1 00:00:02,503 --> 00:00:04,672 (お涼)葵! 2 00:00:06,674 --> 00:00:10,010 (お涼) これ! 例のキヨ様が載ってる! 3 00:00:12,304 --> 00:00:15,850 《葵:この子が春日の初恋の…》 4 00:00:15,850 --> 00:00:18,853 にしても 美少年ね。 5 00:00:18,853 --> 00:00:23,315 美少年でもなんでも この嫁入りは認められないわ! 6 00:00:23,315 --> 00:00:26,026 なんで? 7 00:00:26,026 --> 00:00:29,530 と… とにかく 絶対に反対! 8 00:02:06,794 --> 00:02:10,130 (千秋)葵のお嬢さん。 9 00:02:10,130 --> 00:02:12,132 千秋さん! 10 00:02:12,132 --> 00:02:15,636 お願いしたいことがあって 来たっす。 11 00:02:15,636 --> 00:02:18,264 わあっ 銀杏! 12 00:02:18,264 --> 00:02:22,434 これ 葵さんなら 上手に炒ることができるっすか? 13 00:02:22,434 --> 00:02:24,436 できるけど…。 14 00:02:24,436 --> 00:02:27,439 大旦那様たちに差し入れようかと。 15 00:02:27,439 --> 00:02:30,150 今 裏山で月見酒してるんっす。 16 00:02:30,150 --> 00:02:32,444 あぁ 十五夜だから。 17 00:02:32,444 --> 00:02:35,155 じゃあ 七輪を持っていって 18 00:02:35,155 --> 00:02:37,992 大旦那様たちのところで 炒りましょう。 19 00:02:37,992 --> 00:02:40,452 おっ! いっすね~ それ。 20 00:02:40,452 --> 00:02:42,454 (お腹が鳴る音) 21 00:02:42,454 --> 00:02:44,665 フフッ。 22 00:02:44,665 --> 00:02:46,667 わぁ~。 23 00:02:46,667 --> 00:02:48,669 いただきます。 24 00:02:51,463 --> 00:02:53,465 これこれ! 25 00:02:53,465 --> 00:02:55,676 (チビ)シャク シャク シャク シャク…。 26 00:02:55,676 --> 00:02:59,013 あ~ ごちそうさまでした! 27 00:02:59,013 --> 00:03:02,683 春日もよく 葵さんの おいしい料理を食べると 28 00:03:02,683 --> 00:03:06,020 毎日 元気に働けるって 言ってるっす。 29 00:03:06,020 --> 00:03:10,024 あいつ ここで働くことが大好きで。 30 00:03:10,024 --> 00:03:13,319 あれで 最初は嫌がってたんっすよ。 31 00:03:13,319 --> 00:03:15,321 そうなの? 32 00:03:15,321 --> 00:03:18,490 春日って かなりのお嬢様なんでしょう? 33 00:03:18,490 --> 00:03:21,327 どうして 天神屋で仲居をしているの? 34 00:03:21,327 --> 00:03:24,496 あぁ それは…。 35 00:03:24,496 --> 00:03:30,502 春日の婚約者となった者のことを どれくらい知っていますか? 36 00:03:30,502 --> 00:03:33,505 この写真の子が そうなんでしょう? 37 00:03:33,505 --> 00:03:36,342 春日は幼なじみだって。 38 00:03:36,342 --> 00:03:39,511 幼い頃のキヨ様は病気がちで 39 00:03:39,511 --> 00:03:44,058 文門の地の うちの大病院で 療養してたんっす。 40 00:03:44,058 --> 00:03:47,227 その頃 春日は勉強嫌いで 41 00:03:47,227 --> 00:03:50,230 学校を抜け出しては あちこちに隠れて 42 00:03:50,230 --> 00:03:53,233 大人を困らせてたっす。 43 00:03:53,233 --> 00:03:58,739 春日が逃げ込んだ先の病室で 出会ったのが キヨ様でした。 44 00:03:58,739 --> 00:04:04,244 歳が近いのもあって 2人は すぐに仲よくなったっす。 45 00:04:04,244 --> 00:04:09,375 キヨ様に感化されて 春日も本を読むようになったし 46 00:04:09,375 --> 00:04:13,545 勉強も 少しずつ頑張るようになって 47 00:04:13,545 --> 00:04:16,924 キヨ様は現世に興味があって 48 00:04:16,924 --> 00:04:21,762 現世についての本を一緒に読んで 楽しんでいたっす。 