1 00:00:00,917 --> 00:00:02,669 (講釈師) “しっかり 手を伸ばして!” 2 00:00:03,128 --> 00:00:04,379 “黄泉(よみ)の国でトラブル発生” 3 00:00:04,504 --> 00:00:06,297 “あんたも名乗んなさいよ” 4 00:00:06,464 --> 00:00:08,466 “なぜ 死者の世界に人間が” 5 00:00:08,591 --> 00:00:10,218 “俺は 霧仁(きりひと)だ” 6 00:00:10,635 --> 00:00:12,095 “かっこいい名前~” 7 00:00:12,637 --> 00:00:14,514 “お待ちしておりました” 8 00:00:14,639 --> 00:00:18,893 “我らが あるじ 黄泉国主祭神(よみのくにしゅさいじん)イザナミ様が―” 9 00:00:19,019 --> 00:00:20,729 “神殿にて お二方を―” 10 00:00:20,854 --> 00:00:24,190 “お待ちなさって いらっしゃいます~” 11 00:00:25,108 --> 00:00:26,276 波乱の予感 12 00:00:27,110 --> 00:00:32,115 ♪~ 13 00:01:51,111 --> 00:01:56,116 ~♪ 14 00:01:59,828 --> 00:02:03,039 (奈々生(ななみ)) あ… あの 私たち 入国っていっても― 15 00:02:03,164 --> 00:02:05,792 こちらに来たのは 事故みたいなもので― 16 00:02:05,917 --> 00:02:08,961 よければ 地上への出口を 教えていただければ 17 00:02:09,128 --> 00:02:12,132 (侍女1) 足元にお気を付けなされませ 人神 18 00:02:12,257 --> 00:02:13,466 この回廊には― 19 00:02:13,675 --> 00:02:16,469 雑多な者どもが たむろっておりますゆえ 20 00:02:16,594 --> 00:02:17,303 (奈々生) うん? 21 00:02:19,139 --> 00:02:20,223 うわーっ! 22 00:02:20,348 --> 00:02:22,475 (霧仁)何だ (奈々生)骸骨 骸骨! 23 00:02:27,230 --> 00:02:29,774 (奈々生) 霧仁 何者なんだろう 24 00:02:30,066 --> 00:02:33,611 こんな状況なのに 全然 動じてないみたいだし 25 00:02:33,778 --> 00:02:37,031 逆に 助けに来た私のほうが 慌てふためいてる 26 00:02:37,824 --> 00:02:39,993 (侍女2) この扉の奥でございます 27 00:02:42,954 --> 00:02:43,830 あっ… 28 00:02:48,793 --> 00:02:51,963 (イザナミ) よく参った 人神の娘よ 29 00:02:52,088 --> 00:02:55,967 わらわは 黄泉津大神(よもつおおかみ) そなたを歓迎します 30 00:02:56,175 --> 00:02:58,970 (奈々生) これが 黄泉の神様 31 00:02:59,304 --> 00:03:03,141 お邪魔しています 私 桃園(ももぞの)奈々生といいます 32 00:03:03,391 --> 00:03:05,560 こっちは 人間の霧仁君 33 00:03:06,185 --> 00:03:10,106 地上に戻りたいのですが 道に迷ってしまって 34 00:03:10,440 --> 00:03:11,441 それで あの…― 35 00:03:11,691 --> 00:03:15,069 よければ 地上への出口を 教えていただきたいのですが… 36 00:03:19,240 --> 00:03:20,700 わーっ! 37 00:03:23,369 --> 00:03:24,954 (イザナミ) 歓迎のしるしじゃ 38 00:03:25,079 --> 00:03:29,459 黄泉の物ゆえ 手は出せまいが 目で楽しむのもよかろう 39 00:03:30,460 --> 00:03:32,420 (奈々生) 余計 地獄です! 40 00:03:32,587 --> 00:03:36,216 (イザナミ) 別に そなたさえよければ 食べてもいいのじゃぞ 41 00:03:36,424 --> 00:03:38,968 で… 地上への出口だったかの 42 00:03:39,093 --> 00:03:41,471 知りたくば 教えてやってもよいぞ 43 00:03:41,596 --> 00:03:42,347 ただし― 44 00:03:42,472 --> 00:03:47,769 その霧仁とかいう人間の男は 連れていかせるわけにはいかんがの 45 00:03:47,936 --> 00:03:48,645 (霧仁) あっ… 46 00:03:49,354 --> 00:03:50,104 あっ! 47 00:03:51,064 --> 00:03:52,232 霧仁! 48 00:03:52,607 --> 00:03:53,775 ど… どうして 49 00:03:53,900 --> 00:03:56,569 (イザナミ) あの者の体は もう死んでおるからじゃ 50 00:03:56,694 --> 00:03:57,362 えっ? 51 00:03:57,487 --> 00:04:00,114 (イザナミ) あれは