1 00:00:34,801 --> 00:00:44,811 ♬~ 2 00:00:44,811 --> 00:00:47,147 <葵:その鬼と初めて会ったのは➨ 3 00:00:47,147 --> 00:00:49,850 満開の桜の木の下だった> 4 00:00:51,818 --> 00:00:55,155 <鬼は 私が作ったお弁当を食べて➨ 5 00:00:55,155 --> 00:00:59,826 私を隠世の宿 天神屋へとさらい➨ 6 00:00:59,826 --> 00:01:04,331 あろうことか 祖父の借金のカタとして➨ 7 00:01:04,331 --> 00:01:08,835 私を花嫁にすると言った> 8 00:01:08,835 --> 00:01:10,837 結婚なんて嫌よ! 9 00:01:10,837 --> 00:01:14,341 おじいちゃんの借金 私が働いて返すわ! 10 00:01:19,012 --> 00:01:21,715 フフフッ。 11 00:01:25,352 --> 00:01:27,354 あっ。 12 00:01:27,354 --> 00:01:29,523 (大旦那)やあ 葵。 13 00:01:29,523 --> 00:01:31,858 今日は何を作るんだい? 14 00:01:31,858 --> 00:01:35,629 里芋の煮物 脂ののった秋ジャケ➨ 15 00:01:35,629 --> 00:01:38,465 菊の花入りの大根の酢漬け…。 16 00:01:38,465 --> 00:01:40,467 他にもいろいろ。 17 00:01:40,467 --> 00:01:43,303 もちろん ごはんはツヤツヤの新米よ。 18 00:01:43,303 --> 00:01:45,472 楽しそうだね。 19 00:01:45,472 --> 00:01:48,875 もちろん! じゃあね 大旦那様。 20 00:01:54,147 --> 00:02:00,153 <借金を返すために始めた 天神屋の食事処 夕がお。 21 00:02:00,153 --> 00:02:04,858 今ではここが… 私のいちばん大切な居場所!> 22 00:03:36,450 --> 00:03:40,954 今日も おいしかったわ。 いつもありがとうございます。 23 00:03:40,954 --> 00:03:43,156 お気をつけて。 24 00:03:45,125 --> 00:03:48,295 (アイ)お疲れさまでした 葵様。 25 00:03:48,295 --> 00:03:50,797 お疲れさま アイちゃん。 26 00:03:50,797 --> 00:03:53,300 でも まだもう少し 休めなさそうよ。 27 00:03:53,300 --> 00:03:55,302 あっ。 (戸の開く音) 28 00:03:55,302 --> 00:03:58,472 (お涼)葵 何か食べさせて~! 29 00:03:58,472 --> 00:04:02,809 (春日)おなかペコペコだよ 葵ちゃん。 30 00:04:02,809 --> 00:04:04,811 はいはい。 31 00:04:04,811 --> 00:04:07,414 今日はもう 簡単なものしかないわよ。 32 00:04:13,487 --> 00:04:16,490 いただきま~す! いただきます! 33 00:04:19,493 --> 00:04:21,495 (2人)あ~。 34 00:04:21,495 --> 00:04:24,331 疲れたときは やっぱり葵の料理よね~。 35 00:04:24,331 --> 00:04:28,168 あ~ このシャケフレーク最高! 36 00:04:28,168 --> 00:04:31,505 みるみる霊力が回復してくるよ。 37 00:04:31,505 --> 00:04:33,440 よかったです~。 38 00:04:33,440 --> 00:04:35,776 (春日)アイちゃん その姿かわいいね。 39 00:04:35,776 --> 00:04:38,445 (お涼)この前まで 葵とまんま同じで➨ 40 00:04:38,445 --> 00:04:41,948 紛らわしかったものね~。 41 00:04:41,948 --> 00:04:44,117 お店を手伝いたいなら➨ 42 00:04:44,117 --> 00:04:48,788 おりじなる… の姿を 作るようにって言われたんです。 43 00:04:48,788 --> 00:04:50,791 (春日)頑張ったんだねぇ。 44 00:04:50,791 --> 00:04:52,793 はい~! 45 00:04:52,793 --> 00:04:56,463 は~ おいしい。 46 00:04:56,463 --> 00:04:58,465 ねぇ 葵。 47 00:04:58,465 --> 00:05:01,801 あんた 夕がお やめたりしないでよね➨ 48 00:05:01,801 --> 00:05:03,803 大旦那様に嫁入りしても。 