1 00:00:01,000 --> 00:00:02,460 “それがしは 牡丹丸” 2 00:00:03,044 --> 00:00:07,340 “三代目 僧正坊様が ご嫡男 真寿郎様を知らぬか” 3 00:00:07,716 --> 00:00:10,135 “って いた! 真寿郎様” 4 00:00:10,260 --> 00:00:11,511 “うそ うそ…” 5 00:00:11,636 --> 00:00:13,138 “うそーっ!” 6 00:00:13,263 --> 00:00:14,764 “Shadow DIE” 7 00:01:47,774 --> 00:01:50,985 どうした 急に 俺に会いたいなんて 8 00:01:51,361 --> 00:01:54,114 残念だが 今夜の俺は 予約済みだぜ 9 00:01:54,239 --> 00:01:56,658 話があるのは 私じゃないの 10 00:01:56,783 --> 00:01:58,868 あなたに 会いたいって子を 連れてきたの 11 00:01:59,160 --> 00:02:00,120 あん? 12 00:02:00,495 --> 00:02:01,788 牡丹丸君 13 00:02:05,542 --> 00:02:06,835 真寿郎様 14 00:02:07,168 --> 00:02:08,794 ああ… 15 00:02:09,253 --> 00:02:12,423 何だ そのガキはー! 16 00:02:15,426 --> 00:02:18,596 私は 鞍馬山の牡丹丸と申します 17 00:02:18,721 --> 00:02:21,432 この良き日に 真寿郎様に お会いできて― 18 00:02:21,558 --> 00:02:24,727 大変 うれしくおもっ… おもっ… 19 00:02:25,019 --> 00:02:26,104 お前 うん? 20 00:02:26,312 --> 00:02:28,731 何の用か知らないが すぐ 山に帰るんだな 21 00:02:28,815 --> 00:02:29,566 えっ… 22 00:02:29,941 --> 00:02:32,777 半人前の下山は 禁止されてるはず 23 00:02:32,902 --> 00:02:34,946 皆に黙って 下りてきたんだろう 24 00:02:35,071 --> 00:02:36,489 俺を頼ってこられても― 25 00:02:36,614 --> 00:02:40,034 家出人の面倒を見る余裕は ねえの 帰んな 26 00:02:40,410 --> 00:02:41,995 はあ? 違います 27 00:02:42,120 --> 00:02:44,914 あなたを迎えに来たのです 真寿郎様 28 00:02:45,415 --> 00:02:46,457 うん? 今― 29 00:02:46,583 --> 00:02:48,793 お山は 大変なことになっているのです 30 00:02:49,836 --> 00:02:52,130 僧正坊様が お倒れになってから― 31 00:02:52,255 --> 00:02:55,091 お山は しょう気の雲に覆われております 32 00:02:55,300 --> 00:02:58,469 急きょ 四代目に 二郎様が選ばれたのですが― 33 00:02:58,595 --> 00:03:01,180 その人選に 反対の者も多く… 34 00:03:01,681 --> 00:03:05,101 お山では 皆 不安な日々を送っております 35 00:03:05,560 --> 00:03:08,354 真寿郎様が お帰りになってくだされば… 36 00:03:08,938 --> 00:03:13,443 俺に 何ができるってんだ 牡丹丸君よ 37 00:03:14,110 --> 00:03:15,236 知っているだろう? 38 00:03:15,361 --> 00:03:19,657 俺は お山を 17年も前に下りた脱落者だ 39 00:03:19,991 --> 00:03:22,327 すっかり 下界に染まっちゃってるの 40 00:03:22,452 --> 00:03:24,787 下界には かわいい女の子 たくさんいるし… 41 00:03:24,913 --> 00:03:26,289 ち… 違う! 42 00:03:26,414 --> 00:03:28,541 真寿郎様は 脱落者ではない! 43 00:03:28,666 --> 00:03:31,502 真寿郎様は 俺の目標だ! 44 00:03:32,629 --> 00:03:34,756 俺と同じ あなたにこそ― 45 00:03:34,881 --> 00:03:37,175 真ん中に立っていてほしいのだ 46 00:03:40,011 --> 00:03:42,096 牡丹丸君 どうしたの? 