1 00:00:34,768 --> 00:00:38,438 (雷獣)妖王様じきじきの命により 今日この日をもって➨ 2 00:00:38,438 --> 00:00:41,108 天神屋の大旦那は➨ 3 00:00:41,108 --> 00:00:43,777 この雷獣になる! 4 00:00:43,777 --> 00:00:45,779 (葵)えっ? 5 00:02:17,137 --> 00:02:19,473 (ざわめき) 6 00:02:19,473 --> 00:02:22,476 (銀次)あなたに何の権利があって そんなこと! 7 00:02:22,476 --> 00:02:24,478 だ~か~ら~。 8 00:02:24,478 --> 00:02:28,315 俺の言葉は 妖王様の言葉だって言っただろ。 9 00:02:28,315 --> 00:02:31,318 すぐに正式な伝達が来る。 10 00:02:31,318 --> 00:02:37,090 あの鬼神は 隠世を揺るがすような 重大な秘密を抱えていた。 11 00:02:37,090 --> 00:02:40,260 重大な 秘密? 12 00:02:40,260 --> 00:02:42,429 これ以上 八葉の座を➨ 13 00:02:42,429 --> 00:02:46,099 あいつに預けておくわけには いかないんだよね。 14 00:02:46,099 --> 00:02:48,769 (ざわめき) 15 00:02:48,769 --> 00:02:54,441 気になるよね。 絶望しちゃうよね アッハハハ! 16 00:02:54,441 --> 00:02:57,110 (白夜)死ね 馬鹿者。 17 00:02:57,110 --> 00:02:59,112 ぐっ… ちぃ。 18 00:02:59,112 --> 00:03:02,783 やはり出てきたか 白い悪魔め。 19 00:03:02,783 --> 00:03:06,787 なぜ貴様が我が物顔で この天神屋に立っている。 20 00:03:06,787 --> 00:03:11,291 はっ お前はもはや この俺に使われる身だ。 21 00:03:11,291 --> 00:03:15,128 なんせ俺が 大旦那になるのだからな。 22 00:03:15,128 --> 00:03:17,130 愚か者め。 23 00:03:17,130 --> 00:03:20,834 いくら妖王の命令だとしても それは無理だと知れ。 24 00:03:22,803 --> 00:03:25,138 (銀次)あれは… 金印! 25 00:03:25,138 --> 00:03:27,474 金印? えぇ。 26 00:03:27,474 --> 00:03:30,644 天神屋を八葉と証明する印です。 27 00:03:30,644 --> 00:03:34,748 大きな物事を決めるときに 絶対必要になります。 28 00:03:34,748 --> 00:03:39,086 八葉の就任と退任には 妖王の命令の他に➨ 29 00:03:39,086 --> 00:03:42,756 八葉すべての 金印をそろえる必要がある。 30 00:03:42,756 --> 00:03:46,093 それなしでは お前が何をどう動こうが➨ 31 00:03:46,093 --> 00:03:49,096 大旦那様が天神屋の大旦那だ。 32 00:03:51,098 --> 00:03:53,266 時間の問題だ。 33 00:03:53,266 --> 00:03:58,271 年始には八葉夜行会があり 八葉たちが集まる。 34 00:03:58,271 --> 00:04:02,943 そこで俺は 正式に ここの大旦那になる。 35 00:04:02,943 --> 00:04:05,112 勝手なことを。 36 00:04:05,112 --> 00:04:08,615 フフッ 一つだけ確かなことがある。 37 00:04:08,615 --> 00:04:14,121 あの大旦那は もうここには戻ってこないよ。 38 00:04:14,121 --> 00:04:18,425 (ざわめき) 39 00:04:20,627 --> 00:04:23,463 葵さん 大丈夫ですか? 40 00:04:23,463 --> 00:04:26,366 銀次さん 私…。 41 00:04:28,301 --> 00:04:32,139 (白夜)グズグズしている時間はない。 事態は深刻。 42 00:04:32,139 --> 00:04:35,408 このままでは 雷獣に天神屋を乗っ取られるぞ。 43 00:04:35,408 --> 00:04:38,078 大旦那様に 何が起こっているのか➨ 44 00:04:38,078 --> 00:04:41,748 それを調べるべく 私が妖都へ赴く。 45 00:04:41,748 --> 00:04:44,084 えっ 白夜さんが!? 46 00:04:44,084 --> 00:04:47,754 かつて妖都の宮中で 妖王の重臣でしたから。 