわかります? 204 00:15:32,977 --> 00:15:34,955 名前…。 205 00:15:34,979 --> 00:15:38,625 ん… 書店の名前はなぜか うろ覚えでね。 206 00:15:38,649 --> 00:15:42,295 たしか 「玉心堂」… とかなんとか。 207 00:15:42,319 --> 00:15:44,297 玉心堂?んっ? 208 00:15:44,321 --> 00:15:48,635 どうした?本を愛する不思議な女性…。 209 00:15:48,659 --> 00:15:52,305 同類だと思って菫子さんを招いた? 210 00:15:52,329 --> 00:15:54,474 おい。(店長)緒川さん。 211 00:15:54,498 --> 00:15:57,143 はい。(店長)今 お客さん少ないし➡ 212 00:15:57,167 --> 00:16:01,081 搬入 手伝ってもらえないかな。あぁ わかりました。 213 00:16:01,105 --> 00:16:03,205 いやぁ 悪いねぇ。 214 00:16:06,110 --> 00:16:10,924 で さっきの話…。ああ 不思議な女性の話ですね。 215 00:16:10,948 --> 00:16:14,928 五代将軍 綱吉の頃の話です。 216 00:16:14,952 --> 00:16:18,265 容姿端麗な お姫様がいました。 217 00:16:18,289 --> 00:16:22,269 五千巻以上ある一切経を2度も読み返したという➡ 218 00:16:22,293 --> 00:16:24,604 読書家だったといわれます。 219 00:16:24,628 --> 00:16:28,441 姫の死後 遺言により蔵書は寺に寄贈し➡ 220 00:16:28,465 --> 00:16:33,947 姫の墓の傍らに蔵を造り誰にでも貸し出したそうです。 221 00:16:33,971 --> 00:16:36,783 四谷にあった姫の墓に耳を当てると➡ 222 00:16:36,807 --> 00:16:39,786 本を読む声が聞こえたそうですよ。 223 00:16:39,810 --> 00:16:43,957 一説によるとその姫の法名が 玉心院。 224 00:16:43,981 --> 00:16:47,294 えっ?読書好きが高じて➡ 225 00:16:47,318 --> 00:16:50,130 ついたあだ名は「書籍姫」です。 226 00:16:50,154 --> 00:16:53,633 書籍姫?姫の蔵書の貸し出しには➡ 227 00:16:53,657 --> 00:16:55,635 ルールが一つ。 228 00:16:55,659 --> 00:16:58,805 返すときに必ず一冊加えること。 229 00:16:58,829 --> 00:17:01,908 守らない者は たたられたとか。 230 00:17:01,932 --> 00:17:05,078 よほど新しい本が読みたいんでしょうね。 231 00:17:05,102 --> 00:17:09,749 えっ? でも私は本の追加なんて…。 あっ。 232 00:17:09,773 --> 00:17:12,585 ⦅書籍姫:いつか君が小説を書いたときは➡ 233 00:17:12,609 --> 00:17:14,921 私にも読ませてほしいね⦆ 234 00:17:14,945 --> 00:17:19,092 はは〜ん。気の長い読者もいるもんだな。 235 00:17:19,116 --> 00:17:21,216 えっ?フフフ…。 236 00:17:23,454 --> 00:17:27,600 (菫子)次 会うときは新しい本を寄贈しないとな。 237 00:17:27,624 --> 00:17:31,924 作家 緒川スミレコのサインを添えて。 238 00:17:34,965 --> 00:17:36,943 (よるむん)あっ あ〜。 239 00:17:36,967 --> 00:17:39,112 聞こえる〜? 雑魚のみんな。 240 00:17:39,136 --> 00:17:44,117 人魚姫のVTuber姫魚よるむんだよ〜! 241 00:17:44,141 --> 00:17:47,441 (化野)どうぞ。(菫子)おっ 気が利くな。 242 00:17:51,648 --> 00:17:53,626 ふぅ…。 243 00:17:53,650 --> 00:17:55,628 新しい呪物の当てはあるのかい? 244 00:17:55,652 --> 00:17:59,065 難しいところです。怪異はあっても➡ 245 00:17:59,089 --> 00:18:02,068 必ず呪物があるわけじゃないですからね。 246 00:18:02,092 --> 00:18:05,572 そういうものかな?そういうものです。 247 00:18:05,596 --> 00:18:09,242 じゃあいっそ最初から物理的な怪異だったら➡ 248 00:18:09,266 --> 00:18:12,245 手間が省けないか?付喪神とか…。 249 00:18:12,269 --> 00:18:14,414 付喪神はなぁ…。 250 00:18:14,438 --> 00:18:17,083 見つけること自体難しいんですよ。 251 00:18:17,107 --> 00:18:19,586 そうなのか?他人の私物を➡ 252 00:18:19,610 --> 00:18:22,589 勝手にのぞき見るわけにはいかないでしょ? 253 00:18:22,613 --> 00:18:25,925 菫子さん私物を全部見せてくれます? 254 00:18:25,949 --> 00:18:29,095 おととい来やがれだな。でしょう? 255 00:18:29,119 --> 00:18:33,600 それ以前に 今のご時世に付喪神なんていますかね? 256 00:18:33,624 --> 00:18:36,102 えっ? それを君が言うのか? 257 00:18:36,126 --> 00:18:39,606 だって 使い捨ての大量消費時代ですよ。 