1 00:00:02,803 --> 00:00:06,173 (親戚の男)雪正 よく考えるのだ。➡ 2 00:00:06,173 --> 00:00:10,978 その子を垂氷で育てたところで 所詮は郷長の次男坊。 3 00:00:10,978 --> 00:00:15,182 むしろ なぜあの時 自分を手放さなかったのだと➡ 4 00:00:15,182 --> 00:00:17,484 のちのち恨まれるかもしれんぞ。 5 00:00:19,520 --> 00:00:22,456 梓も苦労をしょい込むことはない。➡ 6 00:00:22,456 --> 00:00:25,959 自分の腹を痛めた 子ではないのだし。 7 00:00:29,930 --> 00:00:31,932 ん…。 8 00:00:40,107 --> 00:00:43,744 っ… 雪哉を…。 9 00:00:43,744 --> 00:00:46,547 お頼み… 申します…。 10 00:00:46,547 --> 00:00:49,016 は…! 案ずるな。 11 00:00:49,016 --> 00:00:52,519 この子は中央で 我々が立派に育てよう。 12 00:01:00,093 --> 00:01:02,029 うえぇえええ! 13 00:01:02,029 --> 00:01:04,598 助けて母上~っ! おい! これ…。 14 00:01:04,598 --> 00:01:07,067 ⚟母上~っ! 15 00:01:07,067 --> 00:01:10,270 はっ…! ⚟うわぁああんっ! 16 00:01:10,270 --> 00:01:12,706 うえぇぇえん…! 17 00:01:12,706 --> 00:01:14,641 うっ…! 何をする梓! 18 00:01:14,641 --> 00:01:18,011 お帰りください! 雪哉は私が育てます! 19 00:01:18,011 --> 00:01:19,947 あっ… 梓…。 20 00:01:19,947 --> 00:01:23,817 馬鹿な… 跡目争いになるぞ! 分かっておるのか! 21 00:01:23,817 --> 00:01:25,819 …っ! 22 00:01:30,324 --> 00:01:33,327 お帰りください。 なっ…! 23 00:01:39,166 --> 00:02:07,928 ♬~ 24 00:02:07,928 --> 00:02:11,798 ♬「羽を伸ばしてふらふら」 25 00:02:11,798 --> 00:02:16,470 ♬「うつけてみたいや 何も考えたくない」 26 00:02:16,470 --> 00:02:18,405 ♬「疲れてしまったよ」 27 00:02:18,405 --> 00:02:22,042 ♬「羽目をはずして ぐだぐだ」 28 00:02:22,042 --> 00:02:27,714 ♬「流石に昨日はちょっと 遊びすぎたかもな」 29 00:02:27,714 --> 00:02:32,386 ♬「カァカァ烏合の衆 文句ばっかりじゃない?」 30 00:02:32,386 --> 00:02:37,791 ♬「で何?やっかみ?優雅に壊してくる」 31 00:02:37,791 --> 00:02:45,098 ♬「平気な顔で躊躇いなく嘘をつく」 32 00:02:45,098 --> 00:02:48,969 ♬「騙し合い 悲しくなった」 33 00:02:48,969 --> 00:02:52,506 ♬「まだ青く不確かな」 34 00:02:52,506 --> 00:02:58,745 ♬「飾らない僕にも 変わらない愛を」 35 00:02:58,745 --> 00:03:02,716 ♬「目的地が分からない」 36 00:03:02,716 --> 00:03:07,954 ♬「運命的な出会いがしたい」 37 00:03:07,954 --> 00:03:13,827 ♬「どうせなら遠回りもしたい」 38 00:03:13,827 --> 00:03:22,636 ♬~ 39 00:03:25,706 --> 00:03:28,008 (路近)二人とも出ていってしまったぞ。 40 00:03:28,008 --> 00:03:31,378 一体雪哉は何を怒ってるんだ。 41 00:03:31,378 --> 00:03:33,313 (長束)やってしまった…。 42 00:03:33,313 --> 00:03:35,782 つい興奮して…。 