1 00:00:02,002 --> 00:00:12,012 ♪~ 2 00:00:12,012 --> 00:00:14,306 <葵:その鬼と初めて会ったのは 3 00:00:14,306 --> 00:00:17,017 満開の桜の木の下だった> 4 00:00:19,019 --> 00:00:22,314 <鬼は 私が作ったお弁当を食べて 5 00:00:22,314 --> 00:00:27,027 私を隠世の宿 天神屋へとさらい 6 00:00:27,027 --> 00:00:31,532 あろうことか 祖父の借金のカタとして 7 00:00:31,532 --> 00:00:36,036 私を花嫁にすると言った> 8 00:00:36,036 --> 00:00:38,038 結婚なんて嫌よ! 9 00:00:38,038 --> 00:00:41,542 おじいちゃんの借金 私が働いて返すわ! 10 00:00:46,172 --> 00:00:48,883 フフフッ。 11 00:00:52,553 --> 00:00:54,555 あっ。 12 00:00:54,555 --> 00:00:56,724 (大旦那)やあ 葵。 13 00:00:56,724 --> 00:00:59,059 今日は何を作るんだい? 14 00:00:59,059 --> 00:01:02,897 里芋の煮物 脂ののった秋ジャケ 15 00:01:02,897 --> 00:01:05,733 菊の花入りの大根の酢漬け…。 16 00:01:05,733 --> 00:01:07,735 他にもいろいろ。 17 00:01:07,735 --> 00:01:10,571 もちろん ごはんはツヤツヤの新米よ。 18 00:01:10,571 --> 00:01:12,740 楽しそうだね。 19 00:01:12,740 --> 00:01:16,076 もちろん! じゃあね 大旦那様。 20 00:01:21,373 --> 00:01:27,379 <借金を返すために始めた 天神屋の食事処 夕がお。 21 00:01:27,379 --> 00:01:32,092 今ではここが… 私のいちばん大切な居場所!> 22 00:03:03,851 --> 00:03:08,314 今日も おいしかったわ。 いつもありがとうございます。 23 00:03:08,314 --> 00:03:10,482 お気をつけて。 24 00:03:12,484 --> 00:03:15,696 (アイ)お疲れさまでした 葵様。 25 00:03:15,696 --> 00:03:18,198 お疲れさま アイちゃん。 26 00:03:18,198 --> 00:03:20,701 でも まだもう少し 休めなさそうよ。 27 00:03:20,701 --> 00:03:22,703 あっ。 (戸の開く音) 28 00:03:22,703 --> 00:03:25,873 (お涼)葵 何か食べさせて~! 29 00:03:25,873 --> 00:03:30,210 (春日)おなかペコペコだよ 葵ちゃん。 30 00:03:30,210 --> 00:03:32,212 はいはい。 31 00:03:32,212 --> 00:03:34,882 今日はもう 簡単なものしかないわよ。 32 00:03:40,888 --> 00:03:43,891 いただきま~す! いただきます! 33 00:03:46,894 --> 00:03:48,896 (2人)あ~。 34 00:03:48,896 --> 00:03:51,732 疲れたときは やっぱり葵の料理よね~。 35 00:03:51,732 --> 00:03:55,527 あ~ このシャケフレーク最高! 36 00:03:55,527 --> 00:03:58,906 みるみる霊力が回復してくるよ。 37 00:03:58,906 --> 00:04:00,908 よかったです~。 38 00:04:00,908 --> 00:04:03,243 (春日)アイちゃん その姿かわいいね。 39 00:04:03,243 --> 00:04:05,913 (お涼)この前まで 葵とまんま同じで 40 00:04:05,913 --> 00:04:09,375 紛らわしかったものね~。 41 00:04:09,375 --> 00:04:11,543 お店を手伝いたいなら 42 00:04:11,543 --> 00:04:16,256 おりじなる… の姿を 作るようにって言われたんです。 43 00:04:16,256 --> 00:04:18,258 (春日)頑張ったんだねぇ。 44 00:04:18,258 --> 00:04:20,260 はい~! 45 00:04:20,260 --> 00:04:23,931 は~ おいしい。 46 00:04:23,931 --> 00:04:25,933 ねぇ 葵。 47 00:04:25,933 --> 00:04:29,269 あんた 夕がお やめたりしないでよね 48 00:04:29,269 --> 00:04:31,271 大旦那様に嫁入りしても。 