49 00:05:03,803 --> 00:05:07,140 よ… 嫁入りなんかしないわよ! 50 00:05:07,140 --> 00:05:09,810 今は 夕がおのほうが ずっと大事だし。 51 00:05:09,810 --> 00:05:12,479 ならいいけど。 52 00:05:12,479 --> 00:05:15,148 んっ? 春日 何? 53 00:05:15,148 --> 00:05:17,317 (チビ)葵しゃ~ん! 54 00:05:17,317 --> 00:05:20,153 大変大変大変なんでしゅ~! 55 00:05:20,153 --> 00:05:22,155 どうしたの? チビ。 56 00:05:22,155 --> 00:05:25,992 どどんとおっきくて おっきなのが 空から来るでしゅ~! 57 00:05:25,992 --> 00:05:27,994 (4人)えっ? 58 00:05:35,936 --> 00:05:38,138 って あれ もしかして…。 59 00:05:41,441 --> 00:05:44,778 折尾屋の青蘭丸!? えっ? 60 00:05:44,778 --> 00:05:49,115 犬さんや天狗さんたちでしゅか? 61 00:05:49,115 --> 00:05:52,786 ホントだ! でも なんで!? 62 00:05:52,786 --> 00:05:55,956 (銀次)葵さんへのお礼ですよ。 (葵たち)えっ? 63 00:05:55,956 --> 00:05:57,958 銀次さん! 64 00:05:57,958 --> 00:06:01,461 (銀次)葵さんは 夏の儀式で 南の地を救ったわけですから➨ 65 00:06:01,461 --> 00:06:04,297 そのお礼… というか➨ 66 00:06:04,297 --> 00:06:07,968 報酬を支払いに来たんですよ。 えっ? 67 00:06:07,968 --> 00:06:11,171 私も立ち会ってきます。 では。 68 00:06:13,139 --> 00:06:17,143 それにしても わざわざ 青蘭丸で報酬持ってくるなんて➨ 69 00:06:17,143 --> 00:06:19,145 大げさね。 70 00:06:19,145 --> 00:06:21,147 あんたねぇ! 71 00:06:21,147 --> 00:06:23,316 南の地の儀式を 成功させたうえに➨ 72 00:06:23,316 --> 00:06:28,321 ずっと仲悪かった折尾屋と この天神屋の仲を取り持ったのよ。 73 00:06:28,321 --> 00:06:31,157 その報酬 白夜様が折尾屋に➨ 74 00:06:31,157 --> 00:06:34,094 ものすっごい金額 ふっかけたらしいよ。 75 00:06:34,094 --> 00:06:37,430 えっ そ そうなの? 76 00:06:37,430 --> 00:06:41,134 今頃 受け渡しの真っ最中ね。 77 00:06:44,104 --> 00:06:48,942 はるばる ご苦労だったな 折尾屋の旦那頭殿。 78 00:06:48,942 --> 00:06:51,278 歓迎するよ。 (乱丸)はっ…。 79 00:06:51,278 --> 00:06:56,383 心にもないこと言いやがって 天神屋の大旦那。 80 00:06:59,119 --> 00:07:01,288 まあ俺も➨ 81 00:07:01,288 --> 00:07:04,457 早々に借りを返したかったからな。 82 00:07:04,457 --> 00:07:07,627 もう てめえらとの間に 面倒ごとはごめんだ。 83 00:07:07,627 --> 00:07:11,131 おい 葉鳥。 (葉鳥)へいへい。 84 00:07:15,468 --> 00:07:18,171 (白夜)うむ よろしい。 85 00:07:21,308 --> 00:07:23,310 (白夜)領収書だ。 86 00:07:25,312 --> 00:07:27,314 後ほど 葵くんに➨ 87 00:07:27,314 --> 00:07:29,983 しっかり ボーナスを 包んでやらなければならないな。 88 00:07:29,983 --> 00:07:33,920 初ボーナスですね。 きっと喜びますよ。 89 00:07:33,920 --> 00:07:35,922 あの娘のことだから➨ 90 00:07:35,922 --> 00:07:38,425 結局 食材に 使い込んでしまいそうだが。 91 00:07:38,425 --> 00:07:41,761 フッ 言えてるな。 92 00:07:41,761 --> 00:07:44,097 あのお嬢ちゃんは そうだよな~。 93 00:07:44,097 --> 00:07:48,601 次に会うのは 年始の八葉夜行会になるだろう。 94 00:07:48,601 --> 00:07:51,771 そうだね。 今年は荒れそうだな。 