1 00:00:03,003 --> 00:00:06,006 ((キヨ:ねぇ 春日。 2 00:00:06,006 --> 00:00:09,677 僕は きっと もうすぐ死ぬよ。 3 00:00:09,677 --> 00:00:13,305 何も残さず まっさらになって。 4 00:00:13,305 --> 00:00:16,517 (春日)キヨは死んだりしないよ。 5 00:00:16,517 --> 00:00:19,019 ねぇ キヨ。 6 00:00:19,019 --> 00:00:22,690 現世に行きたいって 言ってたでしょう? 7 00:00:22,690 --> 00:00:26,152 ほら 通行札をもらってきたの。 8 00:00:26,152 --> 00:00:29,029 これで現世に行けるよ。 9 00:00:29,029 --> 00:00:33,033 でも無理だよ。 僕 病気だし。 10 00:00:33,033 --> 00:00:36,162 大丈夫 あたしも行くから。 11 00:00:36,162 --> 00:00:40,040 春日… 一緒に来てくれるのかい? 12 00:00:40,040 --> 00:00:42,543 行くよ! あたしだって 13 00:00:42,543 --> 00:00:46,046 まだ知らない世界を キヨと一緒に冒険したい!)) 14 00:00:52,720 --> 00:00:58,350 あたしは いつも キヨの力になりたいって思ってる。 15 00:00:58,350 --> 00:01:03,063 あの時も今も。 なのに…。 16 00:01:03,063 --> 00:01:06,734 ((いや… 春日は何もしなくていいよ)) 17 00:01:06,734 --> 00:01:10,905 《あたしじゃ 助けになれないのかなぁ》 18 00:01:13,073 --> 00:01:16,744 《キヨが見たいって言った赤い塔》 19 00:01:16,744 --> 00:01:21,749 あの時 食べたのは 何ていうお菓子だったっけ? 20 00:02:55,467 --> 00:02:58,679 (キヨ)昨晩は 恐ろしい思いをさせてしまい 21 00:02:58,679 --> 00:03:01,307 たいへん申し訳ありませんでした。 22 00:03:01,307 --> 00:03:03,475 (葵)いえ そんな。 23 00:03:03,475 --> 00:03:06,854 (銀次)結局 毒は 入っていなかったそうですね。 24 00:03:06,854 --> 00:03:09,189 はい。 しかし 25 00:03:09,189 --> 00:03:12,192 皿が すり替えられたということは 26 00:03:12,192 --> 00:03:16,488 いつでも 毒を盛れるということです。 27 00:03:16,488 --> 00:03:19,491 ただいま 犯人を追っております。 28 00:03:19,491 --> 00:03:22,494 本当に申し訳ありません。 29 00:03:22,494 --> 00:03:25,205 (銀次) どうか頭をお上げください。 30 00:03:27,207 --> 00:03:30,210 北の地の内情が 混乱していることは 31 00:03:30,210 --> 00:03:32,212 承知していたのですが…。 32 00:03:32,212 --> 00:03:35,883 これからは 折尾屋の船を拠点に 活動いたしますので 33 00:03:35,883 --> 00:03:38,052 どうか ご心配なさらず。 34 00:03:38,052 --> 00:03:41,513 (キヨ)はい。 そちらのほうが よいでしょう。 35 00:03:41,513 --> 00:03:44,350 あの… ところで 36 00:03:44,350 --> 00:03:48,228 北の地の 新しい名物料理のことですが。 37 00:03:48,228 --> 00:03:51,899 キヨ様は どのようなものを お求めなんでしょう? 38 00:03:51,899 --> 00:03:55,527 この北の地を訪れてこそ 食せるものが 39 00:03:55,527 --> 00:03:58,072 最も ふさわしいと思うのです。 40 00:03:58,072 --> 00:04:02,743 わかりました。 そういうお料理を考えてみます。 41 00:04:05,746 --> 00:04:08,248 わあっ すごい! 42 00:04:08,248 --> 00:04:12,378 キヨ様 こんなにたくさん 用意してくれたのね! 43 00:04:12,378 --> 00:04:15,547 チーズは北の地でしか 作られていないから 44 00:04:15,547 --> 00:04:18,550 新しい名物料理にピッタリの食材ね。 