43 00:03:35,782 --> 00:03:38,785 雪哉に… 出自の話は鬼門だと➡ 44 00:03:38,785 --> 00:03:41,421 奈月彦から聞いていたのに…。 45 00:03:41,421 --> 00:03:46,626 そういえば 自分だけ母親が違うとか 言ってましたな。 46 00:03:46,626 --> 00:03:49,996 雪哉を産んだのは北家の姫だが➡ 47 00:03:49,996 --> 00:03:53,533 兄と弟は 今の育ての母の子だ。 48 00:03:53,533 --> 00:03:57,404 つまり嫡子である兄よりも 弟の雪哉のほうが➡ 49 00:03:57,404 --> 00:03:59,339 上位の血筋を持っているのだ。 50 00:03:59,339 --> 00:04:02,776 なるほど それは周りが放っとかん。 51 00:04:02,776 --> 00:04:05,712 しかし どこかで聞いたような話ですなあ。 52 00:04:05,712 --> 00:04:07,748 こじれなきゃいいけど…。 53 00:04:07,748 --> 00:04:11,918 奈月彦の奴 頭に馬鹿のつく正直者だから。 54 00:04:11,918 --> 00:04:13,854 お前は行かんのか? 55 00:04:13,854 --> 00:04:16,757 えっ… いや あの雰囲気だし。 56 00:04:16,757 --> 00:04:19,593 どう見ても俺の出る幕じゃ…。 はぁあ! 57 00:04:19,593 --> 00:04:24,397 元服前の子供が怖いのか。 せっかく面白そうなのに。 58 00:04:24,397 --> 00:04:28,401 そ そんなことあるわけ… っ! ん⁉ 59 00:04:30,704 --> 00:04:32,806 (澄尾)って 無視か…。 60 00:04:39,079 --> 00:04:41,148 なぜ黙ってたんです…。 61 00:04:41,148 --> 00:04:43,683 前から知っていたんでしょう。 62 00:04:43,683 --> 00:04:48,054 僕が北家の当主の孫であること。 63 00:04:48,054 --> 00:04:51,958 言うのは得策ではないと思った。 …得策? 64 00:04:51,958 --> 00:04:54,494 最初に会った時 お前は私に➡ 65 00:04:54,494 --> 00:04:57,931 「垂氷の雪哉」と名乗った。 66 00:04:57,931 --> 00:05:02,369 「北家の雪哉」と名乗っていたら 私の出方も変わっていたろう。 67 00:05:02,369 --> 00:05:06,306 つまり 僕を 利用しようと思ってはいたわけですよね。 68 00:05:06,306 --> 00:05:11,077 否定はしない。 僕を使って何を企んでたんです。 69 00:05:11,077 --> 00:05:13,880 北家との橋渡しだ。 70 00:05:13,880 --> 00:05:16,883 私たちは味方を必要としていた。 71 00:05:16,883 --> 00:05:21,421 四家の中で最も危険が少なく 手堅いのは 北家だったから。 72 00:05:21,421 --> 00:05:23,690 あたりをつけたのは いつ? 73 00:05:23,690 --> 00:05:26,459 一年と少し前。 74 00:05:26,459 --> 00:05:31,164 私が遊学から山内に戻ってきた頃だ。 一年…。 75 00:05:34,935 --> 00:05:39,873 つまり長束さまは 宴の時には もう僕のことを知っていた? 76 00:05:39,873 --> 00:05:43,276 いや… もしかして僕を下見に? 77 00:05:43,276 --> 00:05:47,047 そうだ… ぼんくらという噂もあったからな。 78 00:05:47,047 --> 00:05:51,318 お前が使えそうな子供か 見極めてみようということになった。 79 00:05:51,318 --> 00:05:56,790 そうしたら 兄上がこれは期待した以上 だから すぐに中央に呼ぼうとーー。 80 00:05:56,790 --> 00:05:59,793 最初から僕を引き込む 計画だったんですね。 