49 00:04:21,762 --> 00:04:24,390 春日は キヨ様に 50 00:04:24,390 --> 00:04:28,102 淡い恋心を抱いているようでした。 51 00:04:28,102 --> 00:04:31,772 しかし キヨ様は病のこともあって 52 00:04:31,772 --> 00:04:36,568 自分の命は そう長くないと 考えていたようで。 53 00:04:36,568 --> 00:04:40,948 ある日 2人は勝手に 現世へ行ってしまったんっす。 54 00:04:42,950 --> 00:04:48,789 2人は現世をさまよい 3日後に連れ戻されました。 55 00:04:48,789 --> 00:04:52,584 キヨ様は体調を崩してしまい 56 00:04:52,584 --> 00:04:55,587 春日は きつくお叱りを受け 57 00:04:55,587 --> 00:04:59,299 彼に会うことすら 許されなくなったっす。 58 00:05:00,801 --> 00:05:04,304 そして 外の世界の厳しさを知るために 59 00:05:04,304 --> 00:05:08,308 罰として 天神屋での奉公を することになったんっす。 60 00:05:08,308 --> 00:05:10,644 そうだったの。 61 00:05:10,644 --> 00:05:13,814 お涼さんとの出会いは特別で。 62 00:05:13,814 --> 00:05:17,109 何もできなかった春日を 熱心に育てたのは 63 00:05:17,109 --> 00:05:20,487 まだ若女将になる前の お涼さんでした。 64 00:05:20,487 --> 00:05:22,489 へぇ~。 65 00:05:22,489 --> 00:05:25,951 こういうのが 運命って言うんすかね。 66 00:05:25,951 --> 00:05:29,496 あのキヨ様が北の地の八葉となり 67 00:05:29,496 --> 00:05:32,499 春日が そこに嫁入りする。 68 00:05:32,499 --> 00:05:34,835 一度 引き離したくせに 69 00:05:34,835 --> 00:05:38,130 今度は無理やり 婚姻を押し付けるのだから 70 00:05:38,130 --> 00:05:41,133 大人というのは勝手な生き物だ。 71 00:05:43,135 --> 00:05:48,348 葵さんと春日は 後に近い立場になるでしょう。 72 00:05:48,348 --> 00:05:52,519 八葉の嫁… 大妖怪の妻に。 73 00:05:58,525 --> 00:06:01,153 いつもと違う道ね? 74 00:06:01,153 --> 00:06:03,363 今夜のお月見は 75 00:06:03,363 --> 00:06:06,533 天神屋幹部の秘密基地で なさっているんっす。 76 00:06:06,533 --> 00:06:09,161 えっ 秘密基地? 77 00:06:09,161 --> 00:06:12,539 子どもの秘密基地のような 雰囲気があるんで 78 00:06:12,539 --> 00:06:14,541 そう呼ばれてるっす。 79 00:06:17,377 --> 00:06:21,381 わあっ すごい! 80 00:06:21,381 --> 00:06:23,550 さあ あっちっす。 81 00:06:25,552 --> 00:06:29,181 えっ? 湯気? 82 00:06:29,181 --> 00:06:32,392 (砂楽)月と温泉と酒。 83 00:06:32,392 --> 00:06:36,563 (砂楽)これ最高! (白夜)あまり飲み過ぎるな 砂楽。 84 00:06:36,563 --> 00:06:38,565 (大旦那)まあまあ 白夜。 85 00:06:38,565 --> 00:06:41,735 こよいの十五夜に乾杯! 86 00:06:45,405 --> 00:06:48,575 あっ 葵! ぎゃあ~! のぞきとは破廉恥な! 87 00:06:48,575 --> 00:06:52,204 いやいや つっこみたいのは こっちだから! アハハハ…。 88 00:06:54,581 --> 00:06:57,584 みんな ほっかほかね。 89 00:06:57,584 --> 00:07:00,212 葵… もしかして お前も 90 00:07:00,212 --> 00:07:03,215 僕と一緒に 風呂に入りたかったのかい? 91 00:07:03,215 --> 00:07:06,051 なんでそうなるのよ 大旦那様。 92 00:07:06,051 --> 00:07:09,221 せっかく 銀杏を炒ろうと思って来たのに。 93 00:07:09,221 --> 00:07:13,600 銀杏! 