もはや 人であって人でない 52 00:04:00,240 --> 00:04:03,785 死者の体に 何者かの霊体が宿っているのじゃ 53 00:04:04,327 --> 00:04:06,537 気付かなんだか 人神 54 00:04:07,664 --> 00:04:09,165 (奈々生) そうだとしても― 55 00:04:09,916 --> 00:04:12,252 事情も分からないのに 置いていけません 56 00:04:12,377 --> 00:04:14,003 彼を返してください 57 00:04:14,420 --> 00:04:16,923 きっと 何か訳があるのかもしれない 58 00:04:17,048 --> 00:04:19,509 (イザナミ) あれの正体など どうでもよい 59 00:04:19,759 --> 00:04:22,262 死者を 黄泉から出すわけにはいかぬ 60 00:04:22,387 --> 00:04:23,513 それだけじゃ 61 00:04:23,888 --> 00:04:27,642 これは条理であって そこに感情などない 62 00:04:27,767 --> 00:04:30,812 あれは 地上に放たれるべきでない者 63 00:04:30,937 --> 00:04:33,064 そなたにも分かるであろう 64 00:04:34,440 --> 00:04:35,775 そうか 65 00:04:38,444 --> 00:04:40,196 地上へお帰り 66 00:04:40,405 --> 00:04:43,616 そなたは まだ 神になりきれていないようだ 67 00:04:44,325 --> 00:04:47,370 (奈々生) 正論だ ぐうの音も出ない 68 00:04:47,912 --> 00:04:50,623 でも… でも― 69 00:04:50,915 --> 00:04:52,250 何も知らないままで― 70 00:04:52,542 --> 00:04:55,128 簡単に 引き下がるわけにはいかないよ 71 00:04:55,920 --> 00:04:56,629 イザナミ 72 00:04:57,130 --> 00:04:58,131 (イザナミ) うん? 73 00:05:00,758 --> 00:05:02,218 (イザナミ) そなた… 74 00:05:02,593 --> 00:05:04,470 (奈々生) これで私も黄泉の住人 75 00:05:05,763 --> 00:05:08,891 私も ここに置いてください イザナミ 76 00:05:11,102 --> 00:05:14,689 (イザナミ) いいでしょう そなたを歓迎しましょう 77 00:05:17,525 --> 00:05:18,818 (奈々生) この味だよ 78 00:05:18,943 --> 00:05:21,571 川越(かわごえ)名物 いもどうなつの味 79 00:05:23,323 --> 00:05:26,117 (霧仁) やっぱり自信ないんじゃん お前 80 00:05:26,659 --> 00:05:29,871 (奈々生) 今度こそ あんたを助ける自信が出てきたよ 81 00:05:30,121 --> 00:05:31,289 霧仁 82 00:05:33,333 --> 00:05:37,420 お願い 白札さん 私と一緒に霧仁を捜して 83 00:05:42,633 --> 00:05:45,803 (悪羅王(あくらおう)) 俺は冷たい暗闇の中にいた 84 00:05:45,928 --> 00:05:48,389 もう どのくらい時間がたったのか― 85 00:05:48,514 --> 00:05:51,768 考えることをやめて 何十年たったろう 86 00:05:51,893 --> 00:05:55,480 最後に光を見たのは 何百年前だろう 87 00:05:55,605 --> 00:06:00,610 自分が何者だったのかさえ もはや 忘れてしまいそうだった 88 00:06:00,985 --> 00:06:04,405 (霧仁) すみませ~ん そこに誰かいますか 89 00:06:04,906 --> 00:06:05,990 (悪羅王) 誰だ 90 00:06:07,283 --> 00:06:10,995 (霧仁) 初めまして 僕 毛利(もうり)霧仁っていいます 91 00:06:11,245 --> 00:06:16,250 実は この山の中腹辺りで 雪崩に巻き込まれてしまって― 92 00:06:16,375 --> 00:06:18,628 雪の中に 閉じ込められちゃったんです 93 00:06:18,795 --> 00:06:22,548 数日 頑張ったんだけど もう体が駄目みたいで 94 00:06:22,715 --> 00:06:25,343 いや 何せ死ぬのは初めてで― 95 00:06:25,468 --> 00:06:27,929 すっごい取り乱して 体力 使っちゃって 96 00:06:28,054 --> 00:06:30,056 (悪羅王) 人間の精神体か 97 00:06:30,681 --> 00:06:35,686 人に会うのは何百年ぶりだ 相変わらず ぜい弱な生き物だ 98 00:06:35,812 --> 00:06:37,396 (霧仁) それでですね 99 00:06:37,980 --> 00:06:40,149 僕も もう行かねばなりません 100 00:06:40,274 --> 00:06:43,069 だけど 一つ心残りがあるんです 101 00:06:43,486 --> 00:06:47,031 