1 00:00:11,302 --> 00:00:15,432 (ナレーション)奇策士(きさくし)とがめと 虚刀流(きょとうりゅう) 七代目当主 鑢七花(やすりしちか)が― 2 00:00:16,015 --> 00:00:21,396 四季崎記紀(しきざききき)の変体刀十二本のうち 残り十本を集める旅に出て― 3 00:00:21,813 --> 00:00:24,399 三月(みつき)がたとうとしております 4 00:00:25,233 --> 00:00:32,115 古くから神々の集う地とされ 幕府すら介入が難しい自治区 出雲(いずも) 5 00:00:33,116 --> 00:00:35,744 その中央にある 三途(さんず)神社の長(おさ)― 6 00:00:35,869 --> 00:00:39,247 敦賀迷彩(つるがめいさい)の所有する 千刀・鎩(つるぎ)こそ― 7 00:00:39,456 --> 00:00:43,626 とがめと七花が次に集めんとする 刀でございます 8 00:00:45,086 --> 00:00:51,092 ♪~ 9 00:02:07,669 --> 00:02:13,675 ~♪ 10 00:02:25,937 --> 00:02:30,316 (とがめ)これが有名な千段階段だ まるで要塞のようだな 11 00:02:30,483 --> 00:02:33,069 行くぞ 七花 迷彩はあの頂上だ 12 00:02:34,237 --> 00:02:36,573 ん? 自分で上るのか? 13 00:02:36,698 --> 00:02:41,536 うん 私はあの地獄のような 因幡(いなば)砂漠を横断したのだぞ 14 00:02:41,619 --> 00:02:43,288 このくらい お茶の子さいさいだ 15 00:02:51,087 --> 00:02:55,717 (とがめ)待て 七花 疲れた 手を貸してくれ 16 00:02:55,925 --> 00:02:57,510 えっ 疲れたって 17 00:02:57,719 --> 00:03:00,889 (とがめ)そなた 三月も共に 旅しているというのに― 18 00:03:00,972 --> 00:03:03,516 まだ私の弱さを心得ておらんのか 19 00:03:03,600 --> 00:03:04,893 (七花)“おらんのか”って 20 00:03:05,018 --> 00:03:07,562 (とがめ)そよ風に吹き飛ばされ 小雨で寝込む― 21 00:03:07,687 --> 00:03:11,232 そんな弱き体を酷使して ここまで自力で上ったのだ 22 00:03:11,357 --> 00:03:12,901 褒めてほしいくらいだわ 23 00:03:13,026 --> 00:03:14,485 悪かったよ 24 00:03:14,986 --> 00:03:18,031 えっと じゃあ おぶろうか? 25 00:03:18,114 --> 00:03:21,534 そのような破廉恥なマネを 私にしろと言うのか! 26 00:03:21,618 --> 00:03:22,160 (七花)“破廉恥”? 27 00:03:22,243 --> 00:03:26,289 (とがめ)お 男に後ろから 抱きつく姿勢になるであろうが 28 00:03:26,414 --> 00:03:27,415 それがどうした? 29 00:03:27,498 --> 00:03:31,085 どうしたもこうしたも か… 体が密着するであろう 30 00:03:31,169 --> 00:03:32,086 (七花)それがどうした? 31 00:03:32,170 --> 00:03:32,921 あっ 32 00:03:33,254 --> 00:03:35,006 じゃあ 肩車ならどうだ? 33 00:03:35,256 --> 00:03:37,091 あっ ちぇりおー! 34 00:03:38,843 --> 00:03:43,139 肩車なんぞ 余計に破廉恥だわ 成人した男女のやることではない 35 00:03:43,431 --> 00:03:46,434 (七花)えっ 俺 島にいたころは 姉ちゃんと よく… 36 00:03:46,559 --> 00:03:47,185 (とがめ)よく? 37 00:03:49,437 --> 00:03:53,691 いや 何でもない… って じゃあ どうすればいいんだ? 38 00:03:53,775 --> 00:03:56,611 バカ者 私は奇策士だぞ 39 00:03:56,861 --> 00:03:59,781 その程度のこと ちゃんと妙案があるわ 40 00:04:00,615 --> 00:04:06,120 どうだ これならよいであろう 誰が見ても破廉恥ではないぞ 41 00:04:11,167 --> 00:04:12,377 なあ とがめ 42 00:04:12,627 --> 00:04:13,127 何だ? 43 00:04:13,711 --> 00:04:15,255 (七花)その千刀・鎩って― 44 00:04:15,338 --> 00:04:17,589 ひょっとして 千本あったりするのか? 45 00:04:17,757 --> 00:04:18,675 (とがめ)そうだ 46 00:04:18,800 --> 00:04:23,137 鎩は圧倒的な数量を 主題にして作られた刀だからな 47 00:04:23,263 --> 00:04:25,014 ゆえに千本でも一本だ 48 00:04:25,181 --> 00:04:27,767 “1本でも人参”みたいな 言い方すんなよ… 49 00:04:27,850 --> 00:04:28,977 (とがめ)ふっ 50 00:04:29,310 --> 00:04:30,144 痛(い)ってえ 51 00:04:30,687 --> 00:04:33,648 (とがめ)ようやく頂上の大鳥居が 見えてきたわ 52 00:04:33,773 --> 00:04:37,568 そなたが亀よりも ノロノロ 上るので 日が暮れると思ったぞ 53 00:04:37,652 --> 00:04:38,945 (七花)悪かったな 54 00:04:50,540 --> 00:04:53,584 (2人)うわ ふぁっー 55 00:04:54,002 --> 00:04:55,420 うう… 56 00:04:55,712 --> 00:04:56,504 はあ? 57 00:05:01,092 --> 00:05:02,468 ごきげんよう 58 00:05:02,760 --> 00:05:04,721 (とがめ)うっ うー 59 00:05:06,514 --> 00:05:09,809 (迷彩) 幕府の使いね 信じるよ 60 00:05:10,018 --> 00:05:12,687 だって信じたほうが 面白そうじゃないか 61 00:05:13,146 --> 00:05:14,731 ねっ 奇策士殿 62 00:05:14,856 --> 00:05:15,690 ああ… 63 00:05:17,525 --> 00:05:22,280 あんた 本当に敦賀迷彩なのか? 元山賊に見えないな 64 00:05:22,530 --> 00:05:26,075 山賊であったのは 7年も前のことでなあ 65 00:05:26,492 --> 00:05:30,705 以来 山賊家業からは足を洗って 仲間とも会っていない 66 00:05:31,497 --> 00:05:34,709 それに敦賀迷彩というのは 前の神主の名で― 67 00:05:34,834 --> 00:05:37,670 私は便宜上 それを名乗っているにすぎない 68 00:05:38,087 --> 00:05:42,675 だから本当に敦賀迷彩なのかと 問われると 難しいものだな 69 00:05:43,217 --> 00:05:45,970 君 うちの巫女(みこ)たちに 会っただろう? 70 00:05:46,054 --> 00:05:48,389 (七花) ああ 麓にいたやつらだろう? 71 00:05:48,806 --> 00:05:52,393 下だけじゃなく ここにもいるよ 50人ほどね 72 00:05:53,144 --> 00:05:55,772 一応 武装神社ということに なっているからさ 73 00:05:56,856 --> 00:05:59,734 うちには全部で千人の 巫女がいるのでな 74 00:05:59,859 --> 00:06:02,487 辺りに ばらしておかないと あふれてしまう 75 00:06:02,862 --> 00:06:07,200 で 突然 幕府から使いが来るとは 緊急の用件らしいな 76 00:06:07,617 --> 00:06:12,997 その件だが 迷彩殿 ここからは 1対1で話したい よろしいか? 