1 00:00:04,713 --> 00:00:08,341 なあ 火の海って言葉があるよな 2 00:00:08,967 --> 00:00:12,721 あれって 火が海みたいってことだろう? 3 00:00:14,681 --> 00:00:17,142 火の海ってやつを見てみたいな 4 00:00:17,267 --> 00:00:21,229 例えば ここら一帯 天地との 境目まで燃やしちまえば― 5 00:00:22,522 --> 00:00:25,024 火の海になるのかな 6 00:00:26,109 --> 00:00:27,736 やめておけ うん? 7 00:00:29,529 --> 00:00:33,575 お前には 燃やすことはできても 鎮めることはできまい 8 00:00:34,409 --> 00:00:37,370 扱えないくせに 火遊びはするな 悪羅王 9 00:00:38,788 --> 00:00:40,874 火の海が見たいのなら― 10 00:00:41,791 --> 00:00:47,338 真っ赤な炎を食い尽くす きつね火の海でも見せてやるよ 11 00:00:47,672 --> 00:00:49,215 そのうちな 12 00:02:28,606 --> 00:02:30,191 霧仁 起きてる? 13 00:02:30,608 --> 00:02:33,736 体の具合はどう? 入ってもいいかしら 14 00:02:33,862 --> 00:02:36,072 今朝から 何も食べてないでしょう? 15 00:02:36,197 --> 00:02:37,490 何か食べなくては 16 00:02:41,536 --> 00:02:44,706 よかった 今日は 顔色がいいみたいね 17 00:02:45,165 --> 00:02:47,500 霧仁の好きな レバニラ炒めよ 18 00:02:47,625 --> 00:02:50,587 男の子は たくさん食べて 体力をつけなくては― 19 00:02:51,004 --> 00:02:53,423 治る病気も治らないわ ねっ! 20 00:02:54,632 --> 00:02:58,720 あら 冷たい手ね お部屋に暖房は入れてるの? 21 00:03:00,096 --> 00:03:03,057 言っただろう 今 忙しいんだ 22 00:03:03,182 --> 00:03:08,521 食事の用意などしなくていい 俺に構うな 母上 23 00:03:11,024 --> 00:03:14,986 そ… そうね 勉強の邪魔して 悪かったわ でも― 24 00:03:15,612 --> 00:03:18,698 食事は別です ちゃんと全部 食べるのよ 25 00:03:18,823 --> 00:03:21,200 食べたら 食器は廊下に出しておいてね 26 00:03:28,708 --> 00:03:30,919 ちっ! あの女は苦手だ 27 00:03:31,461 --> 00:03:34,714 ほう これは臓物でございますか? 霧仁様 28 00:03:34,839 --> 00:03:36,132 レバニラ レバニラ! 29 00:03:41,095 --> 00:03:43,556 黄泉比良坂を塞がれはしたが― 30 00:03:43,848 --> 00:03:46,142 黄泉への入り口は 他にもある 31 00:03:46,851 --> 00:03:50,647 黄泉から持ち帰った土で 俺が作った石板鏡 32 00:03:51,606 --> 00:03:56,694 こいつが黄泉の周波と合わされば 黄泉への入り口が完成するはずだ 33 00:03:58,071 --> 00:04:02,533 そして もうすぐ 扉が開く 34 00:04:02,909 --> 00:04:06,788 再び黄泉に入り 今度こそ 元の体を取り戻す 35 00:04:07,372 --> 00:04:10,375 お前たちは ここに残れ 式神や妖怪は― 36 00:04:10,500 --> 00:04:13,336 黄泉の空気に触れると ちり化するからな 37 00:04:13,461 --> 00:04:16,755 ですが 霧仁様お一人で 大丈夫なのですか? 38 00:04:17,673 --> 00:04:18,341 ああ 39 00:04:19,132 --> 00:04:21,719 あの女の髪 これがあれば… 40 00:04:21,928 --> 00:04:24,013 ご出陣ですか? 