家を出るとき 母と 言い合いをしてしまったんです 102 00:06:47,156 --> 00:06:49,534 すごく くだらない口げんかです 103 00:06:49,992 --> 00:06:54,372 あれが最後だと知ってたら もっと優しい言葉が言えたのに 104 00:06:55,039 --> 00:06:59,127 きっと 母も そう考えて 自分を責めてしまうかもしれない 105 00:06:59,418 --> 00:07:01,879 だから あのけんかを 最後にしたくないんです 106 00:07:02,463 --> 00:07:04,966 もし あなたに お願いできるなら― 107 00:07:05,091 --> 00:07:08,469 僕が謝っていたと 母に伝えてもらえませんか 108 00:07:08,761 --> 00:07:11,472 (悪羅王) 何だ こいつ… 意味が分からない 109 00:07:11,806 --> 00:07:15,518 死んじまってるのに それ伝えて何か得があるのか 110 00:07:16,102 --> 00:07:17,478 いや 遺書 書こうと… 111 00:07:17,603 --> 00:07:19,897 (悪羅王) だが そうだった 112 00:07:20,022 --> 00:07:21,023 人間ってやつは― 113 00:07:21,566 --> 00:07:25,486 こんな ばかな生き物だったと 思い出した 114 00:07:26,112 --> 00:07:27,864 (悪羅王)無理だな (霧仁)えっ 115 00:07:28,030 --> 00:07:29,824 俺は ここから動けない 116 00:07:29,949 --> 00:07:32,618 悪いやつらに 体を持ってかれちまった 117 00:07:32,743 --> 00:07:35,955 おかげで 魂だけが こんな山ん中で― 118 00:07:36,122 --> 00:07:38,332 岩に へばりついてる次第だよ 119 00:07:40,168 --> 00:07:42,670 じゃあ 僕の体をあげます 120 00:07:43,296 --> 00:07:45,548 雪の中に埋まってて 動かないけど― 121 00:07:45,673 --> 00:07:47,717 あなたなら使えるかもしれない 122 00:07:47,842 --> 00:07:50,428 それで 僕のお願い 聞いてもらえませんか 123 00:07:51,220 --> 00:07:52,388 (悪羅王) いいよ 124 00:07:53,055 --> 00:07:55,349 そう言ったのは ただの気まぐれ 125 00:07:55,475 --> 00:07:57,935 こいつの都合なんか知らねえ 126 00:07:58,311 --> 00:07:59,270 虫けらの体と― 127 00:07:59,395 --> 00:08:01,606 共倒れに なるかもしれないけど― 128 00:08:01,731 --> 00:08:04,442 使えそうなら使ってみるさ 129 00:08:04,984 --> 00:08:07,904 もしかしたら 暗闇から出られるかもしれない 130 00:08:08,321 --> 00:08:11,699 駄目でも… そこで終わっても もういい 131 00:08:11,824 --> 00:08:16,454 もう暗闇の中は… そう思った 132 00:08:17,914 --> 00:08:19,165 (霧仁の母) あの日 私… 133 00:08:19,290 --> 00:08:22,335 (悪羅王) 誰だ 何を話してる 134 00:08:23,169 --> 00:08:25,463 俺の手? 135 00:08:27,423 --> 00:08:29,550 (霧仁の母親) あっ 霧仁 136 00:08:30,009 --> 00:08:31,052 (悪羅王) 感じる… 137 00:08:31,886 --> 00:08:33,095 動ける 138 00:08:36,933 --> 00:08:39,852 光を見たのは何百年ぶりか 139 00:08:39,977 --> 00:08:42,270 霧仁 もう大丈夫よ 140 00:08:42,395 --> 00:08:46,108 雪の中に長いこと閉じ込められて つらかったろう 141 00:08:47,235 --> 00:08:50,071 よく一人で頑張ったね 142 00:08:50,363 --> 00:08:53,991 (悪羅王) 温かいと感じるのは何年ぶりか 143 00:08:57,119 --> 00:08:58,246 (霧仁) 母上 144 00:08:58,996 --> 00:09:03,000 先日の口げんかの件 申し訳なかった 145 00:09:04,001 --> 00:09:07,046 そんなこと気にしなくていいのよ 146 00:09:07,171 --> 00:09:09,590 ねえ 霧仁 147 00:09:09,882 --> 00:09:12,760 (悪羅王) 思い出していこう 一つ一つ 148 00:09:12,885 --> 00:09:16,347 そして 俺を取り戻さねばならない 149 00:09:16,472 --> 00:09:18,849 弱い体が不便だ 150 00:09:19,058 --> 00:09:21,394 1日1回 寝ないと体がもたねえ 151 00:09:21,519 --> 