77 00:06:13,581 --> 00:06:14,248 いいだろう 78 00:06:14,373 --> 00:06:14,957 (側近)はっ! 79 00:06:15,291 --> 00:06:15,958 とがめ 80 00:06:16,084 --> 00:06:19,670 心配には及ばない しばしその辺で遊んでおれ 81 00:06:20,254 --> 00:06:23,257 (迷彩)では 用件は 本殿で聞こうか 82 00:06:24,425 --> 00:06:29,097 この境内にいる50人は 深刻な症状の者ばかりでな 83 00:06:29,597 --> 00:06:33,601 親を殺された者 家族を皆殺しにされた者― 84 00:06:33,726 --> 00:06:36,187 一族郎党根絶やしにされた者 85 00:06:36,479 --> 00:06:39,440 永遠に心のやすらぎとは 無縁の者たちだ 86 00:06:39,816 --> 00:06:41,109 気にしないでくれ 87 00:06:45,363 --> 00:06:47,949 それにしても面白い髪だね お嬢ちゃん 88 00:06:48,282 --> 00:06:51,786 (とがめ)あなたに お嬢ちゃんと 言われるほど 私は若くない 89 00:06:52,036 --> 00:06:54,789 (迷彩)お嬢ちゃんさ 私から見ればね 90 00:06:55,081 --> 00:06:58,543 まあ確かに見た目ほど 若くはないようだが 91 00:07:01,212 --> 00:07:02,296 (とがめ)迷彩殿 92 00:07:02,630 --> 00:07:05,466 まあまあ そう慌てなさんな 93 00:07:13,474 --> 00:07:14,976 (栓が抜ける音) 94 00:07:18,312 --> 00:07:19,564 飲みたまえよ 95 00:07:23,317 --> 00:07:25,903 毒など入っておらんのは 見てのとおりだ 96 00:07:32,660 --> 00:07:34,370 よい飲みっぷりだ 97 00:07:34,787 --> 00:07:35,913 これでいいか? 98 00:07:35,997 --> 00:07:39,292 ああ これで私たちは友達だ 99 00:07:39,542 --> 00:07:43,379 まっ 正直言って話の内容は 予想ついているさ 100 00:07:44,005 --> 00:07:46,215 四季崎記紀の変体刀のことだろう? 101 00:07:47,091 --> 00:07:48,593 お察しのとおりだ 102 00:07:48,759 --> 00:07:53,723 四季崎記紀の変体刀 完成形 十二本の収集を役目としている 103 00:07:53,890 --> 00:07:54,932 何のために? 104 00:07:55,016 --> 00:07:57,101 無論 国家安寧のために 105 00:07:57,810 --> 00:07:58,853 ふーん 106 00:07:58,936 --> 00:08:02,565 (とがめ)私たちは すでに 二本の刀を入手しておる 107 00:08:02,690 --> 00:08:03,524 ほーお 108 00:08:03,691 --> 00:08:06,611 絶刀・鉋(かんな)と斬刀・鈍(ざんとうなまくら)だ 109 00:08:06,777 --> 00:08:10,948 千刀・鎩の所有者ならば 刀の名前くらいは聞いておろう 110 00:08:11,491 --> 00:08:13,201 ああ 知っているよ 111 00:08:13,534 --> 00:08:18,706 旧将軍でも集められなかった刀を すでに二本か すごいな 112 00:08:18,873 --> 00:08:22,043 (とがめ)そして あなたの 千刀・鎩が三本目だ 113 00:08:22,418 --> 00:08:26,297 四季崎が唯一 刀を消耗品と みなして作った― 114 00:08:26,380 --> 00:08:28,382 至高にして絶対の千本 115 00:08:28,591 --> 00:08:33,513 迷彩殿が千人の巫女にそれぞれ 帯刀させているという千刀・鎩 116 00:08:34,679 --> 00:08:39,894 私も幕府の人間だ 出雲の事情には 少なからず通じておる 117 00:08:40,227 --> 00:08:43,313 三途神社の抱えておる裏事情にもな 118 00:08:43,731 --> 00:08:46,359 もしも千刀を譲って くださるのであれば― 119 00:08:46,442 --> 00:08:49,904 そのあたりの裏事情を幕府が 引き受けることは可能だ 120 00:08:50,029 --> 00:08:50,821 (迷彩)ふーん 121 00:08:51,155 --> 00:08:53,574 悪い話ではないと思うが 122 00:08:53,658 --> 00:08:56,744 (迷彩)そうだね よい話だと思うよ 123 00:08:57,578 --> 00:08:58,538 (迷彩)ところで (とがめ)あっ 124 00:08:59,413 --> 00:09:01,457 (迷彩)1つ聞きたいことが あるんだが… 125 00:09:03,084 --> 00:09:04,293 (七花のあくび) 126 00:09:06,337 --> 00:09:07,004 ん? 127 00:09:09,423 --> 00:09:09,966 よぉ! 128 00:09:10,216 --> 00:09:12,051 (黒巫女)はっ あっ 129 00:09:14,804 --> 00:09:16,931 俺 何かしたかな? 130 00:09:19,600 --> 00:09:21,852 (迷彩)あの坊やは お嬢ちゃんの男かい? 131 00:09:22,019 --> 00:09:23,854 (とがめ)あれは私の刀だ 132 00:09:24,105 --> 00:09:28,943 (迷彩)刀ねえ? 見たところ 刀を帯びてはいなかったようだが 133 00:09:29,151 --> 00:09:30,486 どこに隠しているのかい? 134 00:09:30,861 --> 00:09:32,446 そういうたちなのだよ 135 00:09:33,114 --> 00:09:37,827 あれの名は鑢七花 虚刀流七代目当主 鑢七花だ 136 00:09:38,119 --> 00:09:38,786 はっ 137 00:09:40,371 --> 00:09:43,666 虚刀流七代目… か 138 00:09:43,833 --> 00:09:47,044 なるほど だから刀と言ったわけだ 139 00:09:47,128 --> 00:09:49,755 少し斬れすぎるところがあるがな 140 00:09:49,880 --> 00:09:53,467 その刀で鉋と鈍の所有者を斬ったか 141 00:09:53,593 --> 00:09:54,385 斬った 142 00:09:54,552 --> 00:09:59,682 大乱の英雄 虚刀流 刀を使わない剣士か 143 00:10:00,182 --> 00:10:05,062 興味があるな いや 血が騒ぐっていうのかねえ 144 00:10:05,938 --> 00:10:11,193 あの坊やの虚刀流と 私の千刀流が 衝突すれば どちらが勝つのか 145 00:10:11,569 --> 00:10:12,778 千刀流? 146 00:10:12,862 --> 00:10:14,780 (迷彩) よし 分かった お嬢ちゃん 147 00:10:14,864 --> 00:10:17,283 いや 奇策士とがめさん 148 00:10:17,908 --> 00:10:21,162 出雲大山三途神社の 長としての結論だ 149 00:10:21,662 --> 00:10:24,081 ちょっとした条件さえ のんでくれりゃあ― 150 00:10:24,373 --> 00:10:29,003 千刀・鎩 あんたに譲っても 構わないよ 151 00:10:32,757 --> 00:10:33,382 おっ 152 00:10:35,968 --> 00:10:36,677 どうだった? 153 00:10:38,554 --> 00:10:42,016 残念ながら最悪な結果だ 154 00:10:44,518 --> 00:10:47,647 (七花)千刀・鎩の 最初の一本を探し出す? 155 00:10:48,147 --> 00:10:52,276 (とがめ)ああ 鎩は千本とも まるっきり同じ刀だ 156 00:10:53,027 --> 00:10:56,864 その中に原型があるはずだと 迷彩は言うのだ 157 00:10:57,239 --> 00:10:58,574 (七花)それを見つけろって? 158 00:10:58,866 --> 00:11:00,910 そなたの助けなしでな 159 00:11:01,452 --> 00:11:06,791 最初の一本を見つければ 迷彩と そなたが1対1の決闘をし― 160 00:11:06,957 --> 00:11:09,168 勝てば鎩を譲るという 161 00:11:09,251 --> 00:11:10,127 負けたら? 162 00:11:10,544 --> 00:11:12,963 鉋と鈍を迷彩に譲る 163 00:11:13,214 --> 00:11:14,215 何だよ それ! 164 00:11:14,340 --> 00:11:15,508 何だとは何だ 165 00:11:15,591 --> 00:11:16,926 あんまりじゃないか 166 00:11:17,051 --> 00:11:20,304 こっちは勝っても一本 向こうは勝ったら二本かよ 167 00:11:20,388 --> 00:11:25,559 うむ というより 今回に限って 戦闘は避けたかったのだが 168 00:11:25,935 --> 00:11:28,062 七花 もう髪を下ろしていいぞ… 169 00:11:28,187 --> 00:11:30,189 (2人)うわー 170 00:11:31,315 --> 00:11:32,066 (とがめ)うっ 171 00:11:33,734 --> 00:11:35,569 こらあ どかんかー! 172 00:11:35,653 --> 00:11:38,572 (とがめ)ぬわー ううう (七花)どけと言われても 173 00:11:38,823 --> 00:11:42,410 これってもしかして とがめが 言ってた破廉恥ってやつか? 