1 00:00:07,437 --> 00:00:09,355 (栞(しおり)) 汐宮(しおみや) 栞です 2 00:00:09,481 --> 00:00:13,359 私は今 大きな そして えたいの知れない 3 00:00:13,485 --> 00:00:15,695 怪異に取りつかれています 4 00:00:15,945 --> 00:00:20,575 その不気味な感覚は 私の体中を四六時中 支配し 5 00:00:20,742 --> 00:00:23,661 片ときも休ませることは… ない 6 00:00:24,412 --> 00:00:25,371 (藤井寺(ふじいでら)) 栞! 7 00:00:25,997 --> 00:00:29,542 小説 舞校(まいこう)祭用のコピー本の 書けたか? 8 00:00:29,751 --> 00:00:31,503 も… もう少しです 9 00:00:31,628 --> 00:00:33,421 もう少しが長(なげ)えぞ 10 00:00:33,546 --> 00:00:37,675 あさっての朝までに書かないと もう出さないからな~ 11 00:00:39,135 --> 00:00:43,556 (栞) 私は うすうす気付いているのだ この怪異の正体 12 00:00:43,681 --> 00:00:46,226 これは世間一般の男女が 13 00:00:46,351 --> 00:00:50,814 れ… れ… 恋愛と呼んでいる感情 14 00:00:51,773 --> 00:00:53,149 …かもしれない 15 00:00:54,526 --> 00:01:00,782 本の中では時に甘く 時に愛らしく 時に悲しく描かれてきた恋愛 16 00:01:01,407 --> 00:01:04,828 しかし 私のそれは そのどれにも当てはまらない! 17 00:01:05,787 --> 00:01:08,623 私の小説に介入してきたアレ 18 00:01:08,998 --> 00:01:11,793 男同士で 組んずほぐれつしていたアレ 19 00:01:12,460 --> 00:01:14,963 女装して高笑いしていたアレ 20 00:01:15,505 --> 00:01:20,093 そして私が ここに籠城した時 助けてくれた人と 21 00:01:20,385 --> 00:01:22,846 もしかして同一人物? 22 00:01:23,513 --> 00:01:26,766 それにしても なんてひどい話なの 23 00:01:27,392 --> 00:01:30,186 最初に遭遇する男性があんな… 24 00:01:30,478 --> 00:01:34,190 倒錯! 変態! 女装男だなんて 25 00:01:34,399 --> 00:01:36,150 どないせいと言うのよ! 26 00:01:39,654 --> 00:01:41,865 そして何より罪深いのは 27 00:01:42,073 --> 00:01:44,826 あの男が 約束を守らない男ってこと 28 00:01:45,785 --> 00:01:49,080 私の小説の続きを 読みに来るって言ったのに… 29 00:01:49,497 --> 00:01:51,875 昨日はずっと待ってたのに 来なかった 30 00:01:52,709 --> 00:01:55,336 ただの倒錯変態男ならまだしも 31 00:01:55,545 --> 00:01:59,674 約束を守らない倒錯変態男は 救いようがないわ 32 00:02:02,135 --> 00:02:06,890 そんな男とキスしちゃったのかな 33 00:02:08,308 --> 00:02:12,312 でも この前まで 少しも思い出せなかった 34 00:02:13,605 --> 00:02:17,525 私は人生の初めてのキスのごとき 一大事を 35 00:02:17,775 --> 00:02:21,529 あっさり忘れてしまう アンポンタンなのだろうか 36 00:02:24,407 --> 00:02:25,116 あっ… 37 00:02:28,161 --> 00:02:29,704 (栞) また この子? 38 00:02:30,496 --> 00:02:32,624 どこから入ってくるのかな 39 00:02:34,459 --> 00:02:35,251 (ミネルヴァ) あっ… 40 00:02:40,173 --> 00:02:41,674 (栞) どこの子だろう? 41 00:02:47,388 --> 00:02:49,265 (桂馬(けいま))やあ (栞)あっ… 42 00:02:52,185 --> 00:02:53,978 (栞) 汐宮 栞です 43 00:02:54,103 --> 00:02:58,149 私は今 えたいの知れない怪異に 取りつかれているのです 44 00:02:59,859 --> 00:03:04,238 出会いの神様 あんた いっぺん死ぬれ! 