47 00:03:42,305 --> 00:03:44,641 ガキのくせに 下山などするからだよ 48 00:03:46,226 --> 00:03:48,937 天狗の子は お山に育ててもらうんだ 49 00:03:49,062 --> 00:03:50,313 だから 子供のうちは― 50 00:03:50,438 --> 00:03:53,483 山のひごのない下界に 下りてはいけない 51 00:03:54,067 --> 00:03:56,653 こいつは 下界の毒を吸い過ぎたんだ 52 00:04:01,115 --> 00:04:02,951 どうしたの この傷 53 00:04:03,534 --> 00:04:06,037 むちの痕だ えっ 54 00:04:06,204 --> 00:04:08,122 参ったな あ… 55 00:04:09,791 --> 00:04:13,836 こんなに早く帰省する予定じゃ なかったんだけどな 56 00:04:19,509 --> 00:04:23,096 何だ 真寿郎 まだ 自分で飛べんのか 57 00:04:23,221 --> 00:04:24,555 もう 5つなのに― 58 00:04:24,681 --> 00:04:26,891 まだ からすに乗ってるのは お前くらいじゃ 59 00:04:27,684 --> 00:04:32,397 僧正坊様の子供なのに わしらよりも 全然 下じゃの 60 00:04:32,897 --> 00:04:36,401 僧正坊の子供は 兄者たちに やっかまれ… 61 00:04:37,068 --> 00:04:39,237 真寿郎 なぜ 着替えん 62 00:04:39,362 --> 00:04:42,073 大礼拝に そのような着物で出る気か 63 00:04:42,198 --> 00:04:43,408 このままでいいです 64 00:04:43,950 --> 00:04:45,910 皆と同じ物を着ます 65 00:04:46,035 --> 00:04:50,456 俺は 誰よりも劣っているのに 着物の位だけ高いなんて おかしい 66 00:04:50,581 --> 00:04:51,624 まるで 道化だ 67 00:04:51,874 --> 00:04:54,252 うっ これは しきたりじゃ! 68 00:04:54,877 --> 00:04:57,088 俺には ただの重荷だった 69 00:04:58,923 --> 00:05:00,842 今日から ここで寝る 70 00:05:02,093 --> 00:05:05,722 兄者たち どうぞ よろしくお願い申し上げる 71 00:05:06,889 --> 00:05:09,726 父親と まともに 口を利いたことがない 72 00:05:11,352 --> 00:05:13,730 数回 面識のある程度 73 00:05:14,147 --> 00:05:17,692 ひげもじゃだった 俺も そうなるのか 74 00:05:18,818 --> 00:05:22,405 一人でいることが 寂しいなどと思ったこともない 75 00:05:25,742 --> 00:05:26,993 俺の布団がない! 76 00:05:27,118 --> 00:05:30,997 フフフ… そこにあったのは 貴様の布団か 77 00:05:31,122 --> 00:05:34,292 乳臭いんで捨ててしまったぞ ハハハ… 78 00:05:34,417 --> 00:05:35,251 くそ! 79 00:05:35,376 --> 00:05:37,670 おいで 真寿郎 うん? 80 00:05:37,795 --> 00:05:40,590 私の布団で 一緒に寝よう 81 00:05:42,633 --> 00:05:49,098 翠郎兄に会うまで 俺は 人肌の温かさを知らなかった 82 00:05:50,433 --> 00:05:53,811 いいか 牡丹丸を送って― 83 00:05:53,936 --> 00:05:56,064 おやじ殿を 見舞うだけなんだからな 84 00:05:56,647 --> 00:05:59,525 ついてきたって 面白いことなんか ねえぞ 85 00:05:59,650 --> 00:06:01,110 遊びに来たんじゃないよ 86 00:06:01,694 --> 00:06:03,780 鞍馬に 加勢に来たんだから 87 00:06:04,155 --> 00:06:06,616 家出した実家を 助けに行くんでしょう? 88 00:06:06,824 --> 00:06:10,078 私 白札 たくさん持ってきたから 任せて 89 00:06:10,411 --> 00:06:14,332 まさか お前が 僧正坊の息子とは思わなかった 90 00:06:14,457 --> 00:06:17,126 みじんも感じさせない 平天狗ぶりだ 91 00:06:17,251 --> 00:06:21,172 で… 何で きつねまで 来てくれてるんだ 呼んでねえし 92 00:06:21,547 --> 00:06:24,967 面倒事を高みの見物するのは 俺の趣味だ 93 00:06:25,093 --> 00:06:26,135 へえ そうなんだ 94 00:06:26,260 --> 00:06:29,806 俺は てっきり 俺と 奈々生を 二人きりにしたくなくて 95 00:06:29,931 --> 00:06:32,266 慌てて駆けつけたのかと思ったぜ 96 00:06:32,350 --> 00:06:33,184 あっ? 97 00:06:33,976 --> 00:06:36,646 二人とも けんかなら 着いてからにしてくれる? 98 00:06:36,854 --> 00:06:39,148 牡丹丸君 まだ 寝てるんだから 99 00:06:41,859 --> 00:06:42,902 ここは? 100 00:06:43,861 --> 00:06:47,281 気が付いた? 