174 00:11:43,786 --> 00:11:45,663 (とがめ)う ふ ふーん ちぇりおー! 175 00:11:45,788 --> 00:11:48,082 (とがめ)こーら よけるなー! (七花)いや… 176 00:11:48,207 --> 00:11:50,042 (とがめ)むうー むむむ (七花)よけてはないんですけど… 177 00:11:50,167 --> 00:11:52,545 (とがめ) 言い訳など聞きたくないわ 178 00:11:53,421 --> 00:11:57,091 (側近)とがめ殿は迷彩様の 条件をのむようでした 179 00:12:00,678 --> 00:12:04,265 (迷彩)あの2人 ただの 主従関係ではあるまいな 180 00:12:05,099 --> 00:12:07,226 もちろん男女の関係でもない 181 00:12:07,643 --> 00:12:10,771 定めとでも言える絆で 結ばれているのだろう 182 00:12:10,896 --> 00:12:14,066 (側近)はっ 確かに そうかもしれません 183 00:12:14,775 --> 00:12:16,861 見たか? あの髪 184 00:12:17,611 --> 00:12:20,656 よほどのことがないかぎり ああにはならない 185 00:12:21,490 --> 00:12:23,033 それに あの立ち振る舞い 186 00:12:23,492 --> 00:12:25,453 どんな むごい目に遭おうとも― 187 00:12:25,578 --> 00:12:28,205 自分という過去は 捨てられないようだな 188 00:12:28,664 --> 00:12:29,331 いや 189 00:12:30,332 --> 00:12:34,128 捨ててはいけないと 潜在的に 守ろうとしているのかもしれない 190 00:12:35,171 --> 00:12:36,255 (側近)迷彩様 191 00:12:37,047 --> 00:12:40,634 なぜあんな仰々しい着物を 身につけているのか 192 00:12:41,051 --> 00:12:43,637 それは己が何たるかを 忘れないためさ 193 00:12:43,762 --> 00:12:44,472 (側近)はっ 194 00:12:44,638 --> 00:12:48,476 (迷彩)あの奇策士は どこぞの 藩士の娘だったのだろう 195 00:12:49,226 --> 00:12:52,229 世が世なら一国一城の 姫というところだ 196 00:12:52,813 --> 00:12:58,152 戦国の世も平安な世も 決して 私たちを癒やしてはくれない 197 00:13:11,665 --> 00:13:13,042 (とがめ)どうだ 七花 198 00:13:16,045 --> 00:13:19,507 似合うか ほーれ 何か感じないか? 199 00:13:19,632 --> 00:13:20,382 (七花)ふーん? 200 00:13:20,508 --> 00:13:21,217 (とがめ)ああ 201 00:13:22,259 --> 00:13:23,135 ふーん 202 00:13:23,802 --> 00:13:25,888 そなたに聞いたのが間違いだった 203 00:13:26,013 --> 00:13:26,555 えっ? 204 00:13:26,889 --> 00:13:27,848 (とがめ)いいか 205 00:13:27,932 --> 00:13:31,936 これから私が似合うかと聞いたら “よく似合ってる”と答えろ 206 00:13:32,186 --> 00:13:32,853 ん? 207 00:13:33,562 --> 00:13:35,272 (ナレーション) 残念ながら七花には― 208 00:13:35,356 --> 00:13:39,902 今でいう 巫女萌えの属性は なかったのでございます 209 00:13:42,488 --> 00:13:45,407 夜 帰る時は下で たいまつを灯すから― 210 00:13:45,533 --> 00:13:47,743 それを見たら すぐ迎えに来るように 211 00:13:47,868 --> 00:13:50,538 (七花)なあ 俺の役目って それだけかよ 212 00:13:50,704 --> 00:13:51,789 もう1つあるぞ 213 00:13:52,039 --> 00:13:52,706 何だ? 214 00:13:53,707 --> 00:13:54,833 ウロチョロするな 215 00:14:02,925 --> 00:14:05,636 (浪人たち)ウヒヒヒヒヒヒ 216 00:14:05,719 --> 00:14:08,430 嬢ちゃん 俺らと遊ばねえか 217 00:14:08,556 --> 00:14:10,558 (錆白兵(さびはくへい))邪魔だ どくでござる 218 00:14:10,641 --> 00:14:11,433 はあ? 219 00:14:16,397 --> 00:14:20,693 きぇー 邪魔なのは お前(めえ)のほうだー 220 00:14:22,361 --> 00:14:24,905 わっ うっ わー 221 00:14:25,823 --> 00:14:27,032 やりやがったなー 222 00:14:27,116 --> 00:14:28,242 ぶっ殺してやるー 223 00:14:29,702 --> 00:14:31,078 うぉー 224 00:14:31,954 --> 00:14:33,455 (刀の音) 225 00:14:34,081 --> 00:14:34,748 ぬぉー 226 00:14:37,793 --> 00:14:39,169 うああああー 227 00:14:42,631 --> 00:14:45,593 すげえ こんな刀 見たことねえ 228 00:14:45,801 --> 00:14:49,013 ああ お天道様が透けて見えらあ 229 00:14:49,513 --> 00:14:52,725 (錆白兵)刀は見せ物ではない 斬るものにござる 230 00:14:52,808 --> 00:14:53,517 おお 231 00:14:53,767 --> 00:14:56,520 拙者に ときめいてもらうでござる 232 00:15:01,233 --> 00:15:04,236 おお うっ 233 00:15:04,570 --> 00:15:08,490 カッ… カッコいい うっ 234 00:15:09,116 --> 00:15:10,409 うわぁー 235 00:15:18,250 --> 00:15:21,462 (迷彩)これがこの境内にある 残りの千刀だ 236 00:15:29,762 --> 00:15:31,388 (黒巫女)ああああー (とがめ)ううっ 237 00:15:31,555 --> 00:15:32,264 (側近)はっ 238 00:15:32,348 --> 00:15:32,973 (とがめ)だはっ 239 00:15:33,098 --> 00:15:33,849 (黒巫女たち)きゃあ 240 00:15:34,308 --> 00:15:36,310 うっ うー 241 00:15:38,270 --> 00:15:39,104 あっ あ 242 00:15:39,271 --> 00:15:40,522 (黒巫女)うおー 243 00:15:41,190 --> 00:15:43,108 (刀の音) 244 00:15:48,405 --> 00:15:50,157 (黒巫女たちの悲鳴) 245 00:15:53,869 --> 00:15:54,620 うっ 246 00:15:57,790 --> 00:15:58,582 迷彩殿 247 00:15:58,791 --> 00:16:00,000 (側近)迷彩様 248 00:16:00,167 --> 00:16:01,585 (迷彩) 彼女たちを連れていけ 249 00:16:01,710 --> 00:16:03,671 (側近)しかし… (迷彩)私のことは構うな 250 00:16:03,837 --> 00:16:04,672 あっ… 251 00:16:05,714 --> 00:16:08,884 (黒巫女)あっ うっ うー 252 00:16:09,134 --> 00:16:10,052 迷彩殿! 253 00:16:10,552 --> 00:16:11,637 (側近)さっ 254 00:16:14,598 --> 00:16:17,017 (黒巫女)はぁー うっ 255 00:16:17,851 --> 00:16:18,560 ああ 256 00:16:25,150 --> 00:16:28,988 (黒巫女の泣き声) 257 00:16:32,700 --> 00:16:34,576 もう大丈夫だよ 258 00:16:34,702 --> 00:16:36,370 (黒巫女の泣き声) 259 00:16:36,704 --> 00:16:37,329 ケガはないか? 