霧仁殿 41 00:04:24,472 --> 00:04:26,266 これは 何とも勇ましい 42 00:04:27,016 --> 00:04:31,271 黄泉へのお供に 是非 私めも お連れいただきたいですね 43 00:04:31,646 --> 00:04:32,355 くっ! 44 00:04:32,689 --> 00:04:33,690 貴様! おっと 45 00:04:33,815 --> 00:04:35,233 いつぞやの無礼者! 46 00:04:35,358 --> 00:04:36,567 何をしに参った! 47 00:04:37,151 --> 00:04:40,071 いや 鞍馬の件では 面目ございません 48 00:04:40,196 --> 00:04:42,198 うっかり油断してしまいまして… 49 00:04:42,323 --> 00:04:43,074 ざまあない 50 00:04:43,574 --> 00:04:45,493 大口たたいて 出ていったくせに― 51 00:04:45,618 --> 00:04:48,079 手ぶらで来訪とは 豪気だな 夜鳥 52 00:04:49,539 --> 00:04:52,542 私の名前 覚えてくださっていたのですか? 53 00:04:53,167 --> 00:04:56,045 霧仁殿! 当たり前だ 54 00:04:56,587 --> 00:04:59,841 名前も覚えられんような あほうに見えるのか 俺が 55 00:05:01,175 --> 00:05:04,887 霧仁様 石板鏡が開きます! 56 00:05:06,931 --> 00:05:08,850 ついに開くか 57 00:05:09,350 --> 00:05:12,562 霧仁殿! 私も ご一緒させていただきたい 58 00:05:12,687 --> 00:05:13,563 ならん ならん! 59 00:05:14,063 --> 00:05:15,231 かまわん えっ? 60 00:05:15,690 --> 00:05:18,443 好きにしろ ついてこられるならな 61 00:05:20,695 --> 00:05:23,031 腐臭と汚れの地下世界 62 00:05:23,448 --> 00:05:26,993 毒の大気に耐えられぬ者は ちりに返る 63 00:05:27,368 --> 00:05:31,164 ここのどこかに 俺の体が眠っている 64 00:05:31,664 --> 00:05:33,750 必ず取り戻してやる! 65 00:05:36,669 --> 00:05:39,797 ハァー 広い 66 00:05:41,591 --> 00:05:43,676 これが黄泉の国か 67 00:05:45,178 --> 00:05:48,181 こんな暑い所とは 思わなかったですね 68 00:05:48,306 --> 00:05:52,018 やれやれ 霧仁殿は どこに落ちたかな 69 00:05:52,894 --> 00:05:55,229 あっ 霧仁殿! 70 00:05:58,441 --> 00:06:01,277 よかった 迷子になったら どうしようかと… 71 00:06:01,402 --> 00:06:04,238 意外だな お前が無事とは 72 00:06:04,363 --> 00:06:05,281 へっ? 73 00:06:05,782 --> 00:06:09,410 なまはんかな妖怪は 黄泉の空気に触れると ちり化する 74 00:06:09,535 --> 00:06:12,705 お前も 鉄鬼丸のように ちりになるかと思っていたが… 75 00:06:13,915 --> 00:06:17,668 何者だ お前 どうして悪羅王に関わる 76 00:06:18,169 --> 00:06:19,504 私は… 77 00:06:20,838 --> 00:06:24,008 昔 悪羅王様に お仕えしておりまして 78 00:06:24,133 --> 00:06:26,219 こんなやつ 知らねえけど… 79 00:06:27,178 --> 00:06:29,180 うそをつくな お前なんか 80 00:06:29,305 --> 00:06:30,598 本当ですよ 81 00:06:31,641 --> 00:06:33,309 もっとも 悪羅王様は― 82 00:06:33,434 --> 00:06:35,978 私のことなど 覚えておられないでしょう 83 00:06:36,104 --> 00:06:37,688 私 引っ込み思案で― 84 00:06:37,814 --> 00:06:40,024 いつも隅っこで 1人 泣いていましたから 85 00:06:41,234 --> 00:06:43,152 霧仁様は お若いようだから― 86 00:06:43,277 --> 