49 00:04:31,271 --> 00:04:34,566 よ… 嫁入りなんかしないわよ! 50 00:04:34,566 --> 00:04:37,277 今は 夕がおのほうが ずっと大事だし。 51 00:04:37,277 --> 00:04:39,947 ならいいけど。 52 00:04:39,947 --> 00:04:42,574 んっ? 春日 何? 53 00:04:42,574 --> 00:04:44,785 (チビ)葵しゃ~ん! 54 00:04:44,785 --> 00:04:47,579 大変大変大変なんでしゅ~! 55 00:04:47,579 --> 00:04:49,581 どうしたの? チビ。 56 00:04:49,581 --> 00:04:53,419 どどんとおっきくて おっきなのが 空から来るでしゅ~! 57 00:04:53,419 --> 00:04:55,421 (4人)えっ? 58 00:05:03,429 --> 00:05:05,597 って あれ もしかして…。 59 00:05:08,976 --> 00:05:12,312 折尾屋の青蘭丸!? えっ? 60 00:05:12,312 --> 00:05:16,608 犬さんや天狗さんたちでしゅか? 61 00:05:16,608 --> 00:05:20,320 ホントだ! でも なんで!? 62 00:05:20,320 --> 00:05:23,449 (銀次)葵さんへのお礼ですよ。 (葵たち)えっ? 63 00:05:23,449 --> 00:05:25,451 銀次さん! 64 00:05:25,451 --> 00:05:28,996 (銀次)葵さんは 夏の儀式で 南の地を救ったわけですから 65 00:05:28,996 --> 00:05:31,832 そのお礼… というか 66 00:05:31,832 --> 00:05:35,461 報酬を支払いに来たんですよ。 えっ? 67 00:05:35,461 --> 00:05:38,630 私も立ち会ってきます。 では。 68 00:05:40,632 --> 00:05:44,636 それにしても わざわざ 青蘭丸で報酬持ってくるなんて 69 00:05:44,636 --> 00:05:46,638 大げさね。 70 00:05:46,638 --> 00:05:48,640 あんたねぇ! 71 00:05:48,640 --> 00:05:50,851 南の地の儀式を 成功させたうえに 72 00:05:50,851 --> 00:05:55,856 ずっと仲悪かった折尾屋と この天神屋の仲を取り持ったのよ。 73 00:05:55,856 --> 00:05:58,650 その報酬 白夜様が折尾屋に 74 00:05:58,650 --> 00:06:01,653 ものすっごい金額 ふっかけたらしいよ。 75 00:06:01,653 --> 00:06:05,032 えっ そ そうなの? 76 00:06:05,032 --> 00:06:08,660 今頃 受け渡しの真っ最中ね。 77 00:06:11,663 --> 00:06:16,502 はるばる ご苦労だったな 折尾屋の旦那頭殿。 78 00:06:16,502 --> 00:06:18,879 歓迎するよ。 (乱丸)はっ…。 79 00:06:18,879 --> 00:06:24,051 心にもないこと言いやがって 天神屋の大旦那。 80 00:06:26,678 --> 00:06:28,889 まあ俺も 81 00:06:28,889 --> 00:06:32,059 早々に借りを返したかったからな。 82 00:06:32,059 --> 00:06:35,229 もう てめえらとの間に 面倒ごとはごめんだ。 83 00:06:35,229 --> 00:06:38,690 おい 葉鳥。 (葉鳥)へいへい。 84 00:06:43,070 --> 00:06:45,697 (白夜)うむ よろしい。 85 00:06:48,909 --> 00:06:50,911 (白夜)領収書だ。 86 00:06:52,913 --> 00:06:54,915 後ほど 葵くんに 87 00:06:54,915 --> 00:06:57,543 しっかり ボーナスを 包んでやらなければならないな。 88 00:06:57,543 --> 00:07:01,547 初ボーナスですね。 きっと喜びますよ。 89 00:07:01,547 --> 00:07:03,549 あの娘のことだから 90 00:07:03,549 --> 00:07:06,093 結局 食材に 使い込んでしまいそうだが。 91 00:07:06,093 --> 00:07:09,429 フッ 言えてるな。 92 00:07:09,429 --> 00:07:11,723 あのお嬢ちゃんは そうだよな~。 93 00:07:11,723 --> 00:07:16,270 次に会うのは 年始の八葉夜行会になるだろう。 94 00:07:16,270 --> 00:07:19,439 そうだね。 今年は荒れそうだな。 