1 00:00:03,036 --> 00:00:07,908 御前会議は 宗家と四家の ごく限られた者だけが出席できる➡ 2 00:00:07,908 --> 00:00:10,611 山内の最高会議だ。 3 00:00:10,611 --> 00:00:13,514 招集をかけられるのは金烏だけ。 4 00:00:13,514 --> 00:00:17,284 つまり 誰かが今上陛下をそそのかし➡ 5 00:00:17,284 --> 00:00:21,488 私のことを蹴落とそうとしているわけだ。 6 00:00:21,488 --> 00:00:27,394 つまり 十年前の若宮の皇太子選定には 問題があった。➡ 7 00:00:27,394 --> 00:00:30,931 貴殿はそう言いたいのか 松韻殿。 8 00:00:30,931 --> 00:00:32,933 左様でございます。 9 00:00:32,933 --> 00:00:35,903 それを今さら検証すると? 10 00:00:35,903 --> 00:00:39,172 若宮本人が不在の この場で。 11 00:00:39,172 --> 00:00:44,978 そもそも若宮を皇太子にと定められたのは 先代金烏と神官。➡ 12 00:00:44,978 --> 00:00:49,750 しかし直後に 若宮は遊学と称し山内を離れ➡ 13 00:00:49,750 --> 00:00:53,053 そのため四家どころか 当代金烏であらせられる➡ 14 00:00:53,053 --> 00:00:57,457 今上陛下の承認さえも いまだない状態です。 15 00:01:01,228 --> 00:01:04,798 笑止! 殿下は“真の金烏”なのだぞ。 16 00:01:04,798 --> 00:01:06,733 他に何が必要か。 17 00:01:06,733 --> 00:01:11,238 金烏が生まれると世が荒れる とも言いますゆえ。 18 00:01:11,238 --> 00:01:13,173 南家の 無礼ではないか! 19 00:01:13,173 --> 00:01:17,578 まあまあ。 それは古い言い伝えではありますが➡ 20 00:01:17,578 --> 00:01:23,383 このように意見が割れるというのは よろしくない傾向かもしれませんなあ。 21 00:01:23,383 --> 00:01:27,721 (松韻)かくなる上は 改めて皇太子を選び直すべきかと。 22 00:01:27,721 --> 00:01:30,157 (顕)ふん! それが目的か。➡ 23 00:01:30,157 --> 00:01:32,159 一体どなたのご意向かな。 24 00:01:32,159 --> 00:01:34,328  嘴を慎まれよ! 25 00:01:34,328 --> 00:01:39,166 陛下の秘書官である私の言うことは いわば陛下のお言葉。 26 00:01:39,166 --> 00:01:43,036 ぁ…。 これはこれは 若宮殿下。 27 00:01:43,036 --> 00:01:46,606 少々来るのが遅かったようですなあ。 28 00:01:46,606 --> 00:01:50,510 路近。 私を止めろと命令でもされたか。 29 00:01:50,510 --> 00:01:55,916 ご冗談を! 長束さまは そんな命令はなさりませんよ。 30 00:01:55,916 --> 00:02:02,022 そんなことせずとも もうこの門は 内側から鍵をかけられているのですから。 31 00:02:07,361 --> 00:02:09,296 開けよ。 32 00:02:09,296 --> 00:02:12,332 それでは採決を。 (鈴の音) 33 00:02:12,332 --> 00:02:14,501 ん?ん…? (鈴の音) 34 00:02:14,501 --> 00:02:18,271 あ…。ん? (鈴の音) 35 00:02:18,271 --> 00:02:20,273 っ… 何事だ! 36 00:02:21,942 --> 00:02:25,812 (扉の開く音) 37 00:02:25,812 --> 00:02:37,024 ♬~ 38 00:02:41,094 --> 00:02:55,042 ♬~ 39 00:02:55,042 --> 00:02:58,912 ♬「羽を伸ばしてふらふら」 40 00:02:58,912 --> 00:03:03,483 ♬「うつけてみたいや 何も考えたくない」 41 00:03:03,483 --> 00:03:05,419 ♬「疲れてしまったよ」 42 00:03:05,419 --> 00:03:09,089 ♬「羽目をはずして ぐだぐた」 43 00:03:09,089 --> 00:03:14,795 ♬「流石に昨日はちょっと 遊びすぎたかもな」 44 00:03:14,795 --> 00:03:19,399 ♬「カァカァ烏合の衆 文句ばっかりじゃない?」 45 00:03:19,399 --> 00:03:24,805 ♬「で何?やっかみ?