45 00:04:18,550 --> 00:04:22,262 えぇ。 地獄まんのように チーズ味のお菓子も 46 00:04:22,262 --> 00:04:25,391 あやかしたちの間で はやってきていますし。 47 00:04:25,391 --> 00:04:28,769 チーズ料理は いろいろとあるのだけれど 48 00:04:28,769 --> 00:04:31,271 チーズと一緒に 北の地の食材を 49 00:04:31,271 --> 00:04:33,774 楽しめるようなものが いいと思うの。 50 00:04:33,774 --> 00:04:36,944 まずは チーズフォンデュを推したいわ。 51 00:04:36,944 --> 00:04:39,947 ちーずふぉんでゅ… ですか? 52 00:04:39,947 --> 00:04:44,284 あら 銀次さんが知らないなんて 珍しいわね。 53 00:04:44,284 --> 00:04:48,956 簡潔に言うなら チーズ鍋よ。 チーズ鍋…。 54 00:04:48,956 --> 00:04:51,959 チーズとお酒を鍋で溶かして 55 00:04:51,959 --> 00:04:54,962 長い串に刺した具材を 浸して食べるの。 56 00:04:54,962 --> 00:04:57,965 浸すって チーズのお鍋にですか? 57 00:04:57,965 --> 00:04:59,967 そうよ。 58 00:04:59,967 --> 00:05:04,138 自分で具材を選んで チーズに絡めるのも楽しいし 59 00:05:04,138 --> 00:05:07,307 冬の北の地で 雪景色を見ながらとか 60 00:05:07,307 --> 00:05:11,603 とっても おつだと思うの。 おぉ なるほど! 61 00:05:16,316 --> 00:05:18,819 うん いい感じ。 62 00:05:18,819 --> 00:05:22,614 チーズが魅惑的な とろけ方をしていますねぇ。 63 00:05:22,614 --> 00:05:26,994 (戒)わっ 何これ。 (明)超チーズ臭い。 64 00:05:26,994 --> 00:05:30,330 あっ 戒! 明! 65 00:05:30,330 --> 00:05:33,625 (2人)久しぶり 津場木葵。 66 00:05:33,625 --> 00:05:37,004 わあっ また会えて うれしいわ! 67 00:05:37,004 --> 00:05:40,466 (3人)いえ~い。 あっ…。 68 00:05:40,466 --> 00:05:42,468 (戒/明)いえ~い。 69 00:05:42,468 --> 00:05:46,638 (2人)天神屋の若旦那も久しぶり。 はい。 70 00:05:46,638 --> 00:05:51,018 (戒)僕ら 青蘭丸の厨房の 料理人として来たんだ。 71 00:05:51,018 --> 00:05:54,646 (明)折尾屋の厨房の引き継ぎを 急ぎで終わらせて 72 00:05:54,646 --> 00:05:56,648 今 着いたところ。 73 00:05:58,650 --> 00:06:02,029 北の地の食材 ヤバいね。 74 00:06:02,029 --> 00:06:05,032 (明)で その土鍋の中は何? 75 00:06:05,032 --> 00:06:09,495 チーズフォンデュよ。 チーズフォンデュ? 76 00:06:09,495 --> 00:06:12,498 (2人)おぉ! 77 00:06:12,498 --> 00:06:16,502 (戒)チーズ鍋… なの? えぇ。 78 00:06:16,502 --> 00:06:19,671 銀次さんに試食してもらう ところだったんだけど 79 00:06:19,671 --> 00:06:22,216 戒と明も食べてみる? 80 00:06:22,216 --> 00:06:24,384 (2人)もちろん! 81 00:06:26,386 --> 00:06:28,680 では 私から。 82 00:06:30,682 --> 00:06:33,227 はふ! あっつ…。 83 00:06:33,227 --> 00:06:38,065 いや~ いいですね。 お酒が欲しくなります。 84 00:06:42,069 --> 00:06:46,406 う~ん。 どうかな…。 85 00:06:46,406 --> 00:06:48,700 うそ ダメだった? 86 00:06:48,700 --> 00:06:50,911 おいしいんだけど…。 87 00:06:50,911 --> 00:06:52,913 かくりよの あやかしたちには 88 00:06:52,913 --> 00:06:56,917 まだ ハードルの高い味かもしれないって。 