00:09:24,814 おまけに 式神くらいしか使えねえ 152 00:09:24,939 --> 00:09:27,900 1体作るのに 7日もかかるのかよ 153 00:09:29,527 --> 00:09:31,362 だが 時間はある 154 00:09:31,487 --> 00:09:35,908 やつらに気取られないように 鋭い爪を隠してやろう 155 00:09:37,577 --> 00:09:40,788 感覚が戻るにつれて 湧き上がる衝動 156 00:09:42,123 --> 00:09:43,833 神どもめ― 157 00:09:44,208 --> 00:09:49,130 俺の肉体を黄泉に送るとは よほど手に余ったとみえる 158 00:09:49,589 --> 00:09:51,757 (菊一(きくいち)) いかがいたしましょう 悪羅王様 159 00:09:51,882 --> 00:09:53,801 (霧仁) その名では呼ぶな 160 00:09:53,926 --> 00:09:57,430 黄泉の毒などで 俺の体が始末できるかよ 161 00:09:57,555 --> 00:10:00,141 黄泉には別の者を行かせて 取ってこさせる 162 00:10:02,810 --> 00:10:04,228 (悪羅王) うっ! 163 00:10:04,478 --> 00:10:06,647 暗闇に閉ざされてく 164 00:10:07,064 --> 00:10:08,441 まさか― 165 00:10:08,774 --> 00:10:11,861 今までの全て夢なのか? 166 00:10:12,236 --> 00:10:15,781 長い暗闇の中で見ている幻… 167 00:10:16,490 --> 00:10:19,493 嫌だ もう暗闇の中は― 168 00:10:19,827 --> 00:10:21,287 嫌だ! 169 00:10:22,997 --> 00:10:25,541 いた! 霧仁 助けに来たよ 170 00:10:29,920 --> 00:10:33,215 (霧仁) こ… ここはどこだ 俺はどうなっている 171 00:10:33,382 --> 00:10:35,676 イザナミ殿の地下ろうだよ 172 00:10:35,801 --> 00:10:39,013 あんた イザナミに捕まって ここに閉じ込められたんだよ 173 00:10:39,138 --> 00:10:40,681 覚えてないの? 174 00:10:41,432 --> 00:10:43,934 ここ見つけるの 大変だったんだから 175 00:10:44,060 --> 00:10:46,020 どうやって見つけたか知りたい? 176 00:10:46,228 --> 00:10:48,689 知りたいでしょう 知りたいでしょう? 177 00:10:49,065 --> 00:10:52,276 なんと! この奈々生様特製 白札で… 178 00:10:52,401 --> 00:10:53,277 あっ 179 00:10:56,906 --> 00:10:58,491 (霧仁) 温かい 180 00:11:01,077 --> 00:11:03,162 どさくさに紛れて何やってんのよ 181 00:11:03,287 --> 00:11:05,790 私には巴衛(ともえ)という 心に決めたきつねが! 182 00:11:06,707 --> 00:11:07,958 巴衛? 183 00:11:09,752 --> 00:11:12,004 どうしたの 何か顔色悪い 184 00:11:12,338 --> 00:11:13,047 あいちっ! 185 00:11:13,798 --> 00:11:16,634 (霧仁) 一人で さっさと 逃げればいいものを 186 00:11:17,760 --> 00:11:20,012 わざわざ どうして俺を助けに来た 187 00:11:20,137 --> 00:11:20,971 (奈々生) えっ? 188 00:11:21,222 --> 00:11:24,100 一人じゃ地上に 戻れないってわけじゃないんだろう 189 00:11:25,393 --> 00:11:28,020 助けるのに 特に理由なんかないけど 190 00:11:30,398 --> 00:11:32,650 見つからないように こそっと出るよ 191 00:11:32,733 --> 00:11:35,820 見つかったら 骸骨にされるかもしれないからね 192 00:11:35,903 --> 00:11:37,446 骸骨? 193 00:11:38,197 --> 00:11:41,742 全く 人間ってのは理解できない 194 00:11:43,160 --> 00:11:44,787 ばかな生き物だな 195 00:11:45,579 --> 00:11:48,833 (鬼切(おにきり)) いや~ さすがは神具 打出(うちで)の小槌(こづち)じゃ 196 00:11:49,500 --> 00:11:52,586 大きくなったり小さくなったり 思いのままじゃ 197 00:11:52,711 --> 00:11:55,881 (虎徹(こてつ)) 金銀財宝も泉のごとくあふれるぞ 198 00:11:56,132 --> 00:11:59,135 (鬼切) しかし まだこれが社にあったとは 199 00:11:59,260 --> 00:12:00,261 鳴神姫(なるかみひめ)様から― 200 00:12:00,344 --> 00:12:03,597 大黒天様にお返しするように 預かっていたが― 201 00:12:03,722 --> 00:12:06,308 返してしまうのは もったいないの 202 00:12:06,642 --> 00:12:10,729 (虎徹) うむ 誰も見ておらぬし ここは ひとつ忘れたふりを… 203 00:12:10,855 --> 00:12:12,356 (犬の鳴き声) (虎徹・鬼切)うん? 204 00:12:16,318 --> 00:12:17,862 (鬼切) 巴衛殿! 205 00:12:18,154 --> 00:12:20,364 (虎徹) 大変でございます! 