優雅に壊してくる」 46 00:03:24,805 --> 00:03:32,145 ♬「平気な顔で躊躇いなく嘘をつく」 47 00:03:32,145 --> 00:03:36,016 ♬「騙し合い 悲しくなった」 48 00:03:36,016 --> 00:03:39,586 ♬「まだ青く不確かな」 49 00:03:39,586 --> 00:03:45,826 ♬「飾らない僕にも 変わらない愛を」 50 00:03:45,826 --> 00:03:49,830 ♬「目的地が分からない」 51 00:03:49,830 --> 00:03:55,068 ♬「運命的な出会いがしたい」 52 00:03:55,068 --> 00:04:00,874 ♬「どうせなら遠回りもしたい」 53 00:04:00,874 --> 00:04:09,683 ♬~ 54 00:04:14,454 --> 00:04:18,225 (大紫の御前) 若宮は まだ桜花宮には参らぬとな。 55 00:04:18,225 --> 00:04:22,095 (松韻)はい。 なかなか勘は働くと見える。 56 00:04:22,095 --> 00:04:25,866 だが うつけでは金烏はつとまらぬ。 57 00:04:25,866 --> 00:04:28,835 お前もそう思わぬか? (松韻)は…。 58 00:04:28,835 --> 00:04:34,574 いずれ長束を還俗させ 正式な皇太子にするつもりだ。 59 00:04:34,574 --> 00:04:38,979 そのためには何としても 若宮を廃嫡せねばならぬ。 60 00:04:40,814 --> 00:04:42,816 南家のために。 61 00:04:50,390 --> 00:04:53,727 <何だったんだ 今の…。➡ 62 00:04:53,727 --> 00:04:56,329 なんかおっかなそう…。➡ 63 00:04:56,329 --> 00:04:58,832 長束さまだ。➡ 64 00:04:58,832 --> 00:05:02,803 御簾の奥… あれが今の金烏…?> 65 00:05:02,803 --> 00:05:07,240 フゥ… こそこそとつまらぬ真似を…。 66 00:05:07,240 --> 00:05:13,046 松韻 誰がお前の後ろにいるのか 皆知っていることだ。 67 00:05:13,046 --> 00:05:15,248 おかげで手間が省けた。 っ⁉ 68 00:05:19,352 --> 00:05:23,223 今上陛下 今のでお分かりになったでしょう。 69 00:05:23,223 --> 00:05:27,093 山内に二羽の金烏は禍のもとだ。 70 00:05:27,093 --> 00:05:29,663 あなたはいわば つなぎだった。 71 00:05:29,663 --> 00:05:34,501 そして私は帰還し あなたは役目を終えた。 72 00:05:34,501 --> 00:05:36,803 そこをどきなさい。 73 00:05:36,803 --> 00:05:39,239 ぅうっ…! 74 00:05:39,239 --> 00:05:41,241 うわぁあああ! はぁっ!➡ 75 00:05:41,241 --> 00:05:45,512 うぅっ! うぅぅ…! ふうっ! 76 00:05:45,512 --> 00:05:48,982 はっ はっ… お前…! 77 00:05:48,982 --> 00:05:53,486 よくも! よくも父である この私に…! 78 00:05:53,486 --> 00:05:56,389 お前に 私の何が分かる! 79 00:05:56,389 --> 00:05:59,292 私の何が! 何が… っ! 80 00:06:03,730 --> 00:06:05,732 もういい。 81 00:06:07,701 --> 00:06:09,803 ご苦労であった。 っ! 82 00:06:11,605 --> 00:06:13,607 ぅ… あぁ…。 83 00:06:15,442 --> 00:06:17,644 連れて行ってやりなさい。 84 00:06:17,644 --> 00:06:19,646 ⚟(殿上童)陛下っ! ⚟(足音) 85 00:06:23,250 --> 00:06:27,687 さて これで問題は一つ解決したな。 86 00:06:27,687 --> 00:06:29,990 次は…。 (長束)今のは…。 87 00:06:29,990 --> 00:06:34,494 あまりにむごい なさりようではありますまいか。 兄上…。 88 00:06:34,494 --> 00:06:40,967 (長束)仮にも陛下は二十年の長きにわたり 山内を治められたお方。 89 00:06:40,967 --> 00:06:43,803 もう少し穏便な方法もあったはずです。 90 00:06:43,803 --> 00:06:48,174 フッ… 兄上は本当によく気が回る。 91 00:06:48,174 --> 00:06:53,313 うつけな弟を見て もどかしく思うこともあるのではないか? 92 00:06:53,313 --> 00:06:56,283 もし自分が皇太子であったらと。 