95 00:07:19,439 --> 00:07:23,735 妖都で何やら きな臭え動きもあると聞く。 96 00:07:23,735 --> 00:07:26,446 その件の報告は受けている。 97 00:07:26,446 --> 00:07:30,742 (白夜)あの雷獣が 絡んでいるとのうわさも…。 98 00:07:30,742 --> 00:07:32,744 (銀次)雷獣…。 99 00:07:32,744 --> 00:07:36,582 うっわ~ 雷獣か~。 ろくでもないな。 100 00:07:36,582 --> 00:07:40,294 そうだな 肝に銘じておくとしよう。 101 00:07:42,462 --> 00:07:44,464 よ~し かったるい話は済んだ! 102 00:07:44,464 --> 00:07:46,466 お嬢ちゃんとこ行って 103 00:07:46,466 --> 00:07:48,468 何かうまいもん 食わしてもらおうぜ。 104 00:07:48,468 --> 00:07:51,805 葉鳥 そんな時間はない。 えっ? 105 00:07:51,805 --> 00:07:55,809 仕事の山が待ってんだ。 すぐに帰るぞ。 106 00:07:55,809 --> 00:07:57,978 え~!! 107 00:07:59,980 --> 00:08:04,276 わ~! ホントにホントにすごいわね! 108 00:08:04,276 --> 00:08:07,821 たくさんの野菜に 脂ののった養殖ブリ! 109 00:08:07,821 --> 00:08:11,491 程よくサシの入った 極赤牛のおっきな塊! 110 00:08:11,491 --> 00:08:13,493 マンゴーにアボカド! 111 00:08:13,493 --> 00:08:16,288 ずっと欲しかったココナツオイルまで! 112 00:08:16,288 --> 00:08:18,999 何作ろうかって ワクワクが止まらない! 113 00:08:18,999 --> 00:08:23,128 あっ 極赤牛は 半分はもう調理中よ。 114 00:08:23,128 --> 00:08:25,297 (銀次)この匂いは…。 115 00:08:25,297 --> 00:08:29,676 ビーフシチューよ。 おぉ ビーフシチュー! 116 00:08:29,676 --> 00:08:33,013 本格的なのを ずっと作りたかったの。 117 00:08:33,013 --> 00:08:37,517 葵さんのその笑顔 乱丸に見せられなくて残念です。 118 00:08:37,517 --> 00:08:41,313 私だって 直接お礼言いたかったわよ。 119 00:08:41,313 --> 00:08:43,315 しかたないですね。 120 00:08:43,315 --> 00:08:47,152 乱丸は 南の地の八葉ですから 忙しいんです。 121 00:08:47,152 --> 00:08:52,157 フフフッ それなら 次は銀次さんが 折尾屋に行けばいいわ。 122 00:08:52,157 --> 00:08:55,327 2人きりの兄弟なんだもの。 123 00:08:55,327 --> 00:08:59,873 もう お互いの行き来を 阻むものはないでしょう? 124 00:08:59,873 --> 00:09:02,334 葵さん…。 125 00:09:02,334 --> 00:09:05,712 あ~ みんな元気かな~? 126 00:09:05,712 --> 00:09:07,881 葉鳥さんや時彦さん 127 00:09:07,881 --> 00:09:10,175 秀吉やねね 128 00:09:10,175 --> 00:09:13,720 かわいい双子の板前の戒と明 129 00:09:13,720 --> 00:09:16,181 それに ノブナガ。 130 00:09:16,181 --> 00:09:18,183 お元気みたいですよ。 131 00:09:18,183 --> 00:09:21,353 あっ 秀吉さんとねねさんは 婚約されるそうです。 132 00:09:21,353 --> 00:09:26,358 え~!? なにその急展開! アハハ。 133 00:09:26,358 --> 00:09:29,903 信頼のおける 若旦那と若女将が婚約となれば 134 00:09:29,903 --> 00:09:33,073 折尾屋は 当分安泰でしょう。 135 00:09:33,073 --> 00:09:36,201 天神屋も うかうかしてられないわ。 136 00:09:36,201 --> 00:09:40,747 葵さんは 天神屋の新しいお土産を 開発中なんですよね? 137 00:09:40,747 --> 00:09:44,751 えぇ 砂楽博士に頼まれて。 138 00:09:44,751 --> 00:09:47,212 新しい おまんじゅうにしようって 決めてて 139 00:09:47,212 --> 00:09:50,382 いろいろお試し中よ。 