89 00:06:56,917 --> 00:07:01,088 なじみがない ということですか? 90 00:07:01,088 --> 00:07:03,090 (2人)そうそう。 91 00:07:03,090 --> 00:07:06,426 もう一手間 あやかしたちが なじみやすい味わいを 92 00:07:06,426 --> 00:07:08,929 付け加えたほうがいいかも。 93 00:07:08,929 --> 00:07:12,432 やっぱり醤油かなぁ 甘めの醤油。 94 00:07:12,432 --> 00:07:14,560 やってみましょう。 95 00:07:21,441 --> 00:07:23,735 これで どうかしら。 96 00:07:26,738 --> 00:07:30,450 これは! 更に おいしくなりました。 97 00:07:30,450 --> 00:07:34,454 さすがだわ 2人とも。 (2人)いえ~い。 98 00:07:34,454 --> 00:07:36,748 (乱丸)銀次! 99 00:07:36,748 --> 00:07:39,459 てめえ 何のうのうとしてやがる! 100 00:07:39,459 --> 00:07:42,462 料理バカどもと 戯れてる場合じゃねぇ。 101 00:07:42,462 --> 00:07:45,132 氷麗神社の視察だ 行くぞ! 102 00:07:45,132 --> 00:07:47,134 えぇ! 今日ですか? 103 00:07:47,134 --> 00:07:49,303 たしか明日では? 104 00:07:49,303 --> 00:07:51,471 予定が変わったんだ。 105 00:07:51,471 --> 00:07:55,976 何やら すごいもんが 見られるとか何とかで。 106 00:07:55,976 --> 00:07:57,978 わっ。 107 00:07:57,978 --> 00:08:03,483 葵さ~ん あとで企画書を書くので メモしておいてくださいね~。 108 00:08:03,483 --> 00:08:05,485 は~い! 109 00:08:05,485 --> 00:08:09,615 さて チーズフォンデュの開発 もう一工夫したいんだけど 110 00:08:09,615 --> 00:08:13,785 手伝ってくれる? (2人)もちろん喜んで! 111 00:08:13,785 --> 00:08:16,997 あとは春日ね。 112 00:08:20,792 --> 00:08:23,795 (キヨ)あれが氷麗神社です。 113 00:08:23,795 --> 00:08:27,507 わぁ これは見事ですね! 114 00:08:27,507 --> 00:08:31,803 氷麗神社は すべて 永久氷壁の氷でできていまして 115 00:08:31,803 --> 00:08:35,515 氷人族が崇める 冬の王の社です。 116 00:08:35,515 --> 00:08:40,520 冬の王とは 氷里城の 城主のことだと思っていたが? 117 00:08:40,520 --> 00:08:46,193 (キヨ)いえ 氷里城の城主はあくまで 冬の王の代弁者。 118 00:08:46,193 --> 00:08:50,197 冬の王とは ここ北の地に古くから根付く 119 00:08:50,197 --> 00:08:53,033 精霊信仰の象徴のようなもので 120 00:08:53,033 --> 00:08:57,537 地域 民族によって それぞれ違う形を持っています。 121 00:08:57,537 --> 00:09:00,540 (乱丸)北の地の長い冬の猛威と 122 00:09:00,540 --> 00:09:03,835 自然の恵みそのものってことか。 123 00:09:03,835 --> 00:09:07,214 (キヨ)今日は このあと更に北へ向かいます。 124 00:09:07,214 --> 00:09:10,384 すごいものが見られるとか…。 125 00:09:10,384 --> 00:09:13,053 はい。 126 00:09:13,053 --> 00:09:16,556 (銀次)はあぁ! 127 00:09:16,556 --> 00:09:19,851 まさか極光が見られるだなんて。 128 00:09:19,851 --> 00:09:22,396 (乱丸) 北の空には割れ目があって 129 00:09:22,396 --> 00:09:26,566 そこは 隠世で一番 現世に近い場所なんだとさ。 130 00:09:26,566 --> 00:09:30,237 その割れ目から 現世の霊力が流れ込んで 131 00:09:30,237 --> 00:09:35,075 この極光を生むっていうんだから うらやましい話だぜ。 