93 00:06:56,283 --> 00:06:58,285 めっそうもない。 94 00:06:58,285 --> 00:07:00,654 私がここに出向いたのは➡ 95 00:07:00,654 --> 00:07:05,358 ひとえに宗家の者として 山内のことを案ずるがゆえ…。 96 00:07:05,358 --> 00:07:08,762 真の金烏にあらせられる若宮殿下が➡ 97 00:07:08,762 --> 00:07:12,632 平和と安寧を もたらしてくださるのであれば➡ 98 00:07:12,632 --> 00:07:17,604 私が取って代わるなど あり得ぬことでございます。 99 00:07:17,604 --> 00:07:20,106 では誓えるか。 100 00:07:20,106 --> 00:07:26,012 今ここで跪き 頭を垂れ 私に忠誠を尽くすと。 101 00:07:26,012 --> 00:07:28,148 …っ! 102 00:07:28,148 --> 00:07:30,984 (ざわめき) 103 00:07:30,984 --> 00:07:33,286 <何なんだ この展開…➡ 104 00:07:33,286 --> 00:07:36,056 ああ もう… 垂氷に帰りたい!> 105 00:07:36,056 --> 00:07:38,058 ⚟お待ちを! んっ? 106 00:07:40,226 --> 00:07:43,964 南大宮家の敦房か。 何だ? 107 00:07:43,964 --> 00:07:48,802 恐れながら 長束さまに 二心のあろうはずはありません。 108 00:07:48,802 --> 00:07:52,772 長束さまは常に山内を思い 常に若宮殿下のことを――。 109 00:07:52,772 --> 00:07:54,874 (長束)よい 敦房。 110 00:07:58,378 --> 00:08:00,313 あっ…! 111 00:08:00,313 --> 00:08:02,315 あ…! 112 00:08:07,087 --> 00:08:10,857 親愛なる 真の金烏陛下に➡ 113 00:08:10,857 --> 00:08:14,160 身命を賭して忠義を尽くすと➡ 114 00:08:14,160 --> 00:08:16,863 お誓い 申し上げまする。 115 00:08:16,863 --> 00:08:19,332 …それでいい。 116 00:08:19,332 --> 00:08:21,334 (椅子から立ち上がる音) 117 00:08:23,837 --> 00:08:25,772 お待ちください! 118 00:08:25,772 --> 00:08:30,276 まだ四家の同意を得たとは 言いかねる状況と思いますが! 119 00:08:30,276 --> 00:08:32,979 儂は最初から言うているであろう。 120 00:08:32,979 --> 00:08:37,817 真の金烏であるという以外に 何が必要なのかと。 121 00:08:37,817 --> 00:08:41,988 私も特に反対というわけでは…。 122 00:08:41,988 --> 00:08:46,793 南家としては 長束さまが忠誠を誓った以上➡ 123 00:08:46,793 --> 00:08:49,396 反対する理由はござらぬ。➡ 124 00:08:49,396 --> 00:08:53,266 殿下は心置きなく 即位するがよろしかろう。…くっ! 125 00:08:53,266 --> 00:08:56,903 一つお伺いしたい。 126 00:08:56,903 --> 00:09:00,106 北家の玄哉公か。 何だ? 127 00:09:00,106 --> 00:09:03,309 即位には后を伴うのが慣例。 128 00:09:03,309 --> 00:09:07,113 しかし殿下は 花街には足しげく通うも➡ 129 00:09:07,113 --> 00:09:10,650 一向に桜花宮には足を運ばれぬ。 130 00:09:10,650 --> 00:09:14,220 本気で后を選ぶつもりがおありか。➡ 131 00:09:14,220 --> 00:09:17,323 返答如何では同意いたしかねますぞ。 132 00:09:17,323 --> 00:09:21,895 当然だ。 一年後に金烏の即位式を行う。 133 00:09:21,895 --> 00:09:25,765 その前には必ず ひとりの姫を入内させよう。 134 00:09:25,765 --> 00:09:28,868 (ざわめき) 135 00:09:31,938 --> 00:09:34,140 帰るぞ雪哉。 あっ…。 136 00:09:40,647 --> 00:09:42,615 ひっ…! 137 00:09:42,615 --> 00:09:44,617 長束さま! 138 00:09:46,453 --> 00:09:51,858 一年だ。 それまで 何としても…。 