206 00:12:20,531 --> 00:12:22,283 (巴衛) 戻れ 気色悪い! 207 00:12:23,826 --> 00:12:26,912 (虎徹) 大変なのです 今 乙比古(おとひこ)様から知らせが来て 208 00:12:27,037 --> 00:12:29,373 (鬼切) 奈々生様が黄泉の国で行方不明に 209 00:12:29,748 --> 00:12:30,666 (巴衛) なっ… 210 00:12:32,293 --> 00:12:33,461 (巴衛)ど… (鬼切)どこにいるのか― 211 00:12:33,586 --> 00:12:35,754 皆目 見当がつかないご様子で 212 00:12:35,880 --> 00:12:37,548 (巴衛)み… (虎徹)瑞希(みずき)殿は別件で― 213 00:12:37,673 --> 00:12:40,342 奈々生様とは別行動なのだとか 214 00:12:40,634 --> 00:12:41,886 (巴衛) あの ばか! 215 00:12:42,011 --> 00:12:45,389 どうして 神議(かむはか)りに行かせたのに 黄泉になど行っているのだ 216 00:12:45,514 --> 00:12:48,851 黄泉など 地上の神でも めったに出入りしないものを… 217 00:12:48,976 --> 00:12:52,730 下手すれば 二度と 戻ってこられぬような場所だぞ 218 00:12:52,855 --> 00:12:53,939 二度と… 219 00:12:54,523 --> 00:12:55,274 (巴衛) 出かけるぞ 220 00:12:55,900 --> 00:12:57,318 支度をしろ 虎徹! 221 00:12:57,443 --> 00:12:59,778 (虎徹) はっ 黄泉へ行かれるのですか? 222 00:13:00,154 --> 00:13:03,032 もちろん あのばかを連れ戻す 223 00:13:04,074 --> 00:13:05,201 俺が 224 00:13:14,960 --> 00:13:17,087 (緋王(ひおう)) お待たせいたしましたにゃー イザナミ様 225 00:13:17,213 --> 00:13:18,923 こよいは人神様の歓迎会 226 00:13:19,048 --> 00:13:21,258 この緋王も 誠心誠意 お相手させて… 227 00:13:21,425 --> 00:13:22,635 (イザナミの泣き声) 228 00:13:22,760 --> 00:13:24,970 (緋王) イザナミ様 どうなさいましたにゃ 229 00:13:25,095 --> 00:13:28,224 (イザナミ) 奈々生が わらわをたばかり 男と逃げた 230 00:13:28,349 --> 00:13:29,016 (緋王) にゃ? 231 00:13:29,475 --> 00:13:33,646 (イザナミ) 捕まえてたも わらわの新しい遊び相手じゃ 232 00:13:33,854 --> 00:13:35,689 決して 逃すでない 233 00:13:35,814 --> 00:13:36,607 (緋王) ラニャー 234 00:13:41,320 --> 00:13:45,908 (イザナミ) 奈々生 そなた 本当に人ひとり 救えるのかの 235 00:13:46,033 --> 00:13:48,744 (奈々生) ハァー ここまで来れば もう大丈夫 236 00:13:49,203 --> 00:13:51,247 早く 地上に戻らなきゃね 237 00:13:51,372 --> 00:13:54,208 私も少しは 自分の通力(つうりき)に 自信ついてきたから― 238 00:13:54,875 --> 00:13:58,212 ここは白札君に 出口まで案内してもらいましょう 239 00:13:58,462 --> 00:13:59,213 ってことで… 240 00:14:00,005 --> 00:14:00,714 うん? 241 00:14:01,340 --> 00:14:03,592 霧仁 ちょっと どうしたの 242 00:14:03,717 --> 00:14:05,219 (霧仁) ただの めまいだ 243 00:14:05,344 --> 00:14:07,721 もしかして 体の具合が悪いんじゃない? 