00:06:45,822 悪羅王様のことは ご存じありますまい 87 00:06:46,614 --> 00:06:49,867 まあ 包んで言えば 純粋な邪気の持ち主ですね 88 00:06:49,992 --> 00:06:53,579 それに 己の欲求に忠実で 他を省みない性格 89 00:06:54,122 --> 00:06:57,166 しかし 省みられなくても ついていきたい部下は多く― 90 00:06:57,291 --> 00:06:59,961 かく言う私も その一人でした 91 00:07:00,086 --> 00:07:02,088 聞いておられますかな 霧仁殿 92 00:07:02,505 --> 00:07:03,381 暑いな 93 00:07:03,506 --> 00:07:07,927 そんな悪羅王様が 唯一 隣に置いたのが きつねの妖怪 94 00:07:12,849 --> 00:07:16,269 お二人の向かうところ 敵になる あやかしはおらず― 95 00:07:16,727 --> 00:07:19,939 その威力には 天の神々も 手を こまねいておりました 96 00:07:20,940 --> 00:07:21,858 ですが― 97 00:07:22,650 --> 00:07:25,862 ある時から 悪羅王様と きつね殿は 仲たがいを… 98 00:07:26,737 --> 00:07:28,614 以降は 衰退の一途 99 00:07:28,739 --> 00:07:32,743 きつね殿は行方をくらまし 悪羅王様の お体は黄泉へ 100 00:07:36,080 --> 00:07:37,707 仲たがいの原因を ご存じで… 101 00:07:38,249 --> 00:07:40,418 きつねが あほうになったからだ 102 00:07:40,626 --> 00:07:44,046 あの きつね野郎が 人の娘なんぞに入れ込んで― 103 00:07:44,172 --> 00:07:48,801 人間になるなどと 血迷いだしたからだ~! 104 00:07:50,094 --> 00:07:50,887 うん 105 00:07:51,762 --> 00:07:54,307 今日は 奈々生の好きな ハンバーグを作ろう 106 00:07:54,807 --> 00:07:57,602 そんなハイカラな物 作れんの? 巴衛君 107 00:07:57,727 --> 00:08:00,438 ああ 調べてみると 案外 簡単なのだ 108 00:08:01,105 --> 00:08:03,524 これなら しいたけを入れても気付かれまい 109 00:08:03,649 --> 00:08:06,360 ひどい! 奈々生ちゃんは しいたけが大嫌いなのに! 110 00:08:06,736 --> 00:08:09,822 じゃあ 僕も トカゲの尻尾を入れておくよ 111 00:08:09,947 --> 00:08:12,658 奈々生ちゃんに 精力つけてほしいから 112 00:08:12,909 --> 00:08:16,162 ヤモリ スッポン サンショウウオ 113 00:08:16,287 --> 00:08:18,331 こら! またサボってる! 114 00:08:18,456 --> 00:08:20,374 蔵の掃除 終わってないでしょ 瑞希! 115 00:08:20,833 --> 00:08:22,126 あっ 奈々生ちゃん 116 00:08:22,960 --> 00:08:25,129 あと ちょっとで 新年なんだからね! 117 00:08:25,254 --> 00:08:25,922 は~い 118 00:08:26,380 --> 00:08:30,092 あっ 今日 ハンバーグなんだ 楽しみ! 119 00:08:38,851 --> 00:08:43,231 なるほど きつね殿も 案外 ふぬけというわけですね 120 00:08:44,065 --> 00:08:45,691 いや… にしても暑い! 121 00:08:45,816 --> 00:08:49,612 ここは どこら辺でしょうかね 随分 歩いた気がしますが 122 00:08:49,737 --> 00:08:52,657 悪羅王様の お体は まだまだ遠いのでしょうか 123 00:08:53,157 --> 00:08:56,077 心なしか ますます暑くなっているような… 124 00:08:56,202 --> 00:08:57,828 ねえ 霧仁殿 125 00:08:58,037 --> 00:08:58,955 見つけた 126 00:08:59,330 --> 00:08:59,997 えっ? 127 00:09:00,456 --> 00:09:01,999 俺の体 128 00:09:02,333 --> 00:09:05,545 よもや あんな所に 捨て置かれているとは… 129 00:09:11,342 --> 00:09:13,511 な… 何です あの火の山は! 