1 00:00:03,170 --> 00:00:07,107 (滝本)お待ちください 殿下! どういうことでございますか! 2 00:00:07,107 --> 00:00:11,578 一年もの間 一度のお出ましもなかったと 思えば前触れもなくーー。 3 00:00:11,578 --> 00:00:14,581 公約どおり后を選びに来たのだ。 4 00:00:14,581 --> 00:00:16,817 別に誰の許可もいるまい。 5 00:00:16,817 --> 00:00:21,221 突然のことで準備が整いませぬ。 私は一向にかまわないが。 6 00:00:21,221 --> 00:00:26,059 そうは参りませぬ! 姫君をお守りするのが 私の責務。 7 00:00:26,059 --> 00:00:28,495 殿下の仰せとはいえーー。 滝本。 8 00:00:28,495 --> 00:00:33,200 お前は妹の面倒を見てくれればいい。 今日はこちらで差配する。 9 00:00:35,269 --> 00:00:37,738 くっ…! 10 00:00:37,738 --> 00:00:39,673 怒らせちゃいましたね。 11 00:00:39,673 --> 00:00:42,910 放っておけ。 それより雪哉ーー。 12 00:00:42,910 --> 00:00:46,446 ご心配なく 手筈に抜かりありません。 13 00:00:46,446 --> 00:00:50,317 って そろそろ 僕には教えてくれてもいいでしょう? 14 00:00:50,317 --> 00:00:54,121 后選びで一体何をやろうとしてるんです。 15 00:00:56,990 --> 00:01:02,296 さてな。 鬼が出るか 蛇が出るかーー。 16 00:01:07,634 --> 00:01:12,239 御簾も屏風もない。 このようなところで后選びを…? 17 00:01:12,239 --> 00:01:14,942 …っ! 姫さま? 18 00:01:16,576 --> 00:01:18,579 わぁ…。 19 00:01:23,116 --> 00:01:25,052 あ…。 20 00:01:25,052 --> 00:01:36,330 ♬~ 21 00:01:36,330 --> 00:01:39,066 あ…! 22 00:01:39,066 --> 00:01:53,013 ♬~ 23 00:01:53,013 --> 00:01:56,850 ♬「羽を伸ばしてふらふら」 24 00:01:56,850 --> 00:02:01,455 ♬「うつけてみたいや 何も考えたくない」 25 00:02:01,455 --> 00:02:03,390 ♬「疲れてしまったよ」 26 00:02:03,390 --> 00:02:07,060 ♬「羽目をはずして ぐだぐだ」 27 00:02:07,060 --> 00:02:12,766 ♬「流石に昨日はちょっと 遊びすぎたかもな」 28 00:02:12,766 --> 00:02:17,371 ♬「カァカァ烏合の衆 文句ばっかりじゃない?」 29 00:02:17,371 --> 00:02:22,809 ♬「で何?やっかみ?優雅に壊してくる」 30 00:02:22,809 --> 00:02:30,117 ♬「平気な顔で躊躇いなく嘘をつく」 31 00:02:30,117 --> 00:02:33,987 ♬「騙し合い 悲しくなった」 32 00:02:33,987 --> 00:02:37,524 ♬「まだ青く不確かな」 33 00:02:37,524 --> 00:02:43,797 ♬「飾らない僕にも 変わらない愛を」 34 00:02:43,797 --> 00:02:47,801 ♬「目的地が分からない」 35 00:02:47,801 --> 00:02:53,040 ♬「運命的な出会いがしたい」 36 00:02:53,040 --> 00:02:58,912 ♬「どうせなら遠回りもしたい」 37 00:02:58,912 --> 00:03:07,721 ♬~ 38 00:03:10,457 --> 00:03:16,596 三家姫さま方 ならびに内親王藤波さま お待たせいたしました。 39 00:03:16,596 --> 00:03:28,809 ♬~ 40 00:03:28,809 --> 00:03:32,379 それではまず 北家三の姫 白珠さま。 41 00:03:32,379 --> 00:03:34,614 え! ははっ…。 42 00:03:34,614 --> 00:03:38,485 白珠殿。 一年間ご苦労だった。 43 00:03:38,485 --> 00:03:42,355 年嵩の姫たちにまじっての登殿は 大変であったろう。 44 00:03:42,355 --> 00:03:45,158 それはもう…。 