千秋さんが とってきてくれたのよ。 94 00:07:13,600 --> 00:07:17,229 春日のことで お礼とお詫びです。 95 00:07:17,229 --> 00:07:19,231 そうか。 96 00:07:19,231 --> 00:07:21,775 春日は機敏に働き 97 00:07:21,775 --> 00:07:25,612 時に核心をつく よい仲居だった。 98 00:07:25,612 --> 00:07:30,242 孫娘が1人出ていくみたいで かなりさみしい。 99 00:07:30,242 --> 00:07:32,244 うっ! 100 00:07:32,244 --> 00:07:36,248 (千秋のすすり泣く声) 101 00:07:41,253 --> 00:07:43,630 はい 大旦那様。 102 00:07:43,630 --> 00:07:45,966 ありがとう 葵。 103 00:07:49,636 --> 00:07:51,638 うまいな。 104 00:07:51,638 --> 00:07:55,642 殻ごとあぶったの。 香ばしくてホクホクで 105 00:07:55,642 --> 00:07:58,645 ふりかけた粗塩が 効いてるでしょう? 106 00:07:58,645 --> 00:08:03,483 おぉ いいね! ふむ いけるな。 107 00:08:03,483 --> 00:08:05,485 そうだ 葵。 108 00:08:05,485 --> 00:08:09,281 うまい甘酒を手に入れたんだが 飲むかい? 109 00:08:09,281 --> 00:08:11,283 飲みたい。 110 00:08:15,996 --> 00:08:18,290 うわぁ おいしい! 111 00:08:18,290 --> 00:08:20,834 ほっとする味だわ。 112 00:08:20,834 --> 00:08:25,297 僕も飲もうかな。 なら 私がつぐわよ。 113 00:08:25,297 --> 00:08:28,675 2人とも もう本当の夫婦のようだね。 114 00:08:28,675 --> 00:08:31,678 えっ? 春日の嬢ちゃんのついでに 115 00:08:31,678 --> 00:08:34,681 こっちも 籍を入れてしまえばいいものを。 116 00:08:34,681 --> 00:08:38,685 うむ 葵くんも そろそろ覚悟を決めたまえ。 117 00:08:38,685 --> 00:08:40,687 やめろ お前たち。 118 00:08:40,687 --> 00:08:44,024 僕はもう 葵に無理強いはしたくないんだ。 119 00:08:44,024 --> 00:08:46,026 えっ? 120 00:08:46,026 --> 00:08:50,530 僕は 葵が僕を 夫にしてもいいと思えるまで 121 00:08:50,530 --> 00:08:52,532 いつまでも待つよ。 122 00:08:54,534 --> 00:08:56,536 《前は 123 00:08:56,536 --> 00:09:00,332 いつまでも待ってるつもりはない って言っていたのに…。 124 00:09:00,332 --> 00:09:04,044 もしかして もう 私を嫁にしたいという 125 00:09:04,044 --> 00:09:06,338 強い気持ちはないとか?》 126 00:09:10,050 --> 00:09:12,344 《わからない。 127 00:09:12,344 --> 00:09:16,348 大旦那様 何考えてるの?》 128 00:09:18,350 --> 00:09:20,727 (春日)ねぇ 葵ちゃん。 129 00:09:20,727 --> 00:09:24,356 みんな あたしに 仕事をさせてくれないんだ。 130 00:09:24,356 --> 00:09:26,733 あたしが右大臣の娘だから 131 00:09:26,733 --> 00:09:29,569 ケガさせたらたまんないとか言って。 132 00:09:29,569 --> 00:09:33,365 今まで さんざん こき使ってくれてたってのにさ。 133 00:09:33,365 --> 00:09:37,369 お涼様とも喧嘩しちゃった。 お涼と? 134 00:09:37,369 --> 00:09:41,581 北の地に嫁入りするのなんて やめろって ワーワー言うんだ。 135 00:09:41,581 --> 00:09:45,085 無理だよって言うと すねちゃって。 136 00:09:45,085 --> 00:09:48,588 はぁ 暇すぎてたまんないよ。 137 00:09:48,588 --> 00:09:52,092 なら 夕がおで働くってのはどう? 138 00:09:52,092 --> 00:09:55,929 いいの? あたし ここで働く! 139 00:09:55,929 --> 00:09:58,598 じゃあ まずは…。 