81 00:05:59,793 --> 00:06:02,896 和麿のことがあってもなくても! そうだ。 82 00:06:02,896 --> 00:06:06,766 垂氷から離れることを 僕が死ぬほど嫌がってたって➡ 83 00:06:06,766 --> 00:06:09,236 あんた知ってましたよね? 84 00:06:09,236 --> 00:06:12,873 なのに… 僕を連れて来た。 85 00:06:12,873 --> 00:06:15,242 あんたたちの都合で➡ 86 00:06:15,242 --> 00:06:18,211 ただ北家当主の孫という理由で。 87 00:06:18,211 --> 00:06:20,313 …そうだ。 88 00:06:22,349 --> 00:06:24,584 ううぅっ! 89 00:06:24,584 --> 00:06:26,920 えい!グフッ! このっ! 90 00:06:26,920 --> 00:06:28,855 くっ! うぅっ! 91 00:06:28,855 --> 00:06:30,790 このヤロッ…。 92 00:06:30,790 --> 00:06:32,792 ブハッ! うおっ! 93 00:06:32,792 --> 00:06:34,794 うわっ! 94 00:06:34,794 --> 00:06:36,930 うぅ…! (雪馬)やめろ! 95 00:06:36,930 --> 00:06:38,865 馬鹿 また母上を 困らせる気か! 96 00:06:38,865 --> 00:06:41,901 だって兄上 こいつらが! 97 00:06:41,901 --> 00:06:44,037 なんでぇ厄介者! 98 00:06:44,037 --> 00:06:49,476 みんな言ってるぞ!次男坊は面倒ばっかり 持ってくる いなくなればいいって! 99 00:06:49,476 --> 00:06:51,678 気にすんな…。 100 00:06:54,247 --> 00:06:56,950 (雪正)雪哉をよこせと言っていた連中が➡ 101 00:06:56,950 --> 00:07:00,253 今度は雪哉を嫡子に据えよと…。 102 00:07:00,253 --> 00:07:05,058 (梓)嫡子は長男の雪馬です! なぜそんな乱暴なことを…! 103 00:07:06,626 --> 00:07:08,595 くっ…! 104 00:07:08,595 --> 00:07:12,532 今からでも遅くはない。 雪哉を養子に出そう。 105 00:07:12,532 --> 00:07:18,071 あなた…。いずれ一族を巻き込んでの 跡目争いになる。 106 00:07:18,071 --> 00:07:21,474 いや もう始まっているのだ! くっ…! 107 00:07:23,977 --> 00:07:26,813 (梓)なぜ あの人たちに 振り回されるのです!➡ 108 00:07:26,813 --> 00:07:30,283 あの子は 禍の種などではない…。➡ 109 00:07:30,283 --> 00:07:33,320 なのにどうして雪哉を信じないのですか! 110 00:07:33,320 --> 00:07:36,389 (雪正)そんなこと分かっている!➡ 111 00:07:36,389 --> 00:07:41,895 だが 家族の他にも 守らねばならないものがあるのだ…。 112 00:07:43,596 --> 00:07:46,199 あんたみたいな奴らに…➡ 113 00:07:46,199 --> 00:07:49,202 僕の家族は どれだけ苦しめられて…。 114 00:07:52,472 --> 00:07:54,441 あぁっ! あっ…。 115 00:07:54,441 --> 00:07:58,712 ああぁっ⁉ 坊ちゃん 勘弁してくださいよ。 116 00:07:58,712 --> 00:08:01,514 あはは… ごめんごめん…。 117 00:08:07,020 --> 00:08:11,324 (笑い声) 118 00:08:11,324 --> 00:08:16,863 (市柳)兄を追い落とし 自分が郷長に なることぐらい考えてるかもしれねえな。 119 00:08:16,863 --> 00:08:19,165 (市柳の仲間)やべえ! お家騒動だあ! 