45 00:03:45,158 --> 00:03:47,561 ハッ… んん…。 46 00:03:49,896 --> 00:03:53,300 入内は あたくしの義務です。 47 00:03:53,300 --> 00:03:59,106 あたくしは あたくしを育ててくれた 両親や女房 北領の民に➡ 48 00:03:59,106 --> 00:04:01,708 御恩を返さねばならないのです。 49 00:04:03,376 --> 00:04:07,781 そこに あたくしの心など入る余地は ありません。 50 00:04:09,583 --> 00:04:12,552 なるほど 殊勝なことだ。 51 00:04:12,552 --> 00:04:15,455 しかし入内が叶わなければどうする。 52 00:04:15,455 --> 00:04:18,759 その御恩とやらは どう返すつもりだ? 53 00:04:20,560 --> 00:04:22,562 あ…。 54 00:04:24,431 --> 00:04:30,003 白珠殿。 あなたは一度でも 自分で選ぼうとしたことはあるか。 55 00:04:30,003 --> 00:04:33,707 私はこうしたいと 意志を示したことは? 56 00:04:35,809 --> 00:04:39,679 生まれに縛られ 縛られたことを言い訳に…➡ 57 00:04:39,679 --> 00:04:43,049 あなたはただ 人に言われるまま生きてきた。 58 00:04:43,049 --> 00:04:45,986 我が身の不幸を嘆きながら。 59 00:04:45,986 --> 00:04:50,791 自己犠牲と言えば 聞こえはいいが 要するに怠慢だ。 60 00:04:50,791 --> 00:04:54,895 何も考えていないのに 問われて答えられるわけがない。 61 00:04:57,497 --> 00:05:00,233 そんな言い方しなくても…。 62 00:05:00,233 --> 00:05:04,037 で… その子はどうするおつもりだ? 63 00:05:04,037 --> 00:05:06,139 え…? 64 00:05:08,575 --> 00:05:12,779 (ざわめき) 65 00:05:12,779 --> 00:05:15,348 その子… とは? 66 00:05:15,348 --> 00:05:17,317 まさか白珠…? 67 00:05:17,317 --> 00:05:19,319 えっ…。 68 00:05:19,319 --> 00:05:21,621 (ざわめき) 69 00:05:24,758 --> 00:05:28,962 姫さま! もしや 桜花宮で一巳とお会いに⁉ 70 00:05:28,962 --> 00:05:31,031 …え? 71 00:05:31,031 --> 00:05:33,500 お会いになったのですね…⁉ 72 00:05:33,500 --> 00:05:35,702 …ハッ!! 73 00:05:38,205 --> 00:05:40,207 …一巳? 74 00:05:42,042 --> 00:05:45,912 殿下 お許しを! 白珠さまは悪くありません! 75 00:05:45,912 --> 00:05:49,783 悪いとすれば 全て この茶の花でございますれば➡ 76 00:05:49,783 --> 00:05:52,385 どうか この私にお任せを! 77 00:05:52,385 --> 00:05:56,256 姫さまには よく言い聞かせ 何もなかったが如く➡ 78 00:05:56,256 --> 00:05:59,459 入内までには完璧に整えますゆえ! 79 00:06:01,094 --> 00:06:03,997 どうする白珠。 ハッ…。 80 00:06:03,997 --> 00:06:08,468 返答如何では あなたを后に迎える用意があるが。 81 00:06:08,468 --> 00:06:11,071 ええ!! (どよめき) 82 00:06:12,839 --> 00:06:16,042 な 何と…⁉ (菊野)后に⁉ 83 00:06:16,042 --> 00:06:19,246 姫さま! はいとお返事を!➡ 84 00:06:19,246 --> 00:06:21,248 姫さま! 85 00:06:28,455 --> 00:06:30,457 一巳…! 86 00:06:32,125 --> 00:06:34,361 くっ…! ああっ! 87 00:06:34,361 --> 00:06:36,329 姫さま! 近寄らないで! 88 00:06:36,329 --> 00:06:38,331 うぅっ! 89 00:06:38,331 --> 00:06:41,768 誰にも触らせない…。 