95 00:07:51,771 --> 00:07:56,109 妖都で何やら きな臭え動きもあると聞く。 96 00:07:56,109 --> 00:07:58,778 その件の報告は受けている。 97 00:07:58,778 --> 00:08:03,116 (白夜)あの雷獣が 絡んでいるとのうわさも…。 98 00:08:03,116 --> 00:08:05,118 (銀次)雷獣…。 99 00:08:05,118 --> 00:08:08,955 うっわ~ 雷獣か~。 ろくでもないな。 100 00:08:08,955 --> 00:08:12,659 そうだな 肝に銘じておくとしよう。 101 00:08:15,295 --> 00:08:17,297 よ~し かったるい話は済んだ! 102 00:08:17,297 --> 00:08:19,299 お嬢ちゃんとこ行って➨ 103 00:08:19,299 --> 00:08:21,301 何かうまいもん 食わしてもらおうぜ。 104 00:08:21,301 --> 00:08:24,637 葉鳥 そんな時間はない。 えっ? 105 00:08:24,637 --> 00:08:28,641 仕事の山が待ってんだ。 すぐに帰るぞ。 106 00:08:28,641 --> 00:08:30,844 え~!! 107 00:08:32,746 --> 00:08:37,083 わ~! ホントにホントにすごいわね! 108 00:08:37,083 --> 00:08:40,587 たくさんの野菜に 脂ののった養殖ブリ! 109 00:08:40,587 --> 00:08:44,257 程よくサシの入った 極赤牛のおっきな塊! 110 00:08:44,257 --> 00:08:46,259 マンゴーにアボカド! 111 00:08:46,259 --> 00:08:49,095 ずっと欲しかったココナツオイルまで! 112 00:08:49,095 --> 00:08:51,765 何作ろうかって ワクワクが止まらない! 113 00:08:51,765 --> 00:08:55,935 あっ 極赤牛は 半分はもう調理中よ。 114 00:08:55,935 --> 00:08:58,104 (銀次)この匂いは…。 115 00:08:58,104 --> 00:09:02,442 ビーフシチューよ。 おぉ ビーフシチュー! 116 00:09:02,442 --> 00:09:05,779 本格的なのを ずっと作りたかったの。 117 00:09:05,779 --> 00:09:10,283 葵さんのその笑顔 乱丸に見せられなくて残念です。 118 00:09:10,283 --> 00:09:14,120 私だって 直接お礼言いたかったわよ。 119 00:09:14,120 --> 00:09:16,122 しかたないですね。 120 00:09:16,122 --> 00:09:19,959 乱丸は 南の地の八葉ですから 忙しいんです。 121 00:09:19,959 --> 00:09:24,964 フフフッ それなら 次は銀次さんが 折尾屋に行けばいいわ。 122 00:09:24,964 --> 00:09:28,134 2人きりの兄弟なんだもの。 123 00:09:28,134 --> 00:09:32,639 もう お互いの行き来を 阻むものはないでしょう? 124 00:09:32,639 --> 00:09:35,074 葵さん…。 125 00:09:35,074 --> 00:09:38,411 あ~ みんな元気かな~? 126 00:09:38,411 --> 00:09:40,580 葉鳥さんや時彦さん➨ 127 00:09:40,580 --> 00:09:42,916 秀吉やねね➨ 128 00:09:42,916 --> 00:09:46,419 かわいい双子の板前の戒と明➨ 129 00:09:46,419 --> 00:09:48,922 それに ノブナガ。 130 00:09:48,922 --> 00:09:50,924 お元気みたいですよ。 131 00:09:50,924 --> 00:09:54,093 あっ 秀吉さんとねねさんは 婚約されるそうです。 132 00:09:54,093 --> 00:09:59,098 え~!? なにその急展開! アハハ。 133 00:09:59,098 --> 00:10:02,602 信頼のおける 若旦那と若女将が婚約となれば➨ 134 00:10:02,602 --> 00:10:05,772 折尾屋は 当分安泰でしょう。 135 00:10:05,772 --> 00:10:08,942 天神屋も うかうかしてられないわ。 136 00:10:08,942 --> 00:10:13,446 葵さんは 天神屋の新しいお土産を 開発中なんですよね? 137 00:10:13,446 --> 00:10:17,450 えぇ 砂楽博士に頼まれて。 138 00:10:17,450 --> 00:10:19,953 新しい おまんじゅうにしようって 決めてて➨ 139 00:10:19,953 --> 00:10:23,122 いろいろお試し中よ。 