45 00:03:05,531 --> 00:03:10,536 ♪~ 46 00:04:29,365 --> 00:04:34,370 ~♪ 47 00:04:37,332 --> 00:04:40,043 (栞) こんな倒錯男のために 私は悩み 48 00:04:40,626 --> 00:04:44,505 あまつさえ 小説の意見まで求めようとしたの? 49 00:04:44,922 --> 00:04:46,716 もう関わらないでおこう 50 00:04:47,050 --> 00:04:48,051 (桂馬)あの… (栞)ああ… 51 00:04:49,010 --> 00:04:51,804 きみの小説 読みに来たよ 52 00:04:53,431 --> 00:04:55,767 (栞) お… 覚えててくれたのか 53 00:04:56,476 --> 00:04:58,811 あっ… いやいや 殊勝なセリフ いくら言っても 54 00:04:58,936 --> 00:05:00,688 その格好で全部台なし! 55 00:05:01,647 --> 00:05:04,984 でも… まずは一応 話は聞くわ 56 00:05:05,276 --> 00:05:07,445 私は寛容な人間なの 57 00:05:13,576 --> 00:05:17,205 (栞) じょ… 女装 好きなんですか? 58 00:05:18,331 --> 00:05:22,919 実は… 僕はある事情で 女にならなくてはいけなくなって 59 00:05:23,044 --> 00:05:25,421 最初は作戦のためだと 思っていた女装が 60 00:05:25,546 --> 00:05:27,465 だんだん やめられなくなってしまったんだ 61 00:05:27,965 --> 00:05:31,636 思えば あの日… 屋上で地獄の使いが現れて以来 62 00:05:31,761 --> 00:05:34,347 僕の日常は崩壊を始めていたんだ 63 00:05:34,472 --> 00:05:37,058 常識と非常識の境界はとうにない 64 00:05:37,683 --> 00:05:40,394 このまま僕は現実の歯車の上で 65 00:05:40,520 --> 00:05:42,730 ズタズタにされてしまうのだろうか 66 00:05:45,149 --> 00:05:47,485 (栞) 何をぬかしてるの この男… 67 00:05:48,361 --> 00:05:51,155 話をすればするほど分からない 68 00:05:51,614 --> 00:05:54,033 なんなんだろう この人は… 69 00:05:55,535 --> 00:05:56,494 (席を立つ音) あっ… 70 00:05:57,036 --> 00:05:59,956 つまんない話してごめん 帰るよ 71 00:06:00,164 --> 00:06:02,625 あっ… あの! 72 00:06:02,834 --> 00:06:03,668 ん? 73 00:06:03,960 --> 00:06:07,130 悩みのことは 話したほうが軽くなるって 74 00:06:07,547 --> 00:06:11,884 この図書館の1,347冊の本に 書いてありました 75 00:06:12,844 --> 00:06:15,763 もう少し 話 聞かせてください 76 00:06:18,724 --> 00:06:20,101 (チャイム) あっ… 77 00:06:21,894 --> 00:06:23,437 帰りながらでいい? 78 00:06:23,813 --> 00:06:27,400 (栞) か… 帰りながら~? 79 00:06:32,488 --> 00:06:36,784 (栞) 外ではカツラかぶるんだ 80 00:06:36,993 --> 00:06:37,660 (桂馬) ん? 81 00:06:38,452 --> 00:06:40,621 こうすると 意外に気付かれないんだ 82 00:06:43,958 --> 00:06:46,043 (栞) 結構 かわいい 83 00:06:47,712 --> 00:06:51,549 あ… あの 話すなら お店のほうで… 84 00:06:52,592 --> 00:06:54,218 (桂馬) 歩きながらでいいよ 85 00:06:54,510 --> 00:06:55,970 でも… あっ! 86 00:06:56,345 --> 00:06:59,223 あ… あそこ入りませんか? 