120 00:08:19,165 --> 00:08:21,534 (笑い声) 121 00:08:21,534 --> 00:08:24,337 ぼんくら次男。 ぼんくら次男。 122 00:08:24,337 --> 00:08:26,740 (子供たち)ぼんくら次男! 123 00:08:26,740 --> 00:08:29,042 へへへへ…。 124 00:08:29,042 --> 00:08:33,380 お前が全力か全力でないか そんなことに興味はない。 125 00:08:33,380 --> 00:08:36,082 要は私の役に立つかどうかだ。 126 00:08:37,917 --> 00:08:42,756 私は無能だし うつけと呼ばれても 仕方ないと思っている。 127 00:08:42,756 --> 00:08:48,461 だけどね雪哉 これでも人を見る目は確かなつもりだよ。 128 00:08:48,461 --> 00:08:53,066 お前は絶対に 私を裏切らない。 え…。 129 00:08:53,066 --> 00:08:59,406 なぜなら 私がお前に寄せた信頼以上に お前にとって価値のあるものを➡ 130 00:08:59,406 --> 00:09:02,609 敵が用意できるとは思えないからだ。 131 00:09:04,611 --> 00:09:06,613 何なんだよ…。 132 00:09:08,314 --> 00:09:11,551 それらしいこと言っちゃって…。 133 00:09:11,551 --> 00:09:14,421 結局 誰でもよかったんじゃないか! 134 00:09:14,421 --> 00:09:17,657 別に僕でなくたって ⚟(足音)北家の血筋でさえあればーー! 135 00:09:17,657 --> 00:09:20,427 グッ… いっ! 136 00:09:20,427 --> 00:09:24,264 お前な 自分を不憫がるのは勝手だが➡ 137 00:09:24,264 --> 00:09:29,102 他人が気を遣ってくれないからと 文句を言うのは ただの八つ当たりだぞ。 138 00:09:29,102 --> 00:09:33,106 そんなんじゃ…! まあ少し頭を冷やせ。 139 00:09:33,106 --> 00:09:35,575 別に庇うつもりもないが➡ 140 00:09:35,575 --> 00:09:40,013 若宮殿下の言うことは 筋が通っているじゃないか。 141 00:09:40,013 --> 00:09:43,383 お前がどんなに否定し 嫌がったところで➡ 142 00:09:43,383 --> 00:09:48,221 その骨肉に北家の血が流れているのは 紛れもない事実だ。 143 00:09:48,221 --> 00:09:50,657 そんなこと分かってますよ! 144 00:09:50,657 --> 00:09:54,160 でも僕は それを利用されて平気でいられるほど➡ 145 00:09:54,160 --> 00:09:56,096 図太くはないんです! 146 00:09:56,096 --> 00:10:00,667 あなたこそ 汚れ役ばかりやらされて 周りから憎まれてる。 147 00:10:00,667 --> 00:10:04,571 長束さまに いいように利用されて 悔しくないんですか⁉ 148 00:10:06,272 --> 00:10:11,177 っはは… 私か? 利用価値があるなら喜ばしい。 149 00:10:11,177 --> 00:10:14,414 っ! …くっ! 150 00:10:14,414 --> 00:10:17,917 む… 分からんか…。 151 00:10:17,917 --> 00:10:19,853 よし。 えっ⁉ 152 00:10:19,853 --> 00:10:21,821 何すんだ! 離せ! 殿下➡ 153 00:10:21,821 --> 00:10:25,191 こいつに会わせたい奴がいるんだが かまわないか?おいっ やめろっ! 154 00:10:25,191 --> 00:10:27,193 なに 時間はかからない。んぅっ… こらっ! 155 00:10:27,193 --> 00:10:30,029 お前に任せよう。 勝手なことを! ふっ! うっ! 156 00:10:30,029 --> 00:10:32,832 離せってば! 