楽しみです。 140 00:10:23,122 --> 00:10:25,458 私も力になりますからね。 141 00:10:25,458 --> 00:10:27,460 えぇ またね。 142 00:10:29,462 --> 00:10:31,965 (お涼)葵!! 143 00:10:31,965 --> 00:10:35,301 大変よ 大変! あっ ど どうしたのよ。 144 00:10:35,301 --> 00:10:40,807 春日が… 春日が… 天神屋を辞めるんだって! 145 00:10:40,807 --> 00:10:43,476 えっ? ど どういうこと? 146 00:10:43,476 --> 00:10:45,645 春日が辞める!? 147 00:10:45,645 --> 00:10:48,982 辞めて… 嫁入りしちゃうんだって! 148 00:10:48,982 --> 00:10:51,684 よ 嫁入り? 149 00:10:53,653 --> 00:10:56,155 なんで急に嫁入りなんて…。 150 00:10:56,155 --> 00:10:58,491 それだけじゃないわ! 151 00:10:58,491 --> 00:11:02,162 あの子 実は とんでもないお嬢様だったのよ! 152 00:11:02,162 --> 00:11:04,163 お お嬢様? 153 00:11:04,163 --> 00:11:10,336 春日は 宮中の右大臣 大狸家康公の末娘だったのよ! 154 00:11:10,336 --> 00:11:14,173 え~!? …って誰? 155 00:11:14,173 --> 00:11:17,343 八葉なんて目じゃないくらい 偉い方よ! 156 00:11:17,343 --> 00:11:19,679 そこまで!? あぁ もう! 157 00:11:19,679 --> 00:11:22,682 いいから来て! あっ… えっ? どこへ? 158 00:11:22,682 --> 00:11:24,684 大旦那様のところ! 159 00:11:24,684 --> 00:11:28,188 春日 辞めるって話を しに行ってるんだって! 160 00:11:28,188 --> 00:11:30,189 さあ! あっ…。 161 00:11:33,126 --> 00:11:35,962 春日 ゆうべだって 何も言ってなかった。 162 00:11:35,962 --> 00:11:38,965 そうよ ひと言も! 163 00:11:38,965 --> 00:11:43,303 ⚟あの子が まさか 右大臣様の娘だったなんて…。 164 00:11:43,303 --> 00:11:45,805 ⚟知らないから こき使っちゃったじゃない。 165 00:11:45,805 --> 00:11:48,141 ⚟それって罰せられるかも! 166 00:11:48,141 --> 00:11:50,143 あっ…。 167 00:11:50,143 --> 00:11:52,145 暁! 168 00:11:52,145 --> 00:11:55,315 (暁)お前たち! 大変だぞ 春日が…。 169 00:11:55,315 --> 00:11:57,317 聞いたわ! 170 00:11:57,317 --> 00:11:59,819 それで 大旦那様のところに行くのよ。 171 00:11:59,819 --> 00:12:01,821 いや待て! 172 00:12:01,821 --> 00:12:04,490 大旦那様の 邪魔になるようなことは…。 173 00:12:04,490 --> 00:12:06,492 俺も行く! 174 00:12:06,492 --> 00:12:09,996 (2人)あっ! 175 00:12:09,996 --> 00:12:13,166 だめですよ 皆さん。 176 00:12:13,166 --> 00:12:15,168 でも 銀次さん…。 177 00:12:15,168 --> 00:12:18,671 お気持ちはわかります。 ですが…。 178 00:12:18,671 --> 00:12:20,974 って… あっ! 179 00:12:23,676 --> 00:12:28,181 春日… 本当に 気持ちは変わらないのかい? 180 00:12:28,181 --> 00:12:31,184 はい 大旦那様。 181 00:12:31,184 --> 00:12:33,453 私は天神屋を辞めて➨ 182 00:12:33,453 --> 00:12:37,624 北の地 氷里城に 嫁入りするつもりです。 えっ…。 183 00:12:37,624 --> 00:12:41,294 叔父である千秋も それでいいのだね? 184 00:12:41,294 --> 00:12:44,797 (千秋)はい。 春日と氷里城のおさとの婚姻は➨ 185 00:12:44,797 --> 00:12:47,300 何かと不安定な北の地を➨ 186 00:12:47,300 --> 00:12:50,803 今後は我が北西の地が 支えるという証しとなるでしょう。 