87 00:07:00,433 --> 00:07:01,726 (桂馬) ラーメン? 88 00:07:01,851 --> 00:07:03,477 (戸が開く音) (店員)らっしゃ~い! 89 00:07:04,228 --> 00:07:06,105 (栞) 私には この“へい らっしゃい”感の中 90 00:07:06,230 --> 00:07:08,191 注文する勇気はなかった 91 00:07:08,608 --> 00:07:11,068 でも今は男の人がいる 92 00:07:11,235 --> 00:07:13,738 今日こそ ネギラーメンを注文できそう! 93 00:07:14,489 --> 00:07:17,366 (桂馬)食券 何頼む? (栞)あっ… 94 00:07:19,452 --> 00:07:22,747 (栞) 声を出さなくても 頼めるシステムがあったとは… 95 00:07:26,667 --> 00:07:29,462 お… おいしい! 生きててよかった! 96 00:07:31,422 --> 00:07:35,468 しかし初めての男の人との食事が ラーメンとは… 97 00:07:35,593 --> 00:07:38,888 これは乙女の風上にも置けぬ 所業ではなかろうか 98 00:07:39,013 --> 00:07:42,808 もっとも 相手も男の風上にも置けぬ女装… 99 00:07:42,934 --> 00:07:43,768 あっ… 100 00:07:46,521 --> 00:07:50,691 こんな不思議な人 どんな本の中にもいなかった 101 00:07:53,861 --> 00:07:54,529 ん? 102 00:07:55,780 --> 00:07:57,031 あ… あの… 103 00:07:57,532 --> 00:07:58,824 あなたのこと 104 00:08:00,117 --> 00:08:02,787 主役にして お話 書いていいですか? 105 00:08:03,246 --> 00:08:03,955 えっ? 106 00:08:04,288 --> 00:08:08,668 私… あなたのこと 書きたいんです! 107 00:08:09,669 --> 00:08:11,295 い… いいけど 108 00:08:11,754 --> 00:08:13,673 (栞) あ… ありがとうございます! 109 00:08:14,882 --> 00:08:17,468 あしたの朝 図書館に来てください 110 00:08:17,593 --> 00:08:18,803 書いてきますから! 111 00:08:20,054 --> 00:08:22,181 (栞) 今なら… 書けそう! 112 00:08:23,099 --> 00:08:24,308 (店員) ありがとうございました~! 113 00:08:25,351 --> 00:08:27,562 これで舞校祭には間に合うな 114 00:08:28,104 --> 00:08:29,105 (ハクア) 本当? 115 00:08:29,230 --> 00:08:31,065 ああ 大丈夫だろう 116 00:08:31,816 --> 00:08:36,153 栞が話を書き上げられないのは 自分のネタに自信がないからだ 117 00:08:36,571 --> 00:08:38,239 だから途中でイヤになる 118 00:08:39,115 --> 00:08:42,285 しかし こんなキテレツなヤツが そばにいる 119 00:08:42,910 --> 00:08:45,162 こんな強力なネタは他にない! 120 00:08:45,288 --> 00:08:46,455 自分で言うな 121 00:08:46,831 --> 00:08:49,166 (桂馬) これで小説の完成を ともに迎えれば 122 00:08:49,292 --> 00:08:51,294 栞の好感度はマックスだ! 123 00:08:53,296 --> 00:08:56,340 いよいよエンディングが見えたぞ! 久々 124 00:08:56,465 --> 00:08:57,883 知らないわよ 125 00:09:03,431 --> 00:09:04,098 あ… あの… 126 00:09:07,643 --> 00:09:10,229 も… もう少しなんですけど 127 00:09:10,563 --> 00:09:12,481 もう少しって 白紙じゃねえかよ! 128 00:09:12,607 --> 00:09:16,068 どうすんですか 栞先生~! 129 00:09:19,405 --> 00:09:23,326 (栞) あ… あの あと1時間あれば できたんですけど… 130 00:09:23,451 --> 00:09:26,829 あと1時間で何ができる? どんだけ超短編小説なんだよ! 131 00:09:28,164 --> 00:09:30,708 (桂馬) …とはいえ 迷走した跡は見受けられる 132 00:09:31,626 --> 00:09:33,961 (桂馬)栞 (栞)下の名前で呼ばれた! 