1 00:00:01,584 --> 00:00:02,502 (二郎(じろう)) 天女か 2 00:00:04,379 --> 00:00:05,422 (奈々生(ななみ)) あ… あの… 3 00:00:07,590 --> 00:00:08,758 (二郎) 何者だ 4 00:00:08,883 --> 00:00:12,929 ここは 女人禁制の聖なる山 誰の許しを得て入山した 5 00:00:13,430 --> 00:00:14,681 (奈々生) 女人禁制? 6 00:00:16,349 --> 00:00:19,436 それで こんなに怒ってるんだ 7 00:00:20,311 --> 00:00:23,231 す… すみません 私 そんなつもりじゃ… 8 00:00:23,356 --> 00:00:24,399 すぐ 下山します 9 00:00:24,649 --> 00:00:26,067 (二郎)待て! (奈々生)うっ 10 00:00:27,068 --> 00:00:29,487 この桜を咲かせたのは お前か 11 00:00:29,738 --> 00:00:31,573 何の目的で ここへ来た 12 00:00:31,698 --> 00:00:32,741 痛い 13 00:00:32,991 --> 00:00:34,200 名は何という 14 00:00:34,784 --> 00:00:36,661 答えねば 腕をへし折るぞ 15 00:00:39,539 --> 00:00:44,544 ♪~ 16 00:02:03,248 --> 00:02:08,252 ~♪ 17 00:02:10,255 --> 00:02:11,881 (天狗(てんぐ)) 二郎様! 18 00:02:13,133 --> 00:02:14,134 (奈々生) 二郎? 19 00:02:14,551 --> 00:02:17,887 こいつが 牡丹丸(ぼたんまる)君に けがをさせた ろくでなし? 20 00:02:19,139 --> 00:02:20,890 (二郎)うっ (護(まもる)の鳴き声) 21 00:02:22,976 --> 00:02:25,353 (二郎) くっ 待て… 22 00:02:34,237 --> 00:02:36,281 (天狗) 二郎様 ここに いらっしゃったのですか 23 00:02:36,906 --> 00:02:38,825 そろそろ 道場にお戻りに… 24 00:02:38,950 --> 00:02:40,994 うん? いかがされました 25 00:02:44,998 --> 00:02:49,085 女の腕というのは 随分 細いのだな 26 00:02:55,508 --> 00:02:58,011 (奈々生) 何なの なんて凶暴な天狗なの 27 00:02:58,511 --> 00:03:03,266 (千代丸(ちよまる)) 二郎兄が 四代目になられて 本当に お山は大丈夫になるのかな 28 00:03:03,516 --> 00:03:05,685 (奈々生) 大丈夫なわけないじゃん 29 00:03:06,769 --> 00:03:09,272 (巴衛(ともえ))長い便所だったな (奈々生)あ… 30 00:03:10,773 --> 00:03:13,526 (巴衛) 一体 どこで 道草を食っていたのだ 31 00:03:15,361 --> 00:03:16,279 巴衛… 32 00:03:19,574 --> 00:03:20,241 どうした 33 00:03:21,743 --> 00:03:24,621 震えてるぞ 何があった 34 00:03:25,955 --> 00:03:29,292 (奈々生) 震えてる… 私が? 35 00:03:30,877 --> 00:03:34,589 足が すくまなくて よかった 36 00:03:35,298 --> 00:03:36,466 (翠郎(すいろう)) 二郎に会った? 37 00:03:36,841 --> 00:03:39,260 それで けがなどは しなかっただろうか 38 00:03:39,385 --> 00:03:41,262 (奈々生) あの… 会ったのは私です 39 00:03:41,888 --> 00:03:44,265 腕をつかまれただけで済んだけど… 40 00:03:44,432 --> 00:03:47,310 このお山は 女人禁制だったんですね 41 00:03:47,477 --> 00:03:50,063 私 知らなくて あちこち 歩いてきちゃいました 42 00:03:50,438 --> 00:03:52,732 よかった 大事がなくて 43 00:03:52,941 --> 00:03:54,108 (奈々生) 私 こっち! 44 00:03:54,442 --> 00:03:55,985 話には聞いていたが― 45 00:03:56,110 --> 00:03:59,113 随分 乱暴な男なのだな 二郎とやらは 46 00:03:59,489 --> 00:04:02,408 昔から 粗野で 不器用な男なのだが― 47 00:04:02,617 --> 00:04:03,993 私が うかつだった 48 00:04:04,369 --> 00:04:06,996 すぐに 別のかわやを用意させよう 49 00:04:07,622 --> 00:04:10,416 あー! 