90 00:06:41,768 --> 00:06:43,770 あたくしが この子を守る! 91 00:06:43,770 --> 00:06:46,740 誰が入内などするものですか! 92 00:06:46,740 --> 00:06:48,842 あたくしはもうーー。 93 00:06:50,810 --> 00:06:53,813 二度と一巳を失うわけにはいかないの! 94 00:06:56,283 --> 00:06:59,252 フッ… やっとご自分で選ばれたな。 95 00:06:59,252 --> 00:07:01,254 え…? 96 00:07:04,758 --> 00:07:07,427 ⚟白珠! ハッ! 97 00:07:07,427 --> 00:07:15,568 ♬~ 98 00:07:15,568 --> 00:07:18,004 か…。 99 00:07:18,004 --> 00:07:19,940 かずみ…! 100 00:07:19,940 --> 00:07:22,042 …っ! 101 00:07:23,743 --> 00:07:26,646 …一巳? 102 00:07:26,646 --> 00:07:29,082 本当に一巳なの? 103 00:07:29,082 --> 00:07:31,651 はい… はい…。 104 00:07:31,651 --> 00:07:33,586 俺です…。 105 00:07:33,586 --> 00:07:39,159 どういうことです? 一巳とやらは 確か滝本殿に首を落とされて…。 106 00:07:39,159 --> 00:07:42,062 私も しかとこの目で! 107 00:07:42,062 --> 00:07:45,665 あれは全くの別人です。 …別人? 108 00:07:45,665 --> 00:07:48,568 確かに一巳さんも あの晩➡ 109 00:07:48,568 --> 00:07:52,038 白珠さまに会うために 桜花宮に忍んでいました。 110 00:07:52,038 --> 00:07:57,444 しかし 秋殿への侵入者があったことで 警備が厳しくなって…。 111 00:07:59,145 --> 00:08:01,815 うっ…。 112 00:08:01,815 --> 00:08:03,750 あぁっ! 113 00:08:03,750 --> 00:08:05,752 (落下した音) 114 00:08:05,752 --> 00:08:10,256 朝になり 何とか転身して 桜花宮を離れたのですが…。 115 00:08:16,629 --> 00:08:21,334 白珠… すまない。 心配をかけた。 116 00:08:21,334 --> 00:08:26,005 一巳… もうどこにも行かないで。 117 00:08:26,005 --> 00:08:29,776 あなたの側にいたい! いつまでも一緒に…! 118 00:08:29,776 --> 00:08:31,778 …っ! 119 00:08:36,149 --> 00:08:40,153 こんな… こんな馬鹿な…! 120 00:08:41,788 --> 00:08:44,691 山烏の夫婦と話したことがある。 121 00:08:44,691 --> 00:08:51,064 彼らは貧しくて 着物はおろか 体を横たえて休む家も持っていない。 122 00:08:51,064 --> 00:08:57,270 だから冬になると 夜は烏の姿で 木の枝の上で翼を寄せ合って眠るそうだ。 123 00:08:59,205 --> 00:09:02,909 寒くても 辛くはないと笑っていたよ。 124 00:09:06,012 --> 00:09:09,349 白珠さま… お幸せそう。 125 00:09:09,349 --> 00:09:12,952 はぁ… 全く寿命の縮むこと…! 126 00:09:12,952 --> 00:09:16,856 しかし 思い切ったことをしましたねぇ殿下。 127 00:09:16,856 --> 00:09:21,227 何が? ハッタリでしょ。 白珠さまのお子のこと。 128 00:09:21,227 --> 00:09:25,098 あれか。 別に勝算がなかったわけではない。 129 00:09:25,098 --> 00:09:30,403 白珠は混乱していたし 予想どおり茶の花が追いつめてくれた。 130 00:09:32,238 --> 00:09:36,576 多分二人は 子ができるようなこともしていない。 131 00:09:36,576 --> 00:09:41,881 それでも白珠は 自分が信じたいと 思うほうを選んだのだろう。 132 00:09:46,252 --> 00:09:51,257 ですがそうなると 滝本殿に首を落とされた大烏は一体…? 133 00:09:56,062 --> 00:10:00,867 では次に。 