133 00:09:34,295 --> 00:09:36,589 今日 2人で ここでカンヅメしよう 134 00:09:36,714 --> 00:09:37,381 (栞) えっ? 135 00:09:37,506 --> 00:09:40,551 (桂馬) お前の話が完成するまで 僕はここを出ない 136 00:09:40,676 --> 00:09:41,927 そして お前を出さない 137 00:09:42,053 --> 00:09:42,762 (栞) えっ? 138 00:09:42,887 --> 00:09:45,431 (桂馬) あしたまでに小説を完成させるんだ いいな! 139 00:09:45,598 --> 00:09:48,434 (栞) え~! 140 00:09:49,977 --> 00:09:53,356 (桂馬) 栞には いくらでも 逃避できる心の広場がある 141 00:09:53,522 --> 00:09:54,940 余裕を与えたらダメだ 142 00:09:55,650 --> 00:09:58,235 だが追い込みすぎると 意図的なタイムアップ 143 00:09:58,402 --> 00:10:00,613 つまり逃げる恐れもある 144 00:10:00,738 --> 00:10:02,615 それを防ぐためのカンヅメだ 145 00:10:02,740 --> 00:10:04,575 (ハクア) でも締め切り あしたでしょ? 146 00:10:04,700 --> 00:10:07,119 それくらいで 書けるようになるかしら 147 00:10:07,370 --> 00:10:09,705 (桂馬) 書いてもらうほかないな 傑作を 148 00:10:09,830 --> 00:10:12,958 (ハクア) 初めての小説で? 簡単に言うわね 149 00:10:13,334 --> 00:10:16,212 それ以外のシナリオは 僕の想定にない 150 00:10:16,337 --> 00:10:19,715 まっ 頑張ってね 私はちょっと出かけてくるわ 151 00:10:19,840 --> 00:10:20,716 どこ行く? 152 00:10:21,467 --> 00:10:24,261 地区長は定期的に報告会があるの 153 00:10:24,512 --> 00:10:26,639 そうか… (くしゃみ) 154 00:10:27,473 --> 00:10:28,224 (ハクア) どうしたの? 155 00:10:29,016 --> 00:10:32,144 (桂馬) おととい昨日と 女装が続いたからな 156 00:10:32,812 --> 00:10:35,398 足元がス~ス~して 冷えたのかもしれない 157 00:10:35,523 --> 00:10:36,649 (ハクア) 気をつけなさいよ 158 00:10:37,191 --> 00:10:40,569 お前 疲れもたまってるだろうし 無理しないで 159 00:10:41,821 --> 00:10:44,448 そもそも お前らが来なきゃ 無理してない 160 00:10:45,574 --> 00:10:46,909 ベ~! 161 00:10:47,952 --> 00:10:49,704 (桂馬) 子供か お前は! 162 00:10:51,288 --> 00:10:52,707 (ノーラ) 駆け魂(たま)隊の中に 163 00:10:52,832 --> 00:10:54,917 ヴィンテージが 入り込んでいるというウワサ— 164 00:10:55,668 --> 00:10:56,711 知ってる? 165 00:10:57,086 --> 00:10:58,337 (ハクア) 確かめなくちゃ! 166 00:10:59,672 --> 00:11:00,381 (栞) なっ… 167 00:11:02,550 --> 00:11:04,552 なんでこんなことに? 168 00:11:04,802 --> 00:11:05,553 ん? 169 00:11:09,265 --> 00:11:10,015 あっ… 170 00:11:13,894 --> 00:11:14,979 (紙が破れる音) 171 00:11:15,354 --> 00:11:19,817 (栞) 記念すべき処女作なのに 出だしから人マネなんて問題外! 172 00:11:20,901 --> 00:11:24,738 もっとオリジナルで! かつ面白そうな出だし… 173 00:11:27,366 --> 00:11:29,994 宇宙紀 第10RD10(いちまるアールディーじゅう)年 174 00:11:30,286 --> 00:11:33,289 かつて強力な同盟を誇った 銀河恒星系の 175 00:11:33,414 --> 00:11:36,333 各惑星の求心力は急速に衰え 176 00:11:36,459 --> 00:11:39,378 決定的な破壊が訪れることとなった 177 00:11:39,837 --> 00:11:41,755 宇宙大戦争である! 