140 00:09:58,598 --> 00:10:01,601 わぁ! いい匂い! 141 00:10:01,601 --> 00:10:04,771 天神屋の新しいお土産候補よ。 142 00:10:04,771 --> 00:10:08,108 実質 米粉で作った蒸しパンなんだけど。 143 00:10:08,108 --> 00:10:10,110 (銀次)葵さん。 144 00:10:10,110 --> 00:10:14,406 おはようございます。 お願いしたいことが…。 145 00:10:14,406 --> 00:10:17,242 おはようございます。 春日さん。 146 00:10:17,242 --> 00:10:22,122 銀次さん 今日から春日は うちの新米従業員なの。 147 00:10:22,122 --> 00:10:25,625 仲居の仕事を させてもらえなくてさ。 148 00:10:25,625 --> 00:10:31,131 では 今日から夕がおで働く形で 私が話をつけておきましょう。 149 00:10:31,131 --> 00:10:33,425 よし じゃあ続き! 150 00:10:33,425 --> 00:10:35,802 これから試食するんだよ。 151 00:10:35,802 --> 00:10:38,430 よろしければ私も…。 152 00:10:44,644 --> 00:10:48,815 うっわ~! ふわふわ もちもち~。 153 00:10:48,815 --> 00:10:51,651 これは おいしいですね! 154 00:10:51,651 --> 00:10:54,654 ふわふわ もちもちは 米粉だからよ。 155 00:10:54,654 --> 00:10:58,658 今のは卵味。 こっちのも食べてみて。 156 00:11:01,161 --> 00:11:04,664 おいしい! これ チーズだよね? 157 00:11:04,664 --> 00:11:08,168 北の地から取り寄せた クリームチーズを使ってるの。 158 00:11:08,168 --> 00:11:12,172 北の地…。 隠世では まだ一般的じゃないけど 159 00:11:12,172 --> 00:11:15,175 チーズのおいしさを 知ってもらいたくて。 160 00:11:15,175 --> 00:11:18,011 いいね! ちなみに生地には 161 00:11:18,011 --> 00:11:22,474 ブランド米 鬼ほのかと 食火鶏の卵を使ってるわ。 162 00:11:22,474 --> 00:11:26,478 どちらも地元 鬼門の地の名産ですね。 163 00:11:26,478 --> 00:11:31,024 えぇ! けど 茶碗蒸しのお碗じゃ 売れないよね。 164 00:11:31,024 --> 00:11:35,862 現世だと 薄い紙や アルミのカップがあるんだけど。 165 00:11:35,862 --> 00:11:39,199 なら 砂楽博士に 相談するといいですよ。 166 00:11:39,199 --> 00:11:42,202 大抵のものを 作ってもらえますから。 167 00:11:42,202 --> 00:11:44,496 早速 行って頼んでみるわ。 168 00:11:44,496 --> 00:11:46,498 ところで銀次さん。 169 00:11:46,498 --> 00:11:49,209 さっき お願いって言ってたわよね。 170 00:11:49,209 --> 00:11:52,879 はい。 実は今 秋祭りに合わせて 171 00:11:52,879 --> 00:11:56,508 天神屋で かぼちゃ祭りをしようと 計画してるんです。 172 00:11:56,508 --> 00:11:59,886 かぼちゃ祭り! ハロウィーンみたいな? 173 00:11:59,886 --> 00:12:02,222 そうです! それに合わせて 174 00:12:02,222 --> 00:12:04,724 かぼちゃを使った お料理やお菓子を 175 00:12:04,724 --> 00:12:06,726 作ってもらえないでしょうか? 176 00:12:06,726 --> 00:12:11,898 いいわね! 天神屋を辞める前の 楽しみができたよぉ。 177 00:12:11,898 --> 00:12:15,360 ちなみに 大旦那様は かぼちゃが苦手です。 178 00:12:15,360 --> 00:12:19,739 えっ? 大旦那様にも苦手があるのね。 179 00:12:19,739 --> 00:12:22,367 かぼちゃか~。 180 00:12:22,367 --> 00:12:26,246 (砂楽)うんうん! すごくいいじゃないか。 181 00:12:26,246 --> 00:12:29,541 天神屋の新しい土産にピッタリだよ。 182 00:12:29,541 --> 00:12:32,252 ただ 1つ問題があって。 