西家一の姫 真赭の薄さま。 134 00:10:03,369 --> 00:10:07,941 幼少の砌 お父上には世話になった。 135 00:10:07,941 --> 00:10:12,779 あなたは この登殿に強い使命感を持って 臨まれていたと お見受けするが。 136 00:10:12,779 --> 00:10:17,750 わたくしはただ 若宮さまのお力になれればと…。 137 00:10:17,750 --> 00:10:21,588 けれど 思ってもみませんでしたわ。 138 00:10:21,588 --> 00:10:24,891 登殿の儀を四人で迎えたわたくしたちが➡ 139 00:10:24,891 --> 00:10:27,994 一年後には三人になっているなどと…。 140 00:10:35,535 --> 00:10:38,571 そこで お伺いしたいことがございます。 141 00:10:38,571 --> 00:10:41,808 何なりと。 浜木綿のことですわ。 142 00:10:41,808 --> 00:10:43,743 えっ? 143 00:10:43,743 --> 00:10:48,581 わたくしには 彼女があなたさまの命を 本気でとろうとしていたとは➡ 144 00:10:48,581 --> 00:10:50,517 どうしても思えませんの。 145 00:10:50,517 --> 00:10:53,419 若宮さまも お気づきだったのではありませんか? 146 00:10:53,419 --> 00:10:55,355 だったら どうなのだ。 147 00:10:55,355 --> 00:10:58,258 浜木綿の名誉回復を。 (一同)あっ! 148 00:10:58,258 --> 00:11:02,462 (真赭の薄)彼女が刺客だったというのは 本当かもしれません。 149 00:11:02,462 --> 00:11:05,465 しかし あえて行動しなかったとすれば➡ 150 00:11:05,465 --> 00:11:09,369 彼女はむしろ 若宮さまを守ったことになりますわ。 151 00:11:09,369 --> 00:11:11,504 なるほど。 152 00:11:11,504 --> 00:11:15,174 しかし真赭殿は なぜ今 そのようなことを? 153 00:11:15,174 --> 00:11:17,477 そうすべきと思うからです。 154 00:11:17,477 --> 00:11:21,114 見て見ぬふりは わたくしの誇りが許しませんの。 155 00:11:21,114 --> 00:11:23,049 さもないと➡ 156 00:11:23,049 --> 00:11:25,818 もしわたくしが このあと 后に選ばれたとしても…。 157 00:11:25,818 --> 00:11:30,657 不要だ。 本人の申し開きもないまま 名誉回復もあるまい。 158 00:11:30,657 --> 00:11:34,027 それに あなたの誇りとやらにも 私は興味がない。 159 00:11:34,027 --> 00:11:35,962 なっ! 160 00:11:35,962 --> 00:11:37,964 あ…。 161 00:11:41,734 --> 00:11:45,305 なぜ一年も おいでくださらなかったのです…。 162 00:11:45,305 --> 00:11:47,373 必要がないからだ。 163 00:11:47,373 --> 00:11:49,842 …必要? 164 00:11:49,842 --> 00:11:51,778 意味が分かりませんわ。 165 00:11:51,778 --> 00:11:55,415 姫たちに会わずに なぜ后が選べるのです? 166 00:11:55,415 --> 00:11:58,818 わたくしたちは あなたさまに相応しい女となるべく➡ 167 00:11:58,818 --> 00:12:00,853 桜花宮に参ったのですわ。 168 00:12:00,853 --> 00:12:03,590 日々己を磨き 互いに高め合いーー。 169 00:12:03,590 --> 00:12:06,492 くだらんな。 っ! 170 00:12:06,492 --> 00:12:11,431 磨くだの高めるだの。 口角泡を飛ばして言うようなことか。 171 00:12:11,431 --> 00:12:18,071 わたくしはただ 皆の気持ちを…。 誰もが一日千秋の思いで…。 172 00:12:18,071 --> 00:12:20,974 この際だから言っておく。 173 00:12:20,974 --> 00:12:25,612 桜花宮は お前たちの ままごと遊びのためにあるのではない。 