178 00:11:41,964 --> 00:11:42,798 (紙が破れる音) 179 00:11:43,215 --> 00:11:47,761 (栞) 煮詰まると宇宙戦争を 始めてしまうのは私の悪い癖だわ 180 00:11:48,095 --> 00:11:50,139 宇宙は平和のままでいいの 181 00:11:50,848 --> 00:11:52,433 要はキャラクターなの! 182 00:11:52,808 --> 00:11:55,936 キャラが強かったら どんな出だしでも関係ないわ 183 00:11:59,857 --> 00:12:03,861 考えてみたら私 この人のこと なんにも知らない 184 00:12:04,111 --> 00:12:07,615 知ってることといえば 芸能人とウワサになり 185 00:12:07,865 --> 00:12:10,618 なお男子ともつきあう 女装男なんて… 186 00:12:10,993 --> 00:12:12,995 ありえません 常識的に! 187 00:12:14,038 --> 00:12:17,416 ひょっとして 全部 私の妄想なのかな? 188 00:12:17,541 --> 00:12:19,335 キスしたこともみんな 189 00:12:19,460 --> 00:12:20,252 でも… 190 00:12:20,753 --> 00:12:23,130 “あんた あたいとキスしたのかい?” 191 00:12:23,255 --> 00:12:25,132 …なんて絶対に聞けない! 192 00:12:25,841 --> 00:12:26,634 あっ! 193 00:12:27,009 --> 00:12:29,512 (栞) な… 何を考えてるの 私! 194 00:12:29,637 --> 00:12:31,889 今は書くの 急いで書くの! 195 00:12:32,306 --> 00:12:35,476 こんな時は 先人の遺産を参考にするのよ 196 00:12:35,601 --> 00:12:37,520 きっと そこに手がかりが! 197 00:12:42,399 --> 00:12:46,278 (栞) あっ 読みふけってしまった 1時間半もたってる 198 00:12:46,654 --> 00:12:50,908 誘惑に負けた 書くことに集中 集中 199 00:12:51,659 --> 00:12:53,285 女装って英語だと… 200 00:12:58,082 --> 00:13:01,794 何をやってるのよ 私のアホ~! あっ… 201 00:13:06,048 --> 00:13:06,799 うう… 202 00:13:06,924 --> 00:13:09,552 (栞) もう今日 書けなくてもいいかな 203 00:13:10,636 --> 00:13:13,222 だって なんにも 浮かんでこないんだもん 204 00:13:13,430 --> 00:13:17,393 こんな状況で奇跡的に 何かひらめくなんてありえない 205 00:13:19,019 --> 00:13:21,397 (カシラギ) ごちゃごちゃ考えてないで書けよ 206 00:13:22,773 --> 00:13:23,482 (栞) えっ? 207 00:13:25,109 --> 00:13:25,985 あれ? 208 00:13:26,569 --> 00:13:29,321 締め切りまで あと1日しかないんだよ 209 00:13:30,030 --> 00:13:32,241 なのに まだ一枚も書けてない 210 00:13:32,866 --> 00:13:35,953 栞がたくさん本を読んでたのは なんのためだい? 211 00:13:36,078 --> 00:13:38,998 考えてないで 早く書いておくれよ 212 00:13:39,373 --> 00:13:40,833 (栞) うるさいな 213 00:13:41,625 --> 00:13:45,504 そもそも あんたが全然 動いてくれないのがいけないのよ 214 00:13:45,671 --> 00:13:48,549 私の物語の登場人物のくせに! 215 00:13:48,841 --> 00:13:50,926 (カシラギ) 僕のせいだっていうのかい? 216 00:13:51,260 --> 00:13:53,762 それは書く人の 能力なんじゃないか? 217 00:13:54,305 --> 00:13:56,932 (栞) うるさい! あんたなんか埋まれ! 