183 00:12:32,252 --> 00:12:35,088 器がなくて茶碗蒸しみたいで。 184 00:12:35,088 --> 00:12:38,258 あ~ 嫁御ちゃんが欲しいのは 185 00:12:38,258 --> 00:12:41,094 こういうのだね。 そうよ! 186 00:12:41,094 --> 00:12:43,930 現世から取り寄せた 土産物のやつを 187 00:12:43,930 --> 00:12:46,099 研究用に取っておいたんだ。 188 00:12:46,099 --> 00:12:49,269 卵味かチーズ味が ひと目でわかるように 189 00:12:49,269 --> 00:12:51,271 紙の色を変えるといいね。 190 00:12:51,271 --> 00:12:56,109 うん あやかし好みの紅白 白と赤がよさそうだ。 191 00:12:56,109 --> 00:12:58,945 え~ 第三工房長 第三工房長。 192 00:12:58,945 --> 00:13:01,948 至急 砂楽のところまで。 193 00:13:01,948 --> 00:13:04,784 はいでちゅ。 おっ!? 194 00:13:04,784 --> 00:13:07,954 この設計図のものを 作ってくれない? 195 00:13:07,954 --> 00:13:10,790 わかったでちゅ! 196 00:13:10,790 --> 00:13:15,128 あとは賞味期限の話なんだけど。 あ… はい。 197 00:13:15,128 --> 00:13:18,590 この地下に 湯守の静奈くんの 実験室があるから 198 00:13:18,590 --> 00:13:20,800 地獄蒸しのことを聞いてごらん。 199 00:13:20,800 --> 00:13:22,969 地獄蒸し!? 200 00:13:22,969 --> 00:13:26,306 (静奈)まあ おいしい! 201 00:13:26,306 --> 00:13:30,810 砂楽博士が 地獄蒸しのことで 相談するといいって。 202 00:13:30,810 --> 00:13:32,979 地獄釜ですね。 203 00:13:32,979 --> 00:13:35,148 地獄釜? 204 00:13:35,148 --> 00:13:37,984 (静奈)これが地獄釜です。 205 00:13:37,984 --> 00:13:41,821 温泉の熱い水蒸気で 蒸し上げる釜なんです。 206 00:13:41,821 --> 00:13:46,326 ここの温泉には 殺菌作用や防腐作用があるので 207 00:13:46,326 --> 00:13:48,620 私たちが泉術をかければ 208 00:13:48,620 --> 00:13:51,331 きっと 20日くらいは持つと思います。 209 00:13:51,331 --> 00:13:55,460 えっ そんなに!? すごいね 地獄釜! 210 00:13:55,460 --> 00:13:59,005 地獄釜の地獄まんかぁ。 211 00:13:59,005 --> 00:14:01,341 地獄まん!? 212 00:14:01,341 --> 00:14:05,345 なんだか物騒だけど でも いいかもしれない。 213 00:14:05,345 --> 00:14:08,014 鬼門の地のお土産って感じで。 214 00:14:08,014 --> 00:14:10,183 うれしいです。 215 00:14:10,183 --> 00:14:14,479 葵さんが発案し 春日の名付けたお土産に 216 00:14:14,479 --> 00:14:17,023 私も協力できるなんて…。 217 00:14:17,023 --> 00:14:19,025 静奈ちゃん。 218 00:14:21,027 --> 00:14:24,030 私 また天神屋に来るよ。 219 00:14:24,030 --> 00:14:26,032 今度は お客として 220 00:14:26,032 --> 00:14:29,202 静奈ちゃんの調節した温泉に 入るんだもん。 221 00:14:29,202 --> 00:14:34,040 春日… 体を大事にしてくださいね。 222 00:14:34,040 --> 00:14:36,376 これをあげます。 223 00:14:36,376 --> 00:14:39,671 わあっ 血ノ海軟膏 すうぱあだ! 224 00:14:39,671 --> 00:14:42,048 ええっ 何それ? 225 00:14:42,048 --> 00:14:46,052 フフッ 天神屋の温泉を研究して作った 226 00:14:46,052 --> 00:14:48,054 塗り薬ですよ。 227 00:14:48,054 --> 00:14:52,058 あかぎれ ひびわれ なんにでも効きます。 228 00:14:52,058 --> 00:14:54,519 はい 葵さんにも。 229 00:14:54,519 --> 00:14:58,690 それは助かる。 