130 00:09:14,929 --> 00:09:19,100 間違いない あの山頂に 俺の体がある 131 00:09:20,226 --> 00:09:23,062 さしずめ 黄泉の ごみ処理場か 132 00:09:23,521 --> 00:09:28,276 神どもが 手に負えぬ不要物を ここで焼却しているわけだ 133 00:09:31,195 --> 00:09:32,113 霧仁殿? 134 00:09:32,238 --> 00:09:36,200 だが あんな炎では 俺の体を灰にはできん 135 00:09:36,492 --> 00:09:39,161 自己再生を繰り返し 永遠に― 136 00:09:39,287 --> 00:09:43,332 業火に焼かれ続けるんだ 俺の体が… 137 00:09:43,457 --> 00:09:44,375 霧仁殿 138 00:09:46,210 --> 00:09:49,672 状況が分かったところで 今日は もう引き返しましょう 139 00:09:49,797 --> 00:09:52,258 ここにいては あなたが 干からびてしまいそうです 140 00:09:52,717 --> 00:09:54,844 ふざけるな 目の前にあるのに! 141 00:09:54,969 --> 00:09:57,471 あいにく 我々は 不死身ではないので― 142 00:09:57,597 --> 00:09:59,432 あんな山 登るなんてできませんよ 143 00:09:59,932 --> 00:10:05,229 もしくは 炎を消す方法でもあれば 別ですが… 144 00:10:10,151 --> 00:10:12,069 くそっ くそっ! 145 00:10:12,612 --> 00:10:15,781 俺を こんな目に遭わせた あいつが心底 憎いのに― 146 00:10:16,282 --> 00:10:20,620 あいつの手を借りないと 自分を取り戻せないのか 147 00:10:24,040 --> 00:10:24,707 あっ 148 00:10:27,001 --> 00:10:29,253 ハァー ただいま戻りました 149 00:10:30,004 --> 00:10:33,341 霧仁様! しっかりしてください 霧仁様! 150 00:10:33,466 --> 00:10:35,635 貴様 霧仁様に 何をした! 151 00:10:35,760 --> 00:10:37,428 嫌だな 私は何も… 152 00:10:37,553 --> 00:10:38,763 フフッ うん? 153 00:10:40,306 --> 00:10:42,516 あいつの手を借りるだと? 154 00:10:43,142 --> 00:10:46,479 この俺が 随分 弱気な発想をしたもんだ 155 00:10:49,106 --> 00:10:52,193 使えるものは何だろうが 利用するだけの話 156 00:10:52,318 --> 00:10:56,489 体を取り戻すためなら 他のことなど どうでもいいんだ! 157 00:10:57,198 --> 00:10:57,865 はい 158 00:10:59,533 --> 00:11:03,496 あっ! 霧仁様! 石板鏡の中から 黒い煙が! 159 00:11:03,913 --> 00:11:07,333 黄泉の毒 石板鏡から漏れ出ているのか 160 00:11:07,458 --> 00:11:08,709 ああーっ! 161 00:11:09,293 --> 00:11:10,711 紋次郎! 162 00:11:11,295 --> 00:11:13,798 霧仁様 黄泉の穴を塞がねば! 163 00:11:13,923 --> 00:11:19,428 駄目だ 石板鏡を割らねば 開通した穴を塞ぐことはできん 164 00:11:20,930 --> 00:11:25,267 せっかく開いた黄泉への入り口を ここで壊すわけにはいかん 165 00:11:25,768 --> 00:11:29,855 絶対 黄泉にある元の体を取り戻すんだ 166 00:11:30,231 --> 00:11:33,901 そのためなら ここが 毒に さらされたところで― 167 00:11:34,026 --> 00:11:36,362 俺にとっては さして問題ではない 168 00:11:36,987 --> 00:11:38,406 俺にとっては… 169 00:11:39,031 --> 00:11:40,074 霧仁 170 00:11:40,282 --> 00:11:41,033 あっ 171 00:11:44,537 --> 00:11:45,454 ハッ 172 00:11:53,462 --> 00:11:56,006 霧仁 勉強はかどってる? 