132 00:09:35,075 --> 00:09:37,869 南の海に流れてくるのは 133 00:09:37,869 --> 00:09:41,248 醜い常世の呪いだっていうのによ。 134 00:09:46,378 --> 00:09:51,383 《銀次:この景色 葵さんにも見せたかった》 135 00:09:51,383 --> 00:09:55,095 (乱丸)クククク…。 136 00:09:55,095 --> 00:10:00,225 お前の心の中が 見て取れるぜ 銀次。 はい? 137 00:10:00,225 --> 00:10:04,396 あの小娘に この景色を 見せてあげたかった 138 00:10:04,396 --> 00:10:07,107 とか思ってただろう。 139 00:10:07,107 --> 00:10:09,234 アッハッハッハッハッハッ。 140 00:10:09,234 --> 00:10:14,406 相変わらず わかりやすいやつだな てめえはよ。 141 00:10:14,406 --> 00:10:18,243 銀次 てめえが あの娘にほだされるのは 142 00:10:18,243 --> 00:10:21,788 まあ しかたがねえ。 な… 何を。 143 00:10:21,788 --> 00:10:26,126 他の誰もが気づかなくても 俺は気づく。 144 00:10:26,126 --> 00:10:28,795 南の地の儀式の時から 145 00:10:28,795 --> 00:10:32,424 お前はずっと 津場木葵を見ているじゃねえか。 146 00:10:34,426 --> 00:10:37,137 大旦那がいない好機に 147 00:10:37,137 --> 00:10:40,140 心を奪ってやることすら できないくせに。 148 00:10:40,140 --> 00:10:43,810 そんな思いを募らせていても 苦しいだけだろう。 149 00:10:46,146 --> 00:10:48,148 わかっていますよ。 150 00:10:48,148 --> 00:10:51,151 葵さんは大旦那様の許嫁です。 151 00:10:51,151 --> 00:10:53,653 その許嫁という肩書も 152 00:10:53,653 --> 00:10:56,823 もうすぐ 過去のものになるでしょう。 153 00:10:56,823 --> 00:11:01,453 葵さんの心は すでに決まっていると思うのです。 154 00:11:01,453 --> 00:11:04,831 そうかあ? あの娘 155 00:11:04,831 --> 00:11:08,168 大旦那があんな状態なのに いつもどおりじゃねえか。 156 00:11:08,168 --> 00:11:11,171 もっと 落ち込んでいると思っていたが 157 00:11:11,171 --> 00:11:14,174 アホみたいに料理のことばかり。 158 00:11:14,174 --> 00:11:18,178 むしろ 誰より お前に 信頼を寄せているように見える。 159 00:11:18,178 --> 00:11:21,181 それは! 葵さんが そうすることでしか 160 00:11:21,181 --> 00:11:25,685 爆発しそうな思いを 抑え込むすべを知らないからです。 161 00:11:25,685 --> 00:11:28,188 あの時の葵さんは 162 00:11:28,188 --> 00:11:32,859 それはもう見ていられないほど 弱々しく怯えて…。 163 00:11:32,859 --> 00:11:37,864 私は そんな葵さんを ひたすらに守ってあげたかった。 164 00:11:40,492 --> 00:11:44,204 困難に立ち向かう葵さんの 手助けをするのが 165 00:11:44,204 --> 00:11:46,873 自分の役割だと思っています。 166 00:11:46,873 --> 00:11:50,877 前に進む葵さんを見ているだけで 救われる。 167 00:11:50,877 --> 00:11:54,714 お人よしめ。 大旦那に遠慮して 168 00:11:54,714 --> 00:11:58,343 自分の心を押し殺すのは お前だってことか。 169 00:11:58,343 --> 00:12:02,889 私は大旦那様を 誰より尊敬しています。 170 00:12:02,889 --> 00:12:08,228 最初から こうなることは わかっていたのですから。 171 00:12:08,228 --> 00:12:11,731 《そう 最初から》 172 00:12:13,900 --> 00:12:18,530 《最初からこうなることは わかっていた。 