ありがとう! 230 00:14:58,690 --> 00:15:01,526 (砂楽)嫁御ちゃ~ん! 231 00:15:01,526 --> 00:15:06,406 完成したよ 蒸す用の容器。 えっ 早っ! 232 00:15:06,406 --> 00:15:09,075 さあ 今から その地獄釜で作って 233 00:15:09,075 --> 00:15:11,911 白夜のところに持っていくといい。 234 00:15:11,911 --> 00:15:16,082 うむ。 いい出来ではないか。 235 00:15:16,082 --> 00:15:21,546 この食感は 隠世のあやかしは好きだろうな。 236 00:15:21,546 --> 00:15:25,091 地獄釜の利用で 職人たちが安定して作れて 237 00:15:25,091 --> 00:15:29,929 手頃で身近 それでいて さりげない新しさがある。 238 00:15:29,929 --> 00:15:32,932 早速 発売に向けて動こう。 239 00:15:32,932 --> 00:15:38,271 卵味もチーズ味も 15個入りで 1箱 千蓮にしよう。 240 00:15:38,271 --> 00:15:42,108 北の地で作られた クリームチーズを使用している旨を 241 00:15:42,108 --> 00:15:44,444 宣伝するべきかと思う。 242 00:15:44,444 --> 00:15:49,741 春日くん 君が嫁ぐ土地の 最大の武器が酪農産業だ。 243 00:15:49,741 --> 00:15:52,452 君が名付けた この地獄まんが 244 00:15:52,452 --> 00:15:56,456 君の嫁ぐ先の名産を広める 助けとなるといいな。 245 00:15:56,456 --> 00:15:58,458 はい。 246 00:15:58,458 --> 00:16:00,752 資金に関する書類を書いたから 247 00:16:00,752 --> 00:16:03,963 大旦那様に 許可をもらってきたまえ。 248 00:16:03,963 --> 00:16:07,967 春日くんは残りたまえ。 少し話がある。 249 00:16:09,969 --> 00:16:13,765 あ… あの~ 大旦那様。 250 00:16:15,767 --> 00:16:18,311 大旦那様? 251 00:16:18,311 --> 00:16:20,605 いないの? 252 00:16:28,488 --> 00:16:31,783 大旦那様? 253 00:16:31,783 --> 00:16:34,494 カァ~ カァ~。 254 00:16:34,494 --> 00:16:38,331 いてて いててっ! やめて~。 カァ~ カァ~ カァ~。 255 00:16:38,331 --> 00:16:42,502 あ~っ! 葵 手を伸ばせ! 256 00:16:42,502 --> 00:16:44,504 カァ~。 257 00:16:44,504 --> 00:16:46,506 大丈夫かい? 258 00:16:46,506 --> 00:16:50,802 あのカラスめ 最近この辺りで悪さばかりして。 259 00:16:50,802 --> 00:16:56,182 大旦那様 その格好は… って! 260 00:16:56,182 --> 00:16:59,811 ここって 屋上の庭園? 261 00:16:59,811 --> 00:17:03,815 でも 宙船からは見えなかったのに。 262 00:17:03,815 --> 00:17:07,819 ここは隠された花園で 外からは入れない。 263 00:17:07,819 --> 00:17:10,822 実質 屋根裏だからね。 264 00:17:10,822 --> 00:17:13,032 屋根裏? 265 00:17:13,032 --> 00:17:18,830 かつて 天神屋の大女将であった 黄金童子様が住んでいた場所だ。 266 00:17:18,830 --> 00:17:21,833 《黄金童子が…》 267 00:17:21,833 --> 00:17:24,836 大旦那様は何をしていたの? 268 00:17:24,836 --> 00:17:28,548 菜園の手入れだよ。 菜園? 269 00:17:28,548 --> 00:17:30,550 ほら。 270 00:17:30,550 --> 00:17:33,845 僕の菜園…。 271 00:17:33,845 --> 00:17:37,849 大旦那様って本当に鬼なの? 272 00:17:37,849 --> 00:17:40,560 僕は れっきとした鬼だよ。 273 00:17:40,560 --> 00:17:43,563 冷酷で 強くて かっこいい。 274 00:17:43,563 --> 00:17:46,232 僕の菜園持ちだけどね。 275 00:17:46,232 --> 00:17:48,234 あっ そうだ。 