離せよ! 157 00:10:52,986 --> 00:10:54,988 ⚟(扉が閉まる音) えっ⁉ 158 00:11:10,003 --> 00:11:12,805 おや… 誰かと思えば…。 159 00:11:15,808 --> 00:11:19,679 君のおかげで このありさまです…。 160 00:11:19,679 --> 00:11:24,584 長束さまには何としても 金烏になって いただきたかったのですがーー。 161 00:11:24,584 --> 00:11:27,420 うっ…! 大丈夫ですか? 162 00:11:27,420 --> 00:11:31,958 ご心配なく。 大したことはありません…。 163 00:11:31,958 --> 00:11:36,963 そんなことより 何か私に用があるのでは ありませんか。 164 00:11:40,266 --> 00:11:45,171 あなたは最初から 若宮を 金烏にするつもりはなかったんですね。 165 00:11:45,171 --> 00:11:50,843 フッ… 全て私の独断でやったことです。 166 00:11:50,843 --> 00:11:53,646 長束さまは一切関係ありません。 167 00:11:53,646 --> 00:11:56,950 いまさら 長束さまを庇う必要ありませんよ。 168 00:11:56,950 --> 00:12:01,054 だってあの人は ずっと裏で 若宮とつながっていたんですから。 169 00:12:06,759 --> 00:12:11,531 敦房殿は 長束さまご自身も 金烏になることを望んでいると➡ 170 00:12:11,531 --> 00:12:13,866 そう考えていたんでしょう? 171 00:12:13,866 --> 00:12:16,769 そんなあなたを長束さまは利用したんだ。 172 00:12:16,769 --> 00:12:23,042 その忠誠心をーー あたかも自分が若宮と 敵対していると見せかけるために。 173 00:12:23,042 --> 00:12:26,079 その結果あなたは あんなことをーー。 174 00:12:26,079 --> 00:12:28,381 フッ…。 175 00:12:28,381 --> 00:12:32,251 どうして笑ってるんですか… あなたは怒っていいんだ! 176 00:12:32,251 --> 00:12:35,021 心から信じていた主に 裏切られたんだから! 177 00:12:35,021 --> 00:12:38,625 重ねて言いますが 長束さまは関係ありません。 178 00:12:38,625 --> 00:12:40,560 え…⁉ 179 00:12:40,560 --> 00:12:46,733 この人を主にしようと決めたのは ほかならぬ私自身なのですから。 180 00:12:46,733 --> 00:12:48,768 は…。 181 00:12:48,768 --> 00:12:52,238 (敦房)長束さまは奥ゆかしい方なのです。 182 00:12:52,238 --> 00:12:58,177 最も金烏に相応しい方でありながら それを享受されようとしない。 183 00:12:58,177 --> 00:13:02,649 私は それがもどかしくて仕方なかった。 184 00:13:02,649 --> 00:13:08,254 だから代わりに動いてさしあげたのです。 一番の忠臣として。 185 00:13:09,956 --> 00:13:17,497 (風の音) 186 00:13:17,497 --> 00:13:20,400 長束さまが若宮と通じていたことも➡ 187 00:13:20,400 --> 00:13:22,969 私はとっくに知っていましたよ。 188 00:13:22,969 --> 00:13:24,904 え…。 189 00:13:24,904 --> 00:13:30,376 路近如きが気付いて 私が 気付かないわけがないじゃありませんか。 190 00:13:30,376 --> 00:13:36,716 私は失敗したけれど いずれ皇后さまが 必ず若宮を殺すでしょう。 191 00:13:36,716 --> 00:13:41,521 そして母親に盾つくという 過ちを犯した長束さまを➡ 192 00:13:41,521 --> 00:13:44,924 皇后さまは広いお心で お許しになり➡ 193 00:13:44,924 --> 00:13:47,827 金烏の座に おつけになる。 