187 00:12:50,803 --> 00:12:53,306 そうか。 188 00:12:53,306 --> 00:12:56,142 (お涼)待って! 氷里城のおさですって!? 189 00:12:56,142 --> 00:12:58,144 あっ…。 えっ お涼! 190 00:12:58,144 --> 00:13:01,147 シーッ! だって! 191 00:13:01,147 --> 00:13:04,984 えっ? (3人)うわ~! 192 00:13:04,984 --> 00:13:06,986 お前たち…。 193 00:13:06,986 --> 00:13:09,489 あっ… アハハハハ。 194 00:13:09,489 --> 00:13:12,158 ア… アハハハ。 195 00:13:12,158 --> 00:13:15,995 あぁ… みんな来ちゃったんすね。 196 00:13:15,995 --> 00:13:18,665 春日 本当なの? 197 00:13:18,665 --> 00:13:21,668 北の地の氷里城のおさに 嫁入りするって…。 198 00:13:21,668 --> 00:13:24,504 うん そうだよ。 199 00:13:24,504 --> 00:13:29,342 でも! あそこのおさは もはや古代の骨董品って感じの➨ 200 00:13:29,342 --> 00:13:32,011 とんでも老いぼれじじい だったはずよ! 201 00:13:32,011 --> 00:13:35,281 あんた そんなヤツに嫁入りするの!? 202 00:13:35,281 --> 00:13:37,450 いや お涼。 203 00:13:37,450 --> 00:13:40,953 北の地の八葉は いよいよ代わる。 えっ? 204 00:13:40,953 --> 00:13:44,457 長く八葉を務めていた 大長老が引退されて➨ 205 00:13:44,457 --> 00:13:48,795 次のその座に就くのは その末の孫のキヨ殿だ。 206 00:13:48,795 --> 00:13:50,797 あっ…。 207 00:13:50,797 --> 00:13:55,301 お涼も知らない人なの? お前 北の地の生まれだろ? 208 00:13:55,301 --> 00:13:58,304 あっ…。 ねぇ 私…。 209 00:13:58,304 --> 00:14:00,306 はっ…。 210 00:14:00,306 --> 00:14:03,476 《こんな春日 見たことない…》 211 00:14:03,476 --> 00:14:05,978 この人たちの顔を見てたら➨ 212 00:14:05,978 --> 00:14:09,148 なんだか おなかすいてきちゃった。 213 00:14:09,148 --> 00:14:12,151 大旦那様 いったん何か食べていいですか? 214 00:14:12,151 --> 00:14:15,321 私 朝から 何も食べてないんだもん。 215 00:14:15,321 --> 00:14:17,990 あぁ。 あっ! 216 00:14:17,990 --> 00:14:21,494 春日 なら 夕がおにおいで。 217 00:14:21,494 --> 00:14:23,496 私も一緒に…。 218 00:14:23,496 --> 00:14:25,832 んっ? お前は仕事だ。 219 00:14:25,832 --> 00:14:28,167 俺もだけどな。 220 00:14:28,167 --> 00:14:30,169 え~!? 221 00:14:32,171 --> 00:14:34,107 はい。 222 00:14:34,107 --> 00:14:37,610 喫茶店風 お月見ビーフシチューハンバーグの 出来上がりよ。 223 00:14:37,610 --> 00:14:41,280 わ~! すっごくいい匂い! 224 00:14:41,280 --> 00:14:44,283 目玉焼きがのってる~! 225 00:14:44,283 --> 00:14:46,285 (春日)今夜は十五夜だもんね。 226 00:14:46,285 --> 00:14:49,455 本当に満月のお月様みたい。 227 00:14:49,455 --> 00:14:53,626 狸色のお料理は 基本とてもおいしいって法則よ。 228 00:14:53,626 --> 00:14:56,429 さっ 食べて食べて。 うん! 229 00:14:58,798 --> 00:15:02,969 うわ~ 何これ おいしすぎるよ 葵ちゃん! 230 00:15:02,969 --> 00:15:05,171 ウフッ…。 231 00:15:10,810 --> 00:15:14,647 ん~ 最高! 232 00:15:14,647 --> 00:15:16,649 よかった~。 