47 00:04:47,754 --> 00:04:50,590 いろいろツテを お持ちなのでしょう。 48 00:04:50,590 --> 00:04:52,592 まずは大旦那様➨ 49 00:04:52,592 --> 00:04:56,263 そして お庭番長のサイゾウ殿に関する 情報を集める。 50 00:04:56,263 --> 00:04:59,599 それには 宮中の動きも探らねば。 51 00:04:59,599 --> 00:05:02,102 お庭番のサスケくんの力を借りたい。 52 00:05:02,102 --> 00:05:04,771 (サスケ)了解でござる。 えっ? 53 00:05:04,771 --> 00:05:07,774 私がいない間の 天神屋をまとめるのは➨ 54 00:05:07,774 --> 00:05:10,443 若旦那である銀次殿だ。 55 00:05:10,443 --> 00:05:13,947 わかりました。 留守は お任せください。 56 00:05:13,947 --> 00:05:15,949 他の皆も➨ 57 00:05:15,949 --> 00:05:19,119 それぞれ自身のなすべきことを 果たしてほしい。 58 00:05:19,119 --> 00:05:21,121 承知のとおり もう間もなく➨ 59 00:05:21,121 --> 00:05:25,125 星華丸による 宙船夜間飛行の企画が始まる。 60 00:05:25,125 --> 00:05:29,462 セイカマル? 天神屋の遊覧船です。 61 00:05:29,462 --> 00:05:31,631 天神屋から出港して➨ 62 00:05:31,631 --> 00:05:35,235 景色や食事を楽しみながら 妖都へ向かうんです。 63 00:05:35,235 --> 00:05:38,238 空のナイトクルーズ なのね。 64 00:05:38,238 --> 00:05:40,240 その企画に乗じ➨ 65 00:05:40,240 --> 00:05:44,244 我々は妖都と鬼門の地を 難なく行き来できる。 66 00:05:44,244 --> 00:05:46,913 葵くん。 あっ はい。 67 00:05:46,913 --> 00:05:49,749 君も星華丸に乗ってくれないか。 68 00:05:49,749 --> 00:05:52,352 料理を出してほしいのだ。 69 00:05:54,421 --> 00:05:56,423 ねぇ 銀次さん。 70 00:05:56,423 --> 00:06:00,260 私 本当に お料理をしているだけでいいの? 71 00:06:00,260 --> 00:06:05,098 もっと何か… 大旦那様のために できることはないのかしら。 72 00:06:05,098 --> 00:06:09,269 珍しいですね 葵さんが そのように弱気なのは。 73 00:06:09,269 --> 00:06:13,106 えっ? あなたは いつだって たくましく➨ 74 00:06:13,106 --> 00:06:16,109 健気に 強気に 向かっていった。 75 00:06:16,109 --> 00:06:19,779 どんな逆境であっても 前向きに。 76 00:06:19,779 --> 00:06:22,115 そうよね。 77 00:06:22,115 --> 00:06:25,952 そのはずなのに 私 どうして…。 78 00:06:25,952 --> 00:06:30,123 それだけ大旦那様のことが 大事で心配なのでしょう。 79 00:06:30,123 --> 00:06:32,892 えっ そ そんなこと…。 80 00:06:32,892 --> 00:06:34,894 フフッ。 81 00:06:34,894 --> 00:06:39,733 あなたのやるべきことは まず何より お料理です。 82 00:06:39,733 --> 00:06:43,403 あなたのお料理は あやかしの心を暴く。 83 00:06:43,403 --> 00:06:46,740 白夜さんも そう考えているのだと思います。 84 00:06:46,740 --> 00:06:49,743 それが大旦那様を助け 天神屋を守る➨ 85 00:06:49,743 --> 00:06:52,746 きっかけになるのではと。 ですから➨ 86 00:06:52,746 --> 00:06:55,916 ひとまず大旦那様のことは 他の者たちに任せ➨ 87 00:06:55,916 --> 00:06:58,918 星華丸で お客様に楽しんでいただける➨ 88 00:06:58,918 --> 00:07:00,921 お料理を考えましょう。 89 00:07:00,921 --> 00:07:04,424 あなたのやるべきことは あなたのお料理が➨ 90 00:07:04,424 --> 00:07:07,761 きっと教えてくれますよ。 91 00:07:07,761 --> 00:07:12,432 ありがとう 銀次さん。 