174 00:12:25,612 --> 00:12:28,548 私が女を選ぶためだ。 175 00:12:28,548 --> 00:12:32,385 そして私が妻に求める資質は ただ一つ。 176 00:12:32,385 --> 00:12:35,255 待つこと。 ただそれだけだ。 177 00:12:35,255 --> 00:12:37,523 は…! 178 00:12:37,523 --> 00:12:54,040 (風の音) 179 00:12:54,040 --> 00:12:56,509 …試したのね。 180 00:12:56,509 --> 00:12:58,511 そうとってもらっても かまわない。 181 00:12:58,511 --> 00:13:00,513 ふざけないで! 182 00:13:02,248 --> 00:13:05,151 当てもなく ただ待つことが どんなに苦しいか! 183 00:13:05,151 --> 00:13:08,588 あなたは高い所から 桜花宮を眺めていればいい。➡ 184 00:13:08,588 --> 00:13:12,525 けど白珠は 心をすり減らして 病んでしまいましたわ!➡ 185 00:13:12,525 --> 00:13:16,529 浜木綿だって 追放されずに済む方法が あったかもしれないのに! 186 00:13:18,264 --> 00:13:21,701 その気もないのに せっせと通えばよかったと言うのか。 187 00:13:21,701 --> 00:13:25,071 そうではなく わたくしは心の話を…。 188 00:13:25,071 --> 00:13:27,040 別にあなたでも かまわないぞ。 189 00:13:27,040 --> 00:13:29,042 っ⁉ 190 00:13:29,042 --> 00:13:33,479 あなたは責任感があるし 必要な時は動くこともできる。 191 00:13:33,479 --> 00:13:37,116 性格に少々難はあるが… それを差し引いても➡ 192 00:13:37,116 --> 00:13:39,052 皇后の職は務まるだろう。 193 00:13:39,052 --> 00:13:42,488 は…。 194 00:13:42,488 --> 00:13:46,826 西家当主が一の姫 真赭の薄よ。 195 00:13:46,826 --> 00:13:50,630 私は別に あなたを特別に 思っているわけでもなければ➡ 196 00:13:50,630 --> 00:13:52,999 恋をしているわけでもない。 197 00:13:52,999 --> 00:13:55,902 入内したところで それは変わらないし➡ 198 00:13:55,902 --> 00:14:01,674 あなたの実家であるという理由で 西家を特別扱いする気もない。 199 00:14:01,674 --> 00:14:05,545 この先 必要ならば 何人でも側室を迎えるし➡ 200 00:14:05,545 --> 00:14:10,049 場合によっては あなたを切り捨てることもありえよう。 201 00:14:10,049 --> 00:14:13,052 だが あなたには不服を唱えることも➡ 202 00:14:13,052 --> 00:14:16,823 私以外の男と深い仲になることも許さん。 203 00:14:16,823 --> 00:14:21,194 自分を殺し ただ私のためだけに生きよ。 204 00:14:21,194 --> 00:14:26,699 それを全て受け入れる覚悟があるのなら 私の妻に迎えてやる。 205 00:14:28,367 --> 00:14:31,671 真赭の薄よ。 自分で選べ。 206 00:14:42,615 --> 00:14:45,284 姫さま…。 207 00:14:45,284 --> 00:14:48,788 菊野 懐剣をおよこし。 208 00:14:48,788 --> 00:14:50,723 は…。 209 00:14:50,723 --> 00:14:53,025 ひっ 姫さま! 210 00:14:53,025 --> 00:14:55,528 真赭の薄さま! 211 00:14:55,528 --> 00:14:57,530 ああぁっ! 212 00:15:00,199 --> 00:15:05,104 (髪を切り落とす音) 213 00:15:08,674 --> 00:15:10,610 ふっ…。 214 00:15:10,610 --> 00:15:16,783 若宮殿下。 せっかくの求婚ですが お断りさせていただきますわ。 215 00:15:16,783 --> 00:15:19,352 たとえ ご命令だったとしても➡ 216 00:15:19,352 --> 00:15:23,089 たった今 山神さまに仕える身になりましたので➡ 217 00:15:23,089 --> 00:15:25,792 それも叶わなくなりました。 