牡丹丸君 疲れて倒れちゃったの 101 00:06:47,406 --> 00:06:50,910 桃丹をのんだから もう大丈夫 腕の傷も治ってるよ 102 00:06:51,661 --> 00:06:53,913 あっ 本当じゃ どうして 103 00:06:54,288 --> 00:06:56,249 桃丹は 神の霊薬 104 00:06:56,374 --> 00:06:59,919 けがや 病に至るまで 全てに効く万能薬だ 105 00:07:00,753 --> 00:07:03,131 僧正坊が どういう病か知らんが― 106 00:07:03,256 --> 00:07:05,883 これをのめば 回復するやもしれん 107 00:07:06,300 --> 00:07:09,637 誠か きつね 誰が きつねだ くそガキ 108 00:07:10,763 --> 00:07:14,434 お前 飛べないくせに よく 遠くまで来られたな 109 00:07:14,684 --> 00:07:17,812 い… 行きは からすに乗って参りました 110 00:07:17,937 --> 00:07:20,440 真寿郎様を 迎えに行きたいと話したら― 111 00:07:20,857 --> 00:07:23,943 翠郎兄が からすを貸してくださったのです 112 00:07:29,449 --> 00:07:32,118 人間界の鞍馬山が表とすれば― 113 00:07:32,243 --> 00:07:34,454 天狗の住む山は 裏鞍馬 114 00:07:34,579 --> 00:07:36,998 その入り口が 僧正ヶ谷だ 115 00:07:37,665 --> 00:07:39,876 ああ… マイナスイオン! 116 00:07:40,293 --> 00:07:41,961 心せよ 土地神 117 00:07:42,086 --> 00:07:44,839 この杉の木の股が 裏への入り口 118 00:07:44,964 --> 00:07:47,842 この先より 我らのお山に入るぞ 119 00:07:48,509 --> 00:07:52,763 ホント 急に空気が変わったね 朝なのに真っ暗 120 00:07:53,514 --> 00:07:56,767 霧が出てきたな はぐれるなよ 奈々生 121 00:07:57,310 --> 00:08:00,813 しょう気の濃い山では 次元が ゆがむこともある 122 00:08:00,938 --> 00:08:03,232 うっかり迷うと 戻れなくなるぞ 123 00:08:03,774 --> 00:08:06,277 しょう気がひどいな はい 124 00:08:06,402 --> 00:08:08,905 僧正坊様のお気が薄れてから― 125 00:08:09,030 --> 00:08:11,240 汚れどもが はびこるようになりました 126 00:08:12,074 --> 00:08:14,869 しかし 僧正坊様が お元気になれば― 127 00:08:14,994 --> 00:08:16,204 きっと 元に戻りましょう 128 00:08:17,788 --> 00:08:19,790 で… ですが― 129 00:08:19,916 --> 00:08:23,377 私は いつか 将来 真寿郎様に― 130 00:08:23,503 --> 00:08:26,214 四代目になっていただきたいと 思っております 131 00:08:27,048 --> 00:08:28,132 あっ… 132 00:08:29,467 --> 00:08:31,761 翠郎兄 133 00:08:32,303 --> 00:08:35,515 俺は 翠郎兄に 四代目になってほしいな 134 00:08:35,722 --> 00:08:38,893 おやじ殿は ひげもじゃで いかつい お顔だが― 135 00:08:39,018 --> 00:08:40,852 翠郎兄は きれいだから― 136 00:08:40,977 --> 00:08:44,440 愛宕や 高尾の天狗も 皆 羨ましがる 137 00:08:46,484 --> 00:08:50,821 私が 四代目なんて 変なことを言うね 真寿郎は 138 00:08:51,155 --> 00:08:52,657 俺は本気だぞ 139 00:08:52,782 --> 00:08:55,576 兄者は お山一 速い翼も持ってるし― 140 00:08:55,660 --> 00:08:57,119 笛も上手だ 141 00:08:57,203 --> 00:09:00,831 また 吹いてくれよ 俺の好きな 雲珠桜の曲 142 00:09:01,165 --> 00:09:01,958 あっ 143 00:09:02,083 --> 00:09:03,543 それより… あ… 144 00:09:04,835 --> 00:09:08,130 ひどい 鬱血だ また 二郎に打たれたのか? 