233 00:15:16,649 --> 00:15:19,986 ハンバーグは たまに 葵ちゃんが作ってくれてるけど➨ 234 00:15:19,986 --> 00:15:22,655 ビーフシチューは 本で読んだことがあるだけ。 235 00:15:22,655 --> 00:15:24,657 食べるのは初めて。 236 00:15:24,657 --> 00:15:26,826 本で読んだことがあったの? 237 00:15:26,826 --> 00:15:31,497 うん 私が育った 北西の文門の地の図書館には➨ 238 00:15:31,497 --> 00:15:33,433 たくさんの本があるんだ。 239 00:15:33,433 --> 00:15:37,437 現世の西洋のお料理のことが 書かれた本って➨ 240 00:15:37,437 --> 00:15:39,438 子どもの私たちには➨ 241 00:15:39,438 --> 00:15:42,942 妄想が広がって すごくおもしろいものだったなぁ。 242 00:15:42,942 --> 00:15:44,944 私たち…。 243 00:15:47,113 --> 00:15:51,451 あぁ この味は 想像もできなかったよ。 244 00:15:51,451 --> 00:15:54,453 めちゃくちゃおいしい! 245 00:15:54,453 --> 00:15:58,291 (春日)ふ~ ごちそうさまでした。 246 00:15:58,291 --> 00:16:01,627 おなかいっぱい。 よかった。 247 00:16:01,627 --> 00:16:04,964 急におなかすいたって 言い出したときは ビックリしたわ。 248 00:16:04,964 --> 00:16:06,966 アハハ。 249 00:16:06,966 --> 00:16:10,636 ねぇ 葵ちゃんは 大旦那様に嫁入りするの? 250 00:16:10,636 --> 00:16:13,306 えっ!? し しないわよ! 251 00:16:13,306 --> 00:16:17,810 ゆうべも言ったでしょ? 今は夕がおが大切だもの。 252 00:16:17,810 --> 00:16:20,146 でも 葵ちゃん➨ 253 00:16:20,146 --> 00:16:23,482 大旦那様のこと もう嫌いじゃないでしょう? 254 00:16:23,482 --> 00:16:25,485 あっ…。 255 00:16:25,485 --> 00:16:48,441 ♬~ 256 00:16:48,441 --> 00:16:51,444 そりゃあ 嫌いかって聞かれたら➨ 257 00:16:51,444 --> 00:16:55,114 そうじゃないって 答えるくらいにはなったけど…。 258 00:16:55,114 --> 00:17:00,453 なら好きなの? うっ… そ そんなはずないじゃない。 259 00:17:00,453 --> 00:17:04,790 だって 私 大旦那様のこと 何も知らないんだもの。 260 00:17:04,790 --> 00:17:07,293 知らないって…。 261 00:17:07,293 --> 00:17:09,295 だから もうちょっと➨ 262 00:17:09,295 --> 00:17:11,631 大旦那様のことが 知りたいんだけど…。 263 00:17:11,631 --> 00:17:14,467 ふ~ん。 何よ。 264 00:17:14,467 --> 00:17:19,972 フフフッ 大旦那様は やっぱり偉大だ。 265 00:17:19,972 --> 00:17:22,475 春日? 266 00:17:22,475 --> 00:17:27,146 春日 嫁入りするの 本当は嫌なんじゃないの? 267 00:17:27,146 --> 00:17:31,150 えっ? それって 政略結婚じゃない。 268 00:17:31,150 --> 00:17:34,921 政略結婚はしかたがないよ。 269 00:17:34,921 --> 00:17:37,924 だって 私が動くってことは➨ 270 00:17:37,924 --> 00:17:40,760 いろいろな意味を はらんでいるんだ。 271 00:17:40,760 --> 00:17:45,765 私たち文門狸はね 腹黒いんだよ。 272 00:17:45,765 --> 00:17:49,602 狸はとても弱いから ここだけで生き延びた。 273 00:17:49,602 --> 00:17:51,604 エヘッ。 274 00:17:51,604 --> 00:17:54,440 文門の地の八葉である 院長ばば様は➨ 275 00:17:54,440 --> 00:17:59,612 各地に配下の狸たちを飛ばして いつも情報を集めてる。 276 00:17:59,612 --> 00:18:02,281 (春日)千秋だって 天神屋に派遣された➨ 277 00:18:02,281 --> 00:18:05,618 優秀な調査員だ。 