139 00:09:51,858 --> 00:09:54,394 (にぎわう声) 140 00:09:54,394 --> 00:09:57,897 あのー… これは一体…。 141 00:09:59,599 --> 00:10:03,169 っ… どういうおつもりなんですか⁉ 142 00:10:03,169 --> 00:10:07,106 ん? 見てのとおり 総仕舞よ。 143 00:10:07,106 --> 00:10:11,611 お前のための宴だ。 遠慮せず飲みなさい。 ぁ…。 144 00:10:11,611 --> 00:10:13,680 そんな緊張しないで。 っ! 145 00:10:13,680 --> 00:10:16,816 あなたの歓迎会なんだから。 そうよ。 146 00:10:16,816 --> 00:10:21,087 今日は ぜーんぶ若さまもち。 飲みましょ飲みましょ。 147 00:10:21,087 --> 00:10:23,957 僕 まだ元服前なんで…。 148 00:10:23,957 --> 00:10:26,626 北領の武家は 産湯代わりに➡ 149 00:10:26,626 --> 00:10:29,529 酒に浸からせると聞いたが? んぎ…! 150 00:10:29,529 --> 00:10:32,499 ほらほら 坊ちゃん! 楽しみましょ。 151 00:10:32,499 --> 00:10:35,335 ちょ ちょっと雪隠に…! 152 00:10:35,335 --> 00:10:38,438 いやだ かわいい~。 (遊女たちの笑い声) 153 00:10:40,173 --> 00:10:44,177 (町人)哨月楼は にぎやかだなぁ。 また例の若さまか。 154 00:10:44,177 --> 00:10:48,281 総仕舞だってよ。 景気が良くて羨ましいや。 155 00:11:00,226 --> 00:11:02,162 雪隠は向こうだぞ。 156 00:11:02,162 --> 00:11:04,597 あのですねぇ… っと! 157 00:11:04,597 --> 00:11:06,100 おっ と… あ…。 158 00:11:06,100 --> 00:11:09,903 今日は四個だ。 159 00:11:09,903 --> 00:11:12,138 ハァ… 殿下。 160 00:11:12,138 --> 00:11:14,707 ここでは若さまと言いなさい。 161 00:11:14,707 --> 00:11:18,244 ワカサマ 僕は呆れてんですよ。 162 00:11:18,244 --> 00:11:21,147 そうなのか。 だってそうでしょ。 163 00:11:21,147 --> 00:11:24,951 刺客に狙われているってのに こんな物騒なとこで➡ 164 00:11:24,951 --> 00:11:27,287 護衛もつけずに大騒ぎして…。 165 00:11:27,287 --> 00:11:29,889 あの会議だって…。 166 00:11:29,889 --> 00:11:33,426 あれじゃ敵を増やしに行ってるような もんじゃないですか。 167 00:11:33,426 --> 00:11:35,428 …ん? 168 00:11:39,966 --> 00:11:42,769 私を心配してくれるのか? 169 00:11:45,772 --> 00:11:48,408 だからっ…! 170 00:11:48,408 --> 00:11:51,411 もういいです! 勝手にやってください! 171 00:11:57,617 --> 00:11:59,919 ふあぁぁ…。 172 00:11:59,919 --> 00:12:04,223 朝の花街って なんか別の町みたいですね。 173 00:12:04,223 --> 00:12:07,226 (二人の足音) 174 00:12:08,895 --> 00:12:10,897 ん? 175 00:12:16,302 --> 00:12:19,339 ⚟(複数の足音) 176 00:12:19,339 --> 00:12:21,441 若さま あの…。 177 00:12:23,476 --> 00:12:25,478 っ! 178 00:12:29,349 --> 00:12:32,185 ハッ! 179 00:12:32,185 --> 00:12:34,487 (賊)その刀を こっちに渡せ。 180 00:12:34,487 --> 00:12:36,723 っ… あ…! 181 00:12:36,723 --> 00:12:39,692 何の用だ。 金が目当てか。 182 00:12:39,692 --> 00:12:43,429 プッ… ぐだぐだ言ってねえで言うとおりにしろ! 183 00:12:43,429 --> 00:12:46,933 わ 若さま…。 分かった。 言うとおりにしよう。 184 00:12:52,138 --> 00:12:54,140 はぁッ! 185 00:12:55,842 --> 00:12:58,878 澄尾さま⁉ (賊)ぐわあぁ!(澄尾)下がってろ! 