145 00:09:08,256 --> 00:09:10,675 あれは 私の見ていない所でばかり― 146 00:09:10,800 --> 00:09:12,301 お前に手を上げるから… 147 00:09:12,426 --> 00:09:13,844 いいんだよ これは あっ 148 00:09:14,262 --> 00:09:16,639 俺が弱いのは 俺の責任だ 149 00:09:16,764 --> 00:09:20,560 二郎兄は ただ 力が入り過ぎただけさ 150 00:09:23,062 --> 00:09:26,774 では お前に 1曲 贈ろう 151 00:09:27,024 --> 00:09:30,236 お前の好きな 雲珠桜の歌を 152 00:09:30,736 --> 00:09:32,154 アハッ 153 00:09:32,280 --> 00:09:36,909 翠郎兄… 俺は お山で いちばん あなたが自慢だった 154 00:09:37,451 --> 00:09:38,828 なのに 俺のせいで… 155 00:09:39,078 --> 00:09:39,745 うわっ 156 00:09:41,539 --> 00:09:43,499 翠郎兄! 157 00:09:46,002 --> 00:09:47,211 真寿郎様 158 00:09:47,670 --> 00:09:50,423 いかがなされた ご気分でも… 159 00:09:51,882 --> 00:09:53,259 大丈夫だ 160 00:09:55,553 --> 00:09:59,223 霧が ますます濃くなってきたぞ 大丈夫か 奈々生… 161 00:09:59,515 --> 00:10:00,433 あっ 162 00:10:01,017 --> 00:10:02,476 待て 牡丹丸 163 00:10:02,727 --> 00:10:05,104 奈々生たちが いない えっ? 164 00:10:05,271 --> 00:10:06,272 まさか… 165 00:10:08,190 --> 00:10:09,358 この霧は… 166 00:10:09,525 --> 00:10:10,526 真寿郎様 167 00:10:11,694 --> 00:10:15,740 結界? 俺たちは 霧の結界の中にいるのか 168 00:10:16,198 --> 00:10:18,534 俺たちを 中に入れないために 169 00:10:19,702 --> 00:10:22,538 まあ 歓迎されるわけはないしな 170 00:10:23,414 --> 00:10:26,042 それでも あいつだけは 里に帰さないと 171 00:10:27,001 --> 00:10:29,587 牡丹丸 引き返すぞ この霧は… 172 00:10:30,296 --> 00:10:30,963 あっ 173 00:10:34,050 --> 00:10:36,344 大きくなったね 真寿郎 174 00:10:36,636 --> 00:10:39,055 空も飛べるようになったんだね 175 00:10:39,180 --> 00:10:41,807 まるで まっとうな天狗のようだ 176 00:10:43,559 --> 00:10:45,269 す… 翠郎兄 177 00:10:46,771 --> 00:10:49,940 それに引き換え 見ろ 私の翼を 178 00:10:50,066 --> 00:10:51,692 私は もう 飛べぬ 179 00:10:51,817 --> 00:10:54,528 お前を助けたせいで 失ってしまったのだ 180 00:10:54,779 --> 00:10:55,571 あっ 181 00:10:56,072 --> 00:11:01,035 真寿郎 もう 12なのに飛べぬのは 貴様の鍛錬が足りぬからだ 182 00:11:01,160 --> 00:11:02,578 いつまでも 翠郎に甘えるな 183 00:11:02,953 --> 00:11:04,497 ああっ 来い 真寿郎 184 00:11:04,622 --> 00:11:07,541 俺が鍛え直してやる やめて 二郎兄 185 00:11:08,000 --> 00:11:10,294 早く この翼で 飛んで出てこねば― 186 00:11:10,753 --> 00:11:13,172 中の雷獣に かみ殺されるぞ 187 00:11:13,589 --> 00:11:15,591 さあ 早く! 188 00:11:15,800 --> 00:11:16,967 ああっ! 189 00:11:17,343 --> 00:11:19,428 お前は飛べなかった 190 00:11:19,762 --> 00:11:23,849 知らせを聞いて お前を助けるため 雷獣の穴へ入り― 191 00:11:23,974 --> 00:11:27,019 私は雷に打たれて このざまだ 192 00:11:27,228 --> 00:11:29,188 当のお前は 自分の傷が癒えると― 193 00:11:29,313 --> 00:11:31,899 さっさと お山を逃げ出す始末 194 00:11:32,024 --> 00:11:34,026 許してくれ 翠郎兄 俺は… 195 00:11:34,151 --> 00:11:36,195 謝らなくてもいいよ 真寿郎 196 00:11:36,904 --> 00:11:38,280 ただ 死んでくれれば 197 00:11:39,240 --> 00:11:42,827 私の心の霧も 少しは晴れるよ 198 00:11:43,702 --> 00:11:46,205 お前なんか 見捨てていれば よかった 199 00:11:46,330 --> 00:11:48,457 構わなければ よかった 200 00:11:48,624 --> 00:11:51,961 あの日 声など かけなければ よかった 201 00:11:52,545 --> 00:11:54,213 言わないでくれ 兄者 202 00:11:54,713 --> 00:11:56,549 あなたに あらがう意思はない 203 00:11:57,049 --> 00:12:02,930 このお山で いちばん 俺は あなたが好きだったから 204 00:12:03,472 --> 00:12:08,394 あっ 205 00:12:08,519 --> 00:12:09,937 雲珠桜の歌だ 206 00:12:10,146 --> 00:12:13,691 ウフフッ それが何だ! 