218 00:13:57,808 --> 00:14:01,270 (カシラギ) そもそも小説を書こうとしたのは 栞のほうじゃないか 219 00:14:03,564 --> 00:14:06,275 (藤井寺)栞は最近 変わったな (栞)えっ? 220 00:14:06,650 --> 00:14:10,029 相変わらず話さんけど 明るい無口になったな 221 00:14:10,404 --> 00:14:12,197 (カシラギ) 栞は変わったよ 222 00:14:12,615 --> 00:14:16,035 きみは本を読んでいるだけで 満足だったんじゃないのかい? 223 00:14:16,285 --> 00:14:20,497 小説を書いて 誰に読んでもらいたかったんだい? 224 00:14:22,666 --> 00:14:24,710 (栞) 誰かのためなんかじゃない 225 00:14:25,461 --> 00:14:29,798 私はただ… 心にモヤモヤが広がってくるの 226 00:14:31,467 --> 00:14:34,678 あれ以来 胸がずっとドキドキして 227 00:14:34,803 --> 00:14:40,017 何かしなくちゃ 心が 体が爆発しそうだった 228 00:14:40,309 --> 00:14:42,978 何かをせずには いられなかったのよ! 229 00:14:46,649 --> 00:14:49,860 でも余計にモヤモヤしちゃった 230 00:14:50,402 --> 00:14:55,824 お話を書く力 あるかと思ったけど 思い違いだったみたい 231 00:14:56,909 --> 00:14:59,286 (桂馬) ごちゃごちゃ考えてないで書けよ 232 00:15:02,331 --> 00:15:03,624 書けばいいよ 233 00:15:03,749 --> 00:15:07,169 お前なら書けるよ 誰よりも面白い話 234 00:15:09,296 --> 00:15:11,006 (栞) か… 簡単に言わないで 235 00:15:11,131 --> 00:15:12,132 (桂馬) 簡単だよ 236 00:15:13,258 --> 00:15:15,135 栞のことを書けばいいんだよ 237 00:15:15,511 --> 00:15:16,387 あっ… 238 00:15:17,012 --> 00:15:19,181 (桂馬) 世の中に いっぱい物語はある 239 00:15:19,348 --> 00:15:21,392 でも そんなのはどうでもいいんだ 240 00:15:22,267 --> 00:15:25,270 僕が読みたいのは栞の話さ 241 00:15:26,313 --> 00:15:30,401 図書館の中にずっと住んでいる 本を愛する子の話 242 00:15:31,235 --> 00:15:34,655 でも人づきあいは不器用で 図書館に立てこもってしまう 243 00:15:34,989 --> 00:15:36,073 (栞) あっ… 244 00:15:36,657 --> 00:15:38,742 (桂馬) そんな子の話が読みたいんだ 245 00:15:39,410 --> 00:15:40,077 (栞) うっ… 246 00:15:40,202 --> 00:15:43,580 そ… そんな話 つまらないです! 247 00:15:48,043 --> 00:15:51,213 (桂馬) 書けるはずだ 栞が覚えていれば… 248 00:15:52,423 --> 00:15:54,550 ハァ ハァ… 249 00:15:55,300 --> 00:15:58,053 (栞) やっぱり やっぱりいたんだ! 250 00:15:58,512 --> 00:16:01,140 あの籠城の夜に あの人… 251 00:16:04,143 --> 00:16:05,269 いたんだ! 252 00:16:14,361 --> 00:16:15,946 そろそろ書けそう? 253 00:16:20,075 --> 00:16:20,909 (栞) あっ… 254 00:16:27,541 --> 00:16:28,417 あれ? 255 00:16:31,336 --> 00:16:34,173 か… 桂木(かつらぎ)く~ん 256 00:16:36,925 --> 00:16:37,634 あっ… 257 00:17:11,835 --> 00:17:14,713 (鳥のさえずり) 258 00:17:15,964 --> 00:17:20,552 (足音) 259 00:17:26,767 --> 00:17:28,143 (栞) 「私について」 260 00:17:29,520 --> 00:17:33,524 「頭目の鍵と王の谷の宝」 面白かった 261 00:17:34,024 --> 00:17:37,528 「果てしなくアバンチュール」 面白かった 262 00:17:37,903 --> 00:17:41,532 「現代哲学地図2」 面白かった 1よりも 263 00:17:41,907 --> 00:17:44,535 「カルチャー講座 ブレイクダンスって簡単!!」 