276 00:17:48,234 --> 00:17:51,237 天神屋の新しいおまんじゅうが できたのよ。 277 00:17:51,237 --> 00:17:53,573 これが白夜さんの書類。 278 00:17:53,573 --> 00:17:57,577 もう白夜も通しているのか。 感心だな。 279 00:17:57,577 --> 00:17:59,871 こっちへおいで。 280 00:18:03,082 --> 00:18:05,251 わぁ~。 281 00:18:05,251 --> 00:18:08,880 貴族の洋館にありそうな噴水ね。 282 00:18:08,880 --> 00:18:11,090 実は洋館もある。 283 00:18:11,090 --> 00:18:14,260 えっ? 見てごらん。 284 00:18:14,260 --> 00:18:16,596 あっ…。 285 00:18:18,598 --> 00:18:21,601 あれは黄金童子様の館。 286 00:18:21,601 --> 00:18:25,730 天神屋に存在するらしい 最大の謎。 287 00:18:28,900 --> 00:18:32,612 アハハ そう怯えずとも。 288 00:18:32,612 --> 00:18:35,615 ほら ここにお座り。 289 00:18:35,615 --> 00:18:39,285 じゃあ お前の新商品を 試食させてもらおうか。 290 00:18:40,787 --> 00:18:42,789 お願いします。 291 00:18:46,626 --> 00:18:50,630 おぉ 驚きの新食感だな。 292 00:18:50,630 --> 00:18:54,133 実に あやかし好みだ。 293 00:18:54,133 --> 00:18:57,637 僕から ひとつアドバイスがあるとすれば 294 00:18:57,637 --> 00:19:00,807 なんというか 見た目が地味だ。 295 00:19:00,807 --> 00:19:04,435 この表面に 焼き印を入れたらどうだろうか? 296 00:19:04,435 --> 00:19:09,649 包装紙や宣伝でも使える 地獄まんの印というか。 297 00:19:09,649 --> 00:19:12,151 それ いいかも! 298 00:19:12,151 --> 00:19:15,154 葵には実感がないのだろうが 299 00:19:15,154 --> 00:19:19,826 天神屋の皆が お前の実力を認めている。 300 00:19:19,826 --> 00:19:24,831 その信頼は お前が 自分の力で手に入れたものだ。 301 00:19:24,831 --> 00:19:29,168 幹部たちは皆 お前の成功を祈っている。 302 00:19:29,168 --> 00:19:33,673 失敗しても 誰も お前をバカにはしないよ。 303 00:19:33,673 --> 00:19:35,842 大旦那様。 304 00:19:35,842 --> 00:19:41,180 僕はね そういう葵が 本当にまぶしい。 305 00:19:41,180 --> 00:19:45,852 君は 僕がいなくとも輝けるのだから。 306 00:19:45,852 --> 00:19:48,187 違うわ! 307 00:19:48,187 --> 00:19:51,482 だって 今の私がここにいるのは 308 00:19:51,482 --> 00:19:53,693 いつも表で銀次さんが 309 00:19:53,693 --> 00:19:57,030 裏で大旦那様が 支えてくれたからよ。 310 00:19:57,030 --> 00:20:01,326 そりゃあ 大旦那様が私をさらって 連れてこなかったら 311 00:20:01,326 --> 00:20:05,204 今頃 悠々と大学生活を 送っているんでしょうけど。 312 00:20:05,204 --> 00:20:08,875 ハハハ 言われたなぁ。 313 00:20:08,875 --> 00:20:12,712 僕を 恨んでいるかい? 314 00:20:12,712 --> 00:20:16,215 いいえ。 こんな運命ありえないって 315 00:20:16,215 --> 00:20:18,885 嘆いていた時もあったけど 316 00:20:18,885 --> 00:20:22,722 でも 現世にいたら きっと私 317 00:20:22,722 --> 00:20:26,225 いろんな意味で ひとりぼっちだったもの。 318 00:20:26,225 --> 00:20:29,729 今は 寂しくないかい。 319 00:20:29,729 --> 00:20:31,898 にぎやかで忙しくて 320 00:20:31,898 --> 00:20:34,901 寂しいなんて思ってる暇は ないわね。 321 00:20:34,901 --> 00:20:39,238 なんだかんだ 天神屋のみんなが 大好きになっちゃった。 