173 00:11:56,132 --> 00:11:59,135 甘い桃を頂いたから 夜食にと思って… 174 00:12:02,304 --> 00:12:05,724 言っただろう 今 忙しいんだよ 175 00:12:09,562 --> 00:12:10,729 母上… 176 00:12:23,701 --> 00:12:25,161 結婚式か 177 00:12:26,162 --> 00:12:29,874 何々? もしかして あれがしたいとか? 178 00:12:30,332 --> 00:12:33,377 うん 実は もう申し込まれてて… 179 00:12:33,502 --> 00:12:34,503 えっ? 180 00:12:35,796 --> 00:12:39,508 巴衛が OKなら 受けようかなって思ってるの 181 00:12:45,014 --> 00:12:49,935 鞍馬山を下りてから こっち なぜだか 胸がチクチク痛むな 182 00:12:50,853 --> 00:12:55,316 巴衛殿 年が明ける前に 年神様の所へ行かれませんと 183 00:12:55,858 --> 00:12:58,486 新しい お札を 頂かねばなりますまい 184 00:12:58,861 --> 00:13:00,905 ああ もう そんな時期か 185 00:13:01,989 --> 00:13:02,907 巴衛君! 186 00:13:05,367 --> 00:13:08,496 神使の分際で 主人に結婚を申し込むなど― 187 00:13:08,621 --> 00:13:10,915 万死に値する! 表に出ろ! 188 00:13:11,415 --> 00:13:14,084 フッ 何の話だか知らないが― 189 00:13:14,502 --> 00:13:18,464 上等だ 蛇! 生皮 剥いで 天日干しにしてやる! 190 00:13:21,258 --> 00:13:22,301 やめー! 191 00:13:24,303 --> 00:13:28,057 全く… どうして私が 結婚することになってんの? 192 00:13:28,390 --> 00:13:29,934 違うの? 奈々生ちゃん 193 00:13:30,059 --> 00:13:34,063 違うわよ 社で神前婚したいって 申し込みが来ただけ 194 00:13:34,355 --> 00:13:35,439 ほう 誰だ 195 00:13:38,359 --> 00:13:40,694 なまずが 人間と結婚など できるか! 196 00:13:40,819 --> 00:13:43,280 そ… そんなの やってみないと 分かんないじゃん! 197 00:13:43,572 --> 00:13:44,740 皇女がね― 198 00:13:44,865 --> 00:13:48,619 小太郎君と式を挙げるときは 是非うちでって言ってくれたの 199 00:13:48,744 --> 00:13:52,248 2人の出会いから結婚まで 立ち会えるなんて すてきじゃない 200 00:13:52,748 --> 00:13:55,459 ままごととはいえ 仮にも婚姻 201 00:13:55,584 --> 00:13:57,336 まして異種間ともなれば― 202 00:13:57,461 --> 00:14:00,214 半人前のお前に 務まる仕事ではない 203 00:14:01,215 --> 00:14:05,386 やる! できる! 私だって 神様として成長してんだから 204 00:14:05,844 --> 00:14:08,347 うん 奈々生ちゃんなら きっと できるよ 205 00:14:08,764 --> 00:14:12,268 巴衛君が協力しなくても 僕が お手伝いするからね 206 00:14:12,560 --> 00:14:13,852 瑞希 ありがとう 207 00:14:14,270 --> 00:14:15,437 くそ蛇が! 208 00:14:16,188 --> 00:14:18,274 ああ でも 安心したよ 209 00:14:18,399 --> 00:14:19,817 僕は てっきり 奈々生ちゃんが― 