207 00:12:14,442 --> 00:12:17,528 つまり お前は偽者ってことだ 208 00:12:18,279 --> 00:12:19,613 ああ… 209 00:12:22,158 --> 00:12:25,286 あれは 本物の翠郎兄が― 210 00:12:25,411 --> 00:12:28,497 お山の上で 俺のために吹いてくれてる 211 00:12:29,206 --> 00:12:31,083 俺の好きな歌だから 212 00:12:41,719 --> 00:12:42,887 真寿郎様 213 00:12:43,471 --> 00:12:45,598 きつねどもが こんなとこにおりました 214 00:12:45,723 --> 00:12:48,726 まあ 失礼ね 勝手に 迷子にしないでよ 215 00:12:48,851 --> 00:12:49,518 ヘッ 216 00:12:50,769 --> 00:12:53,147 どんな顔をして あなたに会おうか 217 00:12:55,608 --> 00:12:58,486 不安を抱きつつも 前に進むことを― 218 00:12:58,777 --> 00:13:02,364 もう ためらってはいない自分に 気付いた 219 00:13:10,289 --> 00:13:12,875 着いた ここが 鞍馬の天狗里だ 220 00:13:13,667 --> 00:13:17,922 着いて早々なんだけど トイレ行きたくなってきた 221 00:13:18,589 --> 00:13:21,926 立ち話も何だし さっさと お邪魔しちゃいましょう 222 00:13:22,051 --> 00:13:23,344 あ… ま… 待て 奈々生 223 00:13:23,552 --> 00:13:25,346 まだ 心の準備が… 224 00:13:25,679 --> 00:13:26,847 ああ… 225 00:13:28,474 --> 00:13:29,850 きれいな人 226 00:13:30,851 --> 00:13:33,604 お帰り 真寿郎 227 00:13:34,063 --> 00:13:35,272 兄者! ウフッ 228 00:13:35,397 --> 00:13:39,193 よく 無事で帰ってきてくれたね 牡丹丸 229 00:13:39,318 --> 00:13:40,861 さあ 真寿郎も… 230 00:13:42,321 --> 00:13:42,988 うん? 231 00:13:46,075 --> 00:13:48,994 ご無沙汰しておりました 兄者 232 00:13:49,620 --> 00:13:52,039 プライドの高い鞍馬が 最敬礼 233 00:13:53,499 --> 00:13:55,584 フッ 顔を上げて― 234 00:13:56,252 --> 00:13:58,754 私に よく 顔を見せておくれ 235 00:14:02,550 --> 00:14:04,260 ぐりぐり ぐりぐり 236 00:14:04,927 --> 00:14:06,512 ぐりぐり ぐりぐり 237 00:14:06,637 --> 00:14:07,805 あの― 238 00:14:08,347 --> 00:14:11,559 私 土地神をしている 桃園奈々生です 239 00:14:11,684 --> 00:14:13,519 あっちが 神使の巴衛 240 00:14:13,727 --> 00:14:16,313 この度は 急に押しかけてしまって すみません 241 00:14:18,148 --> 00:14:21,819 ウフッ 連れのかたがたも 山道で お疲れだろう 242 00:14:21,944 --> 00:14:23,237 私の家へ来るといい 243 00:14:24,154 --> 00:14:25,489 何だろう… 244 00:14:26,949 --> 00:14:29,285 このお山も 寂しくなっただろう 245 00:14:29,410 --> 00:14:33,372 しょう気の雲によって 新しい草木も芽吹かない 246 00:14:33,497 --> 00:14:37,418 お山の中心だった万年桜の木も とうとう枯れてしまった 247 00:14:37,543 --> 00:14:39,545 トイレ トイレ行きたい 248 00:14:39,670 --> 00:14:40,796 それにしても― 249 00:14:40,921 --> 00:14:44,675 どうして こんな離れのぼろ家に 