私 星華丸のメニューを考えるわ! 92 00:07:12,432 --> 00:07:14,834 えぇ その意気です。 93 00:07:23,109 --> 00:07:26,613 ♬(祭りばやし) 94 00:07:26,613 --> 00:07:29,449 (お涼)な… なんなのよ これ。 95 00:07:29,449 --> 00:07:31,451 キッチンカーよ。 96 00:07:31,451 --> 00:07:35,388 中で調理ができるワゴン車で 現世で人気なのよね。 97 00:07:35,388 --> 00:07:38,725 ふ~ん。 こんなの どこにあったのよ? 98 00:07:38,725 --> 00:07:42,896 砂楽博士が 現世の研究用に持ってたのよ。 99 00:07:42,896 --> 00:07:46,900 銀次さんが 夜ダカ号って名前を つけてくれたの。 100 00:07:46,900 --> 00:07:50,236 (アイ)今夜のメニューはハンバーガーですよ~。 101 00:07:50,236 --> 00:07:53,073 ハンバーグをパンに挟んだものよ。 102 00:07:53,073 --> 00:07:56,910 ふ~ん 新しいもの好きの 妖都のあやかしに➨ 103 00:07:56,910 --> 00:07:59,079 うけそうじゃない。 104 00:07:59,079 --> 00:08:01,414 しっかり働きなさいよ。 105 00:08:01,414 --> 00:08:05,085 はい… お涼もね。 106 00:08:05,085 --> 00:08:08,588 (子鬼たち)いらっしゃいませ~ いらっしゃいませ~。 107 00:08:08,588 --> 00:08:13,093 天神屋の食事処 夕がおの出張店ですよ~! 108 00:08:13,093 --> 00:08:16,429 おいしい 現世のハンバーガーがありますよ! 109 00:08:16,429 --> 00:08:19,766 (チビ) とっても おいしいでしゅよ~。 110 00:08:19,766 --> 00:08:38,084 ♬~ 111 00:08:40,387 --> 00:08:44,057 はあ~ 終わった終わった。 112 00:08:44,057 --> 00:08:46,226 お疲れさまです~。 おつかれさまでしゅ~。 113 00:08:46,226 --> 00:08:49,229 アイちゃんもチビも よく頑張ってくれたわね。 114 00:08:49,229 --> 00:08:52,732 ありがとう。 失礼。 115 00:08:52,732 --> 00:08:56,569 やはりもう 注文は受け付けられないだろうか。 116 00:08:56,569 --> 00:08:59,572 大丈夫ですよ。 こちらどうぞ。 117 00:09:02,409 --> 00:09:05,078 目新しい料理が 食べられると聞いて➨ 118 00:09:05,078 --> 00:09:08,415 飛んできたのだが。 いかにも奇怪な料理だ。 119 00:09:08,415 --> 00:09:10,750 ハンバーガーというのですが➨ 120 00:09:10,750 --> 00:09:13,920 お肉や野菜を挟んだ パンのお料理です。 121 00:09:13,920 --> 00:09:16,756 3種類 用意していますが…。 122 00:09:16,756 --> 00:09:19,426 どれが いちばんハイカラだろうか。 123 00:09:19,426 --> 00:09:23,096 それでしたら 夜ダカ号チーズバーガーでしょうか。 124 00:09:23,096 --> 00:09:25,432 極赤牛の平たい肉団子に➨ 125 00:09:25,432 --> 00:09:29,269 南の地のアボカドと 北の地のチーズを挟んでいます。 126 00:09:29,269 --> 00:09:31,771 ならば それにしようか。 127 00:09:37,043 --> 00:09:40,713 お待たせしました。 おぉ…。 128 00:09:40,713 --> 00:09:45,051 こちらはサービスで りんごと生姜の温かい炭酸です。 129 00:09:45,051 --> 00:09:47,220 温かい炭酸? 130 00:09:47,220 --> 00:09:49,722 鬼門の地の名物なんです。 131 00:09:49,722 --> 00:09:53,059 お疲れの体を 癒やしてくれると思いますよ。 132 00:09:53,059 --> 00:09:55,061 ほう。 133 00:09:57,730 --> 00:10:02,068 ありがとう。 なんだか心の落ち着く味だな。 134 00:10:02,068 --> 00:10:05,238 で これは どう食せば…。 