翠郎さん どうして 私のほう 見てくれないんですか 50 00:04:10,541 --> 00:04:12,418 (奈々生)あ… (翠郎)あ… 51 00:04:15,463 --> 00:04:18,048 あっ それは申し訳なかった 52 00:04:18,173 --> 00:04:23,221 何分 ここでの生活が長く 女人の扱いに慣れていないのだ 53 00:04:23,638 --> 00:04:26,557 特に あなたのような 美しい娘には… 54 00:04:26,683 --> 00:04:30,186 (奈々生) なぜか この人に言われても 全然 うれしくないわね 55 00:04:30,520 --> 00:04:33,064 それで トイレ 貸してくれなかったんですか 56 00:04:33,273 --> 00:04:36,359 女人は 美しい水洗かわやが いいと思ってね 57 00:04:36,484 --> 00:04:38,069 うちは くみ取りだから 58 00:04:38,194 --> 00:04:39,237 (鞍馬(くらま)) ごちそうさま 59 00:04:39,654 --> 00:04:44,284 (鞍馬) そんなことより 翠郎兄 お山の問題の件 話し合わないか 60 00:04:44,534 --> 00:04:48,538 (翠郎) ほう 漬物も 残らず 食べているじゃないか 真寿郎(しんじゅろう) 61 00:04:48,663 --> 00:04:50,873 酢漬けも 食べられるようになったのだな 62 00:04:50,999 --> 00:04:53,209 (奈々生) あっ おいしいです このお漬物 63 00:04:53,626 --> 00:04:56,254 それは 子供のころの話だろう 64 00:04:56,421 --> 00:04:58,923 それより おやじ殿の病気のことだよ 65 00:05:00,008 --> 00:05:00,883 (鞍馬) 奈々生が 出雲(いずも)で― 66 00:05:01,009 --> 00:05:04,095 薬神から もらってきた霊薬 桃丹(ももたん)だ 67 00:05:04,220 --> 00:05:07,807 これをのめば おやじ殿の病も治るかもしれない 68 00:05:08,182 --> 00:05:10,560 これを おやじ殿に のんでいただくんだ 69 00:05:10,685 --> 00:05:13,896 おやじ殿が健在なら お山も 元に戻る 70 00:05:14,022 --> 00:05:16,065 二郎兄の継承だって なくなるだろう? 71 00:05:16,524 --> 00:05:19,235 これが 霊薬 桃丹だというのなら― 72 00:05:19,360 --> 00:05:22,113 僧正坊(そうじょうぼう)の病にも効くかもしれない 73 00:05:23,239 --> 00:05:26,034 だが これを 僧正坊に届けることはできないよ 74 00:05:28,953 --> 00:05:32,373 僧正坊が お倒れになったのは 2か月ほど前 75 00:05:32,498 --> 00:05:36,544 以来 道場 敷地内の どこかの宮に お隠れになっている 76 00:05:36,878 --> 00:05:39,505 公務は 道場長の 二郎が取りしきっていて― 77 00:05:39,630 --> 00:05:43,968 場内の警備は厳重だ 部外者は立ち入ることができない 78 00:05:44,093 --> 00:05:47,305 お前も 道場を出された私もね 79 00:05:48,014 --> 00:05:50,767 内部者に 薬を託すことはできるが― 80 00:05:50,892 --> 00:05:53,561 恐らく 僧正坊の手には届くまい 81 00:05:53,770 --> 00:05:55,563 二郎に握り潰されるだけだ 82 00:05:56,314 --> 00:05:58,024 (二郎)フンッ! (奈々生)目に浮かぶわ 83 00:05:59,817 --> 00:06:01,861 (翠郎) まあ あまり思い詰めるな 真寿郎 84 00:06:02,487 --> 00:06:04,697 物事は どうにかなっていくものだよ 85 00:06:04,822 --> 00:06:06,365 りんごでも食べるといい 86 00:06:06,491 --> 00:06:09,035 (鞍馬) じゃあ 翠郎兄は このままでいいのかよ 87 00:06:09,660 --> 00:06:12,163 俺が 二郎兄に 話をつけてくる! 88 00:06:12,288 --> 00:06:14,582 おやじ殿に 直接 会わせてもらうんだ! 89 00:06:14,916 --> 00:06:16,667 (翠郎) 駄目だ 危ない 90 00:06:16,793 --> 00:06:18,836 そんなこと お前には させられないよ 91 00:06:18,961 --> 00:06:20,505 翠郎兄 92 00:06:22,298 --> 00:06:24,175 俺は もう 子供じゃない 93 00:06:24,300 --> 00:06:28,012 ここに来たのだって 俺にも 何かできると思ったからだ 94 00:06:28,137 --> 00:06:29,639 もう 昔と違う 95 00:06:30,223 --> 00:06:31,307 (奈々生) 鞍馬… 96 00:06:36,479 --> 00:06:40,358 (翠郎)いや お前には まだ無理だ (鞍馬)な… 何で… 97 00:06:40,650 --> 00:06:42,902 (教育係)真寿郎! (一同)あっ 98 00:06:43,027 --> 00:06:45,571 (教育係) よくぞ 鞍馬に戻ってきた! 