楽しみです。 140 00:09:50,382 --> 00:09:52,759 私も力になりますからね。 141 00:09:52,759 --> 00:09:54,761 えぇ またね。 142 00:09:56,763 --> 00:09:59,224 (お涼)葵!! 143 00:09:59,224 --> 00:10:02,602 大変よ 大変! あっ ど どうしたのよ。 144 00:10:02,602 --> 00:10:08,108 春日が… 春日が… 天神屋を辞めるんだって! 145 00:10:08,108 --> 00:10:10,777 えっ? ど どういうこと? 146 00:10:10,777 --> 00:10:12,946 春日が辞める!? 147 00:10:12,946 --> 00:10:16,241 辞めて… 嫁入りしちゃうんだって! 148 00:10:16,241 --> 00:10:18,952 よ 嫁入り? 149 00:10:20,954 --> 00:10:23,415 なんで急に嫁入りなんて…。 150 00:10:23,415 --> 00:10:25,792 それだけじゃないわ! 151 00:10:25,792 --> 00:10:29,421 あの子 実は とんでもないお嬢様だったのよ! 152 00:10:29,421 --> 00:10:31,423 お お嬢様? 153 00:10:31,423 --> 00:10:37,637 春日は 宮中の右大臣 大狸家康公の末娘だったのよ! 154 00:10:37,637 --> 00:10:41,433 え~!? …って誰? 155 00:10:41,433 --> 00:10:44,644 八葉なんて目じゃないくらい 偉い方よ! 156 00:10:44,644 --> 00:10:46,980 そこまで!? あぁ もう! 157 00:10:46,980 --> 00:10:49,983 いいから来て! あっ… えっ? どこへ? 158 00:10:49,983 --> 00:10:51,985 大旦那様のところ! 159 00:10:51,985 --> 00:10:55,447 春日 辞めるって話を しに行ってるんだって! 160 00:10:55,447 --> 00:10:57,449 さあ! あっ…。 161 00:11:00,452 --> 00:11:03,288 春日 ゆうべだって 何も言ってなかった。 162 00:11:03,288 --> 00:11:06,291 そうよ ひと言も! 163 00:11:06,291 --> 00:11:10,670 あの子が まさか 右大臣様の娘だったなんて…。 164 00:11:10,670 --> 00:11:13,173 知らないから こき使っちゃったじゃない。 165 00:11:13,173 --> 00:11:15,467 それって罰せられるかも! 166 00:11:15,467 --> 00:11:17,469 あっ…。 167 00:11:17,469 --> 00:11:19,471 暁! 168 00:11:19,471 --> 00:11:22,682 (暁)お前たち! 大変だぞ 春日が…。 169 00:11:22,682 --> 00:11:24,684 聞いたわ! 170 00:11:24,684 --> 00:11:27,187 それで 大旦那様のところに行くのよ。 171 00:11:27,187 --> 00:11:29,189 いや待て! 172 00:11:29,189 --> 00:11:31,858 大旦那様の 邪魔になるようなことは…。 173 00:11:31,858 --> 00:11:33,860 俺も行く! 174 00:11:33,860 --> 00:11:37,322 (2人)あっ! 175 00:11:37,322 --> 00:11:40,492 だめですよ 皆さん。 176 00:11:40,492 --> 00:11:42,494 でも 銀次さん…。 177 00:11:42,494 --> 00:11:46,039 お気持ちはわかります。 ですが…。 178 00:11:46,039 --> 00:11:48,333 って… あっ! 179 00:11:51,044 --> 00:11:55,507 春日… 本当に 気持ちは変わらないのかい? 180 00:11:55,507 --> 00:11:58,510 はい 大旦那様。 181 00:11:58,510 --> 00:12:00,887 私は天神屋を辞めて 182 00:12:00,887 --> 00:12:05,058 北の地 氷里城に 嫁入りするつもりです。 えっ…。 183 00:12:05,058 --> 00:12:08,728 叔父である千秋も それでいいのだね? 184 00:12:08,728 --> 00:12:12,232 (千秋)はい。 春日と氷里城のおさとの婚姻は 185 00:12:12,232 --> 00:12:14,734 何かと不安定な北の地を 186 00:12:14,734 --> 00:12:18,238 今後は我が北西の地が 支えるという証しとなるでしょう。 