135 00:10:05,238 --> 00:10:08,408 しっかり手に持って かぶりついてください。 136 00:10:08,408 --> 00:10:10,410 えっ? 137 00:10:16,416 --> 00:10:18,585 うまい。 138 00:10:18,585 --> 00:10:22,589 これなら あの子も食べてくれるだろうか。 139 00:10:22,589 --> 00:10:24,591 《あの子?》 140 00:10:26,593 --> 00:10:29,095 ふぅ… うまかった。 141 00:10:29,095 --> 00:10:32,098 私は ふだん あまり自由のない➨ 142 00:10:32,098 --> 00:10:35,435 さまざまなものに 縛られた生活をしている。 143 00:10:35,435 --> 00:10:39,606 このひとときは そういうものを 一時的に忘れることのできる➨ 144 00:10:39,606 --> 00:10:42,942 貴重な時間だった。 145 00:10:42,942 --> 00:10:46,446 ごちそうさま 夜ダカの君。 146 00:10:53,786 --> 00:10:58,391 《お忍びだったのかな 高貴な身の上の方の…》 147 00:11:00,793 --> 00:11:03,129 《すごい景色。 148 00:11:03,129 --> 00:11:06,799 大旦那様 このどこかにいるのよね。 149 00:11:06,799 --> 00:11:09,302 ちゃんとご飯 食べてるかしら?》 150 00:11:09,302 --> 00:11:12,972 (サスケ)葵殿! サスケくん! 151 00:11:12,972 --> 00:11:16,309 このまま 妖都に 降り立っていただくでござる。 152 00:11:16,309 --> 00:11:19,646 えっ!? お帳場長からのお達しでござる。 153 00:11:19,646 --> 00:11:21,648 白夜さん? 154 00:11:21,648 --> 00:11:25,151 ええっ!? あっ… あぁ~! 155 00:11:28,321 --> 00:11:32,759 帰りの客に紛れ このまま 妖都の中心部までお連れする。 156 00:11:32,759 --> 00:11:35,595 待って アイちゃんとチビが…。 157 00:11:35,595 --> 00:11:40,099 大丈夫 2人には仲間のお庭番に 説明をしてもらうでござる。 158 00:11:40,099 --> 00:11:43,436 でも…。 アイ殿には 葵殿に化けて➨ 159 00:11:43,436 --> 00:11:46,439 天神屋に戻ってもらう必要が あるでござる。 160 00:11:46,439 --> 00:11:49,609 えっ? それって影武者ってこと? 161 00:11:49,609 --> 00:11:54,113 葵殿の不在を敵方に知られるのは まずいでござるから。 162 00:11:54,113 --> 00:11:57,116 敵… わっ! 163 00:12:02,455 --> 00:12:04,457 わぁ~! 164 00:12:09,128 --> 00:12:13,299 ねぇ サスケくん 私たちは どこへ行くの? 165 00:12:13,299 --> 00:12:15,301 縫ノ陰邸まで。 166 00:12:15,301 --> 00:12:18,805 縫ノ陰邸!? って 律子様の! 167 00:12:18,805 --> 00:12:21,474 現在 妖都の宮中関係者で➨ 168 00:12:21,474 --> 00:12:24,477 我々の味方と なってくださっているのは➨ 169 00:12:24,477 --> 00:12:28,314 縫ノ陰殿と その奥方の律子殿だけ。 170 00:12:28,314 --> 00:12:31,484 その律子殿が 葵殿をお呼びだとか。 171 00:12:31,484 --> 00:12:33,886 えっ 私を? 172 00:12:42,428 --> 00:12:45,264 (サスケ)では 拙者はこれにて! 173 00:12:45,264 --> 00:12:47,266 あっ…。 174 00:12:51,771 --> 00:12:55,441 (律子)葵さん こんばんは。 175 00:12:55,441 --> 00:12:57,777 律子さん! 176 00:12:57,777 --> 00:13:00,780 お久しぶりです 律子さん。 177 00:13:00,780 --> 00:13:03,950 夏以来ですね 葵さん。 178 00:13:03,950 --> 00:13:06,619 お呼び立てして ごめんなさい。 179 00:13:06,619 --> 00:13:09,622 ぜひ お願いしたいことがあるのです。 180 00:13:09,622 --> 00:13:12,458 あっ はい。 