99 00:06:45,780 --> 00:06:48,658 おおっ! なんと立派に育ったことか 100 00:06:48,783 --> 00:06:50,451 えっと 誰だっけ 101 00:06:50,660 --> 00:06:52,370 (教育係)わしだ (鞍馬)ああ… 102 00:06:52,787 --> 00:06:55,832 (牡丹丸) 私が 真寿郎様のご帰郷を お知らせしたのです 103 00:06:55,957 --> 00:06:58,042 (大兄たち) 真寿郎 真寿郎… 104 00:06:58,167 --> 00:07:01,212 (教育係) 真寿郎は 四代目 僧正坊を 継ぐために帰ってきたのだ 105 00:07:01,337 --> 00:07:02,713 そうであろう? 真寿郎 106 00:07:03,214 --> 00:07:07,093 えっ? 待てよ 誰が そんなこと言ったんだ 107 00:07:07,218 --> 00:07:09,178 (教育係) 僧正坊は もう お年だ 108 00:07:09,303 --> 00:07:11,973 (大兄1) 今 持ちこたえたとしても 先のことは分からん 109 00:07:12,098 --> 00:07:14,600 (大兄2) 後継者の問題は 避けて通れぬ 110 00:07:14,934 --> 00:07:16,310 (鞍馬) ああ… 111 00:07:16,811 --> 00:07:22,066 真寿郎 全ては お山のため まさか 嫌とは言うまい 112 00:07:22,191 --> 00:07:25,236 (鞍馬) 嫌だ 俺は 四代目なんか… 113 00:07:26,571 --> 00:07:27,238 あ… 114 00:07:33,661 --> 00:07:35,663 (翠郎) もう その辺で 大兄がた 115 00:07:36,247 --> 00:07:39,625 真寿郎は 久しぶりの帰省で まだ 疲れています 116 00:07:39,750 --> 00:07:41,669 込み入った話は また 後日に 117 00:07:41,961 --> 00:07:45,256 (教育係)うん… (大兄1)そうじゃな 118 00:07:51,137 --> 00:07:54,932 (翠郎) 真寿郎 お前が思い詰める必要はないよ 119 00:07:56,225 --> 00:07:57,143 真寿郎? 120 00:07:57,518 --> 00:08:02,190 (鞍馬) 悪い 翠郎兄 俺 少し 頭を冷やしてくる 121 00:08:04,192 --> 00:08:06,235 大丈夫かな 鞍馬 122 00:08:06,360 --> 00:08:09,071 (巴衛) 四代目になるのが 嫌なのだろう 123 00:08:09,197 --> 00:08:13,868 (翠郎) 無理もない あれは 17年も 下界で生きていたのだから 124 00:08:14,952 --> 00:08:16,162 土地神殿 125 00:08:16,287 --> 00:08:20,291 この桃丹 僧正坊のため 少し分けていただくが… 126 00:08:20,958 --> 00:08:22,960 あなたがたは 真寿郎と一緒に― 127 00:08:23,085 --> 00:08:25,671 あしたの早朝 山を下りていただきたい 128 00:08:26,339 --> 00:08:28,799 面倒事に巻き込まれる前に 129 00:08:30,259 --> 00:08:32,428 面倒事なんて 今更です 130 00:08:32,553 --> 00:08:36,724 私たちは 鞍… 真寿郎の加勢に来たんですから 131 00:08:37,350 --> 00:08:39,434 彼が帰ると言うまで 帰りません 132 00:08:42,730 --> 00:08:45,483 正門で 真寿郎と再会したとき― 133 00:08:45,816 --> 00:08:48,444 女人のあなたを 連れていたのを見て― 134 00:08:48,569 --> 00:08:51,822 もう あれは 私の知っていた 子供ではないと気付きました 135 00:08:53,074 --> 00:08:56,577 あれの体は もう お山だけで出来ているのではない 136 00:08:57,828 --> 00:09:01,582 捨てられないものを 下界に たくさん置いてきていることだろう 137 00:09:02,959 --> 00:09:06,128 今更 お山の一部になれとは言えぬ 138 00:09:08,631 --> 00:09:10,800 真寿郎の性格をご存じか 139 00:09:10,925 --> 00:09:12,635 (翠郎)土地神殿 (奈々生)えっ? 140 00:09:13,010 --> 00:09:15,054 (翠郎) 何でも 一人で背負い込む 141 00:09:15,263 --> 00:09:18,683 自分の手に負えないことでも かまわず むちゃをして― 142 00:09:18,808 --> 00:09:21,018 誰かに甘えることができない 143 00:09:22,103 --> 00:09:25,398 小さいころから ずっと一緒にいる私にさえ― 144 00:09:25,523 --> 00:09:27,942 助けを求めたことはないのです 145 00:09:28,234 --> 00:09:32,238 だから せめて 重荷を背負わなくて済むように― 146 00:09:32,363 --> 00:09:34,824 いつも 後ろから見守っていた 147 00:09:35,491 --> 00:09:38,035 あれが 四代目を 背負ってしまう前に― 148 00:09:38,160 --> 00:09:40,121 連れて帰ってやってください 149 00:09:44,750 --> 00:09:47,420 (巴衛)お前には無理だな (鞍馬)あっ あ… 150 00:09:47,920 --> 00:09:49,046 声をかけられるまで― 151 00:09:49,171 --> 00:09:52,091 後ろを取られていることに 気付かんようでは― 152 00:09:52,258 --> 00:09:54,885 とても あの道場に 一人で侵入など 153 00:09:55,886 --> 00:09:59,098 俺も同じことを 考えていたところだよ 154 00:10:00,266 --> 00:10:03,769 こんなに離れていても 道場のプレッシャーを感じる 155 00:10:04,312 --> 00:10:07,148 結界も 二重 三重の抜かりなさだ 156 00:10:09,317 --> 00:10:11,944 翠郎兄に 帰れって言われたんだろう? 157 00:10:12,069 --> 00:10:12,987 (巴衛) さあ 158 00:10:13,321 --> 00:10:17,783 でかいこと言っといて その実 何の覚悟も出来てなかった 159 00:10:18,075 --> 00:10:22,204 翠郎兄にも見透かされて 格好悪すぎて死にそうだ 160 00:10:22,955 --> 00:10:25,416 (巴衛) で… どうしたいのだ お前は 161 00:10:28,711 --> 00:10:30,755 (奈々生)鞍馬! (鞍馬)ぐおっ! 162 00:10:31,255 --> 00:10:34,967 (奈々生)で… 次 どうしよっか (鞍馬)あ… 163 00:10:40,473 --> 00:10:44,560 道場に潜入して おやじ殿に 薬を渡したい 164 00:10:45,478 --> 00:10:48,397 力を貸してくれない… 165 00:10:49,398 --> 00:10:53,027 えっ? 力を何… 風が強くて聞こえなかった 166 00:10:53,152 --> 00:10:55,696 (奈々生)もう一回 (鞍馬)ああ… うるせえな 167 00:10:55,821 --> 00:10:56,989 何も言ってねえよ 168 00:10:57,448 --> 00:11:00,409 (奈々生) ねえ 巴衛 何て言ったの 何て言ったの 169 00:11:00,534 --> 00:11:02,495 (巴衛) “力を貸してくれ”だと 170 00:11:02,620 --> 00:11:05,164 (奈々生) 何それ 当たり前じゃん 171 00:11:14,382 --> 00:11:17,134 (文丸(ふみまる)) 兄者 兄者 もう一度だけ 172 00:11:17,635 --> 00:11:19,136 (兄天狗) 悪いな 文丸 173 00:11:19,261 --> 00:11:21,764 道場に 惰弱な天狗は 置いておけないという― 174 00:11:21,889 --> 00:11:23,432 二郎様の方針だ 175 00:11:23,682 --> 00:11:25,142 (文丸のおびえる声) (兄天狗)外で暮らすか― 176 00:11:25,267 --> 00:11:26,936 山を下りて 生きるがいい 177 00:11:29,188 --> 00:11:32,024 (千代丸) 宇佐(うさ)兄に続いて 文兄まで… 178 00:11:32,191 --> 00:11:33,859 優しい兄者だったのに… 179 00:11:33,984 --> 00:11:36,612 (千代丸のすすり泣き) (竹丸)泣くな 千代丸 180 00:11:36,737 --> 00:11:39,657 泣いているところを見つかったら お前も追い出されるぞ 181 00:11:40,282 --> 00:11:43,160 (竹丸) 俺らも大人になったら 容赦なく とう汰される 182 00:11:43,702 --> 00:11:46,705 三代目が ご健在のころは こんなんじゃなかった 183 00:11:46,831 --> 00:11:50,251 おれも 8つになったら 絶対 追放される 184 00:11:50,418 --> 00:11:52,420 (橙丸(だいだいまる))大丈夫じゃ 兄者 (千代丸・竹丸)うん? 185 00:11:53,087 --> 00:11:55,423 (橙丸) 三代目は すぐ お元気になる 186 00:11:55,548 --> 00:11:59,135 天女のお姉ちゃんが そう言ってたから 大丈夫じゃ 187 00:12:01,387 --> 00:12:02,721 お姉ちゃん 188 00:12:03,180 --> 00:12:05,975 万年桜を咲かせた お姉ちゃん 189 00:12:06,434 --> 00:12:09,353 きれいで あったかくて― 190 00:12:09,478 --> 