173 00:12:18,530 --> 00:12:21,241 そう 大旦那様が 174 00:12:21,241 --> 00:12:26,913 死ぬはずだった葵さんの運命を その命すら削って変えた時から》 175 00:12:26,913 --> 00:12:30,250 ((大旦那:銀次 手伝ってほしい。 176 00:12:30,250 --> 00:12:34,254 僕は ある娘を助けたいと思っている。 177 00:12:34,254 --> 00:12:38,258 いずれ 僕の花嫁になる娘だ)) 178 00:12:40,927 --> 00:12:46,266 《その時は 尊敬する大旦那様の 手伝いをするだけの感覚だった。 179 00:12:46,266 --> 00:12:49,269 けれど…。 180 00:12:49,269 --> 00:12:54,566 この子に生きてほしい。 この子に幸せになってほしい。 181 00:12:54,566 --> 00:12:57,777 そう願わずにはいられなくなった。 182 00:12:57,777 --> 00:13:01,781 あの数日の間 大旦那様に代わって 183 00:13:01,781 --> 00:13:04,784 私は幼い葵さんのそばにいて 184 00:13:04,784 --> 00:13:08,288 少しだけ会話をし 食事を与えた。 185 00:13:08,288 --> 00:13:10,582 そして…》 186 00:13:10,582 --> 00:13:13,293 (銀次)あの時の真実を知れば 187 00:13:13,293 --> 00:13:17,130 葵さんはきっと いっそう 大旦那様を追いかけるでしょう。 188 00:13:17,130 --> 00:13:20,592 大旦那様を 捕まえることができれば 189 00:13:20,592 --> 00:13:23,303 私の役目は終わりです。 190 00:13:25,305 --> 00:13:28,308 あの娘が お前を好きになるってことも 191 00:13:28,308 --> 00:13:30,435 ありうるんじゃねえのか? 192 00:13:30,435 --> 00:13:34,439 それは… ない ですよ。 193 00:13:34,439 --> 00:13:36,983 銀次。 194 00:13:36,983 --> 00:13:42,822 言ったでしょう。 私は大旦那様を敬愛しています。 195 00:13:42,822 --> 00:13:48,328 あの方には 大旦那として 天神屋に戻ってきてもらわねば。 196 00:13:48,328 --> 00:13:51,998 そして 葵さんにも大旦那様にも 197 00:13:51,998 --> 00:13:56,169 後悔のない選択をして 幸せになっていただきたい。 198 00:13:56,169 --> 00:13:59,339 しかし… 銀次。 199 00:13:59,339 --> 00:14:03,343 お前自身も どこかで その思いに決着をつけねえと 200 00:14:03,343 --> 00:14:05,845 いつか後悔するぞ。 201 00:14:10,016 --> 00:14:12,352 人間なんて 202 00:14:12,352 --> 00:14:17,857 驚くほど早く いなくなっちまうんだからな。 203 00:14:17,857 --> 00:14:22,862 《確かに 乱丸の言うとおりかもしれない。 204 00:14:22,862 --> 00:14:25,365 だけど これは 205 00:14:25,365 --> 00:14:29,035 葵さんが生まれる前から 始まっている 206 00:14:29,035 --> 00:14:32,872 幾重にも重なる約束の物語。 207 00:14:32,872 --> 00:14:37,669 最後まで見守るという 大旦那様との約束が 208 00:14:37,669 --> 00:14:40,380 私にはあるだけで…。 209 00:14:40,380 --> 00:14:45,051 それ以上は 決して 踏み込んではならない》 210 00:14:49,889 --> 00:14:53,393 結局 春日 来なかったわね。 211 00:14:53,393 --> 00:14:57,063 ねぇ あとは任せていい? 212 00:14:57,063 --> 00:14:59,399 (2人)うん 大丈夫。 213 00:15:02,902 --> 00:15:05,071 うぅ…。 214 00:15:05,071 --> 00:15:08,241 (銀次)おや 葵さん? 215 00:15:08,241 --> 00:15:11,077 銀次さん おかえりなさい。 