244 00:14:10,849 --> 00:14:13,269 黄泉の空気は 人体を腐敗させるって― 245 00:14:13,394 --> 00:14:14,520 乙比古が言ってたし 246 00:14:14,645 --> 00:14:16,605 (霧仁) そのことなら問題ない 247 00:14:17,356 --> 00:14:19,900 神の体の一部に 触れてさえいれば― 248 00:14:20,025 --> 00:14:23,362 黄泉の毒に侵されることはないと 分かったんでな 249 00:14:23,821 --> 00:14:27,241 お前が寝ていたときに 髪を一束もらっておいた 250 00:14:27,616 --> 00:14:29,994 そっか じゃあ よかった! って… 251 00:14:31,495 --> 00:14:32,371 (霧仁) おかげで お前と― 252 00:14:32,496 --> 00:14:35,124 おててをつないで 歩かなくて済んだ 253 00:14:35,249 --> 00:14:38,460 (奈々生) いいけど きつかったら 無理しないで言ってよね 254 00:14:39,211 --> 00:14:39,920 あっ! 255 00:14:40,629 --> 00:14:42,715 霧仁 追っ手が来た 256 00:14:42,840 --> 00:14:45,217 (スピーカー:緋王) あ… あー マイクテス マイクテス 257 00:14:46,051 --> 00:14:49,847 人神と人間 隠れているのは分かってるにゃん 258 00:14:50,347 --> 00:14:52,433 5分以内に出てこにゃければ― 259 00:14:52,600 --> 00:14:54,643 この イザナミ様付き神使 緋王が― 260 00:14:54,768 --> 00:14:57,938 森ごと お前たちを 焼き尽くしてくれるにゃん 261 00:14:59,189 --> 00:15:01,233 森ごと焼くということは― 262 00:15:01,525 --> 00:15:04,445 俺たちの位置は 特定できてないみたいだな 263 00:15:04,570 --> 00:15:05,779 早く逃げなきゃ 264 00:15:06,530 --> 00:15:10,618 お札さん お願い 地上への出口まで案内して 265 00:15:15,289 --> 00:15:18,542 そっと 静かに… 急げ! 266 00:15:18,876 --> 00:15:19,752 あっ… 267 00:15:19,877 --> 00:15:20,544 あっ! 268 00:15:23,672 --> 00:15:28,510 巴衛 私… どうしたらいい? 巴衛 269 00:15:29,386 --> 00:15:31,513 5分たった 火を放て 270 00:15:33,641 --> 00:15:34,516 (奈々生) 火が! 271 00:15:36,810 --> 00:15:38,520 むかいかぜ MAX! 272 00:15:40,564 --> 00:15:42,650 にゃーっ! 風向きが 273 00:15:43,108 --> 00:15:46,028 これで時間が稼げる 急ごう 霧仁 274 00:15:47,279 --> 00:15:50,074 どうしたらいいかなんて 言ってくれる人はいない 275 00:15:50,282 --> 00:15:52,868 ここには 私たち二人しかいないんだから 276 00:15:53,285 --> 00:15:55,454 私が何とかするしかない 277 00:15:58,415 --> 00:15:59,833 霧仁 どうしたの 278 00:15:59,959 --> 00:16:00,793 白札が― 279 00:16:01,210 --> 00:16:02,795 ここで止まっている 280 00:16:03,337 --> 00:16:05,506 私の通力が足りなかった? 281 00:16:05,631 --> 00:16:06,298 いや― 282 00:16:06,966 --> 00:16:09,093 この景色には見覚えがある 283 00:16:09,843 --> 00:16:11,845 俺たちが最初にいた場所 284 00:16:12,096 --> 00:16:14,723 ここが 黄泉津比良坂(よもつひらさか)の入り口付近だ 285 00:16:14,932 --> 00:16:17,101 えっ こんなに暗かったっけ? 286 00:16:17,226 --> 00:16:20,354 あのときは 地上の光が穴から漏れてたんだ 287 00:16:21,355 --> 00:16:24,108 穴の蓋を誰かが閉めやがった 288 00:16:24,650 --> 00:16:26,694 (講釈師) そのころ 地上サイド 289 00:16:27,111 --> 00:16:28,362 (巴衛) おい お前 290 00:16:28,737 --> 00:16:31,323 そこをどけ 下に用がある 291 00:16:32,241 --> 00:16:34,368 (戦神(いくさがみ)) 久しぶりだな きつね 292 00:16:34,743 --> 00:16:36,412 お前なんか知らん 293 00:16:36,870 --> 00:16:40,082 (戦神) 黄泉に行きたかったのか 残念だったな 294 00:16:40,457 --> 00:16:43,127 この穴は 俺が新しい結界岩で塞いだ 295 00:16:43,627 --> 00:16:47,589 (巴衛) 岩をどかせ 俺の主人が まだ中にいる 296 00:16:48,007 --> 00:16:51,927 あの娘が神だというなら 自力で出てこられよう 297 00:16:52,052 --> 00:16:53,595 神でなかったというなら― 298 00:16:54,138 --> 00:16:58,058 ただの人間だったというなら とっくに死んでいるだろう 299 00:16:58,183 --> 00:16:59,226 