186 00:12:58,878 --> 00:13:01,381 うおおぉ! 187 00:13:01,381 --> 00:13:03,483 ぐぉ! うぅっ! うおぉぉ! 188 00:13:05,251 --> 00:13:07,253 死ねぇーッ! 189 00:13:07,253 --> 00:13:09,255 でぇッ! がっ…! 190 00:13:12,992 --> 00:13:16,195 うっ…。 ダメだ! 退けっ! 191 00:13:16,195 --> 00:13:19,399 うっ…。 192 00:13:19,399 --> 00:13:21,334 …ヒッ! 193 00:13:21,334 --> 00:13:23,336 目的は何だ。 194 00:13:23,336 --> 00:13:25,905 さっさと言え!! うっ! 195 00:13:25,905 --> 00:13:29,275 さもないと 腕の一本や二本じゃ済まねえぞ! 196 00:13:29,275 --> 00:13:32,812 お… 俺はただ… あのお方の命令に…。 197 00:13:32,812 --> 00:13:34,747 それは誰だ! 言え!! 198 00:13:34,747 --> 00:13:38,685 そ それは… うっ!! ぐぅぅ…! 199 00:13:38,685 --> 00:13:42,255 っ⁉ しまった! ぐぅぅ…っ! 200 00:13:42,255 --> 00:13:44,190 ぐはぁ! 201 00:13:44,190 --> 00:13:46,726 っ!! クッ…。 202 00:13:46,726 --> 00:13:48,661 は…! 203 00:13:48,661 --> 00:13:53,132 毒です。 最初から 口を封じるつもりだったんでしょう。 204 00:13:53,132 --> 00:13:57,003 他の奴らも今頃は恐らく…。 205 00:13:57,003 --> 00:14:01,774 なるほど。 抜かりがないな 「あのお方」とやらは。 206 00:14:01,774 --> 00:14:05,645 (澄尾)誘拐が目的なら こんなに早く回る毒は飲ませません。 207 00:14:05,645 --> 00:14:07,947 目的は一つ。ハァッ ハァッ…。 208 00:14:07,947 --> 00:14:10,450 私の命か…。…ハッ! 209 00:14:10,450 --> 00:14:13,352 ハ… ハッ ハッ ハッ…。 210 00:14:13,352 --> 00:14:15,855 雪哉?ハッ ハッ ハッ…! 211 00:14:15,855 --> 00:14:17,924 (倒れる音) 212 00:14:17,924 --> 00:14:19,926 (水音) 213 00:14:25,064 --> 00:14:26,999 ぁ…。 214 00:14:26,999 --> 00:14:30,870 殿下…。 少しは良くなったか。 215 00:14:30,870 --> 00:14:34,474 申し訳ありません… 見苦しい姿を…。 216 00:14:36,676 --> 00:14:38,611 無理をするな。 217 00:14:38,611 --> 00:14:40,713 はい…。 218 00:14:44,484 --> 00:14:47,954 (水音) 219 00:14:47,954 --> 00:14:52,658 殿下は襲ってきたのが何者か ご存じなのですよね。 220 00:14:55,995 --> 00:15:00,933 「長束派」というのを お前は聞いたことがあるか。 221 00:15:00,933 --> 00:15:04,637 (喜栄)それでも 聡明な長束さまを惜しんだ宮烏が➡ 222 00:15:04,637 --> 00:15:08,941 ひそかに「長束派」を形成。 長束さまの母上である皇后が➡ 223 00:15:08,941 --> 00:15:12,779 何か企んでいるという噂があるのだ。 224 00:15:12,779 --> 00:15:14,380 …はい。 225 00:15:14,380 --> 00:15:19,218 長束派の中心は 皇后の出身家である南家だ。 226 00:15:19,218 --> 00:15:21,954 だが会議を見て分かったろう。 227 00:15:21,954 --> 00:15:26,926 私に味方をしようという者は 皆無だ。 228 00:15:26,926 --> 00:15:32,231 ほとんどの宮烏は 私が死んだほうが 都合がいいと思っている。 229 00:15:32,231 --> 00:15:34,500 そんな…。 230 00:15:34,500 --> 00:15:38,471 幼い頃から私は 命を狙われてきた。 231 00:15:38,471 --> 00:15:41,107 その犠牲になった一人が➡ 232 00:15:41,107 --> 00:15:43,810 私の母だ。 え…! 