216 00:15:11,077 --> 00:15:14,706 ただいま戻りました。 何かあったのか? 217 00:15:14,706 --> 00:15:17,083 あっ 実は…。 218 00:15:19,711 --> 00:15:21,921 (キヨ)春日の部屋は この先です。 219 00:15:24,424 --> 00:15:27,260 わあっ! 220 00:15:27,260 --> 00:15:29,429 いい匂い。 221 00:15:29,429 --> 00:15:32,932 これ いちごですよね? えぇ。 222 00:15:32,932 --> 00:15:36,436 あの かまくらの中で栽培しています。 223 00:15:36,436 --> 00:15:40,106 わぁ! いちごがこんなに! 224 00:15:40,106 --> 00:15:44,277 我が氷里城が開発中の かまくらいちごです。 225 00:15:44,277 --> 00:15:47,947 春日の故郷にある 文門大学の研究所で 226 00:15:47,947 --> 00:15:50,450 品種改良されたものでして。 227 00:15:50,450 --> 00:15:53,953 春日… も このいちごが好きで 228 00:15:53,953 --> 00:15:56,748 よく摘んで食べているみたいです。 229 00:15:58,750 --> 00:16:00,960 あの キヨ様。 230 00:16:00,960 --> 00:16:02,962 はい。 231 00:16:02,962 --> 00:16:05,131 春日とは その…。 232 00:16:05,131 --> 00:16:08,134 あまり うまくいって いないのでしょうか? 233 00:16:10,136 --> 00:16:13,765 葵さんにも そのように見えるのですね。 234 00:16:13,765 --> 00:16:18,770 えっ? あっ その… はい。 235 00:16:18,770 --> 00:16:23,608 春日は 僕の初めての友達です。 236 00:16:23,608 --> 00:16:26,778 でも 今の僕は 237 00:16:26,778 --> 00:16:30,615 誰かを心から信じることが できずにいます。 238 00:16:30,615 --> 00:16:35,787 信頼したものを失うことも 裏切られるのも怖いのです。 239 00:16:35,787 --> 00:16:38,498 キヨ様。 240 00:16:38,498 --> 00:16:42,502 自分で自分が情けないです。 241 00:16:42,502 --> 00:16:46,005 春日の部屋は ここを通り過ぎた先の 242 00:16:46,005 --> 00:16:48,007 あの別棟にあります。 243 00:16:48,007 --> 00:16:50,510 葵さんさえよければ 244 00:16:50,510 --> 00:16:53,638 このいちごで何かお菓子を 作ってあげてください。 245 00:16:53,638 --> 00:16:56,182 あっ はい…。 246 00:16:56,182 --> 00:16:59,811 僕が春日を 喜ばせてあげられなくても 247 00:16:59,811 --> 00:17:03,523 あなたには できるでしょうから。 248 00:17:03,523 --> 00:17:05,525 では。 249 00:17:11,531 --> 00:17:15,034 わっ! (イタキ)お初にお目にかかります。 250 00:17:15,034 --> 00:17:20,331 私は 春日様専属の護衛人 名をイタキと申します。 251 00:17:20,331 --> 00:17:25,712 は… はじめまして。 天神屋の津場木葵です。 252 00:17:25,712 --> 00:17:29,048 春日様のお部屋に案内いたします。 253 00:17:40,059 --> 00:17:45,356 (寝息) 254 00:17:45,356 --> 00:17:48,359 (春日)あれ 葵ちゃん? 255 00:17:48,359 --> 00:17:52,071 おはよう 春日。 よく寝ていたわね。 256 00:17:52,071 --> 00:17:54,365 あっ! ごめんなさい! 257 00:17:54,365 --> 00:17:57,076 あたし 助手なのに すっぽかしちゃった! 258 00:17:57,076 --> 00:17:59,370 それはいいのよ。 259 00:17:59,370 --> 00:18:02,916 あっ 現世のガイドブックよね? 260 00:18:02,916 --> 00:18:05,752 あたし 調べものをしていて。 