210 00:14:19,942 --> 00:14:22,528 寿退社する気なんだと 思っちゃった 211 00:14:22,653 --> 00:14:28,158 あら 私は 結婚なんかしないわよ 絶対 212 00:14:31,412 --> 00:14:33,706 巴衛殿 そろそろ お支度を 213 00:14:33,831 --> 00:14:38,002 早く年神様の お社に行かねば 門が閉まってしまいましょう 214 00:14:38,127 --> 00:14:39,503 うん… そうだった 215 00:14:39,837 --> 00:14:40,754 年神? 216 00:14:41,255 --> 00:14:44,633 毎年 お正月に家に来るっていう 神様のこと? 217 00:14:44,842 --> 00:14:49,430 そう 新しい一年に 実りをもたらす来訪神だ 218 00:14:49,638 --> 00:14:53,976 もともとは 1柱の神が 各家を回っていたのだが― 219 00:14:54,602 --> 00:14:57,563 過労がたたって 腰を痛めてな 220 00:14:57,938 --> 00:15:03,402 今では 12柱の神々が 1年交代で年神の任に就いている 221 00:15:05,279 --> 00:15:09,992 そのため 社は毎年 次の年神の札を頂きに― 222 00:15:10,117 --> 00:15:12,995 年神社へ行く 習わしになっているのだ 223 00:15:14,872 --> 00:15:16,123 というわけで― 224 00:15:16,332 --> 00:15:20,502 俺たちは 今から2人で 年神の社に行ってくるとしよう 225 00:15:20,628 --> 00:15:23,964 うん? 俺たちというのは もしかして 君と僕? 226 00:15:24,381 --> 00:15:25,549 もちろんだ 227 00:15:25,674 --> 00:15:30,054 2人きり 奈々生のいない所で さっきの続きをしようではないか 228 00:15:30,179 --> 00:15:32,056 神使同士 2人きりで 229 00:15:32,473 --> 00:15:34,934 2人だけで行くの? いつ帰ってくる? 230 00:15:35,392 --> 00:15:39,688 うん 瑞希は帰ってこられぬかも しれんな 永遠に 231 00:15:39,813 --> 00:15:41,982 いやいや それは巴衛君のほう 232 00:15:42,107 --> 00:15:43,651 わ… 私も行く! 233 00:15:43,817 --> 00:15:47,029 駄目だ お前が行くと また面倒な… 234 00:15:47,279 --> 00:15:48,238 私も行く! 235 00:15:50,407 --> 00:15:51,575 いいよ 236 00:15:53,827 --> 00:15:57,998 やれやれ こいつは いつもそうなのだ 237 00:15:58,123 --> 00:16:01,794 身の丈も知らず 何でも首を突っ込みたがる 238 00:16:02,962 --> 00:16:06,298 わあ ここが年神の社? 239 00:16:06,632 --> 00:16:08,175 その入り口だよ 240 00:16:08,300 --> 00:16:11,637 鳥居が たくさんある ここを くぐっていけばいいのね 241 00:16:12,221 --> 00:16:15,975 あれ? 私の名前が書いてある 何で… 242 00:16:16,809 --> 00:16:18,644 これは 十二鳥居 243 00:16:18,769 --> 00:16:22,690 12年ぶりの年神に おのおのの12年を示すため― 244 00:16:23,607 --> 00:16:29,571 年神の社に行く者は ここを通って 己の12年を振り返らねばならん 245 00:16:29,947 --> 00:16:34,284 僕 これ嫌なんだよね 頭 グルグルするからさ 246 00:16:34,410 --> 00:16:35,911 頭 グルグルするの? 247 00:16:36,036 --> 00:16:37,663 12年酔いってやつ? 