233 00:15:43,810 --> 00:15:48,648 母はかつて お前が桜花宮で見た姫たちと同じように➡ 234 00:15:48,648 --> 00:15:53,486 期待に胸を膨らませて 西家の姫として登殿した。 235 00:15:53,486 --> 00:15:57,824 入内はならなかったが 側室として迎え入れられ➡ 236 00:15:57,824 --> 00:16:00,827 私と 妹の藤波を生み➡ 237 00:16:00,827 --> 00:16:05,965 そして陰謀の巻き添えとなり 命を落とした。 238 00:16:05,965 --> 00:16:11,137 刺客から逃れるため 母の生家である西家に身を寄せたが➡ 239 00:16:11,137 --> 00:16:15,775 彼らは私を政治利用したいだけで 味方ではなかった。 240 00:16:15,775 --> 00:16:18,678 だから遊学を? ああ。 241 00:16:18,678 --> 00:16:22,949 桜花宮に来るなと警告文を送った者も➡ 242 00:16:22,949 --> 00:16:26,853 そんな事情を知り 哀れんだ誰かであろう。 243 00:16:26,853 --> 00:16:33,659 この年になり ようやく彼らに対抗する 術を得 山内に戻ってきた。 244 00:16:33,659 --> 00:16:39,165 だがーー 宮烏の九分九厘が 敵と言って過言ではない状況だ。 245 00:16:41,801 --> 00:16:45,104 その残り一厘に 雪哉…。 246 00:16:46,639 --> 00:16:48,641 お前がなってくれないか? 247 00:16:50,476 --> 00:16:52,712 ーーは? 248 00:16:52,712 --> 00:16:55,281 私の近習に。 249 00:16:55,281 --> 00:16:58,184 近習って…。 250 00:16:58,184 --> 00:17:02,088 ええぇぇっ⁉ って あの近習ですか⁉ 251 00:17:02,088 --> 00:17:05,658 出世街道まっしぐら 未来の側近ってことですよ⁉ 252 00:17:05,658 --> 00:17:11,430 そうだ。 ゆくゆくは金烏となった 私の片腕となり 働いてほしい。 253 00:17:11,430 --> 00:17:15,234 ちょ… 待ってくださいよ! なんでそうなるんですか! 254 00:17:15,234 --> 00:17:18,771 僕なんて しがない地方貴族の ぼんくら次男ですよ⁉ 255 00:17:18,771 --> 00:17:23,242 中央貴族の もっと育ちが良くて 賢い坊ちゃんがいるでしょう! 256 00:17:23,242 --> 00:17:28,214 言いつけた仕事を 全て時間内にこなしたのは お前だけだ。 257 00:17:28,214 --> 00:17:32,485 そりゃ… 中央の方は転身の習慣がないから➡ 258 00:17:32,485 --> 00:17:35,788 移動するにも わざわざ馬を借りにいったんでしょ。 259 00:17:35,788 --> 00:17:40,626 水を与えている花が枯れていても そのまま放置していたね。 260 00:17:40,626 --> 00:17:46,232 それは… 滝の水と井戸の水の違いを 調べておいでだと思ったので。 261 00:17:46,232 --> 00:17:49,068 漢詩文の課題もやらなかった。 262 00:17:49,068 --> 00:17:52,071 あなたが必要としていないと 思ったから…。 263 00:17:52,071 --> 00:17:54,206 全て正解だ。 264 00:17:54,206 --> 00:17:58,077 しかし 他の者たちは 花が枯れると慌てふためき➡ 265 00:17:58,077 --> 00:18:00,646 夜は寝ないで課題をやっていた。 266 00:18:00,646 --> 00:18:04,517 中には こっそり 人を雇ってやらせる者まで。 267 00:18:04,517 --> 00:18:08,220 殿下も 意地が悪いっちゃ悪いと思いますがね。 268 00:18:08,220 --> 00:18:10,556 お前は ぼんくらではない。 269 00:18:10,556 --> 00:18:15,394 北家での騒ぎも 何か意図があってのことだろう。 270 00:18:15,394 --> 00:18:21,300 ああでもしなきゃ 貴族の横暴から垂氷を 守ることができなかったんですよっ。 271 00:18:21,300 --> 00:18:25,204 あなたこそ 皆の言うような うつけじゃないのでは? 272 00:18:25,204 --> 00:18:30,009 ふ… 人が私をどう見ようと 私には興味がない。 273 00:18:32,445 --> 00:18:35,681 とにかく お断りいたします。 274 00:18:35,681 --> 00:18:38,351 とても名誉なお話ではありますが。 