187 00:12:18,238 --> 00:12:20,740 そうか。 188 00:12:20,740 --> 00:12:23,535 (お涼)待って! 氷里城のおさですって!? 189 00:12:23,535 --> 00:12:25,537 あっ…。 えっ お涼! 190 00:12:25,537 --> 00:12:28,540 シーッ! だって! 191 00:12:28,540 --> 00:12:32,377 えっ? (3人)うわ~! 192 00:12:32,377 --> 00:12:34,379 お前たち…。 193 00:12:34,379 --> 00:12:36,923 あっ… アハハハハ。 194 00:12:36,923 --> 00:12:39,551 ア… アハハハ。 195 00:12:39,551 --> 00:12:43,388 あぁ… みんな来ちゃったんすね。 196 00:12:43,388 --> 00:12:46,099 春日 本当なの? 197 00:12:46,099 --> 00:12:49,102 北の地の氷里城のおさに 嫁入りするって…。 198 00:12:49,102 --> 00:12:51,938 うん そうだよ。 199 00:12:51,938 --> 00:12:56,776 でも! あそこのおさは もはや古代の骨董品って感じの 200 00:12:56,776 --> 00:12:59,404 とんでも老いぼれじじい だったはずよ! 201 00:12:59,404 --> 00:13:02,782 あんた そんなヤツに嫁入りするの!? 202 00:13:02,782 --> 00:13:04,951 いや お涼。 203 00:13:04,951 --> 00:13:08,413 北の地の八葉は いよいよ代わる。 えっ? 204 00:13:08,413 --> 00:13:11,958 長く八葉を務めていた 大長老が引退されて 205 00:13:11,958 --> 00:13:16,296 次のその座に就くのは その末の孫のキヨ殿だ。 206 00:13:16,296 --> 00:13:18,298 あっ…。 207 00:13:18,298 --> 00:13:22,802 お涼も知らない人なの? お前 北の地の生まれだろ? 208 00:13:22,802 --> 00:13:25,805 あっ…。 ねぇ 私…。 209 00:13:25,805 --> 00:13:27,807 はっ…。 210 00:13:27,807 --> 00:13:30,977 《こんな春日 見たことない…》 211 00:13:30,977 --> 00:13:33,438 この人たちの顔を見てたら 212 00:13:33,438 --> 00:13:36,608 なんだか おなかすいてきちゃった。 213 00:13:36,608 --> 00:13:39,611 大旦那様 いったん何か食べていいですか? 214 00:13:39,611 --> 00:13:42,822 私 朝から 何も食べてないんだもん。 215 00:13:42,822 --> 00:13:45,450 あぁ。 あっ! 216 00:13:45,450 --> 00:13:48,995 春日 なら 夕がおにおいで。 217 00:13:48,995 --> 00:13:50,997 私も一緒に…。 218 00:13:50,997 --> 00:13:53,333 んっ? お前は仕事だ。 219 00:13:53,333 --> 00:13:55,627 俺もだけどな。 220 00:13:55,627 --> 00:13:57,629 え~!? 221 00:13:59,631 --> 00:14:01,633 はい。 222 00:14:01,633 --> 00:14:05,178 喫茶店風 お月見ビーフシチューハンバーグの 出来上がりよ。 223 00:14:05,178 --> 00:14:08,848 わ~! すっごくいい匂い! 224 00:14:08,848 --> 00:14:11,851 目玉焼きがのってる~! 225 00:14:11,851 --> 00:14:13,853 (春日)今夜は十五夜だもんね。 226 00:14:13,853 --> 00:14:17,023 本当に満月のお月様みたい。 227 00:14:17,023 --> 00:14:21,194 狸色のお料理は 基本とてもおいしいって法則よ。 228 00:14:21,194 --> 00:14:24,030 さっ 食べて食べて。 うん! 229 00:14:26,366 --> 00:14:30,495 うわ~ 何これ おいしすぎるよ 葵ちゃん! 230 00:14:30,495 --> 00:14:32,664 ウフッ…。 231 00:14:38,378 --> 00:14:42,215 ん~ 最高! 232 00:14:42,215 --> 00:14:44,217 よかった~。 