それは…。 181 00:13:12,458 --> 00:13:14,460 あ… あの…。 182 00:13:14,460 --> 00:13:18,298 その前に ひとつ聞きたいことがあるんです。 183 00:13:18,298 --> 00:13:22,802 大旦那様が 妖都から戻ってこないんです! 184 00:13:22,802 --> 00:13:27,140 律子様 何かご存じないですか!? 185 00:13:27,140 --> 00:13:29,308 あの方は➨ 186 00:13:29,308 --> 00:13:33,246 妖王様によって 牢に囚われております。 187 00:13:33,246 --> 00:13:35,248 えっ!? 188 00:13:38,251 --> 00:13:42,588 大旦那様が 牢屋に入れられているだなんて。 189 00:13:42,588 --> 00:13:46,426 伝え聞いた情報によると 妖王様の前で➨ 190 00:13:46,426 --> 00:13:50,263 雷獣によって化けの皮を 剥がされたようなのです。 191 00:13:50,263 --> 00:13:53,433 化けの… 皮? えぇ。 192 00:13:53,433 --> 00:13:58,771 あやかしとしての真実の姿を 暴かれたということです。 193 00:13:58,771 --> 00:14:02,775 大旦那様の 真実の姿? 194 00:14:05,111 --> 00:14:08,281 でも だからって どうして牢屋なんかに! 195 00:14:08,281 --> 00:14:12,618 悪いことをしたわけでもないのに 化けの皮が剥がされただけで…。 196 00:14:12,618 --> 00:14:16,122 化けの皮を 強制的に剥がされるというのは➨ 197 00:14:16,122 --> 00:14:18,791 ふだん化け姿で過ごしている あやかしにとって➨ 198 00:14:18,791 --> 00:14:20,793 最も恐ろしいこと。 199 00:14:22,795 --> 00:14:26,632 そして 大旦那様の真実の姿 というものは➨ 200 00:14:26,632 --> 00:14:29,802 隠世では 重大な禁忌だったというのです。 201 00:14:29,802 --> 00:14:31,804 禁忌!? 202 00:14:31,804 --> 00:14:35,408 雷獣が… 言ったんです。 203 00:14:35,408 --> 00:14:40,246 大旦那様はもう 天神屋には戻ってこないって。 204 00:14:40,246 --> 00:14:45,251 私… 何もできない気がして ずっと不安で。 205 00:14:45,251 --> 00:14:49,355 大旦那様の帰ってくる場所を 守らなきゃいけないのに。 206 00:14:51,424 --> 00:14:55,762 葵さんは あの鬼神の 大旦那様に対する感情に➨ 207 00:14:55,762 --> 00:14:59,098 変化があったみたいですね。 えっ? 208 00:14:59,098 --> 00:15:02,101 初めて あなたにお会いした時は➨ 209 00:15:02,101 --> 00:15:06,105 まだまだ恋を知らない お嬢さんだと思っていたのですが。 210 00:15:06,105 --> 00:15:10,443 そ その… 別に そういうわけでは。 211 00:15:10,443 --> 00:15:15,114 恋というものは なぜか一度 人を弱くします。 212 00:15:15,114 --> 00:15:18,618 しかし それを受け入れ 乗り越えると➨ 213 00:15:18,618 --> 00:15:22,789 恋心ほど大きな力を生む気持ちは 他にないと➨ 214 00:15:22,789 --> 00:15:24,791 わたくしは思うのです。 215 00:15:24,791 --> 00:15:28,127 律子さん…。 今回の件は➨ 216 00:15:28,127 --> 00:15:31,798 天神屋の大旦那様のみの問題では ありません。 217 00:15:31,798 --> 00:15:37,403 今 宮中で八葉制度の廃止が 声高に叫ばれています。 218 00:15:37,403 --> 00:15:40,406 千年以上も前のこと。 219 00:15:40,406 --> 00:15:43,409 当時の妖王は力が弱く➨ 220 00:15:43,409 --> 00:15:47,747 各地で賊が暴れて 隠世は混乱に陥っていました。 221 00:15:47,747 --> 00:15:51,751 その隠世の混乱を 抑えるために作られたのが➨ 222 00:15:51,751 --> 00:15:54,086 八葉制度でした。 