322 00:20:39,238 --> 00:20:43,743 僕にとっても 天神屋は大事な居場所だ。 323 00:20:43,743 --> 00:20:49,248 ここに居場所がなくなると もう行き場がないからね。 324 00:20:49,248 --> 00:20:51,918 《大旦那様?》 325 00:20:51,918 --> 00:20:54,921 なあ 葵。 326 00:20:54,921 --> 00:20:58,549 この場所のことを覚えておいで。 327 00:20:58,549 --> 00:21:02,261 ここは 外部のものには決して見えない。 328 00:21:02,261 --> 00:21:04,931 この庭は生きていて 329 00:21:04,931 --> 00:21:09,102 天神屋の者と そうでない者を判断できる。 330 00:21:09,102 --> 00:21:13,940 そして 天神屋の歴史そのものだ。 331 00:21:13,940 --> 00:21:18,403 僕にとっても ゆかり深い場所だ。 332 00:21:18,403 --> 00:21:22,115 もし君が 僕を…。 333 00:21:22,115 --> 00:21:24,283 《僕を?》 334 00:21:26,577 --> 00:21:29,580 《えっ… まさか…》 335 00:21:35,795 --> 00:21:39,132 あっ…。 フフフ。 336 00:21:39,132 --> 00:21:42,135 か… からかったわね! 337 00:21:42,135 --> 00:21:47,306 そう警戒しなくとも 僕は君に安易に触れたりしない。 338 00:21:47,306 --> 00:21:49,976 で でも 前には…。 339 00:21:49,976 --> 00:21:52,979 あの時は 悪かった。 340 00:21:52,979 --> 00:21:55,606 勝手に君に触れて。 341 00:21:55,606 --> 00:21:58,609 《なぜ謝るの?》 342 00:21:58,609 --> 00:22:01,446 葵 僕は鬼だ。 343 00:22:01,446 --> 00:22:04,323 本来 とても残酷で 344 00:22:04,323 --> 00:22:07,827 欲望には忠実な生き物なんだよ。 345 00:22:07,827 --> 00:22:12,331 こんな僕だが 嫌いにはならないでくれ。 346 00:22:12,331 --> 00:22:14,333 あの 大…。 よし! 347 00:22:14,333 --> 00:22:18,004 僕の菜園で作物を収穫しよう。 348 00:22:18,004 --> 00:22:20,173 秋なすと さつまいも 349 00:22:20,173 --> 00:22:22,842 あと カブとかぼちゃ。 350 00:22:22,842 --> 00:22:25,636 待って 大旦那様。 351 00:22:25,636 --> 00:22:29,640 かぼちゃ 嫌いなんでしょ? なのに育ててるの? 352 00:22:29,640 --> 00:22:32,477 育てる分には好きな野菜だ。 353 00:22:32,477 --> 00:22:36,189 育ったら あげるんだ。 欲しそうなやつに。 354 00:22:36,189 --> 00:22:38,357 なら 私にちょうだい。 355 00:22:38,357 --> 00:22:41,027 大旦那様の 苦手克服のために 356 00:22:41,027 --> 00:22:43,196 かぼちゃのお料理を 作るから。 357 00:22:43,196 --> 00:22:45,198 えっ? 358 00:22:45,198 --> 00:22:48,034 まさか 自分で作ったかぼちゃを 359 00:22:48,034 --> 00:22:50,203 食べないとか 言わないわよね? 360 00:22:50,203 --> 00:22:53,372 あ… 葵 目がギラついて怖いぞ。 361 00:22:53,372 --> 00:22:56,209 まるで鬼のようだ。 362 00:22:56,209 --> 00:22:58,878 いい 大旦那様。 363 00:22:58,878 --> 00:23:01,672 秋祭りの夜 営業が終わったら 364 00:23:01,672 --> 00:23:05,218 夕がおに来てね。 約束よ。 365 00:23:05,218 --> 00:23:09,055 わかった… わかったよ。 366 00:23:09,055 --> 00:23:11,682 (2人)フフフフ。 367 00:23:11,682 --> 00:23:16,229 《こんな穏やかな時間を 大旦那様を 368 00:23:16,229 --> 00:23:19,398 嫌いだなんて思わない…》