233 00:14:44,217 --> 00:14:47,512 ハンバーグは たまに 葵ちゃんが作ってくれてるけど 234 00:14:47,512 --> 00:14:50,223 ビーフシチューは 本で読んだことがあるだけ。 235 00:14:50,223 --> 00:14:52,225 食べるのは初めて。 236 00:14:52,225 --> 00:14:54,394 本で読んだことがあったの? 237 00:14:54,394 --> 00:14:59,065 うん 私が育った 北西の文門の地の図書館には 238 00:14:59,065 --> 00:15:01,067 たくさんの本があるんだ。 239 00:15:01,067 --> 00:15:05,071 現世の西洋のお料理のことが 書かれた本って 240 00:15:05,071 --> 00:15:07,073 子どもの私たちには 241 00:15:07,073 --> 00:15:10,535 妄想が広がって すごくおもしろいものだったなぁ。 242 00:15:10,535 --> 00:15:12,537 私たち…。 243 00:15:14,706 --> 00:15:19,085 あぁ この味は 想像もできなかったよ。 244 00:15:19,085 --> 00:15:22,088 めちゃくちゃおいしい! 245 00:15:22,088 --> 00:15:25,925 (春日)ふ~ ごちそうさまでした。 246 00:15:25,925 --> 00:15:29,262 おなかいっぱい。 よかった。 247 00:15:29,262 --> 00:15:32,557 急におなかすいたって 言い出したときは ビックリしたわ。 248 00:15:32,557 --> 00:15:34,559 アハハ。 249 00:15:34,559 --> 00:15:38,271 ねぇ 葵ちゃんは 大旦那様に嫁入りするの? 250 00:15:38,271 --> 00:15:40,940 えっ!? し しないわよ! 251 00:15:40,940 --> 00:15:45,445 ゆうべも言ったでしょ? 今は夕がおが大切だもの。 252 00:15:45,445 --> 00:15:47,739 でも 葵ちゃん 253 00:15:47,739 --> 00:15:51,117 大旦那様のこと もう嫌いじゃないでしょう? 254 00:15:51,117 --> 00:15:53,119 あっ…。 255 00:15:53,119 --> 00:16:16,142 ♪~ 256 00:16:16,142 --> 00:16:19,145 そりゃあ 嫌いかって聞かれたら 257 00:16:19,145 --> 00:16:22,774 そうじゃないって 答えるくらいにはなったけど…。 258 00:16:22,774 --> 00:16:28,154 なら好きなの? うっ… そ そんなはずないじゃない。 259 00:16:28,154 --> 00:16:32,492 だって 私 大旦那様のこと 何も知らないんだもの。 260 00:16:32,492 --> 00:16:34,994 知らないって…。 261 00:16:34,994 --> 00:16:36,996 だから もうちょっと 262 00:16:36,996 --> 00:16:39,332 大旦那様のことが 知りたいんだけど…。 263 00:16:39,332 --> 00:16:42,168 ふ~ん。 何よ。 264 00:16:42,168 --> 00:16:47,632 フフフッ 大旦那様は やっぱり偉大だ。 265 00:16:47,632 --> 00:16:50,176 春日? 266 00:16:50,176 --> 00:16:54,806 春日 嫁入りするの 本当は嫌なんじゃないの? 267 00:16:54,806 --> 00:16:58,810 えっ? それって 政略結婚じゃない。 268 00:16:58,810 --> 00:17:02,647 政略結婚はしかたがないよ。 269 00:17:02,647 --> 00:17:05,650 だって 私が動くってことは 270 00:17:05,650 --> 00:17:08,528 いろいろな意味を はらんでいるんだ。 271 00:17:08,528 --> 00:17:13,533 私たち文門狸はね 腹黒いんだよ。 272 00:17:13,533 --> 00:17:17,370 狸はとても弱いから ここだけで生き延びた。 273 00:17:17,370 --> 00:17:19,372 エヘッ。 274 00:17:19,372 --> 00:17:22,208 文門の地の八葉である 院長ばば様は 275 00:17:22,208 --> 00:17:27,380 各地に配下の狸たちを飛ばして いつも情報を集めてる。 276 00:17:27,380 --> 00:17:30,049 (春日)千秋だって 天神屋に派遣された 277 00:17:30,049 --> 00:17:33,386 優秀な調査員だ。 