223 00:15:54,086 --> 00:15:58,090 中心に妖都を置き 八つに土地を分け➨ 224 00:15:58,090 --> 00:16:02,094 八つの大妖怪に それぞれの 地の主として権力を与え➨ 225 00:16:02,094 --> 00:16:05,932 平和に収めるよう命じたのです。 226 00:16:05,932 --> 00:16:09,101 それが今の八つの地。 227 00:16:09,101 --> 00:16:12,271 八つの地は それぞれに発展を遂げました。 228 00:16:12,271 --> 00:16:14,440 妖都の貴族たちもまた➨ 229 00:16:14,440 --> 00:16:18,277 彼らが支払う多額の税によって 潤っています。 230 00:16:18,277 --> 00:16:20,780 潤っているのなら➨ 231 00:16:20,780 --> 00:16:24,450 なぜ八葉制度を 潰そうとしているのでしょうか? 232 00:16:24,450 --> 00:16:28,120 貴族たちは 八葉が権力を増すことが➨ 233 00:16:28,120 --> 00:16:30,456 苦々しくてならない。 234 00:16:30,456 --> 00:16:33,392 でも そのもたらす富は欲しい。 235 00:16:33,392 --> 00:16:36,062 それで 八葉制度を廃止し➨ 236 00:16:36,062 --> 00:16:38,731 八つの地の財と富 商売を➨ 237 00:16:38,731 --> 00:16:42,735 妖王の名のもとに 管理しようとしているのです。 238 00:16:42,735 --> 00:16:45,571 そんなの ひどい! 239 00:16:45,571 --> 00:16:48,407 天神屋だって あの折尾屋だって➨ 240 00:16:48,407 --> 00:16:51,244 自分たちで知恵を働かせて➨ 241 00:16:51,244 --> 00:16:55,081 失敗や成功を たくさん繰り返して やっと今があるのに! 242 00:16:55,081 --> 00:16:57,583 えぇ そのとおりです。 243 00:16:57,583 --> 00:17:00,586 貴族にも 廃止に反対の者もいますし➨ 244 00:17:00,586 --> 00:17:02,922 何より妖王様ご自身が➨ 245 00:17:02,922 --> 00:17:06,926 八葉との関係を壊したくないと お考えのようでした。 246 00:17:08,928 --> 00:17:12,098 妖王様が 大旦那様を呼び寄せたのも➨ 247 00:17:12,098 --> 00:17:14,767 この件で 相談事があったからだとか。 248 00:17:14,767 --> 00:17:18,604 えっ? 妖王様は まだ200歳とお若く➨ 249 00:17:18,604 --> 00:17:23,442 大旦那様を兄のように思っている とさえ聞いていました。 250 00:17:23,442 --> 00:17:28,114 だったら そんな妖王様が どうして大旦那様を…。 251 00:17:28,114 --> 00:17:30,449 それは わかりません。 252 00:17:30,449 --> 00:17:32,451 でも この一件から➨ 253 00:17:32,451 --> 00:17:35,221 妖王様は 八葉制度を廃止する方向で➨ 254 00:17:35,221 --> 00:17:37,723 考えるようになられたとのこと。 255 00:17:39,725 --> 00:17:42,395 《本当に どうして? 256 00:17:42,395 --> 00:17:46,065 大旦那様の真実の姿って➨ 257 00:17:46,065 --> 00:17:49,735 禁忌って… なんなの?》 258 00:17:49,735 --> 00:17:53,072 ここは妖王家縫ノ陰邸。 259 00:17:53,072 --> 00:17:58,411 縫ノ陰の名のもとに あなたを客人として迎え入れます。 260 00:17:58,411 --> 00:18:02,915 しばらくあなたは ここから 星華丸や天神屋に通うのです。 261 00:18:02,915 --> 00:18:07,086 えっ? 白夜さんの許可は すでに得てあります。 262 00:18:07,086 --> 00:18:10,256 葵さんの力を お借りしたい案件があるのです。 263 00:18:10,256 --> 00:18:13,926 でも…。 それに ここは妖都。 264 00:18:13,926 --> 00:18:18,264 最も早く情報を 手に入れることができる場所。 265 00:18:18,264 --> 00:18:20,366 大旦那様の情報も。 266 00:18:22,435 --> 00:18:26,772 待つだけが女の仕事だ なんていうのは 古い時代のお話。 