住んでるんだ 翠郎兄 250 00:14:44,800 --> 00:14:47,261 俺は てっきり 場内に 居を構えてるのかと 251 00:14:47,761 --> 00:14:51,307 少々 隙間風が吹き込むが 悪くはない 252 00:14:51,599 --> 00:14:54,977 お前を本家道場で ゆっくりさせてやりたかったが― 253 00:14:55,102 --> 00:14:57,313 二郎が入れてくれぬだろうからな 254 00:14:58,439 --> 00:15:02,359 翠郎兄が 道場に いられなくなったのは 俺のせいだ 255 00:15:03,027 --> 00:15:06,113 俺が… 俺が… ぐりぐり ぐりぐり… 256 00:15:06,238 --> 00:15:08,240 あの 翠郎さん 257 00:15:08,490 --> 00:15:10,409 あ… 翠郎殿 258 00:15:10,534 --> 00:15:12,369 申し訳ないが 俺の主人が― 259 00:15:12,494 --> 00:15:14,121 激しく 用を足したいそうなのだ 260 00:15:14,204 --> 00:15:14,955 あっ 261 00:15:15,080 --> 00:15:17,249 おお そうであったか 神使殿 262 00:15:17,374 --> 00:15:19,209 では かわやに ご案内しよう 263 00:15:19,710 --> 00:15:23,047 何分 粗末な家ゆえ かわやまで遠いのだが… 264 00:15:23,172 --> 00:15:25,633 それなら 俺が 一緒についていってやろう 265 00:15:25,758 --> 00:15:29,428 つ… ついてこなくて いいです! 266 00:15:31,472 --> 00:15:34,058 裏鞍馬山にある本家道場 267 00:15:34,808 --> 00:15:37,978 千代丸兄 うり坊 拾った 268 00:15:38,437 --> 00:15:41,941 橙丸 そんなの拾ってくんな 叱られるぞ 269 00:15:42,066 --> 00:15:43,984 母いのししが 捜してるだろう 270 00:15:45,069 --> 00:15:47,029 母いのしし 死んでた 271 00:15:47,446 --> 00:15:50,032 死体のそばに こいつ一匹だけがおって― 272 00:15:50,157 --> 00:15:52,034 きっと 魔物にやられたんじゃ 273 00:15:52,660 --> 00:15:56,038 ほっといたら こいつも殺される かわいそうじゃ 274 00:15:56,288 --> 00:15:58,290 分かった 好きにしろ 275 00:15:58,415 --> 00:16:01,001 そのかわり 兄者たちには ないしょだぞ 276 00:16:01,126 --> 00:16:03,045 見つかったら捨てられるからな 277 00:16:03,420 --> 00:16:05,339 うん 278 00:16:05,756 --> 00:16:09,468 ほっといて死ぬのなら それが そいつの寿命だ 279 00:16:09,593 --> 00:16:10,970 弱いやつは死ぬ 280 00:16:11,470 --> 00:16:13,639 死にたくなければ強くなれ 281 00:16:13,973 --> 00:16:17,977 己の力で生きられないのなら それが お前の寿命だ 282 00:16:18,102 --> 00:16:18,894 あ… 283 00:16:19,520 --> 00:16:21,146 おお 怖い 284 00:16:21,981 --> 00:16:25,651 今日は いつになく 殺気立っておられますね 二郎殿 285 00:16:26,193 --> 00:16:27,486 夜鳥か 286 00:16:28,529 --> 00:16:31,824 万年桜でしたっけ? 287 00:16:33,117 --> 00:16:35,536 あの木が枯れてから お山の皆さんは― 288 00:16:35,661 --> 00:16:38,831 とんと 覇気が なくなってしまいましたね 289 00:16:38,956 --> 00:16:41,875 いっそのこと 新しく植え替えてしまいませんか 290 00:16:42,543 --> 00:16:44,420 あの大木を 一人で片づければ― 291 00:16:44,545 --> 00:16:48,465 皆 新しい時代の到来を 予感するでしょう 292 00:16:48,590 --> 00:16:51,427 いかがです 二郎殿 行儀が悪い! 293 00:16:51,552 --> 00:16:54,930 目上の者の前で 菓子を ばりばり食うやつがあるか! 294 00:16:55,472 --> 00:16:58,100 万年桜は 古代からのお山の霊木 295 00:16:58,225 --> 00:17:01,854 気安く 片づけるなどと その腐った口で語ることは許さん! 