260 00:16:37,579 --> 00:16:39,039 あっ ああ 261 00:16:39,581 --> 00:16:41,709 それより早く傷の手当てを 262 00:16:41,792 --> 00:16:43,043 (迷彩)大丈夫だ 263 00:16:43,919 --> 00:16:46,714 調べおいた刀は 机に戻しといてくれ 264 00:16:47,381 --> 00:16:48,549 迷彩殿 265 00:16:50,384 --> 00:16:51,343 ありがとう 266 00:17:03,939 --> 00:17:05,898 (あくび) 267 00:17:06,942 --> 00:17:07,608 ん? 268 00:17:11,864 --> 00:17:12,614 (黒巫女)あっ… 269 00:17:19,454 --> 00:17:21,749 (黒巫女たち)きゃー 270 00:17:36,764 --> 00:17:37,681 おっ? 271 00:17:47,816 --> 00:17:48,734 あっ 272 00:18:00,621 --> 00:18:03,957 (側近)七花殿 ありがとうございました 273 00:18:04,291 --> 00:18:06,376 別に 暇だったから 274 00:18:06,794 --> 00:18:11,924 初めてです あの子たちが 私や迷彩様以外の者と触れ合うのは 275 00:18:12,174 --> 00:18:13,300 (七花)ふーん 276 00:18:13,634 --> 00:18:16,136 あいつらって 迷彩が連れてきたのか? 277 00:18:16,428 --> 00:18:20,641 (側近)いいえ ほとんどは 前の神主の時から仕えております 278 00:18:20,974 --> 00:18:22,810 迷彩様の噂(うわさ)を聞き― 279 00:18:22,935 --> 00:18:26,188 わらをもすがる思いで 来た者も中にはおりますが 280 00:18:26,522 --> 00:18:27,731 迷彩の噂? 281 00:18:28,107 --> 00:18:30,526 心の傷を癒やす刀があると… 282 00:18:30,818 --> 00:18:32,152 (七花)鎩のことか? 283 00:18:33,987 --> 00:18:34,822 ふーん 284 00:18:35,531 --> 00:18:36,323 (側近)何か? 285 00:18:37,074 --> 00:18:42,037 感じないんだよな あんたたちの 刀が四季崎のだっていうのさ 286 00:18:42,246 --> 00:18:45,290 まっ 俺の思い違いかも しれないけどな 287 00:18:45,749 --> 00:18:47,167 じゃあ ちょっと休むよ 288 00:18:50,337 --> 00:18:53,006 (迷彩) “四季崎記紀の刀だと感じない”? 289 00:18:53,590 --> 00:18:55,217 面白いことを言う 290 00:18:55,884 --> 00:18:59,847 あの虚刀流の坊やとは 一度 話しておかないとな 291 00:19:03,058 --> 00:19:05,644 (七花)遅いな とがめのやつ 292 00:19:07,855 --> 00:19:09,940 (迷彩)虚刀流の坊や (七花)ん? 293 00:19:11,191 --> 00:19:12,401 やらないかい? 294 00:19:15,529 --> 00:19:16,446 聞いたよ 295 00:19:16,864 --> 00:19:19,366 うちの巫女たちを 手伝ってくれたんだって 296 00:19:19,491 --> 00:19:20,576 礼を言うぞ 297 00:19:20,701 --> 00:19:25,497 別に それより この神社って どんな神社なんだ? 298 00:19:25,873 --> 00:19:29,418 巫女は俺を見ると逃げるし 何が何だか… 299 00:19:29,543 --> 00:19:30,544 (迷彩)へえー 300 00:19:30,669 --> 00:19:34,548 お嬢ちゃま 教えてないんだ 三途神社の何たるかを 301 00:19:35,174 --> 00:19:40,137 この神社はねえ 一言で言えば 駆け込み寺みたいなものなのだよ 302 00:19:40,470 --> 00:19:41,555 駆け込み寺? 303 00:19:41,638 --> 00:19:43,390 (迷彩)縁切り寺とも言うな 304 00:19:44,224 --> 00:19:45,934 どっちも よく分からん 305 00:19:46,685 --> 00:19:50,898 はあ ぶっちゃけ 黒巫女ってのは どういうやつらなんだ? 306 00:19:51,064 --> 00:19:54,526 どうして あんたは刀を持たずに あいつらに与えてるんだ? 307 00:19:55,027 --> 00:19:58,197 それが彼女たちにとって 必要な物だからだよ 308 00:19:58,780 --> 00:20:01,408 いや 必要悪なのかもしれないが 309 00:20:02,367 --> 00:20:04,870 彼女たちは皆 被害者なのだよ 310 00:20:05,579 --> 00:20:10,292 男どもに ひどい目に遭わされて 精神が崩壊してしまったね 311 00:20:10,709 --> 00:20:12,544 (七花)精神が崩壊? 312 00:20:12,628 --> 00:20:18,091 精神だけじゃないさ 心も体も 限界まで痛めつけられている 313 00:20:18,383 --> 00:20:21,720 いや 限界を超えても 痛め続けられる 314 00:20:22,054 --> 00:20:24,723 捨てられるのさ ただ単に… 315 00:20:25,349 --> 00:20:27,976 そして捨てられた場所から 拾ってきたのが― 316 00:20:28,185 --> 00:20:31,230 この神社に仕える 千人の巫女たちなのだよ 317 00:20:31,772 --> 00:20:34,399 これで君を怖がる理由も 分かっただろう? 318 00:20:34,983 --> 00:20:38,111 彼女たちにとって 男っていうのは それだけで― 319 00:20:38,278 --> 00:20:40,405 恐怖と忌避の対象だからね 320 00:20:40,822 --> 00:20:43,951 “恐怖と忌避”“男と女”か 321 00:20:44,534 --> 00:20:46,328 そういうのは よく分からん 322 00:20:46,703 --> 00:20:51,541 そうかい まあ剣士には 縁のない世界だからね 323 00:20:51,875 --> 00:20:55,462 でも とがめが“うろつくな”って 言った理由は分かったぜ 324 00:20:55,963 --> 00:20:59,883 うーん 女性らしい 気遣いと言えるだろうな 325 00:21:00,467 --> 00:21:03,011 ついでに もう1つ 分かったんじゃないかな 326 00:21:03,845 --> 00:21:07,015 私が鎩を彼女たちに 持たせている理由 327 00:21:08,392 --> 00:21:13,397 それは四季崎記紀の刀の毒を 薬として使うためだよ 328 00:21:13,480 --> 00:21:14,731 (七花)薬として? 329 00:21:15,482 --> 00:21:19,778 薬も過ぎれば毒となるよう 毒も転ずれば薬になる 330 00:21:20,153 --> 00:21:24,366 刀の毒は彼女たちの壊されて しまった心を立て直すには― 331 00:21:24,491 --> 00:21:26,493 一役買ってくれるはずだ 332 00:21:26,827 --> 00:21:31,790 当然 変体刀に そんな人知を 超えた力があるのなら だけれど 333 00:21:31,873 --> 00:21:35,585 へえ 四季崎の刀を そんなふうに使ったのは― 334 00:21:35,669 --> 00:21:37,296 あんたが初めてだろうよ 335 00:21:37,754 --> 00:21:38,880 そうだろうな 336 00:21:39,881 --> 00:21:43,468 殺す鎩で生かすとは 誰も考えないだろう 337 00:21:43,885 --> 00:21:46,221 しかし それなりに 効果はあるようだよ 338 00:21:47,014 --> 00:21:50,392 7年間それを見ている身として 言わせてもらえればね 339 00:21:51,018 --> 00:21:53,145 刀の毒を抜きにしても― 340 00:21:53,228 --> 00:21:58,191 刃物という強さを持つことで 女は男と対等になれるからな 341 00:21:58,442 --> 00:22:01,528 (七花)あの顔面に貼ってある 御札も そういうもんなのか? 