218 00:15:25,792 --> 00:15:30,997 徹底しているな。 別に そこまでしなくてもよかったのに。 219 00:15:33,366 --> 00:15:36,602 わたくし 自分が思っていた以上に意固地で➡ 220 00:15:36,602 --> 00:15:39,505 単純にできているようです。 221 00:15:39,505 --> 00:15:45,178 けれどそれは わたくしが 誇りとともに生きていることの裏返し。 222 00:15:45,178 --> 00:15:48,681 あなたの求める女には なれませんでしたけど➡ 223 00:15:48,681 --> 00:15:52,018 いっそ晴れ晴れした気分ですの。 224 00:15:52,018 --> 00:15:55,521 殿下には お礼申し上げますわ。 225 00:15:55,521 --> 00:15:58,224 お役に立てたなら何よりだ。 226 00:15:59,892 --> 00:16:01,894 ふ…。 227 00:16:03,629 --> 00:16:05,865 ああ どうしましょう…。 228 00:16:05,865 --> 00:16:08,734 まずは御髪を整えて 秋殿に戻り お着替えを…。 229 00:16:08,734 --> 00:16:12,638 落ち着きなさい 菊野。 殿下の御前よ。 230 00:16:12,638 --> 00:16:14,941 后選びも終わってないわ。 231 00:16:22,114 --> 00:16:24,217 では 最後にーー。 232 00:16:27,453 --> 00:16:36,963 (足音) 233 00:16:40,466 --> 00:16:42,969 あせびの君。 234 00:16:42,969 --> 00:16:46,272 あなたとは ずっと話をしたいと思っていた。 235 00:16:46,272 --> 00:16:50,142 私も同じ思いでございました。 236 00:16:50,142 --> 00:16:53,045 覚えていらっしゃらないと思いますが➡ 237 00:16:53,045 --> 00:16:56,415 幼き頃 あなたさまと私は…。 238 00:16:56,415 --> 00:17:01,254 覚えている。 あなたは桜の精のようだった。 239 00:17:01,254 --> 00:17:03,222 今も変わらずーー。 240 00:17:03,222 --> 00:17:05,424 はっ…! 241 00:17:05,424 --> 00:17:11,831 ♬~ 242 00:17:11,831 --> 00:17:13,766 あぁ…。 243 00:17:13,766 --> 00:17:15,768 …え? 244 00:17:19,438 --> 00:17:23,242 宮中は 血の歴史そのものだ。 245 00:17:23,242 --> 00:17:25,311 は…? 246 00:17:25,311 --> 00:17:31,350 后になるとは その宮中で ずっと暮らしていくということだ。 247 00:17:31,350 --> 00:17:33,352 あなたは それに耐えられるのか。 248 00:17:35,788 --> 00:17:41,260 一年の間に 二つもの命が失われた この桜花宮で。 249 00:17:41,260 --> 00:17:45,564 なおも あなたは 私の妻になりたいと願うか。 250 00:17:47,400 --> 00:17:50,369 浅ましいと思われるでしょうが…➡ 251 00:17:50,369 --> 00:17:56,175 私は 何があろうと 若宮さまの妻になりとうございます。 252 00:17:58,044 --> 00:18:00,947 何があろうと か。 253 00:18:06,652 --> 00:18:11,490 (風の音) 254 00:18:11,490 --> 00:18:13,960 あ…。 255 00:18:13,960 --> 00:18:15,895 ん…。 256 00:18:15,895 --> 00:18:17,897 (女房たち)あぁ…。 257 00:18:19,665 --> 00:18:22,868 早桃が亡くなる少し前…。 え? 258 00:18:22,868 --> 00:18:27,473 あなたは彼女を使い 誰かと文を交わしていたな。 259 00:18:27,473 --> 00:18:29,542 ええ。 260 00:18:29,542 --> 00:18:33,079 相手は。 東家の下男ですわ。 