275 00:18:38,351 --> 00:18:40,319 …そうか。 276 00:18:40,319 --> 00:18:46,592 確か 一年待たずに帰されると 勁草院に入れられてしまうんだったな? 277 00:18:46,592 --> 00:18:50,463 え? 何なんですか⁉ 今度は脅し⁉ 278 00:18:50,463 --> 00:18:54,266 脅しではない。 ただ そうだったなぁと。 279 00:18:54,266 --> 00:18:57,236 ちょっと待った! 北家の宴にもいなかったのに➡ 280 00:18:57,236 --> 00:19:00,072 なんで そんなこと知ってんですか! 281 00:19:00,072 --> 00:19:03,309 だって 私は真の金烏だもの。 282 00:19:03,309 --> 00:19:06,178 答えになってませんて。 283 00:19:06,178 --> 00:19:10,649 雪哉 私も一年以内に けりをつけるつもりだ。 284 00:19:10,649 --> 00:19:15,454 桜花宮から妻を迎え 正式に即位する。 285 00:19:15,454 --> 00:19:22,094 だが 私の命を狙う者を捕らえる前に 后を入内させるわけにはいかない。 286 00:19:22,094 --> 00:19:26,966 今の私には 心から信頼できる味方が必要なのだ。 287 00:19:26,966 --> 00:19:28,968 っ…。 288 00:19:28,968 --> 00:19:34,240 私は無能だし うつけと呼ばれても しかたないと思っている。 289 00:19:34,240 --> 00:19:38,744 だけどね雪哉 これでも人を見る目は確かなつもりだよ。 290 00:19:41,213 --> 00:19:46,085 お前は絶対に 私を裏切らない。 291 00:19:46,085 --> 00:19:52,458 なぜなら 私がお前に寄せた信頼以上に お前にとって価値のあるものを➡ 292 00:19:52,458 --> 00:19:55,995 敵が用意できるとは思えないからだ。 293 00:19:55,995 --> 00:19:57,997 ぁ…。 294 00:20:01,267 --> 00:20:03,569 っ…。 295 00:20:03,569 --> 00:20:05,571 ぐ…。 296 00:20:09,875 --> 00:20:13,846 分かりました。 あなたの近習になりましょう。 297 00:20:13,846 --> 00:20:16,749 そうか 引き受けてくれるか! 298 00:20:16,749 --> 00:20:21,954 ただし 最初の約束どおり 一年たったら お暇します。 299 00:20:21,954 --> 00:20:26,392 僕の大切なものは 家族と 垂氷という故郷ですから! 300 00:20:26,392 --> 00:20:29,395 うん かまわん。 ひとまずは。 301 00:20:29,395 --> 00:20:32,198 (澄尾)殿下 ただいま戻りました。 302 00:20:32,198 --> 00:20:35,134 澄尾 今 雪哉が承知したぞ。 303 00:20:35,134 --> 00:20:38,971 私の近習になってくれるそうだ。 うおっ マジで⁉ 304 00:20:38,971 --> 00:20:42,842 やったじゃねえか! アッハハハハ…! 305 00:20:42,842 --> 00:20:45,244 あ… あの…? 306 00:20:45,244 --> 00:20:49,815 ああ 実は俺たち ガキの頃からのつきあいなんだ。 307 00:20:49,815 --> 00:20:54,420 そんでも人前じゃあ あんまりくだけててもマズいだろ。 308 00:20:54,420 --> 00:20:56,355 澄尾さま…。 309 00:20:56,355 --> 00:21:00,092 澄尾でいいって。 驚かせてごめんな。 310 00:21:00,092 --> 00:21:03,095 けど これからはお前も仲間だ。 311 00:21:03,095 --> 00:21:05,898 あんまり肩の凝らない感じでよろしくな。 312 00:21:05,898 --> 00:21:07,867 はぁ…。 313 00:21:07,867 --> 00:21:10,669 まぁ うまくいってよかったな。 314 00:21:10,669 --> 00:21:13,572 今回は ちょっとヤバいかと 思ってたからよ。 315 00:21:13,572 --> 00:21:17,476 ああ 危ない橋を渡った かいがあった。 316 00:21:17,476 --> 00:21:20,780 ん? んん…? 317 00:21:20,780 --> 00:21:24,016 あの… すみません。 何だ? 318 00:21:24,016 --> 00:21:28,020 今 危ない橋をナントカ… って言いました? 