00:12:13,607 お姉ちゃんのことを思い出すと 心が ほぐれる 191 00:12:14,525 --> 00:12:15,943 温かくなる 192 00:12:18,070 --> 00:12:18,946 (夜鳥(やとり)) 二郎殿 193 00:12:19,488 --> 00:12:22,116 また 天狗が一羽 いなくなったそうで 194 00:12:22,241 --> 00:12:24,660 ここも 随分 寂しくなりましたね 195 00:12:25,035 --> 00:12:29,290 力のない者 精神的に弱い者は ここには不要 196 00:12:29,623 --> 00:12:31,709 強い天狗だけを選んで残す 197 00:12:32,251 --> 00:12:35,296 それより この宮には 結界を敷いていたはず 198 00:12:35,463 --> 00:12:37,339 貴様 どこから入り込んだ 199 00:12:37,465 --> 00:12:39,800 (夜鳥) そうそう その結界のことですが… 200 00:12:40,301 --> 00:12:43,679 (夜鳥) 穴だらけでしたよ どうしたんです らしくない 201 00:12:44,138 --> 00:12:46,390 結界の乱れは 心の乱れ 202 00:12:46,515 --> 00:12:49,393 少し 心が乱れているのでは? 二郎殿 203 00:12:57,234 --> 00:13:01,363 おおっ 見事な結界 さすがは 二郎殿でございます 204 00:13:01,489 --> 00:13:04,742 (夜鳥)ううっ! (二郎)俺の心が乱れているだと? 205 00:13:04,867 --> 00:13:06,911 (夜鳥) まさか とんでもございません 206 00:13:07,036 --> 00:13:09,038 当然だ 消えろ! 207 00:13:09,830 --> 00:13:12,625 (二郎) 俺の精神は 鋼のごとく強く― 208 00:13:12,750 --> 00:13:15,294 何者にも 揺るがされることはない 209 00:13:16,212 --> 00:13:19,048 こざかしい あの女人め 210 00:13:20,633 --> 00:13:22,676 名は何というのか 211 00:13:26,138 --> 00:13:27,556 同じ部屋? 212 00:13:27,890 --> 00:13:30,893 しかたないでしょう あんたが 神使だって言うから… 213 00:13:31,018 --> 00:13:33,521 翠郎さんが わざわざ 気を利かせてくれたの 214 00:13:34,188 --> 00:13:35,898 わがまま言わないでよね 215 00:13:36,023 --> 00:13:38,943 私だって 着替えも自由にできないし― 216 00:13:39,485 --> 00:13:41,529 いろいろ面倒くさいんだから 217 00:13:44,740 --> 00:13:46,700 やれやれ 危ないところだった 218 00:13:46,825 --> 00:13:49,828 (奈々生) 誰が危ないのよ 危ないのは あんただっての! 219 00:13:49,954 --> 00:13:51,539 この前みたいに 押し倒されないように― 220 00:13:51,664 --> 00:13:52,998 いっぱい着込んで寝よう 221 00:13:53,123 --> 00:13:54,083 そうしろ 222 00:13:54,208 --> 00:13:57,503 お前は寝相が悪くて よく 裾が めくれ上がるからな 223 00:13:57,628 --> 00:13:59,338 何 見てんのよ スケベぎつね! 224 00:13:59,463 --> 00:14:01,006 見たくて見たんじゃない 225 00:14:01,674 --> 00:14:05,511 俺は お前が目の届く所にいれば それでいい 226 00:14:06,720 --> 00:14:07,680 えっ? 227 00:14:10,849 --> 00:14:12,268 だから 安心しろ 228 00:14:12,726 --> 00:14:16,522 お前の着物が乱れようと 俺の心は 何ら 乱れんよ 229 00:14:18,107 --> 00:14:20,359 (奈々生) なんて嫌な きつねなの 230 00:14:20,484 --> 00:14:21,777 (鞍馬) 起きてるか? お前ら 231 00:14:22,194 --> 00:14:24,655 翠郎兄に 道場の地図をもらった 232 00:14:24,780 --> 00:14:26,532 いよいよ 明日 侵入するぞ 233 00:14:26,907 --> 00:14:28,075 おお… 234 00:14:29,159 --> 00:14:31,620 (鞍馬) 道場は 強い結界に包まれていて― 235 00:14:31,745 --> 00:14:35,291 中に入るには 客として 招き入れてもらうしかない 236 00:14:35,416 --> 00:14:37,001 恐らく 道場内には― 237 00:14:37,126 --> 00:14:40,129 更に強力な結界が 幾重にも張られている 238 00:14:40,546 --> 00:14:43,257 術者は 