258 00:18:39,630 --> 00:18:44,110 なんなら今は デジタルデータのほうが大事にされるしなぁ。 259 00:18:44,134 --> 00:18:46,446 (菫子)なるほど。 こんなにも➡ 260 00:18:46,470 --> 00:18:49,670 付喪神が生まれづらい環境もないわけか。 261 00:18:52,810 --> 00:18:56,289 (のどか)ねぇ オッちゃん期末の勉強してる? 262 00:18:56,313 --> 00:18:59,058 (乙)全然してない。ウッソ〜! 263 00:18:59,082 --> 00:19:01,227 いっつも成績いいじゃない? 264 00:19:01,251 --> 00:19:04,731 だって ホントにしてないし。のどかは? 265 00:19:04,755 --> 00:19:09,235 私は家庭教師つけられてるからさイヤイヤね。 266 00:19:09,259 --> 00:19:11,237 ふぅ〜ん。 267 00:19:11,261 --> 00:19:14,908 でもね こっそりやってる楽しみもあるんだよ。 268 00:19:14,932 --> 00:19:17,410 えっ? 何? 269 00:19:17,434 --> 00:19:20,079 かわいい下着集め。 270 00:19:20,103 --> 00:19:22,749 そうなの?うん。 271 00:19:22,773 --> 00:19:24,751 ほら。あっ。 272 00:19:24,775 --> 00:19:28,087 だめだよ のどか はしたない。 273 00:19:28,111 --> 00:19:30,924 ふしだらな団地妻みたいになっちゃうよ。 274 00:19:30,948 --> 00:19:33,259 団地妻? 誰? それ。 275 00:19:33,283 --> 00:19:37,430 若作先輩の本名。そうなんだぁ〜! 276 00:19:37,454 --> 00:19:40,099 いや 私さぁ 若作先輩って➡ 277 00:19:40,123 --> 00:19:42,602 変な名前だな〜って思ってたんだよね。 278 00:19:42,626 --> 00:19:45,438 やっぱり芸名だったんだ。うう…。 279 00:19:45,462 --> 00:19:49,609 な〜んだ 本名は団地妻先輩だったんだね! 280 00:19:49,633 --> 00:19:51,611 う… うん。 281 00:19:51,635 --> 00:19:55,782 ねぇ 試験前にさうちで みんなで勉強会しない? 282 00:19:55,806 --> 00:19:58,451 行ってもいいの?もちろん。 283 00:19:58,475 --> 00:20:02,789 私 土曜日とか 一人で退屈だし。うん 楽しそう。 284 00:20:02,813 --> 00:20:05,792 じゃ〜ね〜 オッちゃん! 285 00:20:05,816 --> 00:20:08,628 バイバーイ。アハハハ。 286 00:20:08,652 --> 00:20:31,150 ♬〜 287 00:20:31,174 --> 00:20:34,320 こんにちは。(シズク)待っていたぜ。 288 00:20:34,344 --> 00:20:36,489 化野乙。 289 00:20:36,513 --> 00:20:39,826 おかえりなさいませ ご主人様! 290 00:20:39,850 --> 00:20:41,995 乙姫と申します。 291 00:20:42,019 --> 00:20:44,330 出身地は どこなの〜? 292 00:20:44,354 --> 00:20:48,835 私は とある小国からこの国に迷い込んでしまいました。 293 00:20:48,859 --> 00:20:52,005 でもいつか帰れると信じているのです。 294 00:20:52,029 --> 00:20:54,173 (客たち)かわいい〜! 295 00:20:54,197 --> 00:20:58,511 (乙)今日は私が大好きな動物たちを描きました。 296 00:20:58,535 --> 00:21:02,782 (客たち)かわいい〜!恐れ入ります ご主人様。 297 00:21:02,806 --> 00:21:05,006 エヘ。 298 00:21:12,983 --> 00:21:17,183 んんん〜 つまんない! 299 00:21:19,156 --> 00:21:21,968 学校も お父さんも ケチすぎ! 300 00:21:21,992 --> 00:21:25,805 歌や踊りをみんなに見てもらいたいだけなのに! 301 00:21:25,829 --> 00:21:30,143 んん… フン。 302 00:21:30,167 --> 00:21:32,767 あっ! いけない! 303 00:21:37,507 --> 00:21:39,819 あっ あ〜。 聞こえる〜? 304 00:21:39,843 --> 00:21:41,821 雑魚のみんな。 305 00:21:41,845 --> 00:21:46,159 人魚姫のVTuber姫魚よるむんだよ〜! 306 00:21:46,183 --> 00:21:49,329 アハハッ。〓みんな お待たせ〜! 307 00:21:49,353 --> 00:21:52,253 〓みんなは今日 一日どうだった? 308 00:23:22,312 --> 00:23:25,458 (シズク)お疲れ。じゃあ 今日はこれで。 309 00:23:25,482 --> 00:23:27,460 待って。んっ? 310 00:23:27,484 --> 00:23:30,463 今月は何度か手伝ってくれてありがとうな。 311 00:23:30,487 --> 00:23:33,299 これ お礼。 312 00:23:33,323 --> 00:23:37,303 ん… ありがとうございます。 313 00:23:37,327 --> 00:23:39,305 これ 何? 314 00:23:39,329 --> 00:23:43,829 うちに帰ったら開けてみてくれ。んふっ。