261 00:18:05,752 --> 00:18:09,088 葵ちゃんにも 聞きたいことがあったんだ。 262 00:18:11,758 --> 00:18:16,763 あたしとキヨは 昔 現世に行ったことがあるんだ。 263 00:18:16,763 --> 00:18:20,934 そこでね 茶色のお菓子を食べたんだ。 264 00:18:20,934 --> 00:18:23,937 茶色のお菓子? そう。 265 00:18:23,937 --> 00:18:27,106 でも 名前が全然思い出せなくて。 266 00:18:27,106 --> 00:18:30,109 朝から ずっと調べてるんだけど。 267 00:18:30,109 --> 00:18:33,112 もしかして チョコレートケーキ? 268 00:18:33,112 --> 00:18:35,114 そうじゃなくて…。 269 00:18:35,114 --> 00:18:38,785 甘いんだけど ちょっとだけ苦くて。 270 00:18:38,785 --> 00:18:41,246 甘くて 苦い? 271 00:18:41,246 --> 00:18:43,248 そうそう キヨがね 272 00:18:43,248 --> 00:18:46,960 このお菓子は チーズを使ってるねって言ってた。 273 00:18:46,960 --> 00:18:49,963 あっ! ティラミス じゃない? 274 00:18:49,963 --> 00:18:53,424 あぁ! それそれ! ティラミスだよ!! 275 00:18:53,424 --> 00:18:56,427 あたし キヨに食べてもらいたいんだけど 276 00:18:56,427 --> 00:18:58,429 作り方を教えてくれない? 277 00:18:58,429 --> 00:19:00,431 えぇ もちろんよ。 278 00:19:00,431 --> 00:19:04,811 だけど 材料を集めないといけないわね。 279 00:19:09,148 --> 00:19:12,277 急ぎ 持ってこさせましょう。 280 00:19:12,277 --> 00:19:14,654 なんとかなりそうね。 281 00:19:14,654 --> 00:19:19,826 ところで 昨晩の視察で 極光が見られたんです。 282 00:19:19,826 --> 00:19:24,163 極光!? 銀次さん オーロラを見たの!? 283 00:19:24,163 --> 00:19:27,292 はい。 それは見事なものでした。 284 00:19:27,292 --> 00:19:30,837 へぇ~ すっごくうらやましい。 285 00:19:30,837 --> 00:19:33,464 実は 極光が現れたあと 286 00:19:33,464 --> 00:19:37,176 北の地の空では おもしろいものが 見られるのだとか。 287 00:19:37,176 --> 00:19:39,470 おもしろいもの? 288 00:19:39,470 --> 00:19:42,181 私も わからないのですが 289 00:19:42,181 --> 00:19:46,477 キヨ様が 明日は ぜひ葵さんも ご一緒にとおっしゃってました。 290 00:19:46,477 --> 00:19:49,856 えっ 私も 視察についていっていいの? 291 00:19:49,856 --> 00:19:52,191 北の地の遺産を見ることで 292 00:19:52,191 --> 00:19:55,320 また いい案が 生まれるかもしれませんからね。 293 00:19:55,320 --> 00:19:58,489 チーズフォンデュは すばらしいご提案でした。 294 00:19:58,489 --> 00:20:01,492 お醤油やお味噌で アレンジもできるし 295 00:20:01,492 --> 00:20:04,495 これから北の地の料理人が 扱うようになっても 296 00:20:04,495 --> 00:20:07,498 お店によって 個性が出せると思うの。 297 00:20:07,498 --> 00:20:12,211 (銀次)えぇ 今回の場合 葵さんは あくまで企画の立場。 298 00:20:12,211 --> 00:20:15,715 葵さん以外でも作れることが 大切ですから。 299 00:20:15,715 --> 00:20:18,718 とはいえ 夕がお監修ですので 300 00:20:18,718 --> 00:20:21,512 氷里城から ロイヤリティがいただけます。 301 00:20:21,512 --> 00:20:23,514 ロイヤリティ!? 302 00:20:23,514 --> 00:20:28,227 葵さんの借金も 意外と早く なくなってしまうかもしれません。 