194 00:13:47,827 --> 00:13:53,266 (歓声) 山内中の八咫烏が凜々しい金烏を 祝福することでしょう。 195 00:13:53,266 --> 00:13:56,269 歓声が聞こえるようです…。 196 00:13:56,269 --> 00:14:01,107 傍にいるのは お世継ぎを胸に抱いた撫子さま。 197 00:14:01,107 --> 00:14:03,242 そして…。 198 00:14:03,242 --> 00:14:09,348 ああ 本当なら 長束さまのお側には常に この私がいるはずだったのに! 199 00:14:12,385 --> 00:14:15,254 それはもう叶わないけれど…➡ 200 00:14:15,254 --> 00:14:19,125 いつか長束さまも 懐かしく思い出すことでしょう。 201 00:14:19,125 --> 00:14:26,466 自分のために命をなげうった 真に得難い忠臣が側にいたことを…。 202 00:14:26,466 --> 00:14:30,169 その名を… 敦房と…。 203 00:14:30,169 --> 00:14:32,705 忠臣なんかじゃない…。 204 00:14:32,705 --> 00:14:37,110 あんたは夢を見ているだけだ! 自分の見たい夢を…! 205 00:14:39,312 --> 00:14:41,914 路近! 路近! 路近! (扉を叩く音) 206 00:14:41,914 --> 00:14:44,617 君もいつか分かる時がくる。 207 00:14:44,617 --> 00:14:49,122 この宮中で ⚟(扉を叩く音)生きていれば 必ず…! 208 00:14:51,290 --> 00:14:52,859 ハァッ ハァッ➡ 209 00:14:52,859 --> 00:14:55,561 ⚟(足音)ハァッ ハァッ ハァ…。 210 00:15:05,438 --> 00:15:09,075 敦房は下級貴族の家に生まれて➡ 211 00:15:09,075 --> 00:15:12,478 出世を望み すぐ壁に突き当たった。 212 00:15:12,478 --> 00:15:15,782 朝廷では彼の血筋は軽んじられ➡ 213 00:15:15,782 --> 00:15:21,654 それは どんな努力を重ねたところで 報われることはないのだと…。 214 00:15:21,654 --> 00:15:24,223 だから わずかな希望に縋った。 215 00:15:24,223 --> 00:15:30,463 それは南家一の姫… 敦房の従妹にあたる 撫子の存在だ。 216 00:15:30,463 --> 00:15:33,299 もし撫子が金烏の后になれば➡ 217 00:15:33,299 --> 00:15:37,870 自分の血筋も 宗家に連なるものとして扱われる。 218 00:15:37,870 --> 00:15:40,807 しかし南家は撫子を登殿させず➡ 219 00:15:40,807 --> 00:15:46,479 代わりに送り込んだ浜木綿は 私の暗殺を果たせぬまま逃走。 220 00:15:46,479 --> 00:15:50,383 残る手は 自分で若宮を殺すこと…。 221 00:15:59,959 --> 00:16:03,729 恐らく 皇后の入れ知恵があったのだろう。 222 00:16:03,729 --> 00:16:08,568 あのお方は そういう方面に 恐ろしく鼻が利くから…。 223 00:16:08,568 --> 00:16:13,539 敦房の一番弱い部分に 理想の物語を刷り込んだのだ。 224 00:16:13,539 --> 00:16:18,311 あるいは 花街で私を襲わせた和満も…。 225 00:16:18,311 --> 00:16:21,781 結局誰でもよかったんだ敦房は。 226 00:16:21,781 --> 00:16:26,752 長束さまでなくても… 夢を叶えてくれる主なら誰でも…。 227 00:16:26,752 --> 00:16:28,955 路近が言っていたよ。 228 00:16:28,955 --> 00:16:34,660 もとは敦房も 生真面目で家族思いの 普通の青年にすぎなかったと。 229 00:16:36,462 --> 00:16:38,664 何なんだ朝廷って! 