そうなの? 278 00:17:33,386 --> 00:17:36,389 大旦那様は そんな狸事情を知ってて 279 00:17:36,389 --> 00:17:39,392 あえて 千秋を 受け入れているんだろうね。 280 00:17:39,392 --> 00:17:42,562 あっ… た 狸事情…。 281 00:17:42,562 --> 00:17:46,399 そして 今度は私の番ってわけ。 282 00:17:46,399 --> 00:17:48,568 各地の懐に飛び込んで 283 00:17:48,568 --> 00:17:51,404 内側から じわじわと 影響力をあらわに…。 284 00:17:51,404 --> 00:17:54,866 それが 文門狸のやり方なんだよ。 285 00:17:54,866 --> 00:17:57,243 あっ… すごい話ね。 286 00:17:57,243 --> 00:18:01,414 それで 春日は素直に嫁入りできるの? 287 00:18:01,414 --> 00:18:07,253 私には 春日が何か 悩んで… 苦しんでいるように見えるわ。 288 00:18:07,253 --> 00:18:09,255 もし 春日が無理やり 289 00:18:09,255 --> 00:18:12,717 結婚させられそうに なっているのなら 私…。 290 00:18:14,719 --> 00:18:16,721 葵ちゃん。 291 00:18:16,721 --> 00:18:18,723 誰もが 葵ちゃんみたいに 292 00:18:18,723 --> 00:18:21,726 運命にあらがう女の子 ってわけじゃないんだよ。 293 00:18:21,726 --> 00:18:24,103 あっ…。 それに 294 00:18:24,103 --> 00:18:26,105 葵ちゃんは勘違いをしてるね。 295 00:18:26,105 --> 00:18:30,735 私が悩んでいるのは 悲しいと思っているのは 296 00:18:30,735 --> 00:18:34,906 天神屋を離れるのが とても寂しいからなんだ。 297 00:18:34,906 --> 00:18:36,908 あっ…。 298 00:18:36,908 --> 00:18:39,285 嫁入りすることが 嫌なわけじゃない。 299 00:18:39,285 --> 00:18:41,913 むしろ 少しだけ期待もある。 300 00:18:41,913 --> 00:18:44,624 結婚相手のキヨは 知らない人じゃないから。 301 00:18:44,624 --> 00:18:49,128 そうなの? うん。 キヨは幼なじみだもん。 302 00:18:49,128 --> 00:18:52,924 最後に会ったのは 小さな狸だった頃だけどね。 303 00:18:52,924 --> 00:18:59,138 ここだけの話 キヨはね 私の初恋の相手なんだ。 304 00:18:59,138 --> 00:19:01,307 えっ!? すごいわね 305 00:19:01,307 --> 00:19:04,477 初恋の人と 結婚することになるなんて。 306 00:19:04,477 --> 00:19:10,483 ウフフッ まあ 向こうは 私なんて嫌かもしれないけどさ。 307 00:19:10,483 --> 00:19:12,777 ありがとう 葵ちゃん。 308 00:19:12,777 --> 00:19:16,489 葵ちゃんの料理は 弱った体だけじゃなくて 309 00:19:16,489 --> 00:19:20,660 あやかしの心も満たしてくれる。 春日…。 310 00:19:20,660 --> 00:19:22,954 葵ちゃんは すごいよね。 311 00:19:22,954 --> 00:19:26,666 圧倒的に不利な状況から ここまで来たんだ 312 00:19:26,666 --> 00:19:30,336 自分の力で。 あっ…。 313 00:19:30,336 --> 00:19:33,172 私はどうかな…。 314 00:19:33,172 --> 00:19:38,177 八葉の嫁になるだけの力が 私自身にあるのかな。 315 00:19:49,480 --> 00:19:53,026 何をしているんだい? あっ…。 316 00:19:53,026 --> 00:19:55,194 大旦那様。 317 00:19:55,194 --> 00:19:57,488 紅葉の葉っぱを集めてるのよ。 318 00:19:57,488 --> 00:20:00,033 お料理の飾りにしようと思って。 319 00:20:00,033 --> 00:20:04,704 そうか 僕も手伝おう。 ありがとう。 320 00:20:09,334 --> 00:20:12,503 《大旦那様は優しい》 321 00:20:12,503 --> 00:20:14,714 どうだい? 322 00:20:14,714 --> 00:20:17,508 うん 全部きれい。 