助けに行っても― 300 00:16:59,685 --> 00:17:00,853 無駄なことだ 301 00:17:00,978 --> 00:17:02,354 (巴衛) どけ! 302 00:17:06,775 --> 00:17:10,779 (戦神) 神使が神に 勝てると思っているのか きつね 303 00:17:12,071 --> 00:17:13,031 (虎徹) あっ! 304 00:17:14,700 --> 00:17:16,868 (戦神) おおかた あの娘を利用し― 305 00:17:16,993 --> 00:17:19,454 昔のように 好き勝手しているのだろう 306 00:17:19,913 --> 00:17:23,375 きつねは きつねらしく ここで もう一度 退治してやろう 307 00:17:23,500 --> 00:17:26,170 (虎徹) お待ちくださいませ 戦神様 308 00:17:26,420 --> 00:17:31,467 巴衛殿は それはそれは神使として 優秀なきつね様でございます 309 00:17:31,592 --> 00:17:33,761 どうか… どうか 310 00:17:33,886 --> 00:17:35,095 (巴衛) 虎徹 311 00:17:35,679 --> 00:17:40,100 この男の言うとおり 神使のままでは神には勝てん 312 00:17:40,225 --> 00:17:41,518 そうなっている 313 00:17:42,728 --> 00:17:47,191 (ミカゲ) 巴衛 これからは神使になって この社に住むといい 314 00:17:47,316 --> 00:17:50,444 社の精たちも きっと お前を歓迎してくれる 315 00:17:50,569 --> 00:17:54,990 (巴衛) 俺は妖怪だ そんな息苦しい所には住めない 316 00:17:55,115 --> 00:17:59,328 (ミカゲ) 大丈夫 神使の契約を結べば 苦もなく住める 317 00:17:59,453 --> 00:18:03,791 ただし 神使になるということは 黒も白に染められるということ 318 00:18:03,999 --> 00:18:06,543 神の制約を受けるということだ 319 00:18:07,044 --> 00:18:09,171 (虎徹) 分かりました 巴衛殿 320 00:18:09,922 --> 00:18:12,049 主人の後を追わせてやろう 321 00:18:12,674 --> 00:18:14,551 (虎徹) あやかしに戻られませ! 322 00:18:19,306 --> 00:18:21,266 たとえ 契約を解かれても― 323 00:18:21,391 --> 00:18:25,312 巴衛殿は 社の立派な神使様でございます 324 00:18:25,479 --> 00:18:27,773 ちっ! この化けぎつねめ! 325 00:18:28,232 --> 00:18:29,483 フッ 326 00:18:30,359 --> 00:18:32,361 (奈々生) 黄泉の穴 開いて! 327 00:18:36,907 --> 00:18:38,909 駄目? どうする… 328 00:18:39,034 --> 00:18:40,285 どうする! 329 00:18:44,957 --> 00:18:47,918 霧仁 できるだけ遠くに逃げて 330 00:18:48,043 --> 00:18:50,045 私が あいつらを 引きつけておくから 331 00:18:51,046 --> 00:18:52,256 どうやって 332 00:18:52,381 --> 00:18:55,008 (奈々生) 大丈夫 白札が1枚残ってる 333 00:18:55,717 --> 00:18:59,471 もう少しで地上に帰れるよ 頑張ろう 霧仁 334 00:19:00,722 --> 00:19:04,143 (霧仁) あいつ 札1枚で何ができる 335 00:19:05,227 --> 00:19:09,857 くそ! 頭がくらくらする どうなってんだ この体は 336 00:19:10,065 --> 00:19:12,192 このまま 引き下がるのは口惜しいが― 337 00:19:12,317 --> 00:19:15,070 とりあえず 今は 地上に戻って仕切り直しだ 338 00:19:15,404 --> 00:19:16,405 どちらにせよ― 339 00:19:16,530 --> 00:19:20,033 この髪で黄泉入りできるとなれば あの女は もう用済み 340 00:19:20,701 --> 00:19:23,996 (奈々生) もう少しで地上に帰れるよ 頑張ろう 霧仁 341 00:19:29,376 --> 00:19:33,255 できるだけ距離を取って 霧仁が逃げる時間を稼ぐ 342 00:19:33,380 --> 00:19:36,049 私が何とかしなきゃ 私が… 343 00:19:36,175 --> 00:19:37,759 (緋王)にゃーん (奈々生)あっ! 344 00:19:37,885 --> 00:19:38,927 見つけたにゃー! 