230 00:16:41,767 --> 00:16:44,570 敦房は氷山の一角だ。 231 00:16:44,570 --> 00:16:50,376 朝廷では正気を保つのも容易ではない… そういう所だ。 232 00:16:50,376 --> 00:16:54,247 そんな場所を お前が嫌うのは分かっている。 233 00:16:54,247 --> 00:17:00,052 そして私が いまだお前の信頼を得ていないことも…。 234 00:17:00,052 --> 00:17:03,022 それでも雪哉…。 235 00:17:03,022 --> 00:17:05,625 私はお前が必要だ。 236 00:17:07,793 --> 00:17:12,231 ほどなく私は 名実ともに金烏となる…。 237 00:17:12,231 --> 00:17:15,868 ここに残り 私を助けてほしい。 238 00:17:15,868 --> 00:17:18,771 今度はお前自身の意志で。 239 00:17:18,771 --> 00:17:31,350 ♬~ 240 00:17:31,350 --> 00:17:36,255 約束どおり… 春までは近習として仕えます。 241 00:17:36,255 --> 00:17:39,559 だからそれまで 返事は待ってもらえますか。 242 00:17:41,961 --> 00:17:43,963 分かった…。 243 00:17:52,371 --> 00:17:54,307 (鋭い鳴き声) 244 00:17:54,307 --> 00:18:10,323 ♬~ 245 00:18:15,695 --> 00:18:18,497 登殿の儀から もう一年。 246 00:18:18,497 --> 00:18:21,067 光陰矢の如しですな。 247 00:18:21,067 --> 00:18:23,536 あの日は 若宮を迎えようと➡ 248 00:18:23,536 --> 00:18:27,239 四家で酒宴を設けたところが すっぽかされて…。 249 00:18:29,241 --> 00:18:31,644 今日は南家がすっぽかしか…。 250 00:18:33,579 --> 00:18:36,782 まあ融殿も 顔を出しづらいでしょう。 251 00:18:36,782 --> 00:18:39,485 あれほどの騒ぎを起こしては…。 252 00:18:39,485 --> 00:18:42,121 しかし宗家も情けない。 253 00:18:42,121 --> 00:18:46,559 南家のごまかしを受け入れて 処罰の一つも与えないとは。 254 00:18:46,559 --> 00:18:52,064 南家の繁栄は 血と金と謀略によって 築かれたようなものだ…。 255 00:18:53,866 --> 00:18:57,737 兄の寝首を弟が平気で掻く一族だぞ。➡ 256 00:18:57,737 --> 00:19:00,639 いまさら驚くことでもあるまい。 257 00:19:00,639 --> 00:19:04,910 これは大胆な。 少しお酒が過ぎますかな…。 258 00:19:04,910 --> 00:19:09,749 おお 大胆といえば 腹黒が東家のお家芸でしたなあ。 259 00:19:09,749 --> 00:19:14,620 天真爛漫な姫を送り込み 一体何を企んでなさる? 260 00:19:14,620 --> 00:19:18,090 おやおや まさかそのような…。 261 00:19:18,090 --> 00:19:20,760 顕殿 そのくらいで…。 262 00:19:20,760 --> 00:19:24,630 これは失礼。 北領の酒が美味すぎまして。 263 00:19:24,630 --> 00:19:29,035 まぁ 玄哉殿も あれこれ裏で手を尽くされたようだが➡ 264 00:19:29,035 --> 00:19:31,437 最後に勝つのは この西家。 265 00:19:31,437 --> 00:19:33,372 むぅ…。 266 00:19:33,372 --> 00:19:36,642 (顕)この宴席はいわば 私の前祝い。 267 00:19:36,642 --> 00:19:41,547 お二人は苦い酒にならぬうちに せいぜい楽しまれるとよかろう。 268 00:19:41,547 --> 00:19:45,284 フフフ…。 