264 00:17:44,660 --> 00:17:45,786 簡単じゃなかった 265 00:17:53,877 --> 00:17:57,089 これが今週 私が読んだ本 266 00:17:57,673 --> 00:18:00,592 図書委員はいろいろな本が読める 267 00:18:01,009 --> 00:18:03,345 面白い本 そうでない本 268 00:18:03,470 --> 00:18:06,974 楽しい本 悲しい本 優しい本 269 00:18:07,141 --> 00:18:09,434 あした また読みたいような本 270 00:18:10,561 --> 00:18:12,980 人気のある本を読むのは好き 271 00:18:13,105 --> 00:18:16,692 だって本は読まれるために 生まれてきたんだから 272 00:18:16,984 --> 00:18:20,320 人気のない本は特に大切に読む 273 00:18:20,737 --> 00:18:23,157 どの本も本当は面白いのよ 274 00:18:23,949 --> 00:18:27,870 キレイな本は好き 見ているだけで幸せになれる 275 00:18:28,829 --> 00:18:32,666 汚れた本も好き よく働いた証拠だもの 276 00:18:33,750 --> 00:18:36,545 そんな本たちが暮らしている 大きな家 277 00:18:36,670 --> 00:18:38,130 それが図書館 278 00:18:38,380 --> 00:18:42,342 私の幸せの住みか さまざまな人の知恵 279 00:18:42,509 --> 00:18:46,513 さまざまな人の時間 さまざまな人の思い 280 00:18:46,680 --> 00:18:51,351 それが一堂に会する場 こんなところは他にどこにもない 281 00:18:51,727 --> 00:18:54,354 でも私には仲間もいる 282 00:18:56,356 --> 00:18:58,358 委員長の藤井寺さん 283 00:18:58,734 --> 00:19:02,279 いつもガミガミ言ってるけど 本当は優しい人 284 00:19:02,613 --> 00:19:06,575 私が図書館に立てこもった時も 先生に言いつけなかった 285 00:19:06,700 --> 00:19:07,826 忘れない 286 00:19:09,286 --> 00:19:13,874 下級生のみわちゃんは音楽好きで いつもいろいろ教えてくれる 287 00:19:13,999 --> 00:19:16,877 でもカラオケなどという 恐ろしい場所は 288 00:19:17,002 --> 00:19:19,504 何度 誘われようと行かないからね 289 00:19:19,963 --> 00:19:23,342 みわちゃんのことが好きな上井(かみい)君は 映画好き 290 00:19:23,467 --> 00:19:27,346 でも本も読んだほうがいいわ 図書委員なんだから 291 00:19:28,972 --> 00:19:32,100 今は外で本を読むのも好き 292 00:19:32,351 --> 00:19:35,896 人がいる図書館も悪くもない そう思える 293 00:19:36,021 --> 00:19:39,942 だって本は人が書いて 人に伝えるものだから 294 00:19:40,067 --> 00:19:41,777 本は私の空気 295 00:19:41,902 --> 00:19:45,614 本があれば 私の世界はどこまでも広がる 296 00:19:46,323 --> 00:19:48,659 そして私は… 297 00:20:00,879 --> 00:20:01,672 ん… 298 00:20:06,385 --> 00:20:07,386 あっ… 299 00:20:09,680 --> 00:20:11,181 あ… あれ? 300 00:20:12,015 --> 00:20:13,433 お前は女神か? 301 00:20:13,809 --> 00:20:17,646 えっ? 