319 00:21:29,789 --> 00:21:32,057 聞いたとおりだが? 320 00:21:32,057 --> 00:21:36,929 つまり… 狙われていると分かっていて わざと? 321 00:21:36,929 --> 00:21:38,964 うん。 うん⁉ 322 00:21:38,964 --> 00:21:44,970 お前を説得するためには 私の現状を 分かってもらう必要があると思ってな。 323 00:21:44,970 --> 00:21:49,909 御前会議で刺激しておいたし そろそろ来ると当たりをつけていたのだ。 324 00:21:49,909 --> 00:21:54,680 当たりって… じゃあ あのどんちゃん騒ぎも…。 325 00:21:54,680 --> 00:21:58,317 もちろん 賊をおびき寄せるための餌だ。 326 00:21:58,317 --> 00:22:00,319 効果てきめんだったろう。 ~~っ! 327 00:22:00,319 --> 00:22:03,222 馬鹿かあんた!! ん? 328 00:22:03,222 --> 00:22:06,058 どんだけ敵を舐めくさってんだ! 329 00:22:06,058 --> 00:22:09,461 賊をおびき寄せる餌だぁ⁉ いつか死ぬぞマジで! 330 00:22:09,461 --> 00:22:12,364 まあまあ。 こいつ悪気はねえから。 331 00:22:12,364 --> 00:22:15,334 はぁ? 悪気とか そういう問題ですか? 332 00:22:15,334 --> 00:22:19,672 皇太子のくせに どう 考えたって やってることが無茶でしょ! 333 00:22:19,672 --> 00:22:23,542 フッ… 大丈夫 俺は分かってる。 334 00:22:23,542 --> 00:22:27,279 ただこいつは こういうやり方しかできないんだ。 335 00:22:27,279 --> 00:22:29,882 お前も いずれ分かるとは思うけど。 336 00:22:29,882 --> 00:22:32,618 っ…。 337 00:22:32,618 --> 00:22:35,821 と いうわけだ。 あんたが言いますか! 338 00:22:35,821 --> 00:22:39,792 フ… 雪哉 お前がいれば百人力だ。 339 00:22:39,792 --> 00:22:41,927 よろしく頼むぞ。 340 00:22:41,927 --> 00:22:43,963 ~~っ…。 341 00:22:43,963 --> 00:22:48,267 も~ ほんと… 一年だけですからね。 342 00:22:55,074 --> 00:22:57,009 すまん。 343 00:22:57,009 --> 00:23:00,045 鬼~!!! 344 00:23:00,045 --> 00:23:14,226 ♬~ 345 00:23:14,226 --> 00:23:18,697 ♬「それは うたかたと」 346 00:23:18,697 --> 00:23:23,235 ♬「告げる風は ただ哀しく」 347 00:23:23,235 --> 00:23:27,239 ♬「心 決めた日に」 348 00:23:27,239 --> 00:23:31,977 ♬「にじむ景色を 駆けぬけた」 349 00:23:31,977 --> 00:23:36,415 ♬「咲く花の影に」 350 00:23:36,415 --> 00:23:40,386 ♬「まなざしは 何を問う」 351 00:23:40,386 --> 00:23:49,395 ♬「語らずの 真実 背負う 烏」 352 00:23:49,395 --> 00:23:54,099 ♬「舞い上がれ 舞い躍れ」 353 00:23:54,099 --> 00:23:58,404 ♬「名もなき 一途な信念(ねがい)よ」 354 00:23:58,404 --> 00:24:02,741 ♬「迫りくる 奈落さえ」 355 00:24:02,741 --> 00:24:07,146 ♬「越えて行ける 強さ 信じ 羽ばたけ」 356 00:24:07,146 --> 00:24:11,350 ♬「行きては帰らぬ」 357 00:24:11,350 --> 00:24:15,854 ♬「運命(さだめ)を 選びゆくのなら」 358 00:24:15,854 --> 00:24:20,259 ♬「まほろばよ とこしえに」 359 00:24:20,259 --> 00:24:28,167 ♬「薄明の空に 誓う」 360 00:24:31,270 --> 00:24:37,009 <一年限りの 約束で引き受けた 近習の役目。➡ 361 00:24:37,009 --> 00:24:40,612 図らずも谷間に潜入した雪哉は➡ 362 00:24:40,612 --> 00:24:45,451 世にも恐ろしい会合を目撃する。➡ 363 00:24:45,451 --> 00:24:50,122 若宮襲撃の黒幕は 誰なのか。➡ 364 00:24:50,122 --> 00:24:52,324 次回>