何を…! まあ まあまあ…。 269 00:19:45,284 --> 00:19:47,286 ッフフフフ…。 270 00:19:50,790 --> 00:20:27,159 ♬~ 271 00:20:27,159 --> 00:20:29,628 ⚟真赭の薄さま。 272 00:20:29,628 --> 00:20:31,730 あせび…。 273 00:20:37,269 --> 00:20:40,506 久しぶりですね こんな華やかな宴。 274 00:20:40,506 --> 00:20:42,441 本当に。 275 00:20:42,441 --> 00:20:47,313 あれからずっと息が詰まるような 日が続いていたから。 276 00:20:47,313 --> 00:21:03,662 ♬~ 277 00:21:03,662 --> 00:21:05,664 ⚟(どよめき) あ…! 278 00:21:10,102 --> 00:21:12,104 あれは? 279 00:21:26,986 --> 00:21:28,988 え…⁉ 280 00:21:32,324 --> 00:21:34,426 (人々の悲鳴) 281 00:21:38,130 --> 00:21:40,065 (女たちの悲鳴) 282 00:21:40,065 --> 00:22:00,419 ♬~ 283 00:22:00,419 --> 00:22:02,421 あぁ…! 284 00:22:11,030 --> 00:22:15,234 若宮さま お待ち申し上げておりました。 うん。 285 00:22:18,571 --> 00:22:21,273 (羽音) 286 00:22:29,215 --> 00:22:33,118 姫君ならびに 女房の皆さま方。 287 00:22:33,118 --> 00:22:35,421 お待たせいたしました。 288 00:22:35,421 --> 00:22:39,825 今から若宮殿下が 后をお選びになります! 289 00:22:39,825 --> 00:22:41,827 …え⁉ 290 00:22:41,827 --> 00:22:57,943 ♬~ 291 00:23:00,145 --> 00:23:14,226 ♬~ 292 00:23:14,226 --> 00:23:18,697 ♬「それは うたかたと」 293 00:23:18,697 --> 00:23:23,235 ♬「告げる風は ただ哀しく」 294 00:23:23,235 --> 00:23:27,239 ♬「心 決めた日に」 295 00:23:27,239 --> 00:23:31,977 ♬「にじむ景色を 駆けぬけた」 296 00:23:31,977 --> 00:23:36,415 ♬「咲く花の影に」 297 00:23:36,415 --> 00:23:40,386 ♬「まなざしは 何を問う」 298 00:23:40,386 --> 00:23:49,395 ♬「語らずの 真実 背負う 烏」 299 00:23:49,395 --> 00:23:54,099 ♬「舞い上がれ 舞い躍れ」 300 00:23:54,099 --> 00:23:58,404 ♬「名もなき 一途な信念(ねがい)よ」 301 00:23:58,404 --> 00:24:02,741 ♬「迫りくる 奈落さえ」 302 00:24:02,741 --> 00:24:07,146 ♬「越えて行ける 強さ 信じ 羽ばたけ」 303 00:24:07,146 --> 00:24:11,350 ♬「行きては帰らぬ」 304 00:24:11,350 --> 00:24:15,854 ♬「運命(さだめ)を 選びゆくのなら」 305 00:24:15,854 --> 00:24:20,259 ♬「まほろばよ とこしえに」 306 00:24:20,259 --> 00:24:28,167 ♬「薄明の空に 誓う」 307 00:24:30,936 --> 00:24:33,872 <春たけなわの桜花宮。➡ 308 00:24:33,872 --> 00:24:38,644 三人の姫君の前に若宮が降り立った。➡ 309 00:24:38,644 --> 00:24:46,652 満開の桜の中 ついに若宮殿下の后選びが始まる。➡ 310 00:24:46,652 --> 00:24:50,089 闇に隠された真実を残して> 311 00:24:50,089 --> 00:24:52,491 <次回>