342 00:22:01,778 --> 00:22:05,365 いやいや あれは単に 隠すためのものさ 343 00:22:05,615 --> 00:22:10,329 彼女たちの中には罪人として 追われている者も少なくないんでね 344 00:22:10,412 --> 00:22:11,371 そうなのか 345 00:22:11,705 --> 00:22:14,541 お嬢ちゃんの言う 裏事情っていうやつさ 346 00:22:15,042 --> 00:22:17,711 神社だけに はったりが効いて いいだろう 347 00:22:17,961 --> 00:22:18,837 なるほど 348 00:22:19,755 --> 00:22:23,884 御札はただの覆面 必要なのは刀だけだ 349 00:22:24,343 --> 00:22:28,138 心の傷のせいで眠ることすら ままならない者たちだが― 350 00:22:28,722 --> 00:22:33,393 それでも鎩を帯刀することで 何とか自我を保っている 351 00:22:34,603 --> 00:22:39,232 彼女たちにとって 千刀・鎩は 心のよりどころだ 352 00:22:40,400 --> 00:22:43,904 だから私は 鎩を失うわけにはいかない 353 00:22:44,613 --> 00:22:47,199 1人でも多くの女を 助けるために― 354 00:22:47,532 --> 00:22:50,994 君を倒して二本の変体刀が 手に入れば― 355 00:22:51,078 --> 00:22:53,288 さらに2人助けることができる 356 00:22:54,039 --> 00:22:56,458 だから私は君に 勝たなければならない 357 00:22:56,583 --> 00:22:58,585 (七花)うん いいんじゃないか 358 00:22:59,252 --> 00:23:03,840 俺は俺で ちゃんと戦うからさ あんたはあんたで ちゃんと戦えよ 359 00:23:04,174 --> 00:23:05,842 いい勝負になりそうじゃん 360 00:23:06,593 --> 00:23:09,763 哀れみを誘う作戦 失敗 361 00:23:11,598 --> 00:23:14,684 飲みたまえよ 大事な話をしよう 362 00:23:14,851 --> 00:23:15,560 (七花)おう 363 00:23:20,023 --> 00:23:21,066 プーッ 364 00:23:21,191 --> 00:23:22,943 (せき込み) 365 00:23:23,235 --> 00:23:25,070 何だ この苦い水は? 366 00:23:25,153 --> 00:23:27,864 坊や もしかして下戸かい? 367 00:23:28,115 --> 00:23:31,243 (七花)酒だったのか 酒は飲んだことがない 368 00:23:31,451 --> 00:23:33,620 いい酒なんだけどねえ 369 00:23:35,539 --> 00:23:37,582 しかし見てくれに反して― 370 00:23:37,707 --> 00:23:40,669 随分と非情なことを言うね 君は 371 00:23:41,461 --> 00:23:43,130 まるでつれないじゃないか 372 00:23:43,797 --> 00:23:45,590 俺は刀だからな 373 00:23:45,841 --> 00:23:49,302 とがめ以外のためには 心も体も動かないさ 374 00:23:51,138 --> 00:23:55,600 鎩を奪えば再び心が壊れてしまう 女がいるかもしれないが― 375 00:23:56,059 --> 00:23:57,227 それでもよいのか? 376 00:23:57,477 --> 00:23:59,813 いいも悪いも しかたないことだろう 377 00:24:00,063 --> 00:24:04,151 とがめが鎩を欲している以上 俺にはどうしようもないことだ 378 00:24:04,317 --> 00:24:05,986 諦めてもらうしかない 379 00:24:06,528 --> 00:24:12,367 君は葛藤しないんだな 決めたら もう迷わないのかな? 380 00:24:12,993 --> 00:24:16,329 しかし それは迷うことに 怠慢なだけではないかな? 381 00:24:16,830 --> 00:24:19,666 選ぶことに臆病なだけでは ないのかな? 382 00:24:20,000 --> 00:24:22,669 ただ面倒がっているだけ… とか 383 00:24:22,794 --> 00:24:25,589 俺が面倒がりなのは 否定しないけどな 384 00:24:26,506 --> 00:24:28,341 今まで何人斬った? 385 00:24:28,717 --> 00:24:29,426 (七花)2人 386 00:24:29,926 --> 00:24:30,886 2人か 387 00:24:31,428 --> 00:24:34,723 君のような人間にしては 随分と少ないな 388 00:24:34,848 --> 00:24:40,020 (七花)無人島育ちの山猿でね 初めての実戦が2か月前のことだ 389 00:24:40,520 --> 00:24:43,648 変体刀 二本集めるのに2人か 390 00:24:43,732 --> 00:24:45,692 (七花)ああ そういうところだ 391 00:24:45,859 --> 00:24:47,027 私も斬るか? 392 00:24:47,152 --> 00:24:50,030 だろうな あんたこそどうなんだ? 393 00:24:50,363 --> 00:24:52,115 これまで何人殺している? 394 00:24:52,616 --> 00:24:54,201 数えきれないさ 395 00:24:55,118 --> 00:24:58,872 ただ確実に言えるのは43人だ 396 00:24:59,039 --> 00:25:01,708 (七花)43? 何の数字だ? 397 00:25:02,167 --> 00:25:06,296 (迷彩) 7年前 山賊を抜ける時に 殺した仲間の数だ 398 00:25:07,047 --> 00:25:09,466 これだけは どうしたって 忘れようがない 399 00:25:10,926 --> 00:25:15,222 逆に言えば覚えているのは その43人くらいのもの 400 00:25:15,889 --> 00:25:19,142 人は そんな私を 冷酷残忍だと言うだろう 401 00:25:19,684 --> 00:25:24,231 しかし そんな私でも 人を斬るためには覚悟が必要なのさ 402 00:25:24,689 --> 00:25:26,399 何か捨てるものがね 403 00:25:26,983 --> 00:25:29,152 君には どうやらそれがないらしい 404 00:25:29,236 --> 00:25:31,071 ないだろうな 多分 405 00:25:31,446 --> 00:25:33,823 ならば 君は いったい何のために戦う? 406 00:25:33,949 --> 00:25:36,284 言ったろ とがめのためだ 407 00:25:36,910 --> 00:25:40,914 俺はあいつに惚れてんだよ それ以外に何かあんのか? 408 00:25:41,373 --> 00:25:45,752 揺さぶりをかける作戦も失敗 やれやれだ 409 00:25:48,630 --> 00:25:50,173 (七花)あっ 違った 410 00:25:50,298 --> 00:25:51,758 (迷彩)ん? どうした? 411 00:25:52,509 --> 00:25:57,514 (七花)2人じゃなかった 3人だ 俺は もう1人斬っていたんだった 412 00:25:58,765 --> 00:26:01,559 俺は親父(おやじ)を斬り殺している 413 00:26:05,730 --> 00:26:06,773 (2人)あっ 414 00:26:11,069 --> 00:26:14,781 おやおや もう気づかれてしまいましたか 415 00:26:14,864 --> 00:26:16,825 意外と早かったですね 416 00:26:17,284 --> 00:26:21,788 あと少しだけ興味深いお話を 聞いていたかったものですけれどね 417 00:26:22,122 --> 00:26:26,126 しかしまあ おかげさまで 大体の事情はつかめましたよ 418 00:26:26,209 --> 00:26:27,961 ありがとうございました 419 00:26:28,086 --> 00:26:30,088 下げた頭が上がりませんと― 420 00:26:30,171 --> 00:26:32,549 お礼を言わなくては ならないのでしょうね 421 00:26:32,924 --> 00:26:37,304 では高い所から失礼して 名乗らせていただきますよ 422 00:26:37,470 --> 00:26:40,765 なはは いいですね 忍ぶことなく名乗れるというのは 423 00:26:40,849 --> 00:26:42,934 いいですね いいですね 424 00:26:43,310 --> 00:26:48,857 私は真庭(まにわ)忍軍十二頭領が一人 真庭喰鮫(くいざめ)と申すものです 425 00:26:48,982 --> 00:26:51,568 以後よろしく お見知りおきを 426 00:26:51,776 --> 00:26:52,652 まにわにか? 427 00:26:52,861 --> 00:26:54,696 ま… “まにわに”ですって? 428 00:26:55,155 --> 00:26:57,073 何ということでしょう 429 00:26:57,157 --> 00:26:59,534 めちゃくちゃ イカしてるではありませんか 430 00:26:59,659 --> 00:27:01,828 暗殺専門の忍者である私たちに― 431 00:27:01,953 --> 00:27:04,956 そんなステキな愛称を 付けてくださるなんて 432 00:27:05,165 --> 00:27:08,168 あなたは なんとよい方なのでしょう 433 00:27:08,293 --> 00:27:09,169 知り合いか? 