261 00:18:33,079 --> 00:18:35,348 名を嘉助と。 262 00:18:35,348 --> 00:18:37,483 姫さま! いつの間に そのような⁉ 263 00:18:37,483 --> 00:18:41,787 だって うこぎったら 何も教えてくれないから…。 264 00:18:41,787 --> 00:18:45,558 私は 母のことが知りたかったんです。 265 00:18:45,558 --> 00:18:51,163 けど嘉助も そんな大事なことは 文にできないと言うし➡ 266 00:18:51,163 --> 00:18:54,166 なら 話せばいいじゃない?と。 267 00:18:55,801 --> 00:18:59,372 呼びつけたのだな 桜花宮に。 268 00:18:59,372 --> 00:19:01,307 はい。 269 00:19:01,307 --> 00:19:03,242 ひぃっ! あっ! 270 00:19:03,242 --> 00:19:06,145 呼びつけ… 嘘でしょう? 271 00:19:06,145 --> 00:19:09,649 あぁ… あ…! 272 00:19:09,649 --> 00:19:15,254 桜花宮に上がった姫が 男と文を交わしたあげく密会する。 273 00:19:15,254 --> 00:19:18,157 それがいかに重大な掟破りか…➡ 274 00:19:18,157 --> 00:19:22,762 いくらあなたでも 分からないわけはあるまい。 275 00:19:22,762 --> 00:19:27,199 ごめんなさい。 下男だから問題ないと思って…。 276 00:19:27,199 --> 00:19:29,135 下男だって男だ。 277 00:19:29,135 --> 00:19:31,937 男…。 278 00:19:31,937 --> 00:19:35,441 でも 山烏でしょう? 279 00:19:35,441 --> 00:19:38,411 密会なんて大げさなものでは…。 280 00:19:38,411 --> 00:19:43,949 それに結局 嘉助は来なかったんです。 約束したのに…。 281 00:19:43,949 --> 00:19:47,753 いいや 嘉助は約束を守った。 282 00:19:47,753 --> 00:19:50,456 あなたに呼ばれて桜花宮へ。 283 00:19:50,456 --> 00:19:54,326 だが会えぬままに殺された。 月のない晩に…。 284 00:19:54,326 --> 00:19:56,328 は…? 285 00:19:58,230 --> 00:20:00,966 ハァ… ハァ… っ! 286 00:20:00,966 --> 00:20:03,269 誰⁉ (菊野)曲者だっ! 287 00:20:06,172 --> 00:20:08,107 ⚟いたぞ あそこだ!(羽音) 288 00:20:08,107 --> 00:20:10,142 だあぁっ! (鳴き声) 289 00:20:10,142 --> 00:20:13,245 ハッ…! あの時の侵入者が? 290 00:20:16,782 --> 00:20:19,385 …本当に? 291 00:20:19,385 --> 00:20:24,090 しかも初めてではないな。 あなたが嘉助を呼びつけたのは。 292 00:20:26,158 --> 00:20:30,362 (双葉の声) あの夜のことは 今も頭を離れません。 293 00:20:31,964 --> 00:20:35,301 新年の宴が催されておりました。 294 00:20:35,301 --> 00:20:40,005 側仕えは みんな出払い この部屋には 私だけ。 295 00:20:40,005 --> 00:20:45,311 いつものことでした。 私は賑々しいのが苦手ですので。 296 00:20:49,648 --> 00:20:52,551 女房が戻ったのかと思いました。 297 00:20:55,121 --> 00:20:58,958 ⚟ハァッ… ハァッ…。 ん…。⚟(足音) 298 00:20:58,958 --> 00:21:01,293 ハッ ハァッ ハッ…。 299 00:21:01,293 --> 00:21:03,229 はぁっ!! 300 00:21:03,229 --> 00:21:09,168 あの声が 生臭い息が 体中に染みついて…。 301 00:21:09,168 --> 00:21:13,572 その者は 私の耳元で何度も…。 302 00:21:13,572 --> 00:21:17,543 「嬉しい ようやく呼んでくださった…➡ 303 00:21:17,543 --> 00:21:20,146 二の姫さま」と。 304 00:21:25,818 --> 00:21:27,753 あぁ…。 