248 00:16:44,503 --> 00:16:46,505 奈々生は ここで待っていろ 249 00:16:46,630 --> 00:16:49,758 俺と蛇で行って用を済ませ すぐ戻る 250 00:16:49,883 --> 00:16:53,095 人間の体で 急激な意識移動は危ない 251 00:16:53,470 --> 00:16:55,806 大丈夫 何か面白そうだし 252 00:16:58,434 --> 00:17:01,186 自分の名前の鳥居を くぐればいいのね 253 00:17:01,645 --> 00:17:02,312 また… 254 00:17:03,230 --> 00:17:04,857 行っちゃった 255 00:17:04,982 --> 00:17:09,819 12年か… いいね 心に曇りのない奈々生ちゃんは 256 00:17:11,446 --> 00:17:14,657 僕は ヨノモリ様を失って― 257 00:17:14,782 --> 00:17:17,536 引きこもってた月日を 回顧するのが怖い 258 00:17:18,704 --> 00:17:21,040 奈々生は 能天気だからな 259 00:17:21,874 --> 00:17:25,586 そうでもないよ 彼女は 好きとは言っても― 260 00:17:25,711 --> 00:17:30,215 結婚できる相手じゃないと 割り切ってる 賢いよ 261 00:17:31,759 --> 00:17:35,596 あいにく あいつは お前のように 計算が得意ではない 262 00:17:35,721 --> 00:17:37,347 すごいよ 巴衛君 263 00:17:37,473 --> 00:17:39,725 奈々生ちゃんのこと よく知ってるんだね 264 00:17:41,143 --> 00:17:43,979 空気が悪くなってきたから 僕も行こう! 265 00:17:47,316 --> 00:17:52,529 当たり前だ 奈々生のことは 俺が いちばん よく知っている 266 00:17:53,155 --> 00:18:00,037 癖も しぐさも… 甘い匂いも… そう 267 00:18:01,580 --> 00:18:02,498 巴衛君 268 00:18:02,956 --> 00:18:06,376 先に入った奈々生ちゃんが まだ出てこないんだけど 269 00:18:06,877 --> 00:18:11,965 たとえ問題が起きたとしても ある程度は想定内だ 270 00:18:12,091 --> 00:18:13,759 怒らないであげてよ 271 00:18:14,426 --> 00:18:17,387 おおかた どこかで 意識が引っ掛かっているのだろう 272 00:18:17,930 --> 00:18:21,225 他人の鳥居に入るのは タブーなんだけどな 273 00:18:21,350 --> 00:18:22,976 言ってる場合か 274 00:18:23,519 --> 00:18:25,938 奈々生の意識は どの辺りにいるのだ? 275 00:18:26,063 --> 00:18:27,564 見当もつかないね 276 00:18:47,126 --> 00:18:49,795 巴衛君! 何 ぼーっとしてんだよ! 277 00:18:49,920 --> 00:18:51,922 今の奈々生ちゃんだよ! はっ? 278 00:18:52,047 --> 00:18:54,925 奈々生ちゃんの意識が 12年前に戻ってるんだ! 279 00:18:55,342 --> 00:18:56,051 えっ? 280 00:18:57,678 --> 00:18:59,888 あれが奈々生? 281 00:19:03,559 --> 00:19:04,309 奈々生 282 00:19:07,813 --> 00:19:09,189 保育園の帰りか? 283 00:19:10,649 --> 00:19:11,483 お父さん 284 00:19:13,777 --> 00:19:14,903 それ何だ? 285 00:19:15,279 --> 00:19:18,448 パンの耳 もらったの お母さんにあげるの 286 00:19:19,241 --> 00:19:22,411 もっといい物 やるよ ほら 287 00:19:22,911 --> 00:19:25,747 わあ チョコレートだ わーい 288 00:19:25,873 --> 00:19:29,418 パチンコの景品だ 今日は 勝ったんだぞ 289 00:19:30,127 --> 00:19:31,170 じゃあな 290 00:19:32,171 --> 00:19:33,046 軍資金 稼いだから― 291 00:19:33,172 --> 00:19:36,175 しばらく帰らねえって お母さんに言っとけ 292 00:19:44,474 --> 00:19:47,769 