345 00:19:40,512 --> 00:19:41,889 ふぎゃ! まぶしい! 346 00:19:43,932 --> 00:19:44,975 (奈々生) 光? 347 00:19:46,143 --> 00:19:46,935 あっ… 348 00:19:49,188 --> 00:19:50,314 (巴衛) 奈々生 349 00:19:51,732 --> 00:19:52,399 (奈々生) 巴衛 350 00:19:54,526 --> 00:19:56,111 会いたかった 351 00:19:58,614 --> 00:20:00,532 (巴衛)無事か (奈々生)うん 352 00:20:00,657 --> 00:20:03,035 よかった 心配したぞ 353 00:20:03,160 --> 00:20:05,162 (奈々生) 巴衛… 巴衛 354 00:20:07,247 --> 00:20:08,332 (緋王) にゃぎゃーっ! 355 00:20:08,707 --> 00:20:12,044 さあ 奈々生 神議りに欠席までして― 356 00:20:12,169 --> 00:20:14,504 お前が黄泉で 猫とじゃれてた理由を― 357 00:20:14,630 --> 00:20:16,924 この俺に説明してもらおうか 358 00:20:17,049 --> 00:20:19,468 (奈々生) 髪長い? 何か違う… 359 00:20:23,222 --> 00:20:24,848 (霧仁) 会いたかった 360 00:20:35,192 --> 00:20:37,736 会いたかった 巴衛 361 00:20:42,032 --> 00:20:44,368 (虎徹) もうすぐ 日が暮れてしまう 362 00:20:44,701 --> 00:20:48,497 巴衛殿は 無事 奈々生様とお会いできたろうか 363 00:20:50,415 --> 00:20:51,083 うん? 364 00:20:51,750 --> 00:20:53,794 (奈々生)虎徹君 (虎徹)奈々生様 365 00:20:56,672 --> 00:20:58,090 (虎徹) よく ご無事で 366 00:20:58,215 --> 00:21:00,842 (奈々生) 虎徹君も 来てくれてありがとう 367 00:21:01,551 --> 00:21:05,472 やっと帰ってきたんだ 霧仁と一緒に地上へ 368 00:21:08,684 --> 00:21:10,978 ちょ… ちょっ 何やってるの 巴衛! 369 00:21:11,103 --> 00:21:15,524 勢いで連れてきてやったが この男は 一体 何者だ 370 00:21:16,233 --> 00:21:20,153 人のようだが生気がない まるで 死人のようだ 371 00:21:20,529 --> 00:21:22,948 何なら もう一度 黄泉に落としても… 372 00:21:23,073 --> 00:21:23,865 おっ… 373 00:21:26,952 --> 00:21:29,663 (巴衛)奈々生 どうした (虎徹)奈々生様! 374 00:21:31,039 --> 00:21:32,541 (巴衛) 眠っている… 375 00:21:35,669 --> 00:21:37,421 この女は お前の何だ 376 00:21:39,172 --> 00:21:40,382 (虎徹) 巴衛殿 377 00:21:43,552 --> 00:21:44,219 で? 378 00:21:44,636 --> 00:21:46,722 助けてやった礼がこれか 379 00:21:46,847 --> 00:21:47,931 まさか 380 00:21:48,432 --> 00:21:50,809 こんなことで礼などし尽くせねえ 381 00:21:50,934 --> 00:21:52,811 だが 俺も疲れた 382 00:21:53,812 --> 00:21:55,897 今日のところは ここまでだ 383 00:21:56,064 --> 00:21:58,817 (紋次郎(もんじろう))またな (菊一)またな 384 00:21:59,359 --> 00:22:01,361 式神か フンッ 385 00:22:01,486 --> 00:22:03,739 (虎徹) 巴衛殿 あの者は一体 386 00:22:03,864 --> 00:22:05,907 くだらん 放っておけ 387 00:22:06,450 --> 00:22:09,411 大社に行くぞ 奈々生を運ばねばならん 388 00:22:09,536 --> 00:22:10,203 (虎徹) はい 389 00:22:15,751 --> 00:22:17,419 (霧仁) この女は お前の何だ 390 00:22:20,922 --> 00:22:23,258 (虎徹) 巴衛殿 どうなされた 391 00:22:24,134 --> 00:22:24,968 (巴衛) いや― 392 00:22:26,261 --> 00:22:27,512 何でもない 393 00:22:27,637 --> 00:22:32,642 ♪~ 394 00:23:34,955 --> 00:23:39,960 ~♪ 395 00:23:40,877 --> 00:23:42,379 (講釈師) 黄泉から戻った奈々生 396 00:23:42,504 --> 00:23:43,797 妖怪に戻った巴衛 397 00:23:43,922 --> 00:23:46,925 ああ 二人の間には 見えない壁が立ちはだかる 398 00:23:47,050 --> 00:23:50,428 それが二人を分かつとも この気持ちだけは止められぬ 399 00:23:50,554 --> 00:23:53,223 次回「神様、二度目の告白をする」 400 00:23:53,306 --> 00:23:54,975 何度だって言っちゃうんだから