434 00:27:09,294 --> 00:27:13,882 いや あいつ単体では知らないが 刀を狙っているやつらだ 435 00:27:14,007 --> 00:27:15,633 (喰鮫)そのとおり 436 00:27:15,967 --> 00:27:20,472 私は お二人の刀を手に 入れるために ここまで参りました 437 00:27:20,847 --> 00:27:25,602 あー いいですね いいですね 闘争の空気はいいですね 438 00:27:26,311 --> 00:27:28,521 忍法渦刀(うずがたな) 439 00:27:29,939 --> 00:27:31,316 忍法渦刀 440 00:27:31,399 --> 00:27:36,196 私が鎖に呪縛の縛と書いて 鎖縛(さばく)の喰鮫と呼ばれるゆえん 441 00:27:38,156 --> 00:27:39,699 (迷彩)坊や (七花)ん? 442 00:27:40,241 --> 00:27:43,370 (迷彩)私は出雲を守護する 神社の長として― 443 00:27:43,703 --> 00:27:46,122 あの忍者を 捨て置くわけにはいかない 444 00:27:46,206 --> 00:27:49,667 それに私は虚刀流を 知っているのに― 445 00:27:49,751 --> 00:27:53,546 君が千刀流を知らないというのは 不公平だろう 446 00:27:53,671 --> 00:27:54,714 何が言いたい? 447 00:27:56,841 --> 00:27:58,301 では参りますよ 448 00:28:01,179 --> 00:28:04,891 やあ いいですね いいですね 興奮しますね 449 00:28:13,066 --> 00:28:15,110 えっ えー! 450 00:28:16,736 --> 00:28:19,072 そういえば あなた おっしゃっていましたね 451 00:28:19,197 --> 00:28:20,573 敦賀迷彩さん 452 00:28:20,949 --> 00:28:23,576 “いったい 何のために戦う”と 453 00:28:23,743 --> 00:28:26,121 あえて答えるなら金のためですよ 454 00:28:26,246 --> 00:28:30,375 それ以外に戦ったことがないことを 何よりも誇りにしています 455 00:28:30,625 --> 00:28:31,418 しかし― 456 00:28:31,543 --> 00:28:34,921 いちいちそんなことを聞かなければ ならないくらいだったら― 457 00:28:35,004 --> 00:28:38,717 そもそも あなたは 戦わなければよいのですよ 458 00:28:38,925 --> 00:28:40,510 “何のために戦う?” 459 00:28:40,635 --> 00:28:43,304 そんな余裕のある言葉 聞きたくもありません 460 00:28:43,596 --> 00:28:45,265 バカバカしいですね 461 00:28:51,271 --> 00:28:54,774 ヒヤーッ! 462 00:28:58,528 --> 00:28:59,821 (落下音) 463 00:29:01,948 --> 00:29:06,703 虚刀流の坊や この死体の始末を 手伝ってくれるかい? 464 00:29:11,499 --> 00:29:13,126 (とがめ)遅い 遅い 遅い 465 00:29:13,251 --> 00:29:16,588 私がこの だだっ広い神社を 西へ東へ南へ北へと― 466 00:29:16,671 --> 00:29:19,257 身を削って走り回っておる間 よく ゆうゆうと― 467 00:29:19,382 --> 00:29:21,301 寝ていられるものだな (七花)まにわにが現れた 468 00:29:21,509 --> 00:29:22,135 あっ 469 00:29:23,762 --> 00:29:26,389 (七花)いつ また まにわにが 現れるか分からない 470 00:29:26,639 --> 00:29:29,976 だから明日からは とがめの 刀として行動を共にする 471 00:29:30,059 --> 00:29:30,977 いらん心配だ 472 00:29:31,144 --> 00:29:32,687 でもよ あっ 473 00:29:33,313 --> 00:29:34,606 (とがめ)最初の一本だ 474 00:29:36,316 --> 00:29:39,235 しょせんは 鞘(さや)についた 傷程度の話 475 00:29:39,360 --> 00:29:42,238 さすがに確実な 保証まではできないが― 476 00:29:42,655 --> 00:29:46,409 この鞘の傷が最も古く 最も深かった 477 00:29:46,618 --> 00:29:49,913 ゆえに 恐らく この刀がそうであろう 478 00:29:50,663 --> 00:29:54,042 (迷彩) なるほど 鞘とは盲点だったな 479 00:29:55,001 --> 00:29:56,586 ありがとう うれしいよ 480 00:29:56,669 --> 00:29:57,420 あっ 481 00:29:58,630 --> 00:29:59,839 それで いいのか? 482 00:30:00,131 --> 00:30:04,886 ああ お嬢ちゃんが最初の一本と 言うのなら そうなのだろう 483 00:30:07,472 --> 00:30:08,431 では明日 484 00:30:08,973 --> 00:30:10,308 正午きっかりに 485 00:30:11,100 --> 00:30:13,812 どうだ 気つけに1杯やらないか? 486 00:30:14,103 --> 00:30:15,063 (とがめ)いいな 487 00:30:16,481 --> 00:30:21,569 (迷彩) 虚刀流の坊や さっさと始めて さっさと終わらそうではないか 488 00:30:21,694 --> 00:30:25,907 (七花)命を懸けた勝負を前に 随分と気楽に言ってくれるぜ 489 00:30:26,241 --> 00:30:28,993 そういうのは俺の領分の はずなんだけどなあ 490 00:30:29,118 --> 00:30:31,871 (迷彩)一応 降参も ありということにしておくか 491 00:30:32,455 --> 00:30:35,375 勝てないと感じたら いつでも言っておくれ 492 00:30:35,792 --> 00:30:36,626 (七花)そうかい 493 00:30:38,878 --> 00:30:41,172 虚刀流を見せてもらおうか 494 00:30:41,548 --> 00:30:45,635 ああ あんたの自慢の千刀流を とっくりと見せてもらうぜ 495 00:30:46,052 --> 00:30:50,598 自慢? 私は千刀流を 自慢に思ってなどないよ 496 00:30:50,765 --> 00:30:53,518 こんなもの ただの剣技だろ? 497 00:30:55,186 --> 00:30:57,772 (七花)じゃあ 始めようか 498 00:30:58,565 --> 00:31:02,318 (迷彩) そうだな ご託を並べていても 始まらない 499 00:31:23,882 --> 00:31:27,176 いざ 尋常に始め! 500 00:31:28,094 --> 00:31:28,928 ふっ 501 00:31:29,095 --> 00:31:29,762 うっ 502 00:31:31,723 --> 00:31:32,432 えっ? 503 00:31:34,434 --> 00:31:36,144 あっ あっ ちょっと 504 00:31:53,453 --> 00:31:55,038 あっ 何? 505 00:31:55,163 --> 00:31:57,081 (迷彩) 一刀 一文字斬り! 506 00:32:06,466 --> 00:32:07,300 えっ? 507 00:32:09,010 --> 00:32:10,178 どこから刀を? 