296 00:17:02,354 --> 00:17:05,523 でも 真寿郎殿が 帰ってきちゃったし― 297 00:17:06,316 --> 00:17:08,152 “四代目にしては…”なんて― 298 00:17:08,277 --> 00:17:10,695 言いだすやからが現れたら どうします 299 00:17:10,820 --> 00:17:13,449 見た感じ あなた 人気なさそうですし 300 00:17:13,906 --> 00:17:17,161 今 お山で いちばん強いのは俺だ 301 00:17:17,536 --> 00:17:20,455 よって 四代目に いちばんふさわしいのは 俺だ 302 00:17:21,080 --> 00:17:24,292 誰よりも走り 誰よりも高く飛んだ 303 00:17:24,417 --> 00:17:28,547 修行に明け暮れ 怠惰を許さず 己を鍛えてきたのは― 304 00:17:28,672 --> 00:17:30,424 ただ 強くなるため 305 00:17:30,758 --> 00:17:35,471 三代目が 息を引き取る前に そのお力を継承せねばならん 306 00:17:35,763 --> 00:17:38,015 継承の儀まで あと数日 307 00:17:38,390 --> 00:17:41,018 それまで 誰にも邪魔はさせん 308 00:17:42,186 --> 00:17:44,813 やっと 翠郎でも 真寿郎でもない― 309 00:17:45,064 --> 00:17:48,734 この俺が 真に いちばん強い男になるのだ 310 00:17:50,027 --> 00:17:54,490 あ… もう いくら何でも トイレがあんなに遠いなんてナイ! 311 00:17:54,615 --> 00:17:56,533 バス停1個分くらい歩いた 312 00:17:57,284 --> 00:18:00,996 翠郎さん 私のこと 気に入らないふうだったからな 313 00:18:01,121 --> 00:18:02,956 警戒されてるのかも 314 00:18:03,082 --> 00:18:06,168 うちのトイレは使わせませんよ~ 315 00:18:07,544 --> 00:18:08,337 あ… 316 00:18:09,963 --> 00:18:14,301 あ… 天狗の里か 317 00:18:15,969 --> 00:18:18,472 確かに あちこちの木々が枯れてる 318 00:18:18,972 --> 00:18:20,933 しょう気の雲のせいだ 319 00:18:21,725 --> 00:18:25,145 大きい木だな 桜? 腐っちゃってる 320 00:18:25,437 --> 00:18:27,356 うわっ! 触るな 人間! 321 00:18:28,065 --> 00:18:30,150 痛い 何すんのよ 322 00:18:32,945 --> 00:18:35,864 かわいい 僕たち この辺の天狗の子? 323 00:18:35,989 --> 00:18:37,491 う… こっち来た 324 00:18:37,616 --> 00:18:39,743 この木は お山の万年桜だぞ 325 00:18:40,244 --> 00:18:43,497 よそ者が気安く触ったら 罰が当たるんだからな 326 00:18:43,747 --> 00:18:45,290 万年桜 327 00:18:45,749 --> 00:18:48,377 やっぱ 桜なんだ この木 腐ってるよ 328 00:18:48,502 --> 00:18:49,878 うわっ 触んな 329 00:18:50,379 --> 00:18:53,132 この木は お山の中心に立つ霊木だ 330 00:18:53,257 --> 00:18:56,885 1年に 4度 花を咲かせるが それは 美しい花なんだぞ 331 00:18:58,846 --> 00:18:59,596 えっ うん? 332 00:19:00,055 --> 00:19:03,600 そ… その胸の膨らみは まさか こいつ… 333 00:19:04,226 --> 00:19:06,603 女! こいつ 女だぞ 334 00:19:06,728 --> 00:19:08,605 そ… そうだけど 335 00:19:08,772 --> 00:19:11,400 女人と しゃべっちまった 兄者たちに怒られる 336 00:19:11,525 --> 00:19:12,985 ああ… もう駄目だ 337 00:19:13,110 --> 00:19:15,445 何で しゃべっちゃ駄目なのよ 失礼ね 338 00:19:15,571 --> 00:19:18,365 女人とは 目を合わせても 口を利いてもいけねえんだ 339 00:19:18,615 --> 00:19:20,534 特に べっぴんの 若い女人に触れると― 340 00:19:20,659 --> 00:19:22,494 俗世に落ちるって 341 00:19:22,744 --> 00:19:25,289 そ… それほどでもないけど… エヘヘッ 342 00:19:25,414 --> 00:19:28,041 うん? 待てよ こいつ べっぴんか? 