うふふ うふふふ 293 00:19:48,353 --> 00:19:49,938 奈々生ちゃん うん? 294 00:19:52,232 --> 00:19:53,525 見つけたよ 295 00:19:53,942 --> 00:19:58,280 小さい君も かわいいね さあ 僕と一緒に帰ろう 296 00:19:59,781 --> 00:20:01,033 人さらい! 297 00:20:04,536 --> 00:20:05,370 な… 298 00:20:05,829 --> 00:20:07,164 ああ 奈々生だ 299 00:20:07,497 --> 00:20:09,750 だから そうだって言ってるだろう ばか! 300 00:20:10,250 --> 00:20:11,877 身の丈に合わず― 301 00:20:12,002 --> 00:20:14,755 向こう見ずで むちゃなところは 変わらないな 302 00:20:15,214 --> 00:20:18,175 しかも 何だか ちょこまかと動いていて― 303 00:20:18,300 --> 00:20:20,177 あれはあれで かわいい 304 00:20:24,097 --> 00:20:27,684 何にせよ 早く 奈々生を連れて帰らねば… 305 00:20:31,647 --> 00:20:33,065 申し訳ありません! 306 00:20:33,523 --> 00:20:35,859 お宅 本当に払う気あるの? 307 00:20:35,984 --> 00:20:38,695 今朝 パチンコ屋に並んでる ご亭主 見たんだよ 308 00:20:38,820 --> 00:20:41,907 パチンコする金あるんなら 借金だって返せるだろう! 309 00:20:42,032 --> 00:20:44,243 家賃だって もう2か月たまってんのよ! 310 00:20:45,035 --> 00:20:49,665 すみません 本当に 必ず主人に 月曜までに払わせます 311 00:20:50,249 --> 00:20:52,334 そんな話 信じられないね 312 00:20:52,459 --> 00:20:55,003 奥さんだって 払う気が さらさらないとなると… 313 00:20:56,505 --> 00:20:58,548 大体 金もないのに… 314 00:21:02,552 --> 00:21:03,971 人様の借家… 315 00:21:08,225 --> 00:21:10,143 我々にも生活がある 316 00:21:10,269 --> 00:21:11,728 ご近所で いづらくなる 317 00:21:12,145 --> 00:21:14,022 月曜には 用立てられますので 318 00:21:14,815 --> 00:21:17,442 はい それはもう 申し訳ありません 319 00:21:20,988 --> 00:21:24,449 あっ 奈々生 おかえり! 320 00:21:26,159 --> 00:21:27,577 お母さん 321 00:21:43,385 --> 00:21:46,930 奈々生から親の話を ほとんど聞かなかったが― 322 00:21:47,347 --> 00:21:48,598 なるほどな 323 00:21:51,226 --> 00:21:54,438 何が なるほどだ さっさと行きなよ 324 00:21:54,938 --> 00:21:59,860 あの母親 病を患っている 恐らく あまり長くない 325 00:22:03,655 --> 00:22:08,201 1人は夜逃げ 1人は死別か… 326 00:22:19,004 --> 00:22:20,130 巴衛君ってば 327 00:22:20,255 --> 00:22:22,299 待て もう少し… 328 00:22:23,675 --> 00:22:27,387 あれは 俺の知らない奈々生だ 329 00:23:40,544 --> 00:23:43,004 奈々生の子供のころを のぞき見る巴衛たち 330 00:23:43,130 --> 00:23:44,840 ああ この年にして波乱万丈 331 00:23:44,923 --> 00:23:46,591 もう見てらんない でも知りたい 332 00:23:46,675 --> 00:23:49,970 そんな ちっちゃな奈々生に 寄り添い 巴衛は何を思うのか 333 00:23:50,053 --> 00:23:51,805 次回「神様、求婚される」 334 00:23:51,888 --> 00:23:54,641 最終話でございます おときめきあれ