323 00:20:17,508 --> 00:20:21,220 図らずも僕には きれいな葉っぱを 選ぶ才能があることが 324 00:20:21,220 --> 00:20:26,225 わかってしまったね。 フフフ… 何なのそれ。 325 00:20:26,225 --> 00:20:28,227 フフッ。 326 00:20:28,227 --> 00:20:30,355 《おちゃめなところもあって 327 00:20:30,355 --> 00:20:32,732 一緒にいると楽しい。 328 00:20:32,732 --> 00:20:36,527 大事なところでは 私を支えてくれる。 329 00:20:36,527 --> 00:20:43,910 でも 私は大旦那様のことを 何も知らない》 330 00:20:46,371 --> 00:20:49,374 どうしたんだい 葵。 331 00:20:49,374 --> 00:20:52,752 聞きたいことがあるの。 332 00:20:52,752 --> 00:20:55,922 ずっと いちばん聞きたかったこと。 333 00:20:55,922 --> 00:21:02,095 銀次さんから聞いたでしょう? 私の小さい頃の話。 334 00:21:02,095 --> 00:21:05,098 銀次さんが 私にごはんを持ってきてくれた 335 00:21:05,098 --> 00:21:07,392 恩のあるあやかしだったって。 336 00:21:07,392 --> 00:21:12,271 あぁ その話なら ずっと前から知っているよ。 337 00:21:12,271 --> 00:21:16,567 もしかして… 大旦那様も何か関わってる? 338 00:21:20,571 --> 00:21:24,117 それを知って どうするんだい? 339 00:21:24,117 --> 00:21:26,411 葵は義理堅い。 340 00:21:26,411 --> 00:21:28,413 すぐにあやかしと関わり 341 00:21:28,413 --> 00:21:30,957 誰かの重荷を 一緒に背負おうとする。 342 00:21:30,957 --> 00:21:33,793 だが 僕はね 343 00:21:33,793 --> 00:21:37,130 葵に背負ってほしくない ことだってあるんだ。 344 00:21:37,130 --> 00:21:41,801 背負う? 私が? 345 00:21:41,801 --> 00:21:44,137 葵は それを知りたいのだろうが 346 00:21:44,137 --> 00:21:50,143 僕は… それを葵に 知ってほしくないということだよ。 347 00:21:50,143 --> 00:21:55,606 ただ… 知りたいのよ 大旦那様のことが。 348 00:21:58,317 --> 00:22:00,611 正直 驚いた。 349 00:22:00,611 --> 00:22:05,616 僕はずっと 葵には怖がられているのだと…。 350 00:22:05,616 --> 00:22:09,829 それ以外の感情は 特にないのだろうと思っていた。 351 00:22:12,331 --> 00:22:15,626 だから 知りたいと 思ってくれているのは 352 00:22:15,626 --> 00:22:18,629 心底うれしい。 353 00:22:18,629 --> 00:22:23,009 変わっていくものは… あるんだね。 354 00:22:23,009 --> 00:22:27,638 変わっていくもの…。 355 00:22:27,638 --> 00:22:30,641 《それは大旦那様にもあるの? 356 00:22:30,641 --> 00:22:33,019 まったくわからないのよ。 357 00:22:33,019 --> 00:22:36,355 あなたが 私のことを 本当のところで 358 00:22:36,355 --> 00:22:38,649 どう 思っているのか》 359 00:22:42,361 --> 00:22:44,489 ほら。 あっ。 360 00:22:44,489 --> 00:22:46,657 あ ありがとう。 361 00:22:46,657 --> 00:22:49,494 さあ 戻ろう。 362 00:22:54,373 --> 00:22:56,876 《結局聞けなかった…。 363 00:22:56,876 --> 00:23:00,880 私は大旦那様について 知らないことばかり。 364 00:23:00,880 --> 00:23:05,676 好物を知らない 過去や生い立ちを知らない。 365 00:23:05,676 --> 00:23:08,513 名前すら知らない…。 366 00:23:08,513 --> 00:23:13,893 知りたいのに もっと近づきたいのに…。 367 00:23:13,893 --> 00:23:18,397 どうしたら もうちょっとだけでも 近づけるのかな》