そうなの? 278 00:18:05,618 --> 00:18:08,621 大旦那様は そんな狸事情を知ってて➨ 279 00:18:08,621 --> 00:18:11,624 あえて 千秋を 受け入れているんだろうね。 280 00:18:11,624 --> 00:18:14,794 あっ… た 狸事情…。 281 00:18:14,794 --> 00:18:18,631 そして 今度は私の番ってわけ。 282 00:18:18,631 --> 00:18:20,800 各地の懐に飛び込んで➨ 283 00:18:20,800 --> 00:18:23,636 内側から じわじわと 影響力をあらわに…。 284 00:18:23,636 --> 00:18:27,139 それが 文門狸のやり方なんだよ。 285 00:18:27,139 --> 00:18:29,475 あっ… すごい話ね。 286 00:18:29,475 --> 00:18:33,579 それで 春日は素直に嫁入りできるの? 287 00:18:33,579 --> 00:18:39,418 私には 春日が何か 悩んで… 苦しんでいるように見えるわ。 288 00:18:39,418 --> 00:18:41,420 もし 春日が無理やり➨ 289 00:18:41,420 --> 00:18:44,924 結婚させられそうに なっているのなら 私…。 290 00:18:46,926 --> 00:18:48,928 葵ちゃん。 291 00:18:48,928 --> 00:18:50,930 誰もが 葵ちゃんみたいに➨ 292 00:18:50,930 --> 00:18:53,933 運命にあらがう女の子 ってわけじゃないんだよ。 293 00:18:53,933 --> 00:18:56,268 あっ…。 それに➨ 294 00:18:56,268 --> 00:18:58,270 葵ちゃんは勘違いをしてるね。 295 00:18:58,270 --> 00:19:02,942 私が悩んでいるのは 悲しいと思っているのは➨ 296 00:19:02,942 --> 00:19:07,113 天神屋を離れるのが とても寂しいからなんだ。 297 00:19:07,113 --> 00:19:09,115 あっ…。 298 00:19:09,115 --> 00:19:11,450 嫁入りすることが 嫌なわけじゃない。 299 00:19:11,450 --> 00:19:14,120 むしろ 少しだけ期待もある。 300 00:19:14,120 --> 00:19:16,789 結婚相手のキヨは 知らない人じゃないから。 301 00:19:16,789 --> 00:19:21,293 そうなの? うん。 キヨは幼なじみだもん。 302 00:19:21,293 --> 00:19:25,131 最後に会ったのは 小さな狸だった頃だけどね。 303 00:19:25,131 --> 00:19:31,303 ここだけの話 キヨはね 私の初恋の相手なんだ。 304 00:19:31,303 --> 00:19:33,406 えっ!? すごいわね➨ 305 00:19:33,406 --> 00:19:36,575 初恋の人と 結婚することになるなんて。 306 00:19:36,575 --> 00:19:42,581 ウフフッ まあ 向こうは 私なんて嫌かもしれないけどさ。 307 00:19:42,581 --> 00:19:44,917 ありがとう 葵ちゃん。 308 00:19:44,917 --> 00:19:48,587 葵ちゃんの料理は 弱った体だけじゃなくて➨ 309 00:19:48,587 --> 00:19:52,758 あやかしの心も満たしてくれる。 春日…。 310 00:19:52,758 --> 00:19:55,094 葵ちゃんは すごいよね。 311 00:19:55,094 --> 00:19:58,764 圧倒的に不利な状況から ここまで来たんだ➨ 312 00:19:58,764 --> 00:20:02,435 自分の力で。 あっ…。 313 00:20:02,435 --> 00:20:05,271 私はどうかな…。 314 00:20:05,271 --> 00:20:10,276 八葉の嫁になるだけの力が 私自身にあるのかな。 315 00:20:22,121 --> 00:20:25,624 何をしているんだい? あっ…。 316 00:20:25,624 --> 00:20:27,793 大旦那様。 317 00:20:27,793 --> 00:20:30,129 紅葉の葉っぱを集めてるのよ。 318 00:20:30,129 --> 00:20:32,631 お料理の飾りにしようと思って。 319 00:20:32,631 --> 00:20:37,336 そうか 僕も手伝おう。 ありがとう。 320 00:20:41,974 --> 00:20:45,144 《大旦那様は優しい》 321 00:20:45,144 --> 00:20:47,313 どうだい? 322 00:20:47,313 --> 00:20:50,149 うん 全部きれい。 