267 00:18:26,772 --> 00:18:29,775 雷獣が どのような混乱の物語を➨ 268 00:18:29,775 --> 00:18:32,445 思い描いているのかは 知りませんが➨ 269 00:18:32,445 --> 00:18:35,381 それならば こちらはこちらで➨ 270 00:18:35,381 --> 00:18:39,218 ありったけの愛と奇跡の物語を 紡ぎましょう。 271 00:18:39,218 --> 00:18:41,220 律子さん…。 272 00:18:41,220 --> 00:18:43,723 お世話になります。 273 00:18:47,393 --> 00:18:50,563 わあっ とってもきれい! 274 00:18:50,563 --> 00:18:54,233 食べるのがもったいないような お料理ばかりですね。 275 00:18:54,233 --> 00:18:57,069 妖都の長い歴史の中で生まれた➨ 276 00:18:57,069 --> 00:19:00,072 こだわりの妖都野菜のお総菜よ。 277 00:19:00,072 --> 00:19:03,075 北楽大根と油揚げの炒め煮➨ 278 00:19:03,075 --> 00:19:06,746 西巻人参と東花海老芋の 炊き合わせ➨ 279 00:19:06,746 --> 00:19:09,081 鰻のかぶら蒸し。 280 00:19:09,081 --> 00:19:11,751 ぜひ味わっていただきたいわ。 281 00:19:11,751 --> 00:19:13,753 はい。 282 00:19:16,088 --> 00:19:19,759 んっ! おだしが よく効いてる。 283 00:19:19,759 --> 00:19:21,761 とてもおいしいです。 284 00:19:21,761 --> 00:19:24,063 (竹千代)僕 それ嫌い。 285 00:19:29,435 --> 00:19:32,605 それも! これも! 嫌い! 286 00:19:32,605 --> 00:19:34,874 野菜 全部嫌い! 287 00:19:34,874 --> 00:19:38,044 えっ? まあ 竹千代様。 288 00:19:38,044 --> 00:19:41,213 お客様のお食事を 邪魔してはいけませんよ。 289 00:19:41,213 --> 00:19:44,316 うるさい うるさい! 僕に指図するな! 290 00:19:49,388 --> 00:19:52,058 あの… あの子は? 291 00:19:52,058 --> 00:19:56,395 訳あって我が家で預かっている 妖王家の御子様で➨ 292 00:19:56,395 --> 00:19:58,731 竹千代様といいます。 293 00:19:58,731 --> 00:20:00,733 妖王家の…。 294 00:20:00,733 --> 00:20:04,403 少々 気難しく 好き嫌いも激しく➨ 295 00:20:04,403 --> 00:20:07,073 食事にも あまり手をつけません。 296 00:20:07,073 --> 00:20:10,076 特に野菜は ほとんど口にしないのです。 297 00:20:10,076 --> 00:20:13,412 子供は野菜が嫌いですからねぇ。 298 00:20:13,412 --> 00:20:16,082 ただの子供の野菜嫌いではなく➨ 299 00:20:16,082 --> 00:20:18,751 そもそも食べるということ自体➨ 300 00:20:18,751 --> 00:20:21,754 あまり 好きではないみたいなのです。 301 00:20:25,091 --> 00:20:28,761 《どんな事情で ここに預けられてるのかな? 302 00:20:28,761 --> 00:20:33,432 食事が そんなに嫌だなんて どうして…》 303 00:20:33,432 --> 00:20:36,102 ほ~ら ハハハ。 304 00:20:36,102 --> 00:20:40,106 おいおい ハハハ こっち見ろ。 305 00:20:40,106 --> 00:20:42,108 ねぇ。 306 00:20:44,276 --> 00:20:46,445 えっと…。 307 00:20:46,445 --> 00:20:50,282 あっ その亀 とてもきれいね。 308 00:20:50,282 --> 00:20:52,284 何の用だ。 309 00:20:52,284 --> 00:20:54,787 ねぇ お腹すいてない? 310 00:20:54,787 --> 00:20:58,124 ふん! うるさい よそ者。 311 00:20:58,124 --> 00:21:00,126 何か食べてみない? 312 00:21:00,126 --> 00:21:03,129 いろんなものを食べるのって 楽しいわよ。 