508 00:32:10,303 --> 00:32:11,095 おっ! 509 00:32:20,021 --> 00:32:20,688 あっ 510 00:32:27,528 --> 00:32:29,155 最初の一本探し 511 00:32:29,405 --> 00:32:33,451 あれは この仕掛けのための 時間稼ぎだったのか 512 00:32:34,077 --> 00:32:35,745 これが千刀流か 513 00:32:36,162 --> 00:32:38,873 (迷彩) そのとおりだよ 虚刀流の坊や 514 00:32:39,332 --> 00:32:42,418 相手の刀を 自分の刀にするだけじゃない 515 00:32:42,877 --> 00:32:47,048 戦場にある すべての刀を 自分の刀とするから千刀流なんだ 516 00:32:48,257 --> 00:32:51,135 これぞ千刀・鎩との共同合作 517 00:32:51,844 --> 00:32:54,222 地形効果 千刀巡り 518 00:32:56,349 --> 00:32:57,684 どこへ行ったのだ 519 00:32:57,809 --> 00:33:01,688 決闘の様子を見なければ 報告が書けないではないか 520 00:33:02,188 --> 00:33:05,733 (迷彩) この千刀巡りに虚刀流では 対抗できないだろう 521 00:33:05,858 --> 00:33:09,737 どうするね 降参もありという取り決めだった 522 00:33:10,154 --> 00:33:14,242 参ったというならば それを受け入れる準備があるよ 523 00:33:14,575 --> 00:33:17,203 よほど千刀流を 信じてるってことか 524 00:33:17,328 --> 00:33:22,625 (迷彩) 信じる? ああ信じていたさ 心の底からね 525 00:33:23,001 --> 00:33:26,838 私のすべてだったんだ あの大乱までは… 526 00:33:28,131 --> 00:33:31,801 (迷彩) 私の父は出雲の地を守護していた 527 00:33:32,051 --> 00:33:35,680 護神3連隊の2番隊隊長であると 同時に― 528 00:33:35,763 --> 00:33:38,933 古くから伝わる剣道場の 道場主だった 529 00:33:39,934 --> 00:33:42,228 そこで千刀流を教えていたのだ 530 00:33:42,937 --> 00:33:45,023 私は その跡取り娘だった 531 00:33:45,773 --> 00:33:48,192 だから物心ついたころから― 532 00:33:48,276 --> 00:33:51,863 千刀流を絶対の護身術だと 信じて疑わなかった 533 00:33:53,781 --> 00:33:58,036 けれど千刀流は大乱の最中には まるで役に立たなかった 534 00:33:58,578 --> 00:34:02,957 父は死に 門弟たちも 1人残らず討ち死んだ 535 00:34:03,916 --> 00:34:07,003 生き残ったのは 戦場に出なかった私だけだった 536 00:34:07,587 --> 00:34:09,922 私は大乱で すべてを失った 537 00:34:10,590 --> 00:34:13,551 家も家族も信念すらも 538 00:34:14,719 --> 00:34:19,474 気がつくと私は千刀流を 殺すための道具として使っていた 539 00:34:20,224 --> 00:34:24,395 やがて出雲で 一番規模の 大きかった山賊衆に参入した 540 00:34:24,603 --> 00:34:28,440 その頭目が千刀・鎩を 持っていたのさ 541 00:34:31,110 --> 00:34:35,864 千刀流とは自ら武装しない 絶対の護身術 542 00:34:36,114 --> 00:34:42,955 それは刀は消耗品であるという 考えに基づいた鎩と同じ主題だ 543 00:34:43,456 --> 00:34:48,168 自分のもとに この刀が来たのは 偶然ではない 運命だと感じたよ 544 00:34:51,005 --> 00:34:55,009 いつの間にか私は 山賊の頭目になっていた 545 00:34:55,885 --> 00:34:58,971 そこから先は語る価値もない 546 00:34:59,305 --> 00:35:02,767 ただ戦い ただ殺す日々だった 547 00:35:03,601 --> 00:35:06,145 “何のために戦うのか” 548 00:35:06,270 --> 00:35:08,940 そんなことを 考える余裕すらなかった 549 00:35:10,525 --> 00:35:15,279 そんな私が生まれて初めて その疑問にぶつかったのは― 550 00:35:15,696 --> 00:35:19,117 当時 神主だった敦賀迷彩に 会った時だ 551 00:35:20,409 --> 00:35:23,121 三途神社のことは 以前から知っていた 552 00:35:23,663 --> 00:35:26,666 弱き女たちにとっての 療養所だと 553 00:35:27,333 --> 00:35:30,962 ならば なぜ私を 救ってくれなかったのか 554 00:35:31,420 --> 00:35:35,007 誰でも救ってくれるから 神様と言うんじゃないのか 555 00:35:53,776 --> 00:35:55,069 (迷彩)あっ 556 00:35:55,194 --> 00:35:57,488 当時の敦賀迷彩は言った 557 00:35:58,489 --> 00:36:01,409 “どうか あの子たちのことは 許してあげてください” 558 00:36:01,826 --> 00:36:03,870 “あの子たちは悪くないんです” 559 00:36:05,079 --> 00:36:07,248 それが最期の言葉だった 560 00:36:08,291 --> 00:36:11,586 死ぬ間際に そんなことを言った 人間は初めてだった 561 00:36:12,837 --> 00:36:14,714 だから こう考えてしまった 562 00:36:15,590 --> 00:36:17,925 何のために戦うのか 563 00:36:18,843 --> 00:36:20,887 何のために生きるのか 564 00:36:23,764 --> 00:36:26,976 山賊の根城に戻った私は 仲間を斬った 565 00:36:27,393 --> 00:36:30,354 43人の仲間を1人残らず 566 00:36:31,189 --> 00:36:35,234 そして私は 敦賀迷彩の遺志を 受け継いだのだ 567 00:36:36,068 --> 00:36:39,947 以来 私は あの子たちのために 戦っている 568 00:36:40,364 --> 00:36:44,952 だから 私は負けるわけには いかない あの子たちのためにも 569 00:36:51,125 --> 00:36:55,171 (迷彩)話はここまでだ さあ どうするね? 570 00:36:55,755 --> 00:36:59,425 ムダな抵抗はよして 負けを認めてしまえばよい 571 00:37:00,009 --> 00:37:04,972 虚刀流は千刀流に及ばなかった ただ それだけのことなのだから 572 00:37:06,557 --> 00:37:07,516 はあー 573 00:37:08,726 --> 00:37:10,937 はあー ふぅー 574 00:37:12,772 --> 00:37:15,483 俺 獣の肉を食うんだよな 575 00:37:15,816 --> 00:37:16,859 (迷彩)えっ? 576 00:37:17,610 --> 00:37:22,782 それがどうした 肉くらいなど 武芸者の間では珍しくもない 577 00:37:23,115 --> 00:37:27,787 (七花)獣ってよー 素早くて 簡単には捕まえられねえんだ 578 00:37:28,412 --> 00:37:31,624 どうしても食いたい時には ワナを仕掛ける 579 00:37:32,625 --> 00:37:37,088 でも俺はバカだから 家(うち)のすぐ そばに ワナを仕掛けちゃったんだ 580 00:37:37,463 --> 00:37:41,717 それに姉ちゃんが掛かっちまってさ あん時は大変だった 581 00:37:42,093 --> 00:37:45,346 要は獲物に対する ワナなんだから― 582 00:37:45,471 --> 00:37:49,225 自分の家の周りにワナを仕掛けちゃ いけねえってことだ 583 00:37:49,350 --> 00:37:51,560 (迷彩)いったい 何を 言ってるんだい? 584 00:37:51,978 --> 00:37:53,938 降参しないというのならもう… 585 00:37:54,021 --> 00:37:55,690 (七花)1つだけ思いついた (迷彩)あっ 586 00:37:56,232 --> 00:38:01,195 (七花)ずっと考えてたんだよ この千刀巡りを脱する方法を 587 00:38:01,487 --> 00:38:05,533 (迷彩)ないよ そんなものは 千刀巡りは無敵だ 588 00:38:05,825 --> 00:38:08,077 千刀流は絶対の護身術だ 589 00:38:08,619 --> 00:38:11,706 虚刀流が本当に千刀流に劣るのか 590 00:38:12,540 --> 00:38:13,749 試してみるんだよ 591 00:38:14,125 --> 00:38:15,710 あっ まさか! 592 00:38:31,726 --> 00:38:34,729 (七花)さすがに ここには 仕掛けられないようだな 593 00:38:36,230 --> 00:38:40,901 俺はともかく とがめを 警戒しないわけにはいかないんだな 594 00:38:46,574 --> 00:38:47,241 ふっ 595 00:38:52,621 --> 00:38:54,790 千刀を入手したとしても― 596 00:38:54,874 --> 00:38:59,628 尾張(おわり)まで運ぶ手段を君たちは まだ 思いついていないのではないかな? 