323 00:20:50,149 --> 00:20:53,819 図らずも僕には きれいな葉っぱを 選ぶ才能があることが➨ 324 00:20:53,819 --> 00:20:58,824 わかってしまったね。 フフフ… 何なのそれ。 325 00:20:58,824 --> 00:21:00,826 フフッ。 326 00:21:00,826 --> 00:21:02,995 《おちゃめなところもあって➨ 327 00:21:02,995 --> 00:21:05,331 一緒にいると楽しい。 328 00:21:05,331 --> 00:21:09,168 大事なところでは 私を支えてくれる。 329 00:21:09,168 --> 00:21:16,475 でも 私は大旦那様のことを 何も知らない》 330 00:21:19,011 --> 00:21:22,014 どうしたんだい 葵。 331 00:21:22,014 --> 00:21:25,351 聞きたいことがあるの。 332 00:21:25,351 --> 00:21:28,521 ずっと いちばん聞きたかったこと。 333 00:21:28,521 --> 00:21:34,627 銀次さんから聞いたでしょう? 私の小さい頃の話。 334 00:21:34,627 --> 00:21:37,630 銀次さんが 私にごはんを持ってきてくれた➨ 335 00:21:37,630 --> 00:21:39,965 恩のあるあやかしだったって。 336 00:21:39,965 --> 00:21:44,803 あぁ その話なら ずっと前から知っているよ。 337 00:21:44,803 --> 00:21:49,108 もしかして… 大旦那様も何か関わってる? 338 00:21:53,145 --> 00:21:56,649 それを知って どうするんだい? 339 00:21:56,649 --> 00:21:58,984 葵は義理堅い。 340 00:21:58,984 --> 00:22:00,986 すぐにあやかしと関わり➨ 341 00:22:00,986 --> 00:22:03,489 誰かの重荷を 一緒に背負おうとする。 342 00:22:03,489 --> 00:22:06,325 だが 僕はね➨ 343 00:22:06,325 --> 00:22:09,662 葵に背負ってほしくない ことだってあるんだ。 344 00:22:09,662 --> 00:22:14,333 背負う? 私が? 345 00:22:14,333 --> 00:22:16,669 葵は それを知りたいのだろうが➨ 346 00:22:16,669 --> 00:22:22,675 僕は… それを葵に 知ってほしくないということだよ。 347 00:22:22,675 --> 00:22:28,180 ただ… 知りたいのよ 大旦那様のことが。 348 00:22:30,850 --> 00:22:33,118 正直 驚いた。 349 00:22:33,118 --> 00:22:38,123 僕はずっと 葵には怖がられているのだと…。 350 00:22:38,123 --> 00:22:42,328 それ以外の感情は 特にないのだろうと思っていた。 351 00:22:44,797 --> 00:22:48,133 だから 知りたいと 思ってくれているのは➨ 352 00:22:48,133 --> 00:22:51,136 心底うれしい。 353 00:22:51,136 --> 00:22:55,474 変わっていくものは… あるんだね。 354 00:22:55,474 --> 00:23:00,145 変わっていくもの…。 355 00:23:00,145 --> 00:23:03,148 《それは大旦那様にもあるの? 356 00:23:03,148 --> 00:23:05,484 まったくわからないのよ。 357 00:23:05,484 --> 00:23:08,821 あなたが 私のことを 本当のところで➨ 358 00:23:08,821 --> 00:23:11,123 どう 思っているのか》 359 00:23:14,827 --> 00:23:16,996 ほら。 あっ。 360 00:23:16,996 --> 00:23:19,164 あ ありがとう。 361 00:23:19,164 --> 00:23:21,967 さあ 戻ろう。 362 00:23:26,839 --> 00:23:29,341 《結局聞けなかった…。 363 00:23:29,341 --> 00:23:33,279 私は大旦那様について 知らないことばかり。 364 00:23:33,279 --> 00:23:38,117 好物を知らない 過去や生い立ちを知らない。 365 00:23:38,117 --> 00:23:40,953 名前すら知らない…。 366 00:23:40,953 --> 00:23:46,292 知りたいのに もっと近づきたいのに…。 367 00:23:46,292 --> 00:23:50,796 どうしたら もうちょっとだけでも 近づけるのかな》