313 00:21:03,129 --> 00:21:05,464 ひとつも楽しくなんかないよ。 314 00:21:05,464 --> 00:21:08,467 私ね 人間なの。 315 00:21:08,467 --> 00:21:10,469 人間? 316 00:21:10,469 --> 00:21:13,806 人間たちの食べているものに 興味ない? 317 00:21:13,806 --> 00:21:16,642 そうねぇ… ハンバーガーはどう? 318 00:21:16,642 --> 00:21:19,645 両手で持って かぶりつくお料理よ。 319 00:21:19,645 --> 00:21:23,983 手で持って かぶりつく? 箸は使わないのか? 320 00:21:23,983 --> 00:21:26,819 えぇ! 隠世で言うと➨ 321 00:21:26,819 --> 00:21:29,488 おにぎりみたいな感じよ。 322 00:21:29,488 --> 00:21:31,657 おにぎり? 323 00:21:31,657 --> 00:21:33,592 えっ? 324 00:21:33,592 --> 00:21:37,429 うるさい! もう話しかけるな! 325 00:21:37,429 --> 00:21:40,332 僕は いらない子なんだ! 326 00:21:42,601 --> 00:21:45,771 《いらない子?》 327 00:21:45,771 --> 00:21:50,776 竹千代様は 現妖王様の 第二王子のご長男なのですよ。 328 00:21:50,776 --> 00:21:55,781 それって 今の妖王様の お孫さんってことですか? 329 00:21:55,781 --> 00:21:59,118 えぇ。 それも最初のお孫様。 330 00:21:59,118 --> 00:22:02,121 いずれ妖王の跡を継ぐ 御子として➨ 331 00:22:02,121 --> 00:22:06,625 母子ともども とても大事にされ いつも注目の的でした。 332 00:22:08,627 --> 00:22:12,798 でも しばらくして もう1人の御子が生まれたのです。 333 00:22:12,798 --> 00:22:18,304 その子は正室の子 そして竹千代様は側室の子。 334 00:22:18,304 --> 00:22:21,473 後で生まれた その御子が跡継ぎとなり➨ 335 00:22:21,473 --> 00:22:25,311 竹千代様と母君のお立場は 一転してしまったのです。 336 00:22:25,311 --> 00:22:28,147 そういうことだったんですね。 337 00:22:28,147 --> 00:22:31,150 周囲が 簡単に変わってしまったことで➨ 338 00:22:31,150 --> 00:22:33,085 母君は心を病んで➨ 339 00:22:33,085 --> 00:22:37,423 物を食べることが できなくなってしまい…。 340 00:22:37,423 --> 00:22:41,260 今は 文門の地の病院で療養の身です。 341 00:22:41,260 --> 00:22:44,597 もしかしたら そのせいで竹千代様も…。 342 00:22:44,597 --> 00:22:46,765 えぇ。 343 00:22:46,765 --> 00:22:50,102 竹千代様のご様子を 見かねた妖王様が➨ 344 00:22:50,102 --> 00:22:52,104 いとこである縫様に➨ 345 00:22:52,104 --> 00:22:55,407 竹千代様を預けることを 決められたのです。 346 00:22:57,776 --> 00:23:00,279 あんなに小さい子が➨ 347 00:23:00,279 --> 00:23:03,282 そんな つらい思いを…。 348 00:23:03,282 --> 00:23:06,952 ダメです そんなの絶対に。 349 00:23:06,952 --> 00:23:11,957 だから 私は白夜さんに頼み あなたをお呼びしたのですよ。 350 00:23:14,793 --> 00:23:17,796 《私は幼い頃➨ 351 00:23:17,796 --> 00:23:21,400 食べ物がなくて 空腹に苦しんだ》 352 00:23:24,803 --> 00:23:28,641 《でも 目の前に食べ物があるのに➨ 353 00:23:28,641 --> 00:23:31,143 それが食べられない子供も➨ 354 00:23:31,143 --> 00:23:36,916 きっと 同じように苦しい》 355 00:23:36,916 --> 00:23:39,084 わかりました。 356 00:23:39,084 --> 00:23:43,789 律子さん あの子のこと 私が何とかしてみます! 357 00:23:45,758 --> 00:23:48,260 ありがとう 葵さん。