343 00:19:28,167 --> 00:19:30,294 翠郎兄のほうが べっぴんだよな 344 00:19:30,419 --> 00:19:31,545 じゃあ まあ いっか 345 00:19:31,670 --> 00:19:32,379 う… 346 00:19:32,754 --> 00:19:34,339 兄者 兄者 347 00:19:34,631 --> 00:19:40,345 万年桜の下に 穴 掘って 早う このうり坊 埋めてやりたい 348 00:19:40,679 --> 00:19:41,513 あ… 349 00:19:43,223 --> 00:19:45,809 僧正坊様が お倒れになってから― 350 00:19:45,976 --> 00:19:48,145 しょう気の雲が かかっちまって― 351 00:19:48,312 --> 00:19:52,858 お山には魔物が出るし 動物も どんどん減ってきてんだ 352 00:19:52,983 --> 00:19:56,153 とうとう 万年桜まで枯れちまってさ 353 00:19:56,653 --> 00:19:59,364 里は これから どうなるんだろう 354 00:19:59,907 --> 00:20:01,366 大丈夫だよ 355 00:20:01,491 --> 00:20:04,077 もうすぐ 僧正坊様も元気になるし― 356 00:20:04,203 --> 00:20:05,704 お山も 元に戻るよ 357 00:20:06,121 --> 00:20:07,831 ホントか? うん 358 00:20:07,956 --> 00:20:11,084 うそだ 僧正坊様は もう 長くないって― 359 00:20:11,210 --> 00:20:13,045 二郎兄が おっしゃってたぞ 360 00:20:13,295 --> 00:20:16,215 だから 二郎兄が 四代目 僧正坊になるんだろ 361 00:20:16,924 --> 00:20:19,885 でも 二郎兄が四代目になられて― 362 00:20:20,010 --> 00:20:22,679 本当に お山は大丈夫になるのかな 363 00:20:23,764 --> 00:20:27,643 この万年桜は また 花を咲かせるのかな 364 00:20:28,936 --> 00:20:30,187 私の力じゃ― 365 00:20:30,812 --> 00:20:33,607 お山のしょう気の雲は 晴らせないけど― 366 00:20:34,608 --> 00:20:37,778 せめて この子たちの心の雲が 晴れるように… 367 00:20:39,196 --> 00:20:40,280 お願い 368 00:20:53,460 --> 00:20:55,295 ああ… 369 00:20:56,380 --> 00:20:59,424 咲いた 万年桜の花が 370 00:20:59,549 --> 00:21:02,302 俺たち 夢を見てるのか? 371 00:21:02,719 --> 00:21:04,721 君たちの言ったとおりだね 372 00:21:04,846 --> 00:21:07,057 きれいな桜 見られて よかった 373 00:21:08,684 --> 00:21:13,021 夕刻の鐘だ 道場に戻らないと 夕飯の支度が 374 00:21:13,146 --> 00:21:16,650 よし 帰ったら みんなに 万年桜のことを教えよう 375 00:21:16,858 --> 00:21:17,859 ウフッ 376 00:21:18,402 --> 00:21:20,654 のう 姉ちゃんは もしかして― 377 00:21:21,321 --> 00:21:25,075 このお山を見かねて 天上から降りてきた天女様か? 378 00:21:27,119 --> 00:21:30,664 何 言ってんの 子供のくせに ほら 早く帰りなさい 379 00:21:31,290 --> 00:21:33,583 ありがとう お姉ちゃん 380 00:21:33,959 --> 00:21:36,128 フフフ… 381 00:21:36,795 --> 00:21:38,964 よかった 本当に 382 00:21:41,508 --> 00:21:42,175 えっ? 383 00:21:45,804 --> 00:21:47,514 花が散ってく 384 00:21:48,932 --> 00:21:52,894 駄目だ 私の力じゃ やっぱり もたせられない 385 00:21:54,438 --> 00:21:57,816 早く 僧正坊さんに 元気になってもらわなくては 386 00:22:00,068 --> 00:22:00,986 あ… 387 00:22:18,170 --> 00:22:19,546 男は… 388 00:22:21,256 --> 00:22:23,258 天女に会った 389 00:23:40,544 --> 00:23:43,088 あーれー なんて乱暴な男なの 390 00:23:43,213 --> 00:23:46,508 この 二郎の目をかいくぐって 僧正坊に会うことができるのか 391 00:23:46,633 --> 00:23:48,510 奈々生の作戦で 本当に大丈夫? 392 00:23:48,635 --> 00:23:51,054 って 巴衛さん どどど… どうしちゃったの? 393 00:23:51,179 --> 00:23:52,722 次回「神様、潜入する」 394 00:23:52,806 --> 00:23:54,766 抜き足 差し足 猛ダッシュ!