道場長の二郎兄だ 239 00:14:43,507 --> 00:14:45,926 宮中に入り込んだら 二手に分かれて― 240 00:14:46,051 --> 00:14:49,597 一方が この薬用酒で 二郎兄を酔わせているうちに― 241 00:14:49,722 --> 00:14:51,765 もう一方が おやじ殿を見つける 242 00:14:52,099 --> 00:14:54,727 さっさと 二郎をやってしまえば早かろう 243 00:14:54,852 --> 00:14:58,814 駄目だ 道場の連中を 誰も傷つけたくない 244 00:14:58,939 --> 00:14:59,732 で… 問題は― 245 00:14:59,857 --> 00:15:03,611 二郎兄側に どうやって 招き入れてもらうかなんだよな 246 00:15:04,069 --> 00:15:06,405 あ… あの 真寿郎様 247 00:15:06,530 --> 00:15:08,866 何だ まだ いたのかよ 牡丹丸 248 00:15:09,199 --> 00:15:14,538 わ… 私も… どうか 私にも お手伝いさせてください! 249 00:15:16,415 --> 00:15:17,875 (奈々生) 牡丹丸君 250 00:15:19,168 --> 00:15:22,004 駄目だ お前は 翠郎兄と ここにいろ 251 00:15:22,713 --> 00:15:25,716 何かあっても かばってやれるとは限らねえから 252 00:15:27,259 --> 00:15:29,637 でも 鞍馬 私たち 二手に分かれるなら― 253 00:15:29,762 --> 00:15:31,055 仲間は多いほうが… 254 00:15:31,180 --> 00:15:31,972 そう それと― 255 00:15:32,097 --> 00:15:35,476 誰が 二郎の相手をして 誰が おやじ殿を捜すかだが… 256 00:15:35,851 --> 00:15:39,396 もちろん 俺は 奈々生と一緒に 僧正坊を捜す 257 00:15:39,521 --> 00:15:40,606 神使だからな 258 00:15:41,065 --> 00:15:43,525 お前は一人で 二郎とやらを足止めしてろ 259 00:15:43,651 --> 00:15:44,485 一人で? 260 00:15:44,818 --> 00:15:46,236 え… いやいや 待て待て 261 00:15:46,362 --> 00:15:49,573 もっと 柔軟に 物事を考えようぜ きつね 262 00:15:49,698 --> 00:15:51,992 奈々生は 二郎とやらに 顔が割れてる 263 00:15:52,326 --> 00:15:55,663 し… 真寿郎様 私に お供をさせてください 264 00:15:55,788 --> 00:15:57,164 駄目だっつってんだろ! 265 00:15:58,207 --> 00:15:59,667 (奈々生) 牡丹丸君 頑張って 266 00:15:59,792 --> 00:16:02,503 (鞍馬)この くそぎつね (巴衛)天狗の相手は 天狗がしろ 267 00:16:02,920 --> 00:16:06,382 奈々生は あほうだから 俺が付いていないと駄目なのだ 268 00:16:06,840 --> 00:16:08,968 (奈々生) 何 決め顔で 人の悪口 言ってんのよ 269 00:16:09,093 --> 00:16:10,844 付いてくれなくて結構です 270 00:16:11,553 --> 00:16:12,721 私は― 271 00:16:13,973 --> 00:16:17,309 牡丹丸君と二人で 僧正坊さんを捜す 272 00:16:17,935 --> 00:16:21,063 巴衛と 鞍馬は 二人で 二郎の気を引いといてね 273 00:16:21,397 --> 00:16:23,524 (鞍馬)何を言ってる (奈々生)それにね― 274 00:16:23,983 --> 00:16:26,026 私 いい案 思いついちゃったの 275 00:16:26,151 --> 00:16:28,696 二郎に招き入れてもらえる 取って置きの案 276 00:16:28,988 --> 00:16:31,782 (奈々生)ウフフ… (巴衛・鞍馬)ああ… 277 00:16:36,578 --> 00:16:38,580 (巴衛) 奈々生の あほうめ 278 00:16:39,289 --> 00:16:42,543 何を言いだすかと思えば どこが いい案だ 279 00:16:42,876 --> 00:16:46,005 あいつが にやにやしているときは ろくなことを言わない 280 00:16:46,130 --> 00:16:47,172 (物音) 281 00:16:52,678 --> 00:16:53,971 (巴衛) またか 282 00:17:02,312 --> 00:17:04,189 こんな小娘の― 283 00:17:04,815 --> 00:17:07,192 一体 どこに ほれたのか 284 00:17:08,402 --> 00:17:09,569 (奈々生)トイレ (巴衛)う… 285 00:17:10,069 --> 00:17:12,321 (奈々生) トイレ トイレ… 286 00:17:12,489 --> 00:17:13,531 (ぶつかる音) (奈々生)あっ 287 00:17:14,282 --> 00:17:15,742 (障子を開ける音) 288 00:17:16,410 --> 00:17:17,744 (巴衛) 奈々生のやつ― 289 00:17:17,869 --> 00:17:20,622 昼間は あんなに震えていたくせに 290 00:17:21,749 --> 00:17:25,502 私は 牡丹丸君と二人で行くから あとは よろしくね 291 00:17:26,127 --> 00:17:26,878 真っ暗だからって― 292 00:17:27,003 --> 00:17:29,214 どさくさに紛れて セクハラしないでよ 293 00:17:29,548 --> 00:17:30,799 するか! 294 00:17:34,928 --> 00:17:35,846 くそ! 295 00:17:36,138 --> 00:17:38,724 黙って 俺に守られていればいいのに 296 00:17:39,850 --> 00:17:43,771 俺がしてやれることは それしかないのだから 297 00:17:50,819 --> 00:17:52,529 う… うん? 298 00:17:52,738 --> 00:17:55,532 あっ おい お前の布団 あっち 299 00:17:58,952 --> 00:18:03,957 ♪~ 300 00:18:13,967 --> 00:18:18,972 ~♪ 301 00:18:19,098 --> 00:18:23,268 (巴衛) 目の届く所にいれば それでいい 302 00:18:26,522 --> 00:18:29,733 だから 安心しろ 俺の心は… 303 00:18:30,317 --> 00:18:33,529 何ら 乱れることはなかったはず 304 00:18:34,321 --> 00:18:36,865 と… 巴衛 何で 布団の中にいるのよ 305 00:18:36,990 --> 00:18:39,243 (巴衛) お前の布団は あっちだ 306 00:18:39,576 --> 00:18:41,995 あっ! し… 失礼しました 307 00:18:42,454 --> 00:18:45,791 あ… うわっ びっくりした びっくりした 308 00:18:45,874 --> 00:18:48,335 (鼓動) 309 00:18:49,294 --> 00:18:54,591 でも 何か 抱き締められたような 気がするんだけど… 310 00:18:55,050 --> 00:18:55,843 気のせい? 311 00:18:56,677 --> 00:18:57,928 それとも… 312 00:19:08,730 --> 00:19:10,315 (鞍馬) 不始末だな きつね 313 00:19:10,607 --> 00:19:11,900 俺の神使のくせに― 314 00:19:12,025 --> 00:19:15,028 支度も手伝わねえで 今頃 起きてくるとは 315 00:19:15,362 --> 00:19:18,365 鞍馬 神様っぽく見えるよ 邪悪な 316 00:19:18,490 --> 00:19:19,241 (鞍馬) まあな 317 00:19:19,783 --> 00:19:20,659 里を出た天狗が― 318 00:19:20,784 --> 00:19:24,163 土地神になって帰ってきたなんて 荒唐無稽(こうとうむけい)な話 319 00:19:24,288 --> 00:19:27,457 これくらい はったり効かさなきゃ 通用しないからな 320 00:19:27,875 --> 00:19:29,877 仮統領の二郎兄とはいえ― 321 00:19:30,002 --> 00:19:33,463 神籍にあずかった同胞を ないがしろにはできない 322 00:19:33,714 --> 00:19:36,967 最上級の客人として 迎えてもらおうぜ 323 00:19:37,551 --> 00:19:40,012 いざ 鞍馬本道場に参る 324 00:19:40,387 --> 00:19:41,722 と… その前に― 325 00:19:41,847 --> 00:19:43,140 本当に 土地神の力が― 326 00:19:43,265 --> 00:19:45,726 効くかどうか 試してみてもいいか きつね 327 00:19:46,018 --> 00:19:48,937 やってみろ 自分の命が惜しくなければな 328 00:19:49,354 --> 00:19:51,440 よし! 猫のまねして その場で 3回 回って― 329 00:19:51,565 --> 00:19:53,275 ニャーと鳴きやがれ 330 00:19:57,613 --> 00:20:00,115 奈々生の代理札 まじ すげえ 331 00:20:00,240 --> 00:20:02,409 これが 言霊縛りってやつか 332 00:20:02,784 --> 00:20:05,621 鞍馬 お札 ちゃんと 服の中に貼って 333 00:20:05,746 --> 00:20:08,165 二人とも ふざけないで 気を引き締めて行きましょう 334 00:20:08,540 --> 00:20:11,585 (巴衛) ふざけてるのは お前だ 何だ その格好は 335 00:20:11,710 --> 00:20:13,003 しかたないでしょう 336 00:20:13,128 --> 00:20:15,589 翠郎さんが 女だって ばれないようにしろって 337 00:20:15,714 --> 00:20:16,548 (巴衛) 大体 お前が― 338 00:20:16,673 --> 00:20:19,301 余計な提案なぞするから 俺は天狗に 339 00:20:19,426 --> 00:20:20,886 そんなことより 巴衛 340 00:20:21,303 --> 00:20:23,639 (奈々生)昨日のことなんだけど (巴衛)う… 341 00:20:24,514 --> 00:20:28,435 暗かったし 寝ぼけてたから 違うかもしれないけど― 342 00:20:28,894 --> 00:20:32,439 巴衛 あのとき 私のこと 抱き締めてなかった? 