303 00:20:28,227 --> 00:20:30,229 借金…。 304 00:20:30,229 --> 00:20:33,524 天神屋の借金を 返すために働いてること 305 00:20:33,524 --> 00:20:35,526 ふだんは忘れているわ。 306 00:20:35,526 --> 00:20:37,904 ちなみに地獄まんのヒットで 307 00:20:37,904 --> 00:20:41,741 結構な額の借金を あなたは返済しました。 308 00:20:41,741 --> 00:20:46,245 うそっ!? ホント? ホントです。 マジです。 309 00:20:46,245 --> 00:20:49,374 みんなのおかげよね。 310 00:20:49,374 --> 00:20:53,920 いつも私の背中を押して 応援してくれる…。 311 00:21:00,927 --> 00:21:03,096 春日 今日は 312 00:21:03,096 --> 00:21:06,265 王道ティラミスと雪国ティラミスを作るわよ。 313 00:21:06,265 --> 00:21:09,936 葵先生 なんで2種類なんですか? 314 00:21:09,936 --> 00:21:15,566 春日とキヨ様の思い出のティラミスは いわゆる現世風のティラミス。 315 00:21:15,566 --> 00:21:17,777 でも もう一方は 316 00:21:17,777 --> 00:21:20,571 ここ北の地で調達できる 食材で作るの。 317 00:21:20,571 --> 00:21:23,116 北の地で…。 318 00:21:23,116 --> 00:21:27,578 つまりは 北の地プロデュースの試作 第2弾。 319 00:21:27,578 --> 00:21:31,582 あわよくば 名産品にならないかなあって。 320 00:21:31,582 --> 00:21:34,293 葵ちゃん あわよくばって言葉 321 00:21:34,293 --> 00:21:36,421 あたし 好きだよ! 322 00:21:36,421 --> 00:21:39,966 (船員たち)うわぁ~! 323 00:21:39,966 --> 00:21:42,301 何かしら? 324 00:21:52,979 --> 00:21:55,440 天神屋からの使いって…。 325 00:21:55,440 --> 00:21:57,984 まさかの お涼様!? 326 00:21:57,984 --> 00:21:59,986 (お涼)あ~ら。 327 00:21:59,986 --> 00:22:05,616 見覚えのある貧相な人間の小娘と 丸顔の狸娘だわ~。 328 00:22:05,616 --> 00:22:07,827 おほほほほ! 329 00:22:07,827 --> 00:22:10,329 お涼様 相変わらずだね。 330 00:22:10,329 --> 00:22:12,623 まあね~。 331 00:22:12,623 --> 00:22:17,837 ほ~ら あんたの希望したもの 持ってきてあげたわよ。 332 00:22:17,837 --> 00:22:19,839 ありがとう。 333 00:22:19,839 --> 00:22:23,009 ねぇ なんなら お涼も手伝ってよ。 334 00:22:23,009 --> 00:22:27,847 はあ? なんで私が葵の趣味に つきあわなきゃならないのよ。 335 00:22:27,847 --> 00:22:31,851 手伝ってくれたら 試食させてあげるわよ。 336 00:22:31,851 --> 00:22:34,353 あま~くて おいしい 337 00:22:34,353 --> 00:22:37,023 大人の おしゃれなケーキなの。 338 00:22:39,025 --> 00:22:41,027 ったく。 339 00:22:41,027 --> 00:22:44,655 ふん 手伝ってやらないことも ないけど? 340 00:22:44,655 --> 00:22:46,866 (葵/春日)フフフフ。 341 00:22:59,378 --> 00:23:02,381 《春日とキヨ様の思い出の味を 342 00:23:02,381 --> 00:23:05,676 そのまま そっくり作ることはできない。 343 00:23:05,676 --> 00:23:08,888 だけど せめて2人が 344 00:23:08,888 --> 00:23:13,392 幼なじみとして 若い夫婦として 345 00:23:13,392 --> 00:23:16,687 向き合って 話をするきっかけに 346 00:23:16,687 --> 00:23:19,065 なってくれるといいな》