305 00:21:27,753 --> 00:21:29,688 え…。 306 00:21:29,688 --> 00:21:31,757 二の姫…! 307 00:21:31,757 --> 00:21:33,759 あ…。 308 00:21:35,494 --> 00:21:41,300 本来なら今ここにいるのは 東家一の姫である双葉殿のはずだった。 309 00:21:41,300 --> 00:21:47,640 しかし 事件を誰にも打ち明けられぬまま あばたを理由に登殿を辞退。 310 00:21:47,640 --> 00:21:51,010 代わって選ばれたのが東家二の姫…➡ 311 00:21:51,010 --> 00:21:53,546 あせび あなただ。 312 00:21:53,546 --> 00:21:55,948 (どよめき) (真赭の薄)あ…! 313 00:21:57,516 --> 00:21:59,752 ん… え…? 314 00:21:59,752 --> 00:22:02,354 で… 殿下はご存じないのです! 315 00:22:02,354 --> 00:22:08,160 姫さまは 悪意を持って人を陥れるような そんなことができるお方ではありません! 316 00:22:08,160 --> 00:22:13,966 失礼ながら 双葉さまは昔から気難しく 思い詰めがちな方と聞いております。 317 00:22:13,966 --> 00:22:16,869 おっしゃったことも本当かどうか…。 318 00:22:16,869 --> 00:22:22,408 くだんの侵入者も 烏の姿で死んだため 身元が特定できなかったのですよ? 319 00:22:22,408 --> 00:22:24,810 それが嘉助であるという証拠はないし➡ 320 00:22:24,810 --> 00:22:29,481 文の仲立ちをしていたという 早桃の話を聞くこともできません! 321 00:22:29,481 --> 00:22:32,117 全て臆測ではありませんか! 322 00:22:32,117 --> 00:22:35,988 我が姫が仕組んだなどと なぜおっしゃることができるのですか! 323 00:22:35,988 --> 00:22:38,691 ハッ… ハッ…。 324 00:22:41,827 --> 00:22:44,396 よかろう。 325 00:22:44,396 --> 00:22:47,299 ではお前に教えてやろう。 326 00:22:47,299 --> 00:22:51,203 愛する姫が お前の知らぬ間に何をしていたか。っ⁉ 327 00:23:00,179 --> 00:23:14,226 ♬~ 328 00:23:14,226 --> 00:23:18,697 ♬「それは うたかたと」 329 00:23:18,697 --> 00:23:23,235 ♬「告げる風は ただ哀しく」 330 00:23:23,235 --> 00:23:27,239 ♬「心 決めた日に」 331 00:23:27,239 --> 00:23:31,977 ♬「にじむ景色を 駆けぬけた」 332 00:23:31,977 --> 00:23:36,415 ♬「咲く花の影に」 333 00:23:36,415 --> 00:23:40,386 ♬「まなざしは 何を問う」 334 00:23:40,386 --> 00:23:49,395 ♬「語らずの 真実 背負う 烏」 335 00:23:49,395 --> 00:23:54,099 ♬「舞い上がれ 舞い躍れ」 336 00:23:54,099 --> 00:23:58,404 ♬「名もなき 一途な信念(ねがい)よ」 337 00:23:58,404 --> 00:24:02,741 ♬「迫りくる 奈落さえ」 338 00:24:02,741 --> 00:24:07,146 ♬「越えて行ける 強さ 信じ 羽ばたけ」 339 00:24:07,146 --> 00:24:11,350 ♬「行きては帰らぬ」 340 00:24:11,350 --> 00:24:15,854 ♬「運命(さだめ)を 選びゆくのなら」 341 00:24:15,854 --> 00:24:20,259 ♬「まほろばよ とこしえに」 342 00:24:20,259 --> 00:24:28,167 ♬「薄明の空に 誓う」 343 00:24:30,903 --> 00:24:36,075 <残る后候補は あせび ただ一人。➡ 344 00:24:36,075 --> 00:24:42,247 清く美しい その瞳には 何が映っているのか。➡ 345 00:24:42,247 --> 00:24:48,153 全てを解き明かした若宮が 最後に出した答えは> 346 00:24:50,122 --> 00:24:52,124 <次回>