343 00:20:32,773 --> 00:20:34,691 もしかして 巴衛ったら 私のこと… 344 00:20:34,816 --> 00:20:37,444 (巴衛) すまん 俺も寝ぼけていて… 345 00:20:38,028 --> 00:20:40,280 お前を 茶屋のタヌコと間違えた 346 00:20:40,405 --> 00:20:43,825 ちょうど 茶屋遊びをしている 夢を見ていたのだ 347 00:20:44,034 --> 00:20:47,454 お前の触り心地のない 胸のおかげで 我に返ったよ 348 00:20:47,871 --> 00:20:51,750 だから 別に お前を好きで触ったんじゃない 349 00:20:51,875 --> 00:20:54,169 勘違いするな 分かったな 350 00:20:54,294 --> 00:20:55,712 (奈々生)うん (巴衛)よし 351 00:20:57,214 --> 00:20:58,674 あ… 352 00:20:59,132 --> 00:21:01,093 ああ… 353 00:21:02,094 --> 00:21:04,429 お前 結構 愉快なやつだな 354 00:21:04,554 --> 00:21:05,639 俺たちも行くぞ 355 00:21:07,182 --> 00:21:10,686 (天狗) 兄者 真寿郎と名乗る一行が 訪ねてきております 356 00:21:10,978 --> 00:21:13,730 (兄天狗) 真寿郎? そんな客の予定はないぞ 357 00:21:13,855 --> 00:21:15,691 門を開けてはならん 追い返せ 358 00:21:16,024 --> 00:21:17,234 (天狗) で… ですが… 359 00:21:25,534 --> 00:21:27,911 出迎え ご苦労 平諸君 360 00:21:28,287 --> 00:21:31,581 三代目 僧正坊が嫡男 真寿郎である 361 00:21:31,707 --> 00:21:35,919 ミカゲ社 土地神として 四代目 継承の儀 見届けに来た 362 00:21:36,044 --> 00:21:37,587 二郎の元へ 案内(あない)せよ 363 00:21:38,714 --> 00:21:40,382 (巴衛) どうした 平天狗 364 00:21:40,799 --> 00:21:42,676 俺の主人は 気が短い 365 00:21:42,801 --> 00:21:46,305 結界ごと焼き払われたくなければ さっさと動け 366 00:21:46,430 --> 00:21:48,390 (二郎) 翠郎から 文が届いている 367 00:21:51,977 --> 00:21:55,397 神の来訪とあらば 歓迎せざるをえまい 368 00:21:55,939 --> 00:21:57,149 入ってくるがいい 369 00:22:07,826 --> 00:22:08,910 (奈々生) よし 370 00:22:09,703 --> 00:22:12,581 今のうちに 私たちは 僧正坊を捜すよ 371 00:22:12,706 --> 00:22:14,124 案内して 牡丹丸君 372 00:22:14,333 --> 00:22:16,668 (鼓動) 373 00:22:17,169 --> 00:22:18,337 ほら 行くよ 374 00:22:19,129 --> 00:22:21,423 (奈々生) 敷地内に張り巡らされた結界の糸 375 00:22:22,341 --> 00:22:24,760 この広い道場敷地のどこかに― 376 00:22:25,427 --> 00:22:27,137 僧正坊がいる 377 00:22:27,679 --> 00:22:32,684 ♪~ 378 00:23:34,955 --> 00:23:39,960 ~♪ 379 00:23:40,585 --> 00:23:42,963 (講釈師) 本家道場を 正面突破した 鞍馬と 巴衛 380 00:23:43,255 --> 00:23:45,048 お酒に 色仕掛けで うっふん 381 00:23:45,173 --> 00:23:46,675 あれ? 捕まっちゃったよ? 382 00:23:46,800 --> 00:23:49,386 一方 奈々生と 牡丹丸は 僧正坊に会えたけど― 383 00:23:49,511 --> 00:23:51,388 あれ? 様子がおかしいよ? 384 00:23:51,513 --> 00:23:53,265 次回「神様、ふいうちをくらう」 385 00:23:53,348 --> 00:23:54,641 絶体絶命のピンチ!