597 00:39:00,713 --> 00:39:02,965 もしも私が勝負に負けたら― 598 00:39:03,049 --> 00:39:07,428 巫女たち全員で協力し 尾張まで届けるように指示してある 599 00:39:07,595 --> 00:39:08,637 何だよ それ? 600 00:39:08,888 --> 00:39:13,976 その代わりといっては何だが 彼女たちと三途神社の行く末を― 601 00:39:14,060 --> 00:39:16,896 幕府で保証してくれるよう お願いしたい 602 00:39:16,979 --> 00:39:18,814 (七花)おい あんた それは… 603 00:39:18,898 --> 00:39:20,900 私の跡継ぎは分かるよな 604 00:39:21,609 --> 00:39:25,279 ただ あの子も まだ万全に 快復したわけではない 605 00:39:25,529 --> 00:39:31,952 誰か人の心に関する教養と優しさを 持つ人間を 幕府から派遣してくれ 606 00:39:32,703 --> 00:39:37,583 魑魅魍魎(ちみもうりょう)の住む幕府といえど 1人くらいは心当たりがあるだろう 607 00:39:37,792 --> 00:39:39,627 負けを認めるってことか? 608 00:39:39,794 --> 00:39:44,507 いや 言ったろう “私は負けるわけにはいかない”と 609 00:39:44,715 --> 00:39:47,093 “あの子たちを守る”ためにね 610 00:39:48,511 --> 00:39:51,764 ただ矛盾したことを 言うようだけど― 611 00:39:52,014 --> 00:39:55,309 この勝負 負けてもいいと思っていたんだ 612 00:39:56,060 --> 00:40:00,147 “刀の毒でもって彼女たちを 助ける”なんて間違っている 613 00:40:00,606 --> 00:40:02,817 私は常にそう考えていた 614 00:40:03,692 --> 00:40:06,278 刀は薬として作用しているが― 615 00:40:06,404 --> 00:40:08,864 それで 手放せなくなって しまうんじゃ― 616 00:40:08,989 --> 00:40:11,200 やっぱり薬じゃなくて毒だ 617 00:40:11,826 --> 00:40:13,661 だから待っていたんだよ 618 00:40:13,953 --> 00:40:16,997 私のくだらない思惑を 打ち砕いてくれる― 619 00:40:17,123 --> 00:40:19,583 君たちのような人間が来るのをね 620 00:40:20,835 --> 00:40:24,130 無論 まだ負けは認めてないが 621 00:40:25,965 --> 00:40:27,383 (物音) 622 00:40:27,508 --> 00:40:28,175 あっ 623 00:40:36,851 --> 00:40:37,560 はぁー 624 00:40:42,231 --> 00:40:45,401 それが千刀・鎩の最初の一本だ 625 00:40:45,568 --> 00:40:47,486 はっ なぜ分かる? 626 00:40:47,653 --> 00:40:51,365 (七花)とがめが言ってた “刀には魂が宿る”と 627 00:40:52,491 --> 00:40:56,829 刀は持ち主を選ぶ ただし 斬る相手は選ばない 628 00:40:57,204 --> 00:41:01,500 千刀・鎩は あんたを選んだ 俺がとがめを選んだように 629 00:41:02,918 --> 00:41:03,752 いかにも 630 00:41:08,966 --> 00:41:12,887 虚刀流七代目当主 鑢七花だ 来いよ 631 00:41:13,512 --> 00:41:16,432 出雲大山三途神社 いや… 632 00:41:16,849 --> 00:41:20,519 千刀流十二代目当主 敦賀迷彩だ 633 00:41:20,686 --> 00:41:24,064 行くぞ 千刀流の 千の奥義を見せてやる 634 00:41:24,273 --> 00:41:26,734 ああ ただし そのころには― 635 00:41:26,859 --> 00:41:29,653 あんたは 八つ裂きに なっているだろうけどな 636 00:41:34,158 --> 00:41:34,867 ふっ 637 00:41:37,453 --> 00:41:38,204 はっ 638 00:41:41,207 --> 00:41:42,833 空中一刀 639 00:41:43,375 --> 00:41:44,585 億文字斬り 640 00:41:45,377 --> 00:41:48,088 (七花)虚刀流 鏡花水月(きょうかすいげつ) 641 00:41:51,509 --> 00:41:53,886 (衝撃音) 642 00:41:59,475 --> 00:42:02,728 (雨の音) 643 00:42:07,399 --> 00:42:08,067 あっ 644 00:42:19,078 --> 00:42:21,455 ん? とがめ 勝ったぞ 645 00:42:22,122 --> 00:42:25,793 見てのとおりだ 誤審の生じる余地はねえよな 646 00:42:26,126 --> 00:42:26,919 (とがめ)ああ 647 00:42:31,757 --> 00:42:33,467 七花 何も… 648 00:42:34,218 --> 00:42:35,803 ん? どうした? 649 00:42:42,434 --> 00:42:43,769 (とがめ)でかしたぞ 650 00:42:53,445 --> 00:42:56,282 (側近)やはり こうなりましたか 651 00:43:00,119 --> 00:43:05,499 (とがめ) 千人の巫女と三途神社の行く末は 必ず幕府が保証しよう 652 00:43:05,958 --> 00:43:07,501 (側近)ありがとうございます 653 00:43:08,460 --> 00:43:11,547 (七花)これから どうなるんだろうな この神社 654 00:43:12,798 --> 00:43:15,926 刀がないんだから 武装神社じゃ いられないだろう? 655 00:43:16,051 --> 00:43:17,136 (とがめ)確かに 656 00:43:17,303 --> 00:43:20,681 しかし それは刀によって 変わっていたものが― 657 00:43:20,806 --> 00:43:22,808 元に戻るだけの話だ 658 00:43:22,891 --> 00:43:26,478 (七花)だったら 迷彩も最初から そうすればよかったのにな 659 00:43:26,604 --> 00:43:29,940 迷彩は変体刀の所有者だった 660 00:43:30,232 --> 00:43:33,444 四季崎の刀の毒と 無縁ではなかったはず 661 00:43:34,320 --> 00:43:37,323 奪われでもせんかぎり 手放せなかったろうよ 662 00:43:37,781 --> 00:43:40,117 ふーん あんたはどうなんだ? 663 00:43:40,576 --> 00:43:41,118 (とがめ)あっ 664 00:43:41,201 --> 00:43:42,578 俺が負けてたら― 665 00:43:42,661 --> 00:43:45,873 約束どおり あいつに 鉋と鈍を渡していたのか? 666 00:43:46,040 --> 00:43:47,541 あっ うっ 667 00:43:49,835 --> 00:43:52,004 (七花)ん? (とがめ)ごにょごにょ 668 00:43:52,338 --> 00:43:53,255 (七花)ごにょごにょ? 669 00:43:53,380 --> 00:43:58,927 いや そのー 私はそなたが 負けることなどありえんと… 670 00:43:59,053 --> 00:43:59,845 だから… 671 00:43:59,970 --> 00:44:01,096 はい はい 672 00:44:05,225 --> 00:44:08,354 この階段とも おさらばか 名残惜しいぜ 673 00:44:09,021 --> 00:44:11,815 (とがめ)神社でなく 階段が名残惜しいのか 674 00:44:11,940 --> 00:44:13,359 おかしなやつだな 675 00:44:13,651 --> 00:44:14,401 いや 676 00:44:14,526 --> 00:44:19,114 とがめを こんなふうに抱っこする 機会なんて もうないだろうからさ 677 00:44:19,406 --> 00:44:21,533 うーん ちぇりおー! 678 00:44:22,368 --> 00:44:23,702 (七花)えっ (とがめ)ふう 679 00:44:24,495 --> 00:44:31,251 (七花)あっ ふあああー! (とがめ)ああああー! 680 00:44:31,377 --> 00:44:33,462 (ナレーション) この時は まだ行く末に― 681 00:44:33,587 --> 00:44:37,174 日本最強の剣士 薄刀(はくとう)・針の所有者― 682 00:44:37,257 --> 00:44:42,096 錆白兵が待ち構えているなど 夢にも思っておりませんでした 683 00:44:42,429 --> 00:44:46,392 錆白兵と七花の一騎打ち どうなることやら 684 00:44:47,101 --> 00:44:52,815 「刀語」 今宵(こよい)のお楽しみは ここまでにございます 685 00:44:56,443 --> 00:45:02,449 ♪~ 686 00:46:18,859 --> 00:46:24,865 ~♪