知らない人とは話さないよ 302 00:20:17,771 --> 00:20:19,564 アポロがダメって言ってたもん 303 00:20:19,690 --> 00:20:23,402 (桂馬)アポロ? (ミネルヴァ)ひっ あっ あっ… 304 00:20:24,736 --> 00:20:27,447 あたた… ん? 305 00:20:29,825 --> 00:20:31,910 か… 桂木君 306 00:20:32,995 --> 00:20:34,579 話 出来たんだな 307 00:20:35,122 --> 00:20:38,292 あっ… こんなのただの独り言 308 00:20:38,583 --> 00:20:41,586 話なんて なんにもないし… あっ… 309 00:20:42,254 --> 00:20:45,841 僕は今までの栞の話で これが一番好きだよ 310 00:20:46,550 --> 00:20:49,011 全部 栞にしか書けない言葉だ 311 00:20:49,761 --> 00:20:53,140 あっ! あ… あの よ…読んだの? 312 00:20:53,265 --> 00:20:54,057 (桂馬) うん 313 00:20:54,599 --> 00:20:56,310 (栞)最後まで? (桂馬)うん 314 00:20:57,686 --> 00:21:00,480 (栞)読んじゃダメ~ (桂馬)あっ あっ… 315 00:21:03,442 --> 00:21:06,987 あ… あの 最後のは本気じゃなくて 316 00:21:07,529 --> 00:21:10,991 だって もう 帰ってこない気がしたから… 317 00:21:16,330 --> 00:21:19,624 僕と栞の物語は まだ終わらないよ 318 00:21:22,377 --> 00:21:23,420 (栞) ああ… 319 00:21:26,548 --> 00:21:29,134 (桂馬)栞 (栞)は… はい 320 00:21:29,551 --> 00:21:31,678 (桂馬) これ持っててほしいんだ 321 00:21:32,512 --> 00:21:34,514 (栞) プ… プレゼント? 322 00:21:35,265 --> 00:21:36,933 よかったらつけておいてよ 323 00:21:37,184 --> 00:21:41,021 そ… それは分かりましたけど あの… 324 00:21:41,438 --> 00:21:45,984 (栞) 最後の言葉 見たんでしょう? キスがその答えでいいの? 325 00:21:46,234 --> 00:21:48,570 (桂馬) これから毎日ここに来ていい? 326 00:21:49,863 --> 00:21:52,532 栞に毎日 会いたいから 327 00:21:52,866 --> 00:21:54,368 えっ… 328 00:21:57,662 --> 00:21:59,539 (栞) 結局なんにも言えなかった 329 00:22:00,874 --> 00:22:04,169 私が自分の気持ちを ツラツラと話せる日は 330 00:22:04,294 --> 00:22:07,214 恐らく未来永劫(えいごう) 訪れないであろう 331 00:22:07,923 --> 00:22:08,632 あっ… 332 00:22:11,009 --> 00:22:13,553 わ… 私 ミネルヴァ 333 00:22:13,762 --> 00:22:15,180 (栞)うっ! (ミネルヴァ)あっ… 334 00:22:15,639 --> 00:22:20,060 (栞) こんなおかしなことがあっても きっと誰にも話せない 335 00:22:21,186 --> 00:22:25,482 でも今日… 自分の言葉が 見つかったかもしれない 336 00:22:30,153 --> 00:22:31,738 続き書かなきゃ 337 00:22:35,575 --> 00:22:40,580 ♪~ 338 00:23:57,365 --> 00:24:02,370 ~♪ 339 00:24:06,124 --> 00:24:07,000 (桂馬) 発熱 悪寒 せき 340 00:24:07,292 --> 00:24:09,294 この忙しい時に僕は 風邪をひいてしまった 341 00:24:09,419 --> 00:24:10,795 だがピンチをチャンスに 変えてこそ 342 00:24:10,921 --> 00:24:12,339 優れた ゲームプレーヤーだ 343 00:24:12,464 --> 00:24:13,632 鉄板の お見舞いイベントで 344 00:24:13,757 --> 00:24:15,342 歩美(あゆみ)と ちひろを 一気に攻め落とす 345 00:24